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特許7014373二次電池用ワッシャー、これを含む二次電池、及び前記二次電池用ワッシャーの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】二次電池用ワッシャー、これを含む二次電池、及び前記二次電池用ワッシャーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/598 20210101AFI20220125BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 50/16 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 50/164 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20220125BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20220125BHJP
【FI】
H01M50/598
H01M50/15
H01M50/152
H01M50/16
H01M50/164
H01M50/588
H01M50/593
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020527911
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018016484
(87)【国際公開番号】W WO2019125057
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0178717
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョン グ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ド ギュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、サン スク
(72)【発明者】
【氏名】シン、ハン スー
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/167602(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/160857(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0056944(KR,A)
【文献】国際公開第2017/209366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム層;及び
前記フィルム層の少なくとも一面に配置された粘着層を含み、
前記粘着層は粘着成分及び指示薬成分を含み、
前記指示薬成分は脂溶性であり、
前記指示薬成分は、p-ジメチルアミノアゾベンゼン、トロペオリンOO、及びペンタメトキシレッドの中で少なくともいずれか一つを含む、二次電池用ワッシャー。
【請求項2】
前記指示薬成分は、pH4.0以下の酸性領域で色相が変化する、請求項1に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項3】
前記指示薬成分は、前記粘着層の全重量を基準として0.02重量%から30重量%で含まれる、請求項1または2に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項4】
前記粘着成分は、アクリル系粘着性化合物、ゴム系粘着性化合物、シリコン系粘着性化合物及びビニルエーテル系粘着性化合物よりなる群から選択された少なくともいずれか一つを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項5】
前記アクリル系粘着性化合物は、
a)(メタ)アクリレート系樹脂、
b)アクリル酸エステル系モノマー由来単位を含む単独重合体又は共重合体;及び
c)前記アクリル酸エステル系モノマー由来単位とアクリル酸モノマー由来単位、アクリル酸2-ヒドロキシエチルモノマー由来単位及び酢酸ビニルモノマー由来単位の中から選択された少なくとも一つを含む共重合体の中で少なくともいずれか一つを含む、請求項に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項6】
前記フィルム層は、
前記フィルム層を挟んで、前記粘着層の色相変化を外部から目視で観察することができる材質である、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項7】
前記フィルム層は、透明材質又は半透明材質である、請求項に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項8】
前記フィルム層は、高分子樹脂を含み、
前記高分子樹脂は、ポリオレフィン系高分子樹脂、アクリル系高分子樹脂、ポリカーボネート系高分子樹脂、ビニル系高分子樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン系高分子樹脂、ポリカーボネート系高分子樹脂、テトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリブチルテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートよりなる群から選択された少なくともいずれか一つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池用ワッシャー。
【請求項9】
粘着成分及び第1有機溶媒を含む粘着溶液、並びに指示薬成分及び第2有機溶媒を含む指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を製造する段階;及び
前記粘着層用組成物を基材フィルム上に塗布した後乾燥させる段階を含み、
前記指示薬成分は脂溶性であり、
前記指示薬成分は、p-ジメチルアミノアゾベンゼン、トロペオリンOO、及びペンタメトキシレッドの中で少なくともいずれか一つを含む、二次電池用ワッシャーの製造方法。
【請求項10】
正極、分離膜及び負極を含む電極組立体;
前記電極組立体が内蔵され、上端にクリンピング部を含む缶;
前記クリンピング部上に搭載されたワッシャーを含み、
前記ワッシャーは、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池用ワッシャーである二次電池。
【請求項11】
前記ワッシャーは、粘着方式又は機械的結合方式で前記クリンピング部上に固定される請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
請求項10または11に記載の二次電池を単位電池として含むバッテリーパック。
【請求項13】
請求項10または11に記載の二次電池を単位電池として含む中大型電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年12月22日付出願の韓国特許出願第10-2017-0178717号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用ワッシャー、これを含む二次電池、及び前記二次電池用ワッシャーの製造方法に関し、具体的に、前記ワッシャーは、フィルム層;及び前記フィルム層の少なくとも一面に配置された粘着層を含み、前記粘着層は粘着成分及び指示薬成分を含み、前記指示薬成分は脂溶性である。
【背景技術】
【0003】
通常、二次電池は、正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在される分離膜からなる電極組立体を積層するか巻き取った状態で、金属缶又はラミネートシートの電池ケースに内蔵した後、電解液を注入するか含浸させることにより形成される。近年開発されたリチウム二次電池は、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などの電子機器の分野で広く使われている。
【0004】
このような二次電池は、電解液の種類に従い、液体電解質電池と高分子電解質電池に区分され、液体電解質を用いる電池は、通常、リチウムイオン電池といい、高分子電解質を用いる電池をリチウムポリマー電池という。また、二次電池は、様々な形状で製造されており、代表的な形状としては、円筒状、角形、パウチ型などを挙げることができる。
【0005】
一般に、二次電池は、電池ケースである缶と、缶の内部に収容される電極組立体と、前記缶の上端開口部に結合されるキャップアセンブリーと、負極又は正極端子を保護回路に電気的に連結させるためのリードと、前記缶のクリンピング部の上部に結合されるワッシャーとを含んでなる。しかし、前記ワッシャーは、前記缶のクリンピング部の上部に位置するので、前記電解液注入口は前記ワッシャーにより覆われるようになる。これに伴い、電解液が漏れたのか否かを確認するためには、ワッシャーを除去しなければならないという不便さがある。また、微量の電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガスが漏れる場合には、電池の外部からこのような漏れの有無を目視では容易に確認することができないため、電解液の漏れが放置されるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題点を解決するため、電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガスによって造成される特定の酸性領域で色が変化する指示薬成分を前記ワッシャーに含ませることを考慮することができ、具体的に、前記ワッシャーのうち缶のクリンピング部との結合のための粘着成分を含む粘着層に前記指示薬成分が含まれてもよい。但し、前記水溶性指示薬を用いる場合、前記粘着成分を水などの水系溶媒を用いて合成しなければならず、このため、乳化(Emulsion)重合を用いなければならない。そして、乳化重合時にアクリル系モノマーなどの粘着成分形成用モノマーを水に分散させるために乳化剤を用いなければならない。この場合、前記粘着成分形成用モノマーが乳化剤によって取り囲まれてミセル(micelle)構造を形成するようになり、前記ミセル間の弱い結合力により製造された粘着成分間の凝集力が減少するようになる。これにより、粘着成分の押し込み及び転移現象が発生するため、製造設備が汚染して故障の問題が発生することがあり、バッテリー外観に粘着成分による汚染が発生する問題が起こるようになる。
【0007】
したがって、本発明では、前記粘着成分間の凝集力を改善させることで、製造設備の汚染及び故障を防止し、バッテリー外観の汚染を防止することができる二次電池用ワッシャー、これを用いた二次電池、及び前記ワッシャーの製造方法の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、フィルム層;及び前記フィルム層の少なくとも一面に配置された粘着層を含み、前記粘着層は、粘着成分及び指示薬成分を含み、前記指示薬成分は、脂溶性である二次電池用ワッシャーを提供する。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、粘着成分及び第1有機溶媒を含む粘着溶液を準備する段階;指示薬成分及び第2有機溶媒を含む指示薬溶液を準備する段階;前記粘着溶液及び前記指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を製造する段階;及び、前記粘着層用組成物を基材フィルム上に塗布した後乾燥させる段階を含み、前記指示薬成分は脂溶性である二次電池用ワッシャーの製造方法を提供する。
【0010】
本発明のまた他の実施形態によれば、正極、分離膜及び負極を含む電極組立体;前記電極組立体が内蔵され、上端にクリンピング部を含む缶;前記クリンピング部上に搭載された前記ワッシャーを含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態による二次電池用ワッシャーは、粘着成分を含み、前記粘着成分間の凝集力が大きい。これにより、製造設備の汚染及び故障が防止され、バッテリー外観の汚染が防止され得る。さらに、脂溶性指示薬成分を含むため、電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガス漏れの有無を確認することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるワッシャーの構成を概略的に示した図である。
図2図1のA-A'部分の断面図である。
図3】本発明のまた他の実施形態による二次電池の一部分を概略的に示した図である。
図4】本発明のまた他の実施形態による二次電池を概略的に示した図である。
図5】実施例及び比較例のワッシャー写真である。
図6】実施例1のワッシャーの色相変化を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0015】
本明細書で用いられる用語は、ただ例示的な実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0016】
本明細書において、「含む」、「備える」又は「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素又はこれらの組み合わせなどの存在又は付加の可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0017】
本発明の一実施形態による二次電池用ワッシャーは、フィルム層;及び前記フィルム層の少なくとも一面に配置された粘着層を含み、前記粘着層は、粘着成分及び指示薬成分を含み、前記指示薬成分は脂溶性である。
【0018】
通常、二次電池のキャップアセンブリーに取り付けられたワッシャーは、基本的に電気的絶縁状態を補完する役割を担い、電池セルを外部の衝撃から保護し、電池セルの上端に取り付けられる部材に対する機械的強度を補完する役割を担うことができる。これに加え、本発明の二次電池用ワッシャーは指示薬成分を含むので、前記基本的な役割以外にも、電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガス漏れの有無を目視で確認できるようにする役割ができる。
【0019】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による二次電池用ワッシャーの一例を示した図である。
【0020】
前記ワッシャー10は、フィルム層11を含んでもよい。前記フィルム層は、前記フィルム層を挟んで、前記粘着層の色相変化を外部から目視で観察することができる材質であるのが好ましい。具体的に、前記フィルム層は透明材質又は半透明材質であってもよい。
【0021】
前記フィルム層は、高分子樹脂を含み、前記高分子樹脂は、ポリオレフィン系高分子樹脂、アクリル系高分子樹脂、ポリカーボネート系高分子樹脂、ビニル系高分子樹脂、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、ポリスチレン系高分子樹脂、ポリカーボネート系高分子樹脂、テトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、ポリブチルテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートよりなる群から選択された少なくともいずれか一つを含んでもよい。具体的に、本発明の前記フィルム層の高分子樹脂は、ポリプロピレン、ポリカーボネート系高分子樹脂、ポリエチレンテレフタレートよりなる群から選択された少なくともいずれか一つであってもよい。前記ポリオレフィン系高分子樹脂としては、その非制限的な例として、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン及びこれらのコポリマーなどがある。
【0022】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂前記フィルム層の製造方法は特に限定されず、例えば、前記で選択された高分子樹脂と添加剤などを任意の適切な混合方法により十分混合して樹脂組成物を製造した後、これをフィルム成形して製造してもよい。
【0023】
本発明において、前記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液柔軟法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、任意の適切なフィルム成形法を挙げることができる。これらのフィルム成形法のうち、溶液キャスト法(溶液柔軟法)、溶融押出法が好ましい。
【0024】
前記フィルム層は、未延伸フィルム及び/又は延伸フィルムを含んでもよい。延伸フィルムの場合には、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムの場合には、同時二軸延伸フィルム又は逐次二軸延伸フィルム中のいずれかであってよい。二軸延伸した場合には、機械的強度が向上するのでフィルム性能が向上する。また、前記フィルム層は、光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを施してもよい。熱処理条件は特に制限されず、当業界に既知の任意の適切な条件を採用することができる。
【0025】
図2に示されている通り、前記粘着層12は、前記フィルム層11の少なくとも一面に配置されてもよい。前記粘着層は、前記ワッシャーが後述の上端キャップやキャップのクリンピング部と接着され、ワッシャーの位置が固定されるようにするだけでなく、キャップアセンブリーと電池缶の間の領域の密封を助ける役割を担う。
【0026】
前記粘着層は、粘着成分及び指示薬成分を含んでもよい。
【0027】
前記粘着成分は、感圧性粘着成分を含んでもよい。前記粘着成分としては、アクリル系粘着性化合物、ゴム系粘着性化合物、シリコン系粘着性化合物、ビニルエーテル系粘着性化合物よりなる群から選択された少なくともいずれか一つを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。前記粘着成分として感圧性接着成分を用いることができるので、ワッシャーを上端キャップ又はキャッププレートと接着することにおいて、所定の圧力をかける簡単な工程だけで接着が可能なので工程効率の側面で有利である。
【0028】
前記アクリル系粘着性化合物は、a)アクリレート由来単位を含む重合体などの(メタ)アクリレート系樹脂、b)ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、ビニルアクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、メチルアクリレート、メタアクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソノニルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー由来単位の単独重合体又は共重合体、及びc)前記アクリル酸エステル系モノマー由来単位とアクリル酸モノマー由来単位、アクリル酸2-ヒドロキシエチルモノマー由来単位及び酢酸ビニルモノマー由来繰り返し単位の中から選択された少なくとも一つを含む共重合体のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0029】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は、(メタ)アクリレート系モノマー由来単位を含む樹脂を主な成分とするものであって、(メタ)アクリレート系モノマー由来単位よりなるホモポリマー樹脂だけではなく、(メタ)アクリレート系モノマー由来単位以外に他のモノマー由来単位が共重合された共重合体樹脂、及び前記のような(メタ)アクリレート系樹脂に他の樹脂がブレンドされたブレンド樹脂も含む概念である。
【0030】
前記(メタ)アクリレート系モノマー由来単位は、例えば、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー由来単位であってもよい。ここで、前記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー由来単位は、アルキルアクリレート系モノマー由来単位及びアルキルメタクリレート系モノマー由来単位を全て意味するものであって、前記アルキル(メタ)アクリレート系モノマー由来単位のアルキル基は炭素数1~10であることが好ましく、炭素数1~4であることがより好ましい。
【0031】
前記ゴム系粘着性化合物の非制限的な例としては、合成ポリイソプレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブテンなどを用いることができる。
【0032】
前記指示薬成分は、電解液及び/又は電解液の副反応により発生したガスの漏れを目視で確認できるようにする役割を担う。
【0033】
二次電池用ワッシャーの製造時、粘着成分は、前記粘着成分の重合時に用いられた溶媒とともに粘着溶液の状態で用いられる。前記溶液に指示薬成分及び別途の溶媒を含む指示薬溶液を投入した後、混合して粘着層用組成物を形成することができる。このとき、粘着成分の重合時に用いられた溶媒がそのまま用いられるので、指示薬成分の溶解のため、前記溶媒の水溶性/脂溶性の有無と指示薬成分の水溶性/脂溶性の有無とが一致しなければならない。このような理由により、もし本発明と異なって水溶性指示薬を用いる場合、前記粘着成分を水などの水系溶媒を用いて合成しなければならない。このため、乳化(Emulsion)重合を用いなければならない。そして、乳化重合時、アクリル系モノマーなどの粘着成分形成用モノマーを水系溶媒に分散させるために乳化剤を用いなければならない。この場合、前記粘着成分形成用モノマーが乳化剤によって取り囲まれてミセル(micelle)構造を形成するようになり、前記ミセル間の弱い結合力により製造された粘着成分間の凝集力が減少するようになる。これにより、粘着成分の押し込み及び転移現象が発生するため、製造設備が汚染して故障の問題が発生することがあり、バッテリー外観に粘着成分による汚染が発生する問題が起こるようになる。さらに、水溶性指示薬を水系溶媒に溶解させるとき、水溶性指示薬間で凝集が発生するので、二次電池用ワッシャーの外観不良が発生するようになる。
【0034】
これを考慮するとき、本発明において、前記指示薬成分は脂溶性である点が大きな技術的特徴に該当する。本発明で用いられる指示薬成分は脂溶性なので、粘着層用組成物の形成時に有機溶媒が用いられなければならない。また、粘着成分の重合時に用いられた溶媒、つまり、前記粘着成分を含む粘着溶液をなす溶媒は、粘着層用組成物の形成時に用いられる有機溶媒と混合されなければならないので、粘着溶液の溶媒として有機溶媒が用いられてもよい。この場合、乳化重合ではなく溶液重合(solution polymerization)で前記粘着成分の合成が可能なので、ミセル構造が形成されずに粘着成分間の凝集力が改善され得る。また、粘着成分形成用モノマーが重合され、長さが長い高分子鎖(chain)を形成することができ、場合により、前記高分子鎖を交差結合(cross-linking)させることができる。したがって、粘着剤間の凝集力がさらに向上し得る。これにより、粘着成分の押し込み及び転移現象が減少できるので、製造設備の汚染及び故障が防止でき、バッテリー外観の汚染が防止できる。
【0035】
前記指示薬成分は、p-ジメチルアミノアゾベンゼン、トロペオリンOO、クリスタルバイオレット、セリトンファストバイオレット6B、及びペンタメトキシレッドの中で少なくともいずれか一つを含んでよい。
【0036】
また、例えば、脂溶性である前記指示薬成分は、pH4.0以下の酸性領域で色相が変化し得る。一般に、電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガスはpH4.0以下の酸性を示すので、pH4.0以下の酸性領域で色相が変化する前記指示薬成分を用いるとき、電解液及び/又は電解液の副反応により発生するガスの漏れを色相変化によって目視で確認することができる。具体的に、前記酸性領域はpH0.5以上pH4.0以下、より具体的にpH0.5以上pH3.0以下であってもよい。
【0037】
前記指示薬成分は、前記粘着層の全重量を基準として0.02重量%から30重量%で含まれてもよく、具体的に0.02重量%から10重量%で、より具体的に0.02重量%から3重量%で含まれてもよい。前記範囲を満たす場合、粘着成分の含量が相対的に十分に確保されるので、ワッシャーと缶のクリンピング部間の粘着力が確保でき、同時に色相の変化を目視でさらに確実に検出することができる。また、本発明は、有機溶媒を用いて指示薬成分を溶解させることができるので、指示薬成分の含量が低い水準であっても電解液関連の漏れ有無を確認することができ、ひいては、粘着成分の含量が相対的に増加し、粘着力がさらに改善され得る。
【0038】
前記二次電池用ワッシャーは、電解液の漏液を吸収することができる吸湿性素材を追加でさらに含んでもよい。前記吸湿性素材としては、レーヨン、混紡糸、ポリビスコース及びポリノジック(Polynosic)よりなる群から選択される少なくともいずれか一つを含んでよく、具体的に、ポリノジックであってよい。
【0039】
前記二次電池用ワッシャーの厚さは、その素材によって変わり得るため、特に限定されないが、好ましくは0.05mmから2mm、又は0.05mmから1.5mm、又は0.05mmから1mm、又は0.05mmから0.8mmであってよい。二次電池用ワッシャーの厚さは、その機械的剛性、弾性力などに影響を及ぼすので、二次電池用ワッシャーの厚さが薄過ぎる場合、所望の機械的剛性などを示すことができずに、弱い外部衝撃によっても破壊され得るが、逆に、二次電池用ワッシャーの厚さが厚過ぎれば、電池の大きさ増加が顕著なので好ましくない。よって、このような点を複合的に考慮して前記範囲内で適宜決定することができる。
【0040】
本発明の他の実施形態による二次電池用ワッシャーの製造方法は、粘着成分及び第1有機溶媒を含む粘着溶液を準備する段階;指示薬成分及び第2有機溶媒を含む指示薬溶液を準備する段階;前記粘着溶液及び前記指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を製造する段階;及び、前記粘着層用組成物を基材フィルム上に塗布した後乾燥させる段階を含み、前記指示薬成分は脂溶性であってもよい。具体的に、前記指示薬成分は、前述の一実施形態で言及した指示薬成分と同一である。
【0041】
前記二次電池用ワッシャーの製造方法は、水系溶媒ではない有機溶媒を粘着成分の重合に用いるという点で一特徴を有する。
【0042】
前記粘着溶液を準備する段階において、前記第1有機溶媒は、シクロヘキサン(cyclohexane)、n-ヘプタン(n-heptane)などの脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ソルベッソ100(Solvesso 100)、ソルベッソ150(Solvesso 150)などの芳香族炭化水素系溶媒;メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)、n-ブタノール(n-BuOH)などのアルコール系溶媒;エチルアセテート(ethyl acetate)、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate)などのエステル系溶媒;アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、メチルi-ブチルケトン(methyl i-butyl ketone)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;及びエチルセロソルブ(ethyl cellosolve)、ダワノールPM(dowanol PM)、ブチルセロソルブ(butyl cellosolve)、ダワノールPMA(dowanol PMA)、ブチルカルビトール(butyl carbitol)などのグリコール系溶媒の中から選択される少なくともいずれか一つであってもよい。
【0043】
前記粘着成分は、前述の一実施形態の粘着成分と同一である。例えば、前記粘着成分は、粘着成分形成用モノマーの重合により形成されてもよい。前記粘着成分形成用モノマーは、(メタ)アクリレート系モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸モノマー、アクリル酸2-ヒドロキシエチルモノマー及び酢酸ビニルモノマーよりなる群から選択される少なくともいずれか一つであってもよい。これらに限定されるものではないが、前記粘着成分形成用モノマーは、開始剤を用いる重合方法により重合されてもよい。前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(azo bis iso-butyro nitrile)、ベンゾイルペルオキシド(benxoyl peroxide)、ジ-tert-ブチルペルオキシド(di tert-butyl peroxide)、tert-ブチルペルベンゾエート(tert-butyl perbenzoate)、カリウムペルスルフェート(kali persulfate)よりなる群から選択される少なくともいずれか一つであってもよい。
【0044】
前記粘着成分形成用モノマーの重合方法は、溶液重合であってもよい。具体的に、前記重合の過程で水系溶媒ではない有機溶媒を用いるので、前記重合は溶液重合であってもよい。これによって、乳化重合時に発生することになるミセル構造が溶液重合時には形成されないので、粘着成分間の凝集力が改善され得る。また、粘着成分形成用モノマーが重合されて長さが長い高分子鎖(chain)を形成することができ、場合により、前記高分子鎖を交差結合(cross-linking)させることができる。したがって、粘着剤間の凝集力がさらに向上し得る。これにより、粘着成分の押し込み及び転移現象が減少できるので、製造設備の汚染及び故障が防止でき、バッテリー外観の汚染が 防止できる。
【0045】
前記指示薬成分及び第2有機溶媒を含む指示薬溶液を準備する段階において、前記指示薬成分は、前述の実施形態で説明した指示薬成分と同一なので、以下では説明を省略する。
【0046】
前記第2有機溶媒は、シクロヘキサン(cyclohexane)、n-ヘプタン(n-heptane)などの脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ソルベッソ100(Solvesso100)、ソルベッソ150(Solvesso150)などの芳香族炭化水素系溶媒;メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)、n-ブタノール(n-BuOH)などのアルコール系溶媒;エチルアセテート(ethyl acetate)、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate)などのエステル系溶媒;アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、メチルi-ブチルケトン(methyli-butyl ketone)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;及び、エチルセロソルブ(ethyl cellosolve)、ダワノールPM(dowanol PM)、ブチルセロソルブ(butyl cellosolve)、ダワノールPMA(dowanol PMA)、ブチルカルビトール(butyl carbitol)などのグリコール系溶媒の中から選択される少なくともいずれか一つであってもよい。具体的に、前記第2有機溶媒は、前記第1有機溶媒と同一であってもよい。
【0047】
前記粘着溶液及び前記指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を製造する段階において、前記第1有機溶媒と第2有機溶媒のいずれも有機溶媒なので、前記粘着溶液と前記指示薬溶液の混合時に分離現象が起こらず、混合がスムーズになされ得る。さらに、脂溶性指示薬成分が前記第1有機溶媒及び前記第2有機溶媒に容易に溶解され得る。
【0048】
前記粘着層用組成物を基材フィルム上に塗布した後乾燥させる段階において、前記基材フィルムは、前述の一実施形態のフィルム層を形成するための構造体であってもよい。具体的に、前述の一実施形態のフィルム層は、前記基材フィルムが切断されて形成されたものであってもよい。よって、前記基材フィルムは前述のフィルム層の構成物質と同一であってもよい。
【0049】
前記塗布は、ロールコーター;コンマコーター;カーテンコーター、スライドコーター、スロットダイコーターなどのダイコーター;マイクログラビアなどの方法で行われてもよい。
【0050】
前記乾燥は、前記粘着層用組成物が塗布された前記基材フィルムを70℃から200℃の温度で0.02時間から2時間乾燥させるものであってもよい。これにより、前記粘着層用組成物の有機溶媒が除去され得る。
【0051】
前記乾燥以後、前記基材フィルム及び乾燥した粘着層用組成物を切断し、前述のフィルム層及び粘着層を含む本発明の二次電池用ワッシャーが形成されてもよい。すなわち、前記基材フィルムは切断されてフィルム層となり、乾燥した粘着層用組成物は切断されて粘着層となり得る。
【0052】
本発明のまた他の実施形態による二次電池は、正極、分離膜及び負極を含む電極組立体;前記電極組立体が内蔵され、上端にクリンピング部を含む缶;前記クリンピング部上に搭載されたワッシャーを含み、前記ワッシャーは前述の一実施形態の二次電池用ワッシャーと同一である。
【0053】
図3は、前記二次電池の一部分を示した模式図である。図3に示されている通り、本発明のまた他の実施形態による電池100は、缶200の内部に発電素子としての電極組立体300を挿入し、ここに電解液を注入して、缶200の上端開口部にキャップアセンブリー400を取り付け、このようにキャップアセンブリー400が取り付けられた状態で、缶200を熱収縮性チューブ220に挿入して所定の熱を加えることにより製造されてもよい。また、缶200は、上端に缶200の開口部が内側へ一部折り曲げられて形成されたクリンピング部230を含んでもよい。本発明において、前記缶は円筒状缶であってもよく、角形缶であってもよい。例えば、円筒状缶の場合、前記キャップアセンブリーには電極組立体に連結された正極突出端子が中央に形成されており、円筒状缶とキャッププレートは、前記正極端子と絶縁された状態で負極端子を形成する構造であってもよい。また他の例として、角形缶の場合、前記キャップアセンブリーには電極端子に連結された負極突出端子が中央に形成されており、角形缶とキャッププレートは、前記負極端子と絶縁された状態で正極端子を形成する構造であってもよい。
【0054】
前記キャップアセンブリー400は、過電流防止用PTC素子420、及び内部圧力を低下させるための安全ベント430を含んでいる。具体的に、缶200の上部ビーディング部210に実装される気密維持用ガスケット450の内部に、上端キャップ410への過電流を遮断するためのPTC素子420と、内部圧力を低下させるための安全ベント430とが密着して設けられる。上端キャップ410は、中央が上向きに突出されているため、外部回路との接続による正極端子としての役割を担う。安全ベント430は、その下端が電流遮断部材440及び正極リード310を介して発電素子300の正極に連結されている。
【0055】
安全ベント430は、導電性の薄い板材であって、その中央部は下向き湾入部432を形成しており、湾入部432の上折り曲げ及び下折り曲げの部位には、それぞれ深さを異にする2個のノッチが形成されている。
【0056】
これに限定されるものではないが、ワッシャー500は、キャップアセンブリー400の上端キャップ410を囲みながらクリングピング部230に搭載できるよう、全体的に円板構造でなり得る。熱収縮性チューブ220が収縮されるとき、ワッシャー500の外周面を囲みながらクリングピング部230に対するワッシャー500の取り付けがなされる。
【0057】
ワッシャー500は、正極端子としての上端キャップ410が負極端子としての缶200と接触しながら内部短絡が誘発されることを防止する。また、ワッシャー500は、電解液吸湿性素材からなるので、外部衝撃などにより円筒状缶が損傷されるに伴い、クリングピング部230及びビーディング部210とガスケット450の間の界面に沿って電解液が漏れるとき、電解液を吸収する役割を担う。前記ワッシャーは、粘着方式又は機械的結合方式で前記キャップアセンブリーの上端に固定されてもよい。
【0058】
図4は、本発明のまた他の実施形態である二次電池の分解斜視図であり、図4の二次電池は角形電池であるが、本発明の二次電池が角形電池に限るものではない。
【0059】
図4に示されている通り、二次電池101は、上端が缶201、缶201の内部に収容される電極組立体301、缶201の開放上端に結合されるキャッププレート610を含むキャップアセンブリー、及びキャッププレート610の上側に設けられるワッシャー501を含むことで形成されてよい。
【0060】
缶201は、略直方体の金属素材であって、それ自体が端子の役割を担うことができる。キャップアセンブリーは、キャッププレート610、絶縁部材640、端子板650及び電極端子620を含んでもよい。
【0061】
キャッププレート610は、缶201の開放上端に対応する大きさと形状を有する金属板からなっており、その中央に電極端子620が挿入される第1端子開口611が形成される。電極端子620は、第1電極タブ311又は第2電極タブ321と連結されて負極端子として作用するようになる。電極端子620が第1端子開口611に挿入されるときは、電極端子620とキャッププレート610の絶縁のために、電極端子620の外面にはチューブ型のガスケット630が結合されて共に挿入されてもよい。
【0062】
キャッププレート610の一側には、電池内部の圧力が上昇するか爆発するとき、その圧力が危険水位の圧力より低い圧力で破裂するよう、一定の深さの溝を形成してその厚さを薄くするか、または、ホールを形成してホールに薄板を溶接して密封した安全ベントが形成されている。さらに、他側には、所定大きさの電解液注入口612が形成されており、電解液注入口612は、キャップアセンブリーが缶101の開口に組み立てられた後、電解液を注入する通路となり、金属ボール615で密封される。
【0063】
絶縁部材640は、ガスケット630のように絶縁物質で形成され、キャッププレート610の下面に結合される。絶縁部材640には、キャッププレート610の第1端子開口611に対応される位置に第2端子開口641が形成されている。
【0064】
端子板650は絶縁部材640の下面に結合され、キャッププレート610の第1端子開口611に対応される位置に電極端子620が挿入される第3端子開口651が形成されている。したがって、電極端子620は、ガスケット630によりキャッププレート610と電気的に絶縁されながら端子板60と電気的に連結される。
【0065】
また、電極組立体301の上面には、電極組立体301とキャップアセンブリーを電気的に絶縁させるため、電極組立体301の上端をカバーするトップインシュレーター(top insulator)660が搭載され、電極端子620は電極リード線(図示省略)と連結されて外部端子と連結される。
【0066】
ここで、電極端子620が第2電極タブ321と連結されると、キャッププレート610は第1電極タブ311と連結されるので、電極端子620と連結されるキャッププレート610と絶縁されなければならない。よって、キャッププレート610の上側、すなわち、キャッププレート610と電極端子620の間にはワッシャー501が設けられる。クリングピング部230上に搭載されるワッシャーは、多様な方式で当該部位に固定できるところ、例えば、缶の外面に取り付けられる熱収縮性チューブが収縮されながらワッシャーの外周面を共に固定する機械的結合方式、ワッシャーの下面又はクリングピング部230の上面に接着剤を付加して互いに結合させる接着方式などが用いられてもよい。
【0067】
ワッシャー501は、電気絶縁性と電解液を吸収することができる吸入性素材からなっており、中心部に電極リード線(図示省略)と連結される電極端子620が露出するように電極端子ホール511が形成されている。ワッシャー501の一側には安全ベントが露出する露出部として安全ベントホール521が形成され、他側には電解液注入口612が開放されるように注入ホール531が形成されている。
【0068】
したがって、多様な原因により電解液が缶201の外部に漏れてもワッシャー501により直ぐ吸収されるので、例えば、電池101の上端に取り付けられるPCM(図示省略)などを腐食させて内部短絡が招かれることを防止することができる。
【0069】
本発明において、前記電極組立体300は、正極及び負極が分離膜を挟んで配置された形態を含んでもよい。このとき、電極組立体300は、一つの正極及び一つの負極が分離膜を挟んで巻き取られた構造を有するか、または、多数の正極及び多数の負極が分離膜を挟んで積層された構造を有してもよい。そして、このような正極と負極は、それぞれ電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造として形成されてもよく、この際、スラリーは、通常、粒状の活物質、補助導体、バインダー及び可塑剤などの溶媒が添加された状態で撹拌されて形成されてもよい。
【0070】
一方、電極組立体300には、電極板にスラリーが塗布されていない無地部が存在してよく、このような無地部にはそれぞれの電極板に対応される電極タブが備えられてもよい。すなわち、電極組立体00の正極板には正極タブ(図示省略)が付着され、電極組立体300の負極板には負極タブ(図示省略)が付着されてよく、前記それぞれのタブは、電極リードのような他の構成要素に連結される。
【0071】
本実施形態による二次電池は、好ましくはリチウム二次電池であってもよい。また本発明は、前記二次電池を単位電池として含んでいるバッテリーパック又は中大型電池モジュールを提供する。
【0072】
本発明による二次電池は、特に、長時間の寿命と優れた耐久性が要求される高出力の大容量の電池、又はこのような電池を単位電池として多数含む中大型電池モジュールに好適に用いられ得る。前記中大型電池モジュールは、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電気バイク、電気自転車などの動力源として用いられてもよい。
【0073】
そして、本発明によるバッテリーパックは、二次電池以外にも、BMS(Battery Management System)のような二次電池の充放電を制御するための様々な保護装置をさらに含んでもよい。
【0074】
以下、実施例及び比較例を介して本発明をさらに詳述する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範疇がこれにだけ限定されるものではない。
【0075】
実施例1:二次電池用ワッシャーの製造
(1)粘着層用組成物の形成
有機溶媒であるメチルエチルケトン及びトルエンの使用下で、粘着成分形成用モノマーであるエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを重合することで、粘着成分及び前記有機溶媒が含まれた粘着溶液を形成した。一方、メチルエチルケトン及びトルエンに指示薬成分であるp-ジメチルアミノアゾベンゼンを0.12g投入した後、混合して指示薬溶液を形成した。その後、前記接着溶液と前記指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を形成した。前記粘着層用組成物の固形分の全重量を基準に指示薬成分は0.04重量%であった。
【0076】
(2)二次電池用ワッシャーの製造
前記粘着層用組成物を、厚さ0.1mm、曇り度56%以下の透明ポリエチレンテレフタレート上にコンマコーター工程で塗布した。その後、これを120℃で10分間乾燥させた。乾燥した粘着層用組成物及びポリエチレンテレフタレートを切断してワッシャーを製造した。
【0077】
比較例1:二次電池用ワッシャーの製造
(1)粘着層用組成物の形成
水を溶媒に用い、粘着成分形成用モノマーであるエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを重合することで、粘着成分及び前記水が含まれている粘着溶液を形成した。一方、水に水溶性指示薬成分であるメチルオレンジを5g投入した後、混合して指示薬溶液を形成した。その後、前記接着溶液と前記指示薬溶液を混合して粘着層用組成物を形成した。前記粘着層用組成物の固形分の全重量を基準に指示薬成分は5重量%であった。
【0078】
(2)二次電池用ワッシャーの製造
前記粘着層用組成物を、厚さ0.1mm、曇り度56%以下の透明ポリエチレンテレフタレート上にコンマコーター工程で塗布した。その後、これを120℃で10分間乾燥させた。乾燥した粘着層用組成物及びポリエチレンテレフタレートを切断してワッシャーを製造した。
【0079】
実験例1:粘着力及び粘着力分布の評価
万能材料試験機(UTM)を用いてワッシャーの粘着力分布を評価した。
【0080】
具体的に、SUSプレートに実施例1及び比較例1のワッシャーをそれぞれ25mm幅で配置した後、100mm/minの速度で2kgのローラーを前記SUSプレート上のワッシャー上で2回往復させてから、ワッシャーが配置されたSUSプレートを常温で20分間保管して試片を製造した。その後、UTMを用いて180度の角度で前記ワッシャーをSUSプレートから脱着させており、この時の速度は300mm/minであった。ロードセル(Load cell)の荷重は250Nであった。平均粘着力は、30mmから90mm区間の粘着力を測定し、平均を出して導き出された。また、各試片別に32ポイントずつ数値を測定してCpk(Process Capability Index)を算出した。
【0081】
実験例2:粘着力維持時間の評価(粘着剤間の凝集力の評価)
SUSプレートに実施例1及び比較例1のワッシャーをそれぞれ25mm幅で配置した後、100mm/minの速度で2kgのローラーを前記SUSプレート上のワッシャー上で2回往復させてから、ワッシャーが配置されたSUSプレートを常温で20分間保管して試片を製造した。
【0082】
各試片に対して次のようにテストを進めた。1kgの振り子をクリップによってワッシャーに固定した後、内部温度80℃の反応炉に前記振り子が重力方向に向かうように設けた。その後、反応炉を開かないまま5分単位で前記試片を目視で観察して脱着有無を確認した。テストは最大60分まで進めた。
【0083】
【表1】
【0084】
表1によれば、有機溶媒と脂溶性指示薬を用いて製造された実施例1のワッシャーが、水系溶媒である水と水溶性指示薬を用いて製造された比較例1のワッシャーに比べて良好な粘着力及び粘着力分布(ワッシャーの各部分の粘着力が類似の程度)を示すことが分かる。また、実施例1が比較例1より粘着力維持時間が遥かに高いことが分かる。
【0085】
実験例3:二次電池の外観不良率(汚染度)の評価
実施例1及び比較例1それぞれのワッシャーを用いて二次電池を製造し、活性化(一部充電後放電)した後、2週間放置する過程で二次電池の外観不良率を評価した。
【0086】
具体的に、二次電池は、次のような方法で製造した。NiをメッキしたSPCE(冷延鋼板)を用いて上端キャップ及び円筒状缶を作製し、円筒状缶に電極組立体を取り付けた後、電解液を注液した。前記実施例1及び比較例1で準備したワッシャーを、それぞれキャップアセンブリーの上端キャップを囲みながらクリンピング部の上端に搭載及び接着することで、円筒状二次電池を製造した。その後、2週間二次電池を放置した。
【0087】
外観不良率は、200,000個のサンプルに対して確認し、全体サンプルに対する外観不良率を有するサンプルの数の割合で算出した。ここで、粘着成分がワッシャーの形態を脱して存在するか、または、ワッシャーが取り付けられる前の形態を維持できない場合を外観不良と判断した。例えば、図5に示されている通り、(a)の場合、不良でないワッシャーに該当し、(b)の場合、ワッシャー周辺に粘着成分が離脱された部分が現れるので、不良なワッシャーに該当する。
【0088】
【表2】
【0089】
表2によれば、実施例1のワッシャーを用いた場合、ワッシャー取り付け直後、活性化後、2週放置後の外観不良率がいずれも比較例1に比べて遥かに低いことが分かる。
【0090】
実験例4:実施例1のワッシャーの色相変化の観察
NiをメッキしたSPCE(冷延鋼板)を用いて、上端キャップ及び円筒状缶を作製し、円筒状缶に電極組立体を取り付けた後、電解液を注液した。前記実施例1のワッシャーを、キャップアセンブリーの上端キャップを囲みながらクリンピング部の上端に搭載及び接着することで、円筒状二次電池を製造した。電池の内部に30kgfの圧力をかけて電解液の漏液を発生させた後、ワッシャーの色相変化を確認した。図6に示されている通り、実施例1のワッシャーを用いた電池は、フィルム層を介してワッシャーの色相変化(最左側のワッシャーは電解液の漏液前の電池のワッシャーを示し、白黒の図面及び実際の写真上で薄い灰色である。次に、右側は、電解液が漏水しながらワッシャーの色相が変化したことを示し、白黒の図面上では濃い灰色であるが、実際に赤色から紫色を呈する)が感知されるので、目視で簡単に電解液の漏液を確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6