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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】制御信号復号器及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/06 20060101AFI20220119BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220119BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20220119BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H04L1/06 180
H04L27/26 100
H04J99/00
H04B7/06 890
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017113059
(22)【出願日】2017-06-08
(65)【公開番号】P2017225117
(43)【公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2016115939
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進
(72)【発明者】
【氏名】村山 研一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-080037(JP,A)
【文献】特開2009-303086(JP,A)
【文献】特開2006-166382(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176458(WO,A1)
【文献】梅田 周作 他,QAM信号を一次変調に用いた差動時空間符号化方式の検討,電子情報通信学会技術研究報告 ,2013年11月13日,vo.113,No.301,pp.147-152
【文献】地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 ,ARIB STD-B31 ,第2.2版,2014年03月18日,pp.63,64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/06
H04L 27/26
H04J 99/00
H04B 7/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM信号を受信する受信装置にて符号化信号として差動時空間符号化処理が施された制御信号を復号する制御信号復号器であって、
前記OFDM信号から前記差動時空間符号化処理が施された制御信号のキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、
当該抽出した制御信号のキャリアのシンボルを基に、前記差動時空間符号化処理に対応する差動時空間復号処理を施す差動時空間復号処理手段と、を備え
前記差動時空間復号処理手段は、前記差動時空間符号化処理による異なる2系統の符号化信号をそれぞれ復号し、
前記差動時空間復号処理手段によって復号した異なる2系統の符号化信号をダイバーシティ合成する合成手段を更に備えることを特徴とする制御信号復号器。
【請求項2】
前記差動時空間復号処理手段は、伝送路推定を不要とする当該差動時空間符号化処理に対応する復号処理を施すことを特徴とする、請求項に記載の制御信号復号器。
【請求項3】
前記キャリア抽出手段によって抽出した制御信号の複数のキャリアを加算するキャリア加算手段、又は該複数のキャリアに対応する前記差動時空間復号処理後の信号について対数尤度比を基に加算するLLR加算手段を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御信号復号器。
【請求項4】
請求項からのいずれか一項に記載の制御信号復号器と、
前記制御信号復号器によって復号した当該制御信号に格納される伝送制御情報を基に、データ信号の復調及び復号処理を行うデータ信号処理手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
前記伝送制御情報は、OFDMフレームを構成するための階層情報、データ信号のキャリア情報、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含み、
前記データ信号処理手段は、前記識別情報を基に当該伝送方式を識別し、データ信号の復調及び復号処理を行うことを特徴とする、請求項に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式の次世代地上デジタル放送の技術に関し、特に、次世代地上デジタル放送における制御信号符号化器、制御信号復号器、送信装置及び受信装置、送信システム、並びに送信方法及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の地上デジタル放送(ISDB-T:Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)は、伝送パラメータの異なる複数の階層のデータ信号を同時に伝送する階層伝送が可能である。各階層の変調方式等のパラメータに関する伝送制御情報は、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号によって伝送される。
【0003】
TMCC信号は、マルチパスによる伝送路特性の周期的なディップの影響を軽減するために、周波数(キャリア)方向にランダムに配置され、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)におけるMODE3では1セグメント当たり4本のキャリアがTMCC信号として割り当てられている。
【0004】
現在の地上デジタル放送(ISDB-T)ではTMCC信号の受信耐性を強めるために、TMCC信号のキャリア振幅値をデータ信号のキャリア振幅値の4/3倍としている。変調方式にはDBPSKを採用することで伝送路情報不要で容易に復号することができる。また誤り訂正符号には差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(184,102)が用いられている。
【0005】
また、TMCC信号は送信側から複数のキャリアで伝送されるため、受信側では、複数のキャリアで伝送されるTMCC信号をアナログ加算することで所要C/Nを下げ、受信性能を向上させることができる。
【0006】
現在の地上デジタル放送(ISDB-T)では上記の様な誤り訂正符号や加算技術により、TMCC信号はデータ信号よりも小さな所要C/Nで受信可能となっている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
一方、次世代地上デジタル放送の伝送方式としては、1つの送信アンテナ及び1つの受信アンテナを用いてデータ信号の伝送を行うSISO(Single Input Single Output)伝送方式だけでなく、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いてデータ信号の伝送を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送方式や、複数の送信アンテナ及び1つの受信アンテナを用いてデータ信号の伝送を行うMISO(Multiple Input Single Output)方式の利用形態が検討されている。
【0008】
特に、異なる2つの偏波(例えば水平、垂直)によりデータ信号の伝送を行う偏波MIMO伝送方式が知られている(例えば、非特許文献2参照)。偏波MIMO伝送方式は、送信側と受信側の双方で、異なる2つの偏波(例えば水平、垂直)の信号を分離可能とするアンテナを使用し、当該異なる2つの偏波を同時に使用してデータ信号の伝送を行う伝送システムであり、当該異なる2つの偏波の信号について同一周波数帯域を使用できるため、周波数利用効率として優れたものとなる。
【0009】
そして、次世代地上デジタル放送の伝送方式では、強力な誤り訂正符号であるLDPC符号とBCH符号との連接符号の使用が検討されており、送信ダイバーシティ方式(MIMO,MISO)により、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)よりも受信耐性の向上が見込まれている。
【0010】
また、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)では、同期変調によるデータ信号のシンボルの復調基準信号としてSP(Scattered Pilot)シンボルが予め定められた配置パターンでOFDMフレームに挿入され、このSPシンボルの配置パターンに関してTMCC信号を用いて伝送する仕組みとはなっていないが、次世代地上デジタル放送では当該SPシンボルの配置パターンを可変とし、TMCC信号を用いて伝送することが検討されている。
【0011】
尚、MIMO伝送方式には、複数の送信アンテナへ別々のデータ信号を割り当てて送信することで伝送容量を拡大する空間多重(SDM:Space Division Multiplexing)による伝送形式と、複数の送信アンテナから異なる符号化を施した同じデータ信号を送信することで伝送耐性を向上させる時空間符号化(STC:Space-Time Coding)による伝送形式がある。
【0012】
また、単一周波数ネットワーク(SFN:Single Frequency Network)により放送ネットワークを構築する際に、2つの送信所間で受信側へ向けて同じデータ信号を送信するときSTCを利用するSTC-SFN技術も知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【0013】
ところで、MIMO方式において、伝送符号化を施すことなく単に複数の送信アンテナから所定の変調方式で変調したデータ信号やDBPSKにより変調したTMCC信号を送信すると、実質的に1本の送信アンテナで送信することと同じになってしまう。そこで、複数の送信アンテナから送信するデータ信号やTMCC信号について受信側で復調・復号が容易な伝送符号化を施すことで、MIMOによるダイバーシティ効果を得ることができる。
【0014】
そこで、MIMO方式において、この伝送符号化として時空間符号化(STC)を利用し、送信側から複数の送信アンテナより直交変調した符号化信号を送信することにより、受信側では当該直交変調した符号化信号を推定し合成することで受信耐性を向上させることが可能となるが、受信側ではSPシンボルの配置パターンなどの既知系列を用いた伝送路推定が必要となる。
【0015】
そこで、複数の送信アンテナからデータ信号を送信する際に、伝送路推定を不要とする差動時空間符号化方式(以下、「差動STC(Differential Space Time coding)」と称する)が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【文献】“地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 標準規格 ARIB STD-B31 2.2版”、[online]、平成26年3月18日改定、一般社団法人 電波産業会(ARIB)、[平成28年6月2日検索]、インターネット〈URL:http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B31v2_2.pdf〉
【文献】村山研一、「スーパーハイビジョン放送に向けた次世代地上大容量伝送技術」、NHK技研R&D、No.134、2012.7
【文献】蔀拓也、「次世代地上デジタル放送に向けた伝送技術~STC-SDM伝送用パイロットパターンの検討~」、映情技報、vol.36, no.42, BCT2012-93, 2012, p.33-36
【文献】梅田周作、「QAM信号を一次変調に用いた差動時空間符号化方式の検討」、信学技報、RCS2013-199、2013.11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
将来的に、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)が次世代地上デジタル放送に入れ替わることが予想される。次世代地上デジタル放送の伝送方式としては偏波MIMO伝送方式を含んだ検討が進んでいる。そして、上述したように、次世代地上デジタル放送では、強力な誤り訂正符号であるLDPC符号とBCH符号との連接符号の使用が検討されており、送信ダイバーシティ方式(MIMO,MISO)により受信耐性の向上が見込まれている。このため、次世代地上デジタル放送では、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)よりも大きな受信特性の改善が期待でき、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)よりも小さな所要C/Nでのデータ信号の受信となることが想定される。
【0018】
一方で、TMCC信号は、データ伝送より強い受信耐性を持つ必要があり、データ信号の伝送特性の所要C/Nが小さくなるのに伴い、TMCC信号の伝送特性は、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとすることが必要となる。
【0019】
特に、移動受信時のC/N劣化量は、符号長の長いデータ伝送の方が小さいため、TMCC信号とデータ信号との伝送特性差(所要C/N差)が小さくなってしまい、データ信号の伝送性能を十分に発揮できないおそれがある。このため、特に移動受信時には、TMCC信号の受信特性の改善が要望される。
【0020】
ところで、上述したように、MIMO方式において、伝送符号化を利用することなく単に複数の送信アンテナから所定の変調方式で変調したデータ信号やDBPSKにより変調したTMCC信号を送信するよりも、複数の送信アンテナから送信するデータ信号やTMCC信号について受信側で復調・復号が容易な伝送符号化を施すことで、MIMOによるダイバーシティ効果を得ることができる。
【0021】
そこで、次世代地上デジタル放送では、MIMOやMISOなどの複数の送信アンテナからデータ信号を送信する送信ダイバーシティ方式において、データ信号の伝送については、その伝送符号化形式としてAlamoutiにより提案されているSTCの伝送符号化形式を用いることが検討されている。
【0022】
この場合、受信側でデータ信号に関する当該直交変調した符号化信号を推定するために、SPシンボルの配置パターンなどの既知系列を用いた伝送路推定が必要となる。
【0023】
そして、次世代地上デジタル放送では、当該SPシンボルの配置パターンを可変とし、TMCC信号内の伝送制御情報に記述して伝送することが検討されており、データ信号の復調・復号時には、TMCC信号をまず復調・復号した後、データ信号に関するSPシンボルの配置パターンなどの既知系列を用いた伝送路推定を行うことになる。
【0024】
しかしながら、TMCC信号の復調・復号時には、データ信号に関するSPシンボルの配置パターンを把握することができないため、結果的に伝送路推定を行うことができないことから、データ信号の伝送と同じようにその伝送符号化形式としてSTCを利用することができない。
【0025】
また、仮に、非特許文献4に開示される技法を基にデータ信号の伝送に対して、その伝送符号化形式として伝送路推定を不要とする差動STCを利用したとしても、TMCC信号の伝送に係る伝送符号化形式については、上述したようにデータ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとすることができない場合も生じうるため、更なる工夫が必要となる。
【0026】
更に、次世代地上デジタル放送では、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させる必要があることから、これら伝送方式の識別情報がTMCC信号内の伝送制御情報に記述することが検討されている。
【0027】
この場合、利用する伝送方式の識別情報を伝送制御情報に記述して、対応する伝送方式ごとにTMCC信号の伝送符号化形式を変更することも可能であるが、次世代地上デジタル放送のインフラ基盤として課題が増大しうることから、少なくともSISO、MISO、及びMIMOの伝送方式におけるTMCC信号の伝送に関して互換性を保つ工夫が要望される。
【0028】
また、SFNにより放送ネットワークを構築する際に、現在の地上デジタル放送(ISDB-T)では、2つの送信所(第1送信所、第2送信所)から同じデータ信号を送信するため、受信側で2つの送信所からのデータ信号を重畳して受信されることもあり、この場合、逆相合成によりそのデータ信号の振幅が落ち込んだキャリアが生じて受信性能が劣化することが想定される。そこで、STC-SFN技術のように2つの送信所から送信する同一のデータ信号に対しSTCを利用することで、この問題を緩和させることができる。しかしながら、上述したように、TMCC信号の伝送に係る伝送符号化形式については、上述と同じ理由で、データ信号の伝送と同じようにその伝送符号化形式としてSTCを利用することができないし、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとすることができない場合も生じうる。
【0029】
これらの問題は、伝送制御情報を示すTMCC信号の場合に限らず、データ信号の伝送に係る付加情報を示すAC(Auxiliary Channel)信号の場合も同様である。
【0030】
従って、次世代地上デジタル放送におけるTMCC信号又はAC信号の制御信号について、少なくともSISO、MISO、及びMIMOの伝送方式、並びに、SFNによる放送ネットワークを考慮して、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとなる制御信号の伝送技法が望まれる。
【0031】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとなる制御信号の伝送を可能とする、次世代地上デジタル放送における制御信号符号化器、制御信号復号器、送信装置及び受信装置、送信システム、並びに送信方法及び受信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0036】
更に、本発明の制御信号復号器は、OFDM信号を受信する受信装置にて符号化信号として差動時空間符号化処理が施された制御信号を復号する制御信号復号器であって、前記OFDM信号から前記差動時空間符号化処理が施された制御信号のキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、当該抽出した制御信号のキャリアのシンボルを基に、前記差動時空間符号化処理に対応する差動時空間復号処理を施す差動時空間復号処理手段と、を備え、前記差動時空間復号処理手段は、前記差動時空間符号化処理による異なる2系統の符号化信号をそれぞれ復号し、前記差動時空間復号処理手段によって復号した異なる2系統の符号化信号をダイバーシティ合成する合成手段を更に備えることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の制御信号復号器において、前記差動時空間復号処理手段は、伝送路推定を不要とする当該差動時空間符号化処理に対応する復号処理を施すことを特徴とする。
【0039】
また、本発明の制御信号復号器において、前記キャリア抽出手段によって抽出した制御信号の複数のキャリアを加算するキャリア加算手段、又は該複数のキャリアに対応する前記差動時空間復号処理後の信号について対数尤度比を基に加算するLLR加算手段を更に備えることを特徴とする。
【0041】
更に、本発明の受信装置は、本発明の制御信号復号器と、前記制御信号復号器によって復号した当該制御信号に格納される伝送制御情報を基に、データ信号の復調及び復号処理を行うデータ信号処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0042】
また、本発明の受信装置において、前記伝送制御情報は、OFDMフレームを構成するための階層情報、データ信号のキャリア情報、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含み、前記データ信号処理手段は、前記識別情報を基に当該伝送方式を識別し、データ信号の復調及び復号処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、次世代地上デジタル放送におけるTMCC信号又はAC信号の制御信号について、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとなる制御信号の伝送が可能となる。
【0047】
特に、本発明によれば、少なくともSISO、MISO、及びMIMOの伝送方式で、互換性の有る符号化伝送形式でTMCC信号を伝送することが可能となる。
【0048】
そして、本発明によれば、次世代地上デジタル放送におけるSISO伝送方式において、時空間符号化(STC)を利用しない現在の地上デジタル放送におけるTMCC信号の受信特性と比較して、その受信特性が劣化することはなく、受信アンテナが1本のMISO伝送方式においても、時空間符号化(STC)を利用してTMCC信号を伝送するため、各種の伝送方式とのTMCC信号に関する互換性を維持できる。
【0049】
特に、本発明によれば、次世代地上デジタル放送におけるMIMO伝送方式において、各受信アンテナ経由でキャリア抽出したTMCC信号をアナログ加算して合成することにより、TMCC信号の受信耐性を向上させることができる。
【0050】
そして、次世代地上デジタル放送におけるMIMO伝送方式においては、送信ダイバーシティ効果が期待できるため、移動受信時やマルチパス環境でのTMCC信号及びデータ信号の受信特性の改善が可能となる。
【0051】
即ち、次世代地上デジタル放送におけるMIMO伝送方式においては、送信側で伝送路推定が不要な差動STCを用いてTMCC信号を送信し、受信側で複数の受信アンテナを用いてTMCC信号の受信時に伝送路推定を不要としつつ復調し合成することで、優れた送信ダイバーシティ効果を得ることができる。
【0052】
また、本発明によれば、SFNによる放送ネットワークにも、差動STCとした符号化形式を用いてTMCC信号を伝送することができ、特に、SFNを構築する2局の放送所では、同一偏波間で別々のTMCC信号の伝送を行うこともできるため、逆相合成による影響を回避できダイバーシティ受信効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明による第1実施形態の伝送システムにおける送信装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明による第1実施形態の伝送システムにおける一実施例の制御信号符号化器の差動STC符号化部周辺のブロック図である。
図3】本発明による第1実施形態の伝送システムにおける受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】本発明による第1実施形態の伝送システムにおける一実施例の制御信号復号器の差動STC復号部周辺のブロック図である。
図5】本発明による第2実施形態の伝送システムにおける送信装置の概略構成を示すブロック図である。
図6】本発明による第2実施形態の伝送システムにおける受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図7】(a),(b)は、それぞれ本発明による第3実施形態の伝送システムにおける送信装置の概略構成を示すブロック図である。
図8】(a),(b)は、それぞれ本発明による第4実施形態の伝送システムにおける送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の伝送システムについて、詳細に説明する。
【0055】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による第1実施形態の伝送システムにおける送信装置10Aの概略構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明による第1実施形態の伝送システムにおける一実施例の制御信号符号化器15の差動STC符号化部153周辺のブロック図である。
【0056】
(送信装置)
図1に示す送信装置10Aは、MISO,MIMOの伝送方式に利用可能な次世代地上デジタル放送における送信装置の概略構成を図示しているが、以下の説明では、主として偏波MIMO伝送方式を例に説明する。
【0057】
送信装置10Aは、誤り訂正符号化部11、キャリア変調部12、STC符号化部13、制御信号生成部14、制御信号符号化器15、OFDMフレーム構成部16a,16b、逆フーリエ変換(IFFT)部17a,17b、及びガードインターバル(GI)付加部18a,18bを備える。
【0058】
誤り訂正符号化部11は、映像・音声等のデジタル形式のデータを入力し、LDPC符号及びBCH符号の連接符号を施して、キャリア変調部12に出力する。尚、誤り訂正符号化部11による誤り訂正符号化処理として、本例では、LDPC符号及びBCH符号を想定して説明するが、他の誤り訂正符号でもよい。
【0059】
キャリア変調部12は、誤り訂正符号化されたデータに対し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や64QAM(quadrature amplitude modulation)等のキャリア変調を施し、STC符号化部13に出力する。
【0060】
STC符号化部13は、キャリア変調後のデータ信号(データシンボル)に対し、Alamoutiにより提案されているようなブロック符号による時空間符号化(STC)処理を施し、STCにより符号化した同じデータ信号をOFDMフレーム構成部16a,16bへそれぞれ出力する。尚、本例では、データ信号の伝送にSTCによる伝送符号化処理を用いる例を説明するが、SDM(Space Division Multiplexing)のような伝送符号化処理を用いてもよい。
【0061】
制御信号生成部14は、TMCC信号を生成する機能部であり、生成したTMCC信号を制御信号符号化器15に出力する。
【0062】
TMCC信号には伝送制御情報が格納される。本例の伝送制御情報には、OFDMフレームを構成するための階層情報、キャリア変調部12に係るデータ信号のキャリア情報(SP情報や変調方式情報)、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含む。尚、次世代地上デジタル放送では、振幅・位相変調方式として多種類のキャリア変調を想定しているため、SPシンボルの配置パターンを可変とする。このため、SP情報は、当該可変とするSPシンボルの配置パターンの情報を示し、復号制御情報は、誤り訂正符号化部11による誤り訂正符号化処理に対応する符号化率情報やLLR情報を含む。
【0063】
尚、図示を省略するが、AC信号を生成及び伝送のための制御信号生成部14及び制御信号符号化器15も、TMCC信号を生成及び伝送のための制御信号生成部14及び制御信号符号化器15と同様に並設される。尚、AC信号は、データ信号の伝送に係る付加情報が格納される点でTMCC信号とは異なるが、基本的なデータ構成及びシンボル数は同じであり、TMCC信号及びAC信号のそれぞれの生成及び伝送に関して、同様な処理構成の制御信号符号化器15とすることができる。
【0064】
制御信号符号化器15は、制御信号符号化器15は、誤り訂正符号化部151、キャリア変調部152、及び差動STC符号化部153を備える。
【0065】
誤り訂正符号化部151は、制御信号生成部14によって生成されたTMCC信号に対し、差集合巡回符号化処理による誤り訂正符号化処理を施し、キャリア変調部152へ出力する。尚、本例では、TMCC信号の誤り訂正符号化処理に差集合巡回符号化処理を用いる例を説明するが、LDPC符号やBCH符号、或いは2以上の誤り訂正符号化処理による連接符号とするなど、他の誤り訂正符号化処理としてもよい。
【0066】
キャリア変調部152は、誤り訂正符号化処理を施したTMCC信号に対し、DBPSKなどのキャリア変調を施し、差動STC符号化部153へ出力する。
【0067】
差動STC符号化部153は、キャリア変調を施したTMCC信号に対し、伝送路推定を不要とする差動時空間符号化(差動STC)処理を施し、後述するように異なる2系統(図示15a,15b)の符号化信号を生成して、OFDMフレーム構成部16a,16bへそれぞれ出力する。
【0068】
OFDMフレーム構成部16a,16b、逆フーリエ変換(IFFT)部17a,17b、及びガードインターバル(GI)付加部18a,18bは、それぞれ第1送信アンテナTx1を介してOFDMフレームの信号(OFDM信号)を送信する第1信号系統、及び第2送信アンテナTx2を介してOFDMフレームの信号(OFDM信号)を送信する第2信号系統として構成される。実際の送信装置10Aには、信号系統ごとにインターリーブ等の処理も含まれるが、ここでは割愛している。
【0069】
OFDMフレーム構成部16a,16bは、それぞれSPシンボルや差動STCが施されたTMCC信号のシンボルとともに、データ信号のシンボルについて、第1信号系統及び第2信号系統用にOFDMフレームを構成し、逆フーリエ変換(IFFT)部17a,17bにそれぞれ出力する。ここではデータが1階層の例を示しているが、階層伝送を行う場合、同様の処理が階層数分行われる。
【0070】
逆フーリエ変換(IFFT)部17a,17bは、それぞれ第1信号系統及び第2信号系統用のOFDMフレームの信号に対し、それぞれ逆フーリエ変換処理を施してOFDM変調処理を行い、ガードインターバル(GI)付加部18a,18bへそれぞれ出力する。
【0071】
ガードインターバル(GI)付加部18a,18bは、それぞれ第1信号系統及び第2信号系統用の逆フーリエ変換処理を施したOFDMフレームの信号に対し、それぞれガードインターバルを付加してOFDM信号を生成し、それぞれ第1送信アンテナTx1、及び第2送信アンテナTx2を介して外部に送信する。偏波MIMO伝送方式では、異なる2つの偏波(例えば水平、垂直)によりデータ信号の伝送を行うことができ、例えば第1送信アンテナTx1には水平偏波、2送信アンテナTx2には垂直偏波を用いて、それぞれの信号系統のOFDM信号を送信することができる。
【0072】
(制御信号符号化器)
制御信号符号化器15は、上述したように、誤り訂正符号化部151、キャリア変調部152、及び差動STC符号化部153を備え、誤り訂正符号化部151は、制御信号生成部14によって生成されたTMCC信号に対し、差集合巡回符号化処理による誤り訂正符号化処理を施し、キャリア変調部152は、キャリア変調を施して差動STC符号化部153に出力する。
【0073】
ここで、図2を参照しながら、制御信号符号化器15における差動STC符号化部153による伝送符号化処理として、伝送路推定を不要とする差動時空間符号化(差動STC)処理についてより詳細に説明する。
【0074】
図2は、本発明による第1実施形態の伝送システムにおける一実施例の制御信号符号化器15の差動STC符号化部153周辺のブロック図である。差動STC符号化部153は、差動シンボル生成部1531、遅延部1532、及びSTC符号化部1533からなる。また、式(1)は、伝送路推定を不要とする差動時空間符号化(差動STC)の符号化処理による変換行列を示している。
【0075】
【数1】
【0076】
ただし、Si,kはキャリア変調部152によってキャリア変調が施されたTMCC信号のシンボル(原シンボル)を表し、Ui,kは差動シンボルを示す。また、添え字のiは処理対象のブロック番号、添え字のkは2種類の信号を示し、* は複素共役を表す。差動STC符号化部153は、式(1)より、第iブロックの差動シンボルのブロックに対して、第i-1ブロックの差動シンボルのブロックを用いて差動符号化を行う。処理対象となる各ブロックを( )で表すと、キャリア変調部152によってキャリア変調が施されたTMCC信号の2つのシンボル(Si,1i,2)毎に、差動シンボル生成部1531により、式(1)に基づいて、1つの差動シンボルのブロック(Ui,1i,2)に変換される。即ち、1つの差動シンボルのブロック(Ui,1i,2)は、2つの原シンボル間にわたって生成される。
【0077】
ここで、(Ui-1,1i-1,2)は、遅延部1532によって遅延させた1つ前の差動シンボルのブロックを示している。従って、差動シンボルのブロック(Ui,1i,2)は、TMCC信号の連続する2つ分のシンボルおきに生成されて、1つのSTC符号化された伝送符号信号となる。
【0078】
差動シンボル生成部1531により生成された差動シンボルのブロック(Ui,1i,2)は、STC符号化部1533により、STCによる符号化処理が施され、異なる2系統の符号化信号(Ui,1i,2)及び(-U i,2 i,1)として生成される。この異なる2系統の符号化信号の生成に関する更なる詳細は、非特許文献4を参照されたい。
【0079】
このようにして、差動STC符号化部153は、異なる2系統(図示15a,15b)のTMCC信号に関する符号化信号を生成して、OFDMフレーム構成部16a,16bへそれぞれ出力する。
【0080】
従って、TMCC信号が異なる2系統の符号化信号として、第1信号系統及び第2信号系統用のOFDMフレームを構成するのにそれぞれ用いられるため、送信ダイバーシティ効果が見込まれ、受信側における受信耐性の向上が可能となる。
【0081】
(受信装置)
次に、図3を参照して受信装置20Aについて説明する。図3は、本発明による第1実施形態の伝送システムにおける受信装置20Aの概略構成を示すブロック図である。
【0082】
図3に示す受信装置20Aは、MIMOの伝送方式に利用可能な次世代地上デジタル放送における受信装置の概略構成を図示しており、受信アンテナを2本としたMIMOを想定した場合である。ここでは、特に、受信装置20Aは、図1に示す送信装置10Aの2本の送信アンテナ(第1送信アンテナTx1及び第2送信アンテナTx2)から送信される異なる2偏波(水平偏波、垂直偏波)のOFDM信号を受信する偏波MIMO伝送方式を例に説明する。尚、受信アンテナを1本としてMISO伝送方式の受信装置として構成することもできる。MISO伝送方式は、図3に示す2本の受信アンテナ(第1受信アンテナRx1及び第2受信アンテナRx2)のうち、いずれか一方のみの信号系統を構成することでも実現可能である。
【0083】
受信装置20Aは、ガードインターバル(GI)除去部21a,21b、フーリエ変換(FFT)部22a,22b、データ信号キャリア抽出部23、伝送路推定部24、STC復号部25、誤り訂正復号部26、及び制御信号復号器27を備える。
【0084】
ガードインターバル(GI)除去部21a,21bは、2本の受信アンテナ(第1受信アンテナRx1及び第2受信アンテナRx2)によってそれぞれ個別に受信した異なる2偏波(水平偏波、垂直偏波)のOFDM信号について、それぞれガードインターバルを除去してフーリエ変換(FFT)部22a,22bに出力する。ガードインターバル(GI)除去部21a,21b及びフーリエ変換(FFT)部22a,22bは、それぞれ第1受信アンテナRx1を介して受信したOFDM信号を処理する第1信号系統、及び第2受信アンテナRx2を介して受信したOFDM信号を処理する第2信号系統として構成される。
【0085】
フーリエ変換(FFT)部22a,22bは、それぞれガードインターバルを除去した第1信号系統及び第2信号系統のOFDM信号に対し、それぞれフーリエ変換処理を施してOFDM復調処理を行い、データ信号キャリア抽出部23及び制御信号復号器27に出力する。
【0086】
ここで、データ信号のキャリア復調・復号処理に先立って、制御信号復号器27により、TMCC信号のキャリア復調・復号処理を行う。
【0087】
上述したように、TMCC信号には伝送制御情報が格納され、OFDMフレームを構成するための階層情報、キャリア変調部12に係るデータ信号のキャリア情報(SP情報や変調方式情報)、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含む。そして、SP情報は、可変とするSPシンボルの配置パターンの情報を示す。
【0088】
尚、図示を省略するが、AC信号を復調・復号処理する場合には、そのための制御信号復号器27も、TMCC信号を復調・復号処理するための制御信号復号器27と同様に並設される。尚、AC信号は、データ信号の伝送に係る付加情報が格納される点でTMCC信号とは異なるが、基本的なデータ構成及びシンボル数は同じであり、TMCC信号及びAC信号のそれぞれの復調・復号に関して、同様な処理構成の制御信号復号器27とすることができる。
【0089】
制御信号復号器27は、制御信号キャリア抽出部271a,271b、差動STC復号部272a,272b、合成部273、及び誤り訂正復号部274を備える。
【0090】
制御信号キャリア抽出部271a,271bは、送信側の変調処理(本例ではDBPSK)に対応して制御信号のキャリアを抽出する機能部であり、前述したフーリエ変換(FFT)部22a,22bによって、それぞれフーリエ変換処理を施した第1信号系統及び第2信号系統のOFDM信号に対し、それぞれTMCC信号のキャリアを抽出し、得られるTMCC信号のシンボルについて差動STCの符号化処理が施された符号化信号を、差動STC復号部272a,272bに出力する。
【0091】
即ち、第1信号系統及び第2信号系統のOFDM信号には、2つの信号系統のデータ信号のSTC符号化による符号化信号と、当該2つの信号系統のTMCC信号の差動STC符号化による符号化信号が搬送されているため、制御信号キャリア抽出部271a,271bは、それぞれの信号系統(図示27a,27b)のTMCC信号のキャリアを抽出して復調し、得られる符号化信号を差動STC復号部272a,272bへそれぞれ出力する。
【0092】
TMCC信号のシンボルについて差動STCの符号化処理が施された符号化信号は、送信側の差動STC符号化部153によって、2シンボル毎のブロックとなっている。このため、差動STC復号部272a,272bは、制御信号キャリア抽出部271a,271bによりそれぞれの信号系統で抽出されたTMCC信号に関する符号化信号について、このブロック単位で差動STCの復号処理を行う。
【0093】
ここで、図4を参照しながら、差動STC復号部272a,272bによる差動STCの復号処理を説明する。図4は、本発明による第1実施形態の伝送システムにおける一実施例の制御信号復号器27の差動STC復号部272a,272b周辺のブロック図である。また、式(2)は、伝送路推定を不要とする差動時空間符号化(差動STC)の復号処理による変換行列を示している。
【0094】
【数2】
【0095】
まず、差動STC復号部272aには、制御信号キャリア抽出部271aから、受信アンテナRx1経由の第1信号系統(図示27a)の制御信号シンボル(より正確には、TMCC信号のシンボルについて差動STCの符号化処理が施された符号化信号)が入力される。同時に、差動STC復号部272bには、制御信号キャリア抽出部271bから、受信アンテナRx2経由の第2信号系統(図示27b)の制御信号シンボル(より正確には、TMCC信号のシンボルについて差動STCの符号化処理が施された符号化信号)が入力される。
【0096】
差動STC復号部272a,272bは、それぞれ同一の構成要素からなり、差動STC復号部272aは、STC復号部2721a及び遅延部2722aを備える。また、差動STC復号部272bは、STC復号部2721b及び遅延部2722bを備える。
【0097】
遅延部2722a,2722bは、それぞれ1ブロック前のTMCC信号の符号化信号を一時記憶し、処理対象のブロック(現ブロック)に対し1ブロック分遅延させる遅延バッファとして構成される。
【0098】
STC復号部2721a,2722bは、それぞれ対応する遅延部2722a,2722bから得られる直前ブロックと、制御信号キャリア抽出部271a,271bからそれぞれ得られる現ブロックの2ブロックにわたってTMCC信号の符号化信号を用いてSTCの復号処理を行う。
【0099】
より具体的には、STC復号部2721aに入力される現ブロックの符号化信号を(ri,1i,2)、同じくSTC復号部2721aに入力されるその直前ブロックの符号化信号を(ri-1,1i-1,2)とすると、STC復号部2721aにより式(2)の変換行列を用いて差動STCの復号処理を行うことで、送信側から送信されたそれぞれのTMCC信号のシンボル(式(1)の(Si,1i,2))に対応する復元シンボル(S’i,1 S’i,2)を得ることができる。
【0100】
STC復号部2721bも、STC復号部2721aと同様に処理される。尚、この異なる2系統の符号化信号の復号に関する更なる詳細は、非特許文献4を参照されたい。
【0101】
このため、差動STC復号部272a,272bの各々は、現ブロックの異なる2系統の符号化信号(ri,1i,2)を基に、それぞれ送信側から送信されたそれぞれのTMCC信号のシンボル(式(1)の(Si,1i,2))に対応する復元シンボル(S’i,1 S’i,2)を生成し、即ち4シンボル分のTMCC信号のシンボルを得て合成部273へ出力する。
【0102】
合成部273は、差動STC復号部272a,272bの各々から得られる復元シンボル(S’i,1 S’i,2)を合成し、送信側から送信されたそれぞれのTMCC信号のシンボル(式(1)の(Si,1i,2))を復元してキャリア復調し、誤り訂正復号部274へ出力する。このように、TMCC信号の受信に関して、伝送路推定を不要としつつ、MIMO伝送方式に基づくダイバーシティ効果を得ることができる。
【0103】
尚、図示を省略しているが、TMCC信号は複数のキャリアで同じ情報を伝送しているため、受信側の制御信号復号器27では、キャリア加算やLLR加算による受信特性の向上が可能である。例えば、図3に示す例では、制御信号キャリア抽出部271a,271bにより、TMCC信号のキャリア抽出後の信号をキャリア加算する形態とすることができる。或いは、差動STC復号部272a,272bにより、その差動STC復号処理後に対数尤度比を基に加算するLLR加算を行う形態とすることもできる。これは、MIMO伝送方式に限らず、SISO、MISO伝送方式の場合も同様である。
【0104】
誤り訂正復号部274は、合成部273から得られるTMCC信号に対し、送信側の誤り訂正符号化部151の誤り訂正符号化処理に対応する誤り訂正復号処理を施し、送信側の制御信号生成部14によって生成されたTMCC信号を復元し、このTMCC信号に格納されている伝送制御情報を基に、以下に説明するデータ信号キャリア抽出部23以降のデータ信号の復調・復号処理を実行させる。
【0105】
図3を参照するに、データ信号キャリア抽出部23は、第1データ信号キャリア抽出部23a及び第2データキャリア抽出部23bを備えている。
【0106】
第1データ信号キャリア抽出部23aは、TMCC信号の復号処理によって得られる伝送制御情報(SP情報及び変調方情報)を基に、第1受信アンテナRx1経由で得られる第1信号系統のデータ信号のキャリアを抽出し、伝送路推定部24へ出力する。
【0107】
第2データ信号キャリア抽出部23bは、TMCC信号の復号処理によって得られる伝送制御情報(SP情報及び変調方情報)を基に、第2受信アンテナRx2経由で得られる第2信号系統のデータ信号のキャリアを抽出し、伝送路推定部24へ出力する。
【0108】
伝送路推定部24は、データ信号キャリア抽出部23から得られる各信号系統のデータ信号のキャリアについて、TMCC信号の復号処理によって得られる伝送制御情報(SP情報及び変調方式情報)を基に、伝送路推定処理を行い、双方のデータ信号のキャリアについて等化処理を施し、STC復号部25へ出力する。
【0109】
STC復号部25は、等化処理後の各信号系統のデータ信号のキャリアに対し、送信側のSTC符号化部13に対応するSTC復号処理を施して誤り訂正復号部26に出力する。
【0110】
誤り訂正復号部26は、TMCC信号の復号処理によって得られる伝送制御情報(復号制御情報)を基に、STC復号処理後のデータ信号に対し、送信側の誤り訂正符号化部11に対応する復号処理を施し、送信側から伝送されたデータを復元して外部に出力する。
【0111】
以上のように、第1実施形態の送信装置10A及び受信装置20A、並びに、制御信号符号化器15及び制御信号復号器27によれば、次世代地上デジタル放送での適用を想定したMIMO伝送方式、或いはMISO伝送方式を構築することができ、特に、TMCC信号又はAC信号の制御信号について、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとなる制御信号の伝送が可能となる。
【0112】
特に、MIMO伝送方式において、各受信アンテナ経由でキャリア抽出したTMCC信号をアナログ加算して合成することにより、TMCC信号の受信耐性を向上させることができる。このため、データ信号の受信時にも、その受信耐性を向上させたTMCC信号について復号した伝送制御情報から、データ信号のキャリア情報及び復号制御情報を取得できるため、SISO,MISO伝送方式よりも、優れた受信性能が実現できる。
【0113】
そして、MIMO伝送方式においては、送信ダイバーシティ効果が期待できるため、移動受信時やマルチパス環境でのTMCC信号及びデータ信号の受信特性の改善が可能となる。即ち、上述したように、送信側で伝送路推定が不要な差動STCを用いてTMCC信号を送信し、受信側で複数の受信アンテナを用いてTMCC信号の受信時に伝送路推定を不要としつつ復調し合成することで、優れた送信ダイバーシティ効果を得ることができる。
【0114】
〔第2実施形態〕
次に、図5及び図6を参照して、本発明による第2実施形態の伝送システムについて説明する。図5は、本発明による第2実施形態の伝送システムにおける送信装置10Bの概略構成を示すブロック図である。また、図6は、本発明による第2実施形態の伝送システムにおける受信装置20Bの概略構成を示すブロック図である。図5及び図6に示す第2実施形態の伝送システムは、1本の送信アンテナTxと1本の受信アンテナRxとしたSISOの伝送方式に利用可能な次世代地上デジタル放送における送信装置及び受信装置の概略構成を図示している。尚、第1実施形態と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0115】
(送信装置)
図5に示す送信装置10Bは、誤り訂正符号化部11、キャリア変調部12、制御信号生成部14、制御信号符号化器15、逆フーリエ変換(IFFT)部17、及びガードインターバル(GI)付加部18を備える。図5に示す送信装置10Bは、図1に示すMIMO(又はMISO)伝送方式の送信装置10Aと比較して、OFDMフレーム構成部16a,16bを設けていないことから、データ信号に関するSTC符号化部13も不要とし、逆フーリエ変換(IFFT)部17、及びガードインターバル(GI)付加部18を1つの信号系統としている点で相違しているが、送信装置10Bが備える各構成要素の動作は、図1に示すものと同様である。
【0116】
一方、送信装置10Bが備える制御信号符号化器15は、図1に示すMIMO(又はMISO)伝送方式の送信装置10Aと同様に、誤り訂正符号化部151、キャリア変調部152、及び差動STC符号化部153を備えるよう構成され、好適に同一の構成とすることができることから、MIMO、MISO、及びSISOの伝送方式で共通化させることができる。
【0117】
即ち、送信装置10Bが備える制御信号符号化器15は、SISO伝送方式では、差動STC符号化部153によって差動STCの符号化を施したTMCC信号に関する符号化信号の片系だけを伝送し(図示15a)、残りの系統は出力しない(図示15b)。
【0118】
特に、送信装置10Bが備える制御信号生成部14についても、制御信号生成部14が生成するTMCC信号に格納される伝送制御情報を、OFDMフレームを構成するための階層情報、キャリア変調部12に係るデータ信号のキャリア情報(SP情報や変調方式情報)、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含むよう構成することで、MIMO、MISO、及びSISOの伝送方式で互換性を持たせることができる。
【0119】
(受信装置)
図6に示す受信装置20Bは、ガードインターバル(GI)除去部21、フーリエ変換(FFT)部22、データ信号キャリア抽出部23、伝送路推定部24、誤り訂正復号部26、及び制御信号復号器27を備える。
【0120】
図6に示す受信装置20Bは、図3に示すMIMO伝送方式の受信装置20Aと比較して、ガードインターバル(GI)除去部21、フーリエ変換(FFT)部22、及びデータ信号キャリア抽出部23の1つの信号系統とし、図5に示す送信装置10Bがデータ信号に関するSTC符号化部13を不要としていることから、図3に示すようなSTC復号部25も不要としている点で相違しているが、受信装置20Bが備える各構成要素の動作は、図3に示すものと同様である。
【0121】
一方、受信装置20Bが備える制御信号復号器27は、制御信号キャリア抽出部271、差動STC復号部272(STC復号部2721及び遅延部2722)、及び誤り訂正復号部274を備え、それぞれ図3に示す制御信号キャリア抽出部271a、差動STC復号部272a、及び誤り訂正復号部274と同様に構成される。
【0122】
即ち、受信装置20Bが備える制御信号復号器27は、送信装置10Bによって片系だけを伝送された差動STCの符号化を施したTMCC信号に関する符号化信号を受信するよう構成される(図示27a)。
【0123】
従って、受信装置20Bが備える制御信号復号器27は、MIMO、MISO、及びSISOの伝送方式で共通化させることができる。
【0124】
以上のように、片系だけの伝送においては、送信ダイバーシティ効果は望めないが、STC符号化無しで伝送する場合と同等の受信特性は確保できる。この伝送システムにより、SISO、MISO、MIMOとの互換性を持ちつつ制御信号(TMCC信号又はAC信号)を伝送することができる。
【0125】
〔第3実施形態〕
次に、図7を参照して、本発明による第3実施形態の伝送システムについて説明する。図7(a),(b)は、それぞれ本発明による第3実施形態の伝送システムにおける送信装置10A‐1,10A‐2の概略構成を示すブロック図である。
【0126】
図7に示す第3実施形態の伝送システムにおける送信装置10A‐1,10A‐2は、MIMO又はMISOの伝送方式にて、SFNによる放送ネットワークを構築する例である。送信装置10A‐1,10A‐2は、それぞれ第1送信所の送信装置、及び第2送信所の送信装置として、図1に示す送信装置10Aと同様の構成要素で構成される。
【0127】
ただし、SFNによる放送ネットワークを構築するため、送信装置10A‐1,10A‐2の各々が備える制御信号生成部14は、2つの送信所間で同じ伝送制御情報を持つTMCC信号(或いは同じ付加情報を持つAC信号)が生成される。
【0128】
また、送信装置10A‐1,10A‐2の各々が備える制御信号符号化器15は、図1に示す送信装置10Aと同様と同様に、各送信所で差動STC符号化部153によって差動STCの符号化を施したTMCC信号に関する符号化信号の伝送のために、各送信所でそれぞれ2つの信号系統(図示15a,15b)が確保される。そこで、送信装置10A‐1,10A‐2の各々は、TMCC信号に関する2つの信号系統(図示15a,15b)の符号化信号を互い違いの偏波で送信する。
【0129】
例えば異なる2つの偏波(例えば水平、垂直)によりデータ信号の伝送を行う偏波MIMO伝送方式において、第1送信所の送信装置10A‐1の第1送信アンテナTx1と、第2送信所の送信装置10A‐2の第1送信アンテナTx1は第1偏波(例えば水平)とし、第1送信所の送信装置10A‐1の第2送信アンテナTx2と、第2送信所の送信装置10A‐2の第2送信アンテナTx2は第2偏波(例えば垂直)とする。
【0130】
このとき、第1送信所の送信装置10A‐1については、第1偏波(例えば水平)のOFDM信号には、図示15aの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当て、第2偏波(例えば垂直)のOFDM信号には、図示15bの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当てる。
【0131】
一方、第2送信所の送信装置10A‐2については、第1偏波(例えば水平)のOFDM信号には、図示15bの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当て、第2偏波(例えば垂直)のOFDM信号には、図示15aの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当てる。
【0132】
このように、SFNを構築する場合に、TMCC信号については第1送信所の水平、垂直偏波の信号を入れ替えた信号系統で、第2送信所の水平、垂直偏波の信号として送信するように構成する。即ち、第1送信所の水平偏波と同じ信号系統のTMCC信号を、第2送信所の垂直偏波で送信する。同じく、第1送信所の垂直偏波と同じ信号系統のTMCC信号を、第2送信所の水平偏波で送信する。
【0133】
尚、第3実施形態の伝送システムにおける受信装置の構成は、MIMO伝送方式であれば図3に示す受信装置20A、MISO伝送方式であれば図6に示す受信装置20Bと同様に構成することができる。
【0134】
このような伝送を行うことで、特にMISO伝送方式の受信装置においては1本の受信アンテナでの受信となるので、2つの送信所から同じ系統の差動STC信号(符号化信号)を割り当てて伝送する場合に比べて、逆相合成による電力の落ち込みを緩和することができる。また、本実施形態のような伝送形態であっても、差動STC符号のペアとなる符号を伝送することになるため、その復号処理のための伝送路推定は必要とされない。
【0135】
〔第4実施形態〕
次に、図8を参照して、本発明による第4実施形態の伝送システムについて説明する。図8(a),(b)は、それぞれ本発明による第4実施形態の伝送システムにおける送信装置10B‐1,10B‐2の概略構成を示すブロック図である。
【0136】
図8に示す第4実施形態の伝送システムにおける送信装置10B‐1,10B‐2は、SISOの伝送方式にて、SFNによる放送ネットワークを構築する例である。送信装置10B‐1,10B‐2は、それぞれ第1送信所の送信装置、及び第2送信所の送信装置として、図5に示す送信装置10Bと同様の構成要素で構成される。
【0137】
ただし、SFNによる放送ネットワークを構築するため、送信装置10B‐1,10B‐2の各々が備える制御信号生成部14は、2つの送信所間で同じ伝送制御情報を持つTMCC信号(或いは同じ付加情報を持つAC信号)が生成される。
【0138】
また、送信装置10B‐1,10B‐2の各々が備える制御信号符号化器15は、図5に示す送信装置10Bと同様と同様に、各送信所で差動STC符号化部153によって差動STCの符号化を施したTMCC信号に関する符号化信号の伝送のために、各送信所でそれぞれ1つの信号系統(図示15a又は15b)が確保される。そこで、送信装置10B‐1,10B‐2の各々は、TMCC信号に関する1つの信号系統(図示15a又は15b)の符号化信号を送信する。
【0139】
例えば異なる2つの偏波(例えば水平、垂直)のうち一方の偏波を用いてデータ信号の伝送を行うSISO伝送方式において、第1送信所の送信装置10B‐1の送信アンテナTxでは第1偏波(例えば水平)とし、第2送信所の送信装置10B‐2の送信アンテナTxでは第2偏波(例えば垂直)とする。
【0140】
このとき、第1送信所の送信装置10B‐1については、第1偏波(例えば水平)のOFDM信号として、図示15aの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当てる。
【0141】
一方、第2送信所の送信装置10B‐2については、第2偏波(例えば垂直)のOFDM信号として、図示15bの信号系統のTMCC信号に関する差動STC信号(符号化信号)を割り当てる。
【0142】
このように、SFNを構築する場合に、第1・第2送信所間で異なる系統のTMCC信号をそれぞれ送信する。
【0143】
尚、第4実施形態の伝送システムにおける受信装置の構成は、図6に示す受信装置20Bと同様に構成することができる。
【0144】
このような伝送を行うことで、SISO伝送方式の受信装置においては1本の受信アンテナでの受信となるので、2つの送信所から同じ系統の差動STC信号(符号化信号)を割り当てて伝送する場合に比べて、逆相合成による電力の落ち込みを緩和することができる。また、本実施形態のような伝送形態であっても、差動STC符号のペアとなる符号を伝送することになるため、その復号処理のための伝送路推定は必要とされない。
【0145】
以上のように、第3及び第4実施形態の伝送システムのように、SFNによる放送ネットワークにも、差動STCとした伝送符号化形式を用いてTMCC信号を伝送することができ、特に、SFNを構築する2局の放送所では、同一偏波間で別々のTMCC信号の伝送を行うこともできるため、逆相合成による影響を回避できダイバーシティ受信効果が期待できる。
【0146】
また、第1乃至第4実施形態において、伝送制御情報は、OFDMフレームを構成するための階層情報、データ信号のキャリア情報、及び復号制御情報、少なくともSISO、MISO、及びMIMOのいずれの伝送方式が用いられているのかを受信側に識別させるための伝送方式の識別情報を含むよう構成することで、受信装置が、その識別情報を基に当該伝送方式を識別し、データ信号の復調及び復号処理を行うよう構成することができる。これにより、伝送方式によらず制御信号の互換性を高めることができる。
【0147】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、MIMO伝送方式において、2本の送信アンテナと2本の受信アンテナによる2×2のMINOについて説明したが、例えば受信アンテナの本数をM(Mは3以上の整数)本として2×MのMINOを構成し、受信装置側で受信ダイバーシティ合成を行う構成とすることや、1つの送信装置内に複数の制御信号符号化器 15を設け、N(Nは3以上の整数)本の送信アンテナとし、N×MのMINOを構成することも可能である。
【0148】
また、上述した実施形態の例では、差動STCの符号化処理として制御信号の2シンボルにわたって1ブロックの差動STCブロックを生成するよう差動STCの符号化処理を行う例を説明したが、より長いシンボルにわたって1ブロックの差動STCブロックを生成するよう差動STCの符号化処理を行う構成とすることも可能である。
【0149】
また、上述した実施形態の例では、伝送に用いる偏波として水平偏波・垂直偏波を利用する例を説明したが、例えば、右旋及び左旋の円偏波を利用する態様や、右斜め45°の偏波及び左斜め45°の偏波を利用する態様にも適用可能である。
【0150】
また、本発明に係る制御信号符号化器15及び制御信号復号器27の各々は、半導体チップとして1チップで構成するもの、複数チップで構成するもの、ディスクリート部品で構成するものを含み、或いはこれらディスクリート部品と1チップ又は複数チップとを組み合わせて構成するものを含む。
【0151】
また、本発明に係る送信装置10A,10A‐1,10A‐2,10B,10B‐1,10B‐2及び受信装置20A,20Bの各々は、半導体チップとして1チップで構成するもの、複数チップで構成するもの、ディスクリート部品で構成するものを含み、或いはこれらディスクリート部品と1チップ又は複数チップとを組み合わせて構成するものを含む。
【0152】
従って、本発明に係る制御信号符号化器、制御信号復号器、送信装置及び受信装置、並びに送信方法及び受信方法は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明によれば、データ信号の伝送特性よりも小さい所要C/Nとなる制御信号の伝送が可能となるので、次世代地上デジタル放送において有用である。
【符号の説明】
【0154】
10A,10A‐1,10A‐2,10B,10B‐1,10B‐2 送信装置
11 誤り訂正符号化部
12 キャリア変調部
13 STC符号化部
14 制御信号生成部
15 制御信号符号化器
16,16a,16b OFDMフレーム構成部
17,17a,17b 逆フーリエ変換(IFFT)部
18,18a,18b ガードインターバル(GI)付加部
20A,20B 受信装置
21,21a,21b ガードインターバル(GI)除去部
22,22a,22b フーリエ変換(FFT)部
23 データ信号キャリア抽出部
23a 第1データキャリア抽出部
23b 第2データキャリア抽出部
24 伝送路推定部
25 STC復号部
26 誤り訂正復号部
27 制御信号復号器
151 誤り訂正符号化部
152 キャリア変調部
153 差動STC符号化部
271,271a,271b 制御信号キャリア抽出部
272,272a,272b 差動STC復号部
273 合成部
274 誤り訂正復号部
1531 差動シンボル生成部
1532 遅延部
1533 STC符号化部
2721,2721a,2721b STC復号部
2722,2722a,2722b 遅延部
Tx,Tx1,Tx2 送信アンテナ
Rx,Rx1,Rx2 受信アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8