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特許7011592スキャトロメトリ計測におけるプロセス変動の根本原因の解析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】スキャトロメトリ計測におけるプロセス変動の根本原因の解析
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220119BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01L21/66 P
G03F7/20 521
H01L21/66 J
H01L21/66 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018544846
(86)(22)【出願日】2016-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2016059954
(87)【国際公開番号】W WO2017146786
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2019-10-30
(31)【優先権主張番号】62/299,693
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルチアーノ タル
(72)【発明者】
【氏名】アデル マイケル イー
(72)【発明者】
【氏名】ギノフカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ブリンゴルツ バラク
(72)【発明者】
【氏名】クライン ダナ
(72)【発明者】
【氏名】イツコヴィッチ タル
(72)【発明者】
【氏名】ラマナサン ヴィドヤ
(72)【発明者】
【氏名】カンプ ヤナイ
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】Gutjahr Karsten et al.,Root cause analysis of overlay metrology excursions with scatterometry overlay technology,Proceedings of SPIE,米国,Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers,2016年02月24日,vol.9778,pp.97781M1-97781M10
【文献】Bringoltz Barak et al.,Accuracy in optical overlay metrology,Proceedings of SPIE,米国,Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers,2016年02月24日,vol.9778,pp.97781H1-97781H19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/64-21/66
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハのシミュレーションおよび/または複数のスキャトロメトリ測定からランドスケープを得るステップであって、前記ランドスケープは、少なくとも1つのパラメータに関する少なくとも1つの計測計量の依存性を備える、ステップと、
前記得られたランドスケープ内で、測定された位置における光学的照明の共鳴に対応する少なくとも1つの共鳴領域を特定するステップと、
前記少なくとも1つのパラメータの特定の変化に基づいて前記特定された少なくとも1つの共鳴領域の依存性を解析するステップと、
前記解析から製造プロセス変動の推定を得るステップと、
前記半導体ウェハ上の異なる箇所に対して前記得られたランドスケープを解析するステップと、
前記ランドスケープの同じ領域に対応する前記半導体ウェハ全体にわたっての箇所における計測計量を実行するために計測計量のレシピについてのサンプリングを調整するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つのパラメータは、照明の波長、瞳の位置、測定パラメータ、プロセスパラメータのいずれかを含み、
前記少なくとも1つの計測計量は、オーバーレイ、オーバーレイの変動、および前記オーバーレイに対して定められる不正確さのうち少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記オーバーレイは、
【数1】
として計算され、ただし、
【数2】
は瞳の画素を表し、fは設計されたオフセットを示し、DおよびDは、反対の設計されたオフセットに対応して、前記瞳の画素で測定される2つの異なるセルの±1次及び±2次の回折次数の信号強度間の差を示す方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1つのパラメータとしてシミュレートされるおよび/または測定される瞳像を横切る前記少なくとも1つの共鳴領域の移動を検出し、そこからウェハ上の位置に関して対称の製造プロセス変動を推定するステップをさらに含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つの共鳴領域内の少なくとも1つのパラメータの変化に基づく不正確さの勾配の逆転である符号変化を検出し、そこからウェハ上の位置に関して非対称の製造プロセス変動を推定するステップをさらに含む方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
ウェハ上の複数の測定位置の上の前記特定された少なくとも1つの共鳴領域をマップピングするステップと、
前記マップピング内の少なくとも1つの空間的な関係を特徴付けるステップと、
前記特徴付けに従って前記製造プロセス変動の根本原因を特定するステップと
をさらに含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、計測の偏差の予測のための計測測定と並列に、前記根本原因の特定を実行するステップをさらに含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記予測された計測の偏差に従って計測測定のレシピを調整するステップをさらに含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記箇所における前記箇所に対しての製造プロセス変動の推定を得るために基準ウェハを用いるステップをさらに含む方法。
【請求項9】
コンピュータ可読プログラムを組み入れたコンピュータ可読非一時的記憶媒体を備え、前記コンピュータ可読プログラムは、請求項1に記載の前記方法を実行するように構成されているコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを備え、半導体ウェハの製造プロセスに関連したパラメータおよび計測計量を受け、そこからランドスケープおよび前記ランドスケープ内の少なくとも1つの共鳴領域を得るように構成されている、オーバーレイの計測ツールであって、
前記ランドスケープは、少なくとも1つのパラメータに関する少なくとも1つの計測計量の依存性を備え、
前記コンピュータプロセッサは、
前記ランドスケープ内で、測定された位置における光学的照明の共鳴に対応する少なくとも1つの共鳴領域を特定するステップと、
前記少なくとも1つのパラメータの特定の変化に基づいて前記特定された少なくとも1つの共鳴領域の依存性を解析するステップと、
前記解析から製造プロセス変動の推定を得るステップと、
前記半導体ウェハ上の異なる箇所に対して前記得られたランドスケープを解析するステップと、
前記ランドスケープの同じ領域に対応する前記半導体ウェハ全体にわたっての箇所における計測計量を実行するために計測計量のレシピについてのサンプリングを調整するステップと、
を実行し、
前記少なくとも1つのパラメータは、照明の波長、瞳の位置、測定パラメータ、プロセスパラメータのいずれかを含み、
前記少なくとも1つの計測計量は、オーバーレイ、オーバーレイの変動、および前記オーバーレイに対して定められる不正確さのうち少なくとも1つを含む、計測ツール。
【請求項11】
少なくとも1つのコンピュータプロセッサに関連しているとともに、半導体ウェハの製造プロセスに関連したパラメータおよび計測計量を受け、そこからランドスケープおよび前記ランドスケープ内の少なくとも1つの共鳴領域を得るように構成されているRCA(根本原因解析)ツールであって、前記ランドスケープは、少なくとも1つのパラメータに関して少なくとも1つの計測計量の依存性を有し、前記少なくとも1つの共鳴領域は、測定された位置における光学的照明の共鳴に対応し、前記RCAツールは、前記受け取った製造プロセスに関連したパラメータおよび計測計量に対して前記ランドスケープ内の前記少なくとも1つの共鳴領域の変化の解析から製造プロセス変動を評価するように構成されており、さらに、前記半導体ウェハ上の異なる箇所に対して前記得られたランドスケープを解析し、前記ランドスケープの同じ領域に対応する前記半導体ウェハ全体にわたっての箇所における計測計量を実行するために計測計量のレシピについてのサンプリングを調整するように構成され、前記少なくとも1つのパラメータは、照明の波長、瞳の位置、測定パラメータ、プロセスパラメータのいずれかを含み、前記少なくとも1つの計測計量は、オーバーレイ、オーバーレイの変動、および前記オーバーレイに対して定められる不正確さのうち少なくとも1つを含む、RCAツール。
【請求項12】
請求項11に記載のRCAツールであって、少なくとも1つのウェハにわたる前記少なくとも1つの共鳴領域内の変化をマップピングするようにさらに構成されているRCAツール。
【請求項13】
請求項12に記載のRCAツールであって、前記マップピングは、ウェハ、プロセス分割ウェハ、およびロットの複数のウェハのうち少なくとも1つに対して実行されるRCAツール。
【請求項14】
請求項11に記載のRCAツールであって、前記評価された製造プロセス変動に基づいてプロセスを補正するようにさらに構成されているRCAツール。
【請求項15】
請求項11に記載のRCAツールであって、評価された製造プロセス変動の根本原因解析を得るようにさらに構成されているRCAツール。
【請求項16】
請求項15に記載のRCAツールであって、様々な同質の厚さの変動を有するモデル化された積み重ねをシミュレートして、製造プロセス変動のパターンを得るとともに、前記得られたパターンを特定の製造プロセスに関連した根本原因に関係付けるようにさらに構成されているRCAツール。
【請求項17】
請求項16に記載のRCAツールであって、前記モデル化された積み重ねの異なる厚さの変動、セルツーセルの変動、ターゲット雑音、および任意の製造プロセス変動のうち少なくとも1つを含むウェハ上の位置に関して非対称の製造プロセス変動のファクタをシミュレーションに組み込むようにさらに構成されているRCAツール。
【請求項18】
請求項17に記載のRCAツールであって、異なるタイプの製造プロセス変動について予期される不正確さを定量化するとともに、ターゲット設計、計測アルゴリズム、および測定レシピのうち少なくとも1つへの変形を示唆するようにさらに構成されているRCAツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測の分野に関し、より詳細には、スキャトロメトリベースの計測に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月25日に出願した米国仮特許出願第62/299,693号の利益を主張するものであり、これは、全体として本願に引用して援用する。
【0003】
全体として本願に引用して援用するWIPOの国際公開第2016/086056号は、レシピパラメータに関する計測計量の部分的に連続した従属性を得て、得た従属性を解析し、解析に従って計測レシピを決定し、決定したレシピに従って計測測定を実行する方法を開示する。この従属性は、低感度の領域および/または不正確さが小さいまたはゼロの点もしくは輪郭が解析的、数値的、または実験的に検出される感度ランドスケープなどのランドスケープの形態で解析されるとともに、高い測定精度を実現するように測定、ハードウェア、およびターゲットのパラメータを設定するために使用することができる。プロセス変動は、感度ランドスケープに対する影響の観点で解析され、この影響は、さらにプロセス変動を特徴付けるために使用されて、測定を最適化し、計測を、不正確さの源に対してより頑健であるともに、ウェハ上の異なるターゲットおよび利用できる測定条件に対してより柔軟であるようにさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/086056号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プロセス変動の異なる源およびウェハ上のそれらの再分割を特定し評価するための効率的で経済的な方法および機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、本発明の最初の理解を与える簡単な概要である。この概要は、必ずしも重要な要素を特定することも、本発明の範囲を限定することもないが、以下の説明の導入としての役割を果たすものにすぎない。
【0007】
本発明の一態様は、(i)シミュレーションおよび/または複数のスキャトロメトリ測定からランドスケープを得るステップであって、ランドスケープは、少なくとも1つのパラメータに関する少なくとも1つの計測計量の少なくとも部分的に連続した従属性を備える、ステップと、(ii)得られたランドスケープ内で、測定された位置における光学的照明の共鳴に対応する少なくとも1つの共鳴領域を特定するステップと、(iii)少なくとも1つのパラメータの特定の変化に基づいて特定された少なくとも1つの共鳴領域の従属性を解析するステップと、(iv)解析からプロセス変動の推定を得るステップとを含む方法を提供する。
【0008】
本発明のこれらのさらなるおよび/または他の態様および/または利点は、以下の詳細な説明に記載されており、これらは、詳細な説明からおそらく推測可能であり、および/または本発明の実施によって学習可能である。
【0009】
本発明の実施形態をより良く理解するため、およびそれをどのように実行するのか示すために、次に、純粋に例によって、添付図面の参照がなされており、ここで、同じ番号は、全体を通じて、対応する要素またはセクションを示す。
【0010】
添付図面におけるものは、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、ランドスケープ図および瞳像それぞれにおける波長および瞳座標に関しての共鳴領域についての一例の概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、対称のプロセス変動による、ランドスケープ図および瞳像それぞれにおける波長および瞳座標に関しての共鳴領域の移動についての一例の概略図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ上の瞳内のアークの位置のマップピングについての一例の概略図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、層の厚さが異なる場合の、データおよびシミュレーションから、異なる箇所が同じレシピで測定されるときの、ウェハの異なる箇所における瞳内のアークの位置についての一例の概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による非対称のプロセス変動の影響を示す一例の概略図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ上のおよび特にウェハの異なる箇所における瞳内のアークの位置による非対称のプロセス変動のマップピングについての一例の概略図である。
図5-1】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ上のおよび特にウェハの異なる箇所における瞳内のアークの位置による非対称のプロセス変動のマップピングについての一例の概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、以下の開示の様々な態様に関する方法を示す高レベルのフローチャートである。
図6-1】本発明のいくつかの実施形態による、以下の開示の様々な態様に関する方法を示す高レベルのフローチャートである。
図7】本発明のいくつかの実施形態によるRCA(根本原因解析)ツールの高レベルの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明には、本発明の様々な態様が記載されている。説明の目的ため、特定の構成および詳細が、本発明の十分な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、本明細書中に示された特定の詳細なしで本発明が実施され得ることは、当業者にやはり明らかであろう。さらに、周知の特徴は、本発明をあいまいにしないために省略または簡略化されている場合がある。特に図面に関しては、図示の特色は例によるものであり、本発明の例示的説明のためのものにすぎず、本発明の原理および概念的態様のうち最も有用であると考えられるものおよび容易に理解される説明を与えるために示されることが強調されている。この点で、本発明の基本的な理解にとって必要である以上に詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされておらず、図面を用いて解釈される明細書は、本発明のいくつかの形態を実際にどのように具体化できるか当業者に明らかにさせる。
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の明細書に記載されているまたは図面に示されている構成要素の構造の詳細および配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、様々なやり方で実施または実行できる他の実施形態、および開示された実施形態の組み合わせに適用可能である。また、本明細書中に用いられる専門語および術語は説明のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解されよう。
【0014】
別段特に述べられない限り、以下の説明から明らかなように、計算システムのレジスタおよび/またはメモリ内の電子などの物理的な量として表わされるデータを、計算システムのメモリ、レジスタ、もしくは他のそのような情報記憶装置、伝達装置、または表示装置内の物理量として表わされる同様の他のデータに操作および/または変換する「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「強化」等などの用語を利用した明細書の説明全体にわたって、コンピュータまたは計算システム、あるいは同様の電子計算デバイスの動作および/またはプロセスを指すことが理解される。
【0015】
本発明の実施形態は、オーバーレイの計測ツールの助けで、プロセス変動の異なる源およびウェハ上のそれらの再分割を特定し評価するための効率的で経済的な方法および機構を提供する。開示した発明は、任意の計測ツールへ拡張および実装されてもよい。例えば、瞳にわたる回折信号の測定によって、オーバーレイによる対称性の破れを超える情報を取り出すことが可能になる。プロセス変動は、特定された共鳴の領域(以下参照)上で測定され、場合によってはシミュレーションのさらなる助けを用いて定性的および定量的に推定され得る。ランドスケープ理論をシミュレーションのステップおよびツールと組み合わせる以下に開示された瞳解析は、異なるタイプのプロセス変動を検出、追跡、および定量化することを可能にし、これは、測定レシピの破れを予想し、ターゲットの設計プロセスを案内するために使用することができる。
【0016】
測定ランドスケープにおける共鳴領域の挙動を使用して対称および非対称のファクタに対してプロセス変動を評価および特徴付け、プロセスステップに関してのプロセス変動の根本原因解析を行う方法、計測モジュール、およびRCAツールが提供される。異なる層の厚さを有するモデル化された積み重ねのシミュレーション、およびプロセス変動のファクタのシミュレーションは、解析を強化するために使用され、改善されたターゲット設計、改善されたアルゴリズム、および計測測定についての補正可能なものをもたらし得る。感度のよい共鳴領域を示す特定のターゲットは、プロセス変動の評価を強化するために利用され得る。
【0017】
ランドスケープおよび共鳴領域
WIPOの国際公開第2016/086056号は、計測測定におけるランドスケープの概念を開示し、これは、1つ以上のパラメータに関して1つ以上の計測計量、例えば、スキャトロメトリオーバーレイ(SCOL)計量の従属性である。非限定の例として、ランドスケープは、1つ以上のプロセスパラメータ、測定パラメータ、およびターゲットパラメータに関して、オーバーレイ、オーバーレイの変動(例えば、瞳3S計量)、および/または不正確さ(推定されたオーバーレイから実際のオーバーレイを引いたもの)のいずれかの従属性を表し得る。特に、WIPOの国際公開第2016/086056号に説明されるように、発明者らは、ランドスケープ内のある領域が、光学系内の共鳴(例えば、ウェハ層内および/またはターゲット構造間の照明の共鳴)に関連している急な変化を示し、これは、測定された領域に関してより多くの情報を与えるように使用され得ることが分かっている。
【0018】
特に、SCOL技術は、強く波長に依存していることが分かっており、波長スペクトルにわたって、異なるオーバーレイ計測計量(信号、感度、瞳3S、オーバーレイなど)は、異なる種類のプロセス変動、ウェハ上の対称のプロセス変動および非対称のプロセス変動の両方に非常に敏感であるそれらのランドスケープ内に共鳴の領域を系統的に含む。これらの共鳴の領域の進行中の研究は、以下に説明されるように、これらの領域内の増加した不正確さは、異なる計測の光学を複雑なプロセス変動に関係付けるとても特殊なスキームに従うことを示す。
【0019】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、ランドスケープ図90および瞳像91それぞれにおける波長および瞳座標に関しての共鳴領域95、96についての一例の概略図である。示されている不正確さは、推定されたオーバーレイと実際のオーバーレイとの間の差(ターゲット内の光学的共鳴によって引き起こされる差)であり、P3σ(P3Sとも示される)は、波長に基づく瞳にわたってのオーバーレイの変動の3シグマ測定法である。図1は、本発明における原理の明確な説明を行うために、とても単純なランドスケープ(LS)についての非限定の例を説明する。この例では、共鳴は、500nmで生じ、瞳オーバーレイは、500nmにおける照射で示される。瞳像において、共鳴領域96は、瞳の中央近くに断続的なアークとして示される(500nm横断するときの共鳴領域95内の不正確さの符号の変化に対応する横断するアーク96に関する不正確さの符号の変化に留意されたい)。共鳴の領域内で、不正確さ(実際のオーバーレイ、すなわち、測定されたオーバーレイ)は、瞳3Sの導関数としてほぼ振る舞うことが見られ得る。
【0020】
オーバーレイの測定を超えて、したがって、SCOL技術は、ウェハにわたって生じ得る(対称および非対称の)プロセス変動の異なる源を特定、測定および識別し、異なるタイプのプロセス変動のウェハマップを生成し、異なるターゲット/レシピのプロセスの頑健さを評価するために使用することができる。RCAツールと組み合わせて、プロセス変動の強度は、定量的に監視することもできる。SCOLターゲットの瞳信号を測定する利点は、これらの特徴が単一のレシピの瞳像にわたって信号から直接得られ得ることである。
【0021】
実際、瞳は、プロセスについての大量の情報を運ぶ。SCOLのオーバーレイ技術において、信号の反射性は、瞳にわたって測定され、各画素は、入射または波動ベクトルの異なる角度に対応する。次いで、画素ごとの差動信号は、2つの異なるセルの+1および-1の回折次数とともに2つの異なる誘導されたfオフセット(例えば、等しくおよび反対の+fおよ-f)から計算される。これは、信号、およびしたがってオーバーレイの対称の破れを測定することを可能にする。しかしながら、測定された反射性は、格子構造にわたる格子からなるSCOLターゲットを光学的に照明することから生じる異なる物理的法則に従う。そのような構造は、共鳴器などのファブリペロー(Fabry-Perot)としてみなされ得、格子と共鳴器の両方が、特定の波長/入射角度における消失する反射性などの異なる物理的効果をもたらす。
【0022】
各画素が異なる照明角度に対応する場合に、瞳がある量の画素を含むとき、共鳴効果は、不連続96のアークを通じて、または瞳オーバーレイにわたる特定の勾配または騒音パターンを通じて、あるいは消失する瞳感度を通じてまさしく瞳で直接観察することができる。増加した非対称のプロセス変動は、それに応じて、例えば瞳3Sを通じて定量的に測定可能であるそれらの共鳴効果を増大させる。
【0023】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、以下の開示の様々な態様に関する方法100を示す高レベルのフローチャートである。いくらかの実施形態は、シミュレーションおよび/または複数のスキャトロメトリ測定からランドスケープを得ること(段階110)(ただし、ランドスケープは、少なくとも1つのパラメータに関する少なくとも1つの計測計量の少なくとも部分的に連続した従属性を含む)と、得られたランドスケープ内で、測定された位置における光学的照明の共鳴に対応する少なくとも1つの共鳴領域を特定すること(段階120)と、少なくとも1つのパラメータの特定の変化に基づいて特定された少なくとも1つの共鳴領域の従属性を解析すること(段階130)と、解析からプロセス変動の推定を得ること(段階140)とを含む方法100を含む。方法100の段階のいずれかは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ、例えば、コンピュータプロセッサ201(図7)によって実行することができる(段階199)。
【0024】
例えば、少なくとも1つの計測計量は、オーバーレイ、オーバーレイの変動の計量、およびオーバーレイに対して定められる不正確さの計量のいずれかを含むことができ、このオーバーレイは、式1として計算することができ、ただし、
【数1】
は瞳の画素を表し、fは設計されたオフセットを示し、DおよびDは、反対の設計されたオフセットに対応して、互いに対して180°だけ回転する瞳の画素で測定される反対の次数の信号強度間の差を示す。
【数2】
【0025】
対称の変動は、主にD+Dの項に影響する一方、非対称の変動は、下に説明されるように、主にD-Dの項に影響し、対称および非対称のプロセス変動の異なる影響になることに留意されたい。
【0026】
少なくとも1つのパラメータは、照明の波長、瞳の位置、任意の他の測定パラメータ、任意のプロセスパラメータのいずれかを含み得る。
【0027】
以下において、詳細な方法の段階および解析の手順は、対称のプロセス変動、非対称のプロセス変動、より一般的には、プロセス変動の根本原因解析、およびそれのターゲットおよびプロセス設計との関連に対して示される。
【0028】
対称のプロセス変動
いくらかの実施形態では、方法100は、少なくとも1つのパラメータとしてシミュレートされるおよび/または測定される瞳像を横切る少なくとも1つの共鳴領域の移動を検出すること(段階150)と、そこから対称のプロセス変動を推定すること(段階155)とをさらに含むことができる。
【0029】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、対称のプロセス変動に起因する、ランドスケープ図90および瞳像91それぞれにおける波長および瞳座標に関しての共鳴領域95、96の移動についての一例の概略図である。共鳴領域は、移動前、ランドスケープ図90Aおよび瞳像91Aそれぞれの95A、96Aに示されており、移動後、共鳴領域は、ランドスケープ図90Bおよび瞳像91Bそれぞれにおける95B、96Bで示される。
【0030】
図2は、対称のプロセス変動がLSおよび瞳に影響を及ぼす様子を概略的に示す。ウェハ上の1つの箇所から別の箇所へ、層のうち1つの厚さの変動などのいくつかの対称のプロセス変動、CDの変動(限界寸法)などの出現によって、ランドスケープ(90A→90B)内で共鳴領域が95A→95Bにシフトし、ならびに瞳像内でアークが96A→96Bにシフトし、これらは同じレシピ(91A→91B)で測定されることを考える(測定レシピは、測定パラメータ、条件、およびアルゴリズムの組み合わせで構成されている)。精度、ならびにレシピの瞳3Sおよび感度も、それがランドスケープの異なる部分に位置するように移動するので変わる。そのような移動は、対称のプロセス変動に対してレシピの低いプロセスの頑健さを示し、先行技術において望ましくないものであるが、そのようなレシピは、(i)対称のプロセス変動に対してのプロセスの頑健さを推定し、(ii)対称のプロセス変動に直接関係付けられるウェハにわたってのアーク96の位置のウェハマップを生成し、(iii)異なる対称のプロセス変動が適用されるRCAツールを用いるために使用することができることが発明者によって発見されている。プロセス変動ごとのアーク96の位置は、ウェハ上のアーク96の位置と比較することができ、次いで対称のプロセス変動がウェハにわたって定量的に推定することができる。
【0031】
したがって、方法100は、ウェハ上の複数の測定位置の上の特定された少なくとも1つの共鳴領域をマッピングすること(段階170)と、マップピング内の少なくとも1つの空間的な関係を特徴付けること(段階172)と、この特徴付けに従ってプロセス変動の根本原因を特定すること(段階174)とをさらに含むことができる。例えば、特徴付けられた空間的な関係は、対称のプロセス変動に関し得るとともに、特定された根本原因は、特徴付けられた対称のプロセス変動という結果になることが知られている特定のプロセス段階に関し得る。
【0032】
図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ上の瞳内のアーク96の位置のマップピング170についての一例の概略図である。示した例では、離散的なランドスケープを生成するために全ての利用可能な波長に関して数十のSCOLターゲットがウェハ上で測定され、(示されている場合には0NAと0.2NAの間の)アーク96の位置が、それぞれの位置の色によって示される。ウェハの中心において、アーク96は消える。ウェハマップのシグネチャは、ウェハ上のアーク位置の対称の変動を明確に示しており、これは、対称のプロセス変動の存在を示す。
【0033】
図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、層の厚さが異なる場合の、データおよびシミュレーションから、異なる箇所が同じレシピで測定されるときの、ウェハの異なる箇所における瞳内のアーク96の位置についての一例の概略図である。アーク96が4つの画像全てに示されている場合に、中心における箇所とウェハの周辺における箇所が比較される。瞳像91C、91Dは、異なる箇所(それぞれ中心および縁部)における瞳の上の測定されたオーバーレイを示し、瞳像92C、92Dは、それぞれの箇所における積み重ねのシミュレートされた瞳像であり、対称のプロセス変動は、層のうち1つの厚さを変えることによってシミュレーションに挿入された。瞳像91C、92Cを与える箇所は、層の厚さが公称の厚さからマイナス11nmの変動を有し、一方、瞳像91D、92Dを与える箇所は、層の厚さが公称の厚さからプラス1nmの変動を有する。したがって、共鳴のレシピは、プロセスの頑健さに影響を及ぼし、ついには測定の精度に影響を及ぼし得るウェハにわたる層の厚さの変動を監視するために使用され得ることが示されている。
【0034】
または、いくらかの実施形態は、RCAツール200を備え(後述の図7を参照)、RCAツール200は、含まれる厚さの起こりそうな変動をシミュレートするために様々な同質の厚さの変動を用いてモデル化された積み重ねをシミュレートするように構成され、プロセス変動のパターンを特定の根本原因に関係付ける。それに応じて、方法100は、異なる厚さの変動を用いてモデル化された積み重ねをシミュレートしてパターンを根本原因に関係付けることを含み得る(段階180)。例えば、異なるCVD(化学気相成長)機械は、ウェハにわたっての異なる典型的な厚さの変動を用いて異なる層を堆積させ、例えば、酸化物層のCVDは、典型的なソンブレロ分布を示し得る一方、ハードマスクのCVDは、ウェハにわたって円蓋状の厚さ分布を示し得る。
【0035】
図3Aに示された例では、ウェハ上のアーク位置の半径方向の対称性は、マップピング内の特徴付けられた空間的な関係としての円蓋分布に対応し得るプロセス変動を示すことができ(段階172参照)、これは、プロセス変動の要因として対応するCVDステップの特定をもたらし得る。
【0036】
図3Bに示された例では、対応する層は、そのようなCVDで観察される典型的な変動に対応する異なる範囲の厚さを用いてシミュレートされた。アーク位置は、ウェハにおいて対応する測定された波長と、設計された層の異なる厚さの変動とについてシミュレーションで追跡された。シミュレーションは、ウェハの縁部におけるデータ(91C、91D)とシミュレーション(92C、92D)の間の対応するアーク位置は公称の積み重ね(91C、92C)から-11nmの層の厚さに対応し、一方、ウェハの中心において、この変動は約+1nmである(91D、92D)ことを示す。したがって、プロセス変動の根本原因解析は、特定の層が、円蓋分布に関して中心から縁部まで約12nmのその厚さの変動を示していることを示す。厚さの変動の根本原因解析は、提案された方法を用いて明確に特定および定量化することができる。
【0037】
これらの例は、開示した発明は、正確なモデルを用いて、測定の精度に影響を及ぼし得るプロセス変動の許容できる範囲を定量化することを可能にし得ることと、シミュレーションがそのような厚さの変動がどのようにオーバーレイを測定するための正確なレシピに影響を及ぼし得るのか評価するとともに、モデルに基づく精度推定を実行するために使用できることとを示す。または、これらの例は、プロセス変動を特定することで計測の偏差を導くやり方を与える。例えば、精度の計量が偏差内にあるとき、必ずしもシミュレーションを実行する必要はなく、RCA(根本原因解析)レシピ(以下のより詳細を参照)が、特定された偏差のプロセス変動の根本原因を特定するために使用することができる。
【0038】
図7は、本発明のいくつかの実施形態によるRCAツール200の高レベルの概略ブロック図である。RCAツール200は、測定および/またはシミュレーションに基づき得る。RCAツール200は、計測ツール70に関連し得るとともに、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ201を備えることができ、この少なくとも1つのコンピュータプロセッサ201は、例えば、方法100を少なくとも一部実行するように構成されるとともに、場合によってはコンピュータプログラム製品と関連しており、この少なくとも1つのコンピュータプロセッサ201は、コンピュータ可読プログラムを組み入れたコンピュータ可読記憶媒体を備えるとともに、方法100の関連した段階を実行するように構成されている。RCAツール200は、本明細書中に開示したように、プロセスステップおよび対応する特徴、プロセスパラメータ、ならびに積み重ねデータなどのプロセスに関連したパラメータ80とともに、レシピ、測定パラメータ、および計測計量などの測定データ85を受け取り、ランドスケープ90、瞳像91、および/または共鳴領域95、ならびに可能性のあるそのウェハマップピング170を用意することができ、これらは、プロセス変動に関連したデータ、プロセス変動の種類、変動の根本原因等など、プロセスおよび/または測定の補正210のための様々な特性および可能性に関連した情報を与えるために使用することができる。
【0039】
非対称のプロセス変動
RCAツール200は、計測ツール70を用いてウェハに関して測定されたものに対応する厚さの変動と組み合わせて異なるタイプの非対称のプロセス変動をシミュレートするためにさらに利用され得る。非対称のプロセス変動のための非限定の例には、格子の非対称、トポグラフィ、セルツーセルの変動、ターゲットの騒音、または同じターゲットの内側の非対称を壊す任意のプロセス変動が含まれる。選ばれたレシピの精度が、ウェハ上で変化する場合、RCAツール200は、異なるタイプのプロセス変動について予期される不正確さを定量化するために使用することができる。また、RCAツール200は、(測定データおよび/または測定データ85を用いたシミュレーションに従って)受け入れできない不正確さをもたらし得る推定されたプロセス変動とともにこの箇所における使用のための異なるターゲットの設計、異なるSCOLアルゴリズム、および/または異なるレシピを示唆するように構成され得る。ランドスケープおよび瞳の解析の観点における非対称のプロセス変動の一般的な挙動は、(以下の調節とともに、対称のプロセス変動に関して基本的に上述したように)、追跡され、オーバーレイの計測の偏差をもたらすプロセスから、特定のプロセス変動および根本原因を特定するために使用される。
【0040】
いくらかの実施形態では、方法100(図6参照)は、少なくとも1つの共鳴領域内の符号変化を検出し(段階160)、そこから非対称のプロセス変動を推定すること(段階165)を含む。いくらかの実施形態では、符号変化は、少なくとも1つのパラメータの変化に基づく不正確さの勾配の逆転を含む。
【0041】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、非対称のプロセス変動の影響を示す一例の概略図である。図4は、500nmに共鳴を有するランドスケープを概略的に示す。ランドスケープ図90E内の共鳴領域95Eは、P3σの振幅の増加および不正確さ(Asym1→Asym2、破線)という結果になる非対称のプロセス変動の強度の倍増を示す。測定されたターゲット内の非対称(例えば、右SWAの非対称、対、左SWAの非対称、SWAは、側壁の非対称を示す)により、ランドスケープ図90F内の共鳴領域95Fは、不正確さの符号の切り替わりを示す。瞳図91F-1および図91F-2は、(不正確さの値の反対の格付けを示す)共鳴領域96F-1および96F-2内の反対の勾配によってこの符号の切り替わりを概略的に示す。プロセス変動の強度は、Asym1およびAsym2において等しく、結果としてP3σに等しくなる。
【0042】
これらの2つの例は、同様の非対称のプロセス変動に関して、例えば、強度の変化(90E)についておよび同じ強度(90F)のプロセス変動に関して、ランドスケープが2箇所の間で変化し得る様子を示す。どちらの場合も、共鳴位置は変わらず、アーク96は、瞳に同じ位置で現れる。しかしながら、瞳3Sの強度および不正確さは、プロセス変動の強度に従って変化する。非対称が符号を切り替わる場合(例えば、一方の箇所における右SWAの非対称、対、他方の箇所における左SWAの非対称)、精度の符号の切り替わりは、例えば、異なる波長で測定されるオーバーレイのランドスケープ内で、または瞳から特定され得る。アーク不連続96の符号切り替わりは、プロセス変動による非対称の雑音の符号の切り替わりを示すために使用され得る。
【0043】
したがって、Y非対称からきれいな、共鳴の領域および瞳3Sの強度は、非対称のプロセス変動、およびウェハにわたるそれらの再分割を監視するために使用することができる。ウェハ上の箇所間の非対称の相対的な強度は、異なる方法(例えば、PCA-主成分分析、スケーリングを監視する異なる方法など)によって計算することができる。RCAツール200は、プロセス変動を定量化するために使用することもできる。ウェハにわたる非対称のプロセス変動のシグネチャは、不正確さの根本原因の(例えば、根本原因としてのエッチングの問題)目安として使用することもできる。
【0044】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ上のおよび特にウェハの異なる箇所における瞳内のアーク96の位置による非対称のプロセス変動のマップピング170についての一例の概略図である。示した例では、数十のSCOLターゲットがウェハ上で測定され、離散的なランドスケープを生成するために全ての利用可能な波長に関しておよび特定の箇所について、オーバーレイ(OVL)および変動(P3σ)の測定は、異なる波長について示される。画像90G、90H、90I、90Jのシーケンスは、その周辺または縁部からウェハ中心へ延びるウェハ上の位置で対応するランドスケープ(瞳3σおよびオーバーレイ)を示す。P3σとOVLの両方は、(図4に同じように見られるように)互いに対して拡大縮小し、ウェハの縁部で最大であり、ウェハの中心で最小(および平坦)であることに留意されたい。瞳像91G、91Jは、それぞれ、周辺箇所および中心箇所について示され、ウェハの中心を横断すると生じる符号の切り替わりが示されている(90J、91Jについての中心箇所は、右に中心から外れている一方、90G、91Gについての周辺箇所は、ウェハ中心の左側にあることに留意されたい)。発明者は、そのようなパターンは、非対称のプロセス変動にとって典型的であることが分かっており、これはエッチングステップにおける結果である。
【0045】
いくらかの実施形態では、RCAツール200は、RCWA(厳密結合波解析)を用いてシミュレートされる予期されるトポグラフィおよび非対称のプロセス変動を評価するために、マックスウェルシミュレーションとプロセスRCAツールを組み合わせるように構成することができる。詳細には、RCAツール200は、対称のプロセス変動と非対称のプロセス変動の両方のシミュレーションを改善するとともに、プロセス変動の強度および不正確さを評価するために、アーク96の位置を使用するように構成することができる。RCAツール200は、対応する計測計量に対して、一般に、同じまたはとても近いアーク位置、アーク符号、および/またはランドスケープを用いて、異なる箇所を隔離するようにPCAを用いるように構成することができる。回帰解析、近似方法等などの様々な解析方法が、共鳴のピーク、オーバーレイの挙動等を追跡するために使用することができ、これによってプロセス変動、およびn不正確さを特徴付ける。また、RCAツール200は、所定の測定レシピが異なるタイプのプロセス変動によって影響を受ける程度、および評価/測定されたプロセス変動が選ばれたレシピに影響を及ぼし得るか否かを解析するように構成することができる。影響が大きい場合(例えば、特定の閾値を超える)、RCAツール200は、代替のターゲット設計、測定レシピ、および/または測定アルゴリズムを示唆することで、達成された結果を改善する、例えばより正確なオーバーレイ測定を取り出すように構成されてもよい。
【0046】
ターゲットの根本原因解析、およびプロセス設計
いくらかの実施形態では、方法100は、異なるプロセスステップで、例えば前の層のエッチングの後、ARC(反射防止コーティング)ステップの後、およびリソグラフィステップの後に測定を実行することによってターゲットの加工性を決定することを含むことができる。対応するプロセスの制御モジュールは、スループロセス計測、および単一の格子ターゲットのような特別のターゲットを印刷する可能性の検証を行うために、あるターゲットがよく処理されているか否かを定めるためにプロセス計測を通じて使用されるように構成され得る。例えば、単一の格子ターゲットの非限定の場合には、瞳内の差動信号は、加工性を得るために全ての画素に別々にアクセスすることによって解析され得る。
【0047】
いくらかの実施形態は、(例えば、アーク96および十分に良いTMU(全体的な測定の不確かさ)を示す)プロセス変動に敏感である測定レシピ、および場合によっては、プロセス変動に対して十分な感度を有するRCAターゲットを含む。いくらかの実施形態は、RCA較正のためのプロセス分割ウェハおよびOPD(光路差)の観点のプロセス変動の定量的解析の用意、および根本原因の特定を用いる。例えば、シミュレーションを用いる代わりにまたはそれに加えて、知られているパラメータを有するウェハは、較正のための基準、およびOPD変動の評価の用意として用いられ得る。一例として、プロセス分割ウェハは、エッチングプロセスの分割、堆積研磨の分割、焦点露光量の変動、研磨プロセス変動のいずれかを含むことができ、および/または異なるプロセスツールの通るウェハの経路に対して分割されてもよい。そのような分割は、ロット内または単一のウェハ内のウェハ間であり得る。いくらかの実施形態は、測定マッチングのシミュレーションによってそのようなモデルが検証される前または後に、ターゲットの設計モデルのフィードフォワードを含み、RCAの結果を較正するために使用することができ、すなわち、対称または非対称のプロセス変動の評価を定量的およびより正確にさせる。RCAの結果は、特に非対称のプロセス変動の解析を用いるが、対称のプロセス変動の解析も用いて、エッチング/CMP(化学機械処理)のプロセスモニタまたは制御フィードバックとして使用することができる。
【0048】
いくらかの実施形態では、RCA測定は、異なるレシピを用いてARO(自動的なレシピの最適化)ターゲットを測定することによって、および/またはAROによって定められるものと同じまたは異なるレシピを用いてさらなるターゲットを測定することによって実行することができる。RCAターゲットは、最適化されたサンプリングを用いて、場合によってはオーバーレイ計測のサンプリングのものとは異なる最適化されたサンプリングを用いて測定することができ、RCAの最適化されたレシピを用いて測定されてもよい。
【0049】
いくらかの実施形態は、RCAアルゴリズムのために同じ/異なるサンプリングを用いてさらなるターゲット/レシピの測定、および/または場合によっては、オーバーレイの偏差が様々な精度フラグを有する防護システムによって定められるように生じるときのRCAレシピの再定義を含む。可能性のある計測の偏差(それが発生する前のもの)に関する予測を(例えば、本明細書中に記載されたRCAフラグを用いて)行うため、および適宜、計測の偏差を防ぐために新しいAROレシピを再定義するため、RCAレシピは、計測の偏差をもたらすプロセス変動を追跡するために、ARO(自動的なレシピの最適化)レシピに加えて使用されてもよい。
【0050】
いくらかの実施形態は、例えば、2つのレシピ間のOVL測定間の差が、ウェハにわたる非対称のプロセス変動のマップに比例および関係付けられるとき、OVL(AROおよび頑健)からOVL(RCA)を差し引いたようなオーバーレイ間の差に基づいて非対称の計測計量を含む。同じ方法は、様々な計量に適用されてもよい。そのような計量は、非対称のウェハマップ、非対称の変動性、3S等を生成するように、および場合によってはサンプリングを再定義するようにマップされてもよく、ならびに/またはADI(現像後の検査)モデルを補正するために、プロセス制御をモデル化するモジュールを補正可能なものとしてフィードバックを送ってもよい。そのような計量は、犠牲的な層からの寄与を定量化するために、ADIをAEI(エッチング後の検査)バイアスに相関させるために使用することもできる。いくらかの実施形態は、RCAレシピ/ウェハを使用するとともに、残りのものおよび補正可能なものを取り出すための良いサンプリングを定めるRCA法を用いる方法を定めることを含む。例えば測定が全ての箇所にわたって同じランドスケープ領域で実行されるように、全ての箇所がプロセスの頑健なRCAレシピに対応するAROレシピの新しいサンプリングを定めるために、RCAレシピは、AROレシピが頑健であると思われるときでも、プロセス変動を追跡するように使用することができる。
【0051】
いくらかの実施形態では、方法100は、RCAのため、例えば、異なるプロセス変動の種類のマップピング、(対称および非対称の)異なる種類のプロセス変動間の識別、および/または異なるウェハ/スロット間の特定の共鳴瞳のRCAレシピの特定のためのおよびそれに関するD-D(式1参照)のような瞳像を解析するため(例えば、異なる共鳴形態間の混乱を避けるために)、瞳に対して「スマート」PCA(主成分分析)を使用することを含む。
【0052】
いくらかの実施形態では、方法100は、異なるタイプのプロセス変動を特定するための、および単一の散乱領域を特定するためのフラグとしての新しいアルゴリズムを適用することを含む。例えば、新しい差動信号DalphaおよびDbetaは、式2におけるように定義することができ、ただし、S±1およびS±2は、それぞれ回折次数±1および±2の回折信号を表し、量GおよびΔは、式2にさらに定められるようなそれらに対して定義され得るものであり、fは、所定のオフセットを表し、α、βは、
【数3】
および
【数4】
に関して
【数5】
のように定義される。
【0053】
量Δは、αがβからどのくらい異なるのかを示し、その変動性は、非対称のプロセス変動に関連付けることができるとともに、非対称のプロセス変動のウェハマップを再現するためにXおよびYのターゲットについて別々に計算することができる。量Δは、フラグ(計測対象の)格子構造にわたっての格子における複数の散乱が無視できない程度に、またはその逆に開始するか否か、および単一の散乱モデルを使用することができるか否かを特定するフラグとして使用することもできる。
【0054】
いくらかの実施形態では、
【数6】
として定められる量OおよびOが、やはり定義および使用され得る。理想的には、および単一の散乱モデルにおいて、OおよびOは、それらの差にわたっての差動信号の合計によって与えられる最終的なオーバーレイ値に対して同じ貢献を有する。各セルの信号は、式3に表されるようにモデル化することができ、ただし、Cは定数を示し、εは正確なオーバーレイを示し、
=C+α(ε+f
=C-β(ε+f
=C+α(ε-f
=C-β(ε-f
式3
である。量Cは、代数的に取り出され、非対称のプロセス変動についてのフラグとして使用することができる。量αおよびβは、別々に計算することができる。
【0055】
いくらかの実施形態は、単一の散乱に基づくOPDを計算するためのモデルを用いることを含む。この表現
【数7】
は、以下に説明されるように、SCOLセルの格子オーバー格子構造の単一の散乱モデルに使用される式4に定義されるような表現
【数8】
を得るために使用される。ΨはOPD位相を示し、δΨは位相非対称を示し、εは実際のOVLを示し、rは低い格子からの反射性を示し、rは上の格子についての反射性を示す。格子構造にわたっての格子について回折の単一の散乱モデルを用いて、
【数9】
であると分かる。
【0056】
式4を用いて、OPD位相は、
【数10】
として計算することができる。単一の散乱モデルの仮定は、モデルを用いてOPD位相を計算する可能性を検証するために、上で定めたαおよびβを用いて有効にすることができる。また、発明者は、説明した仮定を用いたΨの計算が共鳴領域内の非対称のプロセス変動に主に敏感である一方、平らな領域内で、それが純粋なOPDのより良い推定を与え、したがってプロセス変動の推定および根本原因解析に用いることができることをシミュレーションにおいて見出していた。また、アルゴリズムは、単一のレシピを用いてRCAを実行するために使用することができる。計算されたOPDのウェハシグネチャは、レシピが使用されることに応じて対称のプロセス変動または非対称のプロセス変動のいずれかのシグネチャを与える。
【0057】
いくらかの実施形態では、非対称のプロセス変動は、ウェハ全体にわたって同様である量Gを用いて、瞳の特定の領域を選択することによって評価することができる。対称のプロセス変動の場合でも、垂直な非対称(MEB)からきれいにされる瞳3Sは、非対称のプロセス変動を評価するためにこの特定の領域で計算され得る。
【0058】
それに応じて、方法100は、計測の偏差を予測するための計測測定(段階190)と並列に、および場合によっては予測された計測の偏差に従って計測測定のレシピを調整して(段階192)、根本原因の特定174を実行することを含むことができる。方法100は、そこに対しての箇所内のプロセス変動の推定を得るために、適宜、基準ウェハを用いて、ウェハ170上の異なる箇所に対して得られたランドスケープを解析すること(段階194)と、ランドスケープの同じ領域に対応するウェハ全体にわたっての箇所における計測測定を実行するために計測測定のレシピについてのサンプリングを調整すること(段階196)とをさらに含むことができる。いくらかの実施形態は、方法200の段階を実行するように構成されているRCAツール200(上記図7参照)を備える。
【0059】
本発明の各態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/または部分図を参照して上述されている。フローチャート図および/または部分図の各部分、ならびにフローチャート図および/または部分図の部分の組み合わせは、コンピュータのプログラム命令によって実施することができることを理解されよう。これらのコンピュータのプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行する命令が、フローチャートおよび/またはそれらの部分図もしくは部分において特定される機能/動作を実施する手段を生成するように機械を生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサへ与えられ得る。
【0060】
コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または特定のやり方で機能する他のデバイスを指示できるこれらのコンピュータのプログラム命令は、コンピュータ可読媒体内に記憶することもでき、コンピュータ可読媒体内に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはそれらの部分図もしくは部分で特定される機能/動作を実施する命令を含む製品をもたらすようになっている。
【0061】
コンピュータのプログラム命令は、コンピュータにより実施されるプロセスを生成するためにコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるために、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス上へ読み込むこともでき、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはそれらの部分図もしくは部分において特定される機能/動作を実施するためのプロセスを実現するようになっている。
【0062】
前述のフローチャートおよび図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この点について、フローチャートまたは部分図内の各部分は、モジュール、セグメント、またはコードの一部を表わすことができ、これは、特定の論理関数を実施する1つ以上の実行可能な命令を含む。いくつかの代替の実施では、部分で示される機能は、図に示された順番以外で行われてもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示された2つの部分は、実際には、ほぼ同時に実行されてもよく、または場合によっては、これらの部分は、含まれる機能に応じて逆の順番で実行されてもよい。部分図および/またはフローチャート図の各部分、ならびに部分図および/またはフローチャート図の部分の組み合わせは、特定された機能または動作、あるいは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用のハードウェアベースのシステムによって実施され得ることにも留意されよう。
【0063】
上記説明において、1つの実施形態は、本発明の一例または一実施である。「一実施形態」、「1つの実施形態」、「いくらかの実施形態」、または「いくつかの実施形態」の様々な出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。本発明の様々な特徴が、単一の実施形態の内容で説明され得るが、特徴は、別々にまたは任意の適切な組み合わせで設けることもできる。逆に、本発明は、明確にするために別個の実施形態の内容で本明細書中に説明され得るが、本発明は、単一の実施形態において実施することもできる。本発明のいくらかの実施形態は、上で開示された異なる実施形態からの特徴を含み得るが、いくらかの実施形態は、上で開示された他の実施形態から要素を組み込んでもよい。特定の実施形態の内容における本発明の要素の開示は、特定の実施形態単独でのその使用を制限するものとしてとらえられるべきではない。さらに、本発明は、様々なやり方で実行または実施することもでき、本発明は、上記説明に概説されたもの以外のいくらかの実施形態で実施されてもよいことを理解されたい。
【0064】
本発明は、これらの図または対応する説明に限定されない。例えば、流れは、それぞれの示された箱または状態を通じてまたは図示および説明されたものと正確に同じ順序で移動する必要はない。本明細書中に使用される科学技術用語の意味は、特段定めがない限り、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものとする。本発明は限られた個数の実施形態に関して説明されてきたが、これらは、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、好ましい実施形態の一部の例示として解釈されるべきである。他の可能な変更、変形、応用も、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、これまで説明されたものによって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲、それらの法的な均等物によって限定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図5-1】
図6
図6-1】
図7