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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】光学積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220125BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220125BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2018113474
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019215471
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越野 哲史
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021975(JP,A)
【文献】特開2015-021976(JP,A)
【文献】特開2004-184673(JP,A)
【文献】特開2017-021323(JP,A)
【文献】特開2019-211771(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0086780(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶層、第1接着層、第2液晶層、第2接着層、及び、樹脂フィルムをこの順に含む光学積層体であって、
前記光学積層体の幅方向の少なくとも一方の端部を含む第1端部において、
前記光学積層体の幅方向断面における前記第1接着層の端部の位置は、前記第1液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にあり、
前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の端部の位置は、前記第1接着層の前記端部の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、前記第2液晶層の端部の位置よりも幅方向外側にあり、さらに、前記第1液晶層の前記端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、光学積層体。
【請求項2】
前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の前記端部の位置は、前記樹脂フィルムの端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の前記端部の位置は、前記樹脂フィルムの端部の位置よりも幅方向内側にある、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記第1端部において、さらに、前記第1液晶層の端部と前記樹脂フィルムの端部とは、前記第2接着層を介して貼合されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記第1端部は、前記光学積層体の幅方向の両端を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項6】
前記樹脂フィルムは、光学フィルムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、第1配向層を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、光学積層体用接着層を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第1液晶層と前記光学積層体用接着層との間に、第1配向層を含む、請求項8に記載の光学積層体。
【請求項10】
前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、第1基材層を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項11】
前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の端部の位置は、前記第1液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、請求項10に記載の光学積層体。
【請求項12】
前記第1液晶層と前記第1基材層との間に、第1配向層を含む、請求項10又は11に記載の光学積層体。
【請求項13】
前記第2液晶層と前記第2接着層との間に第2配向層を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項14】
前記第1液晶層は位相差層である、請求項1~13のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項15】
前記第2液晶層は位相差層である、請求項1~14のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項16】
第1基材層、第1’液晶層、第1接着層及び第2液晶層をこの順に有する液晶フィルムを準備する工程と、
樹脂フィルムを準備する工程と、
前記液晶フィルムの前記第2液晶層側に第2接着層を介して前記樹脂フィルムを貼合して基材層付き光学積層体を得る工程とを有し、
前記液晶フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を含む第1’端部において、
前記液晶フィルムの幅方向断面における前記第1接着層の端部の位置は、前記第1’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にあり、かつ、前記第2液晶層の端部の位置と同じであり、
前記基材層付き光学積層体は、前記第2接着層の端部の位置が、前記第1接着層の前記端部の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、前記第2液晶層の前記端部の位置よりも幅方向外側にある、光学積層体の製造方法。
【請求項17】
前記液晶フィルムを準備する工程は、
第1基材層及び第1’液晶層を含む第1積層部と、第2基材層及び第2’液晶層を含む第2積層部と、を準備する工程と、
前記第1積層部の前記第1’液晶層と、前記第2積層部の前記第2’液晶層とを、第1接着層を介して貼合して、液晶層積層体を得る工程と、
前記液晶層積層体から、前記第2基材層を含む第1剥離層を剥離することにより、前記第2’液晶層から前記第2液晶層を形成して前記液晶フィルムを得る工程とを有し、
前記液晶層積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、前記第1接着層の端部の位置が、前記第1’液晶層の端部よりも幅方向内側にあり、かつ、前記第2’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、請求項16に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項18】
前記基材層付き光学積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、さらに、前記第2接着層の端部の位置が、前記第1’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、請求項16又は17に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項19】
前記基材層付き光学積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、前記第2接着層の端部の位置が、前記樹脂フィルムの端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、請求項16~18のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項20】
前記第1’端部は、前記液晶フィルムの幅方向の両端を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項21】
さらに、前記基材層付き光学積層体から、前記第1基材層を含む第2剥離層を剥離する工程を有する、請求項16~20のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項22】
前記第2剥離層を剥離する工程により、第1’液晶層から第1液晶層を形成し、
前記第2剥離層剥離後の前記基材層付き光学積層体の幅方向断面における前記第1’端部において、前記第1液晶層の端部の位置は、前記第2接着層の端部の位置と同じである、請求項21に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項23】
前記樹脂フィルムは、光学フィルムである、請求項16~22のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や液晶表示装置等の表示装置では、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学異方性フィルムを含む部材が用いられている。このような光学異方性フィルムとして、配向処理を施した基材フィルム上に液晶化合物の層を形成したものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、配向基板フィルム上に形成された液晶高分子層を接着層を介して透光性基板フィルム上に転写することが記載されている。また、特許文献2には、液晶材料を用いて形成された1/2波長位相差層と1/4波長位相差層とを積層した積層体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-120620号公報
【文献】特開2015-25947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外観不良等を抑制した光学積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す光学積層体及びその製造方法を提供する。
〔1〕 第1液晶層、第1接着層、第2液晶層、第2接着層、及び、樹脂フィルムをこの順に含む光学積層体であって、
前記光学積層体の幅方向の少なくとも一方の端部を含む第1端部において、
前記光学積層体の幅方向断面における前記第1接着層の端部の位置は、前記第1液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にあり、
前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の端部の位置は、前記第1接着層の前記端部の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、前記第2液晶層の端部の位置よりも幅方向外側にある、光学積層体。
【0007】
〔2〕 前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の前記端部の位置は、前記第1液晶層の前記端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、〔1〕に記載の光学積層体。
【0008】
〔3〕 前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の前記端部の位置は、前記樹脂フィルムの端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
【0009】
〔4〕前記第1端部において、さらに、前記第1液晶層の端部と前記樹脂フィルムの端部とは、前記第2接着層を介して貼合されている、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0010】
〔5〕 前記第1端部は、前記光学積層体の幅方向の両端を含む、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0011】
〔6〕 前記樹脂フィルムは、光学フィルムである、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0012】
〔7〕 前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、第1配向層を含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0013】
〔8〕 前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、光学積層体用接着層を含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0014】
〔9〕 前記第1液晶層と前記光学積層体用接着層との間に、第1配向層を含む、〔8〕に記載の光学積層体。
【0015】
〔10〕 前記第1液晶層の前記第1接着層とは反対側に、第1基材層を含む、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0016】
〔11〕 前記第1端部において、さらに、前記光学積層体の幅方向断面における前記第2接着層の端部の位置は、前記第1液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、〔10〕に記載の光学積層体。
【0017】
〔12〕 前記第1液晶層と前記第1基材層との間に、第1配向層を含む、〔10〕又は〔11〕に記載の光学積層体。
【0018】
〔13〕 前記第2液晶層と前記第2接着層との間に第2配向層を含む、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0019】
〔14〕 前記第1液晶層は位相差層である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0020】
〔15〕 前記第2液晶層は位相差層である、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の光学積層体。
【0021】
〔16〕 第1基材層、第1’液晶層、第1接着層及び第2液晶層をこの順に有する液晶フィルムを準備する工程と、
樹脂フィルムを準備する工程と、
前記液晶フィルムの前記第2液晶層側に第2接着層を介して前記樹脂フィルムを貼合して基材層付き光学積層体を得る工程とを有し、
前記液晶フィルムの幅方向の少なくとも一方の端部を含む第1’端部において、
前記液晶フィルムの幅方向断面における前記第1接着層の端部の位置は、前記第1’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にあり、かつ、前記第2液晶層の端部の位置と同じであり、
前記基材層付き光学積層体は、前記第2接着層の端部の位置が、前記第1接着層の前記端部の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、前記第2液晶層の前記端部の位置よりも幅方向外側にある、光学積層体の製造方法。
【0022】
〔17〕 前記液晶フィルムを準備する工程は、
第1基材層及び第1’液晶層を含む第1積層部と、第2基材層及び第2’液晶層を含む第2積層部と、を準備する工程と、
前記第1積層部の前記第1’液晶層と、前記第2積層部の前記第2’液晶層とを、第1接着層を介して貼合して、液晶層積層体を得る工程と、
前記液晶層積層体から、前記第2基材層を含む第1剥離層を剥離することにより、前記第2’液晶層から前記第2液晶層を形成して前記液晶フィルムを得る工程とを有し、
前記液晶層積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、前記第1接着層の端部の位置が、前記第1’液晶層の端部よりも幅方向内側にあり、かつ、前記第2’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、〔16〕に記載の光学積層体の製造方法。
【0023】
〔18〕 前記基材層付き光学積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、さらに、前記第2接着層の端部の位置が、前記第1’液晶層の端部の位置よりも幅方向内側にある、〔17〕又は〔18〕に記載の光学積層体の製造方法。
【0024】
〔19〕 前記基材層付き光学積層体は、その幅方向断面における前記第1’端部において、前記第2接着層の端部の位置が、前記樹脂フィルムの端部の位置と同じか、それよりも幅方向内側にある、〔16〕~〔18〕のいずれかに記載の光学積層体の製造方法。
【0025】
〔20〕 前記第1’端部は、前記液晶フィルムの幅方向の両端を含む、〔16〕~〔19〕のいずれかに記載の光学積層体の製造方法。
【0026】
〔21〕 さらに、前記基材層付き光学積層体から、前記第1基材層を含む第2剥離層を剥離する工程を有する、〔16〕~〔20〕のいずれかに記載の光学積層体の製造方法。
【0027】
〔22〕 前記第2剥離層を剥離する工程により、第1’液晶層から第1液晶層を形成し、
前記第2剥離層剥離後の前記基材層付き光学積層体の幅方向断面における前記第1’端部において、前記第1液晶層の端部の位置は、前記第2接着層の端部の位置と同じである、〔21〕に記載の光学積層体の製造方法。
【0028】
〔23〕 前記樹脂フィルムは、光学フィルムである、〔16〕~〔22〕のいずれかに記載の光学積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、外観不良が抑制された光学積層体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の光学積層体の一例を模式的に示す概略断面図である。
図2】本発明の光学積層体の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図3】(a)~(d)は、本発明の光学積層体の製造工程の一例の一部を模式的に示す概略断面図である。
図4】(a)~(c)は、図3に示す光学積層体の製造工程の続きを模式的に示す概略断面図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明の前提となる光学積層体の製造工程の一例の一部を模式的に示す概略断面図である。
図6】(a)~(c)は、図5に示す光学積層体の製造工程の続きを模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の光学積層体及びその製造方法の好ましい実施形態の説明に先立ち、本発明の実施形態の前提について説明する。図5(a),(b)及び図6(a)~(c)は、後述する実施形態の前提となる光学積層体70pの製造工程を模式的に示す概略断面図である。図中、Wは幅方向を表す。なお、以下では、第1液晶層及び第2液晶層がそれぞれ第1位相差層及び第2位相差層であり、液晶フィルムが位相差フィルムである場合を例に挙げて説明する。
【0032】
光学積層体70pの製造方法では、図5(a)に示すように、第1基材層11p及び第1位相差層12pを含む第1積層部10pと、第2基材層21p及び第2位相差層22pを含む第2積層部20pとが、接着層30pを介して積層された位相差層積層体40pを用いることがある。この位相差層積層体40pから、図5(b)に示すように、第2基材層21pを剥離すると、剥離した第2基材層21pに、第2位相差層22pの一部が移行し、接着層30p上に第2位相差層22pが形成された位相差フィルム50pが得られる。これは、図5(a)に示す位相差層積層体40pが、第2位相差層22pの幅方向の両端に、接着層30pに固定されていない非固定領域(図5(a)中、右上がり斜線で示す部分)を有しており、第2基材層21pの剥離により、第2位相差層22pが、接着層30pに固定された領域である第2位相差層22pと第2基材層21pに移行する非固定領域とに分離するためである。
【0033】
次に、上記で得られた位相差フィルム50p(図5(b)及び図6(a))と、光学フィルム60pとを準備し、図6(b)に示すように、位相差フィルム50pの第2位相差層22p上に、光学フィルム用接着層62pを介して光学フィルム60pを積層して基材層付き光学積層体71pを得る。その後、基材層付き光学積層体71pに含まれる第1基材層11pを剥離すると、剥離した第1基材層11pに第1位相差層12pの一部が移行し、接着層30pの第2位相差層22pとは反対側に第1位相差層12pが形成された光学積層体70p(図6(c))が得られる。これは、図6(b)に示す位相差フィルム50pが、第1位相差層12pの幅方向両端に、接着層30pに固定されていない非固定領域(図6(b)中、右上がり斜線で示す部分)を有しており、第1基材層11pの剥離により、第1位相差層12pが、接着層30pに固定された領域である第1位相差層12pと第1基材層11pに移行する非固定領域とに分離するためである。
【0034】
ところで、光学積層体70pの製造方法では、接着層30pの幅方向両端や光学フィルム用接着層62pの幅方向両端のそれぞれよりも幅方向外側の領域は、接着層30pや光学フィルム用接着層62pを介して他の層に直接接着していないため、他の層に直接接着している場合に比較して変形しやすい。そのため、これらの領域が幅方向に長く存在するほど、光学積層体70pの製造時等に折れ曲がりや反り返りといった変形が発生しやすい傾向にある。特に、図6(b)に示すように、基材層付き光学積層体71pにおける光学フィルム用接着層62pの幅方向両端が、第2位相差層22pの幅方向両端よりも幅方向内側にある場合には、上記した領域が幅方向に比較的長くなるため、これらの領域に折れ曲がりや反り返り等の変形が発生しやすい。このような変形は、基材層付き光学積層体71pや光学積層体70pの外観不良となることがあり、変形部分を有する基材層付き光学積層体71pをロール状に巻取ると、ロールの端部が耳高になる等の不具合を引き起こすことがある。さらに、上記した領域が変形することにより、基材層付き光学積層体71pの搬送を不安定化することもある。
【0035】
そこで、以下の実施形態では、幅方向の端部の領域における折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制することにより、光学積層体やロール状に巻取った光学積層体の外観不良を抑制し、光学積層体の搬送不良を抑制することができる光学積層体及びその製造方法について説明する。
【0036】
以下、図面を参照して本発明の光学積層体及びその製造方法の好ましい実施形態について説明する。なお、以下では、第1液晶層及び第2液晶層がそれぞれ第1位相差層及び第2位相差層であり、液晶フィルムが位相差フィルムである場合を例に挙げて説明する。
【0037】
[第1の実施形態(光学積層体)]
図1は、本実施形態の光学積層体を模式的に示す概略断面図である。図中、Wは幅方向を表す。本実施形態の光学積層体70aは、
第1位相差層12a(第1液晶層)、接着層30a(第1接着層)、第2位相差層22a(第2液晶層)、光学フィルム用接着層62a(第2接着層)、及び、光学フィルム60a(樹脂フィルム)をこの順に含む光学積層体70aであって、
光学積層体70aの幅方向両端を含む第1端部において、
光学積層体70aの幅方向断面における接着層30aの幅方向両端の位置は、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあり、
光学積層体70aの幅方向断面における光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置は、接着層30aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある。
【0038】
光学積層体70aの幅方向Wの両端にある端部である第1端部において、光学積層体70aの幅方向断面における光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置は、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じであってもよく、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側であってもよい。また、第1端部において、第1位相差層12aの幅方向両端と光学フィルム60aの幅方向両端とは、光学フィルム用接着層62aを介して貼合されていてもよい。
【0039】
以下、図面に基づいて具体的に説明する。図1に示す光学積層体70aは、図1に示すように、第1位相差層12a、接着層30a、第2位相差層22a、光学フィルム用接着層62a、及び、光学フィルム60aをこの順に含むことができる。
【0040】
光学積層体70aは、その幅方向両端である第1端部において、図1に示すように、接着層30aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にある。光学積層体70aの幅方向断面において、接着層30aの幅方向両端の位置から、第1位相差層12aの幅方向両端の位置までの幅方向の距離はそれぞれ、通常0.3cm以上であり、0.5cm以上であってもよく、1.0cm以上であってもよく、また、通常20cm以下であり、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。この距離は、光学積層体70aの幅方向両端において互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0041】
光学積層体70aは、その幅方向両端である第1端部において、図1に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、接着層30a及び第2位相差層22aそれぞれの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある。また、光学積層体70aでは、第1端部において、図1に示すように、接着層30aの幅方向両端の位置と第2位相差層22aの幅方向両端の位置とは同じとなっていることが好ましい。光学積層体70aの幅方向断面において、接着層30a及び第2位相差層22aそれぞれの幅方向両端の位置から、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置までの幅方向の距離はそれぞれ、通常0.3cm以上であり、0.5cm以上であってもよく、1.0cm以上であってもよく、また、通常20cm以下であり、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。この距離は、光学積層体70aの幅方向両端において互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0042】
光学積層体70aでは、その幅方向両端である第1端部において、図1に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置を、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じとすることができる。
【0043】
光学積層体70aでは、その幅方向両端である第1端部において、図1に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置を、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側とすることができる。光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置から、光学フィルム60aの幅方向両端の位置までの幅方向の距離はそれぞれ、通常0.3cm以上であり、0.5cm以上であってもよく、1.0cm以上であってもよく、また、通常20cm以下であり、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。この距離は、光学積層体70aの幅方向両端において互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0044】
光学積層体70aでは、その幅方向断面において、接着層30aの幅方向両端の位置は、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあり、また、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、接着層30a及び第2位相差層22aそれぞれの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある。そのため、図1に示すように、光学積層体70aの第1端部では、光学フィルム用接着層62aと第1位相差層12aとを貼合することができる。なお、図1に示す光学積層体70aでは、第1位相差層12aの幅方向両端と光学フィルム用接着層62aの幅方向両端とが離間した状態を示しているが、光学積層体70aをなす各層は非常に薄いため、接着層30a及び第2位相差層22aそれぞれの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある光学フィルム用接着層62aの幅方向両端と第1位相差層22aの幅方向両端とは接着しやすい状態にある。
【0045】
また、図1に示す光学積層体70aでは、光学フィルム用接着層62aを介して、光学フィルム60aと第1位相差層12aとを積層することもできる。これにより、後述する光学積層体70aの製造する際に得られる基材層付き光学積層体71a(図2図4(b))において、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端よりも幅方向外側に存在する領域の長さを、上記した図6(b)に示す基材層付き光学積層体71pにおける上記に対応する領域の長さよりも幅方向に相対的に短くすることができる。これにより、基材層付き光学積層体71aにおける光学フィルム用接着層62aの幅方向両端よりも幅方向外側に存在する領域での折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制して、光学積層体70aの外観不良を抑制することができる。
【0046】
さらに、上記したように、図1に示す光学積層体70aでは、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置は、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側であり、かつ、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じとなっている。そのため、光学積層体70aを搬送する際に、光学フィルム用接着層62aが幅方向外側にはみ出すことを抑制することができるため、搬送路上に光学フィルム用接着層62aの一部が付着して搬送路を汚染することを抑制することができる。
【0047】
本実施形態の光学積層体は、以下に示す変形例のように変更されてもよい。また、上記した実施形態及び下記に示す変形例を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
(第1の実施形態の変形例1)
上記で説明した光学積層体70aでは、第1位相差層12a、接着層30a、第2位相差層22a、光学フィルム用接着層62a、及び、光学フィルム60aをこの順に含む場合を例に挙げて説明したが、第1位相差層の接着層とは反対側に、第1基材層を含むものであってもよい。以下では、第1基材層を含む光学積層体を特に「基材層付き光学積層体」ということがある。
【0049】
図2は、基材層付き光学積層体71a(光学積層体)の一例を示す概略断面図である。以下では、図1に示す光学積層体70aをなす部材と同じ部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。基材層付き光学積層体71aは、第1基材層11a、第1位相差層12a、接着層30a(第1接着層)、第2位相差層22a、光学フィルム用接着層62a(第2接着層)、及び、光学フィルム60a(樹脂フィルム)をこの順に含む。
【0050】
基材層付き光学積層体71aは、その幅方向両端である第1端部において、図2に示すように、接着層30aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にある。基材層付き光学積層体71aの幅方向断面において、接着層30aの幅方向両端の位置から、第1位相差層12aの幅方向両端の位置までの幅方向の距離はそれぞれ、通常0.5cm以上であり、0.7cm以上であってもよく、1.0cm以上であってもよく、また、通常20cm以下であり、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。この距離は、第1位相差層12aの幅方向両端において互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0051】
基材層付き光学積層体71aは、その幅方向両端である第1端部において、図2に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置を、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じか、それよりも幅方向内側とすることが好ましい。光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも外側にある場合、光学フィルム用接着層62aが第1基材層11aに貼合され、後述する光学積層体の製造方法において、第1基材層11aを剥離することが困難となる。
【0052】
基材層付き光学積層体71aは、その幅方向両端である第1端部において、図2に示すように、第1基材層11aの幅方向両端の位置を、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側とすることが好ましい。第1位相差層12aの幅方向両端の位置から、第1基材層11aの幅方向両端の位置までの幅方向の距離はそれぞれ、通常0.3cm以上であり、0.5cm以上であってもよく、1.0cm以上であってもよく、また、通常20cm以下であり、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。この距離は、基材層付き光学積層体71aの幅方向両端において互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0053】
図2に示す基材層付き光学積層体71aでは、接着層30aの幅方向両端の位置は、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあり、また、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、接着層30a及び第2位相差層22aそれぞれの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある。そのため、図2に示すように、基材層付き光学積層体71aの第1端部では、光学フィルム用接着層62aと第1位相差層12aとを貼合することができる。また、図2に示す基材層付き光学積層体71aでは、光学フィルム用接着層62aを介して、光学フィルム60aと第1位相差層12aとを貼合することもできる。これにより、基材層付き光学積層体71aにおいて、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端よりも幅方向外側に存在する領域の長さを、上記した図6(b)に示す基材層付き光学積層体71pにおける上記に対応する領域の長さよりも幅方向に相対的に短くすることができる。これにより、基材層付き光学積層体71aにおける光学フィルム用接着層62aの幅方向両端よりも幅方向外側に存在する領域での折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制することができる。
【0054】
また、上記したように、図2に示す基材層付き光学積層体71aでは、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置は、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側であり、かつ、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じか、それよりも幅方向内側となっている。そのため、基材層付き光学積層体71aを搬送する際に、光学フィルム用接着層62aが幅方向外側にはみ出すことを抑制することができるため、搬送路上に光学フィルム用接着層62aの一部が付着して搬送路を汚染することを抑制することができる。
【0055】
(第1の実施形態の変形例2)
上記で説明した光学積層体70aでは、第1端部が光学積層体70aの幅方向両端である場合を例に挙げて説明したが、第1端部は、光学積層体70aの幅方向の一方の端部であってもよい。この場合、この一方の端部において、光学積層体を得るための基材層付き光学積層体の折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制して、光学積層体の外観不良を抑制することができる。
【0056】
(第1の実施形態の変形例3)
上記で説明した光学積層体70aでは、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側である場合を例に挙げて説明したが、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置と、光学フィルム60aの幅方向両端の位置とは同じであってもよい。これによっても、光学積層体70aを搬送する際に、光学フィルム用接着層62aが幅方向外側にはみ出すことを抑制することができるため、搬送路上に光学フィルム用接着層62aの一部が付着して搬送路を汚染することを抑制することができる。
【0057】
(第1の実施形態の変形例4)
上記で説明した光学積層体70aでは、光学フィルム用接着層62a及び光学フィルム60aを有する場合を例に挙げて説明したが、光学フィルム用接着層62a及び光学フィルム60aに代えて、光学フィルム用接着層62a及びこれを保護する剥離フィルム(樹脂フィルム)や、後述する光学積層体用接着層及びこれを保護する剥離フィルム(樹脂フィルム)を有するものであってもよい。剥離フィルムは、その剥離処理面に光学フィルム用接着層62a又は光学積層体用接着層を設けて、この光学フィルム用接着層62a又は光学積層体用接着層を第2位相差層22aに転写した後に剥離することができる。剥離フィルムを剥離して露出した光学フィルム用接着層62a上には、光学フィルム60aを積層することができる。また、剥離フィルムを剥離して露出した光学積層体用接着層は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の表示パネルに貼合する際に用いることができる。
【0058】
(第1の実施形態の変形例5)
上記で説明した光学積層体70aの第1位相差層12aの接着層30aとは反対側に、光学積層体用接着層を設けてもよい。光学積層体用接着層は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の表示パネルに貼合する際に用いることができる。なお、第2位相差層22a上に光学積層体用接着層を設ける場合には、第1位相差層12aの接着層30aとは反対側に、光学フィルム用接着層を介して光学フィルムを設けることができる。
【0059】
[第2の実施形態(光学積層体の製造方法)]
図3(a)~(d)は、本実施形態の光学積層体の製造工程の一例の一部を模式的に示す概略断面図である。図4(a)~(c)は、図3に示す光学積層体の製造工程の続きを模式的に示す概略図である。図中、Wは幅方向を表す。
【0060】
光学積層体70aの製造方法は、
第1基材層11a、第1位相差層12a(第1’液晶層)、接着層30a(第1接着層)及び第2位相差層22a(第2液晶層)をこの順に有する位相差フィルム50a(液晶フィルム)を準備する工程と(図4(a))、
光学フィルム60a(樹脂フィルム)を準備する工程と(図4(a))、
位相差フィルム50aの第2位相差層22a側に光学フィルム用接着層62a(第2接着層)を介して光学フィルム60aを貼合して基材層付き光学積層体71aを得る工程とを有する(図4(b))。
【0061】
ここで、図4(a)に示すように、位相差フィルム50aの幅方向両端を含む第1’端部において、
位相差フィルム50aの幅方向断面における接着層30aの幅方向両端の位置は、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置と同じであり、
図4(b)に示すように、基材層付き光学積層体71aは、その幅方向断面において、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、接着層30aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にある。
【0062】
また、光学積層体70aの製造方法は、位相差フィルム50aを準備する工程が、
第1基材層11a及び第1位相差層12aを含む第1積層部10aと、第2基材層21a及び第2位相差層22a(第2’液晶層)を含む第2積層部20aと、を準備する工程と(図3(a)及び(b))、
第1積層部10aの第1位相差層12aと、第2積層部20aの第2位相差層22aとを、接着層30aを介して貼合して、位相差層積層体40a(液晶層積層体)を得る工程と(図3(c))、
位相差層積層体40aから、第2基材層21aを含む第1剥離層を剥離することにより、第2位相差層22aから第2位相差層22aを形成して位相差フィルム50aを得る工程とを有し(図3(d))、
位相差層積層体40aは、図3(c)に示すように、その幅方向両端(第1’端部)において、接着層30aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端よりも幅方向内側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあってもよい。
【0063】
基材層付き光学積層体71aは、その幅方向両端(第1’端部)において、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあってもよく、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあってもよい。また、基材層付き光学積層体71aは、その幅方向両端(第1’端部)において、第1位相差層12aの幅方向両端と光学フィルム60aの幅方向両端とは、光学フィルム用接着層62aを介して貼合されていてもよい。
【0064】
また、光学積層体70aの製造方法は、基材層付き光学積層体71aから、第1基材層11aを含む第2剥離層を剥離する工程を有していてもよい(図4(c))。基材層付き光学積層体71aから第2剥離層を剥離して得られる光学積層体70aは、第1位相差層12aを有し、この第1位相差層12aの幅方向両端の位置は、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置と同じとすることができる。
【0065】
さらに、光学積層体70aの製造方法は、光学積層体70aの第1位相差層12a上に、光学積層体用接着層を形成する工程を有していてもよい。
【0066】
以下、図面に基づいて具体的に説明する。本実施形態では、先の実施形態で説明した図1に示す光学積層体70a及び図2に示す基材層付き光学積層体71aの製造方法について説明する。図4(b)に示す光学積層体71aは、図2に示す基材層付き光学積層体71aと同じであり、図4(c)に示す光学積層体70aは、図1に示す光学積層体70aと同じである。そのため、以下では、図1に示す光学積層体70a、図2に示す基材層付き光学積層体71a及びこれらをなす部材と同じ部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
光学積層体71aの製造方法では、まず、図3(a)に示すように第1基材層11a及び第1位相差層12aを含む第1積層部10aと、図3(b)に示すように第2基材層21aと第2位相差層22aを含む第2積層部20aとを準備する。第1積層部10a及び第2積層部20aは長尺のフィルム状物であり、第1積層部10a及び第2積層部20aを連続的に搬送しながら、後述する工程が行われる。幅方向Wは、フィルム状物の長さ方向に直交する方向である。
【0068】
続いて、第1積層部10aの第1位相差層12aと、第2積層部20aの第2位相差層22aとを、接着層30aを介して積層して、図3(c)に示す位相差層積層体40aを得る。その後、位相差層積層体40aから、第2基材層21a(第1剥離層)を剥離することにより、図3(d)に示す位相差フィルム50aを得る。
【0069】
第1積層部10aは、その幅方向断面において、図3(a)に示すように、第1基材層11aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも外側にある場合を示しているが、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と同じであってもよい。また、第2積層部20aは、その幅方向断面において、図3(b)に示すように、第2基材層21aの幅方向両端の位置が、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも外側にある場合を示しているが、第2位相差層22aの幅方向両端の位置と同じであってもよい。
【0070】
位相差層積層体40aは、その幅方向断面において、図3(c)に示すように、接着層30aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にある。接着層30aの幅方向両端の位置は特に限定されないが、例えば、第1位相差層12a又は第2位相差層22aの幅方向の端部の位置から幅方向内側に0.2cm以上の領域とすることができ、0.5cm以上の領域としてもよく、1.0cm以上の領域であってもよく、また、通常20cm以下の領域であり、15cm以下の領域であることが好ましい。
【0071】
位相差フィルム50aは、位相差層積層体40aから、第2基材層21a(第1剥離層)を剥離して得ることができる。位相差フィルム50aは、その幅方向断面において、図3(d)に示すように、第1基材層11a、第1位相差層12a、接着層30a及び第2位相差層22aを有する。位相差フィルム50aでは、その幅方向断面において、接着層30aの幅方向両端の位置が第2位相差層22aの幅方向両端の位置と同じとなっている。
【0072】
図3(c)に示す位相差層積層体40aから第2基材層21aを剥離すると、図3(d)に示すように、剥離した第2基材層21aに、第2位相差層22aの一部が移行しやすい。これは、図3(c)に示す位相差層積層体40aでは、その幅方向断面において、第2位相差層22aの幅方向両端の位置が接着層30aの幅方向両端の位置よりも外側にあり、第2位相差層22aが接着層30aに固定されていない非固定領域(図3(c)中、右上がり斜線で示す部分)を有しているためである。したがって、位相差層積層体40aから第2基材層21aを剥離すると、図3(c)に示す第2位相差層22aは、接着層30aに固定された領域(図3(d)に示す第2位相差層22a)と、第2基材層21aに移行する非固定領域(図3(c)及び(d)中、右上がり斜線で示す部分)とに分離し、図3(d)に示すように、幅方向断面において、第2位相差層22aの幅方向両端の位置と、接着層30aの幅方向両端の位置とが同じである位相差フィルム50aを得ることができる。
【0073】
次に、図4(a)に示すように、上記の工程で得られた位相差フィルム50aと、光学フィルム60aとを準備する。位相差フィルム50a及び光学フィルム60aは、長尺のフィルム状物であり、位相差フィルム50a及び光学フィルム60aを連続的に搬送しながら、後述する工程が行われる。
【0074】
図4(b)に示すように、光学フィルム60aを、光学フィルム用接着層62aを介して、位相差フィルム50aの第2位相差層22aに積層することにより、先の実施形態でも説明した基材層付き光学積層体71a(光学積層体)を得ることができる。このとき、光学フィルム60a上に光学フィルム用接着層62aを設けておき、この光学フィルム用接着層62aと位相差フィルム50aの第2位相差層22aとを貼合してもよく、位相差フィルム50aの第2位相差層22a上に光学フィルム用接着層62aを設けておき、この光学フィルム用接着層62aと光学フィルム60aとを貼合してもよい。
【0075】
基材層付き光学積層体71aは、その幅方向断面において、図4(b)に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、接着層30aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端の位置よりも幅方向外側にあり、さらに、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にある。そのため、基材層付き光学積層体71aの幅方向両端(第1’端部)では、光学フィルム用接着層62aと第1位相差層12aとを貼合することができ、光学フィルム用接着層62aを介して、光学フィルム60aと第1位相差層12aとを積層することもできる。これにより、光学積層体70aの製造方法において、基材層付き光学積層体71aにおける光学フィルム用接着層62aの幅方向両端よりも幅方向外側に存在する領域での折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制することができる。その結果、光学積層体70aの製造方法で得られる光学積層体70aの外観不良も抑制することができる。
【0076】
上記にて得られた基材層付き光学積層体71aから、第1基材層11a(第2剥離層)を剥離することにより、先の実施形態でも説明した光学積層体70aを得ることができる(図4(c))。基材層付き光学積層体71aでは、図4(b)に示すように、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側にある。そのため、光学フィルム用接着層62aが第1基材層11aに貼合されていないため、第1基材層11aを容易に剥離することができる。このようにして得られた光学積層体70aは、図4(c)に示すように、第1位相差層12a、接着層30a、第2位相差層22a、光学フィルム用接着層62a、及び光学フィルム60aがこの順に積層されている。
【0077】
図4(b)に示す基材層付き光学積層体71aから第1基材層11aを剥離すると、図4(c)に示すように、剥離した第1基材層11aに、第1位相差層12aの一部が移行しやすい。これは、図4(b)に示す基材層付き光学積層体71aでは、その幅方向断面において、第1位相差層12aの幅方向両端の位置が光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置よりも外側にあり、第1位相差層12aが光学フィルム用接着層62aに固定されていない非固定領域(図4(b)中、右上がり斜線で示す部分)を有しているためである。なお、図4(b)に示す基材層付き光学積層体71aでは、第1位相差層12aの幅方向両端と光学フィルム用接着層62aの幅方向両端とが離間した状態を示しているが、基材層付き光学積層体71aをなす各層は非常に薄いため、実際には、第1位相差層12aの幅方向両端と光学フィルム用接着層62aの幅方向両端とが接着した状態にある。
【0078】
したがって、基材層付き光学積層体71aから第1基材層11aを剥離すると、図4(b)に示す第1位相差層12aは、光学フィルム用接着層62aに固定された領域(図4(c)に示す第1位相差層12a)と、第1基材層11aに移行する非固定領域(図4(b)及び(c)中、右上がり斜線で示す部分)とに分離し、図4(c)に示すように、幅方向断面において、第1位相差層12aの幅方向両端の位置と、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置とが同じである光学積層体70aを得ることができる。
【0079】
光学積層体70aの製造方法は、第1基材層11aを剥離することによって露出した第1位相差層12a上に、図示しない光学積層体用接着層を形成する工程を有していてもよい。光学積層体用接着層は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の表示パネルに貼合する際に用いることができる。
【0080】
本実施形態の光学積層体の製造方法は、以下に示す変形例のように変更されてもよい。また、上記した実施形態及び下記に示す変形例を任意に組み合わせてもよい。
【0081】
(第2の実施形態の変形例1)
上記で説明した光学積層体70aの製造方法では、位相差フィルム50aを製造する工程についても説明したが、位相差フィルム50aの製造工程はこれに限定されない。この場合、例えば図4(a)に示す位相差フィルム50aのように、位相差フィルム50aの幅方向断面において、接着層30aの幅方向両端の位置が、第1位相差層12aよりも幅方向内側にあり、かつ、第2位相差層22aの幅方向両端部の位置と同じである位相差フィルムを準備し、この位相差フィルムを用いて光学積層体を製造すればよい。
【0082】
(第2の実施形態の変形例2)
上記で説明した光学積層体70aの製造方法では、位相差層積層体40a(図3(c))、位相差フィルム50a(図3(d))、基材層付き光学積層体71a(図4(b))、及び光学積層体70a(図4(c))それぞれの幅方向両端における、各層の位置関係について説明したが、幅方向の一方の端部(第1’端部)が上記した位置関係にあってもよい。この場合、位相差層積層体40a、位相差フィルム50a、基材層付き光学積層体71a、及び光学積層体70aのそれぞれにおける幅方向の同じ側の一方の端部において、各層の位置関係を上記した関係とすることができる。そして、この一方の端部において、光学積層体を得るための基材層付き光学積層体の折れ曲がりや反り返り等の変形を抑制して、光学積層体の外観不良を抑制することができ、基材層付き光学積層体の搬送の不安定化を抑制することもできる。
【0083】
(第2の実施形態の変形例3)
上記で説明した光学積層体70aの製造方法では、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置が、光学フィルム60aの幅方向両端の位置よりも幅方向内側である場合を例に挙げて説明したが、光学フィルム用接着層62aの幅方向両端の位置と、光学フィルム60aの幅方向両端の位置とは同じであってもよい。これによっても、光学積層体70aを搬送する際に、光学フィルム用接着層62aが幅方向外側にはみ出すことを抑制することができるため、搬送路上に光学フィルム用接着層62aの一部が付着して搬送路を汚染することを抑制することができる。
【0084】
(第2の実施形態の変形例4)
上記で説明した光学積層体70aの製造方法では、光学フィルム用接着層62a及び光学フィルム60aを用いる場合を例に挙げて説明したが、光学フィルム用接着層62a及び光学フィルム60aに代えて、光学フィルム用接着層62a及びこれを保護する剥離フィルム(樹脂フィルム)や、光学積層体用接着層及びこれを保護する剥離フィルム(樹脂フィルム)を用いてもよい。光学フィルム用接着層62aを保護する剥離フィルムを用いる場合、光学積層体の製造方法は、さらに、
剥離フィルムの剥離処理面に光学フィルム用接着層62aを設ける工程と、
光学フィルム用接着層62aが設けられた剥離フィルムを、光学フィルム用接着層62a側が第2位相差層22aに対向するようにして、位相差フィルム50aに積層する工程と、
剥離フィルムを剥離して、位相差フィルム50aの第2位相差層22a上に光学フィルム用接着層62aを転写する工程と、
光学フィルム用接着層62aの第2位相差層22aとは反対側に光学フィルム60aを積層する工程とを有し、これにより基材層付き光学積層体を得ることができる。
【0085】
また、光学積層体用接着層を保護する剥離フィルムを用いる場合は、光学積層体の製造方法は、剥離フィルムの剥離処理面に光学積層体用接着層を設ける工程と、光学積層体用接着層が設けられた剥離フィルムを、光学積層体用接着層側が第2位相差層22aに対向するようにして、位相差フィルム50aに積層する工程と、を有することができる。この場合、第1基材層11aを剥離することによって露出した第1位相差層12a上に、光学フィルム用接着層を介して光学フィルムを設けることができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及びその変形例に限定されることはなく、例えば、上記の各実施形態及びその変形例の各構造及び各工程を組合わせて実施することもできる。以下、全ての実施形態及びその変形例において共通する各事項について詳細に説明する。
【0087】
(第1基材層及び第2基材層)
第1基材層及び第2基材層は、これらの基材層上に形成される後述する第1配向層及び第2配向層、並びに、第1液晶及び第2液晶層を支持する支持層としての機能を有する。第1基材層及び第2基材層は、樹脂材料で形成されたフィルムであることが好ましい。
【0088】
樹脂材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる樹脂材料が用いられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。これらの樹脂のうち、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂のいずれか又はこれらの混合物を用いることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0089】
第1基材層及び第2基材層は、樹脂1種類又は2種以上を混合した単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。多層構造を有する場合、各層をなす樹脂は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0090】
樹脂材料で形成されたフィルムをなす樹脂材料には、任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。
【0091】
第1基材層及び第2基材層の厚さは、特に限定されないが、一般には強度や取扱い性等の作業性の点から1~500μmであることが好ましく、1~300μmであることがより好ましく、5~200μmであることがさらに好ましい。
【0092】
第1積層部が後述する第1配向層を有する場合や、第2積層部が後述する第2配向層を有する場合、第1基材層と第1配向層との密着性、及び、第2基材層と第2配向層との密着性を向上させるために、少なくとも第1基材層の第1配向層が形成される側の表面、及び、少なくとも第2基材層の第2配向層が形成される側の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよく、プライマー層等を形成してもよい。また、第1配向層及び第2配向層を形成するために用いる配向層形成用の組成物の成分や、第1液晶層及び第2液晶層を形成するために用いる液晶層形成用の組成物の成分を調整することによって、上記の密着性を調整してもよい。
【0093】
(第1配向層及び第2配向層)
第1積層部は、第1基材層と第1液晶層との間に第1配向層を含んでいてもよい。また、第2積層部は、第2基材層と第2液晶層との間に第2配向層を含んでいてもよい。
【0094】
第1配向層及び第2配向層は、これらの配向層上に形成される第1液晶層及び第2液晶層に含まれる液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有する。第1配向層及び第2配向層としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができ、第1配向層と第2配向層とは、同じ種類の層であってもよく、異なる種類の層であってもよい。第1配向層及び第2配向層の厚みは、通常10~500nmであり、10~200nmであることが好ましい。
【0095】
配向性ポリマー層は、配向性ポリマーを溶剤に溶解した組成物を基材層(第1基材層又は第2基材層)に塗布して溶剤を除去し、必要に応じてラビング処理をして形成することができる。この場合、配向規制力は、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層では、配向性ポリマーの表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能である。
【0096】
光配向性ポリマー層は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物を基材層(第1基材層又は第2基材層)に塗布し、偏光を照射することによって形成することができる。この場合、配向規制力は、光配向性ポリマー層では、光配向性ポリマーに対する偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
【0097】
グルブ配向層は、例えば感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光、現像等を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層を基材層(第1基材層又は第2基材層)に転写して硬化する方法、基材層(第1基材層又は第2基材層)に活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層に、凹凸を有するロール状の原盤を押し当てる等により凹凸を形成して硬化させる方法等によって形成することができる。
【0098】
上記で説明した第1剥離層及び第2剥離層には、第1配向層及び第2配向層が含まれていてもよい。すなわち、第1剥離層が第2基材層を含む場合、第1剥離層は、第2配向層を含んでいてもよい。同様に、第2剥離層が第1基材層を含む場合、第2剥離層は、第1配向層を含んでいてもよい。第1剥離層が第1基材層を含む場合、第2基材層が第2基材層を含む場合についても、同様である。また、第1剥離層が第1配向層又は第2配向層を含んでいない場合、第1剥離層の剥離後において、第1配向層又は第2配向層はそれぞれ第1液晶層上又は第2液晶層上に残存することができる。同様に、第2剥離層が第1配向層又は第2配向層を含んでいない場合、第2剥離層剥離後において、第1配向層又は第2配向層はそれぞれ第1液晶層上又は第2液晶層上に残存することができる。なお、第1剥離層及び第2剥離層に含まれる層は、各層間の密着力の関係を調整することによって設定することができ、例えば、第1基材層及び第2基材層に対して行われる、上記したコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層、配向層形成用の組成物の成分、液晶層形成用の組成物の成分等等によって調整することができる。
【0099】
第1液晶層上に第1配向層が残存した場合、又は、第2液晶層上に第2配向層が残存した場合、光学積層体用接着層は第1配向層上又は第2配向層上に設けることができる。また、第2液晶層上に第2配向層が残存した場合、又は、第1液晶層上に第1配向層が残存した場合、光学フィルム用接着層は第2配向層上又は第1配向層上に設けることができる。
【0100】
(第1液晶層及び第2液晶層)
第1液晶層及び第2液晶層は、公知の液晶化合物を用いて形成することができる。液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。また、液晶化合物は、高分子液晶化合物であってもよく、重合性液晶化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。例えば、重合性液晶化合物を用いる場合には、重合性液晶化合物を含む組成物を、配向層(第1配向層又は第2配向層)上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって、液晶硬化層である第1液晶層や第2液晶層を形成することができる。あるいは、基材層(第1基材層又は第2基材層)上に液晶化合物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を基材層とともに延伸することによって、液晶層(第1液晶層又は第2液晶層)を形成してもよい。
【0101】
第1液晶層及び第2液晶層は、例えばそれぞれ第1位相差層及び第2位相差層であってもよい。第1位相差層及び第2位相差層は、光に所定の位相差を与えるものであれば特に限定されず、例えば、1/2波長板、1/4波長板、ポジティブCプレート、逆波長分散性の1/4波長板等として機能するものを挙げることができる。
【0102】
本実施形態の光学積層体において光学フィルムが偏光フィルムである場合、本実施形態の光学積層体は、複合偏光板として用いることができる。複合偏光板が円偏光板を構成する場合には、複合偏光板の層構造は、偏光層(直線偏光層)、1/2波長板、1/4波長板の順に積層された構造、又は、偏光層(直線偏光層)、逆波長分散性の1/4波長板、ポジティブCプレートの順に積層された構造となるように、第1液晶層及び第2液晶層(第1位相差層及び第2位相差層)をなす液晶層の種類を選定することが好ましい。
【0103】
(液晶フィルム)
液晶フィルムは、第1液晶層及び第2液晶層を含むものであり、例えば、第1液晶層及び第2液晶層が、それぞれ第1位相差層及び第2位相差層である場合には、位相差フィルムとなり得る。
【0104】
(樹脂フィルム)
樹脂フィルムとしては、光学フィルムや、粘着剤層を保護する剥離フィルム(セパレータ)を挙げることができる。光学フィルムとしては、偏光フィルム、反射フィルム、半透過型反射フィルム、輝度向上フィルム、光学補償フィルム、防眩機能付きフィルム等を挙げることができる。また、上記した位相差フィルム(液晶フィルム)と同様の構造を有するものであってもよい。剥離フィルムとしては、基材フィルム表面にシリコーン処理等の離型処理が施されたフィルムを挙げることができる。基材フィルムをなす樹脂材料としては、上記した第1基材層及び第2基材層をなす樹脂材料と同様のものを挙げることができる。樹脂フィルムは1層構造であってもよく、2層以上の多層構造の多層樹脂フィルムであってもよい。
【0105】
(接着層)
接着層は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができ、通常1層であるが、2層以上であってもよい。接着層が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0106】
接着剤としては、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤等のうち1又は2種以上を組み合せて形成することができる。水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
【0107】
粘着剤としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物等の架橋剤を加えた組成物を挙げることができる。
【0108】
接着層は、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて形成されることが好ましく、特に、紫外線硬化性のエポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含む接着剤を用いて形成されることが好ましい。
【0109】
(光学フィルム用接着層)
光学フィルム用接着層は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができる。光学フィルム用接着層は、通常1層であるが、2層以上の層で形成されていてもよい。光学フィルム用接着層が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0110】
光学フィルム用接着層をなす接着剤及び粘着剤としては、上記接着層に用いられる接着剤及び粘着剤の例と同様のものを挙げることができる。光学フィルム用接着層としては、粘着剤を用いることが好ましい。
【0111】
(光学積層体用接着層)
光学積層体用接着層は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができる。光学積層体用接着層は、通常1層であるが、2層以上の層で形成されていてもよい。光学積層体用接着層が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0112】
光学積層体用接着層をなす接着剤及び粘着剤としては、上記接着層に用いられる接着剤及び粘着剤の例と同様のものを挙げることができる。光学フィルム用接着層としては、粘着剤を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0113】
10a 第1積層部、11a,11p 第1基材層、12a,12a,12p 第1位相差層(第1液晶層)、20a 第2積層部、21a,21p 第2基材層、22a,22a,22p 第2位相差層(第2液晶層)、30a,30p 接着層(第1接着層)、40a 位相差層積層体(液晶層積層体)、50a,50p 位相差フィルム(液晶フィルム)、60a,60p 光学フィルム(樹脂フィルム)、62a,62p 光学フィルム用接着層(第2接着層)、70a,70p 光学積層体、71a,71p 基材層付き光学積層体(光学積層体)、W 幅方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6