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  • 特許-エアロゲルシートの製造方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-19
(45)【発行日】2022-01-27
(54)【発明の名称】エアロゲルシートの製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/16 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
C01B33/16
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019216421
(22)【出願日】2019-11-29
(62)【分割の表示】P 2018520553の分割
【原出願日】2016-10-31
(65)【公開番号】P2020063187
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2019-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2016-0006339
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、イェ-ホン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ-キュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チョン-ウク
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-190136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0025127(US,A1)
【文献】特表2007-524528(JP,A)
【文献】特開2010-216144(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105015140(CN,A)
【文献】特表2007-524739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ブランケットを、シリカゾルが貯蔵された含浸容器に浸漬して前記シリカゾルを含浸させるステップ;及び
(b)前記シリカゾルが含浸されたブランケットの表面にゲル化用触媒を噴射して前記シリカゾルをゲル化させるステップを含む、エアロゲルシートの製造方法であって、
前記(b)ステップは、前記(a)ステップを経たブランケットを一側から他側に搬送するコンベアベルト内で行われ、
前記コンベアベルトには、前記ブランケットの表面に含浸されたシリカゾルの厚さを調節する第1スクレーパと、前記ブランケットの表面に噴射されたゲル化用触媒の厚さを調節する第2スクレーパとで設けられたスクレーパが含まれ、
前記(b)ステップは、前記第1スクレーパが前記ブランケットの表面に含浸されたシリカゾルの厚さを調節した後に行われる、エアロゲルシートの製造方法。
【請求項2】
前記(a)ステップにおいて、シリカゾルは、TEOS(tetraethyl orthosilicate)とエタノールを混合して製造する、請求項1に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項3】
前記TEOS(tetraethyl orthosilicate)は、加水分解されたTEOSを含む、請求項2に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項4】
前記(b)ステップにおいて、ゲル化用触媒は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項5】
前記(b)ステップは、前記ブランケットの表面に前記ゲル化用触媒を0.035~0.012L/minの速度で噴射し、8~12分間放置して前記シリカゾルをゲル化させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップの後に、(c)前記シリカゾルがゲル化したブランケットをエージングするステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項7】
前記(c)ステップは、前記シリカゾルがゲル化したブランケットを70℃の高温で50分間エージングする、請求項6に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項8】
前記(c)ステップは、前記シリカゾルがゲル化したブランケットを常温で10分間放置してエージングを進める、請求項6に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項9】
前記(c)ステップの後に、(d)エージングされたブランケットにコーティング液を注入して前記ブランケットの表面を改質するステップをさらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項10】
前記(d)ステップにおいて、前記コーティング液は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造される、請求項9に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項11】
前記(d)ステップは、前記コーティング液を、前記ブランケット(blanket)の表面に含浸されたシリカゾルの1.6倍の量で注入し、70℃の高温で反応容器中で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて前記シートの表面を改質する、請求項9または10に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項12】
前記(d)ステップの後に、(e)表面が改質されたブランケットを乾燥するステップをさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項13】
前記(e)ステップは、
表面が改質されたブランケットを、28℃及び70barの環境で二酸化炭素を10分間70L/minの速度で注入して乾燥する一次乾燥ステップと、
1時間20分間50℃に昇温させて乾燥する二次乾燥ステップと、
さらに50℃及び150barの環境で二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する三次乾燥ステップと、
20分間休止した後、二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する四次乾燥ステップと
を含む、請求項12に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項14】
前記(e)ステップにおける三次乾燥では、二酸化炭素を注入する間に、表面が改質されたブランケットから発生したエタノールを回収する、請求項13に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項15】
前記(e)ステップは、四次乾燥の後に、二酸化炭素を2時間排出する排出ステップをさらに含む、請求項13または14に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項16】
前記(c)、(d)及び(e)ステップは、ブランケットを収容する反応容器内で行われる、請求項15に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項17】
前記(e)ステップにおいて、ブランケットは、前記反応容器に収容された状態で超臨界乾燥が行われる、請求項16に記載のエアロゲルシートの製造方法。
【請求項18】
ブランケットがロール状に巻回された供給ローラ;
貯蔵されたシリカゾルに、前記供給ローラに巻回されたブランケットを浸漬して前記シリカゾルを含浸させる含浸容器;
前記含浸容器を経た前記ブランケットを一側から他側に搬送するコンベアベルト;
前記コンベアベルト上に位置した前記ブランケットの表面に貯蔵されたゲル化用触媒を噴射して前記シリカゾルをゲル化させる触媒供給部材;
前記コンベアベルトにより他側まで搬送された前記ブランケットをロール状に巻回して回収する回収ローラ;及び、
前記回収ローラにより回収されたロール状のブランケットを収容し、収容したブランケットをエージングし、コーティング液を投入して表面改質し、高温で乾燥する反応容器を含み、
前記コンベアベルトには、前記ブランケットの表面に含浸されたシリカゾルの厚さを調節する第1スクレーパと、前記ブランケットの表面に噴射されたゲル化用触媒の厚さを調節する第2スクレーパとで設けられたスクレーパが含まれ、
前記触媒供給部材は、前記コンベアベルトによる前記ブランケットの移送方向に対し、前記第1スクレーパと前記第2スクレーパの間に向ける
エアロゲルシートの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年1月19日付韓国特許出願第10-2016-0006339号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エアロゲルシートの製造方法及び装置に関し、特に断熱性と耐久性に優れ、厚さが均一なエアロゲルシートの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、エアロゲルは、現在まで知られた固体の中でも、90%以上、最大99%程度の高い気孔率を有する高多孔性物質であって、シリカ前駆体溶液をゾル-ゲル重合反応させてゲルを形成した後、超臨界条件若しくは常圧条件の下で乾燥することで得ることができる。すなわち、エアロゲルは、空気が満ちている気孔構造を有している。
【0004】
かかるエアロゲルは、内部空間の90~99%が空いている独特の気孔構造により、軽いな
がらも断熱性、吸音性などの物性を有し、中でも最も大きい利点は、従来のスタイロフォームなどの有機断熱材の熱伝導度である36mW/m.kよりも著しく低い30mW/m.k以下の熱伝導率を示す高断熱性を有するということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアロゲルは、シートの厚さが均一でなく、断熱性及び耐久性に劣る問題があった。
【0006】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、断熱性及び耐久性に優れ、特に、均一な厚さを有するエアロゲルシートの製造方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するための本発明に係るエアロゲルシートの製造方法は、(a
)ブランケットを、シリカゾルが貯蔵された含浸容器に浸漬して含浸させるステップ;及び(b)シリカゾルが含浸されたブランケットの表面にゲル化用触媒を噴射してシリカゾ
ルをゲル化させるステップを含むことができる。
【0008】
前記(a)ステップにおいて、シリカゾルは、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエ
タノールを混合して製造することができる。
【0009】
前記TEOS(tetraethly orthosilicate)は、加水分解されたTEOSを含んでもよい。
【0010】
前記(b)ステップにおいて、ゲル化用触媒は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造することができる。
【0011】
前記(b)ステップは、前記(a)ステップを経たブランケットを一側から他側に搬送するコンベアベルト内で行われてよい。
【0012】
前記コンベアベルトには、前記ブランケットの表面に含浸されたシリカゾルの厚さを調節する第1スクレーパと、前記ブランケットの表面に噴射されたゲル化用触媒の厚さを調
節する第2スクレーパとで設けられたスクレーパが備えられてよい。
【0013】
前記(b)ステップは、前記ブランケットの表面に前記ゲル化用触媒を0.035~0.012L/minの速度で噴射し、8~12分間放置してシリカゾルをゲル化させることができる。
【0014】
前記(b)ステップの後に、(c)シリカゾルがゲル化したブランケットをエージングするステップをさらに含むことができる。
【0015】
前記(c)ステップは、シリカゾルがゲル化したブランケットを70℃の高温で50分間エ
ージングすることができる。
【0016】
前記(c)ステップは、シリカゾルがゲル化したブランケットを常温で10分間放置して
からエージングを進めることができる。
【0017】
前記(c)ステップの後に、(d)エージングされたブランケットにコーティング液を注入して改質するステップをさらに含むことができる。
【0018】
前記(d)ステップにおいて、コーティング液は、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造されてよい。
【0019】
前記(d)ステップは、前記コーティング液を、前記ブランケット(blanket)の表面に含浸されたシリカゾルの1.6倍の量で注入し、70℃の高温で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて表面を改質することができる。
【0020】
前記(d)ステップの後に、(e)表面が改質されたブランケットを乾燥するステップをさらに含むことができる。
【0021】
前記(e)ステップは、表面が改質されたブランケットを、28℃及び70barの環境で二酸化炭素を10分間70L/minの速度で注入して乾燥する一次乾燥ステップと、1時間20分間50℃に昇温させて乾燥する二次乾燥ステップと、さらに50℃及び150barの環境で二酸化炭
素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する三次乾燥ステップと、20分間休止した後、二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する四次乾燥ステップとを含むことができる。
【0022】
前記(e)ステップにおける三次乾燥では、二酸化炭素を注入する間に、表面が改質さ
れたブランケットから発生したエタノールを回収することができる。
【0023】
前記(e)ステップは、四次乾燥の後に、二酸化炭素を2時間排出する五次排出ステップをさらに含むことができる。
【0024】
前記(c)、(d)及び(e)ステップは、ブランケットを収容する反応容器内で行われ
てよい。
【0025】
前記(e)ステップにおいて、ブランケットは、前記反応容器に収容された状態で超臨
界乾燥が行われてよい。
【0026】
一方、このようなエアロゲルシートの製造方法を行うための製造装置は、ブランケットがロール状に巻回された供給ローラ;貯蔵されたシリカゾルに、前記供給ローラに巻回されたブランケットを浸漬して含浸させる含浸容器;前記含浸容器を経た前記ブランケットを一側から他側に搬送するコンベアベルト;前記コンベアベルト上に位置した前記ブラン
ケットの表面に貯蔵されたゲル化用触媒を噴射してシリカゾルをゲル化させる触媒供給部材;前記コンベアベルトにより他側まで搬送された前記ブランケットをロール状に巻回して回収する回収ローラ;及び、前記回収ローラにより回収されたロール状のブランケットを収容し、収容したブランケットをエージングし、コーティング液を投入して表面改質し、高温で乾燥する反応容器を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、下記のような効果を奏する。
【0028】
第一に、本発明は、エアロゲルシートの製造方法を利用することで、断熱性及び耐久性に優れ、特に、厚さが均一なエアロゲルシートを製造することができる。
【0029】
第二に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエタノールを混合することで、高品質のシリカゾルを得ることができる。
【0030】
第三に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、加水分解されたTEOSを用いることで、高品質のシリカゾルを得ることができる。
【0031】
第四に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合することで、高品質のゲル化用触媒を得ることができる。
【0032】
第五に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、ブランケットを一側から他側に搬送するコンベアベルトを用いることで、作業の連続性と工程の単純化を得ることができる。
【0033】
第六に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、コンベアベルトにスクレーパを含むことで、シリカゾルまたはゲル化用触媒の厚さを均一に調節することができる。
【0034】
第七に、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法で、シリカゾルがゲル化したブランケットをエージングし、表面改質してから乾燥することで、高品質のエアロゲルシートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係るエアロゲルシートの製造方法を示した図である。
図2】本発明に係るエアロゲルシートの製造装置を示した図である。
図3】本発明に係るエアロゲルシートの製造装置に含まれている反応容器を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は様々な他の形態に実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するため、説明と関係のない部分は省略しており、明細書全体にわたって類似の部分には類似の図面符号を付す。
【0037】
本発明に係るエアロゲルシートの製造方法は、図1に示されているところのように、(a)ブランケットにシリカゾルを含浸するシリカゾル含浸ステップ、(b)ブランケットに
ゲル化用触媒を投入してシリカゾルをゲル化させるシリカゾルゲル化ステップ、(c)シ
リカゾルがゲル化したブランケットをエージングするブランケットエージングステップ、(d)エージングされたブランケットにコーティング液を投入して表面を改質するブラン
ケット表面改質ステップ、及び、(e)表面が改質されたブランケットを乾燥するブラン
ケット乾燥ステップを含む。
【0038】
以下、本発明に係るエアロゲルシートの製造方法をより詳細に説明する。
【0039】
一方、図2は、本発明の(a)シリカゾル含浸ステップと、(b)シリカゾルゲル化ステ
ップとを行うエアロゲルシート製造装置100を示した図である。
【0040】
つまり、エアロゲルシート製造装置100は、図2に示されているところのように、ブランケット10がロール状に巻回された供給ローラ110、供給ローラ110に巻回されたブランケット10をシリカゾルに浸漬して含浸させる含浸容器120、含浸容器120を経たブランケット10を一側から他側に搬送するコンベアベルト130、コンベアベルト130に位置したブランケット10の表面にゲル化用触媒30を噴射してシリカゾルをゲル化させる触媒供給部材140、及
び、コンベアベルト130により他側まで搬送されたブランケット10をロール状に巻回して
回収する回収ローラ150を含む。
【0041】
このようなエアロゲル製造装置100の使用状態を説明する。供給ローラ110が巻回されたブランケット10を、含浸容器120を通過させてシリカゾル20を含浸させ、コンベアベルト130によりシリカゾル20が含浸されたブランケット10を搬送するとともに、コンベアベルト130により搬送されるブランケット10の表面に触媒供給部材140を介してゲル化用触媒を噴射し、シリカゾル20をゲル化させる。そして、コンベアベルト130を経たブランケット10
は、回収ローラ150に巻回されながら回収される。
【0042】
ここで、コンベアベルト120には、ブランケット10に噴射されたシリカゾル20及びゲル
化用触媒30の厚さを均一に調節するスクレーパ160が含まれ、スクレーパ160は、ブランケット10の表面に噴射されたシリカゾル20の厚さを調節する第1スクレーパ161と、ブランケット10の表面に噴射されたゲル化用触媒30の厚さを調節する第2スクレーパ162とを含む。
【0043】
以下、エアロゲルシート製造装置100による(a)シリカゾル含浸ステップと(d)シリ
カゾルゲル化ステップを詳細に説明する。
【0044】
(a)シリカゾル含浸ステップ
(a)シリカゾル含浸ステップは、ブランケット10をシリカゾル20が貯蔵された含浸容
器120に浸漬し、ブランケット10の表面にシリカゾル20を含浸させる。つまり、(a)シリカゾル含浸ステップは、供給ローラ110にロール状に巻回されたブランケット10の先端が
漸次移動しながら、シリカゾル20が収容された含浸容器120の内部を通過する。このとき
、ブランケット10は、シリカゾル20に完全に浸漬された後に含浸容器120を通過し、よっ
て、ブランケット10の表面にシリカゾル20を安定的に含浸させることができる。
【0045】
ここで、シリカゾル20は、TEOS(tetraethly orthosilicate)とエタノールを混合して製造する。つまり、シリカゾル20は、反応槽(図示省略)にTEOS 1.2kgとエタノール 2.7kgを含んでシリカゾルを製造する。
【0046】
一方、TEOSは、水との反応性に優れた溶媒であって、加水分解されたものを用い、よって、反応性をさらに高めることができる。つまり、加水分解されたTEOSとエタノールの混合によって反応性に優れたシリカゾルを得ることができる。
【0047】
(b)シリカゾルゲル化ステップ
(b)シリカゾルゲル化ステップは、コンベアベルト130により搬送されたブランケット10の表面にゲル化用触媒を噴射してシリカゾルをゲル化させる。ここでゲル化用触媒は、
エタノールとアンモニア水(NH4OH)を混合して製造する。つまり、ゲル化用触媒は、反
応槽(図示省略)にエタノール 0.5kgとアンモニア水(NH4OH)30mlを混合して製造する
【0048】
よって、(b)シリカゾルゲル化ステップは、製造したゲル化用触媒30を触媒供給部材140に注入して貯蔵する。その後、コンベアベルト130により触媒供給部材140の下部までブランケット10が搬送されると、触媒供給部材140を介してゲル化用触媒30をブランケット10の表面に噴射し、よって、ゲル化用触媒によりシリカゾルを漸次ゲル化させることがで
きる。
【0049】
ここで、触媒供給部材140は、貯蔵されたゲル化用触媒30の設定された速度で噴射し、
設定された時間の間に放置してシリカゾルをゲル化させる。つまり、触媒供給部材140は
、ブランケット10の表面にゲル化用触媒を0.035~0.012L/minの速度で噴射し、8~12分間放置してシリカゾルをゲル化させる。
【0050】
特に、触媒供給部材140は、図2に示されているところのように、ブランケット10に含浸されたシリカゾル20の密度に応じてゲル化用触媒30の噴射速度を異にし、シリカゾルのゲル化を均一に調節することができる。つまり、シリカゾルの密度が増加するほどゲル化用触媒の噴射速度を減少させ、シリカゾルの安定したゲル化を誘導することができる。
【0051】
一方、シリカゾルがゲル化したブランケット10は、回収ローラ150によりロール状に巻
回されながら回収され、回収されたブランケット10は、エージングステップ、表面改質ステップ及び乾燥ステップを経ながらエアロゲルシートが完成する。このとき、反応容器170を利用する。
【0052】
図3は、本発明に係る反応容器170を示した図である。
【0053】
つまり、反応容器170は、ロール状に回収されたブランケット10が密閉されるように収
容する収容空間171を有し、一端に備えられて収容空間171と連結される注入口172と、他
端に備えられて収容空間171と連結される排出口173とが形成される。
【0054】
以下、反応容器170を利用した(c)ブランケットエージングステップ、(d)ブランケ
ット表面改質ステップ、及び、(e)ブランケット乾燥ステップを説明する。
【0055】
(c)ブランケットエージングステップ
(c)ブランケットエージングステップは、シリカゾルがゲル化したブランケットをエ
ージングする。つまり、反応容器170の収容空間171に(b)ステップで製造したブランケ
ット10を収容した後、反応容器170を70℃まで加熱した状態で50分間エージングしてブラ
ンケット10の組織を均一化させる。
【0056】
ここで、(c)ブランケットエージングステップは、反応容器170でエージングする前に常温(または25℃)で10分間放置する。つまり、(c)ブランケットエージングステップ
は、ブランケット10を10分間放置してエアロゲルの安定したゲル化を誘導した後にエージングを進め、よって、ブランケット10の組織を一層均一化することができる。
【0057】
(d)ブランケット表面改質ステップ
(d)ブランケット表面改質ステップは、エージングされたブランケット10にコーティ
ング液を噴射して表面を改質する。つまり、(d)ブランケット表面改質ステップは、エ
タノールとアンモニア水(NH4OH)を混合してコーティング液を製造する。その後、ブラ
ンケット10が挿入された反応容器170の注入口172を介してコーティング液を収容空間171
に注入し、ブランケット10の表面を改質する。このとき、コーティング液は、(a)ステ
ップでブランケット(blanket)の表面に含浸されたシリカゾルの1.6倍の量で噴射し、反応容器170は、70℃の高温で1時間エージングしてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いてブランケット10の表面を改質する。
【0058】
(e)ブランケット乾燥ステップ
(e)ブランケット乾燥ステップは、表面が改質されたブランケットを乾燥してシリカ
ゲルシートを完成する。このとき、(e)ブランケット乾燥ステップでは、反応容器160に収容された状態で超臨界乾燥が行われる。つまり、(e)ブランケット乾燥ステップは、
表面改質されたブランケットを、28℃及び70barの環境で二酸化炭素を10分間70L/minの速度で注入して乾燥する一次乾燥ステップ、1時間20分かけて50℃に昇温させて乾燥する二
次乾燥ステップ、さらに50℃及び150barの環境で二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する三次乾燥ステップ、及び、20分間休止した後、二酸化炭素を20分間0.7L/minの速度で注入して乾燥する四次乾燥ステップを含む。このような乾燥ステップを行うことで、ブランケット10の乾燥率を高めることができる。
【0059】
一方、(e)ブランケット乾燥ステップにおける三次乾燥は、二酸化炭素とブランケッ
ト10の化学反応により反応容器170内にエタノールが発生することがあり、この反応容器170に発生したエタノールは、排出口173を介して排出させて回収する。
【0060】
そして、(e)ブランケット乾燥ステップは、四次乾燥の後、二酸化炭素を2時間排出する排出ステップを含み、よって、ブランケット10に緩やかな環境変化を誘導してブランケット10の組織を均一化する。
【0061】
このような本発明に係るエアロゲルシートの製造方法でエアロゲルシートを製造することで組織を均一化することができるので、断熱性及び耐久性を高めることができ、特に均一な厚さを有することができる。
【0062】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述の特許請求の範囲により明らかになり、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出される様々な実施形態が可能である。
図1
図2
図3