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特許7014807印刷用調合物において反応性希釈剤として用いられるアクリレート含有モノマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】印刷用調合物において反応性希釈剤として用いられるアクリレート含有モノマー
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/107 20140101AFI20220125BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20220125BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
C09D11/107
C09D11/30
C08F290/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019543243
(86)(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018053303
(87)【国際公開番号】W WO2018146258
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】17155564.2
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ フレッケンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン バーロ
(72)【発明者】
【氏名】エーリヒ ベック
(72)【発明者】
【氏名】マーティン カラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ミスケ
(72)【発明者】
【氏名】フリーデリケ フライシュハーカー
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-068331(JP,A)
【文献】特開2010-018644(JP,A)
【文献】特開2016-183344(JP,A)
【文献】特開2015-067656(JP,A)
【文献】特開2010-235684(JP,A)
【文献】特開2004-059435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-11/54
C08F 290/00-290/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1.00~65.00重量%の、式(I)
【化1】
(式中、
、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
、R、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
は、Hまたは炭素数1~6のアルキルであり;
kは、1、2、3、4、または5である)の、少なくとも1つの化合物を、成分Aとして;
b)1.00~60.00重量%の、2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量Mが500ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを、成分Bとして;
c)0~25重量%の、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有し分子量Mが600ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを、成分Cとして;
d)1.00~30.00重量%の、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量Mが少なくとも700ダルトンである少なくとも1種のポリマーを、成分Dとして;
e)0~20.00重量%の、1種または複数種の光重合開始剤を、成分Eとして;
f)0~10.00重量%の、1種または複数種の着色剤を、成分Fとして;
g)0~2.00重量%の、1種または複数種の缶内(in-can)安定剤を、成分Gとして;
h)0~50.00重量%の、1種または複数種のさらなるモノマーを、成分Hとして;
j)0~10.00重量%の、1種または複数種のさらなる添加剤を、成分Jとして含み、
ただし、成分A+成分Bの量は、成分A~Jの総和に対して少なくとも50重量%であり、どの場合でも成分A~Jの量は合計で100重量%となる、組成物。
【請求項2】
成分Aにおいて、式(I)の化合物は、式(Ia)
【化2】
(式中、
はCHであり、RはCHであるか、
はCHであり、RはCであり、
はHである)
の化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
a)3.00重量%~50重量%の成分A;
b)5.00重量%~55重量%の成分B;
c)0.50重量%~22.50重量%の成分C;
d)3.00重量%~25.00重量%の成分D;
e)3.00重量%~15.00重量%の成分E;
f)0.10重量%~7.50重量%の成分F;
g)0.01重量%~1.50重量%の成分G;
h)0.00重量%~40.00重量%の成分H;
i)0.10重量%~7.50重量%の成分Jからなり、
どの場合でも、成分A+成分Bの量は少なくとも50重量%であり、成分A~Jの量は合計で100重量%となる、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
成分Bの、2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーは、150~400ダルトンの範囲の分子量Mを有し、せん断速度100s-1で測定した場合に23℃で3~150mPasの範囲の動的粘度を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
成分Cの、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーが存在する場合、前記モノマーは、200~550ダルトンの範囲の分子量Mを有し、せん断速度100s-1で測定した場合に23℃で10~200mPasの範囲の動的粘度を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
成分Dの、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のポリマーは、1000~2000ダルトンの範囲の分子量Mを有し、せん断速度100s-1で測定した場合に23℃で100~2500mPasの範囲の動的粘度を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
成分Bの、2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーは、式(B-1)
【化3】
(式中、
各RB1は、独立してHまたはCHであり;
各YB1は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
pは、1~15の数である)
のモノマー、および
式(B-2)
【化4】
(式中、
Tは、炭素数1~10のアルキレンであり;
各RB2は、独立してHまたはCHであり;
各YB2は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり、
eおよびfは数であり、ただし、e+fは1~10の数である)
のモノマーからなる群より選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
成分Cの、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーが存在する場合、前記モノマーは、式(C-1)
【化5】
(式中、
各RC1は、独立してHまたはCHであり;
各YC1は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
a、b、c、およびdは数であり、ただし、a+b+c+dは1~15の数である)
の化合物から選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
成分Dの、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のポリマーは、
a)アミン変性ポリエーテルアクリレート、
b)非アミン変性ポリエーテルアクリレート、
c)ポリエステルアクリレート、および
d)ウレタンアクリレート
からなる群より選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
印刷用インキである、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
インクジェット印刷用インキである、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項に定義される印刷用インキ組成物。
【請求項13】
インクジェット印刷用インキである、請求項12記載の印刷用インキ組成物。
【請求項14】
a)請求項1から9までのいずれか1項に定義される組成物を基材に塗布するステップ;
b)前記組成物を硬化させるステップ
を含む、印刷の方法。
【請求項15】
インクジェット印刷の方法である、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物、および前記組成物の印刷用インキとしての、好ましくはインクジェット印刷用インキとしての使用に関する。さらに、本発明は、前記組成物を用いる印刷の、好ましくはインクジェット印刷の方法に関する。
【0002】
エネルギー線硬化性組成物が、印刷用インキとして、特にインクジェット印刷用インキとして広く用いられている。最近開発された各種系は、たとえば英国特許出願公開第2517592号明細書(GB 2517592 A)、国際公開第2015/140538号(WO 2015/140538)、国際公開第2015/140539号(WO 2015/140539)、国際公開第2015/140540号(WO 2015/140540)、国際公開第2015/140541号(WO 2015/140541)、国際公開第2015/148094号(WO 2015/148094)、および国際公開第2015/022228号(WO 2015/022228)に開示されている。しかし、低粘度、高反応性、および多種多様なプラスチック基材への良好な付着性を兼備する硬化性組成物に対する需要は今もある。
【0003】
N-ビニル-ピロリドン(NVP)およびN-ビニル-カプロラクタム(NVC)は、よく知られた反応性希釈剤である。しかし、ある種の健康問題と関連があり、そしてそのせいで危険性ありとの烙印を押されていることから、こうしたモノマーの取扱いや使用における毒性を理由に次第にエンドユーザーから受け入れられなくなっており、その使用はますます制限されている。したがって、N-ビニル-ピロリドン(NVP)および/またはN-ビニル-カプロラクタム(NVC)の存在を必要としない硬化性組成物を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0004】
特定の(メタ)アクリレートモノマーが、印刷用インキ、好ましくはインクジェット印刷用インキなどの硬化性組成物における反応性希釈剤として特に有用であることが見出されている。
【0005】
したがって、本発明の一態様では、
a)1.00~65.00重量%の、式(I)
【化1】
(式中、
、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
、R、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
は、Hまたは炭素数1~6のアルキルであり;
kは、1、2、3、4、または5である)の、少なくとも1つの化合物を、成分Aとして;
b)1.00~60.00重量%の、2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が500ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを、成分Bとして;
c)0~25重量%の、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が600ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを、成分Cとして;
d)1.00~30.00重量%の、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が少なくとも700ダルトンである少なくとも1種のポリマーを、成分Dとして;
e)0~20.00重量%の、1種または複数種の光重合開始剤を、成分Eとして;
f)0~10.00重量%の、1種または複数種の着色剤を、成分Fとして;
g)0~2.00重量%の、1種または複数種の安定剤を、成分Gとして;
h)0~50.00重量%の、1種または複数種のさらなるモノマーを、成分Hとして;
j)0~10.00重量%の、1種または複数種のさらなる添加剤を、成分Jとして含み、好ましくはこれらからなる組成物であって、
ただし、成分A)+成分B)の量は、成分A~Jの総和に対して少なくとも50重量%であり、いずれの場合にも、成分A~Jの量は合計で100重量%となる、組成物を提供する。
【0006】
式(I)の特に好ましい化合物は、式(Ib)
【化2】
の化合物である。
【0007】
本明細書では、式(Ib)の化合物をIPGAと呼ぶ。
【0008】
本発明の組成物は、低粘度、高反応性、および多種多様なプラスチック基材への良好な付着性を兼備する。さらに、本発明の組成物は、N-ビニル-ピロリドン(NVP)および/またはN-ビニル-カプロラクタム(NVC)の存在を必要としない。硬化した組成物は、良好な機械的および化学的耐久特性を有する。
【0009】
IPGAは、UVインクジェットに含まれる市販のどの単官能性モノマーアクリレートにもまず見られない秀逸な性能プロファイルを有する、優れた単官能性モノマーアクリレートである。IPGAは、純物質としてもUVインクジェットインキ調合物中でも非常に低粘度であること、硬化速度が非常に高いこと、およびプラスチックフィルムなどの様々な基材に非常に良好に付着することを兼備する。このバランスのよい性能セットに匹敵するのは、毒性問題により市場で厳しい圧力下にあることで知られるNVCだけである。
【0010】
特開2009-67826号公報(JP 2009-67826 A)、米国特許出願公開第2007/0146430号明細書(US 2007/0146430 A1)、および特開2004-224841号公報(JP 2004-224841 A)は、概して、印刷用インキおよびワニスの成分としてのIPGAを開示している。
【0011】
定義
「(メタ)アクリレート」という表現は、「アクリレートまたはメタクリレート」を表す。一実施形態では、(メタ)アクリレートはアクリレートである。別の実施形態では、(メタ)アクリレートはメタクリレートである。好ましくは、(メタ)アクリレートはアクリレートである。
【0012】
「(メタ)アクリレート基」という表現は、「アクリレート基またはメタクリレート基」を表す。一実施形態では、(メタ)アクリレート基は、アクリレート基(-O-C(O)-CH=CH)である。別の実施形態では、(メタ)アクリレート基は、メタクリレート基(-O-C(O)-C(CH)=CH)である。好ましくは、(メタ)アクリレート基はアクリレート基である。
【0013】
エチレンとは、-CH-CH-を指す。プロピレンとは、-CH-CH-CH-、-CH-CH(CH)-、または-CH(CH)-CH-を指す。ある好ましい実施形態では、プロピレンとは、-CH-CH(CH)-または-CH(CH)-CH-を指す。別の実施形態では、プロピレンとは、-CH-CH-CH-を指す。ブチレンとは、直鎖または分枝鎖Cを、好ましくは分枝鎖Cを指す。
【0014】
エチレンオキシとは、-O-CH-CH-を指す。プロピレンオキシとは、-O-CH-CH-CH-、-O-CH-CH(CH)-、または-O-CH(CH)-CH-を指す。ある好ましい実施形態では、プロピレンオキシとは、-O-CH-CH(CH)-、または-O-CH(CH)-CH-を指す。別の実施形態では、プロピレンオキシとは、-O-CH-CH-CH-を指す。ブチレンオキシとは、直鎖または分枝鎖OCを、好ましくは分枝鎖OCを指す。
【0015】
分子量が平均値周辺に分布している場合、「分子量」という用語は、(特に断らないかぎり)ダルトンで表される重量平均分子量Mを指す。
【0016】
成分A
本発明の組成物は、成分Aとして、少なくとも1つの、好ましくは1~3つの、より好ましくは1つまたは2つの、さらに好ましくは1つの、式(I)
【化3】
(式中、
、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
、R、Rは、それぞれ独立してH、炭素数1~6のアルキル、または炭素数1~6のアルコキシ-炭素数1~6のアルキルであり;
は、Hまたは炭素数1~6のアルキルであり;
kは、1、2、3、4、または5である)
の化合物を含む。
【0017】
好ましいのは、R、Rがそれぞれ独立してHまたは炭素数1~4のアルキルである式(I)の化合物である。
【0018】
好ましいのは、R、R、Rがそれぞれ独立してHまたは炭素数1~4のアルキルである式(I)の化合物である。
【0019】
好ましいのは、RがHまたは炭素数1~4のアルキルである式(I)の化合物である。
【0020】
好ましいのは、kが1、2、または3である式(I)の化合物である。
【0021】
より好ましいのは、RがHまたは炭素数1~4のアルキルである式(I)の化合物である。
【0022】
より好ましいのは、Rが炭素数1~4のアルキルである式(I)の化合物である。
【0023】
より好ましいのは、R、R、RがHである式(I)の化合物である。
【0024】
より好ましいのは、RがHまたはCHである式(I)の化合物である。
【0025】
より好ましいのは、kが1である式(I)の化合物である。
【0026】
さらに好ましいのは、R、RがCHである式(I)の化合物である。
【0027】
さらに好ましいのは、R、R、RがHである式(I)の化合物である。
【0028】
さらに好ましいのは、RがHである式(I)の化合物である。
【0029】
さらに好ましいのは、kが1である式(I)の化合物である。
【0030】
同じく好ましいのは、すべての記号および添え字が好ましい意味を有している式(I)の化合物である。
【0031】
同じくより好ましいのは、すべての記号および添え字がより好ましい意味を有している式(I)の化合物である。
【0032】
同じくさらに好ましいのは、すべての記号および添え字がさらに好ましい意味を有している式(I)の化合物である。
【0033】
好ましいのは、
、Rが、それぞれ独立してHまたは炭素数1~4のアルキルであり;
、R、Rが、それぞれ独立してHまたは炭素数1~4のアルキルであり;
が、Hまたは炭素数1~4のアルキルであり;
kが、1、2、または3である、
式(I)の化合物である。
【0034】
より好ましいのは、
が、Hまたは炭素数1~4のアルキルであり;
が、炭素数1~4のアルキルであり;
、R、Rが、Hであり;
が、HまたはCHであり;
kが、1である、
式(I)の化合物である。
【0035】
したがって、特に好ましいのは、式(Ia)
【化4】
(式中、
は、Hまたは炭素数1~4のアルキルであり;
は、炭素数1~4のアルキルであり;
は、HまたはCHである)
の化合物である。
【0036】
さらに好ましいのは、
がCHであり、RがCHであるか、
がCHであり、RがCであり、
がHである、
式(Ia)の化合物である。
【0037】
非常に好ましいのは、
、RがCHであり;
、R、RがHであり;
がHであり;
kが1である、
式(Ib)の化合物(IPGA)である。
【0038】
式(I)の化合物は、当業界で公知の方法にしたがい製造することができる。たとえば、式(I)の化合物は、式(II)
【化5】
(式中、R、R、R、R、R、およびkは、式(I)で定義したとおりである)
の化合物を、
式(III)
【化6】
(式中、Rは式(I)で定義したとおりであり、
は、炭素数1~6のアルキルである)
の化合物と、好ましくは触媒の存在下で反応させることによって製造することができる。
【0039】
式(II)の化合物と式(III)との化合物の反応に好適な触媒としては、チタンテトライソプロポキシドなどのルイス酸が挙げられる。式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、安定剤および/または阻害剤などのさらなる添加剤の存在下で実施することができる。式(II)の化合物と式(III)との化合物の反応のためのさらなる添加剤の例としては、メチルヒドロキノンおよび/またはフェノチアジンが挙げられる。
【0040】
成分B
本発明の組成物は、成分Bとして、2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が500ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを含む。
【0041】
一実施形態では、本発明の組成物は、成分Bとして、2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が500ダルトン以下である、1~5種の、好ましくは1~4種の、より好ましくは1~3種の、同じくより好ましくは2~4種の、さらに好ましくは2種または3種の、特に好ましくは2種の、同じく特に好ましくは3種のモノマーを含む。
【0042】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)は、500ダルトン以下の、より好ましくは400ダルトン以下の、さらに好ましくは350ダルトン以下の分子量を有する。
【0043】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)は、150~500ダルトンの、より好ましくは150~400ダルトンの、さらに好ましくは150~350ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0044】
分子量が平均値周辺に分布している場合、「分子量」という用語は重量平均分子量Mを指す。
【0045】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)は、23℃で3~400mPa・sの、より好ましくは3~150mPa・sの、さらに好ましくは3~50mPa・sの範囲の動的粘度を有する。典型的なせん断速度は100s-1である。粘度を決定する一般的な方法を、本願の実験の部に記載している。この方法は、本発明の文脈で、動的粘度を決定するあらゆる場面に適用することができる。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、成分Bの、2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーは、150~400ダルトンの範囲の分子量を有し、23℃で3~150mPa・sの範囲の動的粘度を有している。
【0047】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)はまた、-O-CH-CH-、-O-CH-CH-CH-、-O-CH-CH(CH)-、および-O-CH(CH)-CH-から選択され、該(メタ)アクリレート基の少なくとも一方に結合している、少なくとも1つの基Yを有している。この基Yは、炭素原子を介して、前述の(メタ)アクリレート基の酸素原子に結合している。
【0048】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)は、アルコキシ化ジオールのジ(メタ)アクリレートである。
【0049】
好ましくは、アルコキシ化ジオールは、エトキシ化ジオール、プロポキシ化ジオール、およびブトキシ化ジオールから選択される。より好ましくは、アルコキシ化ジオールは、エトキシ化ジオールおよびプロポキシ化ジオールから選択される。さらに好ましくは、アルコキシ化ジオールは、エトキシ化ジオールである。同じくさらに好ましくは、アルコキシ化ジオールは、プロポキシ化ジオールである。
【0050】
アルコキシ化ジオールの好ましいジ(メタ)アクリレートは、1分子につき、平均1~20の、より好ましくは2~15の、さらに好ましくは2~10のアルキレンオキシ基を有する。好ましくは、アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、およびブチレンオキシ基から選択される。より好ましくは、アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基から選択される。さらに好ましくは、アルキレンオキシ基は、-O-CH-CH-基、-O-CH-CH(CH)-基、および-O-CH(CH)-CH-基から選択される。特に好ましくは、アルキレンオキシ基は-O-CH-CH-基である。同じく特に好ましくは、アルキレンオキシ基は、-O-CH-CH(CH)-基および-O-CH(CH)-CH-基から選択される。
【0051】
好ましいジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、および3-メチル-1,5-ペンタンジオールである。
【0052】
より好ましいジオールは、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、および3-メチル-1,5-ペンタンジオールである。
【0053】
2つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分B)は、式(B-1)
【化7】
(式中、
各RB1は、独立してHまたはCHであり;
各YB1は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
pは、1~15の数である)
のモノマーである。
【0054】
好ましいのは、
各RB1が、独立してHまたはCHであり;
各YB1が、独立してエチレンまたはプロピレンであり;
pが、1.5~10の数である、
式(B-1)のモノマーである。
【0055】
より好ましいのは、
各RB1が、独立してHまたはCHであり;
各YB1が、独立して-CH-CH-、-CH-CH(CH)-、または-CH(CH)-CH-であり;
pが、1.8~2.4の数である、
式(B-1)のモノマーである。
【0056】
さらに好ましいのは、
各RB1が、Hであり;
各YB1が、独立して-CH-CH(CH)-または-CH(CH)-CH-であり;
pが2である、
式(B-1)のモノマーである。
【0057】
2つの(メタ)アクリレート基を有する特に好ましい化合物(成分B)は、ジプロピレングリコールジアクリレートであり、BASF社からLaromer(登録商標)DPGDAとして市販されている。
【0058】
式(B-1)の化合物は、当業界で公知の方法にしたがい製造することができる。たとえば、式(B-1)の化合物は、式HO(YB1O)Hのジオールを、たとえば(メタ)アクリル酸またはアルキル(メタ)アクリレートと、任意選択により触媒の存在下で反応させることによって、製造することができる。
【0059】
2つの(メタ)アクリレート基を有するさらに好ましいモノマー(成分B)は、式(B-2)
【化8】
(式中、
Tは、炭素数1~10のアルキレンであり;
各RB2は、独立してHまたはCHであり;
各YB2は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
eおよびfは数であり、ただし、e+fは1~10の数である)
のモノマーである。
【0060】
好ましいのは、
Tが、炭素数3~8のアルキレンであり;
各RB2が、独立してHまたはCHであり;
各YB2が、独立してエチレンまたはプロピレンであり;
eおよびfは数であり、ただし、e+fは1.5~5の数である、
式(B-2)のモノマーである。
【0061】
より好ましいのは、
Tが、炭素数4~6のアルキレンであり;
各RB2が、独立してHまたはCHであり;
各YB2が、独立して-CH-CH-、-CH-CH(CH)-、または-CH(CH)-CH-であり;
eおよびfは数であり、ただし、e+fは、1.8~2.4の数である、
式(B-2)のモノマーである。
【0062】
さらに好ましいのは、
Tが、-CH-C(CH-CH-であり;
各RB2が、Hであり;
各YB2が、独立して-CH-CH(CH)-または-CH(CH)-CH-であり;
eおよびfは数であり、ただし、e+fは2である、
式(B-2)のモノマーである。
【0063】
2つの(メタ)アクリレート基を有する特に好ましいモノマー(成分B)は、1分子につき平均2つのプロピレンオキシ基を有するプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、すなわちプロポキシ化(2.0)ネオペンチルグリコールジアクリレート:
(CH=CH-COO-CH(CH)-CH-O-CH-)C(CH
であって、BASF社からLaromer(登録商標)PO 9102として市販されている。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、成分Bは、式(B-1)のモノマーおよび式(B-2)のモノマーからなる群より選択される。
【0065】
式(B-2)のモノマーは、当業界で公知の方法にしたがい製造することができる。たとえば、式(B-2)のモノマーは、式H(OYB2OTO(YB2O)Hのジオールを、たとえば(メタ)アクリル酸またはアルキル(メタ)アクリレートと、任意選択により触媒の存在下で反応させることによって、製造することができる。
【0066】
成分C
任意選択により、本発明の組成物は、成分Cとして、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が600ダルトン以下である少なくとも1種のモノマーを含む。
【0067】
一実施形態では、本発明の組成物は、成分Cとして、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が600ダルトン以下である、1~4種の、好ましくは1~3種の、より好ましくは1種または2種の、さらに好ましくは1種の、同じくさらに好ましくは2種のモノマーを含む。
【0068】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、3~8つの(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。より好ましいのは、3~6つの(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。さらに好ましいのは、3~4つの(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。特に好ましいのは、3つの(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。同じく特に好ましいのは、4つの(メタ)アクリレート基を有するモノマーである。
【0069】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、最大で600g/molの、より好ましくは最大で550g/molの、さらに好ましくは最大で500g/molの分子量を有する。
【0070】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、200~600g/molの、より好ましくは200~550g/molの、さらに好ましくは200~500g/molの範囲の分子量を有する。
【0071】
分子量が平均値周辺に分布している場合、「分子量」という用語は、重量平均分子量Mを指す。
【0072】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、23℃で10~400mPa・sの、より好ましくは10~200mPa・sの、さらに好ましくは10~100mPa・sの範囲の動的粘度を有する。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、成分Cの、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のモノマーは、200~550ダルトンの範囲の分子量を有し、23℃で10~200mPa・sの範囲の動的粘度を有している。
【0074】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)はまた、-O-CH-CH-、-O-CH-CH-CH-、-O-CH-CH(CH)-、および-O-CH(CH)-CH-から選択され、該(メタ)アクリレート基の少なくとも1つに結合している、少なくとも1つの基Yを有している。この基Yは、炭素原子を介して、前述の(メタ)アクリレート基の酸素原子に結合している。
【0075】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、アルコキシ化多価アルコールの(メタ)アクリレートである。
【0076】
好ましくは、アルコキシ化多価アルコールは、エトキシ化多価アルコール、プロポキシ化多価アルコール、およびブトキシ化多価アルコールから選択される。より好ましくは、アルコキシ化多価アルコールは、エトキシ化多価アルコールおよびプロポキシ化多価アルコールから選択される。さらに好ましくは、アルコキシ化多価アルコールは、エトキシ化多価アルコールである。同じくさらに好ましくは、アルコキシ化多価アルコールは、プロポキシ化多価アルコールである。
【0077】
アルコキシ化多価アルコールの好ましい(メタ)アクリレートは、1分子につき、平均3~20の、より好ましくは3~15の、さらに好ましくは3~10のアルキレンオキシ基を有する。好ましくは、アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、およびブチレンオキシ基から選択される。より好ましくは、アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基から選択される。さらに好ましくは、アルキレンオキシ基は、-O-CH-CH-基、-O-CH-CH(CH)-基、および-O-CH(CH)-CH-基から選択される。特に好ましくは、アルキレンオキシ基は、-O-CH-CH-基である。同じく特に好ましくは、アルキレンオキシ基は、-O-CH-CH(CH)-基および-O-CH(CH)-CH-基から選択される。
【0078】
好ましくは、多価アルコールは、トリオール、テトラオール、ペンタオール、およびヘキサオールから選択される。より好ましくは、多価アルコールは、トリオールおよびテトラオールから選択される。さらに好ましくは、多価アルコールはトリオールである。同じくさらに好ましくは、多価アルコールはテトラオールである。
【0079】
好ましいトリオールは、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールである。
【0080】
より好ましいトリオールは、トリメチロールプロパンおよびグリセロールである。
【0081】
好ましいテトラオールは、ペンタエリスリトールおよびジ(トリメチロールプロパン)である。
【0082】
より好ましいテトラオールは、ペンタエリスリトールである。
【0083】
特に好ましいテトラオールは、ペンタエリスリトールである。
【0084】
好ましいヘキサノールは、ジペンタエリスリトールである。
【0085】
好ましくは、分子中の(メタ)アクリレート基の数は、その分子が基づく多価アルコール中のヒドロキシ基の数に対応している。たとえば、多価アルコールがトリオールである場合、(メタ)アクリレート基の数は好ましくは3である。多価アルコールがテトラオールである場合、(メタ)アクリレート基の数は好ましくは4である。多価アルコールがペンタオールである場合、(メタ)アクリレート基の数は好ましくは5である。多価アルコールがヘキサオールである場合、(メタ)アクリレート基の数は好ましくは6である。
【0086】
アルコキシ化多価アルコールの好ましい(メタ)アクリレートは、アルコキシ化トリオールのトリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラオールのテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ペンタオールのペンタ(メタ)アクリレート、およびアルコキシ化ヘキサオールのヘキサ(メタ)アクリレートから選択される。アルコキシ化多価アルコールのより好ましい(メタ)アクリレートは、アルコキシ化トリオールのトリ(メタ)アクリレートおよびアルコキシ化テトラオールのテトラ(メタ)アクリレートから選択される。さらに好ましいのは、アルコキシ化トリオールのトリ(メタ)アクリレートである。同じくさらに好ましいのは、アルコキシ化テトラオールのテトラ(メタ)アクリレートである。
【0087】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する好ましいモノマー(成分C)は、式(C-1)
【化9】
(式中、
各RC1は、独立してHまたはCHであり;
各YC1は、独立してエチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
a、b、c、およびdは数であり、ただし、a+b+c+dは1~15の数である)
の化合物である。
【0088】
好ましいのは、
各RC1が、独立してHまたはCHであり;
各YC1が、独立してエチレンまたはプロピレンであり;
a、b、c、およびdが数であり、ただし、a+b+c+dが2~10の数である、
式(C-1)のモノマーである。
【0089】
より好ましいのは、
各RC1が、独立してHまたはCHであり;
各YC1が、独立して-CH-CH-、-CH-CH(CH)-、または-CH(CH)-CH-であり;
a、b、c、およびdが数であり、ただし、a+b+c+dが3~8の数である、
式(C-1)のモノマーである。
【0090】
さらに好ましいのは、
各RC1が、Hであり;
各YC1が、-CH-CH-であり;
a、b、c、およびdが数であり、ただし、a+b+c+dが4~6の数である、
式(C-1)のモノマーである。
【0091】
少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を有する特に好ましいモノマー(成分C)は、1分子につき平均5つのエチレンオキシ基を有するエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートである。「1分子につき平均5つのエチレンオキシ基を有するエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート」は、1分子につき平均5つのエチレンオキシ基を有する、エトキシ化ペンタエリスリトールのテトラアクリレート(エトキシ化(5.0)ペンタエリスロールテトラアクリレート)であって、BASF社からLaromer(登録商標)PPTTAとして市販されている。
【0092】
式(C-1)の化合物は、当業界で公知の方法にしたがい製造することができる。たとえば、式(C-1)の化合物は、対応するアルコキシ化(たとえばエトキシ化、プロポキシ化、またはブトキシ化)ペンタエリスリトールを、たとえば(メタ)アクリル酸またはアルキル(メタ)アクリレートと、任意選択により触媒の存在下で反応させることによって、製造することができる。
【0093】
成分D
本発明の組成物は、成分Dとして、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有し分子量が少なくとも700ダルトンである少なくとも1種のポリマーを含む。
【0094】
好ましいポリマー(成分D)は、少なくとも700ダルトンの、より好ましくは少なくとも1000ダルトンの、さらに好ましくは少なくとも1500ダルトンの分子量を有する。
【0095】
好ましいポリマー(成分D)は、700~2000ダルトンの範囲の分子量を有する。分子量が平均値周辺に分布している場合、「分子量」という用語は重量平均分子量Mを指す。
【0096】
好ましいポリマー(成分D)は、23℃で100~5000mPa・sの、より好ましくは100~2500mPa・sの、さらに好ましくは100~1000mPa・sの範囲の動的粘度を有する。
【0097】
さらに好ましい実施形態では、成分Dの、少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を有する少なくとも1種のポリマーは、1000~2000ダルトンの範囲の分子量を有し、23℃で100~2500mPa・sの範囲の動的粘度を有している。
【0098】
成分Dとしての好適なポリマーは、低~中度の粘度、良好なフィルム形成特性、ならびに紙、プラスチック、およびほかの基材への良好な付着性を示す。そのようなポリマーは当業者には公知であり、市販されている。
【0099】
成分Dとして好ましいのは、以下のものである:
a)以下のような様々な商品名で市販されているアミン変性ポリエーテルアクリレート
Laromer(登録商標)PO 94 F(BASF SE、23.0℃での粘度、300~600mPa・s)、
Laromer(登録商標)PO 9103(BASF SE、23.0℃での粘度、2500~4000mPa・s)、
Laromer(登録商標)PO 9106(BASF SE、23.0℃での粘度、2500~3500mPa・s)、
Laromer(登録商標)LR 8997(BASF SE、23.0℃での粘度、300~500mPa・s);
b)SR415(Sartomer社、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、25℃での粘度、150~300mPa・s)、SR 9035(Sartomer社、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、25℃での粘度、100~240mPa・s)などの様々な商品名で市販されているポリエーテルアクリレート(非アミン変性);
c)以下のような様々な商品名で入手可能なポリエステルアクリレート
Laromer(登録商標)PE 9105(BASF SE、四官能性ポリエステルアクリレート、23℃での粘度、150~400mPa・s)、
Genomer(登録商標)3485(Rahn AG、ポリエステルアクリレート、25℃での粘度、500mPa・s)、
CN 2305(Sartomer社、多分枝鎖ポリエステルアクリレート、25℃での粘度、250~400mPa・s)、
CN 2505(Sartomer社、ポリエステルアクリレート、25℃での粘度、400~1000mPa・s);
d)以下のような様々な商品名で入手可能なウレタンアクリレート
CN 925(Sartomer社、25℃での粘度、2500mPa・s)、
CN 9251(Sartomer社、20℃での粘度、450mPa・s)。
【0100】
ある好ましい実施形態では、ポリマー(成分D)はアミノ基も有する。
【0101】
好ましい一実施形態では、ポリマー(成分D)はアミン変性ポリエーテルアクリレートである。好適なアミン変性ポリエーテルアクリレートは当業者には公知である。
【0102】
さらに好ましい実施形態では、ポリマー(成分D)は、アルコキシ化多価アルコールのアミン変性(メタ)アクリレートである。アルコキシ化多価アルコールの好適なアミン変性(メタ)アクリレートは、当業者には公知である。
【0103】
成分E(光重合開始剤)
任意選択により、本発明の組成物は、成分Eとして、1種または複数種の、好ましくは1~5種の、より好ましくは1~4種の、さらに好ましくは2~4種の光重合開始剤を含む。好適な光重合開始剤は、当業者には公知である。
【0104】
好適な光重合開始剤の例としては、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、アシル-ホスフィンオキシド、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、およびベンジル誘導体、アセトフェノンおよびアセトフェノン誘導体、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体が挙げられる。
【0105】
好ましい光重合開始剤の例としては、α-ヒドロキシケトンおよびアシルホスフィンオキシドが挙げられる。特に好ましい光重合開始剤の例としては、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、またはジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0106】
特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、光重合開始剤として、Irgacure(登録商標)127、Irgacure(登録商標)819、および/またはIrgacure(登録商標)TPOを含み、これらはIGM Resins社から市販されている。
【0107】
光重合開始剤成分Eはさらに、1種または複数種の協力剤を(成分E全体に対して)最大50重量%まで含んでいてもよい。協力剤の例としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、またはN-メチルジエタノールアミンのような脂肪族第三級アミン、および4-ジメチルアミノ安息香酸のエステルのような芳香族アミンが挙げられる。
【0108】
光重合開始剤を含まない本発明の組成物は、たとえば電子線硬化プロセスで用いることができる。
【0109】
成分F(着色剤)
任意選択により、本発明の組成物は、成分Fとして、1種または複数種の、好ましくは1~5種の、より好ましくは1~4種の、さらに好ましくは1~3種の着色剤を含む。好適な着色剤は、当業者には公知である。好ましい着色剤は、顔料および染料である。より好ましい着色剤は、顔料である。
【0110】
好適な染料の例としては、アゾ染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、またはアジン染料が挙げられる。
【0111】
好適な顔料の例としては、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、カーボンブラック、鉄酸化物、および二酸化チタンが挙げられる。
【0112】
好ましい顔料の例としては、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、およびカーボンブラックが挙げられる。
【0113】
特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、着色剤/顔料として、Microlith(登録商標)ブルー 7080 J、Microlith(登録商標)マゼンタ 4500 J、Microlith(登録商標)イエロー 1061 J、またはMicrolith(登録商標)ブラック 0066 Jを含み、これらは市販されている。
【0114】
Microlith(登録商標)ブルー 7080 Jは、アクリルコポリマー結合剤に予め分散されたフタロシアニン顔料(約70重量%)を含有する顔料調製物である。Microlith(登録商標)マゼンタ 4500 Jは、アクリルコポリマー結合剤に予め分散されたキナクリドン顔料(約70重量%)を含有する顔料調製物である。Microlith(登録商標)イエロー 1061 Jは、アクリルコポリマー結合剤に予め分散されたベンゾイミダゾロン顔料(約70重量%)を含有する顔料調製物である。Microlith(登録商標)ブラック 0066 Jは、アクリルコポリマー結合剤に予め分散されたカーボンブラック(約65重量%)を含有する顔料調製物である。
【0115】
着色剤を含まない本発明の組成物は、たとえばオーバープリントワニスとして用いることができる。
【0116】
成分G(安定剤)
本発明の組成物は、成分Gとして、1種または複数種の、好ましくは1~5種の、より好ましくは1~4種の、さらに好ましくは1~3種の缶内(in-can)安定剤を含む。好適な缶内安定剤は、当業者には公知である。
【0117】
好ましい一実施形態では、安定剤は缶内安定剤である。
【0118】
「缶内安定剤」という用語は、長期保存の安定性を向上させる安定剤を意味する。好適な安定剤の例としては、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジンまたは4-ヒドロキシ-1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどのニトロキシル化合物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールなどのフェノール誘導体、トコフェロール、キノン、ベンゾキノン、4-ベンジリデン-2,6-ジtert-ブチル-シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンなどのキノンメチド誘導体、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのヒドロキノン、N-オキシル化合物、芳香族アミン、フェニレンジアミン、イミン、スルホンアミド、オキシム、ヒドロキシルアミン、尿素誘導体、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル、次亜リン酸、亜リン酸トリノニル、亜リン酸トリエチル、またはジフェニルイソプロピルホスフィンなどのリン含有化合物、フェノチアジンなどのイオウ含有化合物、テトラアザアヌレン誘導体が挙げられる。
【0119】
特に好ましい安定剤の例は、メチルヒドロキノンまたはフェノチアジンである。特に好ましい安定剤の別の例は、4-ベンジリデン-2,6-ジtert-ブチル-シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンである。
【0120】
特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、安定剤として、Irgastab(登録商標)UV 25を含み、これはBASF社から市販されている。
【0121】
1種または複数種の安定剤の存在により、組成物の保存および/または輸送の安定性が大きく向上する。
【0122】
成分H(さらなるモノマー)
任意選択により、本発明の組成物は、成分Hとして、1種または複数種のさらなるモノマーを含む。好ましくは、さらなるモノマー(成分H)は、成分A~Cとは異なる。好適なさらなるモノマーは、当業者には公知である。
【0123】
さらなるモノマー(成分H)の例としては、以下が挙げられる:
N-ビニル化合物、たとえば
N-ビニル-ピロリドン(NVP)、
N-ビニル-カプロラクタム(NVC)、
N-ビニル-イミダゾール、
N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VIMA)
O-ビニル化合物、たとえば
エチルビニルエーテル、
n-ブチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、
tert-ブチルビニルエーテル、
シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、
2-エチルヘキシルビニルエーテル(EHVE)、
ドデシルビニルエーテル(DDVE)、
オクタデシルビニルエーテル(ODVE)
ジビニル化合物、たとえば
1,4-ブタンジオールジビニルエーテル(BDDVE)、
ジエチレングリコールジビニルエーテル(DVE-2)、
トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE-3)、
1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDM-di)
ヒドロキシビニル化合物、たとえば
ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、
1,4-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHDM-mono)
その他のビニル化合物、たとえば
1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(TVCH)
混合アクリレート/ビニルエーテル化合物、たとえば
2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA)
2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリレート(VEEM)。
【0124】
成分J(さらなる添加剤)
任意選択により、本発明の組成物は、成分Jとして、1種または複数種のさらなる添加剤を含む。さらなる添加剤(成分J)は、成分A~Hとは異なる。
【0125】
さらなる添加剤(成分J)の例としては、分散剤、フィラー、流動性補助剤、スリップ剤、レベリング剤、基材湿潤剤、消泡剤、帯電防止剤、および抗酸化剤が挙げられる。
【0126】
好適なさらなる添加剤は、当業者には公知である。
【0127】
さらなる添加剤(成分J)の一分類として好ましいのは、分散剤である。
【0128】
好適な分散剤は、当業者には公知である。分散剤として好ましいのは、Efka(登録商標)PA 4400(BASF社)およびEfka(登録商標)PX 4733(BASF社)などの高分子量変性ポリアクリレート、ならびにEfka(登録商標)PX 4701(BASF社)およびEfka(登録商標)PX 4320などの高分子量アクリルブロックコポリマーである。
【0129】
一実施形態では、有機変性ポリシロキサンが、さらなる添加剤として、たとえばスリップ剤、レベリング剤、および/または基材湿潤剤として用いられる。別の実施形態では、BASF社から市販されているEfka(登録商標)SL 3210が、さらなる添加剤として、たとえばスリップ剤、レベリング剤、および/または基材湿潤剤として用いられる。
【0130】
組成物
本発明の組成物は、
a)1.00%から、好ましくは3.00%から、より好ましくは3.00%から、特に5.00%から65.00%まで、好ましくは50%まで、より好ましくは40.00%まで、特に30.00%までの成分A;
b)1.00%から、好ましくは5.00%から、より好ましくは10.00%から、特に20%から60%まで、好ましくは55%まで、より好ましくは40.00%まで、特に35.00%までの成分B;
c)0.00%から、好ましくは0.50%から、より好ましくは3.00%から、特に5.00%から25.00%まで、好ましくは22.50%まで、より好ましくは20.00%まで、特に15%までの成分C(一実施形態では、成分Cの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Cの量は少なくとも0.50%である);
d)1.00%から、好ましくは3.00%から、より好ましくは5.00%から、特に7.50%から30.00%まで、好ましくは25.00%まで、より好ましくは20.00%まで、特に15.00%までの成分D;
e)0.00%から、好ましくは3.00%から、より好ましくは5.00%から、特に7.50%から20.00%まで、好ましくは15.00%まで、より好ましくは12.00%まで、特に10.00%までの成分E(一実施形態では、成分Eの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Eの量は少なくとも3.00%である);
f)0.00%から、好ましくは0.10%から、より好ましくは0.50%から、特に1.00%から10.00%まで、好ましくは7.50%まで、より好ましくは7.25%まで、特に5.00%までの成分F(一実施形態では、成分Fの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Fの量は少なくとも0.10%である);
g)0.00%から、好ましくは0.01%から、より好ましくは0.02%から、特に0.05%から2.00%まで、好ましくは1.50%まで、より好ましくは0.75%まで、特に0.50%までの成分G(一実施形態では、成分Gの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Gの量は少なくとも0.01%である);
h)0.00%から、好ましくは1.00%から、より好ましくは5.00%から、特に10%から50%まで、好ましくは40.00%まで、より好ましくは30%まで、特に25%までの成分H(一実施形態では、成分Hの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Hの量は、少なくとも1.00%である)、および
i)0.00%から、好ましくは0.10%から、より好ましくは0.20%から、特に0.25%から10%まで、好ましくは7.50%まで、より好ましくは5.00%まで、特に3.00%までの成分J(一実施形態では、成分Jの量は0.00%であり、別の実施形態では、成分Jの量は少なくとも0.10%である)
を含み、好ましくはこれらからなり、
いずれの場合にも、成分A+成分Bの量は少なくとも50であり、成分A~Jの量は合計で100%となる(以上、パーセントはすべて重量%)。
【0131】
さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
a)3.00重量%~50重量%の成分A;
b)5.00重量%~55重量%の成分B;
c)0.50重量%~22.50重量%の成分C;
d)3.00重量%~25.00重量%の成分D;
e)3.00重量%~15.00重量%の成分E;
f)0.10重量%~7.50重量%の成分F;
g)0.01重量%~1.50重量%の成分G;
h)0.00重量%~、または1.00重量%~40.00重量%の成分H;
i)0.10重量%~7.50重量%の成分J
を含み、好ましくはこれらからなり、
いずれの場合にも、成分A+成分Bの量は少なくとも50重量%であり、成分A~Jの量は合計で100重量%となる。
【0132】
本発明の組成物は、好ましくは、水分含有量が2.00重量%未満、より好ましくは0.50重量%未満、さらに好ましくは0.10重量%未満である。様々な成分に含まれる微量水分による一般的な水分含有量は、0.10~0.40重量%である。
【0133】
本発明の組成物は、好ましくは、2.00重量%未満の、より好ましくは0.50重量%未満の、さらに好ましくは0.10重量%未満の1種または複数種の不活性有機溶媒を含む。様々な成分の合成に由来する微量の不活性有機溶媒の一般的な含有量は、0.10~0.04重量%である。
【0134】
一実施形態では、本発明の組成物にはN-ビニル-ピロリドン(NVP)が含まれないが、これは、該組成物がその全重量に対して1.00重量%未満、より好ましくは0.50重量%未満、さらに好ましくは0.10重量%未満、特に好ましくは0.01重量%未満しかN-ビニル-ピロリドン(NVP)を含まないことを意味する。
【0135】
一実施形態では、本発明の組成物にはN-ビニル-カプロラクタム(NVC)が含まれないが、これは、該組成物がその全重量に対して1.00重量%未満、より好ましくは0.50重量%未満、さらに好ましくは0.10重量%未満、特に好ましくは0.01重量%未満しかN-ビニル-カプロラクタム(NVC)を含まないことを意味する。
【0136】
一実施形態では、本発明の組成物にはN-ビニル-ピロリドン(NVP)が含まれず、かつN-ビニル-カプロラクタム(NVC)が含まれない。
【0137】
ある好ましい実施形態では、本発明の組成物は印刷用インキである。
【0138】
特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、インクジェット印刷用インキである。好ましくは、本発明の組成物は、5~100mPa・sの、より好ましくは15~60mPa・sの、さらに好ましくは20~50mPa・sの、特に好ましくは25~45mPa・sの範囲の粘度(動的粘度、23℃、せん断速度100s-1)を有する。
【0139】
本発明の組成物は、当業界で公知の方法により製造することができる。たとえば、本発明の組成物は、該組成物の成分を何らかの順に加え、混合することにより製造することができる。
【0140】
本発明のさらなる目的
本発明のさらなる態様では、本発明の組成物の印刷用インキとしての使用を提供する。好ましくは、組成物はインクジェット印刷用インキとして用いられる。したがって、本発明のさらなる態様では、本発明の組成物のインクジェット印刷用インキとしての使用を提供する。
【0141】
本発明のさらなる態様では、印刷の、好ましくはインクジェット印刷の方法を提供し、該方法は、
a)本発明の組成物を基材に塗布するステップ;
b)該組成物を硬化させるステップ
を含む。
【0142】
好ましい印刷技法は、インクジェット印刷、フレキソグラフィック印刷(フレキソ印刷、フレキソグラフィー)、グラビア印刷、スクリーン印刷、リソグラフィック印刷(リソ印刷、リソグラフィー)、オフセット印刷、または凸版印刷である。
【0143】
特に好ましい印刷技法は、インクジェット印刷である。
【0144】
様々なインクジェットプリンターを用いることができる。好適なインクジェットプリンターの例としては、シングルパス・インクジェットプリンターおよびマルチパス・インクジェットプリンターが挙げられる。
【0145】
本発明の組成物は、様々な基材に塗布することができる。好ましい基材は、紙、カートン、厚紙、ダンボール、ガラス、プラスチックフィルム、または金属化フィルムである。より好ましい基材は、プラスチックフィルムである。
【0146】
プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルクロリドフィルム、ポリカーボネートフィルム、またはポリオレフィン(たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン)フィルムが挙げられる。より好ましいプラスチックフィルムの例は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルクロリドフィルム、ポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルムである。
【0147】
基材、たとえばプラスチックフィルムに、前処理、たとえばコロナ前処理を施すことができる。本発明の組成物は、当業界で公知の方法により硬化させることができる。好ましくは、本発明の組成物を化学線照射への曝露により硬化させる。化学線照射は、好ましくはUV照射であり、好ましくは200~500nmの、より好ましくは250~450nmの範囲の波長を有する。
【0148】
様々な照射源を用いて本発明の組成物を硬化させることができる。好適な照射源の例としては、ハロゲンランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、UV LED、エキシマーランプ、またはレーザーが挙げられる。一実施形態では、中圧水銀/ガリウムランプを用いて本発明の組成物を硬化させる。
【0149】
一実施形態では、本発明の組成物を電子線により硬化させる。
【0150】
好ましくは、本発明の組成物を、大気下、15~40℃の、より好ましくは20~40℃の、さらに好ましくは20~35℃の温度範囲で硬化させる。本発明の組成物は、窒素雰囲気または二酸化炭素雰囲気などの不活性雰囲気下で硬化させることができる。
【0151】
本発明は、以下の実施例により説明されるが、それらに限定されるものではない。
【0152】
実施例
1 材料
1.1 化学物質
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(IPGA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)POEA(2-フェノキシエチルアクリレート)(POEA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)LR8887(環状トリメチロールプロパンホルマルアクリレート)(CTFA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)TBCH(4-tert-ブチル-シクロヘキシルアクリレート)(TBCH)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート Lauryl Acrylate 1214(ラウリルアクリレート)(LA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート イソ-デシルアクリレート(イソデシルアクリレート)(IDA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート エチルジグリコールアクリレート(EDGA)
- BASF SEの単官能性モノマーアクリレート ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート(DCPA)
- BASF SEの単官能性モノマービニルアミド N-ビニル-カプロラクタム(NVC)
- BASF SEの二官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)(DPGDA);分子量:242g/mol
- BASF SEの二官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)PO 9102(プロポキシ化(2.0)ネオペンチルグリコールジアクリレート)(PONPGDA)
- BASF SEの二官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)HDDA(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)(HDDA)
- BASF SEの二官能性モノマービニルエーテル トリエチレングリコールジビニルエーテル(→DVE-3)
- BASF SEの四官能性モノマーアクリレート Laromer(登録商標)PPTTA(エトキシ化(5.0)ペンタエリスリトールテトラアクリレート)(→PPTTA);分子量:572g/mol(計算値)
- BASF SEの高分子アミン変性ポリエーテルアクリレート Laromer(登録商標)PO 94 F
- IHM Resins社の光重合開始剤 Irgacure(登録商標)127
- IGM Resins社の光重合開始剤 Irgacure(登録商標)819
- IGM Resins社の光重合開始剤 Irgacure(登録商標)TPO
- BASF SEの基材湿潤剤 EFKA(登録商標)SL 3210
- BASF SEの缶内安定剤 Irgastab(登録商標)UV 25
- BASF SEの顔料調製物 Microlith(登録商標)イエロー 1061 J(70%顔料)(カラーインデックス:ピグメントイエロー 151)
- BASF SEの顔料調製物 Microlith(登録商標)マゼンタ 4500 J(70%顔料)(カラーインデックス:なし、キナクリドン混合結晶)
- BASF SEの顔料調製物 Microlith(登録商標)ブルー 7080 J(70%顔料)(カラーインデックス:ピグメントブルー 15:3)
- BASF SEの顔料調製物 Microlith(登録商標)ブラック 0066 J(65%顔料)(カラーインデックス:ピグメントブラック 7)
- MeHQ:ヒドロキノンのモノメチルエーテルまたはヒドロキノンモノメチルエーテル 4-メトキシフェノールまたは4-ヒドロキシアニソールとしても知られる
- ソルケタール 以下の製造例で用いられ、下記の化合物を指す
【化10】
【0153】
- Irgastab(登録商標)UV 25:4-ベンジリデン-2,6-ジtert-ブチル-シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン(14重量%) Laromer(登録商標)POEA中
- Irgacure(登録商標)127:2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン
- Irgacure(登録商標)819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド
- Irgacure(登録商標)TPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
- Efka(登録商標)SL 3210:有機変性ポリシロキサン
- PCシアン:Microlith(登録商標)ブルー 7080 J(顔料濃縮物に対して12重量%)、Laromer(登録商標)POEA(顔料濃縮物に対して48重量%)、およびLaromer(登録商標)PO 9102(顔料濃縮物に対して40重量%)で構成される顔料濃縮物
- PCマゼンタ:Microlith(登録商標)マゼンタ 4500 J(顔料濃縮物に対して19重量%)、Laromer(登録商標)POEA(顔料濃縮物に対して41重量%)、およびLaromer(登録商標)PO 9102(顔料濃縮物に対して40重量%)で構成される顔料濃縮物
- PCイエロー:Microlith(登録商標)イエロー 1061 J(顔料濃縮物に対して18重量%)、フェノキシエチルアクリレート(顔料濃縮物に対して42重量%)、およびLaromer(登録商標)PO 9102(顔料濃縮物に対して40重量%)で構成される顔料濃縮物
- PCブラック:Microlith(登録商標)ブラック 0066 J(顔料濃縮物に対して14重量%)、フェノキシエチルアクリレート(顔料濃縮物に対して46重量%)、およびLaromer(登録商標)PO 9102(顔料濃縮物に対して40重量%)で構成される顔料濃縮物。
【0154】
1.2 基材
- 化学処理した、DuPont Teijin Films社のMelinex(登録商標)506 透明ポリエステル(PET)フィルム 厚さ175μm
- コロナ処理した、Jindal Films社のBicor(登録商標)MB400 透明二軸延伸ポリプロピレン(boPP)フィルム 厚さ30μm
- コロナ処理した、Hapece社の透明低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム 厚さ50μm。
【0155】
2 器具
- IST METZ社の中圧水銀/ガリウムランプ付きコンベヤーベルト式UV乾燥機、最大電気入力200W/cm
- RK PrintCoat Instruments社の変速可能、12μmスパイラル・バーコーター付きK Control Coater モデル101
- ATP Engineering社のDispermill(登録商標)Yellowline 2075溶解機
- Anton Paar社のコーン・プレート型Physica(登録商標)MCR 301流量計
- BYK Gardner社のMicro-gloss 60°光沢度計
- Kuehnast社のUV Integrator 140放射計
- X-Rite社の500 Series Spectrodensitometer。
【0156】
3 測定方法
粘度:
粘度は、23.0℃で、せん断速度を1sec-1から10sec-1を超え100sec-1、そして1000sec-1まで上げて、異なるせん断速度で測定した。
【0157】
光沢:
光沢は、角度60°で、無次元グロスユニットで評価した。
【0158】
色濃度:
色濃度は、Melinex(登録商標)506上の12μmドローダウンのインキ濃度として決定した。対応するドローダウンを自動式コーターで作成し、直後に、反応性について決定したエネルギー密度よりも10%高いエネルギー密度でUV乾燥機でUV硬化させた。
【0159】
反応性:
反応性は、Melinex(登録商標)506上の12μmドローダウンについて、mJ/cmで表すエネルギー密度として、放射計により決定した。対応するドローダウンを自動式コーターで作成し、直後に、UV乾燥機で、コンベヤーベルトのスピードを変えながら、それに伴いエネルギー密度を変えながら、UVインキフィルムがサム・ツイスト試験でもう損傷しなくなるまでUV硬化させた。サム・ツイスト試験では、UVインキフィルムの表面に親指を押し当てて時計回りにひねり、続いて反時計回りに押し当ててひねるのを、UVインキフィルム上にその跡がもう観察できなくなるまで行った。この時点のエネルギー密度を反応性と定義した。
【0160】
付着性:
付着性は、自動式コーターでboPPフィルムおよびPEフィルム上に作成した直後に、反応性について決定したエネルギー密度よりも10%高いエネルギー密度でUV乾燥機でUV硬化させた、12μmドローダウンについて決定した。24時間後、3M社のScotch(登録商標)Cellophane Film Tape 610を用いてテープ試験を行うことで、付着性を決定した。付着性は、基材上のUVインキの残量を目視で評価し、5=100%の付着から、1=0%の付着まで、評点した。
【0161】
アセトン耐久性:
アセトン耐久性は、自動式コーターでMelinex(登録商標)506上に作成した直後に、反応性について決定したエネルギー密度よりも10%高いエネルギー密度でUV乾燥機でUV硬化させた、12μmドローダウンについて決定した。24時間後、アセトンに浸した綿パッドで往復擦りを行い、UVインキフィルム表面に視認できるダメージを与えない回数を記録した。往復擦りを行った回数は、最高100回であった。
【0162】
4 IPGA、顔料濃縮物、およびUVインクジェットインキの製造
4.1 IPGA
製造例:(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(IPGA)
【化11】
【0163】
カラム(構造化充填物Montz A3-500)、冷却器、還流スプリッター、アンカースタラー、およびリーンエア導入管を備えた4Lダブルジャケット反応器に、エチルアクリレート(2650g)、MeHQ(1.36g)、フェノチアジン(136mg)、およびソルケタール(1250g)を加えた。チタンテトライソプロポキシレート(54g)を加え、リーンエア導入を開始し、混合物を真空度800mbarでサンプ温度86℃まで加熱した。混合物が沸騰し始めると、反応の進行中は還流比10:1(還流:留出)となるように調節した。サンプ温度は104℃まで上昇したが、真空度は630mbarとなるようにした。サンプおよび留出物のサンプルを定期的に採取して、反応の進行をモニターした。5時間後、留出物のGCが、0.7%のエタノール含有を示した(GC面積%)。水300mLを加えた。30分後、浴温度80℃、真空度20mbarで、水とエチルアクリレートが留去された。濾過後、収量1670g、純度96%の生成物を得た(GC面積%)。
【化12】
【0164】
4.2 顔料濃縮物
顔料濃縮物は、固体の、すでに予め分散済みのナノスケールのMicrolith(登録商標)J顔料調製物を、分散容器内で撹拌しながらゆっくりとLaromer(登録商標)POEAおよびLaromer(登録商標)PO 9102に加えた後、溶解機で30分、3200rpmで高速混合することにより、製造した(濃度はすべて重量%で示す)。得られた液体顔料濃縮物は、さらなる特徴づけをせず、対応するUVインクジェットインキの製造に用いた。
【表1】
【0165】
4.3 UVインクジェットインキ
4.3.1 UVインクジェット イエロー
すべての無色調合化合物を、分散容器内で撹拌しながら静かに混合し、次いでホットプレート上で50℃まで加熱して、溶解しにくい光重合開始剤Irgacure(登録商標)127およびIrgacure(登録商標)819の完全な溶解を達成した。その後、顔料濃縮物PCイエローを加え、得られたUVインクジェットインキを溶解機で5分間、600rpmで混合することにより均質化した(濃度はすべて重量%で示す)。
【表2】
【表3】
【0166】
4.3.2 UVインクジェット マゼンタ
すべての無色調合化合物を、分散容器内で撹拌しながら静かに混合し、次いでホットプレート上で50℃まで加熱して、溶解しにくい光重合開始剤Irgacure(登録商標)127およびIrgacure(登録商標)819の完全な溶解を達成した。その後、顔料濃縮物PCマゼンタを加え、得られたUVインクジェットインキを溶解機で5分間、600rpmで混合することにより均質化した(濃度はすべて重量%で示す)。
【表4】
【表5】
【0167】
4.3.3 UVインクジェット シアン
すべての無色調合化合物を、分散容器内で撹拌しながら静かに混合し、次いでホットプレート上で50℃まで加熱して、溶解しにくい光重合開始剤Irgacure(登録商標)127およびIrgacure(登録商標)819の完全な溶解を達成した。その後、顔料濃縮物PCシアンを加え、得られたUVインクジェットインキを溶解機で5分間、600rpmで混合することにより均質化した(濃度はすべて重量%で示す)。
【表6】
【表7】
【0168】
4.3.4 UVインクジェット ブラック
すべての無色調合化合物を、分散容器内で撹拌しながら静かに混合し、次いでホットプレート上で50℃まで加熱して、溶解しにくい光重合開始剤Irgacure(登録商標)127およびIrgacure(登録商標)819の完全な溶解を達成した。その後、顔料濃縮物PCブラックを加え、得られたUVインクジェットインキを溶解機で5分間、600rpmで混合することにより均質化した(濃度はすべて重量%で示す)。
【表8】
【表9】
【0169】
5 性能評価および結果
5.1 UVインクジェット イエロー
5.1.1 流動性、光沢、色濃度、および反応性
IPGAは、対応するUVインクジェットインキで、調査したすべてのせん断速度範囲にわたり、供給レベル20%でも40%でも、優れたニュートン性流動の挙動を示している。UVインクジェットにおいてはトラブルのない吐出プロセスを維持できるようできるだけ低いのが好ましい粘度は、POEA、CTFA、TBCH、およびDCPAのようなほかの一般的な単官能性モノマーアクリレートの粘度よりも低い。これは、その用途を大幅に制限している好ましくない毒性プロファイルはあれど性能面ではしばしば性能のベンチマークとされるNVCと、同じレベルである。
【0170】
光沢および色濃度については、評価を行ったモノマーアクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミド間に有意差はない。
【0171】
反応性という点では、IPGAは、もっとも速く硬化するモノマーアクリレートの一つであり、その点においては低粘度の単官能性モノマーアクリレートのLAおよびIDAのみならず、二官能性モノマーアクリレートのHDDAおよび二官能性モノマービニルエーテルのDVE-3をも明確に凌いでおり、後者は、供給レベル40%では全くUV硬化しなくなる。
【表10】
【0172】
5.1.2 付着性およびアセトン耐久性
IPGAは、ほかのモノマーアクリレート、ビニルエーテル、およびビニルアミドと比べて優れた付着性およびアセトン耐久特性を示している。
【表11】
【0173】
5.2 UVインクジェット マゼンタ
5.2.1 流動性、光沢、色濃度および反応性
IPGAは、対応するUVインクジェットインキで、調査したすべてのせん断速度範囲にわたり、供給レベル20%でも40%でも、優れたニュートン性流動の挙動を示している。UVインクジェットにおいてはトラブルのない吐出プロセスを維持できるようできるだけ低いのが好ましい粘度は、POEA、CTFA、TBCH、およびDCPAのようなほかの一般的な単官能性モノマーアクリレートの粘度よりも低い。これは、その用途を大幅に制限している好ましくない毒性プロファイルはあれど性能面ではしばしば性能のベンチマークとされるNVCと、同じレベルである。
【0174】
光沢および色濃度については、評価を行ったモノマーアクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミド間に有意差はない。
【0175】
反応性という点では、IPGAは、もっとも速く硬化するモノマーアクリレートの一つであり、その点においては低粘度の単官能性モノマーアクリレートのLAおよびIDAのみならず、二官能性モノマーアクリレートのHDDAおよび二官能性モノマービニルエーテルのDVE-3をも明確に凌いでおり、後者は、供給レベル40%では全くUV硬化しなくなる。
【表12】
【0176】
5.2.2 付着性およびアセトン耐久性
IPGAは、ほかのモノマーアクリレート、ビニルエーテル、およびビニルアミドと比べて非常に良好な付着性およびアセトン耐久特性を示している。
【表13】
【0177】
5.3 UVインクジェット シアン
5.3.1 流動性、光沢、色濃度および反応性
IPGAは、対応するUVインクジェットインキで、調査したすべてのせん断速度範囲にわたり、供給レベル20%でも40%でも、優れたニュートン性流動の挙動を示している。UVインクジェットにおいてはトラブルのない吐出プロセスを維持できるようできるだけ低いのが好ましい粘度は、POEA、CTFA、TBCH、およびDCPAのようなほかの一般的な単官能性モノマーアクリレートの粘度よりも低い。これは、その用途を大幅に制限している好ましくない毒性プロファイルはあれど性能面ではしばしば性能のベンチマークとされるNVCと、同じレベルである。
【0178】
光沢および色濃度については、評価を行ったモノマーアクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミド間に有意差はない。
【0179】
反応性という点では、IPGAは、もっとも速く硬化するモノマーアクリレートの一つであり、その点においては低粘度の単官能性モノマーアクリレートのLAおよびIDAのみならず、二官能性モノマーアクリレートのHDDAおよび二官能性モノマービニルエーテルのDVE-3をも明確に凌いでおり、後者は、供給レベル40%では全くUV硬化しなくなる。
【表14】
【0180】
5.3.2 付着性およびアセトン耐久性
IPGAは、ほかのモノマーアクリレート、ビニルエーテル、およびビニルアミドと比べて非常に良好な付着性およびアセトン耐久特性を示している。
【表15】
【0181】
5.4 UVインクジェット ブラック
5.4.1 流動性、光沢、色濃度および反応性
IPGAは、対応するUVインクジェットインキで、調査したすべてのせん断速度範囲にわたり、供給レベル20%でも40%でも、優れたニュートン性流動の挙動を示している。UVインクジェットにおいてはトラブルのない吐出プロセスを維持できるようできるだけ低いのが好ましい粘度は、POEA、CTFA、TBCH、およびDCPAのようなほかの一般的な単官能性モノマーアクリレートの粘度よりも低い。これは、その用途を大幅に制限している好ましくない毒性プロファイルはあれど性能面ではしばしば性能のベンチマークとされるNVCと、同じレベルである。
【0182】
光沢および色濃度については、評価を行ったモノマーアクリレート、ビニルエーテル、ビニルアミド間に有意差はない。
【0183】
反応性という点では、IPGAは、もっとも速く硬化するモノマーアクリレートの一つであり、その点においては低粘度の単官能性モノマーアクリレートのLAおよびIDAのみならず、二官能性モノマーアクリレートのHDDAおよび二官能性モノマービニルエーテルのDVE-3をも明確に凌いでおり、後者は、供給レベル40%では全くUV硬化しなくなる。
【表16】
【0184】
5.4.2 付着性およびアセトン耐久性
IPGAは、ほかのモノマーアクリレート、ビニルエーテル、およびビニルアミドと比べて良好な付着性およびアセトン耐久特性を示している。
【表17】