IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

特許7011662構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置
<>
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図1
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図2
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図3
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図4
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図5
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図6
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図7
  • 特許-構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220119BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220119BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/146 D
G02F1/1335 505
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019538008
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2018027737
(87)【国際公開番号】W WO2019039172
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2017159217
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017230053
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】瀧下 大貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔一
(72)【発明者】
【氏名】田口 泰史
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-176182(JP,A)
【文献】特開2016-075886(JP,A)
【文献】特開2017-167389(JP,A)
【文献】特開2003-294932(JP,A)
【文献】特開2006-313974(JP,A)
【文献】特開2006-078766(JP,A)
【文献】特開2009-152314(JP,A)
【文献】特開2009-152315(JP,A)
【文献】特開2017-203810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 27/146
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタと、
黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yを含む吸収層と、を有し、
前記吸収層の膜厚が0.5μm以下であり、
前記着色剤Yは、カラーインデックスピグメントイエロー150を含み、
前記着色剤Yの70質量%以上がカラーインデックスピグメントイエロー150であり、
前記吸収層は、前記着色剤Y以外の着色剤を含有せず、
前記カラーフィルタは緑色画素および赤色画素を含み、前記緑色画素の光路上であって前記緑色画素への光の入射側、および、前記赤色画素の光路上であって前記赤色画素への光の入射側のそれぞれに前記吸収層を有する、構造体。
【請求項2】
2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタと、
黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yおよび紫外線吸収剤を含み、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記着色剤Yの100質量部に対して1~100質量部である吸収層と、を有し、
前記吸収層の膜厚が0.5μm以下であり、
前記着色剤Yは、カラーインデックスピグメントイエロー150を含み、
前記着色剤Yの70質量%以上がカラーインデックスピグメントイエロー150であり、
前記吸収層を、前記カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前記画素への光の入射側に有する、構造体。
【請求項3】
前記吸収層は、前記着色剤Y以外の着色剤の含有量が前記着色剤Yの100質量部に対して1質量部以下である、請求項に記載の構造体。
【請求項4】
前記吸収層は、前記着色剤Y以外の着色剤を含有しない、請求項に記載の構造体。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項2~4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物またはトリアジン化合物である、請求項2~4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を含み、前記着色画素の光路上に前記吸収層を有する、請求項2~6のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項8】
前記カラーフィルタは、緑色画素、赤色画素および青色画素を含み、
前記緑色画素および前記赤色画素から選ばれる少なくとも一方の画素の光路上に前記吸収層を有し、前記青色画素の光路上には前記吸収層を有さない、請求項2~6のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項9】
前記緑色画素および前記赤色画素の光路上に前記吸収層を有する、請求項に記載の構造体。
【請求項10】
前記緑色画素は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を含有する、請求項1、7、8または9に記載の構造体。
【請求項11】
前記吸収層の膜厚は、前記吸収層の光路上に有する前記カラーフィルタの画素の膜厚の0.001~2倍である、請求項1~10のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項12】
前記吸収層の膜厚は、前記吸収層の光路上に有する前記カラーフィルタの画素の膜厚の0.1~1倍である、請求項1~10のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項13】
前記カラーフィルタは、更に、透明画素および赤外線透過層の画素から選ばれる少なくとも1種の画素を含む、請求項1、7、8、9または10に記載の構造体。
【請求項14】
前記カラーフィルタの画素と前記吸収層とが接している、請求項1~13のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項15】
2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタを形成する工程と、吸収層を形成する工程とを含む、構造体の製造方法であって、
前記カラーフィルタは、緑色画素および赤色画素を含み、
前記吸収層は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yを含み、前記着色剤Y以外の着色剤を含有せず、かつ、前記吸収層の膜厚が0.5μm以下であり、
前記構造体は、前記吸収層を、前記緑色画素の光路上であって前記緑色画素への光の入射側、および、前記赤色画素の光路上であって前記赤色画素への光の入射側のそれぞれに有し、
前記吸収層を形成する工程は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yを含み、かつ、前記着色剤Y以外の着色剤を含有しない吸収層形成用組成物を塗布する工程を含み、
前記着色剤Yは、カラーインデックスピグメントイエロー150を含み、
前記着色剤Yの70質量%以上がカラーインデックスピグメントイエロー150である、
構造体の製造方法。
【請求項16】
カラーフィルタを形成する工程と、吸収層を形成する工程とを含む、構造体の製造方法であって、
前記カラーフィルタは、2種以上の異なる種類の画素を有し、
前記吸収層は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yおよび紫外線吸収剤を含み、前記紫外線吸収剤の含有量が前記着色剤Yの100質量部に対して1~100質量部であり、かつ、前記吸収層の膜厚が0.5μm以下であり、
前記構造体は、前記吸収層を、前記カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前記画素への光の入射側に有し、
前記吸収層を形成する工程は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤Yおよび紫外線吸収剤を含み、前記紫外線吸収剤の含有量が、前記着色剤Yの100質量部に対して1~100質量部である吸収層形成用組成物を塗布する工程を含み、
前記着色剤Yは、カラーインデックスピグメントイエロー150を含み、
前記着色剤Yの70質量%以上がカラーインデックスピグメントイエロー150である、
構造体の製造方法。
【請求項17】
前記カラーフィルタの表面に前記吸収層形成用組成物を塗布する、請求項15または16に記載の構造体の製造方法。
【請求項18】
前記吸収層を形成する工程は、更にパターンを形成する工程を含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項に記載の構造体を有する固体撮像素子。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか1項に記載の構造体を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、構造体の製造方法、吸収層形成用組成物、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
【0003】
一般的に、カラーフィルタは、着色剤を含む画素を有している。しかしながら、長時間カラーフィルタに光が照射されると、退色劣化などが生じることがある。このため、カラーフィルタへの光の入射側に紫外線吸収剤を含む層を設けてカラーフィルタの耐光性を向上させる試みが検討されている(特許文献1~7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平3-81122号公報
【文献】特開昭63-83703号公報
【文献】特開2017-92302号公報
【文献】特開平5-134113号公報
【文献】特開2003-60176号公報
【文献】特開2001-118967号公報
【文献】特開2000-284112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~7に記載された方法では、カラーフィルタの耐光性を十分に向上させることは困難であった。
【0006】
よって、本発明の目的は、耐光性に優れたカラーフィルタを有する構造体を提供することにある。また、耐光性に優れたカラーフィルタを有する構造体の製造方法、前述の構造体に用いられる吸収層形成用組成物、前述の構造体を含む固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、カラーフィルタの画素の光路上であって画素への光の入射側に、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層を設けることにより、カラーフィルタの耐光性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
<1> 2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタと、
黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層と、を有し、
吸収層を、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって画素への光の入射側に有する、構造体。
<2> 吸収層は更に紫外線吸収剤を含む、<1>に記載の構造体。
<3> 紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種である、<2>に記載の構造体。
<4> 吸収層は、アゾ化合物およびイソインドリン化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の構造体。
<5> 吸収層は、カラーインデックスピグメントイエロー139、カラーインデックスピグメントイエロー150およびカラーインデックスピグメントイエロー185から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の構造体。
<6> カラーフィルタは、緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を含み、着色画素の光路上に吸収層を有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載の構造体。
<7> カラーフィルタは、緑色画素、赤色画素および青色画素を含み、
緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも一方の画素の光路上に吸収層を有し、青色画素の光路上には吸収層を有さない、<1>~<5>のいずれか1つに記載の構造体。
<8> 緑色画素は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を含有する、<7>に記載の構造体。
<9> 緑色画素および赤色画素の光路上に吸収層を有する、<7>または<8>に記載の構造体。
<10> 吸収層の膜厚は、吸収層の光路上に有する画素の膜厚の0.001~2倍である、<6>~<9>のいずれか1つに記載の構造体。
<11> 吸収層の膜厚は、吸収層の光路上に有する画素の膜厚の0.1~1倍である、<6>~<9>のいずれか1つに記載の構造体。
<12> カラーフィルタは、更に、透明画素および赤外線透過層の画素から選ばれる少なくとも1種の画素を含む、<6>~<11>のいずれか1つに記載の構造体。
<13> 吸収層は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種と、硬化性化合物とを含む組成物を硬化して得られたものである、<1>~<12>のいずれか1つに記載の構造体。
<14> カラーフィルタの画素と吸収層とが接している、<1>~<13>のいずれか1つに記載の構造体。
<15> カラーフィルタを形成する工程と、吸収層を形成する工程とを含む、構造体の製造方法であって、
カラーフィルタは、2種以上の異なる種類の画素を有し、
吸収層は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含み、
構造体は、吸収層を、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって画素への光の入射側に有し、
吸収層を形成する工程は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層形成用組成物を塗布する工程を含む、構造体の製造方法。
<16> カラーフィルタの表面に吸収層形成用組成物を塗布する、<15>に記載の構造体の製造方法。
<17> 吸収層を形成する工程は、更にパターンを形成する工程を含む、<15>または<16>に記載の構造体の製造方法。
<18> 2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタと、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層と、を有し、吸収層を、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって画素への光の入射側に有する構造体の、吸収層の形成用の組成物であって、
黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層形成用組成物。
<19> 更に紫外線吸収剤を含む、<18>に記載の吸収層形成用組成物。
<20> 紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種である、<19>に記載の吸収層形成用組成物。
<21> <1>~<14>のいずれか1つに記載の構造体を有する固体撮像素子。
<22> <1>~<14>のいずれか1つに記載の構造体を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐光性に優れたカラーフィルタを有する構造体を提供することができる。また、耐光性に優れたカラーフィルタを有する構造体の製造方法、前述の構造体に用いられる吸収層形成用組成物、前述の構造体を含む固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図2】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図4】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図5】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図6】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図7】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
図8】本発明の構造体の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の合計質量をいう。
本明細書において、赤外線は、波長700~2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
【0011】
<構造体>
本発明の構造体は、2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタと、
黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層と、を有し、
吸収層を、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前述の画素への光の入射側に有することを特徴とする。
【0012】
本発明の構造体によれば、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前述の画素への光の入射側に、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層を設けたことにより、この吸収層によって可視領域の光のうち紫外領域近傍の光を効果的に吸収させることができる。その結果、カラーフィルタの耐光性を高めることができ、耐光性試験後におけるカラーフィルタの分光特性の変動を効果的に抑制できる。更には、本発明によれば、上述の吸収層を設けたことにより、カラーフィルタの耐湿性を向上させることができ、耐湿性試験後においても分光特性の変動を効果的に抑制できる。このような効果が得られる理由としては、上記の吸収層を設けたことにより、カラーフィルタへの水分の侵入を効果的に抑制できたためであると推測される。
【0013】
本発明の構造体の好ましい例としては、以下の態様1、2が挙げられる。これらの態様によれば、カラーフィルタの画素の色相に影響を与えることなく、カラーフィルタの耐光性を向上させることができる。さらに、不要な吸収をカットできることにより画素の色分離性能を向上させることもできる。
(態様1)カラーフィルタが、緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を含み、この着色画素の光路上に吸収層を有する態様。
(態様2)カラーフィルタが、緑色画素、赤色画素および青色画素を含み、
緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも一方の画素の光路上に吸収層を有し、青色画素の光路上には吸収層を有さない態様。
【0014】
上記態様1において、カラーフィルタが、緑色画素と赤色画素とを含む場合においては、緑色画素および赤色画素の少なくとも一方の画素の光路上に吸収層を有していればよく、緑色画素の光路上に吸収層を有していることが好ましく、緑色画素および赤色画素の両方の画素の光路上に吸収層を有していることがより好ましい。緑色画素は耐光性が低い傾向にあり、光照射によって退色が生じて緑色の分光が変動し易い傾向にあったが、緑色画素の光路上に吸収層を設けることにより、緑色画素の色相を損なうことなく、耐光性を向上させることができる。また、赤色画素の光路上に吸収層を設けることによっても、赤色画素の色相を損なうことなく、耐光性を向上させることができる。上記態様1において、カラーフィルタが、更に青色画素を含む場合においては、青色画素の光路上には吸収層を有さないことが好ましい。
【0015】
上記態様2においては、緑色画素の光路上に吸収層を有していることが好ましく、緑色画素および赤色画素の両方の画素の光路上に吸収層を有していることがより好ましい。
【0016】
上記態様1、2において、吸収層の膜厚は、吸収層の光路上に有する画素の膜厚の0.001~2倍であることが好ましく0.01~2倍であることがより好ましく、0.1~1倍であることが更に好ましい。
上記態様1、2において、カラーフィルタは、更に、透明画素および/または赤外線透過層の画素(以下、他の画素ともいう)を含んでいてもよい。カラーフィルタが、更に、上記の他の画素を含む場合、他の画素の光路上には吸収層が設けられていなくてもよいが、耐光性の観点から他の画素の光路上にも吸収層が設けられていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の構造体において吸収層は更に紫外線吸収剤を含むことが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの耐光性をより顕著に向上させることができる。
【0018】
また、本発明の構造体においてカラーフィルタの画素と吸収層とは接していることが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの耐湿性をより顕著に向上させることができる。
以下、本発明の構造体について詳細に説明する。
【0019】
(カラーフィルタ)
本発明の構造体は、2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタを有する。本発明の構造体において、カラーフィルタは、支持体上に形成されていることが好ましい。支持体としては特に限定はない。固体撮像素子などの各種電子デバイスなどで使用されている基板(シリコンウエハ、炭化ケイ素ウエハ、窒化ケイ素ウエハ、サファイアウエハ、ガラスウエハなど)を用いることができる。また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0020】
本発明の構造体において、カラーフィルタは2種以上の異なる種類の画素を有する。本発明で用いられるカラーフィルタは、少なくとも1種の着色画素を有することが好ましい。着色画素としては、例えば、緑色画素、赤色画素、青色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素および黄色画素などが挙げられ、緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。着色画素は、後述する着色剤を含む着色画素形成用組成物を用いて形成することができる。本発明で用いられる緑色画素は、フタロシアニン顔料を含むことが好ましく、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を含むことがより好ましい。着色画素形成用組成物については後述する。
【0021】
また、フタロシアニン顔料(特にフタロシアニン系緑色顔料)を含む画素については、画素の酸素濃度を高めることで耐光性を良化することがある。画素中の酸素濃度を高める方法としては、外気と本発明の構造体との間に形成される膜(例えば反射防止膜など)の厚みを薄くする、前述の膜を不連続にする、前述の膜の密度を疎にするなどの方法が挙げられる。
【0022】
また、着色画素は、着色剤を1色のみ含んでいてもよく、2色以上の着色剤を含んでいてもよい。例えば、緑色画素は、後述する着色剤として緑色着色剤のみを含んでいてもよく、緑色着色剤以外として更に黄色着色剤を含んでいてもよい。緑色画素に黄色着色剤を含有させることで他色との色分解特性を高めることができる。また、例えば、赤色画素は、後述する着色剤として赤色着色剤のみを含んでいてもよく、赤色着色剤以外として更に黄色着色剤を含んでいてもよい。赤色画素に黄色着色剤を含有させることで他色との色分解特性を高めることができる。また、緑色画素上に上述した吸収層を設ける場合においては、緑色画素に黄色着色剤を含有させなくても、吸収層によって緑色画素の色分解特性を高めることもでき、緑色画素に黄色着色剤を含有させた場合と同様の効果が期待できる。赤色画素の場合も同様に、赤色画素上に上述した吸収層を設ける場合においては、赤色画素に黄色着色剤を含有させなくても、吸収層によって赤色画素の色分解特性を高めることもでき、赤色画素に黄色着色剤を含有させた場合と同様の効果が期待できる。
【0023】
また、2色以上の着色剤を組み合わせて用いて着色画素の分光特性を調整する場合、2層以上の膜を積層させて所望の分光特性に調整してもよい。例えば、緑色着色剤と黄色着色剤とを組み合わせて用いて緑色画素の分光特性を調整する場合、緑色着色剤を含む膜と、黄色着色剤を含む膜とを積層させて所望の分光特性に調整してもよい。また、特開2017-167389号公報、特開2017-194560号公報に記載された積層形態についても本発明に適用することができる。
【0024】
また、カラーフィルタは、着色画素の他に透明画素および赤外線透過層の画素から選ばれる少なくとも1種の画素を含んでいてもよい。
【0025】
透明画素としては、波長400~600nmの範囲における透過率の最小値が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。透明画素は、後述する透明画素形成用組成物を用いて形成することができる。
【0026】
赤外線透過層の画素としては、可視光を遮光し、赤外線の少なくとも一部を透過させる分光特性を有する画素であればよく、特に限定はされない。赤外線透過層の画素は、後述する赤外線透過層形成用組成物を用いて形成することができる。
【0027】
赤外線透過層の画素の好ましい例として、例えば、以下の(1)~(4)のいずれかの分光特性を有する画素が挙げられる。
(1):厚み方向における光の透過率の、波長400~640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長800~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である画素。この画素によれば、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長670nmを超える光を透過させることができる。
(2):厚み方向における光の透過率の、波長400~750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長900~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である画素。この画素によれば、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える光を透過させることができる。
(3):厚み方向における光の透過率の、波長400~830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長1000~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である画素。この画素によれば、波長400~830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmを超える光を透過させることができる。
(4):厚み方向における光の透過率の、波長400~950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長1100~1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である画素。この画素によれば、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmを超える光を透過させることができる。
【0028】
本発明の構造体において、カラーフィルタは、2種以上の異なる種類の画素を有するものであればよく、例えば以下の(1)~(3)の態様が挙げられる。
(1)2種(2色)以上の異なる色相の着色画素のみで構成された態様。
(2)2種(2色)以上の異なる色相の着色画素と、透明画素および/または赤外線透過層の画素とで構成された態様。
(3)1種(1色)のみの着色画素と、透明画素および/または赤外線透過層の画素とで構成された態様。
【0029】
上記(1)、(2)の態様における着色画素としては、緑色画素および赤色画素から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、緑色画素、赤色画素および青色画素を少なくとも含むことがより好ましい。
上記(3)の態様における着色画素は、緑色画素または赤色画素であることが好ましい。
【0030】
カラーフィルタの各画素の厚さとしては、特に限定はない。例えば、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。また、各画素の厚さは異なっていてもよいが、ほぼ同一であることが好ましい。また、画素同士の上面の高低差はほぼ同一であることが好ましい。
【0031】
(吸収層)
本発明の構造体は、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前述の画素への光の入射側に、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層を有する。以下、黄色着色剤と、波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤とをあわせて、着色剤Yともいう。
【0032】
本発明の構造体において吸収層は、カラーフィルタの画素への光の入射側に設けられていればよい。本明細書において、吸収層がカラーフィルタの画素への光の入射側に設けられているとは、例えばカラーフィルタが支持体上に形成されている場合、吸収層がカラーフィルタに対して支持体とは反対側に設けられていることが好ましい。例えば、図1に示すように、カラーフィルタ10の表面に吸収層20が設けられていてもよく、図2、3に示すように、カラーフィルタ10への光の入射側に設けられたマイクロレンズ30や平坦化層40の表面に吸収層20が設けられていてもよい。また、吸収層20は、集光レンズ50の表面(図4参照)、赤外線カットフィルタ60の表面(図5参照)、封止ガラス70の表面(図6参照)などのカラーフィルタ10への光の入射側に設けられた他の部材上に設けられていてもよい。好ましくは、図1に示されるように、カラーフィルタ10の表面に吸収層20が設けられている態様(すなわち、カラーフィルタの画素と吸収層とが接している態様)である。この態様によれば、カラーフィルタの耐湿性をより顕著に向上させることができる。なお、図4、5において、集光レンズ50や赤外線カットフィルタ60が、平坦化層40から離れているように描かれているが、集光レンズ50や赤外線カットフィルタ60と、平坦化層40との間には、用途に応じて何らかの部材が設けられていてもよい。
【0033】
なお、図1~6において、符号1は支持体である。また、図1~6において、カラーフィルタ10は画素11~13を有しており、吸収層20は、カラーフィルタの画素11~13の光路上に設けられているが、画素11~13のうち少なくとも一つの画素の光路上に吸収層20が設けられていればよく、画素11~13の全ての光路上に吸収層20が設けられていなくてもよい。また、図4において、吸収層20は集光レンズ50の光の入射側の表面にのみ設けられているが、集光レンズ50の光の射出側の表面にのみ設けられていてもよく、集光レンズ50の光の入射側および光の射出側の両面に設けられていてもよい。図5、6についても同様である。
【0034】
本発明の構造体において吸収層は、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上に設けられていればよい。また、吸収層は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。吸収層がパターンを有さない場合は、カラーフィルタの全ての画素の光路上に吸収層が設けられている場合などが挙げられる。また、カラーフィルタの画素の色相が吸収層によって影響がもたらされる場合においては、これらの画素の光路上には吸収層が設けられていないことが好ましい。吸収層によって色相への影響がもたらされる種類の画素としては、例えば、青色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素などの、波長400~500nmの範囲に透過領域を有する色相の着色画素などが挙げられる。例えば、図7は、支持体1上に、赤色画素11aと、緑色画素12aと、青色画素13aとで構成されたカラーフィルタ10aを有しているが、この場合、吸収層21を、赤色画素11aおよび緑色画素12aの少なくとも一方の画素の光路上に有し、青色画素13aの光路上には有さないことが好ましい。なお、図7では、赤色画素11aおよび緑色画素12aの両方の光路上に吸収層21を有しているが、赤色画素11aおよび緑色画素12aの一方の画素の光路上にのみ吸収層21を有する態様とすることもできる。
【0035】
また、カラーフィルタの画素のうち、一部の画素の光路上にのみ吸収層を設ける場合においては、吸収層と吸収層が設けられている画素との合計の厚さを、吸収層が設けられていない画素の厚さとほぼ同一となるように調整して、吸収層の上面の高さと、吸収層が設けられていない画素の上面の高さとをほぼ揃えてもよい。例えば、図8に示される構造体は、支持体1上に、赤色画素11bと、緑色画素12bと、青色画素13bとで構成されたカラーフィルタを有している。そして、吸収層22が緑色画素12aの光路上にのみに設けられている。そして、緑色画素12bおよび吸収層22の合計の厚さと、赤色画素11bの厚さと、青色画素13bの厚さとがほぼ同一で、吸収層22、赤色画素11bおよび青色画素13bのそれぞれの上面の高さがほぼ揃っている。
【0036】
次に、吸収層に用いられる着色剤Yについて説明する。吸収層に用いられる着色剤Yは、顔料および染料のいずれであってもよいが、より優れた耐光性や耐湿性が得られやすいという理由から、顔料であることが好ましい。また、顔料の平均粒子径は、0.01~0.1μmが好ましく、0.01~0.05μmがより好ましい。なお、本発明において、顔料とは、溶剤に溶解しにくい不溶性の色素化合物を意味する。また、染料とは、溶剤に溶解する色素化合物を指す。本発明に用いられる顔料は、例えば、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ-ト100gに対する溶解量、および、25℃の水100gに対する溶解量がいずれも0.1g以下であることが好ましく、0.05g以下であることがより好ましく、0.01g以下であることが更に好ましい。また、本発明に用いられる染料は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ-ト100gに対する溶解量、および、25℃の水100gに対する溶解量の少なくとも一方が0.1gを超えることが好ましく、1g以上であることがより好ましく、5g以上であることが更に好ましい。
【0037】
着色剤Yは、顔料の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、実質的に顔料のみであることが特に好ましい。ここで、着色剤Yが実質的に顔料のみである場合とは、着色剤Y中における顔料の含有量が99質量%以上であることを意味し、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましく、着色剤Yが顔料のみで構成されていることが特に好ましい。
【0038】
着色剤Yは、アゾ化合物およびイソインドリン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アゾ化合物であることがより好ましく、バルビツール酸構造を有するアゾ化合物であることが更に好ましい。
【0039】
着色剤Yは、波長450~500nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましく、波長450~460nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましい。
【0040】
着色剤Yの具体例としては、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214などの黄色顔料や、C.I.ソルベントイエロー4、82、88、14、15、24、93、94、98、162等の黄色染料等が挙げられる。着色剤Yとしては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、C.I.ピグメントイエロー150であることがより好ましい。
【0041】
また、着色剤Yとして、下記式(Y1)~(Y4)で表される構造の化合物を用いることもできる。
【化1】
【0042】
式(Y1)において、R~R13は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R~Rのうち隣接する基は、結合して環を形成していてもよい。ただし、R~Rの隣接する二つの基のうち、少なくとも一組は、結合して芳香環を形成している。
式(Y2)において、R205およびR208は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R201~R204、R206およびR207は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Yは、窒素原子または-CRY1-を表し、Yは、硫黄原子または-NRY2-を表し、RY1およびRY2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、Xは、ビス(スルホニル)イミドアニオン、トリス(スルホニル)メチドアニオンまたはホウ素原子を有するアニオンを表す。
式(Y3)において、R301、R311およびR310は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R302~R305、R306~R309は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Xは、ビス(スルホニル)イミドアニオン、トリス(スルホニル)メチドアニオンまたはホウ素原子を有するアニオンを表す。
式(Y4)において、R401およびR402は、それぞれ独立に、SO403またはCOR403を表す;R403は、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
【0043】
式(Y1)~(Y4)の詳細については、国際公開WO2017/082226号公報の段落番号0016~0046の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0044】
また、着色剤Yとして、特開2013-54339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-26228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
【0045】
本発明の構造体において、吸収層は、着色剤Yを30~99質量%含有することが好ましい。上限は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。下限は、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。吸収層は、着色剤Yを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。着色剤Yを2種以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0046】
本発明の構造体において、吸収層に含まれる着色剤Yの50質量%以上がアゾ化合物およびイソインドリン化合物から選ばれる少なくとも1種(好ましくはアゾ化合物、より好ましくはバルビツール酸構造を有するアゾ化合物)であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
また、本発明の構造体において、吸収層に含まれる着色剤Yの50質量%以上がC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185から選ばれる少なくとも1種(好ましくはC.I.ピグメントイエロー150)であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
【0047】
本発明の構造体において、吸収層は着色剤Y以外の着色剤を実質的に含まないことが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの画素の色相に影響を与えることなく、カラーフィルタの耐光性を向上させることができる。吸収層が、着色剤Y以外の着色剤を実質的に含まない場合とは、着色剤Y以外の着色剤の含有量が、着色剤Yの100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0048】
本発明の構造体において、吸収層はさらに紫外線吸収剤を含有することも好ましい。この態様によれば、吸収層によって、可視領域の光のうち紫外領域近傍の光のみならず、紫外領域の光も吸収することができるので、カラーフィルタの耐光性をより顕著に向上させることができる。
【0049】
紫外線吸収剤は、波長300~380nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましく、波長320~380nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることがより好ましい。また、紫外線吸収剤の波長365nmにおけるモル吸光係数は、5000L・mol-1・cm-1以上であることが好ましく、10000L・mol-1・cm-1以上であることがより好ましく、30000L・mol-1・cm-1以上であることが更に好ましい。上限は、例えば、100000L・mol-1・cm-1以下が好ましい。このような化合物を用いることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
【0050】
紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、トリアジン化合物、ベンゾジチアゾール化合物などを用いることができる。なかでも、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物およびトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、トリアジン化合物がより好ましい。
【0051】
共役ジエン化合物は、下記式(UV-1)で表される化合物が好ましい。
【化2】
【0052】
式(UV-1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない。
及びRは、R及びRが結合する窒素原子とともに、環状アミノ基を形成していてもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
及びRは、各々独立に、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基が更に好ましい。
及びRは、電子求引性基を表す。R及びRは、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましい。また、R及びRは、互いに結合して環状の電子求引性基を形成してもよい。RおよびRが互いに結合して形成する環状の電子求引性基としては、例えば、2個のカルボニル基を含む6員環を挙げることができる。
上記のR、R、R、及びRの少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。
【0053】
式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の置換基の説明は、国際公開WO2009/123109号公報の段落番号0024~0033(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の段落番号0040~0059)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の具体例としては、下記化合物が挙げられる。また、式(UV-1)で表される化合物の好ましい具体例は、国際公開WO2009/123109号公報の段落番号0034~0037(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の段落番号0060)の例示化合物(1)~(14)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV503(大東化学(株)製)などが挙げられる。
【化3】
【0054】
メチルジベンゾイル化合物としては、下記式(UV-2)で表される化合物が好ましい。
【化4】
【0055】
式(UV-2)において、R101及びR102は、各々独立に、置換基を表し、m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。
【0056】
101及びR102が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、-NRU1U2、-CORU3、-COORU4、-OCORU5、-NHCORU6、-CONRU7U8、-NHCONRU9U10、-NHCOORU11、-SOU12、-SOORU13、-NHSOU14または-SONRU15U16が挙げられる。RU1~RU16は、各々独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基またはアリール基を表す。
【0057】
101及びR102が表す置換基は、各々独立にアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状が挙げられ、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。
【0058】
式(UV-2)において、R101及びR102の一方がアルキル基で、他方がアルコキシ基である組み合わせが好ましい。
【0059】
m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。m1およびm2は、それぞれ独立して0~2が好ましく、0~1がより好ましく、1が特に好ましい。
【0060】
式(UV-2)で表される化合物の具体例としては、アボベンゾンなどが挙げられる。
【0061】
ベンゾトリアゾール化合物としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-アミル-5’-イソブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-プロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどが挙げられる。市販品としては、TINUVIN PS、TINUVIN 99-2、TINUVIN 109、TINUVIN 328、TINUVIN 384-2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 171、TINUVIN 1130(以上、BASF社製)などが挙げられる。ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
【0062】
トリアジン化合物としては、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 477、TINUVIN 479(以上、BASF社製)などが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。市販品としては、ユビナールA、ユビナール3049、ユビナール3050(以上、BASF社製)などが挙げられる。
クマリン化合物としては、例えば、クマリン-4、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリンなどが挙げられる。
【0063】
本発明の構造体において、吸収層は紫外線吸収剤を0.1~90質量%含有することが好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが更により好ましい。下限は、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが更により好ましい。
また、吸収層は、着色剤Yの100質量部に対して紫外線吸収剤を0.1~200質量部含有することが好ましい。上限は、100質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが更に好ましく、30質量部以下であることが更により好ましい。下限は、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、10質量部以上であることが更により好ましい。着色剤Yと紫外線吸収剤との割合が上記範囲であれば、紫外領域近傍の光を効率的に遮光して画素の耐光性をより高めるという効果が期待できる。
吸収層は、紫外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。紫外線吸収剤を2種以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0064】
本発明の構造体において吸収層は、着色剤Yを含む吸収層形成用組成物を用いて形成することができる。吸収層は、着色剤Yと硬化性化合物とを含む吸収層形成用組成物を硬化して得られたものであることが好ましい。吸収層形成用組成物はさらに紫外線吸収剤を含むことも好ましい。吸収層形成用組成物の詳細については後述する。
【0065】
本発明の構造体において、吸収層の厚さは、0.001~10μmであることが好ましい。上限は、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましく、0.5μm以下が更により好ましい。下限は、0.01μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更に好ましく、0.1μm以上が更により好ましい。
【0066】
吸収層は、波長500nmを超え700nm以下の範囲における透過率の最小値が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
また、吸収層は、波長400nm以上500nm以下の範囲の少なくとも一部(好ましくは波長400nm以上450nm以下の範囲の少なくとも一部、より好ましくは波長400nm以上450nm以下の全範囲)における透過率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
また、吸収層は、波長300nm以上400nm未満の範囲の少なくとも一部(好ましくは波長300nm以上400nm未満の範囲の少なくとも一部、より好ましくは波長300nm以上400nm未満の全範囲)における透過率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の構造体は、カラーフィルタと上述した吸収層の他に、更に、平坦化層、マイクロレンズ、集光レンズ、赤外線カットフィルタ、封止ガラスなどの層や部材を有していてもよい。これらの層や部材は、構造体の用途に応じて適宜選択できる。また、これらの層や部材がカラーフィルタの画素の光路上であって画素への光の入射側に有する場合においては、上述したように、これらの部材上に吸収層が設けられていてもよい。
【0068】
本発明の構造体は、固体撮像素子や、画像表示装置(例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置など)に組み込んで用いることができる。
【0069】
<吸収層形成用組成物>
次に、本発明の構造体の吸収層の形成用の組成物(吸収層形成用組成物)について説明する。
【0070】
<<着色剤Y>>
吸収層形成用組成物は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種(着色剤Y)を含む。黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤の詳細および好ましい範囲については、上述した吸収層の欄で説明した内容と同様である。
【0071】
着色剤Yの含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対して30~99質量%であることが好ましい。上限は、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましく、85質量%以下であることが更により好ましい。下限は、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが更により好ましい。吸収層形成用組成物は、着色剤Yを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。着色剤Yを2種以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0072】
<<他の着色剤>>
吸収層形成用組成物は、着色剤Y以外の着色剤を実質的に含まないことが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの画素の色相に影響を与えることなく、カラーフィルタの耐光性を向上させることができる。吸収層形成用組成物が着色剤Y以外の着色剤を実質的に含まない場合とは、着色剤Y以外の着色剤の含有量が、着色剤Yの100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0073】
<<紫外線吸収剤>>
吸収層形成用組成物は、着色剤Yの他にさらに紫外線吸収剤を含むことが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの耐光性をより顕著に向上させることができる。紫外線吸収剤の詳細および好ましい範囲については、上述した吸収層の欄で説明した内容と同様である。
【0074】
吸収層形成用組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対して0.1~90質量%であることが好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが更により好ましい。下限は、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが更により好ましい。
また、吸収層形成用組成物は着色剤Yの100質量部に対して紫外線吸収剤を0.1~200質量部含有することが好ましい。上限は、100質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが更に好ましく、30質量部以下であることが更により好ましい。下限は、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、10質量部以上であることが更により好ましい。
吸収層形成用組成物は、紫外線吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。紫外線吸収剤を2種以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0075】
<<硬化性化合物>>
吸収層形成用組成物は、更に硬化性化合物を含むことが好ましい。この態様によれば、カラーフィルタの耐光性や耐湿性をより効果的に向上させることができる。硬化性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明において、硬化性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物などが挙げられ、エチレン性不飽和結合基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合基を有する化合物としては、重合性化合物であることが好ましく、ラジカル重合性化合物であることがより好ましい。
【0076】
吸収層形成用組成物が硬化性化合物を含有する場合、硬化性化合物の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、1~60質量%が好ましい。下限は、例えば5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。硬化性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0077】
(エチレン性不飽和結合基を有する化合物)
エチレン性不飽和結合基を有する化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。エチレン性不飽和結合基を有する化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0078】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物は、エチレン性不飽和結合基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。エチレン性不飽和結合基を有する化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-29760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0079】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物は、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物として、NKエステルA-TMMT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD RP-1040、DPCA-20(日本化薬(株)製)を使用することもできる。また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0080】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物として、更に酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。
【0081】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物が更に酸基を有する場合において、エチレン性不飽和結合基を有する化合物の好ましい酸価は0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。
【0082】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物は、さらにカプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0083】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物として、エチレン性不飽和結合基とアルキレンオキシ基を有する化合物を用いることもできる。エチレン性不飽和結合基とアルキレンオキシ基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合基と、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基とを有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基とエチレンオキシ基とを有する化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合基とアルキレンオキシ基を有する化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0084】
エチレン性不飽和結合基を有する化合物としては、特公昭48-41708号公報、特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、特公平2-16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、特公昭62-39418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平1-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するエチレン性不飽和結合基を有する化合物を用いることも好ましい。市販品としては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学(株))製などが挙げられる。
また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物としては、特開2017-48367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物を用いることもできる。
また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物としては、8UH-1006、8UH-1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることも好ましい。
【0085】
吸収層形成用組成物が硬化性化合物としてエチレン性不飽和結合基を有する化合物を含有する場合、エチレン性不飽和結合基を有する化合物の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、1~60質量%が好ましい。下限は、例えば5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。エチレン性不飽和結合基を有する化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、これらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0086】
(エポキシ基を有する化合物)
エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)は、エポキシ基を1分子内に1~100個有する化合物であることが好ましい。エポキシ基の下限は、2個以上がより好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。
【0087】
エポキシ化合物は、エポキシ当量(=エポキシ化合物の分子量/エポキシ基の数)が500g/当量以下であることが好ましく、100~400g/当量であることがより好ましく、100~300g/当量であることが更に好ましい。
【0088】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下がさらに好ましく、5000以下が一層好ましく、3000以下がより一層好ましい。
【0089】
エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0090】
吸収層形成用組成物が硬化性化合物としてエポキシ化合物を含有する場合、エポキシ化合物の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、0.1~60質量%が好ましい。下限は、例えば1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0091】
<<光重合開始剤>>
吸収層形成用組成物は、硬化性化合物として重合性化合物を含有する場合、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する化合物であってもよい。光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0092】
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光重合開始剤については、特開2014-130173号公報の段落番号0065~0111、特開2013-29760号公報の段落番号0274~0306の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0093】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0094】
オキシム化合物としては、例えば、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-66385号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-19766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開WO2015/152153号公報に記載の化合物、国際公開WO2017/051680公報に記載の化合物などがあげられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、および2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)も好適に用いられる。また、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-305(常州強力電子新材料有限公司(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)、アデカアークルズNCI-930、アデカオプトマーN-1919(特開2012-14052号公報の光重合開始剤2)(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
【0095】
また上記以外のオキシム化合物として、カルバゾール環のN位にオキシムが連結した特表2009-519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010-15025号公報および米国特許公開2009-292039号に記載の化合物、国際公開WO2009/131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許第7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有し、g線光源に対して良好な感度を有する特開2009-221114号公報に記載の化合物などを用いてもよい。
【0096】
本発明は、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0097】
本発明は、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載の化合物OE-01~OE-75が挙げられる。
【0098】
本発明は、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開WO2013/083505号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0099】
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0100】
本発明は、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載の化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載の化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0101】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0102】
【化5】

【化6】
【0103】
オキシム化合物は、350nm~500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm~480nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、365nmおよび405nmの吸光度が高い化合物が好ましい。
【0104】
オキシム化合物の365nmまたは405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000~300,000であることが好ましく、2,000~300,000であることがより好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0105】
本発明は、光重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光重合開始剤を用いてもよい。そのような光重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開WO2015/004565号公報、特表2016-532675号公報の段落番号0417~0412、国際公開WO2017/033680号公報の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体や、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開WO2016/034963号公報に記載されているCmpd1~7などが挙げられる。
【0106】
吸収層形成用組成物が光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、1~20質量%が好ましい。下限は、例えば3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。吸収層形成用組成物は、光重合開始剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。光重合開始剤を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0107】
<<樹脂>>
吸収層形成用組成物は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0108】
吸収層形成用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、1~60質量%が好ましい。下限は、例えば5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0109】
(分散剤)
吸収層形成用組成物は樹脂として分散剤を含むことが好ましい。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、5~105mgKOH/gが好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基が好ましい。
【0110】
分散剤としては、例えば、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0111】
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。高分子分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子を好ましい構造として挙げることができる。また、特開2011-070156号公報の段落番号0028~0124に記載の分散剤や特開2007-277514号公報に記載の分散剤も好ましく用いられる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0112】
本発明において、樹脂は、側鎖にグラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂(以下、グラフト樹脂ともいう)を用いることが好ましい。この態様によれば、顔料の分散性をより向上させることができる。ここで、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、顔料などの分散性を高めることができる。グラフト鎖においては、水素原子を除いた原子数が40~10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50~2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60~500であることが更に好ましい。
【0113】
グラフト鎖は、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリ(メタ)アクリル鎖、ポリウレタン鎖、ポリウレア鎖およびポリアミド鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリ(メタ)アクリル鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことがより好ましく、ポリエステル鎖を含むことが更に好ましい。
【0114】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、顔料などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0115】
グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト樹脂の具体例としては、特開2012-255128号公報の段落番号0072~0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0116】
また、本発明では、樹脂として、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系樹脂を用いることができる。オリゴイミン系樹脂は、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン-エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の、窒素原子を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。オリゴイミン系樹脂については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0174の記載を参酌でき、本明細書には上記内容が組み込まれる。オリゴイミン系分散剤の具体例としては、特開2012-255128号公報の段落番号0168~0174に記載の樹脂を挙げることができる。
【0117】
分散剤としての樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品を分散剤として用いることもできる。例えば、Disperbyk-111(BYKChemie社製)などが挙げられる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0118】
分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して1~200質量部が好ましい。下限は、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。上限は、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。
【0119】
(アルカリ可溶性樹脂)
吸収層形成用組成物は、樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤やバインダーとして用いることもできる。
【0120】
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ溶解を促進する基を有する樹脂の中から適宜選択することができる。アルカリ溶解を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。アルカリ可溶性樹脂が有する酸基の種類は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0121】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000~100,000が好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、1000~20,000が好ましい。
【0122】
アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。また、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0123】
アルカリ可溶性樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、部分エステル化マレイン酸等のモノマーに由来する繰り返し単位を有する共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有するポリマーに酸無水物を付加させたポリマーが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどが挙げられる。ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また、他のモノマーとして、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等の特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0124】
アルカリ可溶性樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体を好ましく用いることができる。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のモノマーとを共重合した共重合体、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。また、市販品としては、例えばFF-426(藤倉化成社製)などを用いることもできる。
【0125】
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることもできる。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、重合性基を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂等が有用である。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂の市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR-264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュアーRD-F8((株)日本触媒製)、DP-1305(富士ファインケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
【0126】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および特開2010-168539号公報の式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分を重合してなるポリマーを含むことも好ましい。
【0127】
【化7】
【0128】
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【0129】
エーテルダイマーの具体例としては、特開2013-29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0130】
エーテルダイマーを含むモノマー成分を重合してなるポリマーとしては、例えば下記構造のポリマーが挙げられる。
【化8】
【0131】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化9】

式(X)において、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0132】
上記式(X)において、Rのアルキレン基の炭素数は、2~3が好ましい。また、Rのアルキル基の炭素数は1~10が好ましい。Rのアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。Rで表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2-フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
【0133】
アルカリ可溶性樹脂は、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012-32767号公報の段落番号0029~0063に記載の共重合体(B)および実施例で用いられているアルカリ可溶性樹脂、特開2012-208474号公報の段落番号0088~0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-137531号公報の段落番号0022~0032に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2013-024934号公報の段落番号0132~0143に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2011-242752号公報の段落番号0092~0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-032770号公報の段落番号0030~0072に記載のバインダー樹脂を用いることもできる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0134】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が一層好ましく、120mgKOH/g以下が特に好ましい。
【0135】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対して、1~60質量%が好ましい。下限は、例えば5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0136】
(その他の樹脂)
吸収層形成用組成物は、樹脂として上述した分散剤やアルカリ可溶性樹脂の欄で説明した樹脂以外の樹脂(その他の樹脂ともいう)を含有することができる。その他の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。他の樹脂は、これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、本発明では、樹脂として、特開2017-57265号公報、特開2017-32685号公報、特開2017-075248号公報、特開2017-066240号公報に記載された樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0137】
<<顔料誘導体>>
吸収層形成用組成物は、顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基、塩基性基またはフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、フタロシアニン系骨格、アンスラキノン系骨格、キナクリドン系骨格、ジオキサジン系骨格、ペリノン系骨格、ペリレン系骨格、チオインジゴ系骨格、イソインドリン系骨格、イソインドリノン系骨格、キノフタロン系骨格、スレン系骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、キノフタロン系骨格、イソインドリン系骨格およびフタロシアニン系骨格が好ましく、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格がより好ましい。顔料誘導体が有する酸基としては、スルホ基、カルボキシル基が好ましく、スルホ基がより好ましい。顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、三級アミノ基がより好ましい。顔料誘導体の具体例としては、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
吸収層形成用組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1~30質量部が好ましく、3~20質量部がさらに好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。顔料誘導体を2種以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0138】
<<溶剤>>
吸収層形成用組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は有機溶剤が好ましい。溶剤は、各成分の溶解性や吸収層形成用組成物の塗布性を満足すれば特に制限はない。
【0139】
有機溶剤としては、例えば、以下の有機溶剤が挙げられる。エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下、10質量ppm以下、あるいは1質量ppm以下とすることができる)。
【0140】
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤を2種以上組み合わせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0141】
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。また、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、例えば有機溶剤の金属含有量は、10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて有機溶剤の金属含有量が質量ppt(parts per trillion)レベルのものを用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0142】
溶剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分が5~80質量%となる量が好ましい。下限は10質量%以上がより好ましい。上限は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下がさらにより好ましい。
【0143】
また、吸収層形成用組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、吸収層形成用組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、吸収層形成用組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した組成物の段階いずれの段階でも可能である。
【0144】
<<界面活性剤>>
吸収層形成用組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用でき、塗布性をより向上できるという理由からフッ素系界面活性剤が好ましい。
【0145】
吸収層形成用組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで、塗布液として調製したときの液特性が向上し、塗布厚の均一性をより改善することができる。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する吸収層形成用組成物を適用した塗布液を用いて膜を形成する場合においては、塗布膜の表面の界面張力が低下して、乾燥の均一性が向上する。このため、塗布ムラの少ない膜形成をより好適に行うことができる。
【0146】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好ましく、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率が上記範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、吸収層形成用組成物中における溶解性も良好である。
【0147】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の化合物を用いることもできる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられる。
【0148】
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21が挙げられ、これらを用いてもよい。
【0149】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位とを含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化10】

上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば、14,000である。
【0150】
フッ素系界面活性剤として、エチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718-K、RS-72-K等が挙げられる。
【0151】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0152】
カチオン系界面活性剤としては、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0153】
アニオン系界面活性剤としては、W004、W005、W017(裕商(株)製)、サンデットBL(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
【0154】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0155】
吸収層形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、0.001~2.0質量%が好ましい。下限は、例えば0.005質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、1.0質量%以下がより好ましい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤を2種類以上含む場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0156】
<<シランカップリング剤>>
吸収層形成用組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応および/または縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられる。
【0157】
シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、および、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の基と、アルコキシ基とを有するシラン化合物が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-503)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-403)等が挙げられる。シランカップリング剤の詳細については、特開2013-254047号公報の段落番号0155~0158の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、下記構造の化合物も挙げられる。以下の構造式中、Etはエチル基を表す。
【化11】
【0158】
吸収層形成用組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対し、0.001~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が特に好ましい。吸収層形成用組成物は、シランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。シランカップリング剤を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0159】
<<重合禁止剤>>
吸収層形成用組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)等が挙げられる。
吸収層形成用組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対して、0.01~5質量%が好ましい。吸収層形成用組成物は、重合禁止剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0160】
<<その他添加剤>>
吸収層形成用組成物には、必要に応じて、各種添加剤、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤等を配合することができる。これらの添加剤としては、特開2004-295116号公報の段落番号0155~0156に記載の添加剤を挙げることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、酸化防止剤としては、例えばフェノール化合物、リン系化合物(例えば特開2011-90147号公報の段落番号0042に記載の化合物)、チオエーテル化合物などを用いることができる。市販品としては、例えば(株)ADEKA製のアデカスタブシリーズ(AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-50F、AO-60、AO-60G、AO-80、AO-330など)が挙げられる。また、酸化防止剤として、国際公開WO2017/006600号公報に記載された多官能ヒンダードアミン酸化防止剤を用いることもできる。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては国際公開WO2014/021023号公報、国際公開WO2017/030005号公報、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
【0161】
<着色画素形成用組成物>
次に、カラーフィルタにおける着色画素の形成に好ましく用いることができる組成物(着色画素形成用組成物)について説明する。着色画素形成用組成物は、着色剤を含むことが好ましい。着色剤としては、黄色着色剤、オレンジ色着色剤、赤色着色剤、緑色着色剤、紫色着色剤、青色着色剤などの有彩色着色剤が挙げられる。着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。
【0162】
顔料の具体例として、以下を挙げることができる。
カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214(以上、黄色顔料);
C.I.ピグメントオレンジ2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73(以上、オレンジ色顔料);
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279(以上、赤色顔料);
C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、59(以上、緑色顔料);
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、32、37、42、58、59(以上、紫色顔料);
C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、80(以上、青色顔料)。
【0163】
また、緑色着色剤として、分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/118720号公報に記載された化合物が挙げられる。
【0164】
また、青色着色剤として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載された化合物などが挙げられる。
【0165】
また、黄色着色剤として、上述した着色剤Yで挙げた化合物を用いることもできる。
【0166】
染料としては、例えば特開昭64-90403号公報、特開昭64-91102号公報、特開平1-94301号公報、特開平6-11614号公報、米国特許4808501号明細書、特開平5-333207号公報、特開平6-35183号公報、特開平6-51115号公報、特開平6-194828号公報等に開示されている染料が挙げられる。化学構造として区分すると、ピラゾールアゾ化合物、ピロメテン化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物等が挙げられる。
【0167】
また、着色剤として色素多量体を用いてもよい。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましいが、粒子を形成していてもよい。色素多量体が粒子である場合は、色素多量体を溶剤などに分散して用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができる。粒子状態の色素多量体としては、例えば、特開2015-214682号公報に記載されている化合物が挙げられる。また、色素多量体として、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0168】
着色剤の含有量は、着色画素形成用組成物の全固形分に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上がより一層好ましく、60質量%以上が更に一層好ましく、65質量%以上が特に好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。着色画素形成用組成物に含まれる着色剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。着色剤が2種以上含まれる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0169】
着色画素形成用組成物は、更に、樹脂、硬化性化合物、光重合開始剤、顔料誘導体、溶剤、界面活性剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの詳細については、上述した吸収層形成用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、これらの材料の好ましい含有量についても吸収層形成用組成物における含有量と同様である。
【0170】
<透明画素形成用組成物>
次に、カラーフィルタにおける透明画素の形成に好ましく用いることができる組成物(透明画素形成用組成物)について説明する。透明画素形成用組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂としては、上述した吸収層形成用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、樹脂の好ましい含有量についても吸収層形成用組成物における含有量と同様である。吸収層形成用組成物は、更に、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSから選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物の粒子(無機粒子ともいう)を含有することもできる。前述の無機粒子を含有する場合、無機粒子の含有量は、吸収層形成用組成物の全固形分に対して、20~70質量%であることが好ましい。下限は、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。上限は、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。透明画素形成用組成物は、更に、硬化性化合物、光重合開始剤、溶剤、界面活性剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの詳細については、上述した吸収層形成用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、これらの材料の好ましい含有量についても吸収層形成用組成物における含有量と同様である。
【0171】
<赤外線透過層形成用組成物>
次に、本発明の構造体における赤外線透過層の画素の形成に好ましく用いることができる組成物(赤外線透過層形成用組成物)について説明する。赤外線透過層形成用組成物は、波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aと、波長1100~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bとの比であるA/Bが5以上であることが好ましく、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。
【0172】
赤外線透過層形成用組成物において、上記吸光度の条件は、例えば、後述する遮光材の種類およびその含有量を調整することにより、上記吸光度の条件を好適に達成できる。
【0173】
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(1)により定義される。
Aλ=-log(Tλ/100) ・・・(1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、赤外線透過層形成用組成物を用いて製膜した膜での値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように赤外線透過層形成用組成物を塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥して調製した膜を用いて測定することが好ましい。膜の厚さは、膜を有する基板について、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定することができる。
【0174】
また、吸光度は、従来公知の分光光度計を用いて測定できる。吸光度の測定条件は特に限定はないが、波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aが、0.1~3.0になるように調整した条件で、波長1100~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bを測定することが好ましい。このような条件で吸光度を測定することで、測定誤差をより小さくできる。波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aが、0.1~3.0になるように調整する方法としては、特に限定はない。例えば、溶液の状態で吸光度を測定する場合は、試料セルの光路長を調整する方法が挙げられる。また、膜の状態で吸光度を測定する場合は、膜厚を調整する方法などが挙げられる。
【0175】
赤外線透過層形成用組成物は遮光材を含有することが好ましい。遮光材は、紫色から赤色の波長領域の光を吸収する色材であることが好ましい。また、遮光材は、波長400~640nmの波長領域の光を遮光する色材であることが好ましい。また、遮光材は、波長1100~1300nmの光を透過させる色材であることが好ましい。遮光材は、以下の(1)および(2)の少なくとも一方の要件を満たすことが好ましい。
(1):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。
(2):有機系黒色着色剤を含む。(2)の態様において、更に有彩色着色剤を含有することも好ましい。
【0176】
遮光材は、例えば、波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aと、波長1100~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bとの比であるA/Bが4.5以上であることが好ましい。上記の特性は、1種類の素材で満たしていてもよく、複数の素材の組み合わせで満たしていてもよい。例えば、上記(1)の態様の場合、複数の有彩色着色剤を組み合わせて上記分光特性を満たしていることが好ましい。また、上記(2)の態様の場合、有機系黒色着色剤が上記分光特性を満たしていてもよい。また、有機系黒色着色剤と有彩色着色剤との組み合わせで上記の分光特性を満たしていてもよい。
【0177】
遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。すなわち、遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種類以上の着色剤の組み合わせで黒色を形成していることが好ましい。好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(1)赤色着色剤と青色着色剤とを含有する態様。
(2)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤とを含有する態様。
(3)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
(4)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(5)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(6)赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(7)黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
【0178】
上記(1)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤=20~80:20~80であることが好ましく、20~60:40~80であることがより好ましく、20~50:50~80であることが更に好ましい。
上記(2)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤=10~80:20~80:10~40であることが好ましく、10~60:30~80:10~30であることがより好ましく、10~40:40~80:10~20であることが更に好ましい。
上記(3)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤=10~80:20~80:5~40:5~40であることが好ましく、10~60:30~80:5~30:5~30であることがより好ましく、10~40:40~80:5~20:5~20であることが更に好ましい。
上記(4)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤:緑色着色剤=10~80:20~80:5~40:5~40:5~40であることが好ましく、10~60:30~80:5~30:5~30:5~30であることがより好ましく、10~40:40~80:5~20:5~20:5~20であることが更に好ましい。
上記(5)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:緑色着色剤=10~80:20~80:5~40:5~40であることが好ましく、10~60:30~80:5~30:5~30であることがより好ましく、10~40:40~80:5~20:5~20であることが更に好ましい。
上記(6)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:緑色着色剤=10~80:20~80:10~40であることが好ましく、10~60:30~80:10~30であることがより好ましく、10~40:40~80:10~20であることが更に好ましい。
上記(7)の態様において、黄色着色剤と紫色着色剤の質量比は、黄色着色剤:紫色着色剤=10~50:40~80であることが好ましく、20~40:50~70であることがより好ましく、30~40:60~70であることが更に好ましい。
【0179】
黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー139,150,185が好ましく、C.I.ピグメントイエロー139,150がより好ましく、C.I.ピグメントイエロー139が更に好ましい。青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。紫色着色剤としては、C.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。赤色着色剤としては、C.I.ピグメントレッド122,177,224,254が好ましく、C.I.ピグメントレッド122、177、254がより好ましく、C.I.ピグメントレッド254が更に好ましい。緑色着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59が好ましい。
【0180】
遮光材として有機系黒色着色剤を用いる場合、有彩色着色剤と組み合わせて使用することが好ましい。有機系黒色着色剤と有彩色着色剤とを併用することで、優れた分光特性が得られ易い。有機系黒色着色剤と組み合わせて用いる有彩色着色剤としては、例えば、赤色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤などが挙げられ、赤色着色剤および青色着色剤が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、有彩色着色剤と有機系黒色着色剤との混合割合は、有機系黒色着色剤100質量部に対して、有彩色着色剤が10~200質量部が好ましく、15~150質量部がより好ましい。
【0181】
遮光材における顔料の含有量は、遮光材の全量に対して95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましい。
【0182】
遮光材の含有量は、赤外線透過層形成用組成物の全固形分に対して5~60質量%であることが好ましい。下限は、9質量%以上が好ましく、13質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0183】
赤外線透過層形成用組成物は、更に、赤外線吸収剤を含有することもできる。赤外線透過層形成用組成物において、赤外線吸収剤は透過する光(赤外線)をより長波長側に限定する役割を有している。赤外線吸収剤としては、赤外領域(好ましくは、波長700~1300nmの範囲、より好ましくは波長700~1000nmの範囲)に極大吸収波長を有する化合物を好ましく用いることができる。
【0184】
赤外線吸収剤としては、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物及びジベンゾフラノン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジイモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール化合物が特に好ましい。ピロロピロール化合物の具体例としては、特開2009-263614号公報の段落番号0016~0058に記載の化合物、特開2011-68731号公報の段落番号0037~0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010~0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。スクアリリウム化合物の具体例としては、特開2011-208101号公報の段落番号0044~0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060~0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、特開2015-176046号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0072に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物の具体例としては、特開2009-108267号公報の段落番号0044~0045に記載の化合物、特開2002-194040号公報の段落番号0026~0030に記載の化合物、特開2015-172004号公報に記載の化合物、特開2015-172102号公報に記載の化合物、特開2008-88426号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0090に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ジイモニウム化合物の具体例としては、特表2008-528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物の具体例としては、特開2012-77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006-343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013-195480号公報の段落番号0013~0029に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ナフタロシアニン化合物の具体例としては、特開2012-77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、赤外線吸収化合物としては、特開2016-146619号公報に記載された化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0185】
赤外線透過層形成用組成物が赤外線吸収剤を含有する場合、赤外線吸収剤の含有量は、赤外線透過層形成用組成物の全固形分に対して1~30質量%であることが好ましい。上限は、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。下限は、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、赤外線吸収剤と遮光材との合計量は、赤外線透過層形成用組成物の全固形分の10~70質量%であることが好ましい。下限は、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。また、赤外線吸収剤と遮光材との合計量中における、赤外線吸収剤の含有量は、5~40質量%であることが好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。
【0186】
赤外線透過層形成用組成物は、更に、樹脂、硬化性化合物、光重合開始剤、顔料誘導体、溶剤、界面活性剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、潜在酸化防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの詳細については、上述した吸収層形成用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、これらの材料の好ましい含有量についても吸収層形成用組成物における含有量と同様である。
【0187】
<組成物の収容容器>
上述した各組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収納容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
【0188】
<組成物の調製方法>
上述した各組成物は、前述の成分を混合して調製できる。組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
【0189】
また、組成物が顔料などの粒子を含む場合は、粒子を分散させるプロセスを含むことが好ましい。粒子を分散させるプロセスにおいて、粒子の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における粒子の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、粒子を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また粒子を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0190】
組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01~7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01~3.0μm程度であり、更に好ましくは0.05~0.5μm程度である。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物を確実に除去できる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。具体的には、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジが挙げられる。
【0191】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。第2のフィルタは、第1のフィルタと同様の素材等で形成されたものを使用することができる。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0192】
<構造体の製造方法>
次に、本発明の構造体の製造方法について説明する。本発明の構造体の製造方法は、カラーフィルタを形成する工程と、吸収層を形成する工程とを含み、
カラーフィルタは、2種以上の異なる種類の画素を有し、
吸収層は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含み、
構造体は、吸収層を、カラーフィルタの画素のうち少なくとも1種の画素の光路上であって前述の画素への光の入射側に有し、
吸収層を形成する工程は、黄色着色剤および波長400~500nmの範囲に極大吸収波長を有する着色剤から選ばれる少なくとも1種を含む吸収層形成用組成物を塗布する工程を含む。
本発明の構造体の製造方法において、吸収層は、カラーフィルタを形成した後、形成することが好ましい。すなわち、カラーフィルタを形成する工程を行った後、吸収層を形成する工程を行うことが好ましい。以下、各工程について詳細に説明する。
【0193】
<<カラーフィルタを形成する工程>>
カラーフィルタを形成する工程は、カラーフィルタの各画素形成用組成物を塗布して画素形成用組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により、画素形成用組成物層に対してパターンを形成する工程と、を含むことが好ましい。画素形成用組成物としては、上述した着色画素形成用組成物、透明画素形成用組成物、赤外線透過層形成用組成物が用いられる。少なくとも1種の画素は、着色画素形成用組成物を用いて形成することが好ましい。フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、画素形成用組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の画素形成用組成物層を現像除去してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。ドライエッチング法でのパターン形成方法としては、画素形成用組成物層を硬化して硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成する工程と、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程とを含むことが好ましい。以下、各工程について説明する。
【0194】
(画素形成用組成物層を形成する工程)
画素形成用組成物層を形成する工程では、支持体上に画素形成用組成物を形成することが好ましい。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。固体撮像素子などの各種電子デバイスなどで使用されている基板(シリコンウエハ、炭化ケイ素ウエハ、窒化ケイ素ウエハ、サファイアウエハ、ガラスウエハなど)を用いることができる。また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0195】
画素形成用組成物層の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の方法を用いることができる。
【0196】
画素形成用組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスによりパターンを形成する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク温度を150℃以下で行うことにより、例えば、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合において、これらの特性をより効果的に維持することができる。プリベーク時間は、10秒~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0197】
(フォトリソグラフィ法でパターン形成する場合)
[露光工程]
次に、画素形成用組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、画素形成用組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
【0198】
[現像工程]
次に、未露光部を現像除去してパターンを形成する。未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の画素形成用組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液(アルカリ性水溶液)が望ましい。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0199】
現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を含有させて用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
【0200】
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば100~240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200~230℃がより好ましい。ポストベーク後の膜のヤング率は0.5~20GPaが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。また、硬化膜が形成される支持体が、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子や、有機素材で構成された光電変換膜を有するイメージセンサなどを含む場合においては、ポストベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、90℃以下が特に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができる。ポストベークは、現像後の膜(硬化膜)を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。また、フタロシアニン顔料(特にフタロシアニン系緑色顔料)を含む画素については、硬化性を高めると耐候性を良化することがある。画素の硬化性を高める方法としては、紫外線硬化や、窒素雰囲気下での加熱処理、ポストベーク後にさらに加熱処理を行う、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0201】
(ドライエッチング法でパターン形成する場合)
ドライエッチング法でのパターン形成は、画素形成用組成物層を支持体上などに塗布して形成した画素形成用組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。フォトレジスト層は、硬化物層上にポジ型またはネガ型の感放射線性組成物を塗布し、これを乾燥させることによりフォトレジスト層を形成することが好ましい。フォトレジスト層の形成に用いる感放射線性組成物としては、ポジ型の感放射線性組成物が好ましく用いられる。ポジ型の感放射線性組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、KrF線、ArF線等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応する感放射線性組成物が好ましい。上述のポジ型の感放射線性組成物は、KrF線、ArF線、i線、X線に感応する感放射線性組成物が好ましく、微細加工性の観点からKrF線に感応する感放射線性組成物がより好ましい。ポジ型の感光性樹脂組成物としては、特開2009-237173号公報や特開2010-134283号公報に記載のポジ型レジスト組成物が好適に用いられる。フォトレジスト層の形成において、感放射線性組成物の露光工程は、KrF線、ArF線、i線、X線などで行うことが好ましく、KrF線、ArF線、X線などで行うことがより好ましく、KrF線で行うことが更に好ましい。
【0202】
画素の種類ごとに上述した各工程を順次繰り返すことで、2種以上の異なる種類の画素を有するカラーフィルタを製造することができる。
【0203】
カラーフィルタにおいて、各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、表面粗さRaが100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は限定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。表面粗さの測定は、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。
また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。
【0204】
カラーフィルタにおいて、各画素の体積抵抗値は高いことが望まれる。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は限定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0205】
<<吸収層を形成する工程>>
次に、吸収層を形成する工程について説明する。吸収層は、上述した吸収層形成用組成物を塗布する工程と含む。吸収層形成用組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の方法を用いることができる。
【0206】
上述したように、本発明の構造体において吸収層は、カラーフィルタの画素への光の入射側に設けられていればよい。したがって、吸収層形成用組成物は、カラーフィルタの表面に塗布してもよく、カラーフィルタの画素の光路上であってこの画素への光の入射側に設けられた各種の層や部材(例えば、平坦化層、マイクロレンズ、集光レンズ、赤外線カットフィルタ、封止ガラス)の表面に塗布してもよい。なかでも、カラーフィルタの耐湿性をより向上させやすいという理由から、カラーフィルタの表面に吸収層形成用組成物を塗布することが好ましい。
【0207】
吸収層形成用組成物を塗布して形成した組成物層に対し、乾燥(プリベーク)を行ってもよい。プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10秒~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0208】
上記乾燥を施した後に、硬化処理を行うことも好ましい。硬化処理としては、熱硬化処理や光硬化処理などが挙げられる。また、熱硬化処理と光硬化処理とを併用することもできる。熱硬化処理を行う場合、熱硬化温度は、例えば180~260℃が好ましい。熱硬化温度の上限は250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましい。熱硬化温度の下限は190℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。熱硬化時間は、60~600秒が好ましい。熱硬化時間の上限は、300秒以下が好ましく、180秒以下がより好ましい。熱硬化時間の下限は、80秒以上が好ましく、100秒以上がより好ましい。熱硬化処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。また、光硬化に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく、i線がより好ましい。照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。光硬化における酸素濃度については適宜選択することができる。
【0209】
本発明において、吸収層を形成する工程は、更にパターンを形成する工程を含んでいてもよい。カラーフィルタが吸収層によって色相に影響がもたらされる種類の画素を含んでいる場合においては、これらの画素の光路上には吸収層が設けられないようにパターン形成することが好ましい。吸収層によって影響がもたらされる種類の画素としては、上述した画素が挙げられる。パターンを形成する工程は、上述した硬化処理工程の前、または、上述した硬化処理にかえて行うことが好ましい。
【0210】
パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法が好ましい。フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法の詳細については、上述した方法と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0211】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の構造体を含む。固体撮像素子の構成としては、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0212】
支持体上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを含む本発明の構造体を有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により格子状に仕切られた空間に、各画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0213】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の構造体を含む。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例
【0214】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
【0215】
<吸収層形成用組成物の調製>
[顔料分散液の調製]
以下に示す原料を攪拌および混合した後、ビーズミルにより3時間混合および分散して各顔料分散液を調製した。
【0216】
(顔料分散液Y-1)
C.I.ピグメントイエロー150・・・11.3質量部
分散樹脂1・・・8.4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル アセテート(PGMEA)・・・68.3質量部
シクロヘキサノン・・・12.0質量部
【0217】
(顔料分散液Y-2)
C.I.ピグメントイエロー185・・・12.4質量部
分散樹脂1・・・3.8質量部
PGMEA・・・83.7質量部
【0218】
(顔料分散液Y-3)
C.I.ピグメントイエロー139・・・12.4質量部
分散樹脂1・・・3.8質量部
PGMEA・・・83.7質量部
【0219】
分散樹脂1:下記構造の樹脂(Mw=24,000、主鎖に付記した数値はモル数であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。)
【化12】
【0220】
[吸収層形成用組成物の調製]
以下に示す原料を攪拌および混合して各吸収層形成用組成物を調製した。
【0221】
(吸収層形成用組成物1)
顔料分散液Y-1・・・62.6質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・23.4質量部
【0222】
(吸収層形成用組成物2)
顔料分散液Y-2・・・58.1質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・20.7質量部
【0223】
(吸収層形成用組成物3)
顔料分散液Y-3・・・58.1質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・20.7質量部
【0224】
(吸収層形成用組成物4)
顔料分散液Y-1・・・62.6質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤2・・・4.8質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・23.4質量部
【0225】
(吸収層形成用組成物5)
顔料分散液Y-2・・・58.1質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤2・・・5.0質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・20.7質量部
【0226】
(吸収層形成用組成物6)
顔料分散液Y-3・・・58.1質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤2・・・10.2質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・20.7質量部
【0227】
(吸収層形成用組成物7)
染料溶液Y-1・・・62.6質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・23.4質量部
【0228】
(吸収層形成用組成物8)
染料溶液Y-2・・・62.6質量部
樹脂1・・・1.5質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・23.4質量部
【0229】
(吸収層形成用組成物9)
顔料分散液Y-1・・・62.6質量部
樹脂1・・・2.9質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・23.4質量部
【0230】
(吸収層形成用組成物10)
顔料分散液Y-1・・・71.4質量部
樹脂1・・・3.2質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1・・・1.4重量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・13.0質量部
【0231】
(吸収層形成用組成物11)
顔料分散液Y-1・・・71.4質量部
樹脂1・・・3.2質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤2・・・1.4重量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・13.0質量部
【0232】
(吸収層形成用組成物12)
顔料分散液Y-1・・・85.7質量部
樹脂1・・・0.9質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・2.4質量部
【0233】
(比較組成物1)
樹脂1・・・30質量部
重合性化合物1・・・2.2質量部
重合性化合物2・・・1.9質量部
シランカップリング剤1・・・1.8質量部
光重合開始剤1・・・0.9質量部
界面活性剤1・・・4.2質量部
紫外線吸収剤2・・・5質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール)・・・0.001質量部
PGMEA・・・54質量部
【0234】
・樹脂1:下記構造の樹脂(Mw=11,000、主鎖に付記した数値はモル数である。固形分40質量%のPGMEA溶液。)
【化13】

・光重合開始剤1:IRGACURE-OXE01(BASF社製)
・界面活性剤1:下記化合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化14】

・重合性化合物1:下記構造の化合物の混合物(左側化合物と右側化合物とのモル比が7:3の混合物)の56質量%PGMEA溶液
【化15】

・重合性化合物2:下記構造の化合物の65質量%PGMEA溶液
【化16】

・シランカップリング剤1:下記構造の化合物の10質量%PGMEA溶液(以下の構造式中、Etはエチル基である)
【化17】

・紫外線吸収剤1:下記構造の化合物
【化18】

・紫外線吸収剤2:Tinuvin477(BASF製、トリアジン化合物)
・染料溶液Y-1:C.I.ソルベントイエロー162の11.3質量部をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)の90質量部に溶解させた溶液。
・染料溶液Y-2:下記黄色染料Aの11.3質量部をテトラヒドロフランの90質量部に溶解させた溶液。
黄色染料A:下記構造の化合物
【化19】
【0235】
<着色画素形成用組成物の調製>
以下に示す原料を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して各色の画素形成用組成物を調製した。
【0236】
(赤色画素形成用組成物)
Red顔料分散液・・・51.7質量部
樹脂11・・・0.6質量部
重合性化合物11・・・0.6質量部
光重合開始剤11・・・0.3質量部
界面活性剤11・・・4.2質量部
PGMEA・・・42.6質量部
【0237】
(緑色画素形成用組成物1)
Green顔料分散液1・・・73.7質量部
樹脂11・・・0.3質量部
重合性化合物12・・・1.2質量部
光重合開始剤11・・・0.6質量部
界面活性剤11・・・4.2質量部
紫外線吸収剤11・・・0.5質量部
PGMEA・・・19.5質量部
【0238】
(緑色画素形成用組成物2)
Green顔料分散液2・・・73.7質量部
樹脂11・・・0.3質量部
重合性化合物12・・・1.2質量部
光重合開始剤11・・・0.6質量部
界面活性剤11・・・4.2質量部
紫外線吸収剤11・・・0.5質量部
PGMEA・・・19.5質量部
【0239】
(緑色画素形成用組成物3)
Green顔料分散液3・・・73.7質量部
樹脂11・・・0.3質量部
重合性化合物12・・・1.2質量部
光重合開始剤11・・・0.6質量部
界面活性剤11・・・4.2質量部
紫外線吸収剤11・・・0.5質量部
PGMEA・・・19.5質量部
【0240】
(緑色画素形成用組成物4~7)
Green顔料分散液1をGreen顔料分散液4~7に置き換えた以外は緑色画素形成用組成物1と同様にして緑色画素形成用組成物4~7を得た。
【0241】
(緑色画素形成用組成物8~11)
Green顔料分散液1をGreen顔料分散液8~11に置き換えた以外は緑色画素形成用組成物1と同様にして緑色画素形成用組成物8~11を得た。
【0242】
(緑色画素形成用組成物12~15)
紫外線吸収剤11の0.5質量部を、それぞれ添加剤12~15に変えた以外は緑色画素形成用組成物1と同様にして緑色画素形成用組成物12~15を得た。
【0243】
(緑色画素形成用組成物16~27)
重合性化合物12の1.2質量部を、それぞれ重合性化合物16~27に変えた以外は緑色画素形成用組成物1と同様にして緑色画素形成用組成物16~27を得た。
【0244】
(緑色画素形成用組成物28~34)
樹脂11の0.3質量部を、それぞれ樹脂28~34に変えた以外は緑色画素形成用組成物1と同様にして緑色画素形成用組成物16~27を得た。
【0245】
(青色画素形成用組成物)
Blue顔料分散液・・・44.9質量部
樹脂11・・・2.1質量部
重合性化合物11・・・1.5質量部
重合性化合物13・・・0.7質量部
光重合開始剤12・・・0.8質量部
界面活性剤11・・・4.2質量部
PGMEA・・・45.8質量部
【0246】
各色の画素形成用組成物に用いた原料は以下である。
・Red顔料分散液
C.I.ピグメントレッド254の9.6質量部と、C.I.ピグメントイエロー139の4.3質量部と、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の6.8質量部と、PGMEAの79.3質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)を用いて3時間混合および分散した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Red顔料分散液を得た。
【0247】
・Green顔料分散液1
C.I.ピグメントグリーン58の6.4質量部と、C.I.ピグメントイエロー185の5.3質量部と、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の5.2質量部と、PGMEAの83.1質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)を用いて3時間混合および分散した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液1を得た。
【0248】
・Green顔料分散液2
C.I.ピグメントグリーン58の11.7質量部と、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の5.2質量部と、PGMEAの83.1質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)を用いて3時間混合および分散した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液2を得た。
【0249】
・Green顔料分散液3
C.I.ピグメントグリーン36の11.7質量部と、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の5.2質量部と、PGMEAの83.1質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)を用いて3時間混合および分散した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/min5として分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液3を得た。
【0250】
・Green顔料分散液4~7
C.I.ピグメントイエロー185の5.3質量部を下記化合物1~4に置き換えた以外は、Green顔料分散液1と同様に処理を行いGreen顔料分散液4~7を得た。
【化20】
【0251】
・Green顔料分散液8~11
分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の5.2質量部を下記顔料分散剤1~4に置き換えた(固形分が同じ質量部となるように調整した)以外はGreen顔料分散液1と同様の処理を行いGreen顔料分散液8~11を得た。
【0252】
[顔料分散剤1]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1段目の合成として、メチルメタクリレート100質量部、n-ブチルアクリレート100質量部、N-置換マレイミドとしてシクロへキシルマレイミド50質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、2段目の合成として、ピロメリット酸無水物30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160質量部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、固形分当たりの酸価45mgKOH/g、重量平均分子量9500の顔料分散剤1を得た。
【0253】
[顔料分散剤2]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1段目の合成として、メチルメタクリレート100質量部、n-ブチルアクリレート100質量部、N-置換マレイミドとしてN-フェニルマレイミド35質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12質量部を添加した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、2段目の合成として、ピロメリット酸無水物30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160質量部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、固形分当たりの酸価80mgKOH/g、重量平均分子量7800の顔料分散剤2を得た。
【0254】
[顔料分散剤3]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1段目の合成として、ジアリルイソフタレート100質量部、n-ブチルアクリレート100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12質量部を添加した後、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、2段目の合成として、ピロメリット酸無水物30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160質量部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、固形分当たりの酸価45mgKOH/g、重量平均分子量10000の顔料分散剤3を得た。
【0255】
[顔料分散剤4]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1段目の合成として、ジアリルオルソフタレート100質量部、n-ブチルアクリレート100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12質量部を添加した後、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、2段目の合成として、ピロメリット酸無水物30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート160質量部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、固形分当たりの酸価45mgKOH/g、重量平均分子量9800の顔料分散剤4を得た。
【0256】
・Blue顔料分散液
C.I.ピグメントイエローブルー15:6の9.7質量部と、C.I.ピグメントバイオレット23の2.4質量部と、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)の5.5質量部と、PGMEAの82.4質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)を用いて3時間混合および分散した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を得た。
【0257】
・重合性化合物11:下記構造の化合物
【化21】

・重合性化合物12:下記構造の化合物の混合物(左側化合物と右側化合物とのモル比が7:3の混合物)
【化22】

・重合性化合物13:アロニックスM-305(トリアクリレートが55~63質量%、東亞合成(株)製)
・重合性化合物16:2-シアノ-3-フェニルアクリル酸
・重合性化合物17:メタクリル酸4-シアノフェニル
・重合性化合物18:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
・重合性化合物19:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート
・重合性化合物20:3-ブロモ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
・重合性化合物21:3-ブロモ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート
・重合性化合物22:3-フルオロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
・重合性化合物23:3-フルオロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート
・重合性化合物24:3-クロロプロピルメタクリレート
・重合性化合物25:N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(アロニックスM140、東亞合成(株)製)
・重合性化合物26:マレイミドアクリレート(アロニックスM145、東亞合成(株)製)
・重合性化合物27:1,4-ビス(マレイミド)ブタン
【0258】
・光重合開始剤11:IRGACURE-OXE01(BASF社製)
・光重合開始剤12:下記構造の化合物
【化23】
【0259】
・紫外線吸収剤11:上記紫外線吸収剤1
【0260】
・添加剤12:LA-63P((株)ADEKA製)
・添加剤13:Tinuvin622(BASF社製)
・添加剤14:メタクリル酸2-ニトロフェニル
・添加剤15:p-ニトロフェノール
【0261】
・樹脂11:上記樹脂1
【0262】
・樹脂28
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でベンジルメタクリレート12.3質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6質量部、メタクリル酸5.3質量部、光重合性モノマーとしてパラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM110)7.4質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.8質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、メタクリル酸4-シアノフェニル4.0質量部をシクロヘキサノン20質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で2時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂28を得た。得られた樹脂28の質量平均分子量は15000であった。
【0263】
・樹脂29
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でベンジルメタクリレート12.3質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6質量部、メタクリル酸5.3質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート7.4質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部をシクロヘキサノン10質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、非感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した非感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂29を得た。得られた樹脂29の質量平均分子量は15000であった。
【0264】
・樹脂30:マレイミド基含有光反応性アクリルポリマー(アロニックスUVT-302、東亞合成(株)製)
【0265】
・樹脂31
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でN-置換マレイミドとしてシクロへキシルマレイミド50質量部と、ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メタクリル酸12質量部と、メチルメタクリレート23質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部をシクロヘキサノン10質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、非感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した非感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂31を得た。得られた樹脂31の質量平均分子量は14000であった。
【0266】
・樹脂32
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でN-置換ノルボルネン-5,6-ジカルボキシイミドとしてN-(4-フェニル)-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)50質量部と、ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メタクリル酸12質量部と、メチルメタクリレート23質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部をシクロヘキサノン10質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、非感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した非感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂32を得た。得られた樹脂32の質量平均分子量は20000であった。
【0267】
・樹脂33
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でベンジルメタクリレート12.3質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6質量部、メタクリル酸5.3質量部、(b)光重合性モノマーとしてパラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM110)7.4質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部をシクロヘキサノン10質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、非感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した非感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂33を得た。得られた樹脂33の質量平均分子量は20000であった。
【0268】
・樹脂34
反応容器にシクロヘキサノン70質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でベンジルメタクリレート12.3質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6質量部、メタクリル酸5.3質量部、光重合性モノマーとしてパラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM110)7.4質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.8質量部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、メタクリル酸4-ニトロフェニル4.0質量部をシクロヘキサノン20質量部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で2時間反応を続けて、非感光性透明樹脂共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂34を得た。得られた樹脂34の質量平均分子量は15000であった。
【0269】
・界面活性剤11:下記化合物(Mw=14000)の0.2質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化24】
【0270】
<構造体の製造>
(実施例1~12)
緑色画素形成用組成物1を、ガラスウエハ上に乾燥後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、1.1μm角のベイヤーパターンが形成されるフォトマスクを用いて50~1500mJ/cmまで50mJ/cmステップで露光を行うことで、上記正方形ピクセルパターンを解像する最適露光量を決定し、この最適露光量にて露光を行った。
その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。次いで、純水でリンス処理を行い、その後スピン乾燥を行った。次いで、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、ガラスウエハ上に緑色の着色パターン(緑色画素)を形成した。
同様に、赤色画素形成用組成物、青色画素形成用組成物を用い、同様のプロセスでパターン形成を行い、赤色画素、青色画素を順次形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタを形成した。
このカラーフィルタの表面に、下記表に示す吸収層形成用組成物を乾燥後の膜厚が0.5μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、フォトマスクを用いて1000mJ/cmの露光量で露光を行った。その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。次いで、純水でリンス処理を行い、その後スピン乾燥を行った。次いで、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、カラーフィルタの緑色画素および赤色画素上に吸収層を形成した。この構造体は、カラーフィルタの画素(緑色画素および赤色画素)の光路上であってこれらの画素への光の入射側に吸収層が設けられた構造体である。この構造体は、緑色画素、赤色画素および青色画素の膜厚がそれぞれ0.6μmであり、吸収層の膜厚が0.5μmであった。
【0271】
(実施例13~18)
緑色画素形成用組成物1のかわりに緑色画素形成用組成物2を、ガラスウエハ上に乾燥後の膜厚が0.4μmになるようにスピンコーターを用いて塗布した以外は実施例1~12と同様のプロセスでパターン形成を行い緑色画素を形成した。次いで、赤色画素形成用組成物、青色画素形成用組成物を用い、同様のプロセスでパターン形成を行い、赤色画素、青色画素を順次形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタを形成した。
このカラーフィルタの表面に、下記表に示す吸収層形成用組成物1~6を乾燥後の膜厚が0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、フォトマスクを用いて1000mJ/cmの露光量で露光を行った。その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。次いで、純水でリンス処理を行い、その後スピン乾燥を行った。次いで、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、カラーフィルタの緑色画素上に吸収層を形成した。この構造体は、カラーフィルタの画素(緑色画素)の光路上であってこれらの画素への光の入射側に吸収層が設けられた構造体である。この構造体は、緑色画素の膜厚が0.4μmであり、赤色画素および青色画素の膜厚がそれぞれ0.5μmであり、吸収層の膜厚が0.1μmであった。
【0272】
(実施例19~24)
緑色画素形成用組成物1のかわりに緑色画素形成用組成物3を、ガラスウエハ上に乾燥後の膜厚が0.48μmになるようにスピンコーターを用いて塗布した以外は実施例1~12と同様のプロセスでパターン形成を行い緑色画素を形成した。次いで、赤色画素形成用組成物、青色画素形成用組成物を用い、同様のプロセスでパターン形成を行い、赤色画素、青色画素を順次形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタを形成した。
このカラーフィルタの表面に、下記表に示す吸収層形成用組成物1~6を乾燥後の膜厚が0.12μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、フォトマスクを用いて1000mJ/cmの露光量で露光を行った。その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。次いで、純水でリンス処理を行い、その後スピン乾燥を行った。次いで、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、カラーフィルタの緑色画素上に吸収層を形成した。この構造体は、カラーフィルタの画素(緑色画素)の光路上であってこれらの画素への光の入射側に吸収層が設けられた構造体である。この構造体は、緑色画素の膜厚が0.48μmであり、赤色画素および青色画素の膜厚がそれぞれ0.6μmであり、吸収層の膜厚が0.12μmであった。
【0273】
<構造体の製造>
(実施例25~55)
緑色画素形成用組成物1のかわりに緑色画素形成用組成物4~34を用いた以外は実施例1と同様にして構造体を形成した。
【0274】
(比較例1~8)
カラーフィルタを形成したガラスウエハの、カラーフィルタとは反対側の面に吸収層形成用組成物1~8を用いて、それぞれ実施例1~8と同様の方法で吸収層を形成して構造体を製造した。この構造体は、カラーフィルタの画素(緑色画素および赤色画素)の光路上であってこれらの画素からの光の射出側に吸収層が設けられた構造体である。
【0275】
(比較例9)
実施例1~12と同様にして比較組成物1をカラーフィルタの表面に塗布して膜を形成して構造体を製造した。この構造体は、カラーフィルタの画素(緑色画素および赤色画素)の光路上であってこれらの画素への光の入射側に比較組成物1を用いて形成された膜を有する構造体である。
【0276】
<評価>
(耐光性)
上記の構造体に対し、スーパーキセノンウェーザーメーターSX75(スガ試験機製)を用いて照度10万luxで1500時間光を照射して耐光性試験を行った。なお、実施例1~55、比較例9の構造体については、吸収層側(比較例9については比較組成物1を用いて形成された膜側)から光を照射した。また、比較例1~8の構造体については、カラーフィルタ側から光を照射した。
耐光性試験の後、各画素の透過率の変化量(ΔT%)を測定し、以下の基準により耐光性の評価を行った。なお、比較した透過率の変化量(ΔT%)は、波長が400~700nmの範囲において、最も透過率の変化量が大きい波長についての変化量(|耐光性試験前の透過率(%)-耐光性試験後の透過率(%)|)である。
<評価基準>
5: ΔT%≦10
4: 10<ΔT%≦20
3: 20<ΔT%≦30
2: 30<ΔT%≦40
1: 40<ΔT%
【0277】
(耐湿性)
上記の構造体に対し、HASTEST MODEL304R8(HIRAYAMA製)を用いて温度110℃/湿度85%の条件で250時間耐湿試験を行った。耐湿性試験の後、各画素の透過率の変化量(ΔT%)を測定し、以下の基準により耐湿性の評価を行った。なお、比較した透過率の変化量(ΔT%)は、波長が400~700nmの範囲において、最も透過率の変化量が大きい波長についての変化量(|耐湿性試験前の透過率(%)-耐湿性試験後の透過率(%)|)である。
<評価基準>
5: ΔT%≦1
4: 1<ΔT%≦2
3: 2<ΔT%≦3
2: 3<ΔT%≦4
1: 4<ΔT%
【0278】
【表1】

【表2】

【表3】
【0279】
なお、上記表において、Green組成物は、緑色画素形成用組成物を示す。
上記表に示すように実施例の構造体は、耐光性に優れていた。更には耐湿性も優れていた。これに対し比較例の構造体は、耐光性が劣っていた。
【0280】
各実施例において、図2~6に示すように、カラーフィルタの表面ではなく、カラーフィルタの画素の光路上であって画素への光の入射側に設けられた各種の層や部材(例えば、平坦化層、マイクロレンズ、集光レンズ、赤外線カットフィルタ、封止ガラス)の表面に吸収層形成用組成物を塗布して吸収層を形成した場合であっても、実施例と同様の効果が得られた。
【符号の説明】
【0281】
1:支持体
10、10a:カラーフィルタ
11~13:画素
11a、11b:赤色画素
12a、12b:緑色画素
13a、13b:青色画素
20、21、22:吸収層
30:マイクロレンズ
40:平坦化層
50:集光レンズ
60:赤外線カットフィルタ
70:封止ガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8