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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-20
(45)【発行日】2022-01-28
(54)【発明の名称】2成分系繊維用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/12 20060101AFI20220121BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220121BHJP
   C08F 110/06 20060101ALI20220121BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20220121BHJP
   D01F 8/06 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
C08L23/12
C08F4/6592
C08F110/06
C08L23/06
D01F8/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020558851
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 KR2019014829
(87)【国際公開番号】W WO2020096307
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0134672
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0138936
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ミン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジファ・イェ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ソプ・ノ
(72)【発明者】
【氏名】ヒクワン・パク
(72)【発明者】
【氏名】テジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】デヨン・イ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0113896(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0051222(KR,A)
【文献】国際公開第2012/105567(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/030893(WO,A1)
【文献】特開2017-193806(JP,A)
【文献】特開2013-032607(JP,A)
【文献】特表2016-501746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0239283(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2231726(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3572441(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-40405(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/12
C08F 4/6592
C08F 110/06
C08L 23/06
D01F 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを含むコア成分;および
ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンを含むシース成分;を含む、
コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物:
(i)分子量分布2.1~2.4、
(ii)下記数式1により測定した残留応力比率0.01~0.05%、
[数式1]
残留応力比率=(RS /RS )×100
(前記数式1において、RS は235℃下で前記ホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒未満のいずれか一つの時点(t )での残留応力であり、RS は235℃下でホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒~1.50秒の間のいずれか一つの時点(t )での残留応力である)
(iii)ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定した溶融指数20~40g/10min、
(iv) 13 C-NMRを用いてPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求め、下記数式2に基づいて算出した立体規則度98%~100%
[数式2]
立体規則度(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}×100
(前記数式2において、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)は、ヘッドから尾への結合部で構成された下記3個のプロピレン単位のうち第2単位のメチル基から誘導されたピーク面積を表す)
【化1】
(v)融点145~155℃。
【請求項2】
前記ホモポリプロピレンは、ASTM D3835に準じて測定した、せん断速度(shear rate)区間の5001/sでのせん断粘度が90~120Pa・sである、請求項1に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項3】
前記ホモポリプロピレンは、重合体総重量に対する総揮発性有機化合物含有量が30ppm以下である、請求項1または2に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項4】
前記高密度ポリエチレンの密度が、0.930~0.970g/cmである、請求項1からのいずれか一項に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項5】
前記高密度ポリエチレンはASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定した溶融指数が10~40g/10minである、請求項1からのいずれか一項に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項6】
前記高密度ポリエチレンの融点が120~135℃である、請求項1からのいずれか一項に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項7】
コア成分とシース成分を70:30~90:10の重量比で含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物。
【請求項8】
下記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、水素ガスをプロピレン総重量に対して300~500ppmの量で投入してプロピレンを重合させ、下記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを製造する段階;
前記ホモポリプロピレンをコア成分とし、ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンをシース成分とし、コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を準備する段階;および
前記コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を溶融紡糸し、コアが前記ホモポリプロピレンを含み、シースが前記高密度ポリエチレンを含む繊維を製造する段階;を含む、コアシース型2成分系繊維の製造方法:
(i)分子量分布2.1~2.4、
(ii)下記数式1により測定した残留応力比率0.01~0.05%、
[数式1]
残留応力比率=(RS /RS )×100
(前記数式1において、RS は235℃下で前記ホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒未満のいずれか一つの時点(t )での残留応力であり、RS は235℃下でホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒~1.50秒の間のいずれか一つの時点(t )での残留応力である)
(iii)ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定した溶融指数20~40g/10min、
(iv) 13 C-NMRを用いてPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求め、下記数式2に基づいて算出した立体規則度98%~100%
[数式2]
立体規則度(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}×100
(前記数式2において、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)は、ヘッドから尾への結合部で構成された下記3個のプロピレン単位のうち第2単位のメチル基から誘導されたピーク面積を表す)
【化2】
(v)融点145~155
【化3】
前記化学式1において、
Aはケイ素であり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲンであり、
およびRはそれぞれ独立して 3~6 分岐鎖アルキルで置換されたフェニル基であり、
~RおよびR~Rはそれぞれ水素であり、
およびR10は互いに同一であり、 2~4 直鎖アルキル基である。
【請求項9】
前記化学式1の化合物は、下記化学式1aで表される化合物である、請求項に記載のコアシース型2成分系繊維の製造方法。
【化4】
【請求項10】
コアが下記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを含み、
シースが、ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンを含む、コアシース型2成分系繊維からなる不織布:
(i)分子量分布2.1~2.4、
(ii)下記数式1により測定した残留応力比率0.01~0.05%、
[数式1]
残留応力比率=(RS /RS )×100
(前記数式1において、RS は235℃下で前記ホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒未満のいずれか一つの時点(t )での残留応力であり、RS は235℃下でホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒~1.50秒の間のいずれか一つの時点(t )での残留応力である)
(iii)ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定した溶融指数20~40g/10min、
(iv) 13 C-NMRを用いてPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求め、下記数式2に基づいて算出した立体規則度98%~100%
[数式2]
立体規則度(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}×100
(前記数式2において、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)は、ヘッドから尾への結合部で構成された下記3個のプロピレン単位のうち第2単位のメチル基から誘導されたピーク面積を表す)
【化5】
(v)融点145~155℃。
【請求項11】
スパンボンド不織布である、請求項10に記載の不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年11月5日付韓国特許出願第10-2018-0134672号および2019年11月1日付韓国特許出願第10-2019-0138936号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、不織布、特にスパンボンド不織布の製造時に優れた柔軟性(softness)を維持しながらも引張強度の特性を改善させることができるコアシース型(core-sheath type)の2成分系繊維用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に不織布は紡織、製織や編成過程を経ず機械操作や熱接着など機械、化学処理で繊維集合体を接着したり絡み合わせて作った織物、ペルト、樹脂接着させた不織布、ニードルパンチ、スパンボンド、スパンレース、エンボスフィルム、湿式不織布などがこれに属する。狭義ではランダム(random)に重なったウェブ(web)と繊維の接点を樹脂で接着して芯などとして用いることを意味する。接着布ともいい、ボンドファブリック(bonded fabric)ともいう。このような不織布は多様な方法で製造されるが、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、スパンレース法、スティッチボンド法、またはスパンボンド法などが知られている。
【0004】
一方、ポリオレフィン系樹脂を原料としたスパンボンド(spunbond)不織布は、触感、柔軟性、通気性、断熱性などに優れ、フィルタ、包装材、寝具、衣類、医療用品、衛生用品、自動車内装材、建築資材などに広く使われている。特に、ポリプロピレン短繊維は特有の低い融点および優れた耐化学性によりカレンダーボンド法またはエアスルーボンド法によりサーマルボンド不織布に加工され、おむつ、生理用ナプキンなどの衛生用品表面材に主に使用されている。
【0005】
一方、従来のチーグラー・ナッタ触媒で製造されるホモポリプロピレンとは異なり、メタロセン触媒で製造されるホモポリプロピレンは分子量分布が狭いので、太さは細くかつ均一な繊維の製造が可能であり、そのため強度に優れた低坪量の不織布を製造する長所がある。しかし、メタロセン触媒で製造されるホモポリプロピレンは、低いキシレン溶解度(xylene solubles)や狭い分子量分布による低分子量の含有量が少ないので、不織布製造時の表面積に粗い触感(feel)を与える短所がある。
【0006】
汎用チーグラー・ナッタ触媒で製造されるホモポリプロピレンをベースに柔軟な(soft)感じを加えるために、ホモポリプロピレンとポリエチレンを用いた2成分系(Bi-Component)加工技術、ホモポリプロピレンとプロピレンを含むポリオレフィン(C3-POE)を用いた混合技術、ホモポリプロピレンと低いモジュラスを有するポリプロピレン(Low modulus polypropylene;LPP)を用いた混合技術、そしてホモポリプロピレンとポリプロピレンターポリマー(terpolymer polypropylene;tPP)を用いた混合技術の4つの方法が用いられている。
【0007】
中でもホモポリプロピレンとポリエチレンを用いた2成分系加工技術の場合、衛生剤に使われるシルキーソフト(silky soft)な感じのスパンボンド不織布の製造に用いられるが、主にシース(sheath)には高密度ポリエチレン(HDPE)が、コア(core)にはポリプロピレンが適用される。2成分系加工技術の特徴は、従来のC3-POEをブレンドする不織布と類似の柔軟性を示しながらも、シースに融点が低いHDPEが使われるので、スパンボンド工程中のボンディング時のカレンダー(Calendar)に低い温度および圧力の適用が可能であり、バルキーな特性も共に確保できるという長所がある。しかし、シースにHDPEを適用することによって引張強度が低下する問題がある。
【0008】
そこで、柔軟性を維持しながらも引張強度を改善させることができる新規な繊維用樹脂組成物の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は不織布の製造時に優れた柔軟性を維持しながらも引張強度の特性を増大させることができる、コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物およびそれを用いて製造した不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、
下記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを含むコア成分;および
ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンを含むシース成分;を含む、コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を提供する:
(i)分子量分布2.4以下、
(ii)残留応力比率0.05%以下、
(iii)溶融指数(ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定)20~40g/10min、
(iv)立体規則度(Tacticity)98%以上、
(v)融点155℃以下。
【0011】
また、発明の他の一実施形態によれば、下記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、水素ガスをプロピレン総重量に対して300~500ppmの量で投入してプロピレンを重合させ、前記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを製造する段階;前記ホモポリプロピレンをコア成分とし、ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンをシース成分として含む、コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を準備する段階;および前記コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を溶融紡糸し、コアが前記ホモポリプロピレンを含み、シースが前記高密度ポリエチレンを含む、繊維を製造する段階;を含む、コアシース型2成分系繊維の製造方法を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
Aは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲンであり、
およびRはそれぞれ独立してC1~20アルキルで置換されたC6~20アリールであり、
~RおよびR~Rはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C1~20アルキルシリル、C1~20シリルアルキル、C1~20アルコキシシリル、C1~20エーテル、C1~20シリルエーテル、C1~20アルコキシ、C6~20アリール、C7~20アルキルアリール、またはC7~20アリールアルキルであり、
およびR10は互いに同一であり、C2~20アルキルである。
【0014】
本発明のまた他の一実施形態によれば、上記したコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を用いて製造され、コアが前記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを含み、シースが、ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンを含む、コアシース型2成分系繊維からなる、不織布、具体的にはスパンボンド不織布を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物は、コア成分として狭い分子量分布、低い残留応力比率および高い立体規則度を有するホモポリプロピレンを含み、シース成分として高密度ポリエチレンを含むことによって、安定した紡糸性を示し、同一の延伸比において改善された強度特性を示すことができる。また、加工ヒューム(hume)の発生量が低減して安定した紡糸性が確保されて延伸の増加が可能である。その結果、不織布、特にスパンボンド不織布の製造のための適用時に優れた柔軟性を維持しながらも引張強度の特性を大きく改善させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において使われる用語は、単に例示的な実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解しなければならない。
【0017】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、以下では特定の実施例を例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態によるコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物およびそれを用いて製造した不織布などについて説明する。
【0019】
通常、2成分系樹脂組成物を用いた繊維の製造時の高融点の素材がコア成分を構成し、コア成分より融点や軟化点が低い素材がシース成分を構成し、ポリオレフィン系樹脂を原料にしたスパンボンド(spunbond)不織布の場合、シースには融点が低いHDPEを適用し、コアにはチーグラー・ナッタ触媒(Z/N触媒)基盤のポリプロピレンを適用したりまたはポリプロピレンとエチレン-プロピレン共重合体を混合した樹脂組成物を適用している。
【0020】
これについて本発明では、コアシース型(core-sheath type)の2成分系繊維用樹脂組成物の製造時のコア成分として、特定構造のメタロセン触媒を用いて製造することによって、従来のチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造したポリプロピレン(Z/N PP)に比べて、高い粘度特性と狭いMWD、そして低減されたTVOCを有して延伸増加した時にも安定した紡糸性の確保が可能であり、増加した引張強度の特性を示すことができるホモポリプロピレンを使用した。
【0021】
具体的に本発明の一実施形態によるコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物は、
(A)下記(i)~(v)の条件を満たすホモポリプロピレンを含むコア成分;および
(B)ASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上の高密度ポリエチレンを含むシース成分;を含む:
(i)分子量分布2.4以下、
(ii)残留応力比率0.05%以下、
(iii)溶融指数(ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定)20~40g/10min、
(iv)立体規則度98%以上、
(v)融点155℃以下。
【0022】
以下、各成分別に詳細に説明する。
【0023】
(A)コア成分
本発明の一実施形態によるコアシース型2成分系繊維用樹脂組成物において、コア成分は、ホモポリプロピレンを含む。
【0024】
一般に不織布製造用に使われるメタロセン系触媒を用いて製造したホモポリプロピレンは、低いキシレン溶解度や狭い分子量分布による低分子量構造の低い含有量により不織布の製造時に粗い触感を与える問題がある。また、ホモポリプロピレンの代わりにランダムポリプロピレンを用いて不織布を製造する場合、ホモポリプロピレンとは異なり主鎖の間に異種の共単量体(例えば、エチレン)が入って樹脂のラメラ構造が変形されるので、柔軟性は増加するが強度が低下する問題があった。
【0025】
そこで、本発明では特定構造のメタロセン系触媒を用いて製造した、狭い分子量分布、低い残留応力比率および高い立体規則度を有するホモポリプロピレンを使用することによって、優れた繊維加工性を示し、不織布の製造時に優れた柔軟性を維持しながらも引張強度の特性を増大させることができる。
【0026】
前記繊維加工性とは、紡糸加工時の繊維の断糸が発生せず長期的にそして連続的に生産が可能であり、また、延伸工程時、均一な分子量分布によって高倍率で延伸を可能にすることによって、より細繊化したそして高い強度の繊維を製造することを意味する。
【0027】
本発明で使用されるホモポリプロピレンは、後述するメタロセン系触媒を用いたその特徴的製造方法により2.4以下の狭い分子量分布(MWD)を示す。このように狭い分子量分布を有することによって延伸増加した時にも安定した紡糸性を確保して優れた繊維加工性を示すことができる。より具体的には分子量分布が2.4以下で、2.0以上、または2.1以上でありうる。
【0028】
本発明において、前記ホモポリプロピレンの分子量分布は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した後、重量平均分子量を数平均分子量で除して分子量分布(MWD=Mw/Mn)を計算することができる。具体的には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置としてはPolymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いて、Waters PL-GPC220機器を用いた。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で測定した。重合体サンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給した。ポリスチレン標準試片を用いて形成された検定曲線を用いてMwおよびMnの値を誘導した。ポリスチレン標準試片は、重量平均分子量がそれぞれ2,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、70,000g/mol、200,000g/mol、700,000g/mol、2,000,000g/mol、4,000,000g/mol、10,000,000g/molである9種を使用した。
【0029】
また、前記ホモポリプロピレンは0.05%以下の低い残留応力比率を有する。
【0030】
前記残留応力比率は、不織布の製造工程と類似の環境下で流変学的物性テストにより繊維加工性を確認できるものであり、ホモポリプロピレンに大きい変形(strain)を加えて応力緩和テスト(stress relaxation test)を行って下記数式1により測定した値である。
【0031】
[数式1]
残留応力比率=(RS/RS)×100
【0032】
前記数式1において、RSは235℃下で前記ホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒未満のいずれか一つの時点(t)での残留応力であり、RSは235℃下でホモポリプロピレンに200%の変形を加えた後0.05秒~1.50秒の間のいずれか一つの時点(t)での残留応力である。
【0033】
前記数式1による残留応力の比率が0.1%を超える場合、通常、不織布製造時の溶融状態で繊維が紡糸されてクーリング(cooling)により半溶融状態で延伸することになるが、このとき残留応力が高ければ収縮しようとする性質が大きくなることによって、繊維の断糸が発生する可能性が高くなり、その結果不良率が増加する恐れがある。
【0034】
また、前記数式1において、RSは235℃下でホモポリプロピレンに200%の変形を加えた直後[例えば0.05秒未満のいずれか一つの時点(t)]での残留応力を示す。そして、前記数式1において、RSは前記RSと同じ条件下で前記t後約1.5秒以内[例えば0.05秒~2.00秒の間のいずか一つの時点(t)]での残留応力を示す。
【0035】
具体的には、前記数式1において、前記tは、0.01秒、または0.015秒、または0.02秒、または0.025秒、または0.03秒、または0.035秒、または0.04秒、または0.045秒から選ばれることができる。そして、前記数式1において、tは、0.05秒、または0.10秒、または0.20秒、または0.30秒、または0.40秒、または0.50秒、または0.60秒、または0.70秒、または0.80秒、または0.90秒、または1.00秒、または1.10秒、または1.20秒、または1.30秒、または1.40秒、または1.50秒、または1.60秒、または1.70秒、または1.80秒、または1.90秒、または2.00秒から選ばれることができる。好ましくは、残留応力の測定時の有効なデータの容易な確保のために、前記計算式2において、tは0.02秒で、tは1.00秒であることが有利である。
【0036】
そして、前記ホモポリプロピレンの残留応力比率は、不織布製造時のメルトブローの実行のための工程条件と同様の環境(例えば235℃)下で測定される。前記235℃の温度はホモポリプロピレンを完全に溶かしてメルトブローを行うのに適した温度に該当する。
【0037】
残留応力比率の制御による繊維加工性の改善効果を考慮するとき、前記ホモポリプロピレンの残留応力比率は、0.04%以下、または0.03%以下で、0.005%以上、または0.01%以上でありうる。
【0038】
また、前記ホモポリプロピレンは、ASTM D 1238に準じて230℃で2.16kg荷重下に測定したとき、溶融指数(melt index;MI)が20g/10min以上、または25g/10min以上であり、40g/10min以下であり得る。ここで、前記溶融指数は、不織布に加工できる分子量の維持側面から20g/10min以上であり得、不織布の基本強度を維持する側面から40g/10min以下でありうる。
【0039】
本発明におけるホモポリプロピレンの溶融指数は、ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定することができ、10分間溶融して出た重合体の重量(g)で表す。
【0040】
また、前記ホモポリプロピレンは、98%以上、より具体的には98~100%の高い立体規則度(tacticityまたはTriad tacticity)を有する。このように高い立体規則度を有することにより不織布の製造時に優れた剛性を示すことができる。
【0041】
前記立体規則度は、核磁気共鳴機器(nuclear magnetic resonance;NMR)を用いて測定することができる。具体的には13C-NMRを用いてPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求め、下記数式2に基づいて立体規則度を算出した。この時、測定機器としてはBrukerの600MHz AvanceIII HD NMRを用い、1,1,2,2-テトラクロロエタン溶媒に各重合体を溶解させて120℃で分析した。
【0042】
[数式2]
立体規則度(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}×100
【0043】
前記数式2において、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)は、ヘッドから尾への結合部で構成された下記3個のプロピレン単位のうち第2単位のメチル基から誘導されたピーク面積を表す。
【0044】
【化2】
【0045】
そして、前記ポリプロピレンの13C-NMR分析は、米国特許第5,504,172号に記述されたとおりに測定することができる。メチル炭素領域(19~23ppm(part per million))と関連したスペクトルは、第1領域(21.3~22.4ppm)、第2領域(20.5~21.3ppm)および第3領域(19.5~20.5ppm)に分けられる。スペクトル内のそれぞれのピークは、文献[the journal Polymer,Volume 30(1989)、page 1350]に基づいて割り当てた。第1領域では、PPP(mm)で表される3個のプロピレン単位鎖のうち第2単位のメチル基が共鳴する。第2領域では、PPP(mr)で表される3個のプロピレン単位のうち第2単位のメチル基が共鳴し、隣接する単位がプロピレン単位およびエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)が20.7ppm付近で共鳴する。第3領域では、PPP(rr)で表される3個のプロピレン単位鎖のうち第2単位のメチル基が共鳴し、隣接する単位がエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が19.8ppm付近で共鳴する。
【0046】
そして、前記13C-NMR分析結果に基づいて、立体規則度を次のような方法で計算することができる。前記第2領域および第3領域の全体ピーク面積からプロピレン挿入部のピーク面積のうちエラーに対するピーク面積を引くと、ヘッドから尾への結合部で構成された3個のプロピレン単位鎖(PPP(mr)およびPPP(rr))に基づいたピーク面積が収得されうる。このように計算されたPPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を用いて前記数式2から立体規則度を算出することができる。
【0047】
また、前記ホモポリプロピレンは155℃以下の融点(Tm)を有し、具体的には150℃以下であり、140℃以上または145℃以上の融点を有する。上記した範囲内のTmを有することによって優れた紡糸性および生産性を示すことができる。
【0048】
一方、本発明において、ホモポリプロピレンの融点は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter;DSC)を用いて測定することができる。具体的には、重合体試料の温度を200℃まで増加させた後、5分間その温度で維持し、その次に30℃まで下げ、再び温度を増加させてDSC曲線の頂点を融点とした。この時、温度の上昇と下降の速度は10℃/minであり、融点は二番目の温度が上昇する区間で測定した結果を使用した。
【0049】
また、前記ホモポリプロピレンは、ASTM D3835に準じてCapillary Rheometerを用いて測定したせん断速度(shear rate)区間の5001/sでのせん断粘度(shear viscosity)が90~120Pa・sで、前記範囲内のせん断粘度を示すことによって同一延伸比で増加した強度特性を示すことができる。
【0050】
本発明における前記ホモポリプロピレンのせん断粘度は、Capillary Rheometerを用いて測定され得、具体的にはASTM D3835に準じて230℃、Nozzle 0.5×27.8mm L/D 55の条件で測定することができる。
【0051】
また、前記ホモポリプロピレンは、重合体総重量に対してTVOC含有量が30ppm以下、または30ppm未満で大きく減少したTVOC含有量を示す。このように減少したTVOCを示すことにより紡糸時の加工hume(オリゴマー分解によるガス)発生量が顕著に低くいため安定した紡糸性が確保でき、延伸の増加が可能である。
【0052】
本発明におけるTVOC含有量は、VDA 277方法に準じて、120℃で5時間加熱後の発生するガスをHeadspace Sampler-GC/FIDを用いて測定することができる。
【0053】
前記のような物性的特徴を有するホモポリプロピレンは、下記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、水素ガスをプロピレン総重量に対して300~500ppmの量で投入してプロピレンを重合させることによって製造され得、この時、触媒の種類および水素投入量などの重合反応条件の制御により最適化した物性的特徴を具現することができる。
【0054】
【化3】
【0055】
前記化学式1において、
Aは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲンであり、
およびRはそれぞれ独立してC1~20アルキルで置換されたC6~20アリールであり、
~RおよびR~Rはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C1~20アルキルシリル、C1~20シリルアルキル、C1~20アルコキシシリル、C1~20エーテル、C1~20シリルエーテル、C1~20アルコキシ、C6~20アリール、C7~20アルキルアリール、またはC7~20アリールアルキルであり、
およびR10は互いに同一であり、C2~20アルキルである。
【0056】
本明細書において特別な制限がない限り、次の用語は下記のように定義する。
【0057】
ハロゲン(halogen)は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)でありうる。
【0058】
1~20アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状アルキル基でありうる。具体的には、C1~20アルキル基はC1~15直鎖アルキル基;C1~10直鎖アルキル基;C1~5直鎖アルキル基;C3~20分枝鎖または環状アルキル基;C3~15分枝鎖または環状アルキル基;またはC3~10分枝鎖または環状アルキル基でありうる。より具体的には、C1~20のアルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基またはシクロヘキシル基などでありうる。
【0059】
2~20アルケニル基は、直鎖、分枝鎖または環状アルケニル基でありうる。具体的には、C2~20アルケニル基はC2~20直鎖アルケニル基、C2~10直鎖アルケニル基、C2~5直鎖アルケニル基、C3~20分枝鎖アルケニル基、C3~15分枝鎖アルケニル基、C3~10分枝鎖アルケニル基、C5~20の環状アルケニル基またはC5~10の環状アルケニル基でありうる。より具体的には、C2~20のアルケニル基はエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基またはシクロヘキセニル基などでありうる。
【0060】
6~30アリールは、単環、二環または三環芳香族炭化水素を意味する。具体的には、C6~30アリールはフェニル基、ナフチル基またはアントラセニル基などでありうる。
【0061】
7~30アルキルアリールは、アリールの1以上の水素がアルキルによって置換された置換基を意味する。具体的には、C7~30アルキルアリールは、メチルフェニル、エチルフェニル、n-プロピルフェニル、iso-プロピルフェニル、n-ブチルフェニル、iso-ブチルフェニル、tert-ブチルフェニルまたはシクロヘキシルフェニルなどでありうる。
【0062】
7~30アリールアルキルは、アルキルの1以上の水素がアリールによって置換された置換基を意味する。具体的には、C7~30アリールアルキルはベンジル基、フェニルプロピルまたはフェニルヘキシルなどでありうる。
【0063】
本発明の一実施形態によるポリプロピレン樹脂組成物の製造方法において、段階1はホモポリプロピレンの製造段階である。具体的には前記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で、水素を300~700ppmの量で投入してプロピレンを重合反応させることによって行われ得、その結果として分子量分布が2.4以下であるものなど上述したような物性的特徴を有するホモポリプロピレンが製造される。
【0064】
前記段階1において、触媒は前記化学式1の化合物を単一触媒として含む。そのため、従来の2種以上の触媒を混合して使用する場合に比べて製造される分子量分布が顕著に狭くなる。
【0065】
さらに前記化学式1の化合物は、インデニル基を含む二つのリガンドを連結する架橋基(ブリッジグループ)として、炭素数2以上の同じアルキル基で2置換された2価の官能基Aを含むことによって、既存の炭素ブリッジに比べて原子サイズが大きくなり可用角度が増える。そのためモノマーの接近が容易であり、より優れた触媒活性を示すことができる。
【0066】
また、リガンドである二つのインデニル基はいずれも2番位置はメチル基で置換され、4番位置(RおよびR)はそれぞれアルキル置換されたフェニル基を含むことによって十分な電子を供給できる誘導効果(Inductive effect)によってより優れた触媒活性を示すことができる。
【0067】
また、前記化学式1の化合物は、中心金属としてジルコニウム(Zr)を含むことによって、Hfなどのような他の14族元素を含む場合と比較して電子を収容できる軌道をさらに多く持っており、より高い親和力でモノマーと容易に結合でき、その結果、より優れた触媒活性の改善効果を奏することができる。
【0068】
より具体的には、前記化学式1において、RおよびRはそれぞれ独立してC1~10アルキルで置換されたC6~12アリール基であり得、より具体的にはtert-ブチルフェニルのようなC3~6分枝鎖アルキル基で置換されたフェニル基でありうる。また、前記フェニル基に対するアルキル基の置換位置はインデニル基に結合したRまたはR位置とパラ(para)位に該当する4番位置でありうる。
【0069】
また、前記化学式1において、R~RおよびR~Rはそれぞれ独立して水素であり得、XおよびXはそれぞれ独立してクロロでありうる。
【0070】
また、前記化学式1において、Aはケイ素であり得、また、前記Aの置換基であるRおよびR10は溶解度を増大させて担持効率性を改善する側面から互いに同一であり、C2~10アルキル基であり得、より具体的にはエチル、n-プロピル、n-ブチルのようなC2-4直鎖アルキル基、より具体的にはそれぞれエチルでありうる。このようなブリッジの置換基RおよびR10がそれぞれメチル基である場合、担持触媒調製時の溶解度が良くないため担持反応性が劣る問題が現れる。
【0071】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は、次のとおりである:
【0072】
【化4】
【0073】
前記化学式1の化合物は、公知の反応を応用して合成され得、より詳細な合成方法は、後述する製造例を参照することができる。
【0074】
一方、前記化学式1の化合物は、単一成分として使用することもでき、担体に担持された担持触媒の状態で使用することもできる。担持触媒状態で利用時、製造される重合体の粒子形態およびバルク密度に優れ、従来のスラリー重合またはバルク重合、気相重合工程に適合するように使用可能である。
【0075】
前記担体としては表面にヒドロキシ基またはシロキサン基を含む担体を使用することができ、好ましくは高温で乾燥して表面に水分が除去され、反応性が大きいヒドロキシ基とシロキサン基を含む担体を使用することができる。前記担体の具体的な例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシアなどが挙げられ、これらは通常、NaO、KCO、BaSO、およびMg(NOなどの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩の成分をさらに含み得る。その中でもシリカは、シリカ担体と前記メタロセン化合物の官能基が化学的に結合して担持されるので、プロピレン重合工程で担体表面から遊離して出る触媒が殆どなく、その結果スラリーまたは気相重合でホモポリプロピレンを製造する時反応器の壁面や重合体粒子どうしが絡み合うファウリングを最小化することができる。
【0076】
前記化学式1の化合物が担体に担持される場合、前記化学式1の化合物対担体の重量比は1:1~1:1000でありうる。前記重量比で担体および化学式1の化合物を含む時、適切な担持触媒活性を示して触媒の活性維持および経済性の側面から有利である。より具体的には化学式1の化合物対担体の重量比は1:10~1:30、より具体的には1:15~1:20でありうる。
【0077】
また、前記触媒組成物は高い活性と工程安定性を向上させる側面から助触媒をさらに含み得る。
【0078】
前記助触媒は、下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物より選ばれる1種以上を含み得る:
【0079】
[化学式2]
-[Al(R11)-O]
【0080】
前記化学式2において、
11は互いに同一であるかまたは相異し得、それぞれ独立してハロゲン;C1~20の炭化水素;またはハロゲンで置換されたC1~20の炭化水素であり;
mは2以上の整数であり;
【0081】
[化学式3]
J(R12
【0082】
前記前記化学式3において、
12は互いに同一であるかまたは相異し得、それぞれ独立してハロゲン;C1~20の炭化水素;またはハロゲンで置換されたC1~20の炭化水素であり;
Jはアルミニウムまたはホウ素であり;
【0083】
[化学式4]
[E-H][ZAまたは[E][ZA
【0084】
前記化学式4において、
Eは中性またはカチオン性ルイス塩基であり;
Hは水素原子であり;
Zは13族元素であり;
Aは互いに同一であるかまたは相異し得、それぞれ独立して1以上の水素原子がハロゲン、C1~20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換されたC6~20のアリール基またはC1~20のアルキル基である。
【0085】
前記化学式2で表される化合物の例としてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンまたはブチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン系化合物が挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。
【0086】
前記化学式3で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリブチルホウ素などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、またはトリイソブチルアルミニウムより選ばれた1種以上の化合物が使用されることができる。
【0087】
また、前記化学式4で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルホウ素、トリブチルアンモニウムテトラフェニルホウ素、トリメチルアンモニウムテトラフェニルホウ素、トリプロビルアンモニウムテトラフェニルホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルホウ素、トリメチルホスホニウムテトラフェニルホウ素、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロビルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロビルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロビルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルホウ素が挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。
【0088】
より具体的には前記助触媒はアルキルアルミノキサン系助触媒でありうる。
【0089】
前記アルキルアルミノキサン系助触媒は、前記化学式1の遷移金属化合物を安定化させ、また、ルイス酸として作用し、前記化学式1の遷移金属化合物の架橋基(bridge group)に導入された官能基とルイス酸-塩基相互作用による結合を形成できる金属元素を含むことによって触媒活性をさらに増進させることができる。
【0090】
上記した助触媒がさらに含まれる場合、前記化学式1の化合物対助触媒の重量比は1:1~1:20でありうる。前記重量比で助触媒および化学式1の化合物を含む時、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の側面から有利である。より具体的には化学式1の化合物対助触媒の重量比は1:5~1:20、より具体的には1:5~1:15でありうる。
【0091】
上記した構成を有する触媒組成物は、担体に助触媒化合物を担持させる段階、および前記担体に前記化学式1で表される化合物を担持させる段階を含む製造方法によって製造され得、この時、助触媒と化学式1の化合物の担持順序は必要に応じて変わる。ただし、担持順序により決定された構造の担持触媒がポリプロピレンの製造工程での触媒活性と工程安定性に及ぼす影響を考慮するとき、助触媒担持後の化学式1の化合物を担持することが、より高い触媒活性と共に優れた工程安定性を実現することができる。
【0092】
一方、前記ホモポリプロピレンの製造のための重合反応は、連続式重合工程により行われ得、例えば、連続式溶液重合工程、バルク重合工程、懸濁重合工程、スラリー重合工程または乳化重合工程などオレフィン単量体の重合反応として知られている多様な重合工程を採用することができる。特に、均一な分子量分布を得て、製品を商業的に生産する側面では連続式バルク-スラリー重合工程を採用することができる。
【0093】
また、前記重合反応は40℃以上、または60℃以上、または70℃以上であり、110℃以下または100℃以下の温度で行われ得、圧力条件をさらに制御する場合、1kgf/cm以上、または30kgf/cm以上であり、100kgf/cm以下、または50kgf/cm以下の圧力下で行われることができる。
【0094】
また、前記重合反応は水素ガスの投入条件下で行われる。
【0095】
この時、前記水素ガスはメタロセン触媒の非活性サイトを活性化させて連鎖移動反応(chain transfer reaction)を起こして分子量を調整する役割をする。本発明のメタロセン化合物は水素反応性に優れ、したがって、重合工程時の前記水素ガス使用量の調整によって、所望する水準の分子量と溶融指数を有するホモポリプロピレンが効果的に得られる。
【0096】
前記水素ガスは、プロピレン単量体総重量に対して、300ppm以上、または350ppm以上であり、500ppm以下、または490ppm以下の量で投入され得る。前記範囲内に水素ガスの使用量を調整し、十分な触媒活性を示しながらも製造されるホモポリプロピレンの分子量分布および流動性を所望する範囲内に調整することができ、そのため用途に応じて適切な物性を有する共重合体を製造することができる。より具体的には、前記化学式1の化合物は、非常に優れた水素反応性を有しており、水素ガスの使用量を増加させることにより連鎖移動反応が活性化し、そのため分子量が減少して溶融指数が高いホモポリプロピレンを収得することができる。水素ガスの使用量が300ppm未満の場合、溶融指数が大幅に低下して加工性が低下する恐れがあり、500ppmを超える場合、MIが過度に高まって不織布の物性が低下する恐れがある。
【0097】
また、前記重合反応において、前記触媒は、プロピレン単量体の重合工程に適した炭素数5~12の脂肪族炭化水素溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体とトルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、またはジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解したり希釈した状態で用いられる。この時、前記溶媒を少量のアルキルアルミニウム処理をすることによって触媒毒として作用できる少量の水または空気などを除去することができる。
【0098】
前記のようなホモポリプロピレンの製造方法は、前記化学式1の遷移金属化合物を触媒活性成分として使用することによって、高い転換率で生産性を向上させることができ、また、水素投入量の制御により製造される重合体が狭い分子量分布とともに低い残留応力比率および高い立体規則度を有して不織布の製造工程で優れた繊維加工性を確保すると同時にモジュラス(modulus)を減少させて高強度および高柔軟性の不織布を効果的に製造することができる。
【0099】
本発明の一実施形態による樹脂組成物において、前記コア成分は上記したホモポリプロピレンの他にも樹脂組成物の用途に応じて求められる物性改善のための添加剤、具体的には核剤(例えば、ベンジリデンソルビトール、メチルベンジリデンソルビトール、エチルベンジリデンソルビトールなど)、酸化防止剤(テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシリル化)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェノール)ホスファートなど)、触媒中和剤(ステアリン酸カルシウム、ヒドロタルサイトなど)、顔料、分散剤、耐候剤、帯電防止剤、UV安定剤、スリップ剤、粘着防止剤、タルク、またはMI上昇剤(ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン)などの添加剤を1種以上さらに含み得る。前記添加剤の含有量は本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜調整することができ、具体的にはコア成分総重量に対して0.01~5重量%で含まれ得る。
【0100】
(B)シース成分
一方、本発明の一実施形態による繊維用樹脂組成物はシース成分として高密度ポリエチレンを含む。
【0101】
前記高密度ポリエチレンは、具体的にASTM D1505に準じて測定した密度が0.930g/cm以上である高い密度を有する。ただし、密度が過度に高い場合、結晶化度が急激に増加することにより繊維および不織布の物性が低下する恐れがあり、より具体的には0.930g/cm以上、または0.940g/cm以上であり、0.970g/cm以下、または0.958g/cm以下の密度を有する。
【0102】
高密度ポリエチレン加熱、溶融時の挙動、すなわち、溶融特性は高密度ポリエチレン系重合体を成形加工することにおいてきわめて重要な物性である。一般にMI(溶融指数)が大きくなると成形性は向上するが、耐衝撃性は悪化する。このような理由によって成形性を向上させるためにMIを大きくする場合は、通常共重合により単鎖分枝構造を形成して密度を低くして耐衝撃性の低下を防止する。しかし、このようなエチレン密度低下は重合体の剛性を低下させるので、密度低下による適用には限界がある。また、MIを低くすると耐衝撃性および耐化学性は向上するが、溶融流動性が悪化して成形性が大きく低下する。
【0103】
これについて本発明で使われる前記高密度ポリエチレンは、ASTM D 1238に準じて230℃で2.16kg荷重下に測定した時、溶融指数(melt index;MI)が10g/10min以上、または20g/10min以上、または30g/10min以上であり、40g/10min以下、または38g/10min以下、または35g/10min以下である。上記した範囲内のMIを有することにより樹脂組成物の溶融粘度(Melt viscosity(Tension))を改善させることができ、また上記したホモポリプロピレンを含むコア成分と組み合わせて使用時、繊維の強度をより改善させることができる。
【0104】
本発明における高密度ポリエチレンの溶融指数は、ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定することができ、6分間溶融して出た重合体の重量(g)で表す。
【0105】
前記高密度ポリエチレンは融点が120℃以上で、135℃以下でありうる。上記した範囲の融点を有することによってより優れた繊維加工性を示すことができる。
【0106】
本発明における高密度ポリエチレンの融点は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter;DSC)を用いて測定することができる。具体的には、高密度ポリエチレンの温度を200℃まで増加させた後、5分間その温度で維持し、その次に30℃まで下げた後、再び温度を増加させてDSC(Differential Scanning Calorimeter,TA社製)曲線の頂点を融点として測定することができる。この時、温度の上昇と下降の速度はそれぞれ10℃/minであり、融点は二番目の温度が上昇する区間で測定した結果である。
【0107】
また、前記高密度ポリエチレンは、エチレンホモ重合体であるか、またはエチレンとαオレフィン系単量体の共重合体であり得、前記αオレフィン系単量体は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-エイコセンからなる群より選ばれた少なくともいずれか一つ以上でありうる。前記高密度ポリエチレンがエチレンとαオレフィン系単量体の共重合体の場合、前記αオレフィン系単量体の含有量は、0.1重量%以上、または1重量%以上であり、20重量%以下、または10重量%以下でありうる。
【0108】
また、前記シース成分も上記した高密度ポリエチレンの他にも樹脂組成物の用途に応じて求められる物性改善のための添加剤を1種以上さらに含み得、この時、含み得る添加剤は前記コア成分で説明したとおりである。これら添加剤の含有量は本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜調整することができ、具体的にはそれぞれの成分の総重量に対して0.01~5重量%で含まれ得る。
【0109】
前記のような組成を有する本発明の一実施形態による繊維用樹脂組成物は、上記したコア成分およびシース成分を70:30~90:10の重量比で含んだり、またはコア成分を基準に、コア成分:シース成分を70:30以上または80:20以上であり、90:10以下、または85:15以下の重量比で含み得る。上記した重量比の範囲で含むことによって、優れた繊維加工性を示し、その結果、延伸増加した時に優れた強度特性を示すことができる。そのため前記繊維用樹脂組成物は、不織布、特にスパンボンド不織布の製造に特に有用であり得る。
【0110】
本発明のまた他の一実施形態によれば、上述したような繊維用樹脂組成物を使用して製造されたコアシース型2成分系繊維、および上記した繊維からなる不織布、具体的にはスパンボンド不織布が提供される。
【0111】
前記繊維は、前記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒の存在下で水素を300~500ppmの量で投入してプロピレンを重合させ、上記したホモポリプロピレンを製造する段階;前記ホモポリプロピレンをコア成分とし、0.930g/cm以上の密度(ASTM D1505に準じて測定)を有する高密度ポリエチレンをシース成分とし、コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を準備する段階;および前記コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物を溶融紡糸し、コアが前記ホモポリプロピレンを含み、シースが前記高密度ポリエチレンを含む繊維を製造する段階;を含む製造方法によって製造することができる。この時、前記コアシース型2成分系繊維用樹脂組成物に含まれるホモポリプロピレンおよびその製造方法、そして前記高密度ポリエチレンは上述したとおりである。
【0112】
前記製造方法において、前記溶融紡糸工程は、上記した樹脂組成物を使用することを除いては通常の方法により行われることができる。
【0113】
具体的にはコアおよびシースそれぞれの成分を溶融した状態で紡糸してフィラメントを製造する段階(段階1);前記紡糸されたフィラメントを25~35rpmの風量および10~20℃の温度条件で冷却する段階(段階2);および前記冷却されたフィラメントを互いに結合させて不織布を形成する段階(段階3)の順序で行われることができる。
【0114】
前記段階1での紡糸工程時、吐出口は1個または複数であり得、製造効率を勘案して複数の吐出口を同時に用いることが好ましい。また、前記溶融のための温度は、重合体の融点より高い温度で適宜調整することができる。
【0115】
また、前記段階2は、段階1で溶融紡糸により紡糸されたフィラメントを、25~35rpmの風量および10~20℃の温度条件で冷却することによって行われることができる。前記冷却条件に従い同じ樹脂を使用した場合にも最終的に製造される不織布の物性を調整することができる。
【0116】
前記冷却工程は吐出口でフィラメントが紡糸された後収集器に回収する過程の間冷却風を投入することにより遂行できる。この時、前記冷却風の風量と温度を調整して前記冷却条件を調整することができる。より具体的には、前記冷却風の風量は、26rpm以上、または30rpm以上であり、35rpm以下、または32rpm以下であり得、前記冷却風の温度(Cooling Air Temp.)は15℃以上であり、20℃以下であり得る。
【0117】
前記方法で製造される繊維は、コアが前記ホモポリプロピレンを含み、シースが前記高密度ポリエチレンを含むコアシース型構造を有する。
【0118】
また、前記方法で製造される不織布は、紡糸ノズルから出る繊維を走行するコンベアの上に吹き飛ばしてコンベアの上に長い繊維の層を形成して作られた不織布の一種であり、フィラメントを使用するので長繊維不織布ともいう。
【0119】
また、前記不織布は、前記樹脂組成物を溶融させて極細繊維ウェブに押出させることを特徴とするメルトスパン工程によって製造されたスパンボンド不織布でありうる。
【0120】
前記不織布は延伸性に優れ、高強度を維持して従来の不織布製品より柔軟な(soft)触感または柔軟性を付与することができる。具体的には、前記不織布、またはスパンボンド不織布は不織布の坪量が20~25g/mである条件下で、ASTM D-5035の方法に準じて測定した不織布の縦方向(MD,machine direction)の引張強度が40N/5cm以上、または44N/5cm以上で、60N/5cm以下であり、横方向(CD,cross direction)の引張強度が5N/5cm以上で、30N/5cm以下でありうる。
【0121】
また、ASTM D1894の方法に準じて測定した摩擦係数(KINETIC COF)が0.034以下でありうる。
【0122】
また、優れた柔軟性確保の側面から、不織布の縦方向(MD)に対するハンドルオメーター(Handle-O-meter)測定値が15.0g以下、または14.0g以下であり、不織布の横方向(CD)に対するハンドルオメーター測定値が10.0g以下、または9.0g以下でありうる。このようなハンドルオメーター測定値は上述した範囲に維持される時、前記スパンボンド不織布の粗い特性を減らし、柔軟な物性を実現できるように優れた柔軟性を確保することができる。前記ハンドルオメーターは不織布の坪量が20~25g/mである条件下で測定した値である。
【0123】
特に、本発明の一実施形態による不織布、またはスパンボンド不織布は、上述したようなハンドルオメーター測定値範囲と引張強度範囲をともに満足させることを特徴とし、これにより高強度を維持して従来の製品より柔軟な特性を実現することができる。
【0124】
以下、本発明の理解を深めるために好ましい実施例を提示する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためであり、本発明の内容は下記実施例によって限定されない。
【0125】
製造例1:担持触媒の製造
段階1)(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル)インデニル)シランの製造
2-メチル-4-tert-ブチル-フェニルインデン(20.0g)をトルエン/THF混合溶液(トルエン/THF=10/1体積比、220mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、22.2g)を0℃でゆっくり滴加した後、常温で一日の間攪拌した。その後、-78℃で前記混合溶液にジエチルジクロロシラン(6.2g)をゆっくり滴加し、約10分間攪拌した後常温で一日の間攪拌した。その後、水を加えて有機層を分離した後、溶媒を減圧蒸留して(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル)インデニル)シランを得た。
【0126】
段階2)[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル)インデニル)]ジルコニウムジクロリドの製造
前記段階1で製造した(ジエチルシラン-ジイル)-ビス((2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル)インデニル)シランをトルエン/THF混合溶液(トルエン/THF=5/1重量比、120mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、22.2g)を-78℃でゆっくり滴加した後、常温で一日の間攪拌した。反応液にジルコニウムクロリド(8.9g)をトルエン(20mL)に希釈させた後、-78℃でゆっくり滴加して常温で一日の間攪拌した。反応液の溶媒を減圧除去した後、ジクロロメタンを入れて濾過した後、ろ液を減圧蒸留して除去した。トルエンとヘキサンを使用して再結晶をして高純度のrac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス((2-メチル-4-tert-ブチル-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド(10.1g、34%、rac:meso=20:1)を得た。
【0127】
【化5】
【0128】
段階3:担持触媒の製造
3L反応器にシリカ100gと10wt%のメチルアルミノキサン(670g)を入れて90℃で24時間反応させた。沈殿後に上層部は除去してトルエンで2回にわたって洗浄した。前記2段階で製造したアンサ-メタロセン化合物rac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-(4-tert-ブチル-フェニル-インデニル)]ジルコニウムジクロリド(5.8g)をトルエンに希釈させて反応器に添加した後、70℃で5時間反応させた。反応終了後に沈殿が終わると、上層部溶液は除去して残った反応生成物をトルエンで洗浄した後ヘキサンで再び洗浄して真空乾燥して固体粒子形態のシリカ担持メタロセン触媒150gを得た。
【0129】
比較製造例1
遷移金属化合物として[6-(tert-ブトキシ)ヘキシル]メチルシランジイル-ビス[2-メチル-1H-4-(4-tert-ブチルフェニル)インデニル]ジルコニウムジクロリドを使用することを除いては、前記製造例1と同様の方法でシリカ担持メタロセン触媒を得た。
【0130】
比較製造例2
遷移金属化合物として下記構造の化合物を使用することを除いては、前記製造例1と同様の方法でシリカ担持メタロセン触媒を得た。
【0131】
【化6】
【0132】
実施例1-1
前記製造例1で製造したシリカ担持メタロセン触媒の存在下で、連続的な2器のループ反応器を用いてプロピレンのバルク-スラリー重合を行った。
【0133】
この時、トリエチルアルミニウム(TEAL)および水素ガスはそれぞれポンプを用いて下記表1に記載された含有量で投入し、バルク-スラリー重合のために前記製造例1で製造したシリカ担持メタロセン触媒を30重量%の含有量になるようにオイルおよびグリースに混ぜた泥触媒形態で使用した。反応器の温度は70℃、時間当りの生産量は概ね40kgで運転をした。
【0134】
実施例1-1での重合工程に対する具体的な反応条件は下記表1に示したとおりであり、このような重合工程によってホモポリプロピレンを製造した。
【0135】
実施例1-2ないし1-4
下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でホモポリプロピレンを製造した。
【0136】
比較例1-1
Z/Nホモポリプロピレンとして市販のH7700TM(LG化学社製)を使用した。
【0137】
比較例1-2ないし1-3
下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でホモポリプロピレンを製造した。
【0138】
比較例1-4
前記比較製造例1で製造した触媒を使用し、下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でホモポリプロピレンを製造した。
【0139】
比較例1-5
前記比較製造例2で製造した触媒を使用し、下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1-1と同様の方法でホモポリプロピレンを製造した。
【0140】
【表1】
【0141】
試験例1:ホモポリプロピレンの評価
前記実施例および比較例で製造したホモポリプロピレンについて下記のような方法で物性を評価した。その結果を下記表2に示した。
【0142】
(1)溶融指数(MI)(g/10min):ASTM D1238に準じて230℃で2.16kg荷重で測定し、10分間溶融して出た重合体の重量(g)で表した。
【0143】
(2)立体規則度(tacticity)(%):13C-NMRを用いて実施例および比較例の重合体を分析することにより、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(rr)のピーク面積を求め、下記数式2に基づいて立体規則度を算出した。この時、測定機器としてはBrukerの600MHz AvanceIII HD NMRを用い、1,1,2,2-テトラクロロエタン溶媒に各共重合体を溶解させて120℃で分析した。
【0144】
[数式2]
立体規則度(%)=PPP(mm)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}×100
【0145】
(3)融点(Tm)(℃):重合体の温度を200℃まで増加させた後、5分間その温度で維持し、その次に30℃まで下げて、再び温度を増加させてDSC(Differential Scanning Calorimeter,TA社製)曲線の頂点を融点とした。この時、温度の上昇と下降の速度は10℃/minであり、融点は二番目の温度が上昇する区間で測定した結果を用いた。
【0146】
(4)分子量分布(MWD):ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重量平均分子量を数平均分子量で除して分子量分布(MWD)を計算した。
【0147】
具体的には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置としてはPolymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いて、Waters PL-GPC220機器を用いた。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で測定した。実施例および比較例で製造した重合体のサンプルはそれぞれ、10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給した。
【0148】
ポリスチレン標準試片を用いて形成された検定曲線を用いてMwおよびMnの値を誘導した。ポリスチレン標準試片は、分子量がそれぞれ2,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、70,000g/mol、200,000g/mol、700,000g/mol、2,000,000g/mol、4,000,000g/mol、10,000,000g/molである9種を使用した。
【0149】
(5)残留応力比率(%):前記実施例と比較例によるホモポリプロピレンに対してそれぞれ試料を取って235℃下で200%の変形(strain)を加えた後10分間残留応力の変化を測定した。
【0150】
前記残留応力の測定にはTA Instruments社のDiscovery Hybrid Rheometer(DHR)を用い、直径25mmの上下部プレート(plate)の間に試料を十分にロードして235℃下で溶かした後ギャップ(gap)を1mmに固定して測定した。
【0151】
測定された残留応力のデータに基づいて、下記数式1により残留応力の比率(RS%)を山側した。
【0152】
[数式1]
残留応力比率=(RS/RS)×100
【0153】
前記数式1において、RSは235℃下で試料に200%の変形を加えた後0.02秒(t)での残留応力であり、RSは235℃下で試料に200%の変形を加えた後1.00秒(t)での残留応力である。
【0154】
(6)せん断粘度(Shear Viscosty @500 (1/s)(Pa・s)):測定装置としてCapillary Rheometerを用いて、ASTM D3835測定方法に準じて下記条件でせん断粘度を測定した。
【0155】
<測定条件> 230℃、Nozzle 0.5×27.8mm L/D 55
【0156】
(7)mPP/Z.NのShear Viscosity比率@500(1/s):せん断粘度(Shear viscosity)は測定装備に応じて変動可能であるため、増減比率で表記した。具体的には前記(6)で測定した、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造した比較例1-1のホモポリプロピレン(Z.N)のせん断粘度に対する、実施例1-1ないし1-4、および比較例1-2ないし1-5のホモポリプロピレン(mPP)それぞれのせん断粘度の比を求めた。
【0157】
(8)総揮発性有機化合物(TVOC)含有量:VDA 277方法に準じて、120℃で5時間加熱後に発生するガスをHeadspace Sampler-GC/FIDを用いて測定した。
【0158】
【表2】
【0159】
本発明によるメタロセン系触媒を用いて製造した実施例1-1ないし1-4のホモポリプロピレンは、狭いMWDとともに低い残留応力を示し、延伸の増加が可能であり、また、優れた強度特性を示すことがわかる。
【0160】
Z/N触媒を使用した比較例1-1の重合体の場合、広いMWDと高い残留応力を示し、このような物性により延伸性が不良であり、強度向上が難しいことがわかる。
【0161】
また、本発明と同様のメタロセン触媒を使用しても重合反応時の水素が過量に投入された比較例1-2のホモポリプロピレンの場合、40g/10min超の高いMIを示すことにより延伸増加した時の強度が大きく低下するということがわかる。
【0162】
また、水素が過度に低い含有量で投入された比較例1-3のホモポリプロピレンの場合、残留応力比率およびせん断粘度が大きく増加した。これにより繊維紡糸時の断糸発生および不良率の増加を予想することができる。
【0163】
他の構造を有するメタロセン系触媒を用いて製造した比較例1-4の場合、広いMWDを有し、延伸増加した時の紡糸性が低下し、結果として繊維加工性も低下することを予想することができる。
【0164】
また、架橋基での置換基が相異することを除いては同じ中心骨格構造を有する触媒を使用して製造した比較例1-5の場合、製造される重合体の立体規則性が低下し、このような結果から不織布製造時の強度特性が大きく低下することを容易に予想することができる。
【0165】
<不織布の製造>
実施例2-1
前記実施例1-1で製造したホモポリプロピレンをコア形成用組成物として使用し、高密度ポリエチレン(密度(ASTM D1505に準じて測定)=0.954~0.956g/cm、MI(ASTM D 1238に準じて230℃で2.16kg荷重下に測定)=10~40g/10min、融点=120~135℃をシース形成用組成物とし、下記表3に記載された条件で2成分系-スパンボンドの方法で不織布を製造した。
【0166】
具体的には、25mmツインスクリュー押出機を用いて樹脂組成物98重量%と柔軟剤としてシス-13-ドコセノアミド(cis-13-docosenoamide)(Sigma-Aldrich社製)2重量%のマスターバッチを製造した後、これをペレット化した。次いで、31mmブラベンダー円錘形ツインスクリュー押出機を用いて溶融したマスターバッチペレットをメルトポンプ(65rpm)に供給した後に吐出口(10個の吐出口/cm)および381μmの吐出口直径を有する25cm幅のメルトスパンダイに供給し、下記表3に記載された条件で行うことを除いては、文献[Report No. 4364 of the Naval Research Laboratories, published May 25, 1954 entitled "Manufacture of Superfine Organic Fibers" by Wente, Van. A. Boone, C. D., and Fluharty, E. L.]に記載された工程によりマスターバッチペレットを極細繊維ウェブに押出した。
【0167】
前記溶融時の融解温度は235℃であり、スクリュー速度は120rpmであり、ダイは235℃で維持され、気温および圧力はそれぞれ300℃および60kPa(8.7psi)であり、処理速度は5.44kg/hrであり、収集器/ダイ距離は15.2cmであった。
【0168】
実施例2-2ないし2-4
前記実施例1-2ないし1-4でのホモポリプロピレンをそれぞれ用いて、下記表3に記載された条件で行うことを除いては前記実施例2-1と同様の方法で不織布を製造した。
【0169】
比較例2-1および2-2
前記比較例1-1でのホモポリプロピレンを用いて、下記表3に記載された条件で行うことを除いては前記実施例2-1と同様の方法で不織布を製造した。
【0170】
比較例2-3
前記比較例1-1でのホモポリプロピレンと、共重合体内のプロピレン含有量が16重量%であるエチレン-プロピレン共重合体(C3-POE;VIstamax 6202TM(ExxonMobil社製)、密度=0.863g/cm、MI=20g/10min)を80:20の重量比で混合して樹脂組成物を製造し、それを用いてスパンボンド方法で不織布を製造した。
【0171】
比較例2-4
比較例1-2でのホモポリプロピレンを用いて、下記表3に記載された条件で行うことを除いては前記実施例2-1と同様の方法で不織布を製造した。
【0172】
比較例2-5および2-6
比較例1-3または1-4で製造したホモポリプロピレンをそれぞれ用いて、下記表3に記載された条件で行うことを除いては前記比較例2-4と同様の方法で不織布を製造した。
【0173】
【表3】
【0174】
試験例3:スパンボンド不織布の物性評価
前記実施例および比較例で製造した不織布に対し、下のような方法で物性評価を行い、その結果を下記表4に示した。
【0175】
(1)不織布の坪量(gsm,g/m
極細繊維ウェブに押出して製造した不織布重量を測定し、単位面積当たり不織布重量を算測した。
【0176】
(2)加工性:製造した不織布に対して下記のような基準により加工性を評価した。
<評価基準>
◎:未断糸および低いHume発生により加工性が優秀
○:未断糸により加工性が普通
x:断糸発生により加工性が悪い
【0177】
(3)引張強度の特性評価(MD/CD,N/5cm)
米国材料試験学会ASTM D-5035のカットストリップ(Cut-strip)に準じてインストロン(Instron)社の引張圧縮強度試験機(UTM,Universal Testing Symtems)を用いて下記表4に示すような坪量(g/m)条件下で縦方向(MD)と横方向(CD)に対する引張強度(Tensile Strength,N/5cm)をそれぞれ測定した。
【0178】
(4)摩擦係数(KINETIC COF):ASTM D1894の方法に準じて測定した。
【0179】
(5)柔軟性の評価
Thwing-Albert Instrument社のハンドルオメーター(Handle-O-meter)機器を用いて下記表4に示すような坪量(g/m)条件下で不織布の縦方向(MD,machine direction)および横方向(CD,cross direction)に対する柔軟性(Total Hand,g)をそれぞれ測定した。ここで、ハンドルオメーター測定されたTotal Hand値は、製造メーカーから公知の偏差である±25%の誤差を有する。
【0180】
【表4】
【0181】
実験の結果、実施例2-1ないし2-4のスパンボンド不織布は優れた強度特性を示しながらも優れた柔軟性を示した。
【0182】
一方、高密度ポリエチレンとチーグラー・ナッタ触媒で製造されたポリプロピレンをそれぞれ使用した比較例2-1および2-2において、不織布製造時のCooling Air/Suction Blower(rpm)およびCooling Air Tempを低くした比較例2-1の場合は、実施例と比較して等しい水準の加工性および柔軟性を示すが、引張強度が低下して摩擦係数は増加した。また、実施例と同じ不織布の製造条件を適用した比較例2-2の場合、断糸発生が増加するなど加工性が大きく低下して不織布製造および物性評価が困難であった。
【0183】
また、チーグラー・ナッタ触媒で製造されたポリプロピレンと、プロピレンを含むポリオレフィン(C3-POE)を混合して使用した比較例2-3の場合、実施例に比べてCooling Air/Suction Blower(rpm)およびCooling Air Tempを低くした製造条件で不織布製造が可能であり、製造された不織布は他の比較例に比べては改善されたが、実施例に比べては低下した引張強度および柔軟性を示した。
【0184】
また、高密度ポリエチレンと、比較例1-2で製造したホモポリプロピレンをそれぞれ使用した比較例2-4の場合、実施例と比較して等しい水準の優れた加工性および柔軟性を示したが、引張強度の特性が大きく低下した。
【0185】
比較例2-5および2-6の場合、ホモポリプロピレンの高い残留応力により不織布製造時の断糸発生が増加するなど加工性が大きく低下し、結果として不織布製造および物性評価が困難であった。