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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/378 20110101AFI20220125BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20220125BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20220125BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/374
H04N5/3745 700
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018050483
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019165274
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳史
【審査官】大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002539(JP,A)
【文献】特開2017-175107(JP,A)
【文献】特開平08-331319(JP,A)
【文献】特開平01-164165(JP,A)
【文献】特開2015-149529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/339
H01L27/14-27/148
H01L27/30
H01L29/762
H04N 1/024-1/036
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備え、
前記読み出し回路は、前記各制御線の信号の立ち上がり及び立ち下がりの瞬間とは異なる瞬間に、前記各信号線を介して前記各画素サブアレイの各画素から前記画素信号をそれぞれ読み出固体撮像素子。
【請求項2】
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備え、
前記画素制御回路は、前記画素アレイを挟んで互いに逆の側に配置された第1及び第2の画素制御回路部分を含み、
前記各信号線に接続された各画素は、前記第1及び第2の画素制御回路部分の一方に接続され固体撮像素子。
【請求項3】
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備え、
前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った複数の列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイにおいて、前記複数の制御線のうちの各1つの制御線は、当該画素サブアレイの1つの行のすべての画素に接続され固体撮像素子。
【請求項4】
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備え、
前記各画素は、
前記入射光を電荷に変換する光電変換素子と、
フローティングディフュージョンと、
前記光電変換素子から前記フローティングディフュージョンへ電荷を転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位をリセットするリセットトランジスタと、
前記フローティングディフュージョンにおける電圧を増幅して画素信号を生成する増幅トランジスタと、
当該画素を1つの信号線に選択的に接続する選択トランジスタとを備え、
前記複数の制御線は、前記各画素の転送トランジスタに接続された第1の制御線と、前記各画素のリセットトランジスタに接続された第2の制御線と、前記各画素の選択トランジスタに接続された第3の制御線とを含固体撮像素子。
【請求項5】
前記画素アレイ、前記画素制御回路、及び前記読み出し回路は前記副走査方向に配列され、
前記各制御線及び前記各信号線は、前記副走査方向に沿って配置された区間をそれぞれ含み、
前記各制御線の前記副走査方向に沿って配置された区間は、互いに同じ長さを有する請求項1~4のうちの1つに記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記画素アレイ、前記画素制御回路、及び前記読み出し回路は前記副走査方向に配列され、
前記各制御線及び前記各信号線は、前記副走査方向に沿って配置された区間をそれぞれ含み、
前記各制御線の前記副走査方向に沿って配置された区間は、前記各制御線が接続された画素から前記画素制御回路までの距離に等しい長さを有し、前記各制御線が接続された画素よりも前記画素制御回路から遠隔した部分区間を含まない請求項1~4のうちの1つに記載の固体撮像素子。
【請求項7】
請求項1~のうちの1つに記載の固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の各画素に入射光を導く光学系と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、
前記固体撮像素子を駆動する駆動装置とを備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサなどの固体撮像素子は、主走査方向及び副走査方向にアレイ状に配置された複数の画素を含む画素アレイと、画素アレイの周辺に配置され、画素アレイの各画素から信号線を介して画素信号を読み出す読み出し回路とを備える。画素アレイの各画素は、フォトダイオードなどの光電変換素子、光電変換により発生した電荷を電圧に変換するフローティングディフュージョン、電荷転送トランジスタ、リセットトランジスタ、および増幅トランジスタを備える。読み出し回路は、アナログ増幅器、アナログ/ディジタル変換器、などを備える。読み出し回路において、一般的には、主走査方向に配列された複数の画素の画素信号を同時に読み出すので、これらの画素に対応した複数の回路部分が設けられる。
【0003】
特許文献1及び2は、例示的なCMOSイメージセンサを開示している。
【0004】
CMOSイメージセンサは、一般的なCMOSプロセスを用いて製造可能であり、また、同一の集積回路内にアナログ回路及びディジタル回路を混在させてもよい。そのため、CMOSイメージセンサは、画素アレイとその周辺回路(読み出し回路など)とを一体の集積回路として形成し、部品点数を減らすことができるという大きな利点を持つ。
【0005】
CMOSイメージセンサの中でも、CMOSラインセンサは、主走査方向に多数の画素が配置される一方、副走査方向にはごくわずかの画素しか配置されない。従って、CMOSラインセンサの画素アレイの面積は、エリアセンサの場合と比較してはるかに小さく、その周辺回路がCMOSラインセンサの集積回路の面積の大部分を占める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のCMOSラインセンサでは、前述のように、読み出し回路において、主走査方向に配列された複数の画素の画素信号を同時に読み出すので、これらの画素に対応した複数の回路部分が設けられる。従って、CMOSラインセンサを含む集積回路の回路規模が増大し、コストを増大させるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、画素信号の読み出し回路の回路規模を削減した固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る固体撮像素子によれば、
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る固体撮像素子によれば、画素信号の読み出し回路の回路規模を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。
図2図1の画素[a,b]の詳細構成を示す回路図である。
図3図1の画素サブアレイ[N-1]、[N]、[N+1]の各画素の動作を示すタイミングチャートである。
図4】本発明の実施形態1の変形例に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態2に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態3に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。
図7図6の画素アレイ10Cの一部を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態4に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に解説する。
【0012】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。図1の固体撮像素子は、画素アレイ10、画素制御回路20、読み出し回路30、増幅器40、複数の制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]、及び複数の信号線VOUT[a]を備える。固体撮像素子のこれらの構成要素は、例えば、半導体基板上に形成される。
【0013】
画素アレイ10は、入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素[a,b]を備え、各画素[a,b]は、主走査方向(図1のX方向)及び副走査方向(図1のY方向)に2次元で配列される。画素アレイ10は、主走査方向に配列された複数の画素サブアレイ[a]を含む。各画素サブアレイ[a]は、主走査方向に沿った複数の行(図1では3行)及び副走査方向に沿った少なくとも1つの列(図1では1列)を形成するように配列された複数の画素[a,b]を含む。ここで、「a」は画素サブアレイの番号を示し(図1では、N-1、N、N+1)、「b」は行の番号を示す(図1では、1~3)。
【0014】
各画素[a,b]は、例えば、正方形形状を有し、互いに同じサイズを有する。画素サブアレイ[a]のそれぞれにおいて、複数の画素[a,b]は、主走査方向で例えば等間隔に配置され、副走査方向でも例えば等間隔に配置される。
【0015】
異なる行の画素[a,b]には、フィルタ等により、被写体からの光の異なる色成分(青、緑、赤など)が入射してもよい。
【0016】
複数の制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]は、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に接続される。各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]は線状の導体である。ここで、1つの制御線LRT[a,b]が、1つの画素サブアレイ[a]の少なくとも1つの画素[a,b]に接続される。同様に、1つの制御線LTX[a,b]が、1つの画素サブアレイ[a]の少なくとも1つの画素[a,b]に接続される。同様に、1つの制御線LSL[a,b]が、1つの画素サブアレイ[a]の少なくとも1つの画素[a,b]に接続される。また、各画素サブアレイ[a]の各1つの列のすべての画素[a,b]が、互いに異なる複数の制御線LRT[a,b]に接続される。同様に、各画素サブアレイ[a]の各1つの列のすべての画素[a,b]が互いに異なる複数の制御線LTX[a,b]に接続される。同様に、各画素サブアレイ[a]の各1つの列のすべての画素[a,b]が、互いに異なる複数の制御線LSL[a,b]に接続される。図1の例では、画素[N,1]は制御線LTX[N,1],LRT[N,1],LSL[N,1]に接続される。同様に、画素[N,2]は制御線LTX[N,2],LRT[N,2],LSL[N,2]に接続される。同様に、画素[N,3]は制御線LTX[N,3],LRT[N,3],LSL[N,3]に接続される。
【0017】
複数の信号線VOUT[a]は、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に接続される。各信号線VOUT[a]は、線状の導体である。ここで、各画素サブアレイ[a]の各1つの列のすべての画素[a,b]が1つの信号線VOUT[a]に接続される。
【0018】
図1他では、画素サブアレイ[N]のみを詳細に示すが、他の画素サブアレイ[a](画素サブアレイ[N-1],[N+1]など)もまた、画素サブアレイ[N]と同様に構成される。
【0019】
画素制御回路20は、各画素サブアレイ[a]とそれぞれ対向するように形成される。画素制御回路20は、各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を介して制御信号を各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に印加する。これにより、画素制御回路20は、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に画素信号(アナログ信号)をそれぞれ生成させる。ここで、「連続的」とは、画素アレイ10の例えば左端の画素[a,b]を基準として、各画素サブアレイ[a]の画素[a,b]から画素信号を読み出すときの位相差が、各画素サブアレイ[a]が主走査方向に配列された順に増大することを意味する。さらに、画素制御回路20は、画素アレイ10全体の行ごとに順に画素信号を生成させる。各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]において、画素制御回路20と各画素サブアレイ[a]との間に増幅器21がそれぞれ設けられる。
【0020】
読み出し回路30は、各画素サブアレイ[a]とそれぞれ対向するように形成される。読み出し回路30は、複数の増幅器31及び転送回路32を備える。複数の増幅器31は、各信号線VOUT[a]において、各画素サブアレイ[a]と転送回路32との間に設けられ、各画素[a,b]から読み出された画素信号をアナログ的に増幅する。転送回路32は、信号線VOUT[a]の個数に等しい複数のスイッチSW[a]と、1つの信号線HOUTとを備える。各スイッチSW[a]は、増幅器31によって増幅された画素信号を選択的に信号線HOUTに送る。信号線HOUTは、各画素[a,b]から読み出された画素信号を、シリアル信号として、増幅器40にアナログ的に転送する。これにより、読み出し回路30は、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]から各信号線VOUT[a]を介して画素信号をそれぞれ読み出す。さらに、読み出し回路30は、画素制御回路20により画素アレイ10全体の行ごとに順に生成された画素信号を、画素アレイ10全体の行ごとに順に読み出す。
【0021】
画素制御回路20及び読み出し回路30は、互いに同期して動作する。例えば、読み出し回路30が画素制御回路20の制御下で動作してもよい。
【0022】
増幅器40は、読み出し回路30から出力された信号を増幅する。増幅器40の後段には、固体撮像素子の外部とのインターフェースのために、追加のアナログ信号処理回路が設けられてもよく、または、アナログ/ディジタル変換回路及びディジタル信号処理回路が設けられてもよい。
【0023】
図1の例では、画素アレイ10、画素制御回路20、及び読み出し回路30は副走査方向に配列される。図1の例では、各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]及び各信号線VOUT[a,b,c]は、副走査方向に沿って配置された区間(導体部分)をそれぞれ含む。また、前述のように、画素制御回路20は、画素アレイ10の各画素サブアレイ[a]とそれぞれ対向するように形成され、読み出し回路30は、画素アレイ10の各画素サブアレイ[a]とそれぞれ対向するように形成される。このような配置により、画素制御回路20及び読み出し回路30は、画素アレイ10全体にわたる各行のすべての画素[a,b]を同時に制御するのではなく、各画素[a,b]を画素サブアレイ[a]ごとに制御することができる。
【0024】
各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]の副走査方向に沿って配置された区間は、互いに同じ長さ(すなわち、画素制御回路20から最も遠隔した画素[N,3]から画素制御回路20までの距離に等しい長さ)を有してもよい。この場合、画素アレイ10の副走査方向の全体にわたって、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を均一に配置することができる。従って、画素アレイ10の副走査方向の全体にわたって、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]による光のケラレを均一にし、感度特性を均一にすることができる。
【0025】
図2は、図1の画素[a,b]の詳細構成を示す回路図である。各画素は、光電変換素子PD、転送トランジスタTX、フローティングディフュージョンFD、リセットトランジスタRT、増幅トランジスタSF、及び選択トランジスタSLを備える。
【0026】
光電変換素子PDは、各画素への入射光を電荷に変換する。光電変換素子PDは、例えばフォトダイオードである。
【0027】
転送トランジスタTXは、光電変換素子PDとフローティングディフュージョンFDとの間に接続される。転送トランジスタTXのゲート端子には、制御線LTX[a,b]を介して、画素制御回路20から制御信号が印加される。転送トランジスタTXは、制御線LTX[a,b]を介して印加された制御信号に応じて、光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDへ電荷を転送する。
【0028】
フローティングディフュージョンFDは、光電変換素子PDから転送された電荷をいったん蓄積する半導体基板上の領域である。
【0029】
リセットトランジスタRTは、リセット電源VDDRTとフローティングディフュージョンFDとの間に接続される。リセットトランジスタRTのゲート端子には、制御線LRT[a,b]を介して、画素制御回路20から制御信号が印加される。リセットトランジスタRTは、制御線LRT[a,b]を介して印加された制御信号に応じて、フローティングディフュージョンFDの電位をリセット電源VDDRTの電位にリセットする。
【0030】
増幅トランジスタSFのドレインは電源VDDに接続され、増幅トランジスタSFのソースは選択トランジスタSLに接続される。増幅トランジスタSFのゲートは、フローティングディフュージョンFDに接続される。増幅トランジスタSFのソースは、選択トランジスタSLを介して画素アレイ10の外部の定電流源に接続され、増幅トランジスタSFは、この定電流源とともにソースフォロアを構成する。増幅トランジスタSFは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧を増幅し、増幅された電圧を有する画素信号を生成する。
【0031】
選択トランジスタSLのドレインは増幅トランジスタSFのソースに接続され、選択トランジスタSLのソースは端子VOに接続される。端子VOは信号線VOUT[a]に接続される。選択トランジスタSLのゲートには、制御線LSL[a,b]を介して、画素制御回路20から制御信号が印加される。選択トランジスタSLは、画素[a,b]を1つの信号線VOUT[a]に選択的に接続又は切断する。選択トランジスタSLは、オンされたとき、増幅トランジスタSFを信号線VOUT[a]に接続し、増幅トランジスタSFにより生成された画素信号を信号線VOUT[a]に出力する。
【0032】
図3は、図1の画素サブアレイ[N-1]、[N]、[N+1]の各画素の動作を示すタイミングチャートである。
【0033】
制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]における制御信号は、ハイレベルの電位(例えば電源電位)及びローレベルの電位(例えば接地電位)を有する。また、LSW[a]は、読み出し回路30のスイッチSW[a]に接続された制御線を示し、読み出し回路30は、制御線LSW[a]を介して制御信号をスイッチSW[a]に印加する。制御線LSW[a]における制御信号もまた、ハイレベルの電位及びローレベルの電位を有する。信号線VOUT[a]における画素信号は、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットしたときの電位を示すリセット信号と、入射光に応じて電荷が発生したときの電位を示す露光信号とを含む。
【0034】
まず、画素サブアレイ[a]の画素[a,b]からのリセット信号の読み出しについて説明する。画素制御回路20は、制御線LSL[a,b]の電位をローレベルからハイレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を増幅トランジスタSFに接続する。これにより、画素[a,b]から信号線VOUT[a]にリセット信号が読み出し可能になる。また、画素制御回路20は、制御線LRT[a,b]の電位をローレベルからハイレベルに遷移させることで、画素[a,b]のフローティングディフュージョンFDの電位をリセット電源VDDRTの電位にリセットする。その後、画素制御回路20は、制御線LRT[a,b]の電位をハイレベルからローレベルに遷移させることで、画素[a,b]のフローティングディフュージョンFDをリセット電源VDDRTから切断する。次に、読み出し回路30は、制御線LSL[a,b]の電位がハイレベルである期間において、制御線LSW[a]の電位をローレベルからハイレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を信号線HOUTに接続する。これにより、信号線VOUT[a]から信号線HOUTにリセット信号が読み出し可能になる。その後、読み出し回路30は、制御線LSW[a]の電位をハイレベルからローレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を信号線HOUTから切断する。読み出し回路30は、制御線LSW[a]の電位がハイレベルである期間において、画素[a,b]から信号線VOUT[a]を介してリセット信号を読み出す(サンプリング動作)。
【0035】
画素[a,b]の光電変換素子PDには、入射光に応じて電荷が生じる。
【0036】
次に、画素サブアレイ[a]の画素[a,b]からの露光信号の読み出しについて説明する。画素制御回路20は、制御線LTX[a,b]の電位をローレベルからハイレベルに遷移させることで、入射光に応じて光電変換素子PDに生じた電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する。その後、画素制御回路20は、制御線LTX[a,b]の電位をハイレベルからローレベルに遷移させることで、フローティングディフュージョンFDを光電変換素子PDから切断する。次に、読み出し回路30は、制御線LSL[a,b]の電位がハイレベルである期間において、制御線LSW[a]の電位をローレベルからハイレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を信号線HOUTに接続する。これにより、信号線VOUT[a]から信号線HOUTに露光信号が読み出し可能になる。その後、読み出し回路30は、制御線LSW[a]の電位をハイレベルからローレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を信号線HOUTから切断する。読み出し回路30は、制御線LSW[a]の電位がハイレベルである期間において、画素[a,b]から信号線VOUT[a]を介して露光信号を読み出す(サンプリング動作)。最後に、画素制御回路20は、制御線LSL[a,b]の電位をハイレベルからローレベルに遷移させることで、信号線VOUT[a]を増幅トランジスタSFから切断する。
【0037】
前述のように、画素制御回路20は、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に画素信号をそれぞれ生成させる。また、読み出し回路30は、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]から各信号線VOUT[a]を介して画素信号をそれぞれ読み出す。画素信号は、画素アレイ10全体の行ごとに生成されて読み出される。従って、すべての画素サブアレイ[a]の1行目の各画素[a,1]により画素信号を生成して読み出し、次いで、すべての画素サブアレイ[a]の2行目の各画素[a,2]により画素信号を生成して読み出し、以後、同様に画素信号を生成して読み出す。以下、図3を参照して、画素サブアレイ[N-1],[N],[N+1]の1行目の画素[N-1,1],[N,1],[N+1,1]による画素信号の生成及び読み出しについて説明する。
【0038】
画素サブアレイ[N-1]の1行目の画素[N-1,1]は以下のように動作する。制御線LSL[N-1,1]における制御信号を時刻t1~t6の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N-1]が画素[N-1,1]の増幅トランジスタSFに接続される。また、制御線LRT[N-1,1]における制御信号を時刻t1~t2の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N-1,1]のフローティングディフュージョンFDの電位がリセットされる。その後、制御線LSW[N-1]における制御信号を時刻t2~t3の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N-1]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t2よりも後かつ時刻t3より前(例えば、図3の制御線LRT[N-1,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N-1,1]のリセット信号が読み出される。次に、制御線LTX[N-1,1]を時刻t4~t5の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N-1,1]の光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDに電荷が転送される。その後、制御線LSW[N-1]における制御信号を時刻t5~t6の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N-1]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t5よりも後かつ時刻t6より前(例えば、図3の制御線LTX[N-1,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N-1,1]の露光信号が読み出される。
【0039】
画素サブアレイ[N]の1行目の画素[N,1]は以下のように動作する。制御線LSL[N,1]における制御信号を時刻t3~t8の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N]が画素[N,1]の増幅トランジスタSFに接続される。また、制御線LRT[N,1]における制御信号を時刻t3~t4の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N,1]のフローティングディフュージョンFDの電位がリセットされる。その後、制御線LSW[N]における制御信号を時刻t4~t5の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t4よりも後かつ時刻t5より前(例えば、図3の制御線LRT[N,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N,1]のリセット信号が読み出される。次に、制御線LTX[N,1]を時刻t6~t7の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N,1]の光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDに電荷が転送される。その後、制御線LSW[N]における制御信号を時刻t7~t8の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t7よりも後かつ時刻t8より前(例えば、図3の制御線LTX[N,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N,1]の露光信号が読み出される。
【0040】
画素サブアレイ[N+1]の1行目の画素[N+1,1]は以下のように動作する。制御線LSL[N+1,1]における制御信号を時刻t5~t10の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N+1]が画素[N+1,1]の増幅トランジスタSFに接続される。また、制御線LRT[N+1,1]における制御信号を時刻t5~t6の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N+1,1]のフローティングディフュージョンFDの電位がリセットされる。その後、制御線LSW[N+1]における制御信号を時刻t6~t7の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N+1]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t6よりも後かつ時刻t7より前(例えば、図3の制御線LRT[N+1,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N+1,1]のリセット信号が読み出される。次に、制御線LTX[N+1,1]を時刻t8~t9の期間にわたってハイレベルにすることで、画素[N+1,1]の光電変換素子PDからフローティングディフュージョンFDに電荷が転送される。その後、制御線LSW[N+1]における制御信号を時刻t9~t10の期間にわたってハイレベルにすることで、信号線VOUT[N+1]が信号線HOUTに接続される。ここで、時刻t9よりも後かつ時刻t10より前(例えば、図3の制御線LTX[N+1,1]の行における矢印の時刻)において、画素[N+1,1]の露光信号が読み出される。
【0041】
画素アレイ10の1行目のすべての画素[a,1]の画素信号を生成して読み出した後、各画素サブアレイ[a]の2行目の画素[a,2]の画素信号を生成して読み出し、以後、同様に最後の行まで続ける。
【0042】
読み出し回路30は、好ましくは、各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]の信号の立ち上がり及び立ち下がりの瞬間とは異なる瞬間に、各信号線VOUT[a]を介して各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]から画素信号をそれぞれ読み出す。これらの時刻が一致していると、互いに隣接する画素サブアレイの制御線の電圧変動により電源及び基板の電位が変動し、画素信号を読み出そうとする画素サブアレイの信号も変動してしまい、画質が劣化するおそれがある。図3の動作によれば、このような電位の変動及び画質の劣化を抑制することができる。
【0043】
図1の固体撮像素子によれば、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように画素信号を生成して読み出すので、読み出し回路30よりも後段の回路を、複数の画素サブアレイ[a]によって共用することができる。従って、画素アレイ10の列ごとに回路を設ける場合と比較して回路の部品点数を大幅に削減し、チップサイズを削減した固体撮像素子を提供することができる。
【0044】
このように、図1の固体撮像素子によれば、画素信号の読み出し回路の回路規模を削減することができる。
【0045】
図4は、本発明の実施形態1の変形例に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。図4の固体撮像素子は、図1の画素アレイ10に代えて、画素アレイ10Aを備える。
【0046】
画素アレイ10Aの各画素サブアレイ[a]は、図1の場合とは異なる長さを有する制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を備える。図4の例では、制御線LRT[N,1]の副走査方向に沿って配置された区間は、制御線LRT[N,1]が接続された画素[N,1]から画素制御回路20までの距離d1に等しい長さを有し、画素[N,1]よりも画素制御回路20から遠隔した部分区間を含まない。また、制御線LRT[N,2]の副走査方向に沿って配置された区間は、制御線LRT[N,2]が接続された画素[N,2]から画素制御回路20までの距離d2に等しい長さを有し、画素[N,2]よりも画素制御回路20から遠隔した部分区間を含まない。また、制御線LRT[N,3]の副走査方向に沿って配置された区間は、制御線LRT[N,3]が接続された画素[N,3]から画素制御回路20までの距離d3に等しい長さを有し、画素[N,3]よりも画素制御回路20から遠隔した部分区間を含まない。他の制御線LTX[N,b],LSL[N,b]もまた、制御線LRT[N,b]と同様に形成される。
【0047】
図4の固体撮像素子によれば、画素制御回路20から遠ざかるにつれて制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]の本数を削減することができる。従って、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]による光のケラレを図1の場合よりも削減し、感度を向上することができる。
【0048】
実施形態2.
図5は、本発明の実施形態2に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。図5の固体撮像素子は、図1の画素アレイ10及び画素制御回路20に代えて、画素アレイ10B及び画素制御回路20B-1,20B-2を備える。
【0049】
画素アレイ10Bの各画素サブアレイ[a]は、主走査方向に沿った複数の行(図5では4行)及び副走査方向に沿った少なくとも1つの列(図5では1列)を形成するように配列された複数の画素[a,b]を含む。ここで、「a」は画素サブアレイの番号を示し(図5では、N-1、N、N+1)、「b」は行の番号を示す(図5では、1~4)。
【0050】
画素制御回路20B-1,20B-2は、画素アレイ10Bを挟んで互いに逆の側に配置される。本明細書では、画素制御回路20B-1,20B-2を「第1及び第2の画素制御回路部分」ともいう。画素アレイ10Bの各画素サブアレイ[a]において、信号線VOUT[a]に接続された各画素[a,b]は、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を介して、画素制御回路20B-1,20B-2の一方に接続される。図5の例では、画素[N,1],[N,2]が画素制御回路20B-1に接続され、画素[N,3],[N,4]が画素制御回路20B-2に接続される。
【0051】
図5の固体撮像素子は、図1のような1つの画素制御回路20に代えて、画素アレイ10Bを挟んで互いに逆の側に配置された2つの画素制御回路20B-1,20B-2を備える。これにより、各画素サブアレイ[a]において制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を配置するために必要な面積(特に、主走査方向の長さ)を、図1の場合よりも削減することができる。従って、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]による光のケラレを図1の場合よりも削減し、感度を向上することができる。
【0052】
実施形態3.
各画素サブアレイは、副走査方向に沿った1つの列に代えて、副走査方向に沿った複数の列を形成するように配列された複数の画素を含んでもよい。
【0053】
図6は、本発明の実施形態3に係る固体撮像素子の全体構成を示すブロック図である。図6の固体撮像素子は、画素アレイ10C、画素制御回路20C、読み出し回路30C、増幅器40-1~40-3、複数の制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]、及び複数の信号線VOUT[a,c]を備える。
【0054】
画素アレイ10Cの各画素サブアレイ[a]は、主走査方向に沿った複数の行(図6では3行)及び副走査方向に沿った複数の列(図6では3列)を形成するように2次元で配列された複数の画素[a,b,c]を含む。ここで、「a」は画素サブアレイの番号を示し(図6では、N-1、N、N+1)、「b」は行の番号を示し(図6では、1~3)、「c」は各画素サブアレイにおける列の番号を示す(図6では、1~3)。
【0055】
図6の各画素[a,b,c]は、図2の画素[a,b]と同様に構成される。
【0056】
画素アレイ10Cの各画素サブアレイ[a]において、各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]は、当該画素サブアレイ[a]の1つの行のすべての画素[a,b,c]に接続される。従って、制御線LRT[N,1]は1行目の3つの画素[N,1,1]~[N,1,3]に接続される。同様に、制御線LRT[N,2]は2行目の3つの画素[N,2,1]~[N,2,3]に接続される。同様に、制御線LRT[N,3]は3行目の3つの画素[N,3,1]~[N,3,3]に接続される。他の制御線LTX[N,b],LSL[N,b]もまた、制御線LRT[N,b]と同様に各画素[a,b,c]に接続される。
【0057】
複数の信号線VOUT[a,c]は、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b,c]に接続される。ここで、各画素サブアレイ[a]の列ごとに1つの信号線VOUT[a,c]が設けられ、各1つの列のすべての画素[a,b,c]が1つの信号線VOUT[a,c]に接続される。図6の例では、画素[N,1,1]~[N,3,1]が信号線VOUT[N,1]に接続される。同様に、画素[N,1,2]~[N,3,2]が信号線VOUT[N,2]に接続される。同様に、画素[N,1,3]~[N,3,3]が信号線VOUT[N,3]に接続される。
【0058】
画素制御回路20Cは、各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]を介して制御信号を各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b]に印加する。これにより、画素制御回路20Cは、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b,c]に画素信号をそれぞれ生成させる。このとき、各画素サブアレイ[a]の各1つの行のすべての画素[a,b,c]は、共通の制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]に接続されているので、同時に動作して同時に画素信号を生成する。さらに、画素制御回路20Cは、画素アレイ10C全体の行ごとに画素信号を生成させる。各制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]において、画素制御回路20Cと各画素サブアレイ[a]との間に増幅器21がそれぞれ設けられる。
【0059】
読み出し回路30Cは、複数の増幅器31及び転送回路32Cを備える。複数の増幅器31は、各信号線VOUT[a,c]において、各画素サブアレイ[a]と転送回路32Cとの間に設けられ、各画素[a,b,c]から読み出された画素信号をアナログ的に増幅する。転送回路32Cは、信号線VOUT[a,c]の個数に等しい複数のスイッチSW[a,c]と、各画素サブアレイ[a]の列の個数に等しい複数(図6の例では3つ)の信号線HOUT[c]とを備える。各スイッチSW[a,c]は、増幅器31によって増幅された画素信号を、選択的に、対応する1つの信号線HOUT[c]に送る。各信号線HOUT[c]は、各画素[a,b,c]から読み出された画素信号を、シリアル信号として、対応する1つの増幅器40-1~40-3にアナログ的に転送する。これにより、読み出し回路30Cは、複数の画素サブアレイ[a]の間で互いに連続的に位相差を有するように、各画素サブアレイ[a]の各画素[a,b,c]から各信号線VOUT[a,c]を介して画素信号をそれぞれ読み出す。このとき、各画素サブアレイ[a]の各1つの行のすべての画素[a,b,c]から同時に読み出された画素信号は、対応する信号線HOUT[c]を介して個別に転送される。さらに、読み出し回路30Cは、画素制御回路20Cにより画素アレイ10C全体の行ごとに生成された画素信号を、画素アレイ10C全体の行ごとに読み出す。
【0060】
増幅器40-1~40-3は、図1の増幅器40と同様に、読み出し回路30Cから出力された各信号を増幅する。
【0061】
従来、CMOSラインセンサを含む集積回路の回路規模を削減するために、主走査方向又は副走査方向に配列された複数の画素の画素信号を共通の信号線を介して順次に読み出すローリング読み出し方式が提案されている。従来のローリング読み出し方式では、行方向に1画素ずつ画素信号を読み出すので、読み出しの時間差に起因して縦縞のムラが生じることがある。一方、実施形態3に係る固体撮像素子によれば、画素サブアレイ[a]ごとに、1行分の複数の画素[a,b,c]の画素信号を同時に生成して同時に読み出すので、画素信号の生成及び読み出しの時間差を短縮し、ムラを生じにくくすることができる。
【0062】
図7は、図6の画素アレイ10Cの一部を示す断面図である。画素アレイ10Cは、半導体基板51と、その上に形成された層間膜52とを備える。層間膜52に、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]及び信号線VOUT[a,c]などが形成される。図7に示すように、信号線VOUT[a,c]がある導体層に形成され、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]が他の導体層に形成されてもよい。
【0063】
図7によれば、画素の配線開口が繰り返しパターンとなり、開口サイズを均等にすることが可能となる。ここで、「開口」とは、画素アレイ10Cの基板の上方からみて配線が存在しない筒状の領域を示す。図7を参照すると、画素アレイ10Cの基板のX方向において、信号線VOUT[N,1]及びVOUT[N,2]の間に、また、信号線VOUT[N,2]及びVOUT[N,3]の間に、配線が存在しない領域が設けられる。同様に、画素アレイ10Cの基板のY方向においても、配線が存在しない領域が設けられる。従って、画素アレイ10Cの基板の上方からみて配線のない筒状の領域が開口として存在し、この開口を通って光が入射する。
【0064】
図6及び図7の固体撮像素子によれば、各1つの行のすべての画素[a,b,c]が共通の制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]に接続されているので、制御線を画素ごとに設ける場合よりも、制御線の本数を削減することができる。従って、制御線LRT[a,b],LTX[a,b],LSL[a,b]による光のケラレを、制御線を画素ごとに設ける場合よりも削減し、感度を向上することができる。
【0065】
実施形態4.
図8は、本発明の実施形態4に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図8の撮像装置は、レンズ1、固体撮像素子2、駆動装置3、及び信号処理回路4を備える。図8の撮像装置は、例えばカメラである。
【0066】
固体撮像素子2は、実施形態1~3に係る固体撮像素子である。
【0067】
レンズ1は、固体撮像素子2の各画素に入射光を導く光学系である。
【0068】
駆動装置3は、固体撮像素子2を被写体に対して副走査方向に所定速度で相対的に移動させる。駆動装置3は、撮像装置内の各回路を駆動するためのタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを備え、これにより、撮像装置を駆動する。
【0069】
信号処理回路4は、固体撮像素子2の出力信号を処理する。
【0070】
信号処理回路4の出力信号は、メモリなどの記録媒体に記録されてもよい。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされてもよい。また、信号処理回路4の出力信号は、液晶ディスプレイなどのモニタに静止画又は動画として表示されてもよい。
【0071】
信号処理回路4の出力信号がアナログ信号である場合、信号処理回路4の後段にはアナログ/ディジタル変換回路(AFE)が設けられてもよい。信号処理回路4の出力信号がディジタル信号である場合、信号処理回路4の後段にはディジタル信号処理回路(DFE)が設けられてもよい。
【0072】
このように、実施形態1~3に係る固体撮像素子を搭載することで、高精度な撮像装置(カメラなど)を実現することができる。
【0073】
実施形態1~3に係る固体撮像素子は、カメラに代えて、例えばプリンタ複合機などのラインセンサにも適用可能である。
【0074】
本発明の態様に係る固体撮像素子及び撮像装置は、以下の構成を備える。
【0075】
第1の態様に係る固体撮像素子によれば、
入射光に応じて画素信号をそれぞれ生成する複数の画素を主走査方向及び副走査方向に2次元で配列した画素アレイを備える固体撮像素子であって、
前記画素アレイは、前記主走査方向に配列された複数の画素サブアレイを含み、前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った少なくとも1つの列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記固体撮像素子は、
1つの制御線が1つの画素サブアレイの少なくとも1つの画素に接続されるように、かつ、前記各画素サブアレイの各1つの列の複数の画素が互いに異なる複数の制御線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の制御線と、
前記各画素サブアレイの各1つの列のすべての画素が1つの信号線に接続されるように、前記各画素サブアレイの各画素に接続された複数の信号線と、
前記各制御線を介して制御信号を前記各画素サブアレイの各画素に印加することにより、前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素に画素信号をそれぞれ生成させる画素制御回路と、
前記複数の画素サブアレイの間で互いに連続的に位相差を有するように、前記各画素サブアレイの各画素から各信号線を介して前記画素信号をそれぞれ読み出す読み出し回路とを備える。
【0076】
第2の態様に係る固体撮像素子によれば、第1の態様に係る固体撮像素子において、
前記画素アレイ、前記画素制御回路、及び前記読み出し回路は前記副走査方向に配列され、
前記各制御線及び前記各信号線は、前記副走査方向に沿って配置された区間をそれぞれ含み、
前記各制御線の前記副走査方向に沿って配置された区間は、互いに同じ長さを有する。
【0077】
第3の態様に係る固体撮像素子によれば、第1の態様に係る固体撮像素子において、
前記画素アレイ、前記画素制御回路、及び前記読み出し回路は前記副走査方向に配列され、
前記各制御線及び前記各信号線は、前記副走査方向に沿って配置された区間をそれぞれ含み、
前記各制御線の前記副走査方向に沿って配置された区間は、前記各制御線が接続された画素から前記画素制御回路までの距離に等しい長さを有し、前記各制御線が接続された画素よりも前記画素制御回路から遠隔した部分区間を含まない。
【0078】
第4の態様に係る固体撮像素子によれば、第1~第3のうちの1つの態様に係る固体撮像素子において、
前記読み出し回路は、前記各制御線の信号の立ち上がり及び立ち下がりの瞬間とは異なる瞬間に、前記各信号線を介して前記各画素サブアレイの各画素から前記画素信号をそれぞれ読み出す。
【0079】
第5の態様に係る固体撮像素子によれば、第1~第4のうちの1つの態様に係る固体撮像素子において、
前記画素制御回路は、前記画素アレイを挟んで互いに逆の側に配置された第1及び第2の画素制御回路部分を含み、
前記各信号線に接続された各画素は、前記第1及び第2の画素制御回路部分の一方に接続される。
【0080】
第6の態様に係る固体撮像素子によれば、第1~第5のうちの1つの態様に係る固体撮像素子において、
前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイは、前記主走査方向に沿った複数の行及び前記副走査方向に沿った複数の列を形成するように配列された複数の画素を含み、
前記複数の画素サブアレイのうちの各1つの画素サブアレイにおいて、前記複数の制御線のうちの各1つの制御線は、当該画素サブアレイの1つの行のすべての画素に接続される。
【0081】
第7の態様に係る固体撮像素子によれば、第1~第6のうちの1つの態様に係る固体撮像素子において、
前記各画素は、
前記入射光を電荷に変換する光電変換素子と、
フローティングディフュージョンと、
前記光電変換素子から前記フローティングディフュージョンへ電荷を転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位をリセットするリセットトランジスタと、
前記フローティングディフュージョンにおける電圧を増幅して画素信号を生成する増幅トランジスタと、
当該画素を1つの信号線に選択的に接続する選択トランジスタとを備え、
前記複数の制御線は、前記各画素の転送トランジスタに接続された第1の制御線と、前記各画素のリセットトランジスタに接続された第2の制御線と、前記各画素の選択トランジスタに接続された第3の制御線とを含む。
【0082】
第8の態様に係る撮像装置によれば、
第1~第7のうちの1つの態様に係る固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の各画素に入射光を導く光学系と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、
前記固体撮像素子を駆動する駆動装置とを備える。
【符号の説明】
【0083】
1…レンズ、
2…固体撮像素子、
3…駆動装置、
4…信号処理回路、
10,10A~10C…画素アレイ、
20,20B-1,20B-2,20C…画素制御回路、
21…増幅器、
30,30C…読み出し回路、
31…増幅器、
32,32C…転送回路、
40,40-1~40-3…増幅器、
51…半導体基板、
52…層間膜、
FD…フローティングディフュージョン、
HOUT…信号線、
LTX,LRT,LSL…制御線、
PD…光電変換素子、
RT…リセットトランジスタ、
SF…増幅トランジスタ、
SL…選択トランジスタ、
SW…スイッチ、
TX…転送トランジスタ、
VOUT…信号線、
[N-1],[N],[N+1]…画素サブアレイ、
[N,1]~[N,4],[N,1,1]~[N,3,3]…画素。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【文献】特許第5272860号公報
【文献】特開2017-152481号公報
図1
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