(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/34 20170101AFI20220121BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220121BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220121BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220121BHJP
A61L 15/20 20060101ALI20220121BHJP
A61L 15/26 20060101ALI20220121BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20220121BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220121BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220121BHJP
A01K 23/00 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K47/10
A61K9/70 401
A61P17/00
A61L15/20 200
A61L15/26 200
A61F5/44 H
A61F13/15 144
A61F13/15 210
A61F13/15 220
A61F13/49 220
A01K23/00 S
(21)【出願番号】P 2018106690
(22)【出願日】2018-06-04
【審査請求日】2020-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2017110029
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】中西 睦
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145835(JP,A)
【文献】特開2005-139097(JP,A)
【文献】特開2004-285043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0086482(US,A1)
【文献】特開平11-228363(JP,A)
【文献】特開2000-191476(JP,A)
【文献】特開2007-254740(JP,A)
【文献】特開2005-139095(JP,A)
【文献】特開昭60-090215(JP,A)
【文献】特開平06-192379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61L 15/00-15/64
A61P 17/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61F 5/00- 5/58
A61F 13/00-13/84
A01K 23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3級アミン基(塩)を含有する活性水素含有化合物(a
)を含有する活性水素含有化合物(A)
としてのN-メチルジエタノールアミンと
、ポリイソシアネート化合物(B)
としてのイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたは4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを構成単位として含むポリウレタン樹脂及び/又はポリウレア樹脂(P)を含有する皮膚外用剤を含む物品であって、
前記物品は、子供用紙おむつ、大人用紙おむつ、ナプキン、ペットシート、パンティーライナー、失禁パッド、汗取りシート、医療用血液吸収性物品、創傷保護材、創傷治癒剤及び手術用廃液処理剤のうちのいずれかである、物品。
【請求項2】
前記第3級アミン基(塩
)の含量がポリウレタン樹脂及びポリウレア樹脂の重量に基づいて、0.01~3mmol/gである請求項1に記載の物品。
【請求項3】
活性水素含有化合物(A)が更に、2~3価アルコールを含有する請求項1
又は2に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来皮膚用外用剤としては両性ウレタン樹脂を含む皮膚外用剤が知られている(特許文献1)。また、シロキサン鎖の両末端又は片末端に、活性水素を含む官能基を有するポリシロキサン化合物を用いて、ポリシロキサン鎖を両性ウレタン樹脂の骨格に導入した両性ウレタン樹脂が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-228363号公報
【文献】特開2000-191476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、肌を動かしたときの肌への追随性に劣り、肌への吸着性が少ないため脱落しやすいという問題があった。したがって、本発明では肌への追随性と吸着性を両立することで肌表面をコートし、摩擦や蒸れなどの刺激から肌を守り、肌荒れを抑制・改善する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第3級アミン基(塩)を含有する活性水素含有化合物(a)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する活性水素含有化合物(b)を含有する活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)を構成単位として含むポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂(P)を含有する皮膚外用剤である。本発明はまた、上記皮膚外用剤で皮膚を処理する皮膚コーティング方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は、肌への追随性と吸着性を両立することで肌表面をコートし、摩擦や蒸れなどの刺激から肌を守り、肌荒れを抑制・改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、第3級アミン基(塩)を含有する活性水素含有化合物(a)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する活性水素含有化合物(b)を含有する活性水素含有化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)を構成単位として含むポリウレタン樹脂及び/又はポリウレア樹脂からなり、(A)の少なくとも一部として、第3級アミン(塩)基を含有する活性水素含有化合物(a)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する活性水素含有化合物(b)を用いることを特徴とする皮膚外用剤である。
【0008】
本発明において、第3級アミン(塩)基を含有する活性水素含有化合物(a)中の、活性水素含有基としては、水酸基、メルカプト基及びアミノ基が挙げられる。第3級アミン基を含有し、かつ活性水素含有基を有する化合物としては、特には限定されないが、下記一般式(1)で示される化合物(a1)、そのアルキレンオキサイド付加物(a2)、及びそれらとジカルボン酸と縮合反応させたポリエステルジオール、ポリアミドジアミン、ポリチオエステルジメルカプタン類(a3)が挙げられる。
【0009】
【0010】
式中、R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1~24の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基、カルボキシルアルキル基又はアミノアルキル基であり、R1、R2、R3のうち少なくとも1つはヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基又はアミノアルキル基である。第3級アミン基を含有し、かつ水酸基を有する化合物(a1-1)の具体例としては、N、N-ジエチルエタノールアミン、N、N-ジブチルエタノールアミン、N、N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジプロパノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、N-メチル-N-ヒドロキシエチルアニリン、N-エチル-N-ヒドロキシエチルアニリン、N、N-ジオキシエチルアニリン、N、N-ジオキシエチルトルイジン、N-シクロヘキシルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0011】
第3級アミン基を含有し、かつアミノ基を含有する化合物(a1-2)の具体例としては、N、N-ジメチルヒドラジン、N、N-ジメチルエチレンジアミン、ビス-(アミノプロピル)-メチルアミン、ビス-(アミノエチル)-メチルアミン、ビス-(アミノメチル)-メチルアミン、ビス-(アミノエチル)-エチルアミン、ビス-(アミノエチル)-シクロヘキシルアミン、N-メチル-N-アミノエチルトルイジン、ビス-アミノプロピルアニリンなどが挙げられる。
【0012】
第3級アミン基を含有し、かつメルカプト基を含有する化合物(a1-3)の具体例としては、N,N,N-ジエチルメルカプトエチルアミン、N,N,N-ジブチルメルカプトエチルアミン、N,N,N-ジメチルメルカプトエチルアミン、N,N,N-ジメルカプトエチルメチルアミン、N,N,N-ジメルカプトエチルメチルアミン、N,N,N-ジメルカプトプロピルメチルアミン、N,N,N-ジメルカプトエチルステアリルアミン、N-メチル-N-メルカプトエチルアニリン、N-エチル-N-メルカプトエチルアニリン、N,N-ジメルカプトエチルアニリン、N,N-ジメルカプトエチルトルイジン、N,N,N-ジメルカプトエチルシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0013】
第3級アミン基を含有し、かつ水酸基とアミノ基を含有する化合物(a1-4)の具体例としては、N-メチル-N-(アミノエチル)エタノールアミン、N-エチル-N-(アミノプロピル)エタノールアミはいン、N-ヒドロキシエチル-N-アミノエチルアニリンなどが挙げられる。
【0014】
第3級アミン基を含有し、かつ水酸基とメルカプト基を含有する化合物(a1-5)の具体例としては、N-メチル-N-(メルカプトエチル)エタノールアミン、N-エチル-N-(メルカプトエチル)エタノールアミン、N-メチル-N-(メルカプトメチル)エタノールアミン、N-メチル-N-(メルカプトプロピル)エタノールアミン、N-メチル-N-(メルカプトエチル)プロパノールアミンなどが挙げられる。
【0015】
第3級アミン基を含有し、かつアミノ基とメルカプト基を含有する化合物(a1-6)の具体例としては、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトエチルアミン、N-メチル-N-(アミノブチル)メルカプトエチルアミン、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトラウリルアミン、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトステアリルアミン、N-メチル-N-(アミノブチル)メルカプトエチルアミンなどが挙げられる。
【0016】
一般式(1)で示される化合物(a1)のアルキレンオキサイド付加物(a2)において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1、2-、2、3-もしくは1、3-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、エピクロルヒドリンなどが挙げられる。アルキレンオキサイドは単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加でもランダム付加でも両者の混合系でも良い。
【0017】
一般式(1)で示される化合物(a1)又はそのアルキレンオキサイド付加物(a2)をジカルボン酸と縮合反応させて得られるポリエステルジオール、ポリアミドジアミン、ポリチオエステルジメルカプタン類(a3)は、一般式(1)で示される化合物又はそのアルキレンオキサイド付加物のうち、活性水素の数が2又は3の化合物とジカルボン酸を縮合反応させたものであり、活性水素含有基を少なくとも2個有するものである。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
上記以外でも特公昭43-9076号公報に記載の第3級アミン基を含む活性水素含有基を有する化合物であれば、実施することができる。
【0019】
これら第3級アミン基を含有し、かつ活性水素含有基を有する化合物(a)の内、好ましくは第3級アミン基を含有し、かつ水酸基を有する化合物であり、さらに好ましくはN-メチルジエタノールアミンである。
【0020】
本発明において、第3級アミン塩基を含有する活性水素含有化合物(a)としては、上記化合物を無機酸、有機酸又はこれら2種以上の混合物で中和したものが挙げられる。無機酸の具体例としては、たとえば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などが挙げられる。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類の有機酸が挙げられる。
【0021】
カルボン酸としては、分子内にカルボキシル基を有するものを使用することができる。具体例をあげれば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、乳酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテル酢酸、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシプロピレンオクチルエーテル酢酸などが挙げられる。
【0022】
スルホン酸としては、分子内にスルホン酸基、硫酸エステル基を有するものを使用することができる。具体例をあげれば、メチル硫酸、エチル硫酸、イソプロピル硫酸、プロピル硫酸、オクチル硫酸、ラウリル硫酸、ステアリル硫酸、イソステアリル硫酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0023】
有機リン化合物としては、分子内にリン酸エステル基を有するものを使用することができる。具体例をあげれば、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、メチルエチルリン酸、メチル亜リン酸、ジイソプロピルリン酸、ジラウリルリン酸、ジステアリルリン酸などが挙げられる。
【0024】
本発明において、第4級アンモニウム塩基を含有する活性水素含有化合物(b)としては、特には限定されないが、一般式(2)で表される化合物があげられ、具体的には前述の第3級アミノ(塩)基含有活性水素含有化合物(a)を4級化したもの及び、両性化したものが挙げられる。なお第3級アミノ(塩)基を含有する活性水素含有化合物の4級化又は両性化(変性)は、重合前に予め変性させる方法と、重合後変性させる方法が挙げられるが、好ましくは重合後変性させる方法である。
【0025】
【0026】
式中、R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1~24の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基、カルボキシルアルキル基又はアミノアルキル基であり、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つはヒドロキシアルキル基、メルカプトアルキル基又はアミノアルキル基である。R4は炭素数1~24の炭化水素基又はカルボキシアルキル基である。Xはハロゲン原子、モノアルキル炭酸又はモノアルキル硫酸である。本発明において第3級アミン(塩)基を4級化するための化合物としては、特に限定はされないが、脂肪族モノハロゲン化アルキル、芳香族モノハロゲン化アルキル、炭酸ジアルキル、硫酸ジアルキルなどが挙げられる。芳香族モノハロゲン化アルキルの例としては、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等が挙げられる。このうち好ましくは、塩化ベンジルである。脂肪族モノハロゲン化アルキルの例としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、臭化ラウリル、塩化ステアリル、ヨウ化イソプロピルなどが挙げられる。これらのうち好ましくは塩化メチル、塩化エチルである。
【0027】
硫酸ジアルキルとしては、特には限定されないが、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、硫酸ジイソプロピル、硫酸ジラウリル、硫酸ジステアリル、硫酸ジベへニルなどが挙げられる。このうち好ましくは、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルである。
【0028】
本発明において、第3級アミン(塩)基を両性化するための化合物としては、特に限定はされないが、たとえばモノハロゲン化酢酸(モノクロロ酢酸など)及びその塩が挙げられる。モノハロゲン化酢酸の塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アンモニウム塩が使用される。アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。アミン塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、アミノメチルプロパノール、ピリジン、エチレンジアミン等が挙げられる。
【0029】
本発明において、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂中の第3級アミン(塩)基及び/又は第4級アンモニウム塩基の含量は、フィルム耐水性と皮膚への親和性の観点から、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の重量に基づいて、0.01~3mmol/gであり、好ましくは0.02~2.5mmol/gである。
【0030】
本発明において、活性水素含有化合物(A)が含有してもよい前述の化合物(a)又は(b)以外の活性水素含有基を有する化合物としては、特に限定はされないが、高分子ポリオール、ポリアミン、低分子の活性水素含有化合物などが挙げられる。高分子ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、シリコーンポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、活性水素含有多官能化合物にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち、皮膚との親和性の観点から好ましいのは、ポリエーテルポリオール、低分子の活性水素含有化合物であり、更に好ましいのは、ポリエーテルポリオール及び2~3価アルコールである。最も好ましいのは、2~3価アルコールである。
【0031】
活性水素含有多官能化合物としては、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸などが挙げられる。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α-メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖などの3~8価の多価アルコールなどが挙げられる。
【0032】
多価フェノールの具体例としては、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノールのほかビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノールなどが挙げられる。
【0033】
アミンの具体例としては、アンモニア、炭素数1~20のアルキルアミン(ブチルアミンなど)、アニリンなどのモノアミン;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55-21044号公報に記載の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類などが挙げられる。
【0034】
またポリカルボン酸の具体例としてはコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。上記の活性水素含有多官能化合物は2種以上使用することもできる。
【0035】
活性水素含有多官能化合物に付加するアルキレンオキサイドとしては、前記したものと同一のものが挙げられる。
【0036】
アルキレンオキサイドは単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型など)でもランダム付加でも両者の混合系でもよい。これらのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、PO及びEOの併用、PO及び/又はEOとTHFの併用(併用の場合、ランダム、ブロック及び両者の混合系)であり、特に好ましいのはTHF単独である。
【0037】
活性水素含有多官能化合物へのアルキレンオキサイドの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒又は触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにアルキレンオキサイド付加の後半の段階で)に常圧又は加圧下に1段階又は多段階で行なわれる。
【0038】
また、ポリエーテルポリオールは、少割合のポリイソシアネート(後掲のもの)と反応させて更に高分子量化したものでもよい(ポリアルキレンエーテルポリオール/ポリイソシアネートの当量比率:1.2~10、好ましくは1.5~2 )。
【0039】
ポリエーテルポリオールの当量(水酸基当りの分子量)は、100~10,000、好ましくは250~5,000、更に好ましくは500~1,500である。また、該ポリエーテルポリオールの官能価は2~8、好ましくは2~3、とくに好ましくは2である。
【0040】
これらポリエーテルポリオールの内、好ましくは多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物であり、さらに好ましくはポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールである。
【0041】
ポリアミンとしては脂肪族ポリアミン(具体的にはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシレンジアミン、メチレンジアミン、ジフェニルエーテルなど)、脂環式ポリアミン(イソホロンジアミン及びその他の脂環式ポリアミンなど)、複素環式ポリアミン(ピペラジン及びその他特公昭55-21044号公報に記載の複素環式ポリアミンなど)などが挙げられる。これらポリアミンの内、好ましくは脂肪族ポリアミンである。
【0042】
低分子の活性水素含有化合物としては架橋剤、鎖伸長剤と称せられている物で少なくとも2個、このましくは2~5個の活性水素当量が200未満の化合物が使用できる。その具体例としては、2~3価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、アミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノトルエン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、メチレンビスオルソクロロアニリンなど)及び上記2~3価のアルコール、4~8価のアルコール(ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、サッカロースなど)、多価フェノール(ビスフェノールA、ハイドロキノンなど)、上記アミン、その他のアミン(アミノエチルピペラジン、アニリン)などに少量のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した当量200未満のポリヒドロキシ化合物及び水などをあげることができる。これらの内好ましいのは2~3価アルコール、アミン、水であり、更に好ましいのは、2~3価アルコールである。
【0043】
また、低分子の活性水素含有化合物として末端封止材と称されるもので、モノアルコール(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテルなど);アミン(プチルアミン、ジアリルアミンなど)をあげることができる。これらの内好ましいのはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレートである。
【0044】
上記活性水素含有化合物は、単独又は2種以上の混合で用いることができる。
【0045】
本発明において、ポリイソシアネート化合物(B)は従来ポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなポリイソシアネート化合物としては、特には限定されないが、炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネート(たとえば、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI〔粗製ジアミノフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物:ジアミノフェニルメタンと少量(たとえば5~20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)〕など〕:炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなど):炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(たとえばイソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなど):炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(たとえばキシレンジイソシアネートなど):及びこれらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトンイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など):及びこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0046】
本発明のポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂を製造するに当たり、活性水素含有化合物(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)の割合は種々変えることができるが、イソシアネート基と活性水素との当量比は(0.5~2):1、好ましくは(1.05~1.5):1である。
【0047】
本発明のポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の製造法は、たとえば、化合物(A)、(B)を分割して多段反応させる方法(プレポリマー法)、及び化合物(A)、(B)を一括して反応させる方法(ワンショット法)などがあげられるが、好ましくはプレポリマー法である。プレポリマー法の例としては、化合物(A)、(B)をあらかじめ反応させ、低分子ジアミンなどで反応を完結後、第3級アミン基を部分的に又は完全に中和、4級化及び/又は両性化する方法が挙げられる。
【0048】
本発明では、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いて反応を行うことできる。溶媒としては、アミド系溶媒(N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど):ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレンなど):エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフランなど):スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシドなど)及びこれらは、2種類以上の混合溶媒が考えられる。溶媒の量はポリウレタンの量に対して0~400%である。反応温度は20~150℃、好ましくは20~100℃である。また反応時間は3~20時間である。反応圧力も常圧下で行われるが、加圧下で行ってもよい。また反応を促進させるために、触媒たとえばアミン系触媒(トリエチルレンジアミン、N-メチルモルホリン、トリエチルアミンなど)、錫系触媒(ジブチルチンジラウレートなど)、鉛系触媒(オクチル酸鉛など)などをもちいてもよい。
【0049】
本発明において、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の分子量は重量平均分子量で1000以上を示し、好ましくは、5000から200万更に好ましくは1万から100万である。
【0050】
本発明で得られたポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂は通常の方法(たとえば特公昭42-24192号公報記載の方法)で分散体にすることができる。たとえば、本発明で得られたポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂のアセトン溶媒(濃度約60%)に撹拌可に水を加えて、次いで加熱下にアセトンを留去する事により水分散体(濃度約45%)を得ることができる。
【0051】
樹脂フィルムの100%モジュラスの測定法は、以下の条件で行うものとする。
(1)樹脂フィルムの作成(厚さ0.2±0.05mmの樹脂フィルム)上記フィルムの作成の例としては下記の方法がある。水(必要によりアルコール、ケトンなどの低沸点有機溶剤を一部併用してもよい)で固形分を約20%に希釈調製した樹脂溶液を、水平な離型性基体(例えばポリプロピレン板、必要により離型剤又は離型紙を使用してもよい)に枠を設けて、厚さ1mmに流展し、室温で約12時間放置し自然乾燥させる。次いで約60℃の循風乾燥器で約12時間乾燥させた後、剥離して、厚さ0.2±0.05mmの樹脂フィルムを得る。
【0052】
(2)測定試験片の調製上記の樹脂フィルムを、3号ダンベル(JIS K6723)を用いて試験片に加工し、厚みを正確に測定後、30±2℃、80±5%R.H.の恒温恒湿器で試験片を調湿する。100%モジュラスは吸湿状態により変動するため、測定のためには24時間以上48時間以下で吸湿させたものを供する。
(3)測定室温25±2℃、湿度65±5%R.H.の環境に設置したオートグラフ(例えば島津オートグラフAGS-500D)を用いて、以下の条件で測定を行う。なお、調湿した試験片は、恒温恒湿器から取り出して5分以内に測定する。
ロードセル:0.5MPa引張り速度:50mm/分薄い樹脂フィルムで、小さな100%モジュラスの測定では、引張り速度により変動するため、上記の条件で行うものとする。
【0053】
本発明において、樹脂フィルムの損失正接(tanδ)は、0.3以下であることが好ましく、更に好ましくは0.2である。tanδが0.3以下であると、樹脂の粘性が小さいので肌に密着した時の追随性が良い。樹脂フィルムのtanδの測定法は、以下の条件で行うものとする。
(1)樹脂フィルムの作成
樹脂フィルムの作成は、上記100%モジュラス測定法記載の方法で行う。
(2)測定試験片の作成
カッター等を用いて上記フィルムを長さ45mm、幅5mmの大きさに切り取り試験片を作成し、厚みを正確に測定する。
(3)測定市販の粘弾性測定器(例えばORIENTEC社MODEL DDV-25FP)を用いて下記条件で測定し、25±1℃におけるtanδを測定値とする。
荷重;2.0MPa(変位0.3~3%)
加振周波数;30Hz
【0054】
本発明の皮膚外用剤は、その剤型が、液剤、エアゾール剤、クリーム剤、ゲル剤(ジェリー剤)、粉剤、軟膏剤等である。これらの剤型のうち、使いやすさの観点から好ましいのは液剤、エアゾール剤、クリーム剤又はゲル剤である。
また、本発明の皮膚外用剤におけるポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂の含有量は、皮膚外用剤の重量に基づいて0.1重量%以上であれば特に限定されないが、使用時の剤型が液剤、エアゾール剤、クリーム剤又はゲル剤の場合には好ましくは0.1~5%(以下において、特に限定しない限り%は重量%を表す)、さらに好ましくは0.3~3%、特に好ましくは0.5~1%である。
【0055】
本発明の皮膚外用剤におけるポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂以外に含有できる他の成分としては以下の添加剤、例えば、油性成分、親水性成分、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、紛状無機物質、保存剤、酸化防止剤、pH調整剤及び賦香剤などが挙げられる。これらの他成分は、使用時の剤型に応じて、適宜選択される。
【0056】
油性成分としては、ワセリン、流動パラフィン、パラフィンワックス、シリコーンオイル、トリグリセリド、スクアレン、ミツロウ、サラシミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、鯨ロウなどワックス、精製ラノリンなどが挙げられる。
親水性成分としては、親水性脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、1価アルコール(エタノール、イソプロパノールなど)、多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-テトラメチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなど)、アルカノールアミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)が挙げられる。
【0057】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤(アルキル硫酸ナトリウムなど)、ノニオン性界面活性剤[ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノオレイルポリオキシエチレンソルビタンなど)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノステアレート及びソルビタンモノオレートなど)、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノステアレート及びソルビタンセスキオレートなど)、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(ポリオキシエチレンセチルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェノール及びポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体(プルロニックなど)]、カチオン性界面活性剤(セチルトリメチルアンモニウムクロライドなど)、及び両性界面活性剤などが挙げられる。
【0058】
増粘剤及びゲル化剤としては、多糖類(コロイド分散したデンプン、トラガント、アルギン酸塩、アラビアゴム、プルラン、ローカストビンガム、ビンガム、ペクチン、キサンタンガム及びグアガムなど)、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、コロイド性粘土(例えば、ベントナイト、ビーガムなどのケイ酸塩類)、ビニル重合体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸コポリマーなど)及びコロイダル微結晶セルロースなどが挙げられる。
粒状無機物質としては、例えば、タルク、無水ケイ酸、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コロイダルシリカ、ベントナイトなどが挙げられる。
【0059】
保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどのパラオキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α-トコフェロール、エリソルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としてはクエン酸、水酸化ナトリウム、また、ジイソプロパノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。
【0060】
本発明の皮膚外用剤が液剤である場合には、好ましくは界面活性剤、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、増粘剤、多価アルコール及び保存剤などを用いる。
【0061】
エアゾール剤である場合には、好ましくは前記液剤の成分とともに噴射剤が使用され、必要に応じて、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールなどの溶媒、高級脂肪酸エステル、界面活性剤などを使用できる。
【0062】
噴射剤としては、低沸点のフッ化炭化水素(例えばフロン22など)や脂肪族炭化水素(例えば、プロパン、ブタンなど)などが使用できる。
【0063】
ゲル剤である場合には、ゲル化剤を含んでおり、クリーム剤及び軟膏剤の基剤としては、前記油性成分、界面活性剤、親水性成分などが使用できる。
【0064】
本発明の皮膚外用剤の使用方法は、剤型によって異なるが、皮膚に塗布等の処理をおこなうことで、皮膚表面にコーティング膜を形成し、排泄物等による肌のかぶれを改善することが可能となる。
【0065】
また、本発明の皮膚外用剤は、皮膚と接触する部材(例えば、パルプ等)に塗布等することもできる。皮膚と接触する部材表面に塗布された場合、本発明の皮膚外用剤が部材から皮膚に転写することで肌表面にコーティング膜が形成され、肌のかぶれを改善することが期待できる。
【0066】
本発明の皮膚外用剤は、上記の各成分を配合することによって得られる。
本発明の皮膚外用剤が液剤である場合は、たとえば、本発明におけるポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂1~60重量部、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールなど1~60重量部、好ましくは5~50重量部、及びアニオン界面活性剤、両性界面活性剤もしくは非イオン界面活性剤を1~60重量部、好ましくは5~50重量部を添加して均一に混合、溶解した後、必要によりその他の添加剤を加え、充分に攪拌しながら水を加えて水系エマルジョン又は水系サスペンジョン[ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹
脂の濃度は1~30%、好ましくは5~20%]を得る方法が挙げられる。
【0067】
本発明の皮膚外用剤は、それ自体を、医薬品、医薬部外品、化粧品、トイレタリー用品として使用可能である。また、皮膚と接触する部材の処理剤として使用されるものとして適用可能である。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0069】
<製造例1>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000の1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール180.0部、1,4-ブタンジオール6.3部、N-メチルジエタノールアミン14.4部、イソホロンジイソシアネート89.3部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液にジメチル硫酸15.2部を加え、45~55℃で4級化を行った。得られた4級化物を30℃に冷却して水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度510mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-1)1000部を得た。得られた樹脂の4級アンモニウム塩含量は0.40mmol/gであった。
【0070】
<製造例2>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000のポリテトラメチレングリコール94.7部、分子量約2000の3-メチルペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール90.7部、1、4-ブタンジオール6.6部、N-メチルジエタノールアミン15.0部、イソホロンジイソシアネート83.3部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液にモノクロロ酢酸ナトリウム14.7部を加え、さらに80℃で両性化を行った。得られた両性化物を30℃に冷却して、水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度350mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-2)1000部を得た。得られた樹脂の4級アンモニウム塩含量は0.42mmol/gであった。
【0071】
<製造例3>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、N-メチルジエタノールアミン85.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート140.0部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液に無水エタノール30.0部を加え、さらに4時間50℃で反応を行った。得られたウレタン樹脂溶液に乳酸65.0部を加え、45~55℃で中和を行った。得られた中和物を30℃に冷却して水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度2000mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-3)1000部を得た。得られた樹脂の3級アミン塩含量は2.37mmol/gであった。
【0072】
<製造例4>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000のポリテトラメチレングリコール256.2部、N-メチルジエタノールアミン0.7部、イソホロンジイソシアネート42.2部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液にメチルクロライド0.3部を加え、45~55℃で4級化を行った。得られた4級化物を30℃に冷却して水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度380mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-4)1000部を得た。得られた樹脂の4級アンモニウム塩含量は0.02mmol/gであった。
【0073】
<製造例5>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000のポリプロピレングリコール229.3部、N-メチルジエタノールアミン5.6部、4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネート57.6部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液にモノクロロ酢酸アンモニウム塩6.4部を加え、80℃で両性化を行った。得られた両性化物を30℃に冷却して水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分31%、粘度450mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-5)1000部を得た。得られた樹脂の4級アンモニウム塩含量は0.16mmol/gであった。
【0074】
<製造例6>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000のポリプロピレングリコール189.0部、変性シリコーンポリオールX-21-5841(信越シリコーン株式会社製)40.3部、N-メチルジエタノールアミン5.6部、4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネート57.6部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液にモノクロロ酢酸アンモニウム塩6.4部を加え、80℃で両性化を行った。得られた両性化物を30℃に冷却して水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分31%、粘度450mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(P-6)1000部を得た。得られた樹脂の4級アンモニウム塩含量は0.16mmol/gであった。
【0075】
<比較製造例1>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000の1、4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール180.2部、1、4-ブタンジオール6.2部、ジメチロールプロピオン酸19.6部、イソホロンジイソシアネート94.0部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液に1Nの水酸化ナトリウム140部を加え、45~55℃で中和を行った。得られた中和物を30℃に冷却して水560部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度320mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(X‘-1)1000部を得た。
【0076】
<比較製造例2>
温度計及び撹拌機を付けた密閉反応器に、分子量約2000のポリテトラメチレングリコール91.6部、分子量約2000の3-メチルペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール91.6部、1、4-ブタンジオール6.6部、ジメチロールプロピオン酸20.8部、イソホロンジイソシアネート78.8部及びアセトン122部を仕込み、反応系を窒素ガスで置換した後、撹拌下80℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液に無水エタノールを30.0部加え、さらに4時間50℃で反応を行った。得られたウレタン樹脂溶液に、ジメチルエタノールアミン13.8部を加え、45~55℃で中和を行った。得られた中和を30℃に冷却して、水700部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分30%、粘度380mPa・sのウレタン樹脂水分散溶液(X‘-2)1000部を得た。
【0077】
上記のウレタン樹脂水分散溶液を用いて、液剤、エアゾール剤の剤型にした皮膚外用剤を調製した。調製処方を以下に示す。
【0078】
実施例1~6及び比較例1、2(液剤処方);
エマルジョン(P-1)~(P-6)、(X'-1)又は(X'-2) 100g
ポリオキシエチレングリコール(マクロゴール400) 330g
メチルエチルケトン 100mL
エタノール 450mL
精製水 全 1000mL
(調製方法)
各成分を混合溶解し、精製水を加えて全量が1000mlとなるように調整して液剤を製造した。
【0079】
実施例7~12及び比較例3、4(エアゾール剤処方);
エマルジョン(P-1)~(P-6)、(X'-1)又は(X'-2) 30g
エタノール 50g
精製水 100mL
噴射剤:ジメチルエーテル 100mL
(調製方法)
エタノール、精製水を含む基剤にエマルジョンを混合溶解し、容器に充填後、バルブを装着し、噴霧剤を充填し、エアゾール剤を製造した。
実施例1~12及び比較例1~4の肌荒れ改善性評価について表1にまとめる。
【0080】
<肌荒れ改善性1>
女性従業員(年齢25~45歳)8名を用いて、5質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で誘発させた肌荒れモデルを用い試験を行った。前腕内側部に1.5cmφの部位を左右2箇所ずつ設け、インテグラル社製の「テヴァメ-タTM300」で経皮的散逸水分量(TEWL)を測定した。実施例1~6及び比較例1、2で製造した液剤0.05gのTEWLを測定した前腕内側部に1.5cmφになるように塗布した。5%SLS水溶液3.0mLを浸透させた化粧用コットン(例えばシルコット(ユニ・チャーム株式会社製)を前腕内側部に貼付けた。貼付けた化粧用コットンを医療用テープ(例えば3Mベビースキンサージカルテープ 50mm)で固定し、4時間後にテープをはがした。同様の操作を連続4日間(4時間/日)で行った。4日後、上記コットンを剥がし、固定していた肌表面をイオン交換水で肌表面を洗浄した後、30分間、気温24~26℃、相対湿度62%の室内で肌表面を乾燥させ、TEWLを測定した。試験前に測定したTEWLと試験後に測定したTEWLの差を「ΔTEWL」とし、肌荒れの指標とした。「ΔTEWL」が大きいほど肌荒れが進行していることを示す。表1の結果より、本発明は肌荒れ予防又は改善効果を有することが判る。
【0081】
<肌荒れ改善性2>
男性従業員(年齢25~50歳)8名を用いて、5質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で誘発させた肌荒れモデルを用い試験を行った。前腕内側部に1.5cmφの部位を左右2箇所ずつ設け、インテグラル社製の「テヴァメ-タTM300」で経皮的散逸水分量(TEWL)を測定した。実施例7~12及び比較例3、4で製造したエアゾール剤のTEWLを測定した前腕内側部に3秒噴霧し、5%SLS水溶液3.0mLを浸透させた化粧用コットン(例えばシルコット(ユニ・チャーム株式会社製)をTEWLを測定した前腕内側部に貼付けた。貼付けた化粧用コットンを医療用テープ(例えば3Mベビースキンサージカルテープ 50mm)で固定し、4時間後にテープをはがした。同様の操作を連続4日間(4時間/日)で行った。4日後、上記コットンを剥がし、固定していた
肌表面をイオン交換水で肌表面を洗浄した後、30分間室内で肌表面を乾燥させ、TEWLを測定した。試験前に測定したTEWLと試験後に測定したTEWLの差を「ΔTEWL」とし、肌荒れの指標とした。「ΔTEWL」が大きいほど肌荒れが進行していることを示す。表1の結果より、本発明は肌荒れ予防又は改善効果を有することが判る。
【0082】
【0083】
表1の結果から、本発明の実施例1~12で得られた皮膚外用剤は、肌荒れ改善性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の皮膚外用剤はそれ自体を、医薬品、医薬部外品、化粧品、トイレタリー用品として使用可能であり、また、皮膚に転写できる部材として子供用紙おむつ、大人用紙おむつ、ナプキン、ペットシート、パンティーライナー、失禁パッド、汗取りシート、医療用血液吸収性物品、創傷保護材、創傷治癒剤及び手術用廃液処理剤等に有用である。