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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】防火シート、防火部材および防火構造
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20220207BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220207BHJP
   F16L 5/04 20060101ALI20220207BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A62C3/16 B
E04B1/94 V
E04B1/94 H
F16L5/04
H02G3/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021041049
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000165996
【氏名又は名称】株式会社古河テクノマテリアル
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】荒川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】光宗 将太
(72)【発明者】
【氏名】五十子 淳
(72)【発明者】
【氏名】関 貴広
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165356(JP,A)
【文献】特開2020-028340(JP,A)
【文献】特開2019-216852(JP,A)
【文献】特開2019-141336(JP,A)
【文献】特開2008-253644(JP,A)
【文献】特開2018-201764(JP,A)
【文献】特開2014-212893(JP,A)
【文献】特開2021-101081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
E04B 1/94
F16L 5/04
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の面材の間に、熱膨張部材が配置され
前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成されることを特徴とする防火シートを用いた防火部材であって、
袋体と、
前記袋体に収容され、前記防火シートが巻き付けられた不燃材と、
を具備し、前記不燃材は圧縮変形が可能であることを特徴とする防火部材。
【請求項2】
一対の面材の間に、熱膨張部材が配置され、
前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成され、
前記熱膨張部材の少なくとも一部の凹部が、厚み方向に貫通している貫通部であることを特徴とする防火シートを用いた防火部材であって、
袋体と、
前記袋体に収容され、前記防火シートが巻き付けられた不燃材と、
を具備し、前記不燃材は圧縮変形が可能であることを特徴とする防火部材。
【請求項3】
一対の面材の間に、熱膨張部材が配置され、
前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成され、
前記凹凸が、規則的に形成されていることを特徴とする防火シートを用いた防火部材であって、
袋体と、
前記袋体に収容され、前記防火シートが巻き付けられた不燃材と、
を具備し、前記不燃材は圧縮変形が可能であることを特徴とする防火部材。
【請求項4】
一対の面材の間に、熱膨張部材が配置され、
前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成され、
少なくとも一方の前記面材が圧縮変形可能なクッション材で構成されていることを特徴とする防火シートを用いた防火部材であって、
袋体と、
前記袋体に収容され、前記防火シートが巻き付けられた不燃材と、
を具備し、前記不燃材は圧縮変形が可能であることを特徴とする防火部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の防火部材を用いた防火構造であって、
区画部に形成された貫通孔に挿通される長尺体と、
前記貫通孔の内面と前記長尺体との隙間に挿入される前記防火部材と、
を具備することを特徴とする防火構造。
【請求項6】
前記熱膨張部材の前記凹凸がストライプ状に形成された前記防火シートが用いられ、
ストライプ状の前記凹凸の延伸方向が前記貫通孔への挿入方向になり、ストライプ状の前記凹凸の併設方向が、前記長尺体の周方向に沿う方向となるように、前記防火部材が配置されることを特徴とする請求項記載の防火構造。
【請求項7】
前記防火部材と前記長尺体との間の隙間に、前記防火シートが丸められて挿入されることを特徴とする請求項又は請求項に記載の防火構造。
【請求項8】
前記長尺体の外周部に、さらに熱膨張材を含む他の防火部材が配置され、前記防火部材は、前記他の防火部材の外周部に配置されることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載の防火構造。
【請求項9】
一対の面材の間に、熱膨張部材が配置された防火シートであって、
前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成され、
前記熱膨張部材の前記凹凸が格子状に形成、
または、前記熱膨張部材の前記凹凸がドット状に形成、
または、前記熱膨張部材の前記凹凸がストライプ状に形成され、ストライプ上の前記凹凸の凸部が、前記防火シートの延伸方向に対して完全に連続しておらず、延伸方向の一部が部分的に途切れて凹部が含まれ、
または、前記熱膨張部材の凸部及び凹部がまだら状に形成されることを特徴とする防火シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、配管やケーブルなどの区画部への貫通部に対して防火性能を確保するための防火シート等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物等において、区画部で区画された各部屋に配管やケーブル(以下、単に長尺体と称する場合がある)が敷設される場合がある。この場合、例えば一方の部屋で火災が発生すると、長尺体を伝って、火災が建造物全体に広がり、甚大な被害をもたらすおそれがある。
【0003】
このような区画部を貫通する長尺体の防火構造には、例えば、クッション性及び不燃性を有するブロック体を、熱膨張部材製の外装部材内に収容して形成された耐火処理材が用いられる(例えば、特許文献1)。熱膨張部材は、袋状であり、膨張材を混入したゴムに加硫工程を経て形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-245508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、内部のクッション性を有する不燃材は、区画部を貫通する長尺体の外形に沿って変形することが可能である。しかし、ブロックの外装を兼ねている熱膨張部材がゴムシート状であるため、ブロック同士の滑りが悪く、貫通孔に挿入する際の作業性が悪い。
【0006】
これに対し、熱膨張部材と不燃材とを、他の袋体に入れて使用する方法がある。このようにすることで、熱膨張部材が外部に露出することがないため、上述した問題がなく、作業性に優れる。
【0007】
しかし、通常、熱膨張部材はパテ状又はゴム状であり、クッション性を有する不燃材と比較して変形能力(柔軟性)が低い。このため、不燃材の外周に熱膨張部材を配置すると、熱膨張部材のいわゆるコシによって、不燃材が有するクッション性をほとんど機能させることができない。
【0008】
図14(a)は、防火構造100を示す概念図である。防火構造100は、区画部103に形成された貫通孔107に配管・配線等の長尺体105が配置され、貫通孔107の内面と長尺体105の間に複数のブロック状の防火部材101が配置される。この際、不燃材の表面を覆うように熱膨張部材が配置されると、熱膨張部材がほとんど変形しないため、防火部材101を長尺体105の外形に沿って大きく変形させることができない。このため、長尺体105と防火部材101との間に大きな隙間が形成されてしまう。
【0009】
これに対し、図14(b)に示すように、この隙間に、小径のスティック状の熱膨張部材からなる防火部材109を挿入して塞ぐ方法が提案されている。しかし、前述したように熱膨張部材自体の柔軟性が低いため、隙間形状に防火部材109を挿入しても、防火部材109も防火部材101と同様に、十分に変形することができない。このため、かえって大きな隙間を形成する要因ともなる。
【0010】
一方、熱膨張部材の厚みを薄くすることで、変形しやすくする方法がある。しかし、火災時に貫通孔107を閉塞させるには、所定以上の量の熱膨張部材が必要であるため、単純に熱膨張部材の厚みを薄くしたのでは、熱膨張部材の総量が足りなくなる恐れがある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、変形能力が高い耐火シート及びこれを用いた熱膨張部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、一対の面材の間に、熱膨張部材が配置され前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成されることを特徴とする防火シートを用いた防火部材であって、袋体と、前記袋体に収容され、前記防火シートが巻き付けられた不燃材と、を具備し、前記不燃材は圧縮変形が可能であることを特徴とする防火部材である。
【0013】
前記熱膨張部材の少なくとも一部の凹部が、厚み方向に貫通している貫通部であってもよい。
【0014】
前記凹凸が、規則的に形成されていてもよい。
【0015】
前記面材が圧縮変形可能なクッション材で構成されていてもよい。
【0016】
第1の発明によれば、熱膨張部材が面材で挟み込まれているため、熱膨張部材が外部に露出せず、取扱い時における熱膨張部材の損傷等が抑制される。また、熱膨張部材の表面に凹凸を形成し、厚みを一定にしないことで、シート状の熱膨張部材を変形しやすくすることができる。このため、防火シートを丸めて使用することもできる。また、防火シートと不燃材を用いて防火部材を形成することで、例えば長尺体の外形などに沿って、防火部材を容易に変形させることができ、防火部材と長尺体との間の隙間の発生を抑制することができる。さらに、不燃材の外周に配置された防火シートを容易に変形させることができるため、不燃材のクッション性を効率よく利用することができる。
【0017】
また、凹部を貫通部とし、部分的に熱膨張部材のない部分を形成することで、柔軟性をより高めることができる。
【0018】
また、凹凸を規則的に形成することで、ローラ等で容易に凹凸を形成することができる。また、熱膨張部材の全体的な分布を略一定にすることができる。
【0019】
また、少なくとの一方の面材が、圧縮変形可能なクッション材で構成されれば、例えばロール状に巻いて、スティック状にして使用した際に、外形を容易に変形させることができる。
【0022】
の発明は、第の発明にかかる防火構造であって、区画部に形成された貫通孔に挿通される長尺体と、前記貫通孔と前記長尺体との隙間に挿入される前記防火部材と、を具備することを特徴とする防火構造である。
【0023】
前記熱膨張部材の前記凹凸がストライプ状に形成された前記防火シートが用いられ、ストライプ状の前記凹凸の延伸方向が前記貫通孔への挿入方向になり、ストライプ状の前記凹凸の併設方向が、前記長尺体の周方向に沿う方向となるように、前記防火部材が配置されてもよい。
【0024】
前記防火部材と前記長尺体との間の隙間に、前記防火シートが丸められて挿入されてもよい。
【0025】
前記長尺体の外周部に、さらに熱膨張部材を含む他の防火部材が配置され、前記防火部材は、前記他の防火部材の外周部に配置されてもよい。
【0026】
第3の発明によれば、防火部材が容易に変形するため、長尺体と防火部材の間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0027】
また、熱膨張部材がストライプ状に配置される場合には、ストライプの延伸方向には相対的な剛性が高く、ストライプの併設方向には容易に変形が可能である。このため、ストライプの延伸方向を貫通孔への挿入方向とすることで、防火部材の潰れを抑制して挿入が容易である。一方、挿入方向に垂直な方向は容易に変形するため、長尺体の外形に沿って変形させて、長尺体との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0028】
また、わずかに生じる隙間には、防火シートを丸めて挿入することで、防火シートが隙間形状に沿って容易に変形するため、防火部材と長尺体との隙間を埋めることができる。
【0029】
また、長尺体の燃焼時の体積減少が大きい場合には、長尺体の外周部に、さらに熱膨張材を含む他の防火部材を配置することで、火災時にも確実に貫通孔を閉塞することができる。
第3の発明は、一対の面材の間に、熱膨張部材が配置された防火シートであって、前記熱膨張部材の少なくとも一方の面に凹凸が形成され、前記熱膨張部材の前記凹凸が格子状に形成、または、前記熱膨張部材の前記凹凸がドット状に形成、または、前記熱膨張部材の前記凹凸がストライプ状に形成され、ストライプ上の前記凹凸の凸部が、前記防火シートの延伸方向に対して完全に連続しておらず、延伸方向の一部が部分的に途切れて凹部が含まれ、または、前記熱膨張部材の凸部及び凹部がまだら状に形成されることを特徴とする防火シートである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、変形能力が高い耐火シート及びこれを用いた熱膨張部材等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】防火シート1を示す分解斜視図。
図2】(a)は、防火シート1の断面図、(b)は、防火シート1の他の形態の断面図。
図3】防火シート1を用いた防火部材10の分解斜視図。
図4】(a)は、防火構造20を示す側方断面図、(b)は、防火構造20の正面図。
図5】(a)は、防火シート1aを示す断面図、(b)は、防火シート1aの他の構成を示す断面図、(c)は防火シート1aを丸めた状態を示す図。
図6】(a)は、防火構造20aを示す側方断面図、(b)は、防火構造20aの正面図。
図7】(a)は、防火シート1bを示す断面図、(b)は、防火シート1cを示す断面図。
図8】防火シート1d示す図であり、(a)は、(b)のC-C線断面図、(b)は、(a)のB-B線断面図。
図9】防火シート1e示す図であり、(a)は、(b)のE-E線断面図、(b)は、(a)のD-D線断面図。
図10】(a)は、防火シート1fの平面図(面材の透視図)、(b)は,防火シート1gの平面図(面材の透視図)。
図11】防火シート1h示す図であり、(a)は、(b)のG-G線断面図、(b)は、(a)のF-F線断面図。
図12】(a)、(b)は、防火シート1の製造方法を示す概念図。
図13】(a)、(b)は、防火シート1の他の製造方法を示す概念図。
図14】(a)は、従来の防火構造100を示す正面図、(b)は、従来の防火構造100aを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる防火シート1を示す分解斜視図である。防火シート1は、主に、面材5、熱膨張部材3等から構成される。
【0033】
防火シート1は、一対の面材5の間に、熱膨張部材3が配置されて構成される。面材5の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂フィルムや不織布等を用いることができる。また、面材5としては、ガラスクロスやガラスクロスにアルミニウム箔が貼り付けられたアルミガラスクロス等であってもよい。なお、熱膨張部材3を被覆する両面の面材5は、それぞれ同一の材質でもよく、異なる材質でもよい。
【0034】
熱膨張部材3は、熱膨張部材、形状保持材、無機充填材とベース樹脂等からなる。熱膨張部材は、加熱によって膨張し、体積を増すことで火災の火炎や熱で焼失した箇所を塞ぐものであり、例えば、熱膨張性黒鉛、ひる石(バーミキュライト)、熱膨張性マイクロカプセルなどが適用可能である。形状保持材は、例えば、ポリフェニレンエーテル、リン酸エステル、赤燐、及びポリリン酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を適用可能である。無機充填材は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、無機バルーン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びシリカからなる群から選ばれる1種又は2種類以上を適用可能である。また、ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリウレタン等を適用可能である。なお、熱膨張部材3を構成する材料は、特に限定されない。
【0035】
熱膨張部材3は、例えばパテシート状、ゴムシート状、マット状の部材又はパウダー状の素材から作られたスポンジ状や多孔質状の部材である。すなわち、熱膨張部材3は可撓性を有する。このため、面材5を含めた防火シート1は、全体として可撓性を有する。
【0036】
熱膨張部材3の一方の面には、凸部7と凹部9が形成される。すなわち、熱膨張部材3の少なくとも一方の面が凹凸状に形成される。図示した例では、凹凸形状が、凸部7と凹部9とが規則的に繰り返されたなだらかな波形状で形成される。なお、凹凸の大きさや繰り返しピッチなどは、図示した例には限られない。以下の説明においては、凹凸形状を理解しやすいように図示するが、凹凸ピッチやサイズは適宜設定される。
【0037】
図2(a)は、防火シート1の断面図である。前述したように、防火シート1は、熱膨張部材3の一方の面が凹凸形状であり、他方の面は平坦に形成される。すなわち、熱膨張部材3は、部位によって厚みが異なる。また、最も厚みの厚い部位(凸部7)厚みに対して、凹部9の厚みが50%以下であることが望ましい。凸部7と凹部9の厚みの差が小さいと効果が小さくなる。
【0038】
なお、図2(a)に示す例では、熱膨張部材3の平坦面側には、面材5が全面に張り付けられるが、凹凸面側では、面材5は、凸部7の頂点近傍にのみ張り付けられる。すなわち、面材5と熱膨張部材3との間に隙間が形成される。これに対し、図2(b)に示すように、面材5を、凹凸面に沿って全面に張り付けてもよい。いずれの場合でも、熱膨張部材3の両面に面材5が張り付けられているものとする。
【0039】
次に、防火シート1を用いた防火部材について説明する。図3は、防火部材10の分解斜視図である。防火部材10は、主に、防火シート1、不燃材11、袋体13等から構成される。
【0040】
防火シート1は不燃材11の外周に巻き付けられる。この際、防火シート1の凹凸面側が内側(不燃材11側)であってもよく、又は、防火シート1の凹凸面側が外側であってもよい。
【0041】
防火シート1は、不燃材11の少なくも一方の方向に対して全周に巻き付けられる。例えば、不燃材が略直方体である場合には、少なくとも、対向する2面を除いた4面に対して隙間なく巻き付けられれば良い。すなわち、この場合には、対向する2面に不燃材11が露出する。この不燃材11が露出する方向(防火シート1の巻き付け方向に垂直な方向であって図中A方向)が、後述する貫通孔への挿入方向となる。ここで、防火シート1は、所定の長さに形成され、必要な長さに自由に切断して使用可能である。
【0042】
なお、不燃材11は、防火シート1に対してある程度の厚みを有し、厚み方向には大きく圧縮変形可能である。このような不燃材11としては、無機繊維を適用可能であり、例えば、アルカリアースシリケートファイバー、セラミックファイバー、ロックウールなどを適用可能である。
【0043】
防火シート1が巻き付けられた不燃材11は、袋体13に収容される。袋体13の材質は限定されないが、例えば、ポリプロピレン不織布やポリエチレン不織布等を適用可能である。
【0044】
次に、防火部材10を用いた防火構造について説明する。図4(a)は、防火構造20の側方断面図であり、図4(b)は、防火構造20の正面図である。壁や床などの区画部21に貫通孔23が形成され、貫通孔23には、ケーブルや配管などの長尺体25が挿通される。なお、貫通孔23の形状や長尺体25の径や本数は図示した例には限られない。
【0045】
長尺体25の外周であって、区画部21に形成された貫通孔23の内部には、複数のブロック状の防火部材10が配置される。すなわち、貫通孔23の内面と長尺体25の外面との隙間には、複数の防火部材10が挿入される。なお、図4(b)に示すように、防火部材10は、部位によって異なるサイズの物を用いることができる。このように、サイズの異なる防火部材10を組み合わせることで、隙間が生じることを抑制することができる。
【0046】
なお、ブロック状の防火部材10のみでは十分に隙間を塞ぐことができない場合には、防火シート1aを併用してもよい。図5(a)は、防火シート1aの断面図であり、図5(b)は、防火シート1aの他の構成を示す断面図であり、図5(c)は、防火シート1aを丸めた状態を示す図である。防火シート1aは、防火シート1と略同様の構成であるが、図5(a)、図5(b)に示すように、面材5aが用いられる点で異なる。図5(a)に示す例では、防火シート1の面材5に代えて面材5aが用いられ、図5(b)に示す例では、防火シート1の面材5の外周面にさらに面材5aが用いられる。なお、面材5aは、フィルム状ではなく、圧縮変形可能なクッション材で構成される。例えば、フェルトや不織布、起毛を有する生地(例えばフリース生地や毛羽たちのある生地など)、スポンジ等を適用可能である。
【0047】
なお、図5(a)において、熱膨張部材3の両面に面材5aを配置するのではなく、1方はフィルム上の面材5とし、他方のみを面材5aとしてもよい。また、図5(b)において、面材5aは一方の面にのみ配置してもよい。また、図5(a)に示す例と、図5(b)に示す例とを組み合わせてもよい。すなわち、防火シート1aは、熱膨張部材3の少なくとも1方の面に、圧縮変形可能なクッション材が配置されればよい。
【0048】
図5(c)に示すように、このような防火シート1aが丸められて、図4(b)に示すように、防火部材10と長尺体25との間に挿入される。このようにすることで、より細かな隙間を塞ぐことができる。
【0049】
ここで、防火シートは、凹凸形状によって面に垂直な方向(例えば、図2(a)、図5(a)の上下方向)に対して、容易に変形可能である。例えば、同じ熱膨張部材の体積であっても、一定の厚さでシート状とする場合と比較して、部分的に凹部が形成されることで、熱膨張部材3が容易に撓むことができる。このため、内部の不燃材11の圧縮変形とともに、防火シート全体としての変形能力が高くなる。このため、図4(b)に示すように、長尺体25等の湾曲した外面形状に対しても容易に追従して密着することができる。
【0050】
なお、熱膨張部材3の全体の厚みを薄くしても、変形能力を向上させることは可能である。しかし、火災時に貫通孔23を閉塞するためには、所定量以上の熱膨張部材が必要となるため、単に熱膨張部材3の厚みを薄くしただけでは、防火性能を確保することが困難である。
【0051】
一方、熱膨張部材3に凹凸を形成すると、凹部9の部位は熱膨張部材の量が少ないため、局所的には熱膨張量が少ない部位が生じるおそれがある。しかし、火災中に、貫通孔23の軸方向に対して部分的(例えば凸部7の位置)でも貫通孔23を完全に閉塞することができれば、部分的な凹部9が存在しても防火性能を確保することができる。
【0052】
なお、さらに熱膨張部材量を増やすために、長尺体25の外周に、さらに他の防火部材を配置してもよい。図6(a)は、防火構造20aの側方断面図であり、図6(b)は、防火構造20aの正面図である。
【0053】
防火構造20aは、防火構造20と略同様の構造であるが、長尺体15の外周部に、さらに熱膨張部材を含む他の防火部材10aが配置される。防火部材10aは、例えば、熱膨張部材を含む、厚手のパテシートなどである。この場合には、防火部材10及び防火シート1aは、防火部材10aの外周部に配置される。なお、防火部材10aに代えて、防火シート1aを長尺体25の外周に巻き付けてもよい。
【0054】
このように、長尺体25の外周に、防火部材10aや防火シート1aを配置することで、防火部材10のみでは長尺体25の燃焼時の体積減少分を補えない場合でも、熱膨張部材量を増やすことができる。このため、火災時に貫通孔をより確実に閉塞することができる。なお、この場合でも、防火部材10の変形能力が高いため、防火部材10aや防火シート1aが巻き付けられた長尺体25等の湾曲した外面形状に対しても、防火部材10が容易に追従して密着することができる。
【0055】
このように、防火部材10によって、長尺体25の周囲の貫通孔23が塞がれる。このため、区画部21の両側の空間に対する目隠しとなる。また、一方の空間で火災等が発生し、長尺体25が焼失する場合には、防火部材10の熱膨張部材3が膨張して、長尺体25の焼失で形成される空間を塞ぐことができる。
【0056】
また、前述したように、防火シート1を不燃材11に巻き付けた際、この巻き付けた方向に垂直な方向(図3のA方向)を、貫通孔23に対する防火部材10の挿入方向とする。このようにすることで、防火シート1の変形容易な方向(巻き付けた各面に垂直な方向)に対して垂直な方向が挿入方向となる。
【0057】
同様に、防火シート1aを丸めた際に、この軸方向に垂直な方向(図5(c)のH方向)を、貫通孔23に対する防火部材10の挿入方向とする。このようにすることで、防火シート1aの変形容易な方向(巻き付けた各面に垂直な方向)に対して垂直な方向が挿入方向となる。特に、防火シート1aが丸められているため、軸方向に対しては変形が起こりにくい。このように、変形が起こりにくい方向を挿入方向とすることで、挿入時の抵抗で、防火シートが座屈等の変形を起こすことを抑制することができる。このため、隙間が狭い部位にも容易に防火シート等を挿入することができる。
【0058】
以上説明したように、第1の実施の形態にかかる防火シート1によれば、熱膨張部材3に凹凸形状を形成することで、面方向に対する変形能力を高めることができる。このため、丸めて使用することもできるし、不燃材11の外周に巻き付けることも容易である。また、長尺体25に接した際に、長尺体25の外形にそって容易に変形させることができるため、長尺体25等との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0059】
また、部分的に熱膨張部材に厚みの薄い部位が形成されることで、熱膨張材の使用量を削減することができる。このため、同一厚みの防火シートと比較して、軽量でコストダウンを達成することができる。
【0060】
また、不燃材11の外周に防火シート1が筒状に丸められて使用されるか、又は防火シート1a自体が丸められて使用されるため、この軸方向を挿入方向とすることで、挿入時の防火部材や防火シートの変形を抑制することができる。
【0061】
また、防火シート1を不燃材11の全周に巻き付けることで、貫通孔23の内面との対向面の全周に熱膨張部材3が配置されるため、火災時には効率よく貫通孔23を閉塞させることができる。また、防火シート1で不燃材11が覆われていない方向(不燃材11が露出する方向)を貫通孔23の開口方向に向けて配置することで、貫通孔23の閉塞に対して不要な部位には熱膨張部材3が配置されず、熱膨張部材3の使用量を削減することができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図7(a)は、第2の実施形態に係る防火シート1bを示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の効果を奏する構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
防火シート1bは、防火シート1等と略同様の構成であるが、熱膨張部材3の両面に凹凸形状が形成される点で異なる。このように、熱膨張部材3は、一方の面又は両面において、凹凸形状を形成し、厚みを変化させてもよい。
【0064】
また、両面に凹凸形状を形成する際に、図7(b)に示す防火シート1cのように、厚みを変化させるのではなく、略一定の厚みで波形状としてもよい。このように波形状としても、防火シート1cの変形能力を高めることができる。なお、この場合、凹部9と凸部7との高さの差が、厚み(例えば凹部9又は凸部7における厚み)の50%以下とすることが望ましい。凸部7と凹部9の波高さが小さすぎると変形に対する効果が小さくなる。
【0065】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、凹凸形状が両面に形成することで、例えば波形状とすることもできる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図8は、防火シート1dを示す図であり、図8(a)は、図8(b)のC-C線断面図(すなわち、防火シート1dの上面の面材5を透視した平面図)であり、図8(b)は、図8(a)のB-B線断面図である。
【0067】
本実施形態では、熱膨張部材3が格子状に形成される。すなわち、熱膨張部材3の凹部9が、厚み方向に貫通している貫通部となる。このように、熱膨張部材3の凹凸形状は、少なくとも一部の凹部9が貫通し、最小厚みが0mmとなる場合も含むものである。この場合でも、凸部7における熱膨張部材の量が十分であれば、火災時に貫通孔と長尺体との隙間を、長手方向の少なくとも一部において閉塞することができる。
【0068】
ここで、最も厚みの薄い部位(凹部9)の厚みが0mmである場合(すなわち部分的に貫通している場合)には、最も厚みの厚い部位(凸部7)の厚みは、熱膨張粒子が少なくとも1層以上あればよい。例えば、最も厚みの厚い部位(凸部7)の厚みとしては、0.04mm以上とすることが望ましい。凸部7の厚みが薄すぎると、熱膨張部材量が少なくなり、貫通孔の閉塞能力が減少する。
【0069】
なお、貫通部を有する形態としては、熱膨張部材3は格子状である場合には限られない。例えば、図示した例では、凹部9(貫通部)の平面形状が略矩形であり、整列しているが、凹部9の平面形状は丸形など他の形状であってもよく、千鳥配列や異なるサイズ・形状を混合して配置してもよい。
【0070】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、凹凸形状の凹部の一部が貫通していてもよい。
【0071】
(第4実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図9は、防火シート1eを示す図であり、図9(a)は、図9(b)のE-E線断面図(すなわち、防火シート1eの上面の面材5を透視した平面図)であり、図9(b)は、図9(a)のD-D線断面図である。
【0072】
本実施形態では、熱膨張部材3がドット状に形成される。すなわち、熱膨張部材3の凸部7が連続せずに複数の箇所に分断されており、凹部9が、厚み方向に貫通している貫通部となる。したがって、熱膨張部材3の凹部9が格子状に形成される。このように、熱膨張部材3の凹凸形状は、凸部7が全体としてつながった形状ではなく、分散して配置される場合も含むものである。この場合でも、凸部7における熱膨張部材の量が十分であれば、火災時に貫通孔と長尺体との隙間を、長手方向の少なくとも一部において閉塞することができる。
【0073】
なお、図示した例では、凸部7の平面形状が略円形であり、整列しているが、凸部7の平面形状は矩形など他の形状であってもよく、千鳥配列や異なるサイズ・形状を混合して配置してもよい。
【0074】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、凹凸形状の少なくとも一部の凸部が分割配置されていてもよい。
【0075】
(第5実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図10(a)は、防火シート1fにおける、上面の面材5を透視した平面図である。防火シート1fは、熱膨張部材3の凹凸形状がストライプ状に形成される。すなわち、凸部7と凹部9とが、一方の方向(図中上下方向)に対して連続する。なお、凸部7及び凹部9の連続する方向(図中上下方向)をストライプ状の凹凸の延伸方向とし、凸部7と凹部9とが交互に繰り返される方向(図中左右方向)を、ストライプ状の凹凸の併設方向とする。
【0076】
なお、図8(b)に示す防火シート1gのように、凸部7は、延伸方向に対して完全に連続しなくてもよく、延伸方向の一部が部分的に途切れて凹部9が含まれていてもよい。このように、凸部7をストライプ状に形成すると、熱膨張部材3は、ストライプ状の凹凸の延伸方向と併設方向とで変形のしやすさが異なることとなる。例えば、図5(c)のように、防火シートを丸めて使用する場合には、凹凸形状の併設方向に対しては容易に丸めることができるが、凹凸形状の延伸方向は併設方向と比較して変形能力が低いため、丸めることが困難である。
【0077】
同様に、防火部材10において、不燃材11への巻き付け方向をストライプ状の凹凸の併設方向とすることで、防火シートを不燃材11の外周に容易に巻き付けることができる。この際、巻き付け方向に垂直な方向(図3のA方向)がストライプ状の凹凸の延伸方向となるようにすることで、この方向の変形を抑制することができる。
【0078】
このような防火シートや防火部材を用いる場合には、防火シートの巻き付け方向に垂直な方向(図3のA方向)や、防火シートを丸めた際の軸方向(図5(c)のH方向)は変形しにくい。このため、この方向を貫通孔への挿入方向とすれば、防火部材や防火シートの挿入時の変形が抑制されるため、挿入が容易である。また、この場合でも、側面からの力に対しては防火部材も防火シートも容易に変形するため、近接する長尺体等の外形に沿って容易に変形させることができる。すなわち、ストライプ状の凹凸の延伸方向が貫通孔への挿入方向になり、ストライプ状の凹凸の併設方向が、長尺体の周方向に沿う方向となるように、防火部材又は防火シートを配置することで、挿入性と形状追随性を両立することができる。
【0079】
なお、防火シート1f、1gは、変形のしやすさに方向性を設けるために、凹部9が熱膨張部材のない貫通部としたが、これには限られない。例えば、図2(a)、図2(b)、図7(a)、図7(b)に示す断面形状(ハッチング形状)が図面奥行方向に延伸してもよい。この場合でも、凸部7及び凹部9が延伸方向に連続し、併設方向には凸部7と凹部9とが交互に繰り返されるため、これらもストライプ状の凹凸形状とする。
【0080】
第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、凹凸形状をストライプ状にすることで、ストライプ状の凹凸の延伸方向を貫通孔への挿入方向として、ストライプ状の凹凸の併設方向を、長尺体の周方向に沿う方向となるように、防火部材又は防火シートを配置することで、挿入性と形状追随性を両立することができる。
【0081】
(第6実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。図11は、防火シート1hを示す図であり、図11(a)は、図11(b)のG-G線断面図(防火シート1hの上面の面材5を透視した平面図)であり、図11(b)は、図11(a)のF-F線断面図である。
【0082】
防火シート1hは、凸部7及び凹部9がまだら状に形成される。すなわち、明確に凸部7と凹部9とが規則的に配列されるのではなく、厚みがランダムに変化する。なお、この場合には、貫通部を凹部9として定義し、貫通部以外の熱膨張部材の存在している部位を凸部7とする。
【0083】
このように、熱膨張部材3の凹凸形状は、規則的に形成されるものには限られず、不規則に形成されてもよい。なお、凸部7の高さが不規則であるが、凸部7の最大厚みとしては、例えば、熱膨張粒子が少なくとも1層以上あればよく、概ね0.04mm以上であればよい。
【0084】
第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、熱膨張部材3の凹凸形状は不規則であってもよく、凸部7の高さも一定でなくてもよい。
【0085】
(防火シートの製造方法)
次に、防火シートの製造方法について説明する。一般的に、熱膨張部材をシート状にする方法としては、熱膨張材(熱膨張性黒鉛等)と、ブチルゴムやポリブタジエンオイル等からなるバインダーとを混錬して、パテシートを形成する方法や、ゴムシートのようにポリウレタン等のベース樹脂を硬化させてシート状にする方法などがある。これらの方法によれば、熱膨張部材をシート状に加工する際に、例えばローラ等で表面に規則的な凹凸形状を形成することができる。得られたシート状の熱膨張部材を面材で挟み込むことで防火シートを製造することができる。
【0086】
これに対し、粉体を用いて防火シートを製造する方法であってもよい。図12(a)、図12(b)は、防火シートの製造方法を示す概念図である。面材5を配置し、その上に、凸部7に対応する位置が開口するガイド31を配置する。この状態で、上方から熱膨張素材粉末33を散布する。熱膨張素材粉末33は、熱膨張材と熱可塑性樹脂等とが混ぜ合わせられたものである。
【0087】
熱膨張素材粉末33は、ガイド31の開口部の下方に堆積する。例えば、ガイド31の開口形状がドット状であれば、熱膨張素材粉末33を面材5上にドット状に堆積させることができる。所定量の熱膨張素材粉末33を所定の位置に堆積させたのち、上面から面材5を被覆し、加熱して熱融着する。以上により、所望の形態の防火シートを形成することができる。なお、熱膨張素材粉末33を熱融着させた後に、適宜厚み調整等を行ってもよい。
【0088】
また、図13(a)、図13(b)に示すように、所定の隙間を有するメッシュ35を用いて熱膨張素材粉末33を面材5上に散布してもよい。メッシュ35の開口部が一定でない場合には、熱膨張素材粉末33をランダムに堆積させることができる。すなわち、熱膨張素材粉末33の堆積量を不均一にすることで、凸部7をまだら状に形成することができる。
【0089】
このような製造方法によれば、幅の広い面材5を用いることができるため、面材5の張り合わせ加工や、所定の幅への切断加工などが容易である。
【0090】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
例えば、各実施形態における構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h………防火シート
3………熱膨張部材
5、5a………面材
7………凸部
9………凹部
10、10a………防火部材
11………不燃材
13………袋体
20、20a………防火構造
21………区画部
23………貫通孔
25………長尺体
31………ガイド
33………熱膨張素材粉末
35………メッシュ
100、100a………防火構造
101、109………防火部材
103………区画部
105………長尺体
107………貫通孔
【要約】
【課題】 変形能力が高い耐火シート及びこれを用いた熱膨張部材等を提供する。
【解決手段】 防火シート1は、主に、面材5、熱膨張部材3等から構成される。防火シート1は、一対の面材5の間に、熱膨張部材3が形成されて構成される。熱膨張部材3は、例えばパテシート状、ゴムシート状、マット状の部材又はパウダー状の素材から作られたスポンジ状や多孔質状の部材である。すなわち、熱膨張部材3は可撓性を有する。このため、面材5を含めた防火シート1は、全体として可撓性を有する。熱膨張部材3の一方の面には、凸部7と凹部9が形成される。すなわち、熱膨張部材3の少なくとも一方の面が凹凸状に形成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14