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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】装飾部材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20220125BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220125BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220125BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20220125BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20220125BHJP
   G02B 27/00 20060101ALI20220125BHJP
   B44F 1/02 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
G02B5/28
B32B3/30
B32B7/023
G02B5/08 A
G02B5/26
G02B27/00 D
B44F1/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019524921
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 KR2018002672
(87)【国際公開番号】W WO2018164464
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】10-2017-0028261
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0136790
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ション、ジョン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジン スク
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ピルソン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-140136(JP,A)
【文献】国際公開第2011/077496(WO,A1)
【文献】特開2008-083599(JP,A)
【文献】特開2002-108221(JP,A)
【文献】特表2006-504545(JP,A)
【文献】国際公開第01/003945(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射層と、
前記光反射層上に備えられた光吸収層と
を含む
色発現層を含み、
前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の地点を含み、
前記光吸収層は、銅酸化物、銅窒化物、銅酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物およびモリブデンチタン酸窒化物の中から選択される1種または2種以上を含む単一層または多層であり、
前記光吸収層の厚さは、5~500nmであり、
前記光吸収層は、400nmにおける屈折率が1~3であり、
前記光吸収層は、400nmにおける消滅係数が0超過4以下である、
装飾部材。
【請求項2】
前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の領域を含む、
請求項1に記載の装飾部材。
【請求項3】
前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、
前記光吸収層は、いずれか1つの傾斜面を有する領域における厚さと異なる厚さを有する領域を1つ以上含む、
請求項1または2に記載の装飾部材。
【請求項4】
前記光吸収層は、厚さが漸進的に変化する領域を1つ以上含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項5】
前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、
少なくとも1つの傾斜面を有する領域は、光吸収層の厚さが漸進的に変化する構造を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項6】
前記光吸収層は、ΔEab>1の二色性を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項7】
前記光吸収層の上面は、
コーン(cone)形態の突出部または溝部を有するパターン、
最高点が線形態の突出部または最低点が線形態の溝部を有するパターン、または
コーン形態の上面が切り取られた構造の突出部または溝部を有するパターン
を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項8】
前記コーン形態の突出部または溝部を有するパターンは、
前記コーン形態のパターンを上面から観察した時、
コーンの頂点を基準として360度回転時、
同一の形態が2個以下存在する、
請求項7に記載の装飾部材。
【請求項9】
前記最高点が線形態の突出部または最低点が線形態の溝部を有するパターンは、
上面から観察した時、
重心点を基準として360度回転時、
同一の形態が1個しか存在しない、
請求項7に記載の装飾部材。
【請求項10】
前記光反射層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)および銀(Ag)の中から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物、窒化物または酸窒化物、炭素および炭素複合体のうちの1種または2種以上の材料を含む単一層または多層である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項11】
前記光反射層の厚さは、1nm以上である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項12】
前記光吸収層の領域別厚さの差は、2~200nmである、
請求項1から11のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項13】
前記光反射層の下面に備えられた基材をさらに含む、
請求項1から12のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項14】
前記装飾部材は、デコフィルム、またはモバイル機器のケースである、
請求項1から13のいずれか1項に記載の装飾部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月6日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0028261号および2017年10月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0136790号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、装飾部材およびその製造方法に関する。具体的には、本発明は、モバイル機器や電子製品への使用に適した装飾部材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、多様なモバイル機器、家電製品は、製品の機能のほか、製品のデザイン、例えば、色相、形態、パターンなどが、顧客にとっての製品の価値付与に大きな役割を果たす。デザインによって製品の選好度および価格も左右されている。
【0004】
一例として、携帯電話の場合、多様な色相と色感を多様な方法で実現して製品に適用している。携帯電話ケース素材自体に色を付与する方式と、色と形状を実現したデコフィルムをケース素材に付着させてデザインを付与する方式とがある。
【0005】
既存のデコフィルムにおいて、色相の発現は、印刷、蒸着などの方法により実現しようとした。異種の色相を単一面に表現する場合は2回以上印刷をしなければならず、立体パターンに色を多様に与えようとする際は実現が現実的に難しい。また、既存のデコフィルムは、見る角度によって色相が固定されており、やや変化があるとしても色感の差の程度に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、同一面に複数の色相を容易に実現することができ、立体パターンに複数の色相を実現することができ、見る角度によって色相変化を提供することができる装飾部材を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一実施態様は、光反射層と、前記光反射層上に備えられた光吸収層とを含む色発現層を含み、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の地点を含むことを特徴とする装飾部材を提供する。
【0008】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の領域を含むことを特徴とする装飾部材を提供する。
【0009】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、前記光吸収層は、いずれか1つの傾斜面を有する領域における厚さと異なる厚さを有する領域を1つ以上含む。
【0010】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、厚さが漸進的に変化する領域を1つ以上含む。
【0011】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、少なくとも1つの傾斜面を有する領域は、光吸収層の厚さが漸進的に変化する構造を有する。
【0012】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光反射層は、金属層、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物層、炭素または炭素複合体層、または無機物層である。
【0013】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、400nmにおける消滅係数(k)値が0超過4以下、好ましくは0.01~4である。
【0014】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光反射層の下面または光吸収層の上面に備えられた基材をさらに含む。
【0015】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記装飾部材は、デコフィルム、またはモバイル機器のケースまたは家電製品ケース、またはカラー装飾が求められる生活用品である。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の実施態様によれば、外部光が色発現層を通して入射時の入射経路と反射時の反射経路それぞれで光吸収が行われ、外部光は光吸収層の表面と光反射層の表面でそれぞれ反射が行われるので、光吸収層の表面における反射光と光反射層の表面における反射光との間に補強干渉および相殺干渉の現象が発生する。前記のような入射経路と反射経路における光吸収と補強干渉および相殺干渉の現象により特定の色相が発現できる。また、発現する色相は厚さ依存性を有しているため、同一の物質構成を有する場合にも、厚さに応じて色相を変化させることができる。
【0017】
したがって、同一面に光吸収層が厚さの異なる2以上の地点または領域を有するようにすることで複数の色相発現が可能であり、立体パターンに色発現層を形成することで立体パターンに多様な色相実現が可能である。
【0018】
また、光吸収層の上面が少なくとも1つの傾斜面を有するようにする場合、見る角度によって発現する色相の変化を実現することができるだけでなく、簡単な工程で光吸収層が厚さの異なる2以上の領域を有するように製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】光反射層および光吸収層構造における色相発現の作用原理を説明するための模式図である。
図2】本出願の実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示するものである。
図3】本出願の実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示するものである。
図4】本出願の実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示するものである。
図5】本出願の実施態様に係る装飾部材の積層構造を例示するものである。
図6】本出願の実施態様に係る装飾部材の光吸収層の上面構造を例示するものである。
図7】本出願の実施態様に係る装飾部材の光吸収層の上面構造を例示するものである。
図8】本出願の実施態様に係る装飾部材の光吸収層の上面構造を例示するものである。
図9】光吸収層の厚さに応じて色相発現が異なって現れることを示す図である。
図10】光吸収層の厚さに応じて色相発現が異なって現れることを示す図である。
図11】光吸収層の厚さに応じて色相発現が異なって現れることを示す図である。
図12】実施例1~3および比較例1で製造された装飾部材の構造および色相の観測結果を示すものである。
図13】実施例1~3および比較例1で製造された装飾部材の構造および色相の観測結果を示すものである。
図14】実施例4および5で製造した装飾部材の光吸収層の構造を示すものである。
図15】比較例2で製造した装飾部材の光吸収層の構造を示すものである。
図16】実施例4および5と比較例2で製造された装飾部材の傾斜面で垂直な方向で観測された色相を示すものである。
図17】光吸収層の上面に実現可能なパターンを例示するものである。
図18】光吸収層の上面に実現可能なパターンを例示するものである。
図19】光吸収層の上面に実現可能なパターンを例示するものである。
図20】光吸収層の上面に実現可能なパターンを例示するものである。
図21】光吸収層の上面に実現可能なパターンを例示するものである。
図22】アルミニウム酸窒化物のnおよびk値を示すグラフである。
【0020】
図13および図16の座標値は、各色のLab座標上の値を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本明細書において、「地点」とは、面積を有しない1つの位置を意味するものである。本明細書では、光吸収層の厚さが互いに異なる地点が2以上存在することを表すために前記表現が使われる。
【0023】
本明細書において、「領域」とは、一定面積を有する部分を表現する。例えば、前記装飾部材を、光反射層が下部、前記光吸収層が上部に置かれるように地面に置き、前記傾斜面の両端部または厚さが同一の両端部を地面に対して垂直に区分した時、傾斜面を有する領域は、前記傾斜面の両端部に区分された面積を意味し、厚さが同一の領域は、前記厚さが同一の両端部に区分された面積を意味する。
【0024】
本明細書において、「面」または「領域」は、平面であってもよいが、これに限定されず、全部または一部が曲面であってもよい。例えば、垂直断面の形態が円や楕円の弧の一部、波構造、ジグザグなどの構造が含まれる。
【0025】
本明細書において、「傾斜面」とは、前記装飾部材を、光反射層が下部、前記光吸収層が上部に置かれるように地面に置いた時、地面を基準として上面のなす角度が0度超過90度以下の面を意味する。
【0026】
本明細書において、ある層の「厚さ」とは、当該層の下面から上面までの最短距離を意味する。
【0027】
本明細書において、「または」とは、別の定義がない限り、挙げられたものを選択的にまたはすべて含む場合、すなわち、「および/または」の意味を表す。
【0028】
本明細書において、「層」とは、当該層が存在する面積を70%以上覆っているものを意味する。好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上覆っているものを意味する。
【0029】
本出願の一実施態様に係る装飾部材は、光反射層と、前記光反射層上に備えられた光吸収層とを含む色発現層を含み、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の地点を含むことを特徴とする。
【0030】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、厚さが異なる2以上の領域を含むことを特徴とする装飾部材を提供する。
【0031】
前記実施態様によれば、光吸収層では、光の入射経路および反射経路で光吸収が行われ、また、光は光吸収層の表面と光吸収層と光反射層との界面でそれぞれ反射して、2つの反射光が補強または相殺干渉をする。本明細書において、光吸収層の表面で反射する光は表面反射光、光吸収層と光反射層との界面で反射する光は界面反射光で表現される。図1にこのような作用原理の模式図を示した。図1には、基材101、光反射層201および光吸収層301が順に積層された構造を示すものであって、光反射層の下部に基材が位置しているが、必須ではない。
【0032】
前記実施態様に係る構造の例示を図2および図3に示した。図2および図3で、光反射層201上に光吸収層301が備えられ、光吸収層は、互いに異なる厚さを有する2以上の地点を有する。図2によれば、A地点とB地点における光吸収層301の厚さが異なる。図3によれば、C領域とD領域における光吸収層301の厚さが異なる。
【0033】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、前記光吸収層は、いずれか1つの傾斜面を有する領域における厚さと異なる厚さを有する領域を1つ以上含む。
【0034】
前記光反射層の上面の傾斜度のような表面特性は、前記光吸収層の上面と同一であってもよい。例えば、光吸収層の形成時に蒸着方法を利用することにより、光吸収層の上面は、光反射層の上面と同一の傾斜度を有することができる。
【0035】
図4に上面が傾斜面を有する光吸収層を有する装飾部材の構造を例示した。基材101、光反射層201および光吸収層301が積層された構造であって、光吸収層301のE領域における厚さt1と、F領域における厚さt2とは異なる。
【0036】
図4は、互いに対向する傾斜面、すなわち断面が三角形の構造を有する光吸収層に関する。図4のように、互いに対向する傾斜面を有するパターンの構造では、同じ条件で蒸着を進行させても三角形構造の2つの面で光吸収層の厚さが異なる。これによって、1回の工程だけで厚さが異なる2以上の領域を有する光吸収層を形成することができる。これによって、光吸収層の厚さに応じて発現色相が異なる。この時、光反射層の厚さは、一定以上であれば、色相変化に影響を及ぼさない。
【0037】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、厚さが漸進的に変化する領域を1つ以上含む。図2によれば、光吸収層の厚さが漸進的に変化する構造を例示した。
【0038】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層は、上面が傾斜角度0度超過90度以下の傾斜面を有する領域を1つ以上含み、少なくとも1つの傾斜面を有する領域は、光吸収層の厚さが漸進的に変化する構造を有する。図5に上面が傾斜面を有する領域を含む光吸収層の構造を例示した。図5のG領域およびH領域とも、光吸収層の上面が傾斜面を有し、光吸収層の厚さが漸進的に変化する構造を有する。
【0039】
一例によれば、前記光吸収層は、傾斜角度が1度~90度の範囲内である第1傾斜面を有する第1領域を含み、上面が前記第1傾斜面と傾斜方向が異なるか、傾斜角度が異なる傾斜面を有するか、上面が水平である第2領域をさらに含んでもよい。この時、前記第1領域と前記第2領域における光吸収層の厚さが互いに異なっていてもよい。
【0040】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、傾斜角度が1度~90度の範囲内である第1傾斜面を有する第1領域を含み、上面が前記第1傾斜面と傾斜方向が異なるか、傾斜角度が異なる傾斜面を有するか、上面が水平である2つ以上の領域をさらに含んでもよい。この時、前記第1領域および前記2つ以上の領域における光吸収層の厚さは、すべて互いに異なっていてもよい。
【0041】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記光吸収層が非対称構造のパターンを含む。本明細書において、非対称構造とは、上面、側面または断面から観察した時、少なくとも1つの面で非対称構造を有するものを意味する。このように非対称構造を有する場合、前記装飾部材は、二色性を発現することができる。二色性とは、見る角度によって異なる色相が観測されることを意味する。
【0042】
色の表現は、CIE L*a*b*で表現が可能であり、色差は、L*a*b*空間における距離(ΔEab)を利用して定義される。具体的には、
【数1】
であり、0<ΔEab<1の範囲内では観察者が色差を認知することができない[参考文献:Machine Graphics and Vision20(4):383-411]。したがって、本明細書では、二色性をΔEab>1で定義することができる。
【0043】
一例によれば、前記光吸収層は、上面がコーン(cone)形態の突出部または溝部を有するパターンを含む。コーン形態は、円錐、楕円錐、または多角錐の形態を含む。ここで、多角錐の底面の形態は、三角形、四角形、突出点が5個以上の星状などがある。前記コーン形態は、光吸収層の上面に形成された突出部の形態であってもよく、光吸収層の上面に形成された溝部の形態であってもよい。前記突出部は、断面が三角形であり、前記溝部は、断面が逆三角形形態になる。光吸収層の下面も、光吸収層の上面と同一の形態を有することができる。
【0044】
一例によれば、前記コーン形態のパターンは、非対称構造を有することができる。例えば、前記コーン形態のパターンを上面から観察した時、コーンの頂点を基準として360度回転時、同一の形態が3個以上存在する場合、前記パターンから二色性が発現しにくい。しかし、前記コーン形態のパターンを上面から観察した時、コーンの頂点を基準として360度回転時、同一の形態が2個以下存在する場合、二色性が発現できる。図6は、コーン形態の上面を示すもので、(a)は、すべて対称構造のコーン形態を示すものであり、(b)は、非対称構造のコーン形態を例示するものである。
【0045】
対称構造のコーン形態は、コーン形態の底面が円であるか各辺の長さが同一の正多角形であり、コーンの頂点が底面の重心点の垂直線上に存在する構造である。しかし、非対称構造のコーン形態は、これを上面から観察した時、コーンの頂点の位置を底面の重心点でない点の垂直線上に存在する構造であるか、底面が非対称構造の多角形または楕円の構造である。底面が非対称構造の多角形の場合は、多角形の辺または角の少なくとも1つを残りと異なって設計することができる。
【0046】
例えば、図7のように、コーンの頂点の位置を変更することができる。具体的には、図7の1番目の図のように、上面から観察した時、コーンの頂点を底面の重心点01の垂直線上に位置するように設計する場合、コーンの頂点を基準として360度回転時、4つの同一の構造を得ることができる(4fold symmetry)。しかし、コーンの頂点を底面の重心点01でない位置02に設計することにより、対称構造が破れる。底面の一辺の長さをx、コーンの頂点の移動距離をaおよびb、コーンの頂点01または02から底面まで垂直に連結した線の長さであるコーン形態の高さをh、底面とコーンの側面とのなす角度をθnとすれば、図7の面1、面2、面3および面4に対して、下記のようなコサイン値が得られる。
【0047】
【数2】
【0048】
この時、θ1とθ2は同一であるので、二色性がない。しかし、θ3とθ4は異なり、|θ3-θ4|は2色間の色差(E*ab)を意味するので、二色性を示すことができる。ここで、|θ3-θ4|>0である。このように、コーンの底面と側面とのなす角度を利用して、対称構造がどれだけ破れているか、すなわち非対称の程度を定量的に示すことができ、このような非対称の程度を示す数値は、二色性の色差に比例する。
【0049】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、最高点が線形態の突出部または最低点が線形態の溝部を有するパターンを含む。図18図20に線形態の突出部を実現した例の写真を示した。前記線形態は、直線形態であってもよく、曲線形態であってもよいし、曲線と直線をすべて含んでもよい。線形態の突出部または溝部を有するパターンを上面から観察した時、上面の重心点を基準として360度回転時、同一の形態が2個以上存在する場合、二色性を発現しにくい。しかし、線形態の突出部または溝部を有するパターンを上面から観察した時、上面の重心点を基準として360度回転時、同一の形態が1個しか存在しない場合、二色性を発現することができる。図8は、線形態の突出部を有するパターンの上面を示すもので、(a)は、二色性を発現しない線形態の突出部を有するパターンを例示するものであり、(b)は、二色性を発現する線形態の突出部を有するパターンを例示するものである。図8(a)のX-X'断面は、二等辺三角形または正三角形であり、図8(b)のY-Y'断面は、側辺の長さが互いに異なる三角形である。
【0050】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、上面がコーン形態の上面が切り取られた構造の突出部または溝部を有するパターンを含む。図21に断面が非対称の逆台形の溝部を実現した写真を示した。このようなパターンの断面は、台形または逆台形形態であってもよい。この場合にも、上面、側面または断面が非対称構造を有するように設計することにより、二色性を発現することができる。
【0051】
前記例示した構造以外にも、図17のような多様な突出部または溝部パターンを実現することができる。
【0052】
前記光吸収層は、屈折率(n)、消滅係数(k)および厚さ(t)に応じて多様な色相実現が可能である。図9は、光吸収層の厚さに応じて、波長別反射率を示すものであり、図10は、これによって実現した色相を示すものである。具体的には、図9の場合、CuO/CuのCuO蒸着厚さ別反射率のシミュレーショングラフであって、同一の蒸着条件でCuOの厚さを10~60nm変更しながら作成した資料である。
【0053】
図11は、視野角度によって異なる色相が観察されることを示すシミュレーション結果である。図11は、CuON/Alのシミュレーション結果である。図11では、光吸収層の厚さを10nmから100nmまで10nmずつ増加させ、入射角を0度から60度まで15度間隔で調整したものである。このようなシミュレーション結果により、本出願の実施態様に係る構造において光吸収層の厚さと上面の傾斜角を調整することにより、多様な色相を実現できることが分かる。
【0054】
前記光反射層は、光を反射可能な材料であれば特に限定されないが、光反射率は、材料に応じて決定可能であり、例えば、50%以上で色相実現が容易である。光反射率は、ellipsometerを用いて測定することができる。
【0055】
前記光吸収層は、400nmにおける屈折率(n)が0~8であることが好ましく、0~7であってもよく、0.01~3であってもよく、2~2.5であってもよい。屈折率(n)は、sinθ1/sinθ2(θ1は、光吸収層の表面で入射する光の角であり、θ2は、光吸収層の内部における光の屈折角である)で計算される。
【0056】
前記光吸収層は、380~780nmにおける屈折率(n)が0~8であることが好ましく、0~7であってもよく、0.01~3であってもよく、2~2.5であってもよい。
【0057】
前記光吸収層は、400nmにおける消滅係数(k)が0超過4以下であり、0.01~4であることが好ましく、0.01~3.5であってもよく、0.01~3であってもよいし、0.1~1であってもよい。消滅係数(k)は、-l/4pI(dI/dx)(ここで、光吸収層内における経路単位長(dx)、例えば、1mあたりの光の強度の減少分率dI/Iにl/4pを乗算した値であり、ここで、lは、光の波長である。
【0058】
前記光吸収層は、380~780nmにおける消滅係数(k)が0超過4以下であり、0.01~4であることが好ましく、0.01~3.5であってもよく、0.01~3であってもよいし、0.1~1であってもよい。
【0059】
400nm、好ましくは、380~780nmの可視光線全体波長領域における消滅係数(k)が前記範囲であるので、可視光線範囲内で光吸収層の役割を果たすことができる。
【0060】
同一の屈折率(n)値を有するとしても、380~780nmにおける消滅係数(k)値が0の場合と消滅係数(k)値が0.01の場合は、
【数3】
>1の差を示すことができる。例えば、ガラス/アルミニウム/アルミニウム酸化物/空気層の積層構造に、光源としてD65(太陽光スペクトル)を照射した場合をシミュレーションした時、前記アルミニウム酸化物のk値が0の時と0.01の時のEabは、下記表1のように得られた。この時、アルミニウム層の厚さh1は120nmであり、アルミニウム酸化物層の厚さh2は下記表1に記載した。k値はシミュレーションのために任意に0と0.01に設定し、n値はアルミニウムの値を用いた。
【0061】
【表1】
【0062】
例えば、樹脂中に染料を添加して光を吸収する方式を利用することと、前述のような消滅係数を有する材料を用いる場合には、光を吸収するスペクトルが異なる。樹脂中に染料を添加して光を吸収する場合、吸収波長帯が固定され、コーティング厚さの変化に応じて吸収量が変化する現象のみ発生する。また、所望の光吸収量を得るために、光吸収量を調節するために最小数マイクロメートル以上の厚さ変化が必要である。反面、消滅係数を有する材料では、厚さが数または数十ナノメートル規模に変化しても吸収する光の波長帯が変化する。
【0063】
一実施態様によれば、前記光反射層は、金属層、金属酸窒化物層または無機物層であってもよい。前記光反射層は、単一層から構成され、2層以上の多層から構成されてもよい。
【0064】
一例として、前記光反射層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)および銀(Ag)の中から選択される1種または2種以上の材料、その酸化物、窒化物または酸窒化物、炭素および炭素複合体のうちの1種または2種以上の材料を含む単一層または多層であってもよい。例えば、前記光反射層は、前記材料の中から選択される2つ以上の合金、その酸化物、窒化物または酸窒化物を含むことができる。例えば、前記光反射層は、前記金属の中から選択される2つ以上の合金を含むことができる。より具体的には、前記光反射層は、モリブデン、アルミニウムまたは銅を含むことができる。もう一つの例によれば、前記光反射層は、炭素または炭素複合体を含むインクを用いて製造されることにより、高抵抗の反射層を実現することができる。炭素または炭素複合体としては、カーボンブラック、CNTなどがある。前記炭素または炭素複合体を含むインクは、前述した材料またはその酸化物、窒化物または酸窒化物を含むことができ、例えば、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)および銀(Ag)の中から選択される1種または2種以上の酸化物が含まれる。前記炭素または炭素複合体を含むインクを印刷した後、硬化工程が追加的に行われてもよい。
【0065】
前記光反射層は、2種以上の材料を含む場合、2種以上の材料を1つの工程、例えば、蒸着または印刷の方法を利用して形成することもできるが、1種以上の材料で先に層を形成した後、追加的に1種以上の材料でその上に層を形成する方法が利用可能である。例えば、インジウムやスズを蒸着して層を形成した後、炭素を含むインクを印刷した後、硬化させて光反射層を形成することができる。前記インクは、チタン酸化物、シリコン酸化物のような酸化物が追加的に含まれてもよい。
【0066】
一実施態様によれば、前記光吸収層は、単一層であってもよく、2層以上の多層であってもよい。前記光吸収層は、380~780nmにおける消滅係数(k)を有する材料、すなわち消滅係数が0超過4以下、好ましくは0.01~4の材料からなる。例えば、前記光吸収層は、金属、半金属、および金属や半金属の酸化物、窒化物、酸窒化物および炭化物からなる群より選択される1つまたは2つ以上を含むことができる。前記金属または半金属の酸化物、窒化物、酸窒化物または炭化物は、当業者が設定した蒸着条件などによって形成することができる。光吸収層は、光反射層と同一の金属、半金属、2種以上の合金または酸窒化物を含んでもよい。
【0067】
例えば、前記光吸収層は、インジウム(In)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、金(Au)および銀(Ag)の中から選択される1種または2種以上の材料またはその酸化物、窒化物または酸窒化物を含む単一層または多層であってもよい。具体例として、前記光吸収層は、銅酸化物、銅窒化物、銅酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物およびモリブデンチタン酸窒化物の中から選択される1種または2種以上を含む。
【0068】
一例によれば、前記光吸収層は、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)を含む。
【0069】
シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)からなる光吸収層は、400nmにおける屈折率(n)が0~8であり、0~7であってもよく、消滅係数(k)が0超過4以下、好ましくは0.01~4であり、0.01~3または0.01~1であってもよい。
【0070】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、銅酸化物、銅窒化物、銅酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物およびモリブデンチタン酸窒化物の中から選択される1種または2種以上を含む。この場合、光吸収層は、400nmにおける屈折率(n)が1~3、例えば、2~2.5であってもよいし、消滅係数(k)が0超過4以下、好ましくは0.01~2.5、好ましくは0.2~2.5、より好ましくは0.2~0.6であってもよい。
【0071】
一例によれば、前記光吸収層は、AlOxNy(x>0、y>0)である。
【0072】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、AlOxNy(0≦x≦1.5、0≦y≦1)であってもよい。
【0073】
もう一つの例によれば、前記光吸収層は、AlOxNy(x>0、y>0)であり、全体原子数100%に対して各原子の数が下記式を満足する。
【0074】
【数4】
【0075】
一実施態様によれば、前記光吸収層は、400nm、好ましくは380~780nmにおける消滅係数(k)を有する材料からなり、例えば、光吸収層/光反射層は、CuO/Cu、CuON/Cu、CuON/Al、AlON/Al、AlN/AL/AlON/Cu、AlN/Cuなどの材料で形成されてもよい。
【0076】
一実施態様によれば、前記光反射層の厚さは、最終構造において所望の色相に応じて決定可能であり、例えば、1nm以上、好ましくは25nm以上、例えば、50nm以上、好ましくは70nm以上である。
【0077】
一実施態様によれば、前記光吸収層の厚さは、5~500nm、例えば、30~500nmであってもよい。
【0078】
一実施態様によれば、前記光吸収層の領域別厚さの差は、2~200nmであり、所望の色相差に応じて決定可能である。
【0079】
一実施態様によれば、前記光反射層の下面または前記光吸収層の上面に備えられた基材をさらに含んでもよい。前記基材の上面の傾斜度のような表面特性は、前記光反射層および光吸収層の上面と同一であってもよい。これは、光反射層と光吸収層が蒸着方法によって形成されることにより、基材、光反射層および光吸収層が同一角度の傾斜面を有することができる。例えば、前記のような構造は、基材の上面に傾斜面または立体構造を形成し、その上に光反射層および光吸収層を順に蒸着するか、光吸収層および光反射層を順に蒸着することにより実現できる。
【0080】
一例によれば、前記基材の表面に傾斜面または立体構造を形成することは、紫外線硬化型樹脂にパターンを形成し、紫外線を用いて硬化することにより製造するか、レーザで加工する方法で行うことができる。一実施態様によれば、前記装飾部材は、デコフィルム、またはモバイル機器のケースであってもよい。前記装飾部材は、必要に応じて粘着層をさらに含んでもよい。
【0081】
前記基材の材料は特に限定されず、前記のような方法で傾斜面または立体構造を形成する場合、当技術分野で公知の紫外線硬化型樹脂が使用できる。
【0082】
前記光吸収層上には、追加的に保護層が備えられてもよい。
【0083】
一例によれば、前記光吸収層または光反射層が備えられた基材の反上面には、追加的に接着剤層が備えられてもよい。この接着剤層は、OCA(optically clear adhesive)層であってもよい。前記接着剤層上には、必要に応じて保護のための剥離層(release liner)が追加的に備えられてもよい。
【0084】
本明細書では、光反射層および光吸収層を形成する方法の例示としてスパッタリング方式のような蒸着を言及したが、本明細書に記載の実施態様に係る構成および特性を有することができれば、薄膜を作製する多様な方式の適用が可能である。例えば、蒸発蒸着法、CVD(chemical vapor deposition)、ウェットコーティング(wet coating)などが使用できる。
【実施例
【0085】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0086】
実施例1~3
【0087】
PET基材上に紫外線硬化型樹脂を塗布してパターン(図12)を形成した後、窒素を添加して、反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってAlO(0≦x、0.1≦y≦1)光吸収層を基材のパターン上に形成した。光吸収層上に100nmの厚さのAlをスパッタリング方式で蒸着して光反射層(Al、厚さ120nm)を形成した。
【0088】
パターンの形態は、図12のように非対称プリズム構造が繰り返された構造で形成し、パターンの一方面の傾斜角度は60゜であり、反対側の傾斜角度を40゜(実施例1)、30゜(実施例2)、20゜(実施例3)としてサンプルを製造した。この時、パターンのピッチは100マイクロメートルであり、パターンの高さは25マイクロメートルであった。得られたサンプルの基材側に光を入射させて、光吸収層を通過し、光反射層で反射した光を基材側から観察することができる。得られたサンプルから観測された光吸収層の厚さおよび色相を図13に示した。アルミニウム酸窒化物層のnおよびk値は図22に記載されている。
【0089】
比較例1
【0090】
図12のようにパターンの傾斜面が両方とも60゜となるようにし、光吸収層の厚さをすべて同一に形成したことを除けば、実施例1~3と同一にサンプルを製造した。
前記実施例1~3と比較例1の色相を図13に示した。実施例1の場合、左右色相が黄色系で類似に見えるが、左側で赤いトーンの変化を確認することができた。実施例2の場合、左側の角度が減少するに伴って、色相が紫トーンに変化する。実施例3の場合、実施例2よりも濃い紫色となった。これに対し、比較例1の場合、左右同一に黄色系の色相が現れることを確認することができた。
【0091】
実施例4
【0092】
パターンの形態を図14のように形成することにより、光吸収層の断面の三角形の頂点を基準として左側傾斜面上の光吸収層の蒸着厚さを5.7nm、右側傾斜面上の光吸収層の蒸着厚さを3.7nmとしたことを除けば、実施例1~3と同一に実施した。得られたサンプルの傾斜面で垂直な方向の色相の写真を図16に示した。
【0093】
実施例5
【0094】
光吸収層の断面の三角形の頂点を基準として左側傾斜面上の光吸収層の蒸着厚さを19.0nm、右側傾斜面上の光吸収層の蒸着厚さを12.2nmとしたことを除けば、実施例4と同一に実施した。得られたサンプルの傾斜面で垂直な方向の色相の写真を図16に示した。
【0095】
比較例2
【0096】
パターンの形態を図15のように両面対称形の傾斜面を有するように形成し、光吸収層の傾斜面上の光吸収層の蒸着厚さを6.3nmと均一にしたことを除けば、実施例4と同一に実施した。得られたサンプルの傾斜面で垂直な方向の色相の写真を図16に示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17(a)】
図17(b)】
図17(c)】
図17(d)】
図17(e)】
図17(f)】
図17(g)】
図17(h)】
図17(i)】
図18
図19
図20
図21
図22