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特許7014607ウエハ処理システム向けの熱管理のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ウエハ処理システム向けの熱管理のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220125BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20220125BHJP
   H05B 3/68 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/10 C
H05B3/68
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017553895
(86)(22)【出願日】2016-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 US2016045551
(87)【国際公開番号】W WO2017024132
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-07-24
(31)【優先権主張番号】14/820,365
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/820,422
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミンソン, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルボミルスキー, ドミトリー
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072355(JP,A)
【文献】特開2006-080148(JP,A)
【文献】特開2004-200156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0065403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H05B 3/10
H05B 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理のために被加工物を位置付ける被加工物ホルダであって、
円筒軸、前記円筒軸の周囲のパック半径、及びパック厚さによって特徴付けられる、実質的に円筒形のパックであって、
前記パック半径が、前記パック厚さの少なくとも4倍であり、
前記円筒形のパックの少なくとも上面が実質的に平らであり、
前記円筒形のパックが、一又は複数の径方向熱遮断部を画定する、円筒形のパックを備え、
各熱遮断部が、前記円筒形のパックの前記上面と底面の少なくとも一方と交わる径方向凹部として特徴付けられており、前記径方向凹部が、
前記パックの前記上面又は前記底面から前記パック厚さの少なくとも半分まで延在する、熱遮断部深さと、
前記円筒軸について対称に配置され、かつ、前記パック半径の少なくとも二分の一である、熱遮断部半径とによって特徴付けられ、前記被加工物ホルダはさらに、
前記パックの前記底面に隣接して、かつ、前記円筒軸に対して前記一又は複数の熱遮断部から径方向内側に配置された、第1加熱デバイスであって、前記熱遮断部半径の内側で前記パックの前記底面と熱接触している、第1加熱デバイスと、
前記パックの前記底面に隣接して、かつ、前記円筒軸に対して前記一又は複数の熱遮断部から径方向外側に配置された、第2加熱デバイスであって、前記熱遮断部半径の外側で前記パックの前記底面と熱接触している、第2加熱デバイスと、
前記円筒形のパックの前記底面の実質的に全体に延在する、熱シンクとを備え、
前記第1加熱デバイス及び前記第2加熱デバイスが、前記熱シンクと前記円筒形のパックの前記底面との間に配置されている、被加工物ホルダ。
【請求項2】
前記径方向凹部が前記上面と交わり、前記被加工物を前記上面から上昇させるために、伸長状態において前記上面の上方に延在し、かつ、前記被加工物を前記上面上まで下降させるために、後退状態において前記径方向凹部内に後退する、少なくとも3つのリフト要素を更に備える、請求項1に記載の被加工物ホルダ。
【請求項3】
前記第1加熱デバイスと前記第2加熱デバイスの少なくとも一方が、複数の電気絶縁層の間に配置されているヒータ要素トレースを備え、
前記ヒータ要素トレースが抵抗性材料を含み、
前記電気絶縁層のうちの少なくとも1つがポリイミドを含む、請求項1に記載の被加工物ホルダ。
【請求項4】
前記ヒータ要素トレース及び前記電気絶縁層が、複数の金属層の間に配置される、請求項3に記載の被加工物ホルダ。
【請求項5】
前記熱シンクが、一又は複数の流体チャネルを画定する金属プレートを備える、請求項1に記載の被加工物ホルダ。
【請求項6】
前記第1及び第2加熱デバイスは、第1及び第2電気絶縁層の間に配置されたそれぞれの第1および第2ヒータ要素トレースを備え、
前記第1電気絶縁層は、前記第1及び第2ヒータ要素トレースと前記熱シンクとの間に配置され、
前記第2電気絶縁層は、前記第1及び第2のヒータ要素トレースと前記円筒形のパックの底面との間に配置され、
前記第1電気絶縁層は前記第2電気絶縁層よりも厚く、その結果、前記第1電気絶縁層は、前記ヒータ要素トレースと前記熱シンクとの間の熱抵抗を増加させ、その結果、前記ヒータ要素トレースが熱を供給するとき、より多くの熱が前記熱シンクよりも前記パックに移る、請求項1に記載の被加工物ホルダ。
【請求項7】
記第1電気絶縁層がセラミックを含む、請求項6に記載の被加工物ホルダ。
【請求項8】
第1及び第2ヒータ要素トレース、
第1及び第2電気絶縁層、
第1及び第2金属層、並びに
第1及び第2熱的に安定なポリマー層をさらに含む請求項1に記載の被加工物ホルダであって、前記被加工物ホルダは、要素および層が下から上に、
前記熱シンク、
前記第1熱的に安定なポリマー層、
前記第1金属層、
前記第1電気絶縁層、
前記第2ヒータ要素トレースは前記第1ヒータ要素トレースから半径方向外側にあり、同じレベルにある、前記第1及び第2ヒータ要素トレース、
前記第2電気絶縁層、
前記第2金属層、
前記第2熱的に安定なポリマー層、及び
前記パック、
の物理的順序で配置されて、結合されている、被加工物ホルダ。
【請求項9】
処理のために被加工物を位置付ける被加工物ホルダであって、
円筒軸及び実質的に平らな上面によって特徴付けられる、実質的に円筒形のパックであって、2つの径方向熱遮断部を画定し、
前記熱遮断部のうちの第1のものが、第1半径のところで前記円筒形のパックの底面と交わり、かつ、前記底面から前記パックの厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられ、
前記熱遮断部のうちの第2のものが、前記第1半径よりも大きい第2半径のところで前記上面と交わり、かつ、前記上面から前記パックの前記厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられる、円筒形のパックと、
前記パックの前記底面の実質的に下方に延在する熱シンクであって、前記パックの基準温度を維持するために、内部に画定されたチャネルを通して熱交換流体を流す金属プレートを備える、熱シンクと、
前記熱シンクと前記パックとの間に配置された第1加熱デバイスであって、前記第1半径の内側で前記パックの前記底面及び前記熱シンクと熱連通している、第1加熱デバイスと、
前記熱シンクと前記パックとの間に配置された第2加熱デバイスであって、前記第2半径の外側で前記パックの前記底面及び前記熱シンクと熱連通している、第2加熱デバイスとを備え、
前記第1及び第2加熱デバイスがそれぞれ、第1及び第2電気絶縁層の間に配置された第1及び第2ヒータ要素トレースを備える、被加工物ホルダ。
【請求項10】
前記第1電気絶縁層は、前記第1及び第2ヒータ要素トレースと前記熱シンクとの間に配置され、
前記第2電気絶縁層は、前記第1及び第2ヒータ要素トレースと前記円筒形のパックの底面との間に配置され、
前記第1電気絶縁層は前記第2電気絶縁層よりも厚く、その結果、前記第1電気絶縁層は、前記ヒータ要素トレースと前記熱シンクとの間の熱抵抗を増加させ、その結果、前記ヒータ要素トレースが熱を供給するとき、より多くの熱が前記熱シンクよりも前記パックに移動する、
請求項9に記載の被加工物ホルダ。
【請求項11】
前記電気絶縁層のうち前記第1電気絶縁層がセラミックを含む、請求項9に記載の被加工物ホルダ。
【請求項12】
第1及び第2金属層、及び
第1及び第2熱的に安定なポリマー層をさらに含む請求項9に記載の被加工物ホルダであって、前記被加工物ホルダは、要素および層が下から上に、
前記熱シンク、
前記第1熱的に安定なポリマー層、
前記第1金属層、
前記第1電気絶縁層、
前記第2ヒータ要素トレースは前記第1ヒータ要素トレースから半径方向外側にあり、同じレベルにある、前記第1及び第2ヒータ要素トレース、
前記第2電気絶縁層、
前記第2金属層、
前記第2熱的に安定なポリマー層、及び
前記パック、
の物理的順序で配置されて、結合されている、被加工物ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理設備の分野に広く適用される。より具体的には、被加工物に対する空間的に適切化された処理を提供するための、システム及び方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の半導体製品は、「ウエハ(wafer)」と称される基板の表面上に製造されることが多い。キャリアに保持されたウエハ群に対して処理が実施されることもある一方、1つのウエハに対して処理と試験が一度に実施されることもある。単一ウエハの処理又は試験が実施される場合、ウエハはウエハチャック上に位置付けられうる。他の被加工物も、類似のチャック上で処理されうる。処理向けに被加工物の温度を制御するために、チャックは温度制御されうる。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、被加工物ホルダが処理のために被加工物を位置付ける。被加工物ホルダは、円筒軸、円筒軸の周囲のパック半径、及びパック厚さによって特徴付けられる、実質的に円筒形のパック(puck)を含む。パック半径はパック厚さの少なくとも4倍であり、円筒形のパックの少なくとも上面は実質的に平らであり、かつ、円筒形のパックが一又は複数の径方向熱遮断部を画定する。各熱遮断部は、円筒形のパックの上面と底面の少なくとも一方と交わる径方向凹部として特徴付けられる。径方向凹部は、パックの上面又は底面からパック厚さの少なくとも半分まで延在する熱遮断部深さ、及び、円筒軸について対称に配置され、かつパック半径の少なくとも二分の一である、熱遮断部半径によって、特徴付けられる。
【0004】
一実施形態では、ウエハを処理する方法は、第1のセンターツーエッジ(center-to-edge)プロセス変動をもたらす第1プロセスを用いてウエハを処理することと、その後に、第2のセンターツーエッジプロセス変動をもたらす第2プロセスを用いてウエハを処理することとを、含む。第2のセンターツーエッジプロセス変動は、第1のセンターツーエッジプロセス変動を実質的に補償する。
【0005】
一実施形態では、被加工物ホルダが、処理のために被加工物を位置付ける。被加工物ホルダは、円筒軸及び実質的に平らな上面によって特徴付けられる、実質的に円筒形のパックを含む。この円筒形のパックは、2つの径方向熱遮断部を画定する。熱遮断部のうちの第1のものは、第1半径のところで円筒形のパックの底面と交わり、かつ、底面からパックの厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられる。熱遮断部のうちの第2のものは、第1半径よりも大きい第2半径のところで上面と交わり、かつ、上面からパックの厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられる。熱シンクは、パックの底面の実質的に下方に延在し、かつ、金属プレートを含み、この金属プレートは、パックの基準温度を維持するために、金属プレートの中に画定されたチャネルを通して熱交換流体を流す。第1加熱デバイスが熱シンクとパックとの間に配置される。第1加熱デバイスは、第1半径の内側で、パックの底面及び熱シンクと熱連通している。第2加熱デバイスが熱シンクとパックとの間に配置される。第2加熱デバイスは、第2半径の外側で、パックの底面及び熱シンクと熱連通している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態による、被加工物ホルダを有する処理システムの主な要素を概略的に示す。
図2図1の被加工物ホルダの例示的な構造詳細を示す概略断面図である。
図3】一実施形態に合致している、図1の被加工物ホルダの一部を形成するパックの内側部分及び外側部分へのヒータ及び熱シンクの適用を示す、概略断面図である。
図4】一実施形態に合致している、パック、抵抗ヒータ、及び熱シンクの特徴を示す概略断面図である。
図5】一実施形態に合致している、図4の内側抵抗ヒータの中のヒータトレースのレイアウトを概略的に示す。
図6】一実施形態に合致している、熱遮断部の中に配置されたリフトピン機構を概略的に示す。
図7】一実施形態に合致している、リフトピンが熱遮断部の中に配置される3リフトピン構成の平面図を、概略的に示す。
図8】一実施形態に合致している、ウエハ又は他の被加工物を処理するための方法のフロー図である。
図9図8の方法の一ステップを含む(ただしそれだけに限定されない)方法のフロー図である。
図10図8の方法の別のステップを含む(ただしそれだけに限定されない)方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、後述する図面と併せて下記の詳細説明を参照することによって理解されうる。類似した構成要素を表すために、いくつかの図面を通じて類似の参照番号を使用する。図中のある種の要素は、図を分かりやすくするために縮尺通りに描かれていない可能性があることに、留意されたい。アイテムの具体例が、ダッシュの後ろの番号(例えばヒータ220-1、220-2)を使用することによって表されうる一方で、括弧のない番号は任意のかかるアイテムを表す(例えばヒータ220)。アイテムの複数の例が図示されている場合には、図を分かりやすくするために、その例の一部のみに表示が付けられることがある。
【0008】
図1は、ウエハ処理システム100の主な要素を概略的に示している。システム100は、単一ウエハ・半導体ウエハプラズマ処理システムとして描かれているが、本書の技法及び原理が任意の種類のウエハ処理システム(例えば、必ずしもウエハ又は半導体を処理するわけではなく、必ずしも処理にプラズマを利用するわけではないシステム)に適用可能であることが、当業者には明らかになろう。処理システム100は、ウエハインターフェース115、ユーザインターフェース120、プラズマ処理ユニット130、コントローラ140、及び、一又は複数の電源150のための、ハウジング110を含む。処理システム100は、ガス(複数可)155と、外部電力170と、真空160と、オプションでそれ以外も含みうる、様々なユーティリティによってサポートされる。図を分かりやすくするために、処理システム100の中の内部配管及び電気接続は示していない。
【0009】
処理システム100は、第1の場所においてプラズマを生成し、かつ、このプラズマ及び/又はプラズマ生成物(例えばイオン、分子断片、励起種等)を、処理が行われる第2の場所へと方向付ける、いわゆる間接プラズマ処理システムとして図示されている。ゆえに、図1では、プラズマ処理ユニット130は、処理チャンバ134にプラズマ及び/又はプラズマ生成物を供給する、プラズマ源132を含む。処理チャンバ134は一又は複数の被加工物ホルダ135を含み、この被加工物ホルダ上に、ウエハインターフェース115が、処理のために保持される被加工物50(例えば半導体ウエハであるが、別の種類の被加工物でもありうる)を置く。被加工物50が半導体ウエハである場合、被加工物ホルダ135はウエハチャックと称されることが多い。動作中に、ガス(複数可)155がプラズマ源132内に導入され、高周波発生装置(RF Gen)165が、電力を供給して、プラズマ源132の中でプラズマを点弧する。プラズマ及び/又はプラズマ生成物は、プラズマ源132からディフューザープレート137を通り、被加工物50が処理される処理チャンバ134へと移動する。プラズマ源132からのプラズマの代わりに、又はかかるプラズマに加えて、被加工物50の直流プラズマ処理のために、処理チャンバ134の中でプラズマが点弧されることもある。
【0010】
本書の実施形態は、ウエハ処理システムに新規かつ有用な機能を提供する。過去数年間で半導体ウエハのサイズが大きくなった一方、フィーチャのサイズは著しく小さくなったため、処理されるウエハ1枚につき、より高次の機能を有するより多くの集積回路を取得することが可能になっている。ウエハが大型化していく中でより小さなフィーチャを処理するには、処理均一性の著しい向上が必要になる。化学反応速度は多くの場合、温度に敏感であることから、処理中のウエハ全体での温度制御が、均一な処理のために重要になることが多い。
【0011】
また、ある種の処理は径方向作用(radial effect:例えば、ウエハの中心からエッジにかけて変動する処理)を有しうる。ある種の処理設備は、他のものよりも良好に上記作用を制御する。つまり、一部の設備が高い径方向処理均一性を実現する一方、他の設備はそれを実現しない。本書の実施形態は、径方向作用が制御に重要であるだけでなく、かかる制御を実現し得ない処理を補償するよう適切化されうる径方向処理制御の提供を可能にすれば、更に有利になるということを、認めるものである。例えば、半導体処理において一般的なことであるが、層がウエハ上に堆積され、次いで選択的にエッチング除去される場合を考えよう。堆積ステップがウエハのエッジにウエハの中心よりも厚い層を堆積させることが既知である場合、エッチングステップを補償すれば、有利には、ウエハのエッジにおいてウエハの中心よりも速いエッチング速度が提供され、それにより、堆積した層のエッチングがウエハのすべての部分で同時に完了する。同様に、エッチングプロセスがセンターツーエッジ変動を有することが既知であるならば、エッチングプロセスに先行する堆積の補償が、対応する変動を提供するよう調整されうる。
【0012】
かかる径方向作用を伴う処理は多くの場合、系統立った(explicit)センターツーエッジ温度変動を提供することによって、補償プロセスが提供されうる。温度がプロセスの反応速度に実質的に影響を与えることが多いからである。
【0013】
図2は、図1の被加工物ホルダ135の例示的な構造詳細を示す概略断面図である。図2に示しているように、被加工物ホルダ135は、実質的に円筒形であり、かつ、円筒軸Zから径方向Rにパック半径r1を有するという点で特徴付けられている、パック200を含む。使用中、被加工物50(例えばウエハ)が処理のためにパック200上に置かれうる。パック200の底面204は、パック200の中央値(median)底面高さ、つまり、他のハードウェア向けの取り付けポイントとしてパック200に形成されうる、エッジリング又は他の突起206、或いはくぼみ208といったフィーチャを除いた、Z軸の方向にパック200の典型的な底面高さを画定する平面であると、解釈される。同様に、上面202は、(例えば図4に見られる真空チャネルとして)そこに形成されうる溝、及び/又は、被加工物50を保持する他のフィーチャとは関係なく、被加工物50に適応するよう構成された平らな表面であると、解釈される。かかる突起、くぼみ、溝、リング等はすべて、この明細書の文脈では、パック200の「実質的に円筒形」という特徴付けを損なうものではない。パック200は、図示しているように、底面204と上面202との間に厚さtを有するという点でも、特徴付けられうる。ある種の実施形態では、パック半径r1はパック厚さtの少なくとも4倍であるが、このことは必要条件ではない。
【0014】
パック200は、図示しているように、一又は複数の径方向熱遮断部210を画定する。熱遮断部210は、パック200の上面202と底面204の少なくとも一方と交わる、パック200内に画定された径方向凹部である。熱遮断部210は、文字通りに作用する。つまりそれらは、パック200の径方向内側部分212と径方向外側部分214との間に、熱抵抗を提供する。このことは、パック200の径方向内側部分及び径方向外側部分の系統だった径方向(例えばセンターツーエッジ)の熱制御を容易にし、内側部分と外側部分との精密な熱的マッチングを提供するという点、若しくは、内側部分及び外側部分の全体に意図的な温度変動を提供するという点で、有利である。熱遮断部210は、熱遮断部深さ及び熱遮断部半径を有するという点で、特徴付けられうる。熱遮断部210の深さは、実施形態間で変動しうるが、通常、厚さtの二分の一を超過する。熱遮断部210の径方向の位置付けも、実施形態間で変動しうるが、熱遮断部半径r2は、通常、パック半径r1の少なくとも二分の一であり、他の実施形態では、r2はパック半径r1の四分の三、五分の四、六分の五、又はもっと大きなものになりうる。ある種の実施形態は単一の熱遮断部210を使用しうるが、他の実施形態は、2つの熱遮断部210(図2参照)、又は2を上回る数の熱遮断部210を使用しうる。径方向内側部分212と径方向外側部分214との間の境界点は、2つの熱遮断部210の間の径方向の平均位置として図示されているが、単一の熱遮断部210を有する実施形態では、かかる境界点は、この単一の熱遮断部210の径方向中点であると考えられうる。
【0015】
図2に示しているような熱遮断部が有利に使用されうる1つの方法は、パック200の内側部分212及び外側部分214に対して径方向に適用される加熱及び/又は冷却を提供することである。図3は、パック200の内側部分及び外側部分へのヒータ及び熱シンクの適用を示す、概略断面図である。パック200の一部の機械的詳細は、図を分かりやすくするために図3には示していない。図3は、パック200によって画定された中央チャネル201と、オプションの熱シンク230とを示している。中央チャネル201については、図4に関連して説明する。内側ヒータ220-1及び外側ヒータ220-2は、パック200に当接して配置され、かつ、パック200と熱連通する。ヒータ220が下面204の大部分に全体的に広がっていることは有利でありうるが、表面204全体でのヒータ220の分布は、実施形態で変動しうる。ヒータ220によって提供された熱が、パック200の内側部分212及び外側部分214の温度を実質的に制御することになる。熱遮断部210は、熱制御の精度を向上させるために、部分212と214の互いからの熱的な分離を支援する。ヒータ220は、典型的には抵抗ヒータであるが、他の種類のヒータ(例えば強制ガス又は強制液体を利用するもの)も実装されうる。
【0016】
オプションの熱シンク230も提供されうる。熱シンク230は、例えば、それを通して熱交換流体流すことによって、又は、ペルチェクーラー(Peltier cooler)などの冷却デバイスを使用することによって、典型的な動作温度よりも低い温度を発生させるよう、制御されうる。熱シンク230は、存在する場合、いくつかの利点を提供する。かかる利点の1つは、ヒータ220によって熱が提供されない状況において、パック200のすべての部分が有することになる基準温度を提供することである。つまり、ヒータ220は熱を提供可能であるが、かかる熱は通常、パック200全体にわたって、すべての方向に伝播していく。ヒータ220がパック200の特定の一部分に配置されている場合に、このヒータによって発生した熱が、単にあらゆる方向にパック200全体にわたって広がるのではなく、パック200の、ヒータ220からの熱がこの熱を除去する熱シンク230の性質を局所的に凌駕している部分を加熱するように、熱シンク230は、パック200をより低い温度にする能力を提供する。
【0017】
関連する一利点は、熱シンク230が、ヒータ220の温度設定(例えば、抵抗線を通過する電流)が低下した時に、パック200の隣接する部分が比較的急速な温度低下に反応するように、急速熱シンク性能を提供しうることである。このことで、例えば、被加工物50をパック200に載せること、ヒータ220を通じて熱を提供すること、及び、被加工物50での温度の急速安定化を実現することが可能になるため、処理が迅速に開始されてシステムスループットが最大化されうるという、利益がもたらされる。一部の熱が熱シンク230に拡散することを可能にする熱連通がなければ、パック200の各部分の到達温度は、他の熱拡散経路が可能にする早さでしか、低下しない。
【0018】
実施形態では、ヒータ220が、典型的にはパック200と直接熱連通して配置される一方、熱シンク230は、ヒータ220を通じてパック200と間接熱連通する。熱シンク230がパック200と直接熱連通していないことは、有利である。かかる直接熱連通は、パック200の表面の熱異常につながりうるからである(例えば、パック200は、ヒータ220によって発生した余分な熱の影響を強く受ける代わりに、温度が熱シンク230の温度に近くなる領域を有しうる。)。また、ヒータ220は、ヒータ220によって付与された熱がパック200と熱シンク230との間接熱連結を凌駕しうるのに十分な熱発生性能を有するため、ヒータ200によって発生した熱の一部が熱シンク230内に拡散している間にも、パック200の内側部分212及び外側部分214の温度を上昇させうる。ゆえに、ヒータ220によって提供された熱は、即座にではないが、熱シンク230を通って拡散しうる。実施形態では、中心部分とエッジ部分の各々における温度均一性、温度安定化の迅速性、製造の複雑性とコスト、及び、全体的なエネルギー消費といった考慮事項のバランスを取るために、パック200とヒータ220と熱シンク230との間の熱連結の度合いが、本書の原理にしたがって調整されうる。
【0019】
熱シンク230の更に別の利点は、ヒータ220によって発生した熱をパック200の近傍に限定することである。つまり、熱シンク230は、近隣のシステム構成要素をパック200で発生した高温から保護するために、かかる構成要素の熱上限を提供しうる。このことで、システムの機械的安定性が向上し、かつ/又は、温度に敏感な構成要素への損傷が防止されうる。
【0020】
ヒータ220及び熱シンク230は、様々な方法で実装されうる。一実施形態では、ヒータ220は、サブアセンブリとして1つに連結されたいくつかの層を含み、これらのサブアセンブリは次いで、パック200及び(オプションで)熱シンク230と更に連結されて、ウエハチャックアセンブリを形成しうる。本書で開示されている通りに設計され、組み立てられ、動作する実施形態は、被加工物(例えばウエハ)の中心領域に対するエッジ領域の系統だった温度制御を可能にし、典型的には従来技術のシステムでは実現不可能な、系統だったセンターツーエッジ温度制御を用いた処理を容易にする。
【0021】
図4は、ウエハチャックの一部分の概略断面図であり、パック200、ヒータ220-1として作用する抵抗ヒータ、及び熱シンク230の特徴を示している。図4は、ウエハチャックの円筒軸Z付近の一部分を表しているが、小型フィーチャを分かりやすく図示するために縮尺通りには描かれていない。パック200は、典型的には、アルミニウム合金(例えば周知の「6061」合金種)で形成される。パック200は、パック200の上面202で、Z軸を中心にセンタリングされている中央チャネル201と接続する、表面の溝又はチャネル205を画定するように、図示されている。大気圧(或いは、例えば約10~20Torrの、相対的に高圧のプラズマ又は低圧の堆積システムのガス圧)が被加工物50(図1図2参照)をパック200に当接するよう付勢し、パック200と被加工物50との間に良好な熱連通を提供するように、真空が中央チャネル201に供給され、チャネル205の中の圧力を低減しうる。
【0022】
内側抵抗ヒータ220-1が図4に示されているが、内側抵抗ヒータ220-1の図及び下記説明は、外側抵抗ヒータ220-2にも等しく適用されることを、理解すべきである。抵抗ヒータ220-1は、ヒータトレース264と緩衝層266とを含む。ヒータトレース264は、図4では連続した層として図示されているが、全長に沿って均等に熱を分配するために蛇行パターンを形成する層として存在すると、理解されたい(つまり、ヒータトレース264は、図4に示す断面平面に沿って存在しているが、他の断面図では、この断面平面と断続的に交差して出現しうる-図5参照)。ヒータトレース264は、例えば、厚さ約0.0005”~0.005”のインコネルで形成されうるが、他の材料を選択した場合は、約0.0002”~0.02”の層も有用である。緩衝層266は、典型的には、厚さ約0.025”~0.10”のポリマー層であるが、約0.01”~0.15”の層も有用である。緩衝層266は、ポリイミドで形成されうるが、他のポリマー及び他の材料を選択することも有用でありうる。緩衝層266は、有利には、熱的に安定した電気絶縁体である(ヒータトレース264の短絡を避けるため)。緩衝層266は更に、有利には、それよりもずっと薄いヒータトレース264と連結されたときに、緩衝層266の対向面が機械的な目的のために凡そ平らになるように、圧縮可能である。また、緩衝層266は、ヒータトレース層264と熱シンク230との間の熱抵抗を増大させるため、ヒータトレース層264が熱を供給する時に、熱シンク230に伝わる熱よりも多くの熱がパック200に伝わる。
【0023】
実施形態では、ヒータトレース層264と緩衝層266とは、ヒータ220-1の表面全体でのヒータトレース層264からの熱の均一な拡散を支援する薄型金属層260、268の間で、連結される。金属層260がヒータトレース層264と短絡するのを防ぐために、薄型電気絶縁層262が含まれる。絶縁層262又は絶縁層266は、ヒータトレース層264を製造するための基板としても作用しうる(図5参照)。絶縁層262は、有利には、熱的に安定した材料であり、セラミック、又は、ポリイミドなどのポリマーで形成されてよく、実施形態では、約0.001”~0.040”の厚さを有する。金属層260、268は、例えば、約0.005”~0.050”のAl 6061の層でありうる。金属層260、268は更に、層262、264、及び266に適度の防護を提供し、それにより、ヒータ220-1は、後にパック200及び熱シンク230と統合されるサブアセンブリとして、製造及び出荷されうる。例えば、ヒータ220-1をサブアセンブリとして形成するために、所望の寸法に形作られる層260、262、264、266、268、及び270は、互いに位置が合うように積層に整列され、この積層を圧縮及び/又は加熱することによって接着されうる。上記の開示を読み、理解することで、本書で開示されているヒータサブアセンブリが、ほぼ平面になり、ウエハチャック応用に関してはほぼ円形になるが、同様に製造されたサブアセンブリは、円形である必要はなく、本書に記載の円筒形のパックの円形底面とは別様に形作られた表面(例えば正方形、長方形など)に適合するよう製造される可能性もあることが、当業者には明らかになろう。同様に、円筒形のパック向けのヒータトレースは方位角方向に均一になるように、かつ、発熱密度が均一になるように配置されうるが、かかるサブアセンブリの中のヒータトレースは、強度が局所的に高く、局所的に低い加熱パターンを形成するよう、配置される可能性もある。
【0024】
ヒータ220-1は、図示しているように、オプション層250を介してパック200と、更なるオプション層270を介して熱シンク230と、連結する。層250及び270は、ヒータ220-1と、パック200及び熱シンク230の両方との間の熱伝達を促進する。層250及び270の材料の選択肢は、熱的に安定したポリマーを含む。一実施形態では、オプション層250,270は、約0.22W/(m-K)のバルク熱伝導率を有するポリマーの層で形成される。層250及び/又は270は更に、パック200、熱シンク230がヒータ220-1及び220-1と1つに接着されうるように、パック200及び層260と、熱シンク230及び層268とに、それぞれ接着可能でありうる。これを実現するために、パック200、層250、ヒータ220-1及び220-2、層270、並びに熱シンク230はすべて、互いに位置が合うように整列され、圧縮及び/又は加熱によって接着されうる。
【0025】
実施形態では、熱シンク230は、パック200の基準温度を提供しつつも、内側と外側の抵抗ヒータ220-1及び220-2がパック200にセンターツーエッジ温度制御を提供することを可能にする。オプションの熱シンク230の温度は、能動的に制御されうる。例えば、図4は、流体チャネル280を画定する熱シンク230を示しており、この流体チャネル280を通じて、熱交換流体が流動しうる。熱シンク230には、チャネル280の中の流体の接触面積、ひいては熱交換効率を増大させるための、熱フィン290も形成されうる。本書では、「熱交換流体」が熱シンク230を常に冷却することを要するわけではない。熱交換流体は、熱を付加するか、又は取り去るかのいずれかでありうる。熱交換流体は制御された温度で提供されうる。一実施形態では、熱シンク230は「6061」種などのアルミニウム合金で形成され、熱交換流体は、エチレングリコール50%と水50%との混合物であるが、熱シンク230及び/又は熱交換流体に他の材料が使用されることもある。更に別の実施形態では、オプションの熱シンク230は、受動的熱シンクであってよく(例えば、熱シンク230はパッシブラジエータでありうる)、熱を周囲環境に拡散させるために、熱フィンなどを有しうる。
【0026】
図5は、絶縁層262上のヒータトレース264のレイアウトを概略的に示している。ヒータトレース264の、この通りのレイアウトが重要なわけではないが、レイアウトは、密であり、方位角方向に均一であることが望ましい。ヒータトレース264は、図示しているように、電力を供給するワイヤと後に接続される、一対の接着パッド274において終端しうる。図5に示しているように、ヒータトレース264は、内側抵抗ヒータ220-1の中央領域269内に延在する必要はない。その理由の1つは、パック200内の、領域269の周囲の区域における到達温度が、パック200の対応領域全体に急速に拡散することである。別の理由は、真空チャネル201(図3図4参照)、熱交換流体の流体連通、ヒータトレース264の電気的接触、及び/又は、別のフィーチャなどを提供する、他の使用のために、領域269を空けておくことが望ましいということである。
【0027】
パック200の上面と交わる少なくとも1つの熱遮断部210を提供することの更なる利点は、機械的フィーチャが熱異常を発生させないように、これらの機械的フィーチャを熱遮断部の中に少なくとも部分的に配置しうることである。例えば、ウエハチャックは一般的に、チャックから少し離れたところまでウエハを上昇させて、ウエハハンドリングツールによるアクセス(典型的には、ウエハが上昇した後にウエハとチャックとの間に挿入される、パドル又は他のデバイスを使用する)を容易にするために使用されうる、リフトピンを提供する。しかし、リフトピンは、典型的には、チャックの穴の中に後退し、かかる穴は、処理中に、ウエハ温度に局所的に影響を与えうる。熱遮断部がパック200の上面と交わっている場合、かかる機構が熱異常をもたらすことなく配置される場所が、既に存在している。
【0028】
図6は、熱遮断部210の中に配置された、リフトピン310を制御するリフトピン機構300を有する、ウエハチャックの一部分を概略的に示している。ヒータ220及びオプションの熱シンク230も部分的に図示されている。図6に示している断面平面は機構300の中心を通っており、そのため、機構300の構成要素が一方の熱遮断部210の下部の中にある。パック200、熱遮断部210、及び熱シンク230は、図示している平面の奥と手前に、図3及び図4に示したもののような形状を有しうるため、機構300が内部に配置されている熱遮断部210は、パック200を通るその弧形に沿って続いている(図7参照)。また、リフトピン機構300は、パック200の中心軸に対してかなり狭い方位角度に限定される(同じく図7参照)。つまり、断面平面が図6に示す平面の奥又は手前に一定距離離れたところで切られていたら、パック200の底面は、図6で底面204と図示されている同一平面に沿って連続し、熱シンク230は、パック200の下で連続していたはずである。リフトピン機構300のサイズが小さいことで、リフトピン機構300の区域におけるパック200の熱変動が限定される。図6は、リフトピン310がパック200の表面上に熱異常を引き起こすことがない後退位置にある、リフトピン310を示している。
【0029】
図7は、熱遮断部210の中にリフトピン310が配置されている、3リフトピン構成の平面図を概略的に示している。図7は縮尺通りではない。特に熱遮断部210は、リフトピン機構300及びリフトピン310を分かりやすく示すため拡大されている。リフトピン310は、熱遮断部210の中の、パック200の平均面のかなり下方に後退することから、処理中に空間的熱異常を発生させない。そのため、被加工物の、リフトピン310の場所において処理されている部分(例えば、半導体ウエハの対応する場所に位置する特定の集積回路)は、被加工物のそれ以外の場所での処理と一致する処理を経る。
【0030】
図8は、ウエハ又は他の被加工物(以下、便宜のため単に「製品ウエハ」と称するが、この概念はウエハ以外の被加工物にも適用されうるという解釈である)を処理するための方法400のフロー図である。方法400は、系統立ったセンターツーエッジ熱制御(これがひいては系統立ったセンターツーエッジプロセス制御を可能にする)を提供するために使用されうる、図2から図8に関連して説明している熱管理装置によって、独自に可能になりうる。方法400の第1ステップ420は、第1のセンターツーエッジプロセス変動を伴って製品ウエハを処理する。方法400の第2ステップ440は、第1のセンターツーエッジ変動を補償する第2のセンターツーエッジプロセス変動を伴って、製品ウエハを処理する。典型的には、420と440の一方又は他方は、意図せずに又は制御不能に、関連するセンターツーエッジプロセス変動(以下「非制御変動」)を発生させる設備又はプロセス環境において実行されるが、このことが必要なわけではない。また、典型的には、製品ウエハの中心部分及びエッジ部分の系統立った制御を可能にして、対応する逆プロセス変動を提供する、熱管理技法を通じて、別のセンターツーエッジプロセス変動(以下「制御変動」)がもたらされるように、他方のステップが、本書に記載されているような設備において実行される。しかし、非制御変動と制御変動はいずれの順序でも発生しうる。つまり、420が非制御変動と制御変動のいずれかをもたらしてよく、440が非制御変動と制御変動の他方をもたらしうる。図9及び図10は、方法400の有用な運用を可能にするために、当業者に追加的なガイダンスを提供している。
【0031】
図9は、方法400のステップ420を含む(ただしそれだけに限定されない)、方法401のフロー図である。図9に示す410~417、及び422の全ては、オプションと見なされるが、実施形態では、方法400の実行において、有用なウエハ処理結果を実現するのに役立ちうる。
【0032】
ステップ410は、420で発生する第1のセンターツーエッジプロセス変動に関連する、設備特性を設定する。例えば、420が制御変動をもたらすことが予期されている場合、410は、制御されたセンターツーエッジ温度変動を提供するヒータ設定などの、設備パラメータを提供することを包含しうる。本書の図2から図7で説明しているような設備は、制御されたセンターツーエッジ温度変動を提供するのに役立つ。ステップ412は、第1のセンターツーエッジプロセス変動に関連する設備特性を測定する。どんな設備設定又は測定済設備特性が既知のセンターツーエッジプロセス変動を成功理に発生させる(又は、意図的ではなくとも、少なくとも安定的なプロセス変動を提供する)のかということについて、プロセス知識が経時的に取得されうる。このプロセス知識を考慮して、方法401は、412で測定された設備特性が改善されうると考えられる場合には設備特性を調整するために、オプションで、412から410に戻りうる。ステップ414は、第1のセンターツーエッジプロセス変動を受ける一又は複数の試験ウエハを処理する。ステップ416は、ステップ414で処理される試験ウエハ(複数可)で、第1のセンターツーエッジプロセス変動の一又は複数の特性を測定する。方法401は、416で測定されるセンターツーエッジプロセス特性を踏まえて設備特性を調整するために、オプションで、416から410に戻りうる。試験ウエハが414で処理されれば、418では、第2プロセス(例えば後に440において実行されるプロセス)における試験が、オプションで省略されうる。また、414は420と並行して実施されうる。つまり、プロセス設備が適切に構成されていれば、試験ウエハは製品ウエハと同時に処理されうる(例えば、第1プロセスが、ウエハのカセットを液体槽内に浸すようないわゆる「バッチ(batch)」プロセスである場合、1つのアンプル、拡散炉、又は堆積チャンバなどの中でウエハの組を一度に処理する)。
【0033】
ステップ420は、第1のセンターツーエッジプロセス変動を伴って製品ウエハを処理する。ステップ422は、製品ウエハで、一又は複数の第1のセンターツーエッジ特性を測定して、後述するように、設備プロセス制御のため、製品ウエハの収率又は性能との相関のため、及び/又は、ステップ440の周辺の情報との相関における使用のための、データを生成する。
【0034】
図10は、方法400のステップ440を含む(ただしそれだけに限定されない)、方法402のフロー図である。図10に示す430~436、及び442の全ては、オプションと見なされるが、実施形態では、方法400の実行において、有用なウエハ処理結果を実現するのに役立ちうる。
【0035】
ステップ430は、ステップ440で発生する第2のセンターツーエッジプロセス変動に関連する、設備特性を設定する。例えば、440が制御変動をもたらすことが予期されている場合、430は、制御されたセンターツーエッジ温度変動を提供するヒータ設定などの、設備パラメータを提供することを包含しうる。本書の図2から図7で説明しているような設備は、制御されたセンターツーエッジ温度変動を提供するのに役立つ。ステップ432は、第2のセンターツーエッジプロセス変動に関連する設備特性を測定する。上述のプロセス知識を考慮して、方法402は、432で測定される設備特性を踏まえて設備特性を調整するために、オプションで、432から430に戻りうる。ステップ434は、第2のセンターツーエッジプロセス変動を受ける一又は複数の試験ウエハを処理する。434で処理されるこの試験ウエハ(複数可)は、上記の418の第1プロセスステップを経ていない一又は複数の試験ウエハを含みうる。ステップ436は、434で処理される試験ウエハ(複数可)で、第2のセンターツーエッジプロセス変動の一又は複数の特性を測定する。既に取得されているプロセス知識を考慮して、方法402は、436で測定されるセンターツーエッジプロセス特性を踏まえて設備特性を調整するために、オプションで、436から430に戻りうる。
【0036】
ステップ440は、第2のセンターツーエッジプロセス変動を伴って製品ウエハを処理する。また、方法402には示していないが、追加の試験ウエハが製品ウエハと並行して処理されることが可能であるのも確実である。ステップ442は、製品ウエハで、一又は複数の第1のセンターツーエッジ特性を測定して、上述したように、設備プロセス制御のため、製品ウエハの収率又は性能との相関のため、及び/又は、420の周辺の情報との相関における使用のための、データを生成する。かかる測定は、製品ウエハと並行して処理された試験ウエハがあればそれにも実施されうるが、いずれにせよ、442は、概括的に、製品ウエハに存在するいかなる条件も、更に変化させることはない。つまり、更なる試験が行われるかどうかにかかわらず、420及び440の結果は、440の終了時に製品ウエハにおいて確定されることになる。
【0037】
いくつかの実施形態を説明したが、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造、及び均等物が使用されうることが、当業者には認識されよう。加えて、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるために、いくつかの周知のプロセス及び要素については説明しなかった。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0038】
ウエハ以外の被加工物の処理も、処理均一性の向上から利益を得ることができ、本開示の範囲に含まれると見なされる。ゆえに、「ウエハ(wafer)」を保持するための「ウエハチャック(wafer chuck)」としての本書のチャックの特徴付けは、任意の種類の被加工物を保持するためのチャックと同等であり、「ウエハ処理システム(wafer processing system)」は、同様に、処理システムと同等であると、理解すべきである。
【0039】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、文脈上別途明示されない限り、下限の単位の10分の1まで明確に開示されていることを、理解されたい。ある規定された範囲における任意の規定値又は介在値と、その規定された範囲における他の任意の規定値又は介在値との間の、より狭い範囲の各々は、包含される。これらの狭い方の範囲の上限と下限は、個別にその範囲内に含まれることも、除外されることもあり、限界値のいずれかが狭い方の範囲内に含まれる場合、限界値のいずれも狭い方の範囲内に含まれない場合、又は両方の限界値が狭い方の範囲内に含まれる場合の各範囲も、前記規定された範囲における明確に除外される任意の限界値を条件として、本発明の範囲に包含される。前記規定された範囲が、限界値の一方又は両方を含む場合、含まれる限界値の一方又は両方を除外した範囲も含まれる。
【0040】

本書及び付随する特許請求の範囲において、単数形の「1つの(a、an)」、及び「その(the)」は、文脈上別途明示しない限り、複数の指示対象を含む。ゆえに、例えば、「1つのプロセス(a process)」への言及は、複数のかかるプロセスを含み、「その電極(the electrode)」への言及は、一又は複数の電極、及び、当業者には既知であるその同等物への言及を含む、等々である。「備える(comprise/comprising)」、及び「含む(include/including/includes)」という語も、この明細書及び以下の特許請求の範囲において使用する場合、規定された特徴、整数値、構成要素、又はステップの存在を明示するためのものであるが、一又は複数の他の特徴、整数値、構成要素、ステップ、作用、又はグループの存在又は追加を排除するものではない。 また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
処理のために被加工物を位置付ける被加工物ホルダであって、
円筒軸、前記円筒軸の周囲のパック半径、及びパック厚さによって特徴付けられる、実質的に円筒形のパックであって、
前記パック半径が、前記パック厚さの少なくとも4倍であり、
前記円筒形のパックの少なくとも上面が実質的に平らであり、
前記円筒形のパックが、一又は複数の径方向熱遮断部を画定する、円筒形のパックを備え、
各熱遮断部が、前記円筒形のパックの前記上面と底面の少なくとも一方と交わる径方向凹部として特徴付けられており、前記径方向凹部が、
前記パックの前記上面又は前記底面から前記パック厚さの少なくとも半分まで延在する、熱遮断部深さと、
前記円筒軸について対称に配置され、かつ、前記パック半径の少なくとも二分の一である、熱遮断部半径とによって特徴付けられる、被加工物ホルダ。
(態様2)
前記径方向凹部が前記上面と交わり、前記被加工物を前記上面から上昇させるために、伸長状態において前記上面の上方に延在し、かつ、前記被加工物を前記上面上まで下降させるために、後退状態において前記径方向凹部内に後退する、少なくとも3つのリフト要素を更に備える、態様1に記載の被加工物ホルダ。
(態様3)
前記パックの前記底面に隣接して、かつ、前記円筒軸に対して前記一又は複数の熱遮断部から径方向内側に配置された、第1加熱デバイスであって、前記熱遮断部半径の内側で前記パックの前記底面と熱接触している、第1加熱デバイスと、
前記パックの前記底面に隣接して、かつ、前記円筒軸に対して前記一又は複数の熱遮断部から径方向外側に配置された、第2加熱デバイスであって、前記熱遮断部半径の外側で前記パックの前記底面と熱接触している、第2加熱デバイスとを更に備える、態様1に記載の被加工物ホルダ。
(態様4)
前記第1加熱デバイスと前記第2加熱デバイスの少なくとも一方が、複数の電気絶縁層の間に配置されているヒータ要素トレースを備え、
前記ヒータ要素トレースが抵抗性材料を含み、
前記電気絶縁層のうちの少なくとも1つがポリイミドを含む、態様3に記載の被加工物ホルダ。
(態様5)
前記ヒータ要素トレース及び前記電気絶縁層が、複数の金属層の間に配置される、態様4に記載の被加工物ホルダ。
(態様6)
前記円筒形のパックの前記底面の実質的に全体に延在する、熱シンクを更に備え、
前記第1加熱デバイス及び前記第2加熱デバイスが、前記熱シンクと前記円筒形のパックの前記底面との間に配置されており、
前記熱シンクが、一又は複数の流体チャネルを画定する金属プレートを備える、態様3に記載の被加工物ホルダ。
(態様7)
ウエハを処理する方法であって、
第1のセンターツーエッジプロセス変動をもたらす第1プロセスを用いて前記ウエハを処理することと、
その後に、第2のセンターツーエッジプロセス変動をもたらす第2プロセスを用いて前記ウエハを処理することとを含み、
前記第2のセンターツーエッジプロセス変動は、前記第1のセンターツーエッジプロセス変動を実質的に補償する、ウエハを処理する方法。
(態様8)
前記第1プロセスを用いて前記ウエハを処理することが、前記ウエハ上に材料層を堆積させることを含み、
前記第1のセンターツーエッジ変動が、前記材料層の厚さの厚さ変動であり、
前記第2プロセスを用いて前記ウエハを処理することが、前記ウエハの少なくとも選択された区域において前記材料層をエッチングすることを含み、
前記ウエハの中心からエッジまで実質的に一定なエッチング時間で、前記ウエハの少なくとも前記選択された区域において前記材料層がエッチングされきるように、前記第2のセンターツーエッジ変動がエッチング速度変動である、態様7に記載のウエハを処理する方法。
(態様9)
前記第1プロセスと前記第2プロセスの少なくとも一方を用いて前記ウエハを処理することが、前記ウエハ全体にセンターツーエッジ温度変動を確立することを含む、態様7に記載のウエハを処理する方法。
(態様10)
前記ウエハ全体に前記センターツーエッジ温度変動を確立することが、
円筒形のパックの半径、及び、前記円筒形のパックの上面と底面との間のパック厚さによって特徴付けられる前記円筒形のパックの前記上面と熱連通するように、前記ウエハを置くことと、
前記センターツーエッジ温度変動を確立するために、前記パックの中心領域と熱連通する第1ヒータを提供すること、及び、
前記パックのエッジ領域と熱連通する第2ヒータを提供することとを含む、態様9に記載のウエハを処理する方法。
(態様11)
前記ウエハ全体に前記センターツーエッジ温度変動を確立することが、前記パックに、前記パックの前記エッジ領域と前記パックの前記中心領域との間の熱遮断部として、前記上面と前記底面の少なくとも一方と交わる少なくとも1つの径方向凹部を提供することを更に含み、
前記径方向凹部は、前記パックの前記上面又は前記底面から前記パック厚さの少なくとも半分まで延在する熱遮断部深さによって特徴付けられる、態様10に記載のウエハを処理する方法。
(態様12)
前記ウエハ全体に前記センターツーエッジ温度変動を確立することが、前記円筒形のパックの前記半径の少なくとも四分の三である半径のところに、前記少なくとも1つの径方向凹部を提供することを更に含む、態様11に記載のウエハを処理する方法。
(態様13)
前記ウエハ全体に前記センターツーエッジ温度変動を確立することが、
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータと熱連通する熱シンクを提供することと、
前記熱シンクの中の流体チャネルを通して、制御された温度の熱交換液体を流すこととを更に含む、態様10に記載のウエハを処理する方法。
(態様14)
処理のために被加工物を位置付ける被加工物ホルダであって、
円筒軸及び実質的に平らな上面によって特徴付けられる、実質的に円筒形のパックであって、2つの径方向熱遮断部を画定し、
前記熱遮断部のうちの第1のものが、第1半径のところで前記円筒形のパックの底面と交わり、かつ、前記底面から前記パックの厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられ、
前記熱遮断部のうちの第2のものが、前記第1半径よりも大きい第2半径のところで前記上面と交わり、かつ、前記上面から前記パックの前記厚さの少なくとも二分の一まで延在する、径方向凹部として特徴付けられる、円筒形のパックと、
前記パックの前記底面の実質的に下方に延在する熱シンクであって、前記パックの基準温度を維持するために、内部に画定されたチャネルを通して熱交換流体を流す金属プレートを備える、熱シンクと、
前記熱シンクと前記パックとの間に配置された第1加熱デバイスであって、前記第1半径の内側で前記パックの前記底面及び前記熱シンクと熱連通している、第1加熱デバイスと、
前記熱シンクと前記パックとの間に配置された第2加熱デバイスであって、前記第2半径の外側で前記パックの前記底面及び前記熱シンクと熱連通している、第2加熱デバイスとを備える、被加工物ホルダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10