IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人東京海洋大学の特許一覧 ▶ 日本無線株式会社の特許一覧

特許7011252電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム
<>
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図1
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図2
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図3
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図4
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図5
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図6
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図7
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図8
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図9
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図10
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図11
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図12
  • 特許-電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220119BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20220119BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20220119BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20220119BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20220119BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220119BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220119BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G06Q10/06
B63B49/00 Z
B63H21/17
G01C21/20
G06Q50/06
G06Q50/30
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018005936
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2019125205
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】清 水 悦 郎
(72)【発明者】
【氏名】梅 田 綾 子
(72)【発明者】
【氏名】山 口 源 貴
(72)【発明者】
【氏名】大 出 剛
(72)【発明者】
【氏名】梶 雅 英
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127047(JP,A)
【文献】特開2013-014222(JP,A)
【文献】特開2016-078685(JP,A)
【文献】特開2015-060570(JP,A)
【文献】特開2015-089266(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086482(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084197(WO,A1)
【文献】特開2012-101673(JP,A)
【文献】特開2016-192051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B63B 49/00
B63H 21/17
G01C 21/20
H02J 7/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能に接続され、蓄電池を有する複数の電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システムであって、
前記電池推進船の航路および発着時刻を含む運航計画を示す運航計画情報と、発着場に設けられた充電器による前記蓄電池に対する充電計画を示す充電計画情報とを含むダイヤ情報を管理するダイヤ情報管理部と、
前記電池推進船の運航に伴って収集される運航情報に基づいて、前記ダイヤ情報で定められた航路の所定位置における外乱を推定し、前記外乱を示す外乱情報を生成する外乱推定部と、
前記ダイヤ情報に従った運航に対する制約条件となるイベントに関する情報であるイベント情報を取得するデータ取得部と、
前記ダイヤ情報、前記外乱情報および前記イベント情報を前記電池推進船の位置情報と対応付けて記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部から読み出した前記イベント情報に基づいて、前記運航計画に対応する計画船速を補正した補正後計画船速を算出し、前記補正後計画船速で運航する場合の前記位置情報に対応する前記外乱情報を前記データ記憶部から読み出し、前記データ記憶部から読み出した前記外乱情報に基づいて、前記補正後計画船速に対応するモータ出力を推奨出力として算出する出力算出部と、
前記充電計画情報に基づいて前記電池推進船への充電電力を制御する充電制御部と、を備えることを特徴とする運航支援システム。
【請求項2】
前記ダイヤ情報管理部は、前記イベント情報に基づいて前記ダイヤ情報を変更することを特徴とする請求項1に記載の運航支援システム。
【請求項3】
前記運航情報は、前記電池推進船のモータ出力の現在値である現在出力と、前記電池推進船の対地船速の現在値である現在船速とを含み、
前記外乱推定部は、外乱が存在しない場合を想定した前記現在出力に対応する船速を示すモデル船速を算出し、算出した前記モデル船速と前記現在船速との差分から前記外乱を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の運航支援システム。
【請求項4】
前記イベント情報は、前記ダイヤ情報で定められた前記電池推進船の到着地である発着場における、他の前記電池推進船の発着状況を示す発着情報を含み、
前記出力算出部は、前記発着情報に基づいて前記補正後計画船速を算出することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の運航支援システム。
【請求項5】
前記イベント情報は、前記航路上に存在し、前記運航計画の補正を必要とする障害物を示す障害物情報を含み、
前記出力算出部は、前記障害物情報に基づいて前記計画船速を補正することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の運航支援システム。
【請求項6】
前記イベント情報は、前記充電器が接続された電力系統の電力需給を示す電力需給情報を含み、
前記運航情報は、前記電池推進船毎の前記蓄電池の電池残量の現在値を示す現在電池残量情報を含み、
前記電力需給情報および前記運航計画情報に基づいて前記充電計画情報を変更する充電計画部をさらに備え、
前記出力算出部は、前記現在電池残量情報および前記変更された充電計画情報に基づいて前記補正後計画船速を算出することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の運航支援システム。
【請求項7】
前記充電計画情報は、複数の前記充電器における充電電力の合計を充電電力の上限に設定する充電電力上限情報を含み、
前記充電計画部は、前記充電電力上限情報および前記運航計画情報に基づいて、前記充電器毎に充電電力および充電時間を計画することを特徴とする請求項6に記載の運航支援システム。
【請求項8】
前記出力算出部は、算出された前記推奨出力が、予め設定された上限出力を超過する場合には、前記上限出力を前記推奨出力として算出し、
前記ダイヤ情報管理部は、前記上限出力に対応する船速に基づいて前記ダイヤ情報を変更することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の運航支援システム。
【請求項9】
前記航路を分割した区間毎の、前記外乱情報および前記イベント情報を含む区間情報を生成する区間情報生成部をさらに備え、
前記出力算出部は、前記区間情報に基づいて、前記区間毎に前記推奨出力を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の運航支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスの排出抑制等の目的で、電池に蓄えた電力を動力として走行する自動車や船舶の開発が進められている。これらの電動移動体(Electric Vehicle:EV)は、搭載できる電池容量の制限により、必要とされる走行距離に応じたエネルギーマネジメントが重要となる。
【0003】
特に、バス等の交通システムにEVを用いる場合には、単独の移動体に限らず、システム全体としてのエネルギーマネジメントや公表されたダイヤに即した定時運行も重要となる。特許文献1には、充電設備の負荷等のEVバスの制約条件を満たす運行計画を作成する技術が開示されている。
【0004】
船舶において適切なエネルギーマネジメントを行う技術は、主に航海中の燃料消費を最適化することに主眼が置かれている。特許文献2には、燃料エンジンで発電した電力で推進する電気推進船において、1航海分のスケジュールを時間や位置でいくつかのゾーンに分割し、ゾーン毎に気象や海象等の情報に基づいて消費電力を予測し、燃料消費が最小となる航路および船速配分を選定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-60570号公報
【文献】特開2014-127047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
EV技術を利用した電池推進船では、電池に蓄えることができる電力量が限られていることから、発電しながら走行する電気推進船よりも適切にエネルギーマネジメントを行う必要がある。
【0007】
また、自動車とは異なり、船舶では船速と供給エネルギー量との間には約3乗の比例関係がある。このため、不必要に船速を上げず、目的地へ確実に到着することができるようにエネルギーマネジメントを行うことが重要となる。さらに、船舶にはブレーキがなく、流れや風の影響を受けるとその場で停止していること自体が困難であるという問題がある。そのような特性を有する船舶が、目的地周辺に到着後、着桟のために待機していなければならないような状況は、安全運航の上でも好ましくはない。したがって、目的地に到着した際にすみやかに着桟できるように運航するためには、流れや風等の情報を収集および分析した上で、適切な運航計画を作成する必要がある。
【0008】
しかしながら、分析を行うために必要な、数百メートルあるいは数キロメートル刻みで連続的な気象や海象データは提供されていない。
【0009】
また、河川や運河等の限定された水路を航行する水上交通システムを想定した場合、工事による水路幅の減少や、流木等の障害物によって大幅に減速して航行しなければならない水域や、大きく迂回して運航しなければならない水域等が存在すると、運航時間に大幅な影響を与えることがある。このようなイベントは、必ずしも情報が公開されておらず、その場に行かなければ把握できないことも多い。
【0010】
流れや風等の状態は場所や時間によって時々刻々と変化するものであり、障害物の存否も偶発的に発生する可能性がある。電池残量に余裕がない場合には、遅れを取り戻すために船速を上げることができないこともあり、必ずしも運航計画通りに運航できない場合も想定される。また、着桟予定の到着地において、先行する船舶の出発が遅延した場合には、計画通りに到着すると、到着地付近で待機する必要が生じる場合もある。これら運航計画の変更を必要とする状況に関する情報を適切に取得しながら運航する必要もある。
【0011】
さらに、電池推進船に蓄えられる電力と運航時間との関係から、たびたび充電を行う必要が生じる場合もある。充電には大電力を必要とすることから、電力需要が逼迫する時期や時間帯等によっては、系統電源への負荷も考慮する必要がある。
【0012】
また、系統電源は、災害や事故等の原因により、周辺地域の需要に応じた電力を供給できない場合も想定される。したがって、電池推進船が蓄えている電力を非常時の電力として利用するためのエネルギー輸送手段として水上交通システムを運用可能とすることも望まれる。
【0013】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、電池推進船を運航させる水上交通システムにおいて、航路の状態、自船の状態、到着予定時刻における到着時の状態、および電力の需給状態等の制約条件を考慮した運航支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る運航支援システムは、
互いに通信可能に接続され、蓄電池を有する複数の電池推進船を運航させる水上交通システムに適用される運航支援システムであって、
前記電池推進船の航路および発着時刻を含む運航計画を示す運航計画情報と、発着場に設けられた充電器による前記蓄電池に対する充電計画を示す充電計画情報とを含むダイヤ情報を管理するダイヤ情報管理部と、
前記電池推進船の運航に伴って収集される運航情報に基づいて、前記ダイヤ情報で定められた航路の所定位置における外乱を推定し、前記外乱を示す外乱情報を生成する外乱推定部と、
前記ダイヤ情報に従った運航に対する制約条件となるイベントに関する情報であるイベント情報を取得するデータ取得部と、
前記ダイヤ情報、前記外乱情報および前記イベント情報を前記電池推進船の位置情報と対応付けて記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部から読み出した前記イベント情報に基づいて、前記運航計画に対応する計画船速を補正した補正後計画船速を算出し、前記補正後計画船速で運航する場合の前記位置情報に対応する前記外乱情報を前記データ記憶部から読み出し、前記データ記憶部から読み出した前記外乱情報に基づいて、前記補正後計画船速に対応するモータ出力を推奨出力として算出する出力算出部と、
前記充電計画情報に基づいて前記電池推進船への充電電力を制御する充電制御部と、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にかかる運航支援システムを適用する水上交通システムの全体概要を説明する図である。
図2】電力系統への負荷を考慮した運航計画を説明する図である
図3】運航支援システムで管理する運航ダイヤの例を説明する図である。
図4】取得した情報に基づいて行う運航計画の補正について説明する図である。
図5】モータ出力と船速との関係を説明する図である。
図6】実施形態にかかる運航支援システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
図7】各船舶に搭載される機器構成図である。
図8】船舶システムの外乱推定部で実行される処理を説明するブロック線図である。
図9】船舶システムの出力算出部で実行される処理を示すフローチャートである。
図10】船舶システムの表示部に表示される画面の例を示す図である。
図11】運航センターシステムの充電計画部で実行される充電計画処理を示すフローチャートである。
図12】運航センターシステムの表示部に表示される画面の例を示す図である。
図13】船舶システムの充電制御部で実行される充電制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0017】
[発明の概要]
まず、図1図5を参照しながら、本発明の概要について説明する。図1は、本発明にかかる運航支援システムを適用する水上交通システムの全体概要を説明する図である。
【0018】
図1に例示した水上交通システムは、例えば河川で運航される水上バスであり、図1には、3か所の発着場A、発着場B、発着場Cの間を、4隻の船舶V1、船舶V2、船舶V3、船舶V4が同時に運航している状態が示されている。各発着場A,B,Cには、充電器CA、充電器CB、充電器CCが設けられている。なお、大容量電力を充電できる充電器としては、例えば、EV用の急速充電器や、定電圧定電流充電(CVCC)充電器等がある。
【0019】
各発着場および各船舶は、水上交通システムの運営者によって運用される運航センターXにおいて運航が管理されており、図示せぬ通信ネットワークによって運航センターXに通信可能に接続されている。運航センターXは、発着場Aから発着場Cまでの航路を第1区間から第8区間までの8つの区間に分割し、区間毎に船舶V1~V4における運航計画を補正できるよう、各種のデータを船舶V1~V4および発着場A~Cから取得して管理している。
【0020】
各充電器CA,CB,CCには電力会社Yが提供する電力系統から電力が供給されている。図1に示す例では、充電器CA、充電器CB、充電器CCは、同一の電力系統に属する。従って、後に詳しく説明するように、充電器CA、充電器CB、充電器CCにおいて同時に船舶を充電する場合には、電力系統への負荷が増大することになる。このため、本実施形態では、電力系統への負荷を考慮した充電を含む運航計画を作成する。
【0021】
図2は、電力系統への負荷を考慮した運航計画を説明するための図である。図2に示すグラフの左縦軸は系統電力需要を示し、横軸は1日(24時間)の時間の経過を示している。実線は一般的な夏季の系統電力需要の時間変化を示し、破線は一般的な冬季の系統電力需要の時間変化を示している。図2から分かるように、夏季は、気温が上昇する昼間に電力需要が著しく増加する。一方、冬季は気温が低い朝や、就寝前まで夜の時間帯に電力需要が増加する。
【0022】
グラフの右縦軸は、船舶の電池残量を示しており、点線は船舶の電池残量の時間推移を模式的に示している。なお、グラフが下降する場合の傾きは電力消費ペースを表し、グラフが上昇する場合の傾きは充電ペースを表す。電池推進船は、船舶の運航に必要なエネルギーを蓄積する蓄電池を搭載している。このため、電力需要の少ない夜間に大容量の充電を行い、日中の運航時には、充電を抑制する運用を行うことによってピークシフト効果が期待できる。これにより、電力系統への負荷を低減することが可能となる。
【0023】
また、電力系統において電力需要が大きい時間帯や、十分な電力が供給されない事情がある場合等には、充電器CA、CB、CCにおける充電量を抑制することによって、ピークカット効果を期待できる。図2に示す例では、充電c1の傾きは、充電c2の傾きよりも小さい。これは、電力需要の大きい時間帯に複数の充電器で同時に充電が発生したため、充電ペースを抑制していることを表している。
【0024】
なお、太陽光発電装置が多く接続された電力系統であれば、日中に余剰電力が生じる場合も想定される。船舶V1~V4のいずれかにおいて充電時間の確保や電池残量に余力がある場合には、電力会社からの要求に応じて計画よりも多くの電力を充電するようにしてもよい。あるいは、災害や事故等の影響によって電力系統側が供給できる電力が需要に対して不足する場合には、船舶から電力系統への電力供給を行うことも可能である。
【0025】
このように、大容量の蓄電池を搭載する複数の船舶を一つのシステムを構成する要素として考えると、これらの船舶は電力系統から見て、電力需給を調整するバッファとして利用することが可能となる。運航センターXの運営会社と電力会社Yとの間で締結するデマンドレスポンス契約に基づいて、運航センターXが電力会社Yからの要求を電力需給情報として受信するようにしてもよい。電力需要情報は、充電器が接続された電力系統の電力需給を示す情報である。そして、要求に応じた充電を行う場合には電力料金の優遇等のインセンティブを設けるようにしてもよい。
【0026】
次に、図3を参照して、本実施形態にかかる運航支援システムで管理する運航ダイヤの例を説明する。図3に示す運航ダイヤの例では、発着場A~Cに対応する横軸は時間の経過を示しており、発着場間を移動する船舶V1~V4の運航計画が、それぞれに対応する矢印で示されている。各矢印の始点は出発時刻と発着場を表し、終点が到着時刻と発着場を表す。また、各矢印の傾きは船速を表す。
【0027】
図3に示す矩形は、各発着場で船舶に充電される充電量を示しており、高さが充電電力を表し、幅が充電時間を表す。図3に示すように、時刻t1~t2の間では、3か所の発着場A,B,Cで同時に充電が行われる計画となっている。そして、発着場A,B,Cにおける充電量の合計が電力系統への負荷上限を超過している場合を想定し、3か所で同時に充電が行われる時間については充電電力を減少させている。
【0028】
図3に示す運航ダイヤの例では、第1区間から第8区間までの各区間における船速は一定であることを想定した計画となっている。しかし、現実の運航においては、流れや風等の外乱による影響や、工事や浮遊物等の障害物の存在によって、計画とは異なる船速で運航する場合がある。このような影響によって船舶の消費電力が当初の計画とは異なってしまい、船速を調整しなければならない状況も発生しうる。
【0029】
ここで、図4を参照しながら、運航ダイヤによる運航計画の補正が発生する場合について具体的に説明する。本実施形態では、運航計画の補正は、運航センターXから取得する情報および自船で取得する情報に基づいて、船舶V1~V4の各々において行われる。これに限らず、船舶V1~V4は運航センターXで補正を行った結果を取得してもよい。
【0030】
本実施形態では、以下に説明するように、他の船舶から取得した外乱情報および障害物情報、発着場から取得した情報、自船の電力情報、自船の運航計画補正等の、ダイヤ情報に従った運航に対する制約条件となるイベントに関する情報(イベント情報)に基づいて、運航計画で定められた計画船速が補正される。そして、補正された計画に基づいて各船舶が運航される。外乱情報は、ダイヤ情報で定められた航路の所定位置における外乱を示す情報である。ダイヤ情報は、運航計画情報および充電計画情報を含む。ここで、運航計画情報は、電池推進船の航路および発着時刻を含む運航計画を示す情報である。充電計画情報は、発着場に設けられた充電器による前記蓄電池に対する充電計画を示す情報である。なお、この充電計画情報は、複数の充電器における充電電力の合計を充電電力の上限に設定する充電電力上限情報を含んでもよい。
【0031】
イベント情報は、ダイヤ情報に従った運航に対する制約条件となるイベントに関する情報である。このイベント情報は、航路上に存在し、運航計画の補正を必要とする障害物を示す障害物情報を含んでもよい。また、イベント情報は、前述の電力需要情報を含んでもよい。
【0032】
図4は、船舶が取得した情報に基づいて行う運航計画の補正について説明する図である。図4において、紙面の縦方向の長さは距離を表し、紙面の横方向は経過時間を表す。したがって、矢印の傾きは船速を表す。また、点線は運航計画における船速(計画船速)およびイベント情報に基づいて補正した計画船速(補正後計画船速)を示しており、実線は実運航における船速(実績船速)を示している。
【0033】
図4において、(1)通常ダイヤは、予め計画された通常ダイヤによる運航計画を示している。この例では、運航すべき全区間において一定の船速で運航する計画となっている。しかし、(2)他船情報に基づく補正では、第3区間を運航する他船から取得した障害物情報に基づいて、当該区間は船速を下げる必要があると判断し、計画船速を補正している。第3区間での船速低下に備えて、第1および第2区間と、第4区間から第8区間においては、計画船速が上昇するように運航計画が補正されている。このとき、第4区間から第8区間においては、他船から取得した外乱情報に基づいて、計画船速を算出している。なお、外乱情報については、後に詳しく説明する。
【0034】
図4において、(3)実運航・他船情報に基づく補正では、第8区間から第6区間まで運航し、第6区間の途中で実績船速が低下している。船速低下の要因としては、例えば、他船の通航や、漂流物を避けるため等、様々なものが考えられる。第6区間まで運航した時点で計画船速よりも進行ペースが遅いことが明らかとなっている。また、第3区間には障害物による船速制限がある。このため、第4および第5区間の船速を上昇させるように計画船速が補正されている。
【0035】
図4において、(4)実運航・発着情報に基づく補正では、第3区間まで運航しているが、計画船速に想定されていた第3区間の障害物は、実運航には影響が少なく、計画よりも速く運航することができた。しかしながら、到着地である発着場Aでは、先着した船舶の出発が遅延し、計画通りに発着場Aに到着してしまうと、着桟できずに待機する必要が生じてしまう。そこで、運航計画としては、区間1および区間2の船速を低下させ、発着場A付近での待機が発生しないような運航計画に補正されている。
【0036】
図4において、(5)実運航・電力状態に基づく補正では、区間2まで運航した時点の電池残量が足りず、残りの区間を計画船速で運航することができなくなった。後に船速と出力との関係を詳しく説明するように、計画船速を低下させることによって出力を抑制することが可能となる。そこで、(5)に示す例では、第1区間の計画船速をダウンする補正が行われている。
【0037】
次に、図5を参照しながら、モータ出力と船速との関係を説明する。図5においては、縦軸が対地船速(VOG)を示し、横軸がモータ出力(P)を示している。図5に表される実曲線は、モータ出力(P)に対して得られる船速を対地船速(VOG)で示したものである。この船速は、外乱が存在しない場合の船速をモデル船速(Vm)と定義した場合に、次式のような近似式で表すことができる。
【数1】
【0038】
ここで、αおよびβの値は、船舶の大きさや形状等によって異なる特性を表すものである。一般的に排水量型の船舶では、主に造波抵抗の影響によって、2倍の速力を得るためには8倍の機関出力を要することが知られている。すなわち、βは概ね1/3程度である。
【0039】
したがって、図5に実線で示したモデル船速(Vm)の曲線からわかるように、モータ出力(P)に対する対地船速(VOG)の増加を示す接線の傾きは、モータ出力(P)の増加に伴って小さくなる。本実施形態では、モータ出力(P)の増加に比してモデル船速(Vm)の増加が著しく低くなる点を上限出力(Pu)と定義し、上限出力(Pu)以下の出力で運航するような運用を行う。また、電力消費に基づく経済性の観点からは、船速は遅い方が望ましいが、水上交通システムとしての顧客満足度の観点からは、船速は速い方が望ましい。そこで、運航時に要求される平均的な船速やモータの定格出力等に基づいて経済出力(Pe)が定義されており、運航ダイヤは経済出力(Pe)を基準として作成する。
【0040】
図5に示すように、流れや風等の外乱の影響によって、対地船速(VOG)が減少する(外乱1の場合)。逆に、流れや風に押される場合には、対地船速(VOG)が大きくなる(外乱2の場合)。本実施形態では、後に詳しく説明するように、このような外乱の影響を含んだ船速から外乱を推定し、運航支援に用いる。
【0041】
[運航支援システムの構成]
次に、図6および図7を参照しながら、実施形態にかかる運航支援システムの構成について具体的に説明する。図6は、実施形態にかかる運航支援システムの全体構成を示す機能ブロック図である。図7は、各船舶に搭載される機器を示す図である。
【0042】
図6に示すように、運航支援システムは、運航センターXで使用する運航センターシステム100、船舶V1~V4に搭載される船舶システム200、発着場A~Cで用いる発着場システム300、および通信ネットワーク400を備える。また、通信ネットワーク400には、電力会社システム500が接続されており、電力会社Yからの電力需給情報を取得できる構成となっている。
【0043】
運航センターシステム100は、通信ネットワーク400を介して外部とデータの送受信を行うデータ通信部101と、通信ネットワーク400に接続された他のシステムからデータを取得するデータ取得部102と、外部から取得したデータや内部で生成したデータを記憶するデータ記憶部103と、取得あるいは生成したデータをユーザに提示する画面データを生成する画面生成部104と、生成した画面データを表示する表示部105と、ユーザからデータ入力を受け付ける入力部106と、船舶V1~V4の運航計画を示す運航計画情報および充電スケジュールを示す充電計画情報を含むダイヤ情報の生成、図4を用いて説明したイベント情報に基づくダイヤ情報の変更、並びに変更したダイヤ情報の記憶等を行うダイヤ情報管理部107と、航路を所定の間隔で分割して得られる第1区間~第8区間の各区間における船舶V1~V4の状態や外乱に関する情報を船舶V1~V4から取得し、区間情報として生成する区間情報生成部108と、運航計画情報および電力系統への負荷や電力会社が要求する電力需給情報等に基づいて充電器CA~CCにおける船舶V1~V4の充電電力および充電時間の計画を行う充電計画部109と、を備える。
【0044】
区間情報は、航路を分割した区間(本実施形態では第1区間~第8区間)毎の、外乱情報およびイベント情報を含む。
【0045】
なお、充電計画部109は、電力需給情報および運航計画情報に基づいて充電計画情報を変更してもよい。また、充電計画部109は、充電電力上限情報および運航計画情報に基づいて、充電器毎に充電電力および充電時間を計画してもよい。
【0046】
船舶システム200は、通信ネットワーク400を介して外部とデータの送受信を行うデータ通信部201と、通信ネットワーク400に接続された他のシステムからデータを取得するデータ取得部202と、外部から取得したデータや内部で生成したデータを記憶するデータ記憶部203と、取得あるいは生成したデータをユーザに提示する画面データを生成する画面生成部204と、生成した画面データを表示する表示部205と、後に図7を参照しながら説明する各種センサ機器や各種制御機器から当該船舶のモータ出力や船速の状態を示す現在値情報としてデータ収集するデータ収集部206と、外部から取得したデータ、内部に記憶されたデータ、および収集したデータに基づいてモータの推奨出力を算出する出力算出部207と、航路情報および算出された推奨出力情報に基づいて舵角とモータ出力との制御を行う舵角・出力制御部208と、後に図8を参照しながら説明するように、前記電池推進船の運航に伴って収集される情報であって、モータの現在出力(電池推進船のモータ出力の現在値)と現在船速(電池推進船の対地船速の現在値)を含む運航情報に基づいて外乱を推定する外乱推定部209と、収集したセンシングデータに基づいて障害物を検知する障害物検知部210と、電池の状態を監視するとともに充電器との間で通信を行うことによって充電制御を行う充電制御部211とを備える。運航情報は、電池推進船毎の蓄電池の電池残量の現在値を示す現在電池残量情報を含んでもよい。
【0047】
出力算出部207は、データ記憶部103から読み出したイベント情報に基づいて、運航計画に対応する計画船速を補正した補正後計画船速を算出する。そして、補正後計画船速で運航する場合の位置情報に対応する外乱情報をデータ記憶部103から読み出す。そして、データ記憶部103から読み出した外乱情報に基づいて、補正後計画船速に対応するモータ出力を推奨出力として算出する。なお、イベント情報や外乱情報がデータ記憶部203やデータ記憶部303に記憶されている場合には、出力算出部207はデータ記憶部203やデータ記憶部303から情報を読み出してもよい。
【0048】
なお、出力算出部207は、障害物情報に基づいて計画船速を補正してもよい。また、出力算出部207は、現在電池残量情報および変更された充電計画情報に基づいて補正後計画船速を算出してもよい。また、出力算出部207は、区間情報に基づいて、区間毎に前記推奨出力を算出してもよい。
【0049】
外乱推定部209は、外乱が存在しない場合を想定した現在出力に対応する船速を示すモデル船速を算出し、算出した前記モデル船速と現在船速との差分から外乱を推定する。外乱推定部209は、外乱を推定した後、推定した外乱を示す外乱情報を生成する。充電制御部211は、充電計画情報に基づいて電池推進船への充電電力を制御する。
【0050】
本実施形態では、舵角・出力制御部208を備えることによって自動操船を可能としているが、算出された出力を参考として人間が操船する場合には、舵角・出力制御部208は不要となる。
【0051】
発着場システム300は、通信ネットワーク400を介して外部とデータの送受信を行うデータ通信部301と、通信ネットワーク400に接続された他のシステムからデータを取得するデータ取得部302と、外部から取得したデータや内部で生成したデータを記憶するデータ記憶部303と、取得あるいは生成したデータをユーザに提示する画面データを生成する画面生成部304と、生成した画面データを表示する表示部305と、ユーザからデータ入力を受け付ける入力部306とを備える。
【0052】
表示部305は、運航センターシステム100から取得した船舶V1~V4の運航状況を発着場の担当者に提示する目的で用いられる。また、入力部306は、当該発着場における乗客の乗降に関する情報や、船舶発着の遅延情報等の発着情報を担当者が入力するために用いられる。入力された発着情報は、運航センターシステム100のデータ記憶部103に記憶されることによって、必要に応じて船舶システム200が、到着地となる発着場の発着情報を取得できるようになる。なお、発着情報は、ダイヤ情報で定められた電池推進船の到着地である発着場における、他の電池推進船の発着状況を示す情報である。
【0053】
運航センターシステム100、船舶システム200、および発着場システム300は、上述の各機能を実現するプログラムをコンピュータ上で実行させることによって実現する。運航センターシステム100、船舶システム200、および発着場システム300の間で行われる通信のプロトコルは、通信ネットワーク400として選択されるものに応じてどのようなものであってもかまわない。
【0054】
通信ネットワーク400は、必ずしも単一のネットワークである必要はなく、複数のネットワークが接続されることによって構成されてもよい。例えば、陸上に設けられる運航センターシステム100および発着場システム300は有線または無線で通信ネットワーク400に接続されるが、水上を移動する船舶V1~V4に搭載される船舶システム200は、無線ネットワークを介して有線の通信ネットワーク400に接続される。ネットワークとしては、携帯電話網やインターネット網等の公衆ネットワークでも、ローカルエリアネットワーク等のプライベートネットワークでもよく、公衆ネットワーク上で仮想的に構築した仮想プライベートネットワークでもよい。
【0055】
[船舶の機器構成]
次に、図7を参照しながら、各船舶に搭載される機器構成について説明する。船舶V1~V4は、動力機器220、制御機器230、航海機器240、センシング機器250、および通信機器260を備えている。
【0056】
動力機器220は、プロペラ等の推進器221と、舵角を変更する舵アクチュエータ222と、推進器221を回転させるモータおよび当該モータに供給する電力変換を行うインバータ等を含むドライブユニット223と、ドライブユニットに供給する電力を蓄積する電池ユニット224と、電池ユニット224への充電を行うための、充電器とのインターフェイス機器である充電器インターフェイス(充電器I/F)225と、を備える。充電器インターフェイス225は、充電器とのコネクタ、および充電器との通信インターフェイスを備える。
【0057】
制御機器230は、機器の制御を統合する電子制御ユニット231と、舵アクチュエータ222の動作を制御する舵角制御ユニット232と、ドライブユニット223の動作制御や状態監視を行うドライブ管理ユニット233と、電池ユニット224の状態監視を行い、蓄電池の電池残量の現在値情報(現在電池残量情報)を運航情報として提供する電池管理ユニット234と、充電状態の監視や制御等の充電管理を行う充電管理ユニット235と、を備える。充電管理ユニット235は、充電器インターフェイス225から、充電器とのコネクタおよび通信インターフェイスの接続状態に関する情報を取得する。
【0058】
制御機器230の上記各機能ユニットは、CPU等の演算装置やメモリ等の記憶装置を備えたコンピュータとして構成される。コンピュータとして、汎用的なコンピュータを用いてもよいし、専用に設計されたコンピュータを用いてもよい。なお、図6に示した船舶システム200の各種の機能は、各制御機器の記憶装置に記憶されたプログラムをCPU等の演算装置が実行することによって実現される。
【0059】
航海機器240は、操船者や乗船者に対するユーザインターフェイスである。この航海機器240は、出力指示を行う機器であるスロットル241と、舵角指示を行う機器である舵輪やジョイスティック等の操舵装置242と、各種の情報をユーザに提示するディスプレイ等の表示装置243と、を備える。
【0060】
センシング機器250は、船舶の状態や周囲の環境を把握するための機器である。このセンシング機器250は、例えば船舶の位置、船首方位、船速等の航海情報を取得するGPSコンパス251と、画像あるいは映像情報を取得するカメラ252と、風向・風速等の気象情報を取得する気象センサ253と、を備える。なお、センシング機器250は、図示した機器に限らず、例えばレーダー(Radar)やライダー(Light Detection and Ranging:LIDAR)等、一般的に障害物検知に用いられる機器や、ソナー・魚群探知機や水深計等の水中の状態を検知する機器、マイク等の音響機器、ガスセンサ等の臭気センサ等を備えてもかまわない。
【0061】
通信機器260は、通信ネットワーク400に対して無線接続するための通信インターフェイスであり、アンテナやネットワーク機器等を備える。
【0062】
各機器間の接続は、有線によっても無線によってもよく、通信プロトコルは、例えばコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)プロトコルや、インターネットプロトコル等、機器の仕様に応じたものが用いられる。
[運航支援システムの動作]
以下、図8図13を参照しながら、実施形態にかかる運航支援システムの動作について説明する。
【0063】
[運航中の船舶システムの動作]
まず、図8図10を参照しながら、運航中の船舶システム200の動作に関する動作を説明する。
【0064】
図8は、船舶システム200の外乱推定部209で実行される処理を説明するブロック線図である。本実施形態では、外乱(e)は、モータ出力(P)の現在値から算出されるモデル船速(Vm)と、GPSコンパス251によって取得された対地船速(VOG)との差に基づいて算出される。
【0065】
図8中、G(s)は、モータ出力(P)を入力としてモデル船速(Vm)を出力とする伝達関数である。一般的に、船舶の操船においては、スロットル操作は頻繁には行われない。しかし、モータ出力の変更が必要となり、スロットル操作が行われた場合、船速がスロットル位置に応じたモータ出力(P)に対応する値まで上昇するには時間遅れが発生する。本実施形態では、モデル船速(Vm)を算出するにあたって、一次遅れ系の運動モデルを想定し、伝達関数G(s)には一次遅れ成分を含むものとしている。なお、運動モデルは一次遅れ系に限定されるものではなく、より複雑なモデルを用いてもかまわない。
【0066】
図8において、Kpは比例要素のゲイン係数を、KI/sは積分要素のゲイン係数を、KD・sは微分要素のゲイン係数を示している。一般的に、風や流れ等の外乱は定常成分を含むので、本実施形態では、外乱(e)の推定アルゴリズムにPID補償器を設けている。
【0067】
図9は、船舶システム200の出力算出部207で実行される処理を示すフローチャートである。本実施形態では、出力算出部207は、航路を所定の距離毎に複数の区間に分割し、区間毎に設定された船速を得るために必要なモータ出力を算出する。出力算出部207は、例えば、毎秒あるいは毎分等、所定の時間間隔で算出処理を実行するように構成してもかまわない。
【0068】
出力算出部207は、データ収集部206で収集された緯度経度情報等の位置情報を示すデータに基づいて、当該船舶が区間の境界ラインを通過したか否かを判定する(S101)。本実施形態では、区間の境界を通過したタイミングを出力算出処理のトリガとして用いる。なお、区間の境界ラインは、緯度あるいは経度によって設定してもよいし、地図上に定義した座標の2点を結ぶ直線や、所定の関数によって定義される曲線であってもかまわない。
【0069】
S101において船舶が判定ラインを通過したと判定した場合は(S101;Yes)、出力算出部207は到着地である発着場までの残り区間に関する情報(残区間情報)を運航センターシステム100から取得する(S102)。運航センターシステム100のデータ記憶部103には、船舶V1~V4から定期的に取得した外乱情報等のデータが区間と対応付けて蓄積されている他、発着場A~Cから入力される発着情報も記憶されており、いずれも残区間情報として、出力算出部207が実行する出力算出処理に用いられる。船舶システム200のデータ取得部202は、例えばデータベースアクセス機能を有しており、データ通信部201を介して各機能部から要求されたデータを運航センターシステム100のデータ記憶部103から読み出して、船舶システム200のデータ記憶部203に記憶する。データ記憶部103は、ダイヤ情報、外乱情報およびイベント情報を電池推進船の位置情報と対応付けて記憶する。なお、データ記憶部203、データ記憶部303が、ダイヤ情報、外乱情報およびイベント情報を電池推進船の位置情報と対応付けて記憶してもよい。すなわち、データの記憶場所は限定されない。また、同じデータをデータ記憶部103、203、303で持ち合ってもよい。
【0070】
出力算出部207は、取得した残区間においてダイヤ情報に基づく計画船速から変更して運航する必要がある区間が存在するか否かを判定する(S103)。そして、船速変更が必要な区間があると判定された場合には(S103;Yes)、変更後の船速を当該区間の計画船速(補正後計画船速)として算出してデータ記憶部203に記憶する(S104)。船速変更が必要な区間として、例えば、図4の(3)実運航・他船情報に基づく補正に示したように、航路中に障害物が存在する場合や、図4の(4)実運航・発着情報に基づく補正に示したように、到着地である発着場における発着情報が先着船舶の遅延を示しているような場合が想定される。障害物情報は、先に航行した船舶から運航センターシステム100が取得したデータに基づいて、カメラ252が撮影した漂流物等の障害物や霧等の悪天候を認識した運航管理オペレータが、計画船速よりも制限された船速(制限船速)を入力することによって設定されてもよい。また、予め行政や工事業者等から通知される情報に基づいて設定される場合等も想定される。なお、船舶システム200がカメラ252やその他のセンサ等から障害物を自動認識する機能を備える場合は、当該情報を運航センターシステム100に送信してもよい。
【0071】
S103においてダイヤ情報から船速を変更する必要がないと判定された場合(S103;No)、または、S104の処理が実行された後に、出力算出部207は、残り区間のそれぞれにおける計画船速を算出する(S105)。各区間の計画船速は、当該区間における運航距離を、ダイヤ情報において当該区間に割り当てられた運航時間で除算することによって算出することができる。なお、S104において制限船速を設定した場合には、制限船速が当該区間の計画船速として算出される。
【0072】
次いで出力算出部207は、運航センターシステム100から取得した外乱情報を含めた区間毎のモデル出力(推奨出力)を算出する(S106)。例えば、ダイヤ情報に基づいて平均7ノットで運航する計画船速が算出される区間において、船舶の進行方向に対して逆向きに1ノット分の外乱が存在すると判断した場合には、船速8ノット分のモータ出力を推奨出力(Vr)として算出する。これにより、船舶は1ノット分の外乱を受けた結果として7ノットで運航することが期待される。
【0073】
ここで出力算出部207は、算出された推奨出力(Pr)が図5を用いて説明した上限出力(Pu)以内であるか否かを判定し(S107)、上限出力(Pu)以内であれば(S107;Yes)、電池ユニット224における現在電池残量情報を読み取り、電池残量が当該推奨出力(Vr)で運航するために必要な電力を供給するために十分であるか否かを判定する(S108)。なお、後に図11を用いて説明するように、充電計画部109において充電計画情報が変更されている場合には、変更後の充電量と現在電池残量を合計しても、次の運航に必要な電力に満たない場合には、電池残量が不十分であると判定してもよい。
【0074】
出力算出部207は、電池残量が十分ではないと判定した場合(S108;No)、その時点の電池残量で到着地となる発着場まで運航可能な船速を抑制出力として算出するとともに、当該船速で運航する場合の、発着場への到着予定時刻を算出する(S109)。
【0075】
また、ステップS107において算出された推奨出力(Pr)が上限出力(Pu)を超えると判定した場合(S107;No)、上限出力(Pu)で運航する場合の船速に基づいて発着場への到着予定時刻を算出する(S110)。出力算出部207は、算出された推奨出力が、予め設定された上限出力を超過する場合には、上限出力を推奨出力として算出する。そして、ダイヤ情報管理部107は、上限出力に対応する船速に基づいてダイヤ情報を変更する。ステップS110の後、ステップS108に進む。
【0076】
図5を参照しながら説明したように、モータ出力(船速)を経済出力(Pe)よりも減少させるほど、エネルギー消費量を大幅に抑制することができる。しかしながら、抑制出力で運航した場合、ダイヤ情報で規定された時刻には発着場に到着することができない。また、上限出力(Pu)を超えた領域では、モータ出力(P)を増大させても対地船速(VOG)はほとんど変化しない。上限出力(Pu)で運航してもダイヤ情報で規定された時刻に発着場に到着することができない場合には、ダイヤ変更が必要となる。
【0077】
そこで、出力算出部207は、算出した到着予定時刻をダイヤ変更のための情報(ダイヤ変更情報)として当該船舶の出力情報とともに運航センターシステム100に送信する(S111)。
【0078】
S111における情報の送信後、または、ステップS108において電池残量が十分であると判定された場合は(S108;Yes)、出力算出部207は、先行するステップで算出された各区間における出力情報を残区間の運航計画としてデータ記憶部203に記憶する(S112)。その後、S101の処理に戻る。
【0079】
このように、出力算出部207において出力算出処理を継続して実行することによって、時々刻々と変化する船舶の運航状況や、航路の外乱や障害物等の有無に応じて柔軟に運航計画を変更しながら運航することが可能となる。
【0080】
なお、船舶が自動運航モードで運航している場合には、データ記憶部203に運航計画として記憶された出力に基づいて舵角・出力制御部208がドライブユニット223を制御する。搭乗者による操船を行う通常操船モードであれば、データ記憶部203に記憶された区間毎の出力情報に基づいて画面生成部204が表示画面を生成し、表示部205に表示する。操船者は表示装置243に表示された出力を参照して、スロットル241の操作を行う。
【0081】
図10は、船舶システム200の表示部205に表示される画面の例を示す図である。この例では、到着地を発着場Aとし、残区間は第1~第3区間であり、自船は第3区間を運航中であることを示している。各区間における外乱情報や障害物情報は、先行して当該区間を運航した船舶から運航センターシステム100が取得したデータをデータ記憶部103から取得して表示したものである。この図の例では、外乱の方向を矢印形の図形で示しているが、文字や他の図形、アニメーション等で示してもよい。また、障害物情報についても、この図に示す例では文字情報を提示しているが、アイコン等の図形情報やカメラで撮影した画像情報をあわせて表示するようにしてもよい。
【0082】
図10の画面例では、第1~第3区間それぞれにおける運航計画として、算出された船速と推奨出力が表示されている。また、到着地である発着場Aに関するダイヤ変更情報として、先発予定の船舶の出発が遅れているため、ダイヤが5分遅れとなっていることを通知する文字と、具体的な到着予定時刻の変更が表示されている。
なお、完全な自動運航を行い、船舶には操船者が乗船しない運用を行う場合には、図10に例示するような画面は、運航センターシステム100や発着場システム300の表示部に表示するようにしてもよい。
【0083】
[充電に関する動作]
次に、図11図13を参照しながら、充電に関する動作について説明する。図11は、運航センターシステム100の充電計画部109で実行される充電計画処理を示すフローチャートである。
【0084】
充電計画部109は、まずデータ記憶部103に記憶されたダイヤ情報から充電計画に関する情報(充電計画情報)を取得する(S201)。次に、計画された充電時刻において上限電力が設定されているかを判定する(S202)。例えば、本ステップでは、S201で取得した充電計画情報に、設定された上限電力を示す充電電力上限情報が含まれている場合に、上限電力が設定されていると判定する。
【0085】
S202の判定において、上限電力が設定されていなければ(S202;No)、次に、充電時刻において余剰電力があるか否かを判定する(S203)。余剰電力もないと判定した場合は(S203;No)、ダイヤ情報が示す充電計画を変更せずに処理は201に戻る。
【0086】
充電計画部109は、S202において上限電力が設定されていると判定した場合には(S202;Yes)、充電器CA~CCにおける充電電力を合計して、充電によるピーク充電電力を算出する(S204)。そして、ピーク充電電力が、設定された上限電力を超過しているか否かを判定する(S205)。ここで、ピーク充電電力が上限電力を超過しない場合には(S205;No)、ダイヤ情報が示す充電計画を変更せずに処理は201に戻る。
【0087】
S205において、ピーク充電電力が上限を超過すると判定した場合は(S205;Yes)、充電計画部109は、船舶毎の現在電池残量情報を取得する(S206)。そして、充電計画部109は、ピーク充電電力が上限電力内におさまるように、船舶毎の充電電力および充電時間をダイヤ情報が示す計画から変更する処理を行う(S207)。各船舶の現在電池残量情報は、所定の周期(例えば1秒)でデータ取得部102が船舶システム200から取得してデータ記憶部103に記憶されている。
【0088】
ここで充電計画部109は、充電時間の変更が発生することによってダイヤを変更する必要があるか否かを判定し(S208)、ダイヤ変更は必要ない場合には(S208;No)、処理をS201に戻す。一方、ダイヤを変更する必要があると判定した場合には(S208;Yes)、充電計画部109は、ダイヤ情報管理部107に対して変更ダイヤ生成指示を出力して(S209)、処理をS201に戻す。なお、変更ダイヤ生成指示を受けたダイヤ情報管理部107は、変更後の充電時間に基づいてダイヤ情報を変更する。
【0089】
このように、充電計画部109が充電計画処理を継続して実行することによって、時々刻々と変化する船舶の運航状況や電力会社からの要求に応じて柔軟に充電計画を変更することが可能となる。
【0090】
ここで図12は、運航センターシステム100の表示部105に表示される画面の例を示す図である。この例では、充電中の船舶と運航中の船舶とを表示するエリアを区別している。充電中の船舶については、それぞれ接続された充電器、充電電力および電池残量が表示され、運航中の船舶については出力電力と電池残量が表示されている。電池残量を示す情報は、図示した例のようにパーセント表示でもよいし、kWh表示等の電力容量を示す数値でもよい。あるいは、インジケーターやアイコンのような図形で表示してもよい。
【0091】
図12に示す例では、充電電力の上限が3台の充電器CA~CC合計で100kWに設定されている。また、充電器CA~CCの最大充電電力が50kWである。本実施形態では、特に充電電力の上限が設定されていない場合には、各充電器において50kWの充電電力で充電を行う計画で運航ダイヤが作成されているものとする。
【0092】
図12に示す例では、図11で示したS207の処理において、船舶V1の充電電力を40kWとし、船舶V2および船舶V4の充電電力を30kWと設定している。これによって、ピーク充電電力を100kWとしている。なお、各船舶への充電電力の割り当ては、電池残量が少ない船舶に対する充電電力を多くするように設定してもよいし、短い充電時間しか確保できない船舶の充電電力を多くするようにしてもよい。
【0093】
次に、図13を参照しながら、船舶システム200の充電制御部211で実行される充電制御処理を説明する。
【0094】
充電制御部211は、運航センターシステム100から充電計画を示す情報を取得し(S301)、ダイヤ情報として予め定められた充電計画から変更があるか否かを判定する(S302)。
【0095】
充電計画に変更がある場合には(S302;Yes)、充電制御部211は、充電電力および充電時間を変更して(S303)、充電器インターフェイス225を介して充電器に充電要求を送信する(S304)。なお、S302において充電計画に変更なしと判定した場合は(S302;No)、予め計画されていた充電電力および充電時間を充電器に送信する(S304)。これにより充電が開始され、電池残量が増加していく。
【0096】
充電制御部211は、運航センターシステム100に対して電池残量を示す情報を送信し(S305)、電池残量が容量の上限に到達したか否かを判定する(S306)。一般的に、蓄電池を安全に運用する観点から、例えば満充電の90%までといった容量の上限が設定される。本実施形態でも、充電には容量の上限が設定されており、電池残量が上限に到達するまで充電を行うようにしている。そこで、充電制御部211は、S306において容量の上限に到達したと判定した場合は(S306;Yes)、充電終了指示を充電器に送信し(S307)、充電制御処理を終了する。
【0097】
一方、S306において容量の上限に到達していないと判定された場合は(S306;No)、設定した充電時間に到達したか否かを判定し(S308)、設定時間に到達していない場合には(S308;No)、処理はS301に戻り、運航センターシステム100から充電計画が再度取得される。充電制御部211は、設定時間に到達したと判定した場合には(S308;Yes)、充電終了指示を充電器に送信し(S307)、充電制御処理を終了する。
【0098】
このように、充電容量が上限に到達するか、充電時間が設定時間に到達するまで、充電制御部211は、運航センターシステム100および充電器との間で情報を送受信する。これによって、時々刻々と変化する自船の電池残量や、システム全体としての充電計画に応じて柔軟に充電制御を行うことが可能となる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態の運航支援システムは、ダイヤ情報管理部と、外乱推定部と、データ取得部と、ダイヤ情報、外乱情報、およびイベント情報を電池推進船の位置情報と対応付けて記憶するデータ記憶部と、イベント情報に基づいて、運航計画に対応する計画船速を補正した補正後計画船速を算出し、補正後計画船速で運航する位置に対応して記憶された外乱情報を読み出して、補正後計画船速に対応する出力を推奨出力として算出する出力算出部と、充電計画情報に基づいて電池推進船への充電電力を制御する充電制御部とを備える。
【0100】
これにより、本実施形態によれば、電池推進船を用いた水上交通システムにおいて、航路の状態、自船の状態、到着予定時刻における到着時の状態、および電力の需給状態等の制約条件を示すイベント情報や外乱情報に基づいて運航支援を行うことが可能となる。また、電力消費の効率化や発着場付近での待機時間の発生を防止することができるので、水上交通システム全体として、エネルギー効率の向上と安全な運航とを両立することが可能となる。
【0101】
なお、上記実施形態では、イベント情報として、航路上の障害物情報、発着場における発着情報および電力需給情報を用いたが、これに限られない。すなわち、電池推進船の運航や充電の制約条件となるイベントであれば、例えば気象や故障等、他の事象をイベント情報として用いてもよい。
【0102】
また、実施形態にかかる運航支援システムでは、中央管理システムとして運航センターシステム100を設ける構成としたが、これに限られない。すなわち、運航センターシステム100が備える機能の全部または一部を各船舶が備えることによって、エッジコンピューティングを用いた分散型のシステムとして運航支援システムを構成してもよい。
【0103】
あるいは、船舶システム200が備える機能のうち、船舶内に設置されている機器との物理的なインターフェイスを除いたものの全部または一部を運航センターシステム100が備えることによって、船舶システム200の処理負担を軽減するようにしてもよい。これにより、船内の電池に蓄えられた電力エネルギーの消費を軽減することが可能となる。
【0104】
また、発着場システム300が備える機能を運航センターシステム100が備えるようにして、発着場からはスマートフォンやタブレット等のモバイル情報端末を用いて運航センターシステム100にアクセスする構成としてもよい。これによって、発着場システム300を省略することも可能となり、運航支援システムの導入が容易となる。
【0105】
上記の実施形態では、河川や運河を航行する水上交通システムとして水上バスを想定したが、旅客船を前提とした交通システムに限らず、沿岸部で定期運航を行う貨物船であってもよい。旅客船と貨物船が混在した運航ダイヤが設定されていてもかまわない。
【0106】
また、災害時には、船舶が電源基地となることを想定した水上交通システムとして運航ダイヤの設定や電池残量の管理が行われてもよい。この場合は、船舶が備える充電器インターフェイスや発着場が備える充電器は、船舶からの放電を可能とする機能を備える。
【0107】
また、図1のシステム構成図では、充電器CA,CB,CCが電力系統に接続されていたがこれに限らず、充電器が、電力系統から独立した電源を利用するように構成されてもよい。例えば、充電器CA,CB,CCは、共通の電力系統に接続されるのではなく、一部または全部の充電器が当該電力系統から独立した個別の発電設備(太陽光発電設備等)、蓄電設備、他社の電力系統等、異なる電源系統に接続され、当該異なる電源系統から電力を供給されてもよい。この場合において、電力需給情報は電源毎に管理してもよいし、充電器に接続された電源系統全体として管理してもよい。
【0108】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせて実施することも可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
100…運航センターシステム、101…データ通信部、102…データ取得部、103…データ記憶部、104…画面生成部、105…表示部、106…入力部、107…ダイヤ情報管理部、109…充電計画部、200…船舶システム、201…データ通信部、202…データ取得部、203…データ記憶部、204…画面生成部、205…表示部、206…データ収集部、208…舵角・出力制御部、209…外乱推定部、210…障害物検知部、211…充電制御部、300…発着場システム、301…データ通信部、302…データ取得部、303…データ記憶部、304…画面生成部、305…表示部、306…入力部、400…通信ネットワーク、500…電力会社システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13