(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】浮遊式ウェハチャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220125BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019561307
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 US2018032175
(87)【国際公開番号】W WO2018209160
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラン アビブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシャール バイバウ
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-049880(JP,A)
【文献】特開2014-045028(JP,A)
【文献】特表2017-504199(JP,A)
【文献】特開2017-069263(JP,A)
【文献】特開2005-057297(JP,A)
【文献】特開2010-130021(JP,A)
【文献】特開2012-004320(JP,A)
【文献】特開2011-071477(JP,A)
【文献】特開2005-086049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ガスの流れを提供するように構成された複数のガス流れ開口部を有する表面を有するチャックであって、前記チャックの表面は、鉛直方向に対して垂直である平面内にある、チャックと、
前記チャックの外側縁の周りに配設された複数の縁把持部であって、前記縁把持部のうちの1個は、
鉛直方向に対して垂直方向で前記
縁把持部の残りのものと反対方向に押圧されるように構成され、前記縁把持部のそれぞれは、
点の周りを枢動するように構成されたフィンガと、
ウェハと接触するように構成された接触パッドと、
前記接触パッドと前記フィンガとの間に配設された湾曲部であって、前記湾曲部は、前記鉛直方向に前記チャックに向かう方及びそれから離れる方に湾曲するように構成されている、湾曲部と、を含む、複数の縁把持部と、
前記縁把持部のうちの少なくとも1つに接続されたアクチュエータと、を備える、装置。
【請求項2】
前記縁把持部は、前記ウェハが前記鉛直方向に対して垂直である方向に回転することを防止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャックは、前記ウェハを最大6,000rpmまで回転させるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記フィンガを前記点の周りで枢動させるように構成されている磁気駆動装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接触パッドは、ペルフルオエラストマ又はポリエーテルエーテルケトンから製作される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記縁把持部のうちの3個は、前記チャックの外側縁の周りに配設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記接触パッドは、前記ウェハ上に配設される平らな表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の縁把持部は、前記チャックの外側縁の周りに一様に配設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記フィンガは、アルミニウム、プラスチック又は鋼から製作されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記湾曲部は、アルミニウム、鋼又はプラスチックから製作されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記縁把持部のそれぞれは、ばねを更に含み、前記ばねは、前記チャックの表面と平行して力を前記接触パッドに加えるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記チャックは、複数の陥凹を画定し、前記縁把持部のうちの1個が前記陥凹のそれぞれの中に配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
方法であって、
チャックの表面とウェハとの間の空気-減圧膜上の前記チャック上方に前記ウェハを浮遊させるステップであって、前記チャックの表面は、鉛直方向に対して垂直である平面内にある、ステップと、
前記ウェハを複数の縁把持部と接触させるステップと、を含み、前記縁把持部のそれぞれは、
点の周りで枢動するように構成されたフィンガと、
ウェハと接触するように構成された接触パッドと、
前記接触パッドと前記フィンガとの間に配設された湾曲部であって、前記湾曲部は、前記鉛直方向に前記チャックに向かう方及びそれから離れる方に湾曲するように構成されている、湾曲部と、を含み、
前記縁把持部のうちの1個だけを作動させて、前記ウェハを、
鉛直方向に対して垂直方向で前記縁把持部のうちの残りとは反対方向に押圧するステップを含む、方法。
【請求項14】
前記チャックを用いて前記ウェハを最大6,000rpmまでの速度で回転させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェハハンドリングに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2017年5月12日に出願された特許仮出願及び譲渡された米国特許出願第62/505,248号に対する優先権を主張し、この出願の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
論理及びメモリ素子等の半導体素子の製造は、多数の半導体製造プロセスを用いて半導体ウェハのような基板を処理して、様々な特徴及び複数の水準の半導体素子を形成することを典型的に含む。例えば、リソグラフィは、パターンをレチクルから半導体ウェハ上に配列されたレジストまで転写することを含む半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスの追加の例としては、化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体素子が、単一の半導体ウェハ上に配列形式で製作され、次いで個々の半導体素子に分離されてもよい。
【0004】
ウェハの両面は、半導体製造中に検査されることがある。ウェハの背面を検査するために、ウェハは、通常、素子が作成されることになるウェハの上面を損傷しない又は汚染しないように保持される。縁把持部を有する非触式チャックが、背面検査中にウェハを保持するために用いられてもよい。検査を受けている背面表面は、光学システムの視野の下で平坦な状態に保たれる必要がある。ウェハ表面の許容傾斜についての制約は、約100μradのオーダにある等のように厳しいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2010/0126539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な力が、ウェハ表面の望ましくない傾斜に関与する。これらの力は、重力、既存のウェハ歪み及び縁把持部によって生じた力に起因する変形を含む。そのような力は、チャックする前に既に歪められていたウェハの傾斜を悪化させることがある。したがって、縁把持部は、ウェハ傾斜を悪化させることによって、ウェハの背面の検査に悪影響を及ぼすことがある。縁把持部は、ウェハ回転中にこれらの問題をより一層悪化させることがある。更に、様々な歪みのウェハは、確実に平坦にされないことがある。より複雑な歪み形状は、従来技術を用いて平坦にされないことがある。そのため、必要とされるのは、保持ウェハのためのチャックの改善である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1実施形態において、1つの装置が提供される。装置は、チャック及び複数の縁把持部を備える。チャックは、ガスの流れを提供するように構成された複数のガス流れ開口部を有する表面を有する。チャックの表面は、鉛直方向に対して垂直である平面内にある。縁把持部は、チャックの外側縁の周りに配設されている。縁把持部のそれぞれは、点の周りを枢動するように構成されたフィンガと、ウェハと接触するように構成された接触パッドと、接触パッドとフィンガとの間に配設された湾曲部と、を含む。湾曲部は、鉛直方向にチャックに向かう方に及びそれから離れる方に湾曲するように構成されている。アクチュエータが、縁把持部のうちの少なくとも1つに接続される。一例では、縁把持部のうちの3個は、チャックの外側縁の周りに配設される。
【0008】
縁把持部は、ウェハが鉛直方向に対して垂直である方向に回転することを防止するように構成されてもよい。例えば、チャックは、最大6,000rpmまでウェハを回転させるように構成されてもよい。
【0009】
アクチュエータは、フィンガを点の周りで枢動させるように構成された磁気駆動装置であってもよい。
【0010】
接触パッドは、ペルフルオエラストマ又はポリエーテルエーテルケトンから製作されてもよい。
【0011】
一例では、縁把持部のうちの1つは、縁把持部のうちの残りのものとは反対方向に押圧するように構成されている。
【0012】
接触パッドは、ウェハ上に配設される平らな表面を有してもよい。
【0013】
縁把持部は、チャックの外側縁の周りに一様に配設されてもよい。
【0014】
フィンガは、アルミニウム、プラスチック又は鋼から製作されてもよい。湾曲部は、アルミニウム、鋼又は硬質プラスチックからから製作されてもよい。
【0015】
縁把持部のそれぞれは、ばねを含んでもよい。ばねは、チャックの表面と平行して力を接触パッドに作用させるように構成されてもよい。
【0016】
チャックは、複数の陥凹を画定してもよい。縁把持部のうちの1つが、陥凹のそれぞれの中に配設されてもよい。
【0017】
第2実施形態において、方法が提供される。ウェハは、チャックの表面とウェハとの間の空気-減圧膜上のチャック上方に浮遊させられる。チャックの表面は、鉛直方向に対して垂直である平面内にある。ウェハは、複数の縁把持部と接触させられる。縁把持部のそれぞれは、点の周りを枢動するように構成されたフィンガと、ウェハと接触するように構成された接触パッドと、接触パッドとフィンガとの間に配設された湾曲部と、を含む。湾曲部は、鉛直方向にチャックに向かう方及びそれから離れる方に湾曲するように構成されている。ウェハは、チャックを用いて最大6,000rpmまでの速度で回転させられてもよい。
【0018】
一例では、縁把持部のうちの1個だけが、ウェハを、縁把持部のうちの残りのものとは反対方向に押圧してもよい。別の一例では、縁把持部の全てが、ウェハを押圧するように作動させられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の性質及び目的のより完全な理解のために、参照が、次の添付図面と共に以下の詳細な説明になされなければならない。
【
図1】本開示に従う縁把持部についての斜視図である。
【
図3】縁把持部を有する例示的な浮遊式ウェハチャックについての斜視図である。
【
図4】本開示に従うシステムの実施形態についてのブロック図である。
【
図5】本開示に従う方法の実施形態についての流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
クレームされた主題が特定の実施形態に関して説明されることになるけれども、本明細書で述べられた利点及び特徴の全てを提供するわけではない実施形態を含む別の実施形態もまた本開示の範囲内にある。様々な構造的、論理的、プロセスステップ及び電子的変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよい。したがって、本開示の範囲は、添付クレームへの参照によってのみ規定される。
【0021】
本明細書で開示されたチャックの実施形態は、減圧及び加圧ノズルのマトリクスを用い、当該減圧及び加圧ノズルは、低いジッタを有するチャックの上方数ミクロンのところにウェハを浮遊(例えば、ホバリング)させ続けるように設計されている。湾曲を有する複数の縁把持部を含むエッジグリップシステムが、チャックに取り付けられる。縁把持部は、ウェハの変形を最小化しながら、又はウェハのzジッタに影響を及ぼすことなくウェハエッジを保持してもよい。
【0022】
図1は、縁把持部100の斜視図であり、
図2は、
図1の実施形態の断面図である。縁把持部100は、チャック101と接続されている。チャック101は、ガスの流れを提供するように構成された流れ開口部(図示せず)を有してもよい。流れ開口部は、チャック101の表面に設置されてもよい。チャック101の表面は、鉛直方向(例えば、Z方向)に対して垂直である平面内にあってもよい。300mmのウェハ等のウェハ102は、チャック101の上方に設置される。ウェハ102は、縁把持部100によって保持されても、ガスの流れを用いてチャック101上方に浮遊してもよい。
【0023】
チャック101は、ウェハ102とチャック101との間の薄い(例えば、約5~30μm)高剛性の空気-減圧膜の存在のために、空気ベアリングのように作動してもよく、そして、チャック101上で平坦でないウェハを平坦にしてもよい。チャック101表面は、ウェハに接触せず、そのため、ウェハ102への表面損傷は、懸念されない。
【0024】
図1に見られるように、縁把持部100は、チャック101の陥凹108内に設置される。この陥凹108の体積は、チャック101の表面領域及び利用可能なガス流れのための空間に過度に影響を及ぼさないように構成されてもよい。しかし、この陥凹108の体積は、また、チャック101と縁把持部100との間の受容可能な接続を可能にするように構成されてもよい。
【0025】
縁把持部100は、本体104内部の点に対して枢動するように構成されているフィンガ103を含む。例えば、フィンガ103は、ピン107の周りを枢動してもよい。フィンガ103は、アルミニウム、プラスチック、鋼又は別の金属等の任意の好適な材料から製作されてもよい。枢動ピンブッシュ110は、フィンガ103を本体104に取り付けるために用いられてもよく、当該本体は、チャック101に取り付けられる。フィンガ103は、約3~10mmの幅寸法(例えば、Y方向)を有してもよいけれども、より大きいフィンガ103もまた用いられてもよい。
【0026】
縁把持部100は、また、ウェハ102と接触するように構成された接触パッド105を含む。接触パッド105は、ペルフルオエラストマ(例えば、デュポンによって製造されるKalrez(登録商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は、粒子が生じさせる汚染等のウェハ102の汚染を低減する別の材料から製作されてもよい。接触パッド105は、フィンガ103又は湾曲部106の部分として機械加工されてもよい。接触パッド105は、また、接着剤又は締結器を用いて、フィンガ103又は湾曲部106に取り付けられてもよい。
【0027】
湾曲部106は、接触パッド105とフィンガ103との間に配設されてもよい。
湾曲部106は、チャック101に向かう方に及び/又はそれから離れる方に(例えば、Z軸に沿って)湾曲するように構成されてもよい。例えば、これは、ガス流れ開口部から外へのガスの流れに平行であってもよい。軟質の湾曲部106は、ウェハ102の鉛直方向(Z軸)変形を最小化又は防止してもよい。湾曲部106の幾何形状は、Z方向の変形に対する低い剛性を提供するように構成されてもよい。湾曲部106は、アルミニウム、鋼、硬質プラスチック又は別の金属等の、正確に機械加工されてもよい任意の材料から製作されてもよい。
【0028】
接触パッド105、又は湾曲部106と連携する接触パッド105が、十分な把持力を提供することにより、ウェハ102が滑ることなく速く回転させられてもよい。
図2に示すばね109は、ウェハ102を保持するのに十分な水平力がウェハ102縁に作用させられるのを確実にしてもよい。一例では、ばね109は、チャックの表面と平行して力を接触パッド105に加えるように構成されてもよい。この把持力に基づいて利用可能な摩擦力が、ウェハ回転が始動又は停止させられるときに、ウェハ102が滑らないことを確実にしてもよい。
【0029】
平面として示されているけれども、接触パッド105は、また、ノッチが付けられるか、又は特定の用途中にウェハ102を把持するための別の形状を有してもよい。例えば、接触パッド105は、v形状であってもよい。更に、別の湾曲部106設計が可能である。例えば、接触パッド105は、ウェハ102の上面及び下面、又はウェハ縁にある角に接触してもよい。接触パッド105又は湾曲部106についての様々な設計は、Z方向に過剰な力を作用させることなく、ウェハ102をしっかりと保持してもよい。
【0030】
湾曲部106及び/又はフィンガ103は、薄くてもよい。したがって、湾曲部106及び/又はフィンガ103の領域は、X方向又はY方向に最小化されてもよい。光学部品が存在するために、ウェハ102上方には、制限された空き高が存在してもよい。
【0031】
アクチュエータが、縁把持部に接続されてもよい。そのようなアクチュエータは、本体104内部に設置されてもよい。例えば、磁気駆動装置が、本体104内部に設置されてもよい。
【0032】
縁把持部100は、ウェハ処理中に便益を提供してもよい。ウェハ102のジッタは、低減されるか、又は50nm未満等に低く維持されてもよい。ウェハ102は、チャック101に対して回転又は移動しないように維持されてもよい。ウェハ102が平坦でない場合、当該ウェハは、ウェハ102とチャック101との間の空気-減圧膜が高い剛性を有してもよいので、チャック101及び縁把持部100によって平坦にされてもよい。ウェハ102を場合によっては適所に保持すること加えて、ウェハ102における鉛直方向の(すなわち、Z方向の)力は、縁把持部100を用いることによって低減されても又は除去されてもよい。
【0033】
図3は、縁把持部100を有する例示的な浮遊式ウェハチャック101についての斜視図である。縁把持部100が示されているけれども、別の縁把持部設計が用いられてもよい。
【0034】
3個の縁把持部100が
図3に示されているけれども、別の数の縁把持部が可能である。例えば、3個超の縁把持部100が用いられてもよい。一例では、3個と6個との間の縁把持部100が用いられてもよい。縁把持部100は、ウェハの外周の周りに一様に分布しても又は分布しなくてもよい。
【0035】
図3に示すように、チャック101は、ガスの流れを提供するように構成された複数の流れ開口部300を含む。流れ開口部300が、チャック101の表面301に形成され、ガス(例えば、清浄な乾燥空気)源及び/又は減圧源と流体連通してもよい。チャック101の表面301が、鉛直方向(例えば、
図2のZ方向)に対して垂直である平面内にあってもよい。流れ開口部を有するチャックの例が、米国特許第7,607,647号に見られ、これは参照によって組み込まれる。チャック101の内部は、チャック101の表面301上に減圧及び加圧空気を送るチャネルのラビリンスを含んでもよい。表面301内の流れ開口部300は、ウェハ102下方に加圧空気及び減圧の一様分布を提供してもよい。表面301とウェハ102との間に形成される空気-減圧膜は、硬く、安定的で、一様な厚さのものであってもよい。
【0036】
縁把持部100と共に流れ開口部300を通るガス流れを有するチャック101の使用は、ウェハ102が、ウェハ検査用途に対してチャックされるのを可能にしてもよく、当該ウェハ検査用途は、低いウェハジッタを必要とするものを含む。
【0037】
それぞれの縁把持部100は、小さい水平力によってウェハ102を押圧してもよい。縁把持部100内の湾曲部構成及び接触パッドは、ウェハ102上に小さい又はゼロの鉛直力を提供してもよく、それによって、縁把持部100近傍にはウェハ102の無視可能な傾斜がもたらされる。
【0038】
縁把持部100の湾曲部、接触パッド及び/又はフィンガの幅(X-Y平面内での)は、縁把持部100が検査中にウェハ102の表面を覆わないように最小化されてもよい。
【0039】
一実施形態では、3個の縁把持部100のうちの2個が、停止又はロック固定位置に設置されてもよい。3個の縁把持部100のうちの第3のものが、ウェハ102を、停止又はロック固定される別の2個の縁把持部100とは反対方向に押圧してもよい。縁把持部100が十分な力を作用させることにより、ウェハが回転に対して固定されてもよい。一例では、水平力について値は、約0.1lbf(0.445N)~10lbf(44.5N)である。
【0040】
別の一実施形態では、全ての縁把持部100は、ウェハ102を押圧するために作動させられる。縁把持部100の動作は、同時であってもよく、又は連続的であってもよい。一例では、水平力の値は、約0.1lbf(0.445N)~10lbf(44.5N)である。
【0041】
縁把持部100及びチャック101の使用が十分な把持力を加えることにより、ウェハ102は、例えば、100~6,000rpm(例えば、Z軸周りに)で回転させられてもよい。チャック101は、モータを用いて回転させられ、そして、縁把持部100はウェハ102を保持するので、ウェハ102は、チャック101と共に2つの間になんら相対的な滑りを伴わずに回転してもよい。
【0042】
縁把持部100及びチャック101の使用は、また、ウェハ102が鉛直方向(Z方向)に過度に変形せず、そして、ウェハ102と接触している構成要素によって汚染されないことを意味する。
【0043】
一例では、ウェハ102は、7μm~30μm等の5μm~30μmの高さ(Z方向)でチャック101の表面301上方を飛ぶ。別の高さが、可能である。高さは、圧力及び減圧水準に依存してもよい。
【0044】
図4は、システム500の実施形態についてのブロック図である。システム500は、ウェハ102又は別の部品を保持するように構成されたチャック101を含む。チャック101は、1、2又は3個の軸線に関して移動又は回転するように構成されてもよい。チャック101は、また、Z軸周り等を回転するように構成されてもよい。示していないけれども、チャック101は、
図1~2の縁把持部等の縁把持部を含んでもよい。したがって、チャック101は、例えば、
図3に示すチャック101であってもよい。
【0045】
システム500は、また、ウェハ102の表面を測定するように構成された測定システム501を含む。測定システム501は、ウェハ102の表面を測定するために、光線、電子線、広帯域プラズマを生成してもよく、又は、別の技術を使用してもよい。
【0046】
システム500は、制御装置502と通信する。例えば、制御装置502は、測定システム501又はシステム500の別の構成要素と通信してもよい。制御装置502は、プロセッサ503と、プロセッサ503と電子通信する電子データ記憶ユニット504と、プロセッサ503と電子通信する通信ポート505と、を含んでもよい。認識すべきは、制御装置502は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの任意の組合せによって実際に実装されてもよいことである。また、本明細書に記載するようなそれの機能は、1つのユニットによって実行されるか、又は異なる構成要素の中で分割されてもよく、当該異なる構成要素のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの任意の組合せによって順に実装されてもよい。制御装置502が様々な方法及び機能を実装するためのプログラムコード又は命令が、制御装置502内部の、制御装置502外部の又はその組合せの電子データ記憶ユニット504内のメモリ等の制御装置可読記憶媒体内に記憶されてもよい。
【0047】
制御装置502は、(例えば、「有線の」及び/又は「無線の」伝送媒体を含んでもよい1つ又は複数の伝送媒体を介して)なんらかの好適な態様でシステム500の構成要素に結合されてもよく、それにより、制御装置502は、測定システム501からの出力等の、システム500によって生成された出力を受け取ってもよい。制御装置502は、出力を用いて、いくつかの機能を実行するように構成されてもよい。例えば、制御装置502は、ウェハ102の背面の検査を実行するように構成されてもよい。別の一例では、制御装置502は、出力において欠陥精査を実行することなく、電子データ記憶ユニット504又は別の記憶媒体に出力を送信するように構成されてもよい。制御装置502は、更に本明細書に記載されているように構成されてもよい。
【0048】
本明細書に記載されている制御装置502、別のシステム又は別のサブシステムは、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークアプライアンス、インターネットアプライアンス又は別のデバイスを含む様々な形式をとってもよい。一般に、用語「制御装置」は、記憶媒体からの命令を実行する1つ又は複数のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く規定されてもよい。サブシステム又はシステムは、また、パラレルプロセッサ等の当該技術分野で公知の任意の好適なプロセッサを含んでもよい。それに加えて、サブシステム又はシステムは、独立型又はネットワーク型ツールのいずれかとして、高速処理を伴うプラットホーム及びソフトウェアを含んでもよい。
【0049】
システムが2個以上のサブシステムを含む場合、異なるサブシステムが互いに結合されることにより、画像、データ、情報、命令等がサブシステム同士の間で送られてもよい。例えば、1つのサブシステムは、任意の好適な伝送媒体によって追加のサブシステムに結合されてもよく、当該好適な伝送媒体は、当該技術分野で公知の任意の好適な有線及び/又は無線伝送媒体を含んでもよい。そのようなサブシステムのうちの2個以上のものは、また、共有のコンピュータ可読記憶媒体(図示せず)によって有効に結合されてもよい。
【0050】
制御装置502は、本明細書に記載された実施形態のうちの任意のものに従って構成されてもよい。例えば、制御装置502は、
図5のステップのうちのいくつか又は全部を実行するようにプログラムされてもよい。
【0051】
システム500は、欠陥精査システム、検査システム、計測システム又はいくつかの別のタイプのシステムの部分であってもよい。したがって、本明細書で開示された実施形態は、いくつかの構成を説明し、当該構成は、異なる用途に対して多かれ少なかれ適している異なる能力を有するシステムのためのいくつかの態様に調整されてもよい。
【0052】
図5は、方法の実施形態についての流れ図である。600において、ウェハが、チャックの表面とウェハとの間の空気-減圧膜上のチャック上方で浮遊される。空気-減圧膜は、チャックによって生成されてもよい。ウェハは、複数の縁把持部と接触させられる。例えば、縁把持部は、
図1~2のものであってもよい。一例では、縁把持部のうちの1つだけが作動させられて、ウェハを、縁把持部のうちの残りのものとは反対方向に押圧する。別の一例では、縁把持部の全てが作動させられて、ウェハを押圧する。ウェハは、チャックを用いて最大6,000rpmまでの速度で回転させられてもよい。
【0053】
一例では、ウェハは、ウェハハンドリング装置によって空気-減圧膜上に降ろされてもよく、次いで、縁把持部は、ウェハがチャック上方に浮遊させられた後に作動させられる。別の一例では、ウェハは、ウェハハンドリング装置によって降ろされてもよく、そして、縁把持部は、ウェハを押圧するために作動させられる。次いで、空気-減圧膜が、チャックによって生成される。
【0054】
本開示全体にわたって用いられるような「ウェハ」は、半導体又は非半導体材料から形成された基板を指してもよい。例えば、半導体又は非半導体材料は、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム又はリン化インジウムを含むが、これに限定されない。ウェハは、1つ又は複数の層を含んでもよい。例えば、そのような層は、レジスト、誘電材料、導電材料又は半導電材料を含んでもよいが、これに限定されない。多くの異なるタイプのそのような層は、当該技術分野で公知であり、例えば、絶縁層、注入層等であるが、これに限定されない。本明細書で使用されるような用語「ウェハ」は、そのような層のうちのいずれかがその上に形成されてもよい基板を包含することが意図されている。
【0055】
方法のステップのそれぞれは、本明細書に記載されているように実行されてもよい。方法は、また、本明細書に記載されている制御装置及び/又はコンピュータサブシステム若しくはシステムによって実行されてもよいいずれかの別のステップを含んでもよい。ステップは、1つ又は複数のコンピュータシステムによって実行されてもよく、当該コンピュータシステムは、本明細書に記載された実施形態のうちの任意のものに従って構成されてもよい。更に、上記の方法は、本明細書に記載されたシステム実施形態のうちのいずれかによって実行されてもよい。
【0056】
本開示が1つ又は複数の特定の実施形態に関して説明されてきたけれども、本開示の別の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく成されてもよいことを理解されるであろう。それゆえに、本開示は、添付クレーム及びそれの合理的な解釈によってのみ限定されると考えられる。