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特許7013977画像処理装置、画像処理システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220125BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220125BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20220125BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G06F3/12 313
H04N1/00 127A
B41J5/30 Z
B41J21/00 Z
G06F3/12 345
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018051514
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164516
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 章吾
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-053624(JP,A)
【文献】特開2013-198045(JP,A)
【文献】特開2000-207150(JP,A)
【文献】特開2016-197282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
B41J 5/30
B41J 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページ分の印刷内容を示す印刷データを第2の記憶装置に記憶させ、前記印刷データと対応する1ページ分の印刷内容を示す複数の分割印刷データを第1の記憶装置に記憶させる記憶処理部と、
前記第2の記憶装置から前記印刷データを受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された前記印刷データに識別情報が含まれているかを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記識別情報が示す前記複数の分割印刷データを、前記識別情報に基づいて前記第1の記憶装置から受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段によって受信した前記複数の分割印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷処理手段と、を有する
画像処理装置。
【請求項2】
前記識別情報は、前記分割印刷データが記憶されている記憶領域を示す記憶領域情報と、ページを特定する情報とを含む、
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像データに基づいて前記印刷データ及び前記分割印刷データを生成する生成部、
を更に備える請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
原稿から画像を読み取ることにより前記画像データを生成する読取部、
を更に備える請求項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記印刷データ及び前記分割印刷データは、PDFデータである、
請求項1~のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置と、
原稿から画像を読み取ることにより画像データを生成する読取装置と、
前記画像データに基づいて、複数ページ分の印刷内容を示す印刷データと、1ページ分の印刷内容を示す複数の分割印刷データとを生成する生成手段と、
を含み、
前記画像処理装置は、
前記印刷データを第2の記憶装置に記憶させ、前記分割印刷データを第1の記憶装置に記憶させる記憶処理部と、
前記第2の記憶装置から前記印刷データを受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された前記印刷データに識別情報が含まれているかを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記識別情報が示す前記複数の分割印刷データを、前記識別情報に基づいて前記第1の記憶装置から受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段によって受信した前記複数の分割印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷処理手段と、を有する
画像処理システム。
【請求項7】
コンピュータに、
複数ページ分の印刷内容を示す印刷データを第2の記憶装置に記憶させ、前記印刷データと対応する1ページ分の印刷内容を示す複数の分割印刷データを第1の記憶装置に記憶させる処理と、
前記第2の記憶装置から前記印刷データを受信する処理と、
受信された前記印刷データに識別情報が含まれているかを判断する処理と、
前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記識別情報が示す前記複数の分割印刷データを、前記識別情報に基づいて前記第1の記憶装置から受信する処理と、
受信した前記複数の分割印刷データに基づいて印刷処理を行う処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナにより読み取った画像を印刷する機能を有する複写機、MFP(Multifunction Peripheral)等の画像処理装置において、特定のアプリケーション(プリンタドライバ等)を介さずに印刷処理を実行可能にするPDF(Portable Document Format)データが利用されている。
【0003】
例えば、データ構造を示す情報がデータの最後に記述されたPDFデータ等の印刷データ(電子文書データ)を用いて印刷処理を行うシステムにおいて、印刷データをページ毎に新たな印刷データに編集して再構成し、編集した印刷データを印刷装置に送信する技術が開示されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにデータ構造を示す情報がデータの最後に記述されている印刷データにおいては、1つのファイルで複数ページ分の印刷内容を示す印刷データ(結合印刷データ)を印刷装置に送信して印刷する場合には、印刷装置は全ページ分のデータの受信が終了するまで1ページ目の印刷(初ページ印刷)を開始することができない。そこで、印刷データを分割して、1つのファイルで1ページ分の印刷内容を示す複数の印刷データ(分割印刷データ)を印刷装置に送信すれば、1ページ目の分割印刷データに対するデータの受信が終了すれば初ページ印刷を開始することができる。そのため、解釈処理に長時間を要する場合、例えば、印刷対象のページ数が多い場合、高解像度である場合等には、分割印刷データを利用することにより印刷効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術においては、印刷を実行する度にユーザが結合印刷データを分割印刷データに変換する変換機能を有する装置に結合印刷データを転送して分割印刷データを生成させたり、印刷を要求する端末(ユーザが操作するPC(Personal Computer)等)の全てに変換機能を備えたりする必要がある。そのため、操作やシステム構成の複雑化を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作やシステム構成の複雑化を招くことなく、複数ページの印刷時における印刷効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一形態は、複数ページ分の印刷内容を示す印刷データを第2の記憶装置に記憶させ、前記印刷データと対応する1ページ分の印刷内容を示す複数の分割印刷データを第1の記憶装置に記憶させる記憶処理部と、前記第2の記憶装置から前記印刷データを受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段によって受信された前記印刷データに識別情報が含まれているかを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記識別情報が示す前記複数の分割印刷データを、前記識別情報に基づいて前記第1の記憶装置から受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段によって受信した前記複数の分割印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作やシステム構成の複雑化を招くことなく、複数ページの印刷時における印刷効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る画像処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係るPCのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るMFPのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るMFPのソフトウェア構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るMFPのスキャナアプリに関連する機能構成例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態の第1の例に係る読取時における設定画面を示す図である。
図7図7は、実施形態の第2の例に係る読取時における設定画面を示す図である。
図8図8は、実施形態の第3の例に係る読取時における設定画面を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るファイル群情報のデータ構造例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る結合印刷データのデータ構造例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係るファイルサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図12図12は、実施形態に係るファイルサーバの記憶部におけるデータの保存状態例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係るMFPのプリンタアプリに関連する機能構成例を示すブロック図である。
図14図14は、実施形態に係る画像処理システムにおける読取時の処理例を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る画像処理システムにおける印刷時の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理システム、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更、及び組み合わせを行うことができる。
【0011】
図1は、実施形態に係る画像処理システム1の構成例を示すブロック図である。画像処理システム1は、ユーザにより操作されるPC11(第1の記憶装置)、MFP12(画像処理装置)、及び印刷処理に必要な各種データの管理等を行うファイルサーバ13(第2の記憶装置)が、ネットワーク、USBケーブル等を介して通信可能に接続されている。ネットワークは、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等を利用したコンピュータ通信手段であり、PC11、MFP12、及びファイルサーバ13を含むLAN(Local Area Network)を構築する。また、ネットワークは、LANとインターネットとの通信を可能にし、インターネットを介してPC11、MFP12、及びファイルサーバ13を接続する。なお、図1においては、1つのPC11、2つのMFP12、及び1つのファイルサーバ13がネットワークに接続された構成が例示されているが、画像処理システム1の構成はこれに限られるものではない。
【0012】
図2は、実施形態に係るPC11のハードウェア構成例を示すブロック図である。本例に係るPC11は、一般的なコンピュータと同様の構成を有する。PC11は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、及びI/F(Interface)25がバス26を介して接続されて構成されている。I/F25にはLCD(Liquid Crystal Display)27、及び操作部28が接続されている。
【0013】
CPU21は、演算処理を行う電子回路であり、PC11全体の動作を制御するための処理を行う。RAM22は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶デバイスであり、CPU21が情報を処理する際の作業領域として機能する。ROM23は、読み出し専用の不揮発性の記憶デバイスであり、ファームウェア等のプログラムを格納している。HDD24は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶デバイスであり、OS(Operating System)、制御プログラム、アプリケーションプログラム等を格納している。I/F25は、バス26、LCD27、操作部28、及びネットワークを接続するためのデバイスである。LCD27は、ユーザに情報を伝達する視覚的ユーザインターフェースである。操作部28は、ユーザがPC11に情報を入力するためのユーザインターフェースであり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0014】
図3は、実施形態に係るMFP12のハードウェア構成例を示すブロック図である。MFP12は、MFP12全体の制御を司るMFPコントローラ31、媒体上に画像を印刷するプロッタエンジン32、ユーザによる入力操作を受け付ける操作パネル33、原稿を読み取るスキャナ34(読取装置)、及び各種データを記憶するストレージであるHDD35を含む。
【0015】
MFPコントローラ31は、CPU51、システムメモリ52、NV-RAM(不揮発性メモリ)53、エンジンI/F54、描画メモリ55、ホストI/F56、プログラムROM57、フォントROM58、パネルI/F59、及びスキャナI/F60を含む。NV-RAM53は、各種設定を格納する。エンジンI/F54は、プロッタエンジン32とMFPコントローラ31との間の通信を可能にする。ホストI/F56は、PC11及びファイルサーバ13をMFP12にシリアル又はパラレルに接続させ、PC11とMFPコントローラ31の間及びファイルサーバ13とMFPコントローラ31との間の通信を可能にする。プログラムROM57は、MFP12の各種機能を実現するプログラムを格納する。フォントROM58は、印字のためのフォントに関するデータを格納する。パネルI/F59は、操作パネル33とMFPコントローラ31との間の通信を可能にする。スキャナI/F60は、スキャナ34とMFPコントローラ31との間の通信を可能にする。上記MFPコントローラ31に含まれる各部51~60及びHDD35は、内部バス61を介して接続されている。
【0016】
MFPコントローラ31は、PC11又はファイルサーバ13から受信したPDFデータ等の印刷データに対して解釈処理(レンダリング等)を施すことにより描画データを生成し、プロッタエンジン32に描画データに基づく印刷処理を実行させる。描画メモリ55は、受信した印刷データ、印刷データから生成された中間データ、レンダリングされたラスタ形式等の描画データ、スキャナ34により読み取られた原稿上の画像の画像データ等を記憶する。プロッタエンジン32は、プログラムROM57、NV-RAM53等に記憶されたプログラム、設定情報等を読み出し、CPU51の作業メモリ領域を提供するシステムメモリ52のメモリ領域に展開する。また、プロッタエンジン32は、描画メモリ55を画像形成処理の作業領域として利用することにより、印刷処理を実現する。
【0017】
図4は、実施形態に係るMFP12のソフトウェア構成例を示す図である。MFP12は、アプリケーション層101及びサービス層111を有する。アプリケーション層101は、ユーザインターフェースを制御するためのソフトウェア等を含み、原稿の読取に関する設定等を行うスキャナアプリ105、複写に関する設定等を行うコピーアプリ106、及び印刷に関する設定等を行うプリンタアプリ107を含む。サービス層111は、アプリケーション層101から取得された情報に基づいてMFP12内の各種デバイスを制御するためのソフトウェア等を含み、印刷を実行するためにプロッタエンジン32等を制御する印刷制御モジュール115、及び読取を実行するためにスキャナ34等を制御する読取制御モジュール116を含む。
【0018】
図5は、実施形態に係るMFP12のスキャナアプリ105に関連する機能構成例を示すブロック図である。MFP12は、原稿読取部151、設定部152、生成部153、及び記憶処理部154を含む。
【0019】
原稿読取部151は、原稿上の画像を読み取り、原稿の各ページの画像データを生成する。原稿読取部151は、スキャナ34、CPU51、システムメモリ52、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0020】
設定部152は、ユーザからの指示等に基づいて読取(スキャン)に関する設定を行う。設定部152は、例えば、画像データをどのような形式の印刷ファイルにするか(分割印刷データを生成するか否か等)、印刷データの保存先等についての設定を行う。設定部152は、操作パネル33、ホストI/F56、CPU51、システムメモリ52、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0021】
図6は、実施形態の第1の例に係る読取時における設定画面201Aを示す図である。図7は、実施形態の第2の例に係る読取時における設定画面201Bを示す図である。図8は、実施形態の第3の例に係る読取時における設定画面201Cを示す図である。
【0022】
第1の例に係る設定画面201Aは、分割印刷データ(分割PDF)を生成しないように設定した状態を示している。第2の例に係る設定画面201Bは、分割印刷データを生成し、分割印刷データの保存先をファイルサーバ13(serverA)に設定した状態を示している。第3の例に係る設定画面201Cは、分割印刷データを生成し、分割印刷データの保存先を本体、すなわちMFP12内の記憶装置に設定した状態を示している。
【0023】
生成部153は、原稿読取部151により生成された画像データ及び設定部152によりなされた設定に基づいて印刷データ(本実施形態においてはPDFデータ)を生成する。生成部153は、分割印刷データ生成部161、ファイル群情報生成部162、及び結合印刷データ生成部163を含む。生成部153は、CPU51、システムメモリ52、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0024】
分割印刷データ生成部161は、1つのファイルで1ページ分の印刷内容を示す分割印刷データを生成する。原稿が複数のページで構成される場合、ページ毎の印刷内容を示す複数の分割印刷データが生成される。
【0025】
ファイル群情報生成部162は、一群の分割印刷データを識別するファイル群情報を生成する。
【0026】
図9は、実施形態に係るファイル群情報210のデータ構造例を示す図である。本例に係るファイル群情報210は、各分割印刷データに付されたファイル名(page1.pdf等)211と、ページを特定するページ情報(Page1等)212と、記憶領域を示す記憶領域情報(¥¥serverA¥201702221503_user12345)213とを含んでいる。なお、ファイル群情報210の構成はこれに限られるものではなく、使用状況等に応じて適宜設計されるべきものである。本例に係る記憶領域情報213は、記憶領域として利用される装置を示す情報(¥¥serverA)とフォルダ名(¥201702221503_user12345)との組み合わせとなっているが、これに限られるものではない。
【0027】
結合印刷データ生成部163は、1つのファイルで複数ページ分の印刷内容を示す結合印刷データ(印刷データ)を生成する。結合印刷データ生成部163は、結合印刷データ内に、当該結合印刷データに対応する一群の分割印刷データを識別する識別情報を組み込む。
【0028】
図10は、実施形態に係る結合印刷データ251のデータ構造例を示す図である。本例に係る結合印刷データ251は、複数ページ分の印刷内容を示す情報(レンダリングの対象となるデータ等)に加え、当該結合印刷データ251に対応する一群の分割印刷データを識別する識別情報355を含む。本例に係る識別情報355は、対応する分割印刷データが存在することを示す存在情報(ScanID)271と、対応する分割印刷データが記憶されている記憶領域を示す記憶領域情報(¥¥serverA¥201702221503_user12345)272と、ファイル群情報210を特定するファイル群特定情報(¥info.json)273とを含む。本例に係るファイル群特定情報273は、ファイル群情報210に付されたファイル名であるが、ファイル群特定情報273はこれに限られるものではない。PDFデータにおいては「%」を用いてコメントを記載することができ、当該コメントの内容はビューアでの閲覧、印刷等に影響を与えない。ここでは、当該コメントを利用して識別情報355を記載する例を示している。
【0029】
上記のような識別情報355が結合印刷データ251に組み込まれていることにより、結合印刷データ251を解析する際に、当該結合印刷データ251に対応する分割印刷データの存否、保存先等に関する情報を取得することができる。識別情報355は、結合印刷データ251の先頭付近(例えばPDFデータにおけるヘッダの直後且つボディの先頭の部分等)に記載されていることが好ましい。これにより、分割印刷データの利用可否等の判断を迅速に行うことが可能となる。
【0030】
記憶処理部154は、上記のように生成された分割印刷データ及びファイル群情報210を、設定部152により設定された保存先(本実施形態においてはファイルサーバ13又はMFP12)に記憶させる。また、記憶処理部154は、上記のように生成された結合印刷データ251をPC11に送信して記憶させる。
【0031】
図11は、実施形態に係るファイルサーバ13の機能構成例を示すブロック図である。ファイルサーバ13は、通信部171及び記憶部172を含む。ファイルサーバ13は、LAN等のネットワーク上でファイル(分割印刷データ、ファイル群情報210等)を共有するためのサーバコンピュータである。ファイルサーバ13の具体的なハードウェア構成は特に限定されるべきものではなく、使用状況に応じて適宜設計されるべきものであるが、例えば、公知の通信I/F、CPU、大容量不揮発性メモリ等を含む構成であり得る。
【0032】
通信部171は、MFP12の記憶処理部154との間で通信を確立し、記憶処理部154から送信された分割印刷データ及びファイル群情報210を受信する。
【0033】
記憶部172は、通信部171が受信した分割印刷データ及びファイル群情報210を記憶する。
【0034】
図12は、実施形態に係るファイルサーバ13の記憶部172におけるデータの保存状態例を示す図である。本例に係る記憶部172内には、フォルダ名が「201702221503_user12345」である第1のフォルダ301と、フォルダ名が「201702230922_userABCDE」である第2のフォルダ302とが生成されている。第1のフォルダ301には、3つ(3ページ分)の分割印刷データ311~313と、これらのデータ311~313に対応するファイル群情報210とが格納されている。第2のフォルダ302には、5つ(5ページ分)の分割印刷データ321~325と、これらのデータ321~325に対応するファイル群情報310とが格納されている。ファイル群情報210,310には、「info.json」のファイル名が付されている。
【0035】
図13は、実施形態に係るMFP12のプリンタアプリ107に関連する機能構成例を示すブロック図である。MFP12は、取得部181(第1の受信手段及び第2の受信手段)、解析部182(判断手段)、及び印刷部183(印刷処理手段)を含む。
【0036】
取得部181は、PC11、ファイルサーバ13、又はMFP12から結合印刷データ251及び分割印刷データ311~313,321~325を取得する。取得部181は、ホストI/F56、CPU51、システムメモリ52、NV-RAM53、HDD35、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0037】
解析部182は、取得部181により取得されたデータを解析し、解析結果に基づいてレンダリングデータ等の描画データを生成する。解析部182は、取得部181により取得された結合印刷データ251に識別情報355が含まれているか否かを検知する検知部191を含む。解析部182は、CPU51、システムメモリ52、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0038】
印刷部183は、解析部182により生成された描画データに基づいて記録用紙等の媒体上に画像を印刷する。印刷部183は、プロッタエンジン32、エンジンI/F54、CPU51、システムメモリ52、描画メモリ55、プログラムROM57に記憶されたプログラム等の協働により構成される。
【0039】
図14は、実施形態に係る画像処理システム1における読取時の処理例を示すフローチャートである。ユーザがPC11又はMFP12のユーザインターフェースを介して読取の開始を指示する操作を行うと(S101)、原稿読取部151はスキャナ34を駆動させて原稿を読み取り(S102)、原稿上の画像の画像データを生成する。原稿読取部151は、全ての原稿を読み取った後に読取完了通知を生成部153に送信する(S103)。
【0040】
生成部153は、読取完了通知を受信すると、設定部152から設定に取得し(S104)、設定に応じた処理を行う。分割印刷データ(ページ毎に分割されたPDFデータ等)を保存するように設定された場合(図7又は図8参照)、生成部153(分割印刷データ生成部161)は、原稿読取部151により生成された画像データに基づいて、ページ毎の印刷内容を示す複数の分割印刷データ311~313,321~325を生成し(S105)、記憶処理部154に対して分割印刷データ311~313,321~325を設定された保存先(本例ではファイルサーバ13)へアップロードするように依頼する(S106)。記憶処理部154は、当該アップロードの依頼を受けると、分割印刷データ311~313,321~325(分割印刷データ群)をファイルサーバ13にアップロードする(S107)。その後、生成部153(ファイル群情報生成部162)は、アップロードされた分割印刷データ311~313,321~325に対応するファイル群情報210,310を生成し(S108)、記憶処理部154に対してファイル群情報210,310を設定された保存先(本例ではファイルサーバ13)へアップロードするように依頼する(S109)。記憶処理部154は、当該アップロードの依頼を受けると、ファイル群情報210,310をファイルサーバ13にアップロードする(S110)。
【0041】
その後、生成部153(結合印刷データ生成部163)は、原稿読取部151により生成された画像データに基づいて、全ページの印刷内容を示す結合印刷データ251を生成する(S111)。このとき、結合印刷データ251には、当該結合印刷データ251に対応する一群の分割印刷データ311~313,321~325を識別する識別情報355が組み込まれる。その後、生成部153は、記憶処理部154に対して結合印刷データ251をPC11へ送信するように依頼し(S112)、記憶処理部154は、当該依頼を受けると、当該結合印刷データ251をPC11へ送信する(S113)。
【0042】
一方、分割印刷データを保存しないように設定された場合(図6参照)、生成部153(結合印刷データ生成部163)は、原稿読取部151により生成された画像データに基づいて、結合印刷データを生成する(S114)。このとき、当該結合印刷データに対応する一群の分割印刷データ311~313,321~325は存在しないため、当該結合印刷データに識別情報355が組み込まれない。その後、生成部153は、記憶処理部154に対して結合印刷データ(識別情報355が組み込まれていない結合印刷データ)をPC11へ送信するように依頼し(S115)、記憶処理部154は、当該依頼を受けると、当該結合印刷データをPC11へ送信する(S116)。
【0043】
図15は、実施形態に係る画像処理システム1における印刷時の処理例を示すフローチャートである。上記のように読み取った原稿を印刷する際には、取得部181は、PC11から結合印刷データ251を受信し(S201)、受信した結合印刷データ251を解析部182に転送する(S202)。解析部182は、転送された結合印刷データ251に対して描画データを生成するための解析を開始する(S203)。
【0044】
解析部182(検知部191)は、解析中の結合印刷データ251に識別情報355が含まれているか否かを検知する。結合印刷データ251内に識別情報355が検知された場合、解析部182は、当該結合印刷データ251に対する解析を中止し(S204)、取得部181に対して検知された識別情報355が示すファイル群情報210,310を取得するように依頼する(S205)。取得部181は、当該依頼を受けると、ファイルサーバ13からファイル群情報210,310を取得する(S206)。その後、取得部181は、取得したファイル群情報210,310に基づいて、ファイルサーバ13から分割印刷データ311~313,321~325を1ページ目から順に取得し(S207)、取得した分割印刷データ311~313,321~325を解析部182に転送する(S208)。解析部182は、転送されてきた分割印刷データ311~313,321~325を解析し(S209)、1ページ分の描画データを生成して印刷部183へ送信する(S210)。上記ステップS207~S210は、分割印刷データ311~313,321~325の数(原稿のページ数)だけ繰り返される。すなわち、結合印刷データ251に識別情報355が含まれている場合には、分割印刷データ311~313,321~325を用いて印刷が行われる。
【0045】
一方、結合印刷データ251内に識別情報355が検知されなかった場合、解析部182は、当該結合印刷データ251に対する解析を続行し、全ページ分に対する解析の終了後に生成される描画データを印刷部183に送信する(S211)。すなわち、結合印刷データ251に識別情報355が含まれていない場合には、結合印刷データ251を用いて印刷が行われる。
【0046】
上記画像処理システム1の機能を実現するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、メモリカード、CD-R及びDVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
【0047】
また、プログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。また、プログラムをMFP12のプログラムROM57等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、プログラムはMFP12に含まれる機能部のうちプログラムにより実現可能な機能を含むモジュール構成となっていてもよい。プログラムにより実現される機能は、記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより主記憶装置にロードされる。すなわち、プログラムにより実現される機能は主記憶装置上に生成される。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、結合印刷データ251に識別情報355が含まれている場合には、当該結合印刷データ251に対応する一群の分割印刷データ311~313,321~325を用いて印刷が行われる。また、分割印刷データ311~313,321~325の管理(生成、記憶、取得、存否判断等)が自動的に行われる。これにより、操作やシステム構成の複雑化を招くことなく、複数ページの印刷時における初ページ印刷を迅速化し、印刷効率を向上させることが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更、及び組み合わせを行うことができる。この実施形態及びその変形は発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 画像処理システム
11 PC(第1の記憶装置)
12 MFP(画像処理装置)
13 ファイルサーバ(第2の記憶装置)
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 HDD
25 I/F
26 バス
27 LCD
28 操作部
31 MFPコントローラ
32 プロッタエンジン
33 操作パネル
34 スキャナ
35 HDD
51 CPU
52 システムメモリ
53 NV-RAM
54 エンジンI/F
55 描画メモリ
56 ホストI/F
57 プログラムROM
58 フォントROM
59 パネルI/F
60 スキャナI/F
61 内部バス
101 アプリケーション層
111 サービス層
105 スキャナアプリ
106 コピーアプリ
107 プリンタアプリ
151 原稿読取部
152 設定部
153 生成部
154 記憶処理部
161 分割印刷データ生成部
162 ファイル群情報生成部
163 結合印刷データ生成部
171 通信部
172 記憶部
181 取得部
182 解析部
183 印刷部
191 検知部
201A~201C 設定画面
210,310 ファイル群情報
211 ファイル名
212 ページ情報
213 記憶領域情報
251 結合印刷データ
271 存在情報
272 記憶領域情報
273 ファイル群特定情報
301,302 フォルダ
311~313,321~325 分割印刷データ
355 識別情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【文献】特開2004-348498号公報
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