(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-24
(45)【発行日】2022-02-01
(54)【発明の名称】オキシム連結のための求核触媒
(51)【国際特許分類】
A61K 47/61 20170101AFI20220125BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/25 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/24 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/30 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/38 20060101ALI20220125BHJP
A61K 38/37 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K47/61
A61K38/10
A61K38/18
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/21
A61K38/22
A61K38/25
A61K38/24
A61K38/30
A61K38/36
A61K38/38
A61K38/37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020067396
(22)【出願日】2020-04-03
(62)【分割の表示】P 2019018663の分割
【原出願日】2013-05-16
【審査請求日】2020-04-03
(32)【優先日】2012-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ジークマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハイダ
(72)【発明者】
【氏名】ハンスペーター ロッテンシュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター テューレセク
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/016131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリマーを治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法であって、
a)pH値が約5.0~約8.0になるように、前記治療用タンパク質を含む溶液の前記pH値を調整することを含み、前記治療用タンパク質濃度が、約0.3mg/mL~約3.0mg/mLである、第1のステップと、
b)約15
分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーと前記治療用タンパク質を接触させることを含み、前記過剰濃度が、約1倍のモル過剰~約300倍のモル過剰である、第2のステップと、
c)前記第2のステップの前記溶液に、m-トルイジンを添加することを含み、m-トルイジンが、約0.1分~約30分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約50mMの最終濃度をもたらすように添加される、第3のステップと、
d)前記第3のステップの前記溶液に、酸化剤を約
50μM~約1000μMの最終濃度をもたらすように添加することを含み、前記酸化剤が、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)
4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO
4)からなる群から選択される、第4のステップと、
e)前記治療用タンパク質が、前記治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物部分への前記活性化水溶性ポリマーの複合化を可能にする条件下で、前記活性化水溶性ポリマー、m-トルイジンおよび前記酸化剤とともにインキュベートされ、前記条件が、約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、前記治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物部分は前記酸化剤によって酸化され、前記酸化炭水化物部分と前記水溶性ポリマーの活性アミノオキシ基との間にオキシム連結が形成され、前記オキシム連結の形成はm-トルイジンによって触媒される、第5のステップと、
f)前記第5のステップ中の前記治療用タンパク質の前記1つ以上の酸化炭水化物部分への水溶性ポリマーの前記複合化が、L-システイン、メチオニン、グルタチオン、グリセロール、Na
2S
2O
5(メタ重亜硫酸ナトリウム)、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、またはそれらの誘導体、クレゾール、イミダゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反応停止剤の添加によって停止され、前記反応停止剤が、約5分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約100mMの最終濃度をもたらすように添加される、第6のステップと、
を含み、
前記水溶性ポリマーがポリシアル酸(PSA)であり、
活性アミノオキシ基を含有する前記活性化水溶性ポリマーが、
a)酸化水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含む活性化アミノオキシリンカーとともに、前記酸化水溶性ポリマーと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1分~約24時間の期間、約2℃~約8℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む前記活性化水溶性ポリマーを形成し、ここで、前記酸化水溶性ポリマーが酸化PSAであることと、
b)クロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する前記活性化水溶性ポリマーを約2℃~約8℃の温度で精製することと、
を含む方法によって調製される、
方法。
【請求項2】
a)pH値が約6.0になるように、前記治療用タンパク質を含む溶液の前記pH値を調整することを含み、前記治療用タンパク質濃度が、約1mg/mLである、前記第1のステップと、
b)約15分の最大期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む条件下で、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーと前記治療用タンパク質を接触させることを含み、前記過剰濃度が、約50倍のモル過剰である、前記第2のステップと、
c)m-トルイジンが、約10mMの最終濃度をもたらすように前記第2のステップの前記溶液に添加される、前記第3のステップと、
d)前記酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)であり、約400
μMの最終濃度をもたらすように添加される、前記第4のステップと、
e)前記条件が、約2時間の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、前記第5のステップと、
f)前記反応停止剤がL-システインであり、L-システインが、約60分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む条件下で、約10mMの最終濃度をもたらすように添加される、前記第6のステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップa)からf)が単一の容器中で起こる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記治療用タンパク質が、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第V因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロンα(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形態形成タンパク質1、骨形態形成タンパク質2、骨形態形成タンパク質3、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質5、骨形態形成タンパク質6、骨形態形成タンパク質7、骨形態形成タンパク質8、骨形態形成タンパク質9、骨形態形成タンパク質10、骨形態形成タンパク質11、骨形態形成タンパク質12、骨形態形成タンパク質13、骨形態形成タンパク質14、骨形態形成タンパク質15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、骨形態形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、繊毛様神経栄養因子、繊毛様神経栄養因子受容体、クリプト、クリプティック、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮増殖因子、エピゲン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来
神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来
神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経増殖因子 神経増殖因子受容体、ニューロポエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体a、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、形質転換増殖因子α、形質転換増殖因子β、形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β1.2、形質転換増殖因子β2、形質転換増殖因子β3、形質転換増殖因子β5、潜在型形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β結合タンパク質I、形質転換増殖因子β結合タンパク質II、形質転換増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、I型腫瘍壊死因子受容体、II型腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼタイププラスミノーゲン活性剤受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチン リシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgA、およびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、DNAse、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、表1中のタンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメント、誘導体、もしくは変異体からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化水溶性ポリマーおよび活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーを含む前記溶液が、撹拌しながら光の非存在下で1時間4℃でインキュベートされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
活性アミノオキシ基を含有する前記水溶性ポリマーが、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
PSAがNaIO
4とのインキュベーションによって酸化され、前記酸化PSAを形成する、請求項1および3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記PSAが約10~300個のシアル酸単位からなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療用タンパク質がFIXの生物活性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記治療用タンパク質がFVIIaの生物活性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記治療用タンパク質がFVIIIの生物活性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記活性化アミノオキシリンカーが、
a)式:
【化26】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカー、
b)式:
【化27】
の3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミンリンカー、および
c)式:
【化28】
の3,6,9,12,15-ペンタオキサ-ヘプタデカン-1,17-ジオキシアミンリンカーからなる群より選択され、
前記PSAが酸化剤とのインキュベーションによって酸化され、前記PSAの非還元末端に末端アルデヒド基を含む前記酸化PSAを形成する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノオキシリンカーが、3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
m-トルイジンが、約10mMの濃度で、複合化反応において存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複合化された治療用タンパク質を精製するステップを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィ、濾過、および沈殿からなる群から選択される方法によって精製される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィを用いて精製され、抗カオトロピック塩が、負荷ステップおよび洗浄ステップにおいて使用され、前記方法が、流れ方向が、上向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の洗浄ステップと、流れ方向が、下向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の溶出ステップと、を含み、限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、前記複合化された治療用タンパク質を濃縮させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記活性化水溶性ポリマーが、
a)酸化PSAを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含む活性化アミノオキシリンカーとともに、前記酸化PSAと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1時間の期間、約4℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、それによって活性アミノオキシ基を含有する前記活性化PSAを形成し、ここで、前記活性化アミノオキシリンカーが、式:
【化30】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカーであるステップと、
b)活性アミノオキシ基を含有する前記活性化PSAを、約4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製するステップと、
を含む方法によって調製される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性ポリマーをタンパク質に複合化させるための物質および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマーと治療用タンパク質との間の共有結合を形成することによる複合体の調製が、様々な化学方法によって実施することができる。ポリペプチド薬物のPEG化は、循環中にそれらを保護し、それらの薬力学的および薬物動態プロファイルを改善させる(Harris and Chess,Nat Rev Drug Discov.2003;2:214-21)。PEG化プロセスは、エチレングリコールの反復単位(ポリエチレングリコール(PEG))を、ポリペプチド薬物に付着させる。PEG分子は、大きな流体力学的体積(球状タンパク質の5~10倍の大きさ)を有し、非常に水溶性であり、水和されており、非毒性であって、非免疫原性であり、身体から迅速に除去される。分子のPEG化は、薬物の酵素分解に対する耐性の増大、インビボでの半減期の増大、投与頻度の減少、免疫原性の減少、物理的および熱安定性の増大、溶解度の増大、液体安定性の増大、凝集の低減をもたらすことができる。最初のPEG化薬物は、1990年代初期にFDAによって承認された。それ以降、FDAは、経口、注入可能、および局所投与のための種々のPEG化薬物を承認している。
【0003】
コロミン酸(CA)とも称されるポリシアル酸(PSA)は、天然由来の多糖類である。それは、α(2→8)ケトシド連結を有するN-アセチルノイラミン酸のホモポリマーであり、その非還元末端において隣接ジオール基を含有する。それは負荷電され、かつヒトの身体の天然成分である。それは細菌から大量に、および規定の物理的特徴を有して容易に産生することができる(米国特許第5,846,951号)。細菌によって産生されたPSAが、ヒトの身体内で産生されたPSAと化学的および免疫学的に同一であるため、細菌性PSAは、タンパク質に結合したときでさえ、非免疫原性である。幾つかのポリマーとは異なり、PSA酸は、生物分解性である。カタラーゼおよびアスパラギナーゼへのコロミン酸の共有結合は、タンパク質分解酵素または血漿の存在下での酵素安定性を増大することが明らかになっている。ポリシアル化と非修飾アスパラギナーゼとのインビボ比較研究は、ポリシアル化が酵素の半減期を増大させたことを明らかにした(Fernandes and Gregoriadis,Int J Pharm.2001;217:215-24)。
【0004】
ペプチドまたはタンパク質へのPEG誘導体の結合は、Robertsら(Adv Drug Deliv Rev 2002;54:459-76)によって検討されている。治療用タンパク質への水溶性ポリマーの結合のための1つのアプローチは、タンパク質の炭水化物部分を介するポリマーの複合化である。タンパク質中の炭水化物の隣接ヒドロキシル(OH)基は、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)で容易に酸化され、活性アルデヒド基を形成することができる(Rothfus et Smith,J Biol Chem 1963;238:1402-10;van Lenten et Ashwell,J Biol Chem 1971;246:1889-94)。その後、ポリマーは、例えば、活性ヒドラジド基を含有する試薬の使用によって、炭水化物のアルデヒド基に結合することができる(Wilchek M and Bayer EA,Methods Enzymol 1987;138:429-42)。より近年の技術は、アルデヒドと反応してオキシム連結を形成するアミノオキシ基を含有する試薬の使用である(国際公開第96/40662号、国際公開第2008/025856号)。
【0005】
治療用タンパク質への水溶性ポリマーの複合化を説明する更なる例は、フォンヴィレブランド因子中の炭水化物部分の酸化、およびそれに続くヒドラジド化学を使用するPEGへの結合を教示する国際公開第06/071801号、rFVIIIの酸化、ならびにそれに続くヒドラジド化学を使用するPEGおよび他の水溶性ポリマー(例えば、PSA、HES、デキストラン)への結合を教示する米国公開第2009/0076237号、異なる凝固因子(例えば、rFIX、FVIII、およびFVIIa)の酸化、ならびにそれに続くオキシム連結を形成することによって、アミノオキシ化学を使用する、例えば、PEGへの結合を教示する国際公開第2008/025856号、およびFIXの酸化、ならびにそれに続くヒドラジド化学を使用するPEGへの結合を教示する米国特許第5,621,039号に説明されている。
【0006】
近年、アルデヒドを生成するためのシアル酸の緩やかな過ヨウ素酸塩酸化後、触媒量のアニリンの存在下での、試薬を含有するアミノオキシ基との反応を含む、改善された方法が、説明された(Dirksen A.,and Dawson PE,Bioconjugate Chem.2008;19,2543-8、およびZeng Y et al.,Nature Methods 2009;6:207-9)。アニリン触媒は、オキシムライゲーションを著しく加速させ、非常に低い濃度の試薬の使用を可能にする。求核触媒の使用はまた、Dirksen,A.,et al.,J Am Chem Soc.,128:15602-3(2006)、Dirksen,A.,et al.,Angew chem.Int Ed.,45:7581-4(2006)、Kohler,J.J.,ChemBioChem.,10:2147-50(2009)、Giuseppone,N.,et al.,J Am Chem Soc.,127:5528-39(2005)、およびThygesen,M.B.,et al.,J Org
Chem.,75:1752-5(2010)にも説明されている。
【0007】
アニリン触媒は、オキシムライゲーションを加速させ、短い反応時間および低い濃度のアミノオキシ試薬の使用を可能にするが、アニリンは、例えば、複合化される治療用タンパク質が、薬剤の基礎を形成する際には、考慮しなければならない、有毒性を有する。例えば、アニリンは、メトヘモグロビン血症を誘発することが示されている(Harrison,J.H..,and Jollow,D.J.,Molecular Pharmacology,32(3)423-431,1987)。ラットの長期間の食餌療法は、脾臓中に腫瘍を誘発することが示されている(Goodman,DG.,et al.,J Natl Cancer Inst.,73(1):265-73,1984)。インビトロ研究はまた、アニリンが、染色体突然変異を誘発する可能性があり、遺伝毒性作用を起こす可能性があることも示している(Bombhard E.M.et Herbold B,Critical Reviews in Toxicology 35,783-835,2005)。
【0008】
種々の試薬に関連する費用を最小限に抑え、患者の受容者への健康上のリスクを最小限に抑えつつ、タンパク質の薬力学的および/または薬物動態特性を改善する、水溶性ポリマーをタンパク質に複合化させるための物質および方法を開発する必要性が、依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,846,951号明細書
【文献】国際公開第96/40662号
【文献】国際公開第2008/025856号
【文献】国際公開第06/071801号
【文献】米国公開第2009/0076237号明細書
【文献】国際公開第2008/025856号
【文献】米国特許第5,621,039号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】Harris and Chess,Nat Rev Drug Discov.2003;2:214-21
【文献】Fernandes and Gregoriadis,Int J Pharm.2001;217:215-24
【文献】Robertsら(Adv Drug Deliv Rev 2002;54:459-76)
【文献】Rothfus et Smith,J Biol Chem 1963;238:1402-10
【文献】van Lenten et Ashwell,J Biol Chem 1971;246:1889-94
【文献】Wilchek M and Bayer EA,Methods Enzymol 1987;138:429-42
【文献】Dirksen A.,and Dawson PE,Bioconjugate Chem.2008;19,2543-8
【文献】Zeng Y et al.,Nature Methods 2009;6:207-9
【文献】Dirksen,A.,et al.,J Am Chem Soc.,128:15602-3(2006)
【文献】Dirksen,A.,et al.,Angew chem.Int Ed.,45:7581-4(2006)
【文献】Kohler,J.J.,ChemBioChem.,10:2147-50(2009)
【文献】Giuseppone,N.,et al.,J Am Chem Soc.,127:5528-39(2005)
【文献】Thygesen,M.B.,et al.,J Org Chem.,75:1752-5(2010)
【文献】Harrison,J.H..,and Jollow,D.J.,Molecular Pharmacology,32(3)423-431,1987
【文献】Goodman,DG.,et al.,J Natl Cancer Inst.,73(1):265-73,1984
【文献】Bombhard E.M.et Herbold B,Critical Reviews in Toxicology 35,783-835,2005
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、タンパク質にポリマーを複合化させるための物質および方法を提供し、複合化反応が求核触媒によって触媒されるとき、それは種々の試薬に関連する費用を最小限に抑え、かつ患者の受容者への健康上のリスクを最小限に抑えつつ、タンパク質の薬力学的および/または薬物動態特性を改善する。本発明の種々の実施形態において、アニリンの代わりに使用するための代替的な触媒が提供される。
【0012】
本開示はまた、本明細書に記載の治療用タンパク質を複合化するために使用することができる種々の水溶性ポリマー-アミノオキシリンカー試薬の調製のための最適化された手順を提供する。最近のNMR研究は、PSA-アミノオキシ試薬の調製が室温で行われる場合、PSAの還元末端における副反応が起こり得ることを示した。したがって、本開示の様々な実施形態において、新しいプロセスが、2~8℃の温度で行われる。一実施形態において、PSA-アミノオキシ試薬を、本明細書に記載されるプロセスに従って、4℃で調製する。加えて、2~8℃の温度でのクロマトグラフィ精製ステップ(例えば、IEX)を使用した試薬の精製もまた、本開示によって企図される。全体のプロセス(化学反応およびIEXによる複合体の精製)を2~8℃の温度で行うとき、PSAの還元末端における望ましくない副反応は、実質的に低減される。
【0013】
本開示に従う一実施形態において、水溶性ポリマーを治療用タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法が提供され、本方法は、複合化を可能にする条件下で、酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、該水溶性ポリマーは、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを、以下を含む方法によって調整する:a)酸化水溶性ポリマーと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、酸化水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、約1分~約24時間の期間、約2℃~約8℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成すること、b)約2℃~約8℃の温度でクロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを精製し、前述の炭水化物部分を、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液とともにインキュベーションすることによって酸化し、オキシム連結が、酸化炭水化物部分と水溶性ポリマー上の活性アミノオキシ基との間に形成され、前述のオキシム連結形成を、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒すること。
【0014】
別の実施形態において、酸化水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を、撹拌しながら光の非存在下で1時間4℃でインキュベートする上述の方法が提供される。別の実施形態において、活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製する上述の方法が提供される。別の実施形態において、酸化水溶性ポリマーが、PSAであり、NaIO4とのインキュベーションにより酸化される上述の方法が提供される。
【0015】
本開示の別の実施形態において、水溶性ポリマーを治療用タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法が提供され、本方法は、複合化を可能にする条件下で、酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、該水溶性ポリマーは、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、活性アミノオキシ基を含む前述の水溶性ポリマーを、以下を含む方法によって調整する:a)水溶性ポリマーと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、約1分~約24時間の期間、約22℃~約37℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成すること、b)クロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを精製し、前述の炭水化物部分を、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液とともにインキュベーションすることによって酸化し、オキシム連結が、酸化炭水化物部分と水溶性ポリマー上の活性アミノオキシ基との間に形成され、前述のオキシム連結形成を、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒すること。
【0016】
別の実施形態において、水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする上述の方法が提供される。別の実施形態において、水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする上述の方法が提供され、前述の方法が、溶液の温度を約32℃~約37℃の温度に上昇させ、更に12~24時間インキュベートするステップを更に含む。別の実施形態において、温度を上昇させる直前に活性アミノオキシ基を含む付加的な量のアミノオキシリンカーを添加する更なるステップを含む、上述の方法が提供される。別の実施形態において、活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを、22℃の温度で透析、限外濾過/透析濾過(UF/DF)、およびクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって精製する上述の方法が提供される。別の実施形態において、4℃で透析、UF/DF、またはクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを精製するステップを更に含む上述の方法が提供される。
【0017】
本開示の様々な実施形態において、治療用タンパク質が、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロンα(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形態形成タンパク質1、骨形態形成タンパク質2、骨形態形成タンパク質3、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質5、骨形態形成タンパク質6、骨形態形成タンパク質7、骨形態形成タンパク質8、骨形態形成タンパク質9、骨形態形成タンパク質10、骨形態形成タンパク質11、骨形態形成タンパク質12、骨形態形成タンパク質13、骨形態形成タンパク質14、骨形態形成タンパク質15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、骨形態形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、繊毛様神経栄養因子、繊毛様神経栄養因子受容体、クリプト、クリプティック、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮増殖因子、エピゲン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経増殖因子 神経増殖因子受容体、ニューロポエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、形質転換増殖因子α、形質転換増殖因子β、形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β1.2、形質転換増殖因子β2、形質転換増殖因子β3、形質転換増殖因子β5、潜在型形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β結合タンパク質I、形質転換増殖因子β結合タンパク質II、形質転換増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、I型腫瘍壊死因子受容体、II型腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼタイププラスミノーゲン活性剤受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチン リシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgA、およびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、DNAse、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、表1中のタンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメント、誘導体、もしくは変異体からなる群から選択される、上述の方法が提供される。
【0018】
更に別の実施形態において、約0.3mg/mL~約3.0mg/mLの初期濃度の治療用タンパク質を含む溶液が、活性化水溶性ポリマーと接触させる前に、pH値が約5.0~約8.0になるように調整される上述の方法が提供される。一実施形態において、治療用タンパク質の初期濃度が、約1.0mg/mLであり、pHが、約6.0である。
【0019】
別の実施形態において、治療用タンパク質が、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーによって接触され、過剰濃度が、約1モル~約300モル過剰である上述の方法が提供される。一実施形態において、過剰濃度が、約50倍のモル過剰である。
【0020】
別の実施形態において、治療用タンパク質が、約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、活性化水溶性ポリマーとともにインキュベートされる、上述の方法が提供される。一実施形態において、条件が、約120分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む。
【0021】
更に別の実施形態において、求核触媒が、約0.1分~約30分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1.0mM~約50mMの求核触媒の最終濃度をもたらす量で添加される、上述の方法が提供される。一実施形態において、求核触媒の最終濃度が、約10mMであり、条件が、最大約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む。
【0022】
更に別の実施形態において、酸化剤が、約0.1分~120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約50μM~約1000μMの酸化剤の最終濃度をもたらす量で添加される、上述の方法が提供される。一実施形態において、酸化剤の最終濃度が、約400μMであり、条件が、約10分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む。
【0023】
更に別の実施形態において、治療用タンパク質の酸化炭水化物部分への水溶性ポリマーの複合化が、L-システイン、メチオニン、グルタチオン、グリセロール、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、またはそれらの誘導体、クレゾール、イミダゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反応停止剤の添加によって停止される上述の方法が提供され、前述の反応停止剤が、約5分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約100mMの反応停止剤の最終濃度をもたらす量で添加される。一実施形態において、反応停止剤が、L-システインである。更に別の実施形態において、L-システインが、約10mMの最終濃度をもたらすように添加され、条件が、約60分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む。
【0024】
別の実施形態において、以下を含む上述の方法が提供される:a)pH値が約5.0~約8.0になるように、治療用タンパク質を含む溶液のpH値を調整させることを含み、治療用タンパク質濃度が、約0.3mg/mL~約3.0mg/mLである、第1のステップ、b)治療用タンパク質において、1つ以上の炭水化物を酸化させることを含み、酸化剤が、約0.1分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約50μM~約1000μMの最終濃度をもたらすように、第1のステップ中の溶液に添加される、第2のステップ、c)約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーと治療用タンパク質を接触させることを含み、過剰濃度が約1モル過剰~約300モル過剰である、第3のステップ、d)第3のステップの溶液に、求核触媒を添加することを含み、求核触媒が、約0.1分~約30分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約50mMの最終濃度をもたらすように添加される、第4のステップ、e)治療用タンパク質が、治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物への活性化水溶性ポリマーの複合化を可能にする条件下で、活性化水溶性ポリマーおよび求核触媒とともにインキュベートされ、前述の条件が、約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む、第5のステップ、f)第5のステップ中の治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物への水溶性ポリマーの複合化が、L-システイン、メチオニン、グルタチオン、グリセロール、Na2S2O5(メタ重亜硫酸ナトリウム)、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、またはそれらの誘導体、クレゾール、イミダゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反応停止剤の添加によって停止され、反応停止剤が、約5分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約100mMの最終濃度をもたらすように添加される、第6のステップ。別の実施形態において、第1のステップ中の治療用タンパク質の初期濃度が、約1mg/mLであり、pHが、約6.0であり、第2のステップ中の酸化剤の最終濃度が、約400μMであり、第5のステップ中の条件が、約10分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、第3のステップ中の過剰濃度が、約50モル過剰であり、第3のステップ中の条件が、約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、第4のステップ中の求核触媒の最終濃度が、約10mMであり、第4のステップ中の条件が、約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、第5のステップ中の活性化水溶性ポリマーおよび求核触媒とともに治療用タンパク質をインキュベートする条件が、約2時間の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、第6のステップ中の反応停止剤が、L-システインであり、L-システインが、約10mMの最終濃度をもたらすように添加され、第6のステップ中の条件が、約60分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む。更に別の実施形態において、水溶性ポリマーがPSAである。一実施形態において、水溶性ポリマーがPEGである。別の実施形態において、水溶性ポリマーがHESである。更に別の実施形態において、水溶性ポリマーがHASである。別の実施形態において、PSAが約10~300個のシアル酸単位からなる。更に別の実施形態において、治療用タンパク質がFIXである。更に別の実施形態において、治療用タンパク質がFVIIaである。更に別の実施形態において、治療用タンパク質がFVIIIである。
【0025】
別の実施形態において、酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)である上述の方法が提供される。
【0026】
別の実施形態において、治療用タンパク質の酸化炭水化物部分が、血液凝固タンパク質の活性化ペプチド内に位置する上述の方法が提供される。
【0027】
別の実施形態において、PSAが、活性化アミノオキシリンカーを含み、該活性化アミノオキシリンカーが、a)式:
【化1】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカー、
b)式:
【化2】
の3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミンリンカー、および
c)式:
【化3】
の3,6,9,12,15-ペナトキサ(penatoxa)-ヘプタデカン-1,17-ジオキシアミンリンカーからなる群より選択され、PSAが、酸化剤とともにインキュベーションすることによって酸化され、前述のPSAの非還元末端において、末端アルデヒド基を形成する、上述の方法が提供される。
【0028】
別の実施形態において、アミノオキシリンカーが、3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンである。
【0029】
別の実施形態において、求核触媒が、約1mM~約50mMの濃度で提供される上述の方法が提供される。別の実施形態において、求核触媒が、m-トルイジンである。更に別の実施形態において、m-トルイジンが、約10mMの濃度で、複合化反応において存在する。
【0030】
別の実施形態において、複合化された治療用タンパク質を精製するステップを更に含む上述の方法が提供される。一実施形態において、複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィ、濾過、および沈殿からなる群から選択される方法によって精製される。更に別の実施形態において、クロマトグラフィが、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、親和性クロマトグラフィ、および逆相クロマトグラフィからなる群から選択される。一実施形態において、抗カオトロピック塩が、クロマトグラフィの負荷ステップおよびクロマトグラフィの洗浄ステップにおいて使用される。更に別の実施形態において、クロマトグラフィが、カラムにおいて行われる。一実施形態において、カラムが、フェニル-セファロースFFおよびブチル-セファロースFFからなる群から選択されるクロマトグラフィ樹脂を含む。更に別の実施形態において、樹脂が、約5cm~約20cmの床高さでカラム中に存在する。
【0031】
更に別の実施形態において、床高さが、約10cmである。別の実施形態において、流れ方向が、上向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の洗浄ステップを含む上述の方法が提供される。一実施形態において、流速が、約2cm/分である。別の実施形態において、流れ方向が、下向流に設定され、流速が、約0.1cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の溶出ステップを含む上述の方法が提供される。一実施形態において、流速が、約1cm/分である。
【0032】
更に別の実施形態において、限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、複合化された治療用タンパク質を濃縮させることを更に含む上述の方法が提供される。別の実施形態において、治療用タンパク質の最終濃度が、約0.5~約3mg/mLである上述の方法が提供される。別の実施形態において、治療用タンパク質が、約5~約11個の水溶性ポリマー部分を含む上述の方法が提供される。
【0033】
更に別の実施形態において、複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィを用いて精製され、抗カオトロピック塩が、負荷ステップおよび洗浄ステップにおいて使用される上述の方法が提供され、この方法が、流れ方向が、上向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の洗浄ステップと、流れ方向が、下向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の溶出ステップとを含み、限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、複合化された治療用タンパク質を濃縮させることを更に含む。
【0034】
別の実施形態において、クロマトグラフィが、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)であり、1つ以上の洗浄ステップの流速が、約2cm/分であり、1つ以上の溶出ステップの流速が、約1cm/分である、上述の方法が提供される。
【0035】
上述の方法によって産生される修飾された治療用タンパク質もまた、本開示により提供される。
【0036】
本開示の一実施形態において、活性アミノオキシ基を含有する活性化水溶性ポリマーを調製する方法が提供され、本方法は以下を含む:a)酸化水溶性ポリマーと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、酸化水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、約1分~約24時間の期間、約2℃~約8℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成すること、b)約2℃~約8℃の温度でクロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを精製し、該水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、それによって水溶性ポリマーとアミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成すること。
【0037】
別の実施形態において、オキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される上述の方法が提供される。
【0038】
別の実施形態において、水溶性ポリマーがPSAである上述の方法が提供される。別の実施形態において、水溶性ポリマーがPEGである上述の方法が提供される。別の実施形態において、酸化水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を撹拌しながら、光の非存在下で4℃で1時間インキュベートする上述の方法が提供される。別の実施形態において、活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製する上述の方法が提供される。
【0039】
本開示の更に別の実施形態において、活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを調製する方法が提供され、本方法は以下を含む:a)水溶性ポリマーと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、約1分~約24時間の期間、約22℃~約37℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成すること、b)クロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを精製し、それによって水溶性ポリマーとアミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成すること。
【0040】
別の実施形態において、前述のオキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される上述の方法が提供される。
【0041】
別の実施形態において、水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする上述の方法が提供される。別の実施形態において、水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとを含む溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする上述の方法が提供され、前述の方法が、溶液の温度を約32℃~約37℃の温度に上昇させ、更に12~24時間インキュベートするステップを更に含む。別の実施形態において、温度を上昇させる直前に活性アミノオキシ基を含む付加的な量のアミノオキシリンカーを添加する更なるステップを含む、上述の方法が提供される。
【0042】
別の実施形態において、活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを、22℃の温度で透析、限外濾過/透析濾過(UF/DF)、およびクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって精製する上述の方法が提供される。別の実施形態において、4℃で透析、UF/DF、またはクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを精製するステップを更に含む上述の方法が提供される。
【0043】
本開示の更に別の実施形態において、PSA-アミノオキシ試薬アミノオキシ基を調製する方法が提供され、本方法は以下を含む:a)酸化PSAと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、酸化PSAを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、1時間の期間、4℃の温度、光の非存在下、撹拌しながらを含み、それによって活性アミノオキシ基を含有するPSAを形成すること、b)活性アミノオキシ基を含有するPSAを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製し、該活性化アミノオキシリンカーが、式:
【化4】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカーであって、
それによってPSAとアミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成すること。
【0044】
本開示の更に別の実施形態において、PSA-アミノオキシ試薬アミノオキシ基を調製する方法が提供され、本方法は以下を含む:a)非酸化PSAと活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、非酸化PSAを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともにインキュベートし、該条件が、2時間の期間、22℃の温度、光の非存在下、撹拌しながらを含み、それによって活性アミノオキシ基を含有するPSAを形成すること、b)活性アミノオキシ基を含有するPSAを、22℃の温度で透析により精製し、該活性化アミノオキシリンカーが、式:
【化5】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカーであって、
それによって非酸化PSAとアミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成すること。
【0045】
本開示の更に別の実施形態において、水溶性ポリマーを血液凝固タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法が提供され、本方法は、複合化を可能にする条件下で、酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、該血液凝固タンパク質が、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、およびADAMTS13プロテアーゼ、またはその生物学的に活性なフラグメント、誘導体、もしくは変異体からなる群から選択され、前述の水溶性ポリマーが、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、ポリシアル酸(PSA)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、前述の炭水化物部分が、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)
4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液でインキュベートすることによって酸化され、オキシム連結が、酸化炭水化物部分と水溶性ポリマー上の活性アミノオキシ基との間に形成される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
水溶性ポリマーを治療用タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法であって、複合化を可能にする条件下で、前記酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、
前記水溶性ポリマーが、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーが、
a)酸化水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記酸化水溶性ポリマーと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1分~約24時間の期間、約2℃~約8℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成することと、
b)約2℃~約8℃の温度でクロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを精製することと、を含む方法によって調製され、
前記炭水化物部分が、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)
4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液とともにインキュベーションすることによって酸化され、
オキシム連結が、前記酸化炭水化物部分と前記水溶性ポリマー上の前記活性アミノオキシ基との間に形成され、
前記オキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される、方法。
(項目2)
前記酸化水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を、撹拌しながら光の非存在下で1時間4℃でインキュベートする、項目1に記載の方法。
(項目3)
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製する、項目3に記載の方法。
(項目4)
前記酸化水溶性ポリマーがPSAであり、NaIO
4とのインキュベーションにより酸化される、項目3に記載の方法。
(項目5)
水溶性ポリマーを治療用タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法であって、複合化を可能にする条件下で、前記酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、
前記水溶性ポリマーが、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーが、
a)水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記水溶性ポリマーと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1分~約24時間の期間、約22℃~約37℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成することと、
b)クロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する前記水溶性ポリマーを精製することと、を含む方法によって調製され、
前記炭水化物部分が、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)
4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液とともにインキュベーションすることによって酸化され、
オキシム連結が、前記酸化炭水化物部分と前記水溶性ポリマー上の前記活性アミノオキシ基との間に形成され、
前記オキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される、方法。
(項目6)
前記水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする方法であって、前記方法が、前記溶液の温度を約32℃~約37℃の温度に上昇させ、更に12~24時間インキュベートするステップを更に含む、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記温度を上昇させる直前に活性アミノオキシ基を含む付加的な量のアミノオキシリンカーを添加する更なるステップを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを、22℃の温度で透析、限外濾過/透析濾過(UF/DF)、およびクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって精製する、項目5~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
4℃で透析、UF/DF、またはクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを精製するステップを更に含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記治療用タンパク質が、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロンα(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形態形成タンパク質1、骨形態形成タンパク質2、骨形態形成タンパク質3、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質5、骨形態形成タンパク質6、骨形態形成タンパク質7、骨形態形成タンパク質8、骨形態形成タンパク質9、骨形態形成タンパク質10、骨形態形成タンパク質11、骨形態形成タンパク質12、骨形態形成タンパク質13、骨形態形成タンパク質14、骨形態形成タンパク質15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、骨形態形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、繊毛様神経栄養因子、繊毛様神経栄養因子受容体、クリプト、クリプティック、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮増殖因子、エピゲン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来
神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来
神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経増殖因子 神経増殖因子受容体、ニューロポエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、形質転換増殖因子α、形質転換増殖因子β、形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β1.2、形質転換増殖因子β2、形質転換増殖因子β3、形質転換増殖因子β5、潜在型形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β結合タンパク質I、形質転換増殖因子β結合タンパク質II、形質転換増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、I型腫瘍壊死因子受容体、II型腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼタイププラスミノーゲン活性剤受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチン リシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgA、およびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、DNAse、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、表1中のタンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメント、誘導体、もしくは変異体からなる群から選択される、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
約0.3mg/mL~約3.0mg/mLの初期濃度の前記治療用タンパク質を含む溶液が、前記活性化水溶性ポリマーと接触させる前に、pH値が約5.0~約8.0になるように調整される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記治療用タンパク質の前記初期濃度が、約1.0mg/mLであり、前記pHが、約6.0である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記治療用タンパク質が、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーによって接触され、前記過剰濃度が、約1モル~約300モル過剰である、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記過剰濃度が、約50倍のモル過剰である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記治療用タンパク質が、約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、前記活性化水溶性ポリマーとともにインキュベートされる、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記条件が、約120分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記求核触媒が、約0.1分~約30分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1.0mM~約50mMの求核触媒の最終濃度をもたらす量で添加される、項目11に記載の方法。
(項目19)
前記求核触媒の前記最終濃度が、約10mMであり、前記条件が、最大約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、項目18に記載の方法。(項目20)
前記酸化剤が、約0.1分~120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約50μM~約1000μMの酸化剤の最終濃度をもたらす量で添加される、項目11に記載の方法。
(項目21)
前記酸化剤の前記最終濃度が、約400μMであり、前記条件が、約10分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記治療用タンパク質の前記酸化炭水化物部分への前記水溶性ポリマーの前記複合化が、L-システイン、メチオニン、グルタチオン、グリセロール、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
5)、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、またはそれらの誘導体、クレゾール、イミダゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反応停止剤の添加によって停止され、
前記反応停止剤が、約5分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約100mMの反応停止剤の最終濃度をもたらす量で添加される、項目11に記載の方法。
(項目23)
前記反応停止剤が、L-システインである、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記L-システインが、約10mMの最終濃度をもたらすように添加され、前記条件が、約60分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
a)pH値が約5.0~約8.0になるように、前記治療用タンパク質を含む溶液の前記pH値を調整させることを含み、前記治療用タンパク質濃度が、約0.3mg/mL~約3.0mg/mLである、第1のステップと、
b)前記治療用タンパク質において、1つ以上の炭水化物を酸化させることを含み、前記酸化剤が、約0.1分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約50μM~約1000μMの最終濃度をもたらすように、前記第1のステップ中の前記溶液に添加される、第2のステップと、
c)約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、所望の過剰濃度の活性化水溶性ポリマーと前記治療用タンパク質を接触させることを含み、前記過剰濃度が、約1モル過剰~約300モル過剰である、第3のステップと、
d)前記第3のステップの前記溶液に、求核触媒を添加することを含み、前記求核触媒が、約0.1分~約30分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約50mMの最終濃度をもたらすように添加される、第4のステップと、
e)前記治療用タンパク質が、前記治療用タンパク質の1つ以上の酸化炭水化物への前記活性化水溶性ポリマーの複合化を可能にする条件下で、前記活性化水溶性ポリマーおよび求核触媒とともにインキュベートされ、前記条件が、約0.5時間~約24時間の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む、第5のステップと、
f)第5のステップ中の前記治療用タンパク質の前記1つ以上の酸化炭水化物への前記水溶性ポリマーの前記複合化が、L-システイン、メチオニン、グルタチオン、グリセロール、Na
2S
2O
5(メタ重亜硫酸ナトリウム)、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン、またはそれらの誘導体、クレゾール、イミダゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反応停止剤の添加によって停止され、前記反応停止剤が、約5分~約120分の期間、約2℃~約37℃の温度、光の存在または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含む条件下で、約1mM~約100mMの最終濃度をもたらすように添加される、第6のステップと、を含む、項目11に記載の方法。
(項目26)
前記第1のステップ中の前記治療用タンパク質の前記初期濃度が、約1mg/mLであり、前記pHが、約6.0であり、
前記第2のステップ中の前記酸化剤の前記最終濃度が、約400μMであり、前記第5のステップ中の前記条件が、約10分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、
前記第3のステップ中の前記過剰濃度が、約50モル過剰であり、前記第3のステップ中の前記条件が、約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、
前記第4のステップ中の前記求核触媒の前記最終濃度が、約10mMであり、前記第4のステップ中の前記条件が、約15分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、
前記第5のステップ中の前記活性化水溶性ポリマーおよび求核触媒とともに前記治療用タンパク質をインキュベートする前記条件が、約2時間の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、
前記第6のステップ中の前記反応停止剤が、L-システインであり、前記L-システインが、約10mMの最終濃度をもたらすように添加され、前記第6のステップ中の前記条件が、約60分の期間、約22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記水溶性ポリマーがPSAである、項目11に記載の方法。
(項目28)
前記水溶性ポリマーがPEGである、項目11に記載の方法。
(項目29)
前記水溶性ポリマーがHESである、項目11に記載の方法。
(項目30)
前記水溶性ポリマーがHASである、項目11に記載の方法。
(項目31)
前記PSAが約10~300個のシアル酸単位からなる、項目27に記載の方法。
(項目32)
前記治療用タンパク質がFIXである、項目11~31のいずれか1項に記載の方法。(項目33)
前記治療用タンパク質がFVIIaである、項目11~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記治療用タンパク質がFVIIIである、項目11~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)である、項目11~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記治療用タンパク質の前記酸化炭水化物部分が、血液凝固タンパク質の活性化ペプチド内に位置する、項目32~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記PSAが、活性化アミノオキシリンカーを含み、前記アミノオキシリンカーが、
a)式:
【化26】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカー、
b)式:
【化27】
の3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミンリンカー、および
c)式:
【化28】
の3,6,9,12,15-ペナトキサ(penatoxa)-ヘプタデカン-1,17-ジオキシアミンリンカーからなる群より選択され、前記PSAが、酸化剤とともにインキュベーションすることによって酸化され、前記PSAの非還元末端において、末端アルデヒド基を形成する、項目27に記載の方法。
(項目38)
前記アミノオキシリンカーが、3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンである、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記求核触媒が、約1mM~約50mMの濃度で提供される、項目11~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記求核触媒が、m-トルイジンである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記m-トルイジンが、約10mMの濃度で、複合化反応において存在する、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記複合化された治療用タンパク質を精製するステップを更に含む、項目11~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィ、濾過、および沈殿からなる群から選択される方法によって精製される、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記クロマトグラフィが、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、親和性クロマトグラフィ、および逆相クロマトグラフィからなる群から選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
抗カオトロピック塩が、クロマトグラフィの負荷ステップおよびクロマトグラフィの洗浄ステップにおいて使用される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記クロマトグラフィが、カラムにおいて行われる、項目44に記載の方法。
(項目47)
前記カラムが、フェニル-セファロースFFおよびブチル-セファロースFFからなる群から選択されるクロマトグラフィ樹脂を含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記樹脂が、約5cm~約20cmの床高さで前記カラム中に存在する、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記床高さが、約10cmである、項目48に記載の方法。
(項目50)
流れ方向が、上向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の洗浄ステップを含む、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記流速が、約2cm/分である、項目50に記載の方法。
(項目52)
流れ方向が、下向流に設定され、流速が、約0.1cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の溶出ステップを含む、項目47~52のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記流速が、約1cm/分である、項目52に記載の方法。
(項目54)
限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、前記複合化された治療用タンパク質を濃縮させることを更に含む、項目42~53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記治療用タンパク質の前記最終濃度が、約0.5~約3mg/mLである、項目42~54のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記治療用タンパク質が、約5~約11個の水溶性ポリマー部分を含む、項目42~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
前記複合化された治療用タンパク質が、クロマトグラフィを用いて精製され、抗カオトロピック塩が、負荷ステップおよび洗浄ステップにおいて使用され、前記方法が、流れ方向が、上向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の洗浄ステップと、流れ方向が、下向流に設定され、流速が、約0.2cm/分~約6.7cm/分である、1つ以上の溶出ステップと、を含み、限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって、前記複合化された治療用タンパク質を濃縮させることを更に含む、項目11に記載の方法。
(項目58)
前記クロマトグラフィが、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)であり、前記1つ以上の洗浄ステップの流速が、約2cm/分であり、前記1つ以上の溶出ステップの流速が、約1cm/分である、項目51に記載の方法。
(項目59)
項目1~58のいずれか1項に記載の方法によって産生される、修飾された治療用タンパク質。
(項目60)
活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを調製する方法であって、
a)酸化水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記酸化水溶性ポリマーと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1分~約24時間の期間、約2℃~約8℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成することと、
b)約2℃~約8℃の温度でクロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する前記水溶性ポリマーを精製することと、を含む方法によって調製され、
前記水溶性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers、Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、
それによって前記水溶性ポリマーと前記アミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成する、方法。
(項目61)
前記オキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記水溶性ポリマーがPSAである、項目60に記載の方法。
(項目63)
前記水溶性ポリマーがPEGである、項目60に記載の方法。
(項目64)
前記酸化水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を撹拌しながら、光の非存在下で4℃で1時間インキュベートする、項目60に記載の方法。
(項目65)
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製する、項目64に記載の方法。
(項目66)
活性アミノオキシ基を含有する水溶性ポリマーを調製する方法であって、
a)水溶性ポリマーを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記水溶性ポリマーと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、約1分~約24時間の期間、約22℃~約37℃の温度、光の存在下または非存在下、および撹拌しながらまたは撹拌なしを含み、それによって活性アミノオキシ基を含む水溶性ポリマーを形成することと、
b)クロマトグラフィ、濾過、透析、および沈殿からなる群から選択される方法により活性アミノオキシ基を含有する前記水溶性ポリマーを精製することと、を含み、
それによって前記水溶性ポリマーとアミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成する、方法。
(項目67)
前記オキシム連結形成が、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンからなる群から選択される求核触媒によって触媒される、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする、項目66に記載の方法。
(項目69)
前記水溶性ポリマーと、活性アミノオキシ基を含む前記アミノオキシリンカーとを含む前記溶液を撹拌しながら、光の非存在下で22℃で2時間インキュベートする方法であって、前記方法が、前記溶液の温度を約32℃~約37℃の温度に上昇させ、更に12~24時間インキュベートするステップを更に含む、項目66に記載の方法。
(項目70)
前記温度を上昇させる直前に活性アミノオキシ基を含む付加的な量のアミノオキシリンカーを添加する更なるステップを含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを、22℃の温度で透析、限外濾過/透析濾過(UF/DF)、およびクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって精製する、項目66に記載の方法。
(項目72)
4℃で透析、UF/DF、またはクロマトグラフィからなる群から選択される方法によって活性アミノオキシ基を含む前記水溶性ポリマーを精製するステップを更に含む、項目71に記載の方法。
(項目73)
PSA-アミノオキシ試薬アミノオキシ基を調製する方法であって、
a)酸化PSAを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記酸化PSAと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、1時間の期間、4℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、それによって活性アミノオキシ基を含有するPSAを形成することと、
b)活性アミノオキシ基を含有する前記PSAを、4℃の温度で陰イオン交換クロマトグラフィにより精製することと、を含み、
前記活性化アミノオキシリンカーが、式:
【化29】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカーであって、
それによって前記PSAと前記アミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成する、方法。
(項目74)
PSA-アミノオキシ試薬アミノオキシ基を調製する方法であって、
a)非酸化PSAを含む溶液を、活性アミノオキシ基を含むアミノオキシリンカーとともに、前記非酸化PSAと前記活性化アミノオキシリンカーとの間の安定したオキシム連結の形成を可能にする条件下で、インキュベートし、前記条件が、2時間の期間、22℃の温度、光の非存在下、および撹拌しながらを含み、それによって活性アミノオキシ基を含有するPSAを形成することと、
b)活性アミノオキシ基を含有する前記PSAを、22℃の温度で透析により精製することと、を含み、
前記活性化アミノオキシリンカーが、式:
【化30】
の3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカーであって、
それによって前記非酸化PSAと前記アミノオキシリンカーとの間のオキシム連結を形成する、方法。
(項目75)
水溶性ポリマーを血液凝固タンパク質の酸化炭水化物部分へ複合化させる方法であって、複合化を可能にする条件下で、前記酸化炭水化物部分を活性化水溶性ポリマーと接触させることを含み、
前記血液凝固タンパク質が、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、およびADAMTS13プロテアーゼ、またはその生物学的に活性なフラグメント、誘導体、もしくは変異体からなる群から選択され、
前記水溶性ポリマーが、活性アミノオキシ基を含有し、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、ポリシアル酸(PSA)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)からなる群から選択され、
前記炭水化物部分が、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO
4)、四酢酸鉛(Pb(OAc)
4)、および過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)からなる群から選択される酸化剤を含む緩衝液とともにインキュベーションすることによって酸化され、オキシム連結が、前記酸化炭水化物部分と前記水溶性ポリマー上の前記活性アミノオキシ基との間に形成される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】凝固第IX因子(配列番号1)の一次構造を示す。
【
図2】アミノオキシ-PSAへの酸化rFIXの結合を示す。
【
図3】水溶性ジアミノオキシリンカー(3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンおよび3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミン)の合成を示す。
【
図5-1】SDS PAGEによる、異なる触媒の存在下で調製されるPSA-FIX複合体の可視化を示す。a)異なる濃度を用いた、アニリンとm-トルイジンとの比較、b)アニリンとo-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-アミノベンズアミド、およびスルファニル酸との比較。
【
図5-2】SDS PAGEによる、異なる触媒の存在下で調製されるPSA-FIX複合体の可視化を示す。c)アニリンおよびm-トルイジンとo-アニシジンおよびm-アニシジンとの比較。
【
図6】様々な求核触媒を用いたポリシアル化のパーセントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
治療用タンパク質の薬理学的および免疫学的性質は、化学修飾、およびポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレンコマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)等のポリマー化合物との複合化によって改善することができる。得られる複合体の特性は、一般に、ポリマーの構造および大きさに強く左右される。したがって、画定された狭い大きさの分布を有するポリマーが、通常、当該技術分野において好ましいとされる。PEG等の合成ポリマーは、狭い大きさの分布で容易に製造することができ、一方、PSAは、狭い大きさの分布を有する最終PSA調製をもたらすような様式で精製することができる。加えて、画定されたポリマー鎖および狭い大きさの分布を有するPEG化試薬は、市場に出回っており、手頃な価格で市販されている。
【0048】
ポリシアル化等を介する可溶性ポリマーの添加は、血液凝固タンパク質FIX、ならびに他の凝固タンパク質(例えば、VWF、FVIIa(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0221032A1号を参照)およびFVIII)等の治療用タンパク質の特性を改善するための1つの方法である。
【0049】
治療用タンパク質
本発明のある特定の実施形態において、上述のポリペプチドおよびポリヌクレオチドの典型的なものは以下の治療用タンパク質である:酵素、抗原、抗体、受容体、血液凝固タンパク質、増殖因子、ホルモン、およびリガンド。ある特定の実施形態において、治療用タンパク質は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、またはADAMTS13プロテアーゼ等の血液凝固タンパク質である。一実施形態において、本発明による治療用タンパク質は糖タンパク質であるか、または様々な実施形態において、インビボで天然にグリコシル化されないタンパク質(即ち、天然にグリコシル化部位を含有しないタンパク質か、または精製前に宿主細胞中においてグリコシル化されないタンパク質)である。
【0050】
ある特定の実施形態において、治療用タンパク質は、免疫グロブリン、サイトカイン、例えばIL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロンα(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、例えばAng-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y等のアンジオポエチン、ヒトアンジオポエチン様ポリペプチド(ANGPTL1~7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形態形成タンパク質1、骨形態形成タンパク質2、骨形態形成タンパク質3、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質5、骨形態形成タンパク質6、骨形態形成タンパク質7、骨形態形成タンパク質8、骨形態形成タンパク質9、骨形態形成タンパク質10、骨形態形成タンパク質11、骨形態形成タンパク質12、骨形態形成タンパク質13、骨形態形成タンパク質14、骨形態形成タンパク質15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、骨形態形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、繊毛様神経栄養因子、繊毛様神経栄養因子受容体、クリプト、クリプティック、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮増殖因子、エピゲン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経増殖因子 神経増殖因子受容体、ニューロポエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、形質転換増殖因子α、形質転換増殖因子β、形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β1.2、形質転換増殖因子β2、形質転換増殖因子β3、形質転換増殖因子β5、潜在型形質転換増殖因子β1、形質転換増殖因子β結合タンパク質I、形質転換増殖因子β結合タンパク質II、形質転換増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、I型腫瘍壊死因子受容体、II型腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼタイププラスミノーゲン活性剤受容体、血管内皮増殖因子、ならびにそれらのキメラタンパク質および生物学的もしくは免疫学的に活性なフラグメントである。
【0051】
ある特定の実施形態において、治療用タンパク質は、α-、β-、およびγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンおよびリシン等の植物タンパク質、腫瘍壊死因子および関連対立遺伝子、腫瘍壊死因子受容体の可溶性形態、インターロイキン受容体および可溶性形態のインターロイキン受容体、増殖因子、例えばTGFαまたはTGFβおよび上皮増殖因子のような組織増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、色素ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、およびIgG、IgE、IgM、IgA、およびIgDのような免疫グロブリン、ガラクトシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、DNAse、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、コルチコステロイド、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、DNase、インテグリン、トロンビン、造血成長因子、レプチン、グリコシダーゼ、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、ならびにそれらのフラグメント、または上記のタンパク質もしくはそれらのフラグメントのいずれかを含む任意の融合タンパク質である。上述のタンパク質に加えて、下表1は、本発明によって企図される治療用タンパク質を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【0052】
本明細書に提供される治療用タンパク質は、排他的であると考えられるべきではない。むしろ、本明細書に提供される開示から明白であるように、本発明の方法は、本発明に従って水溶性ポリマーの付着が望ましい、任意のタンパク質に適用可能である。例えば、治療用タンパク質は、米国特許出願公開第2007/0026485号に記載され、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0053】
血液凝固タンパク質
一態様では、本発明の出発物質は、血液凝固タンパク質であり、これは、ヒト血漿に由来され得るか、または米国特許第4,757,006号、米国特許第5,733,873号、米国特許第5,198,349号、米国特許第5,250,421号、米国特許第5,919,766号、欧州特許第306 968号に説明されるように、組換え操作技術によって産生され得る。
【0054】
第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、およびADAMTS13プロテアーゼを含む血液凝固タンパク質等の治療的ポリペプチドは、タンパク質分解酵素によって急速に分解され、抗体によって中和される。これは、それらの半減期および循環時間を低下させ、それによってその治療効果を制限する。これらの凝固タンパク質の所望の治療効果または予防効果を達成し、かつ維持するには、比較的高い投与量および頻繁な投与が必要である。結果として、適切な投与量の調節を得るのは困難であり、頻繁な静脈内投与を必要とするために、患者の生活様式を制限する。
【0055】
本明細書で説明されるように、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、およびADAMTS13プロテアーゼが含まれるが、これらに限定されない、血液凝固タンパク質が、本発明によって企図される。本明細書で使用される「血液凝固タンパク質」という用語は、任意の第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンヴィレブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、およびADAMTS13プロテアーゼを指し、それらは特定の天然血液凝固タンパク質に関連する、生物学的活性を呈する。
【0056】
血液凝固カスケードは、3つの異なるセグメント、即ち、内因性、外因性、および一般的経路に分割される(Schenone et al.,Curr Opin Hematol.2004;11:272-7)。カスケードには、一連のセリンプロテアーゼ酵素(チモーゲン)およびタンパク質補因子が関与する。必要なとき、不活性キモーゼン前駆体が活性形態に変換され、それは、その後、カスケード中の次の酵素を変換する。
【0057】
内因性経路は、凝固因子VIII、IX、X、XI、およびXIIを必要とする。内因性経路の開始は、プレカリクレイン、高分子量キニノゲン、第XI因子(FXI)、および第XII因子(FXII)が負荷電された表面に暴露されるときに生じる。血小板から分泌されるカルシウムイオンおよびリン脂質も必要とされる。
【0058】
外因性経路は、血管の血管腔が損傷されたときに開始される。膜糖タンパク質組織因子が暴露され、次いで、循環因子VII(FVII)および既存の少量のその活性型FVIIaに結合する。この結合は、FVIIaへのFVIIの完全な変換を促進し、続いてカルシウムおよびリン脂質の存在下で、第IX因子(FIX)の第IXa因子(FIXa)への変換、および第X因子(FX)の第Xa因子(FXa)への変換を促進する。組織因子とのFVIIaの会合は、基質(FIXおよびFX)のためのFVIIの結合部位を接近させることによって、および構造変化を誘発させて、FVIIaの酵素活性を増進することにより、タンパク質分解活性を増進させる。
【0059】
FXの活性化は、2つの経路の共有点である。リン脂質およびカルシウムとともに、第Va因子(FVa)および第Xa因子は、プロトロンビンをトロンビンに変換させ(プロトロンビナーゼ複合体)、それは、次いで、フィブリノゲンを開裂して、フィブリンモノマーを形成する。モノマーは、重合してフィブリン鎖を形成する。第XIIIa因子(FXIIIa)は、これらの鎖を互いに共有結合させて、剛性のメッシュを形成する。
【0060】
FVIIのFVIIaへの変換もまた、トロンビン、FIXa、FXa、第XIa因子(FXIa)、および第XIIa因子(FXIIa)を含む、多くのプロテアーゼによって触媒される。カスケードの初期段階の阻害のために、組織因子経路阻害剤は、FVIIa/組織因子/FXa産物複合体を標的にする。
【0061】
第VIIa因子
FVII(安定因子またはプロコンベルチンとしても公知である)は、止血および凝固で中枢的役割を有する、ビタミンK依存性セリンプロテアーゼ糖タンパク質である(Eigenbrot,Curr Protein Pept Sci.2002;3:287-99)。
【0062】
FVIIは、肝臓内で合成され、48kDの単鎖糖タンパク質として分泌される。FVIIは、すべてのビタミンK依存性セリンプロテアーゼ糖タンパク質と、脂質膜とのタンパク質の相互作用に関与する、9~12残基を有するアミノ末端γカルボキシシグルタミン酸(Gla)ドメイン、カルボキシ末端セリンプロテアーゼドメイン(触媒ドメイン)、および組織因子との相互作用を媒介する、カルシウムイオン結合部位を含有する2つの上皮成長因子様ドメインからなる類似するタンパク質ドメイン構造を共有する。γグルタミルカルボキシラーゼは、分子のアミノ末端部分でGla残基のカルボキシル化を触媒する。カルボキシラーゼは、還元型ビタミンKにその作用のために依存し、それは、エポキシド型に酸化される。ビタミンKエポキシド還元酵素が、ビタミンKのエポキシド型を還元型に再変換するために必要である。
【0063】
FVIIの主要部分は、チモーゲン型で、血漿中で循環し、この型の活性化は、アルギニン152とイソロイシン153との間のペプチド結合の開裂をもたらす。結果として生じる活性化FVIIaは、単一ジスルフィド結合(Cys135~Cys262)を介して連結した、NH2由来軽鎖(20kD)およびCOOH末端由来重鎖(30kD)からなる。軽鎖は、膜結合Glaドメインを含有し、重鎖は、触媒ドメインを含有する。
【0064】
遺伝因子および環境因子によって決定されるFVIIの血漿濃度は約0.5mg/mLである(Pinotti et al.,Blood.2000;95:3423-8)。FVIIの異なる遺伝子型は、FVIIの平均レベルにおいて数倍の差異をもたらし得る。血漿中FVIIレベルは、健康な女性では妊娠中に上昇し、また、年齢とともに上昇し、女性および高トリグリセリド血症に罹患しているヒトにおいてより高い。FVIIは、すべての凝固促進因子のうちで最短の半減期(3~6時間)を有する。健康な個人におけるFVIIaの平均血漿濃度は3.6ng/mLであり、FVIIaの循環半減期は、他の凝固因子と比較して、比較的長い(2.5時間)。
【0065】
遺伝性FVII欠損症は、稀な常染色体劣性出血性障害であり、その有病率は一般集団において500,000人当たり1症例であると推定される(Acharya et al.,J Thromb Haemost.2004;2248-56)。阻害剤からの後天的FVII欠損症もまた、非常に稀である。セファロスポリン、ペニシリン、および経口抗凝固剤等の薬物に関連して生じる欠損症の症例も報告されている。更にまた、後天的FVII欠損症は、自然発症的に、または例えば骨髄腫、敗血症、再生不良性貧血等の他の状態とともに、インターロイキン-2および抗胸腺細胞グロブリン療法で生じることが報告されている。
【0066】
参照ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列としては、例えば、ゲノム配列のGenBank受託番号J02933、cDNAのM13232(Hagen et al.PNAS 1986;83:2412-6)、およびポリペプチド配列のP08709(参照は、その全体が本明細書に組み込まれる)が挙げられる。FVIIの種々の多型性は、に説明されており、例えば、Sabater-Llealら(Hum Genet.2006;118:741-51)を参照(参照は、その全体が本明細書に組み込まれる)。
【0067】
第IX因子
FIXは、カルシウムイオン、リン脂質、およびFVIIIaの存在下で、FXをその活性型に変換することによって、血液凝固の内因性経路に関与するビタミンK依存性血漿タンパク質である。FIXの主な触媒能は、FX内の特定のアルギニン-イソロイシン結合に対して特異性を有するセリンプロテアーゼとしての触媒能である。FIXの活性化は、FIXからの活性化ペプチドの除去をもたらし、1つまたは複数のジスルフィド結合によって保持される2つの鎖を含む活性化したFIX分子を産生する、FXIaによって生じる。FIXの欠損は、劣性X連鎖血友病Bの原因である。
【0068】
血友病AおよびBはそれぞれ、FVIIIおよびFIXポリペプチドの欠損を特徴とする遺伝性疾患である。欠損の根本的な原因は、頻繁に、FVIIIおよびFIX遺伝子の突然変異の結果であり、それらの両方は、X染色体上に位置する。血友病に対する従来の療法は、しばしば、正常の個人からのプール血漿または半精製された凝固タンパク質の静脈内投与を伴う。これらの調製は、感染性プリオン、HIV、パルボウイルス、A型肝炎、およびC型肝炎等の病原体またはウイルスによって汚染される可能性がある。したがって、ヒト血清の使用を必要としない治療薬に対する緊急の必要性がある。
【0069】
FIX活性の減少レベルは、血友病Bの重症度に正比例する。血友病Bの現在の治療は、血漿由来または組換えFIX(FIX置換または交換治療もしくは療法と称される)による、不足したタンパク質の交換からなる。
【0070】
FIXのポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号P00740、米国特許第6,531,298号、および
図1(配列番号1)において見出すことができる。
【0071】
第VIII因子
凝固第VIII因子(FVIII)は、非常に低い濃度で血漿中を循環し、フォンヴィレブランド因子(VWF)に非共有結合する。止血中、FVIIIは、VWFから分離され、カルシウムおよびリン脂質、または細胞膜の存在下で、活性化の速度を強化させることによって、活性化第IX因子(FIXa)媒介のFX活性化のための補因子として機能する。
【0072】
FVIIIは、ドメイン構造A1-A2-B-A3-C1-C2を有する、約270~330kDの単鎖前駆体として合成される。血漿から精製されるとき(例えば、「血漿由来」または「血漿性」)、FVIIIは、重鎖(A1-A2-B)および軽鎖(A3-C1-C2)からなる。軽鎖の分子量は80kDであり、Bドメイン内のタンパク質分解により、重鎖は90~220kDの範囲内である。
【0073】
FVIIIはまた、出血性障害における治療用途のための組換えタンパク質としても合成される。種々のインビトロアッセイが、治療薬物としての組換えFVIII(rFVIII)の潜在的有効性を決定するために考案されている。これらのアッセイは、内在性FVIIIのインビボ効果を模倣する。FVIIIのインビトロトロンビン治療は、インビトロアッセイによって測定される、その凝固促進活性の迅速な増加およびその後の減少をもたらす。この活性化および不活性化は、例えば、FVIIIをVWFから解離させ、かつリン脂質表面に結合させて、異なる結合エピトープの有効性を調整するか、またはある特定のモノクローナル抗体への結合能を調整する、重鎖および軽鎖の両方における特定の制限されたタンパク質分解と一致する。
【0074】
FVIIIの欠如および機能不全は、最も頻度の高い出血性障害である血友症Aと関連する。血友症Aの管理のための最適な治療は、血漿由来、またはrFVIII濃縮物を用いる交換療法である。1%を下回るFVIIIレベルを有する重篤な血友症Aに罹患している患者は、一般に、FVIIIを投与と投与の間に1%を超えて維持することを目的とする予防療法を受けている。循環血中の種々のFVIII産物の平均半減期を考慮すると、この結果は、通常、FVIIIを週に2~3回投与することによって達成することができる。
【0075】
参照ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列としては、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot P00451(FA8_HUMAN)、Gitschier J et al.,Characterization of the human Factor VIII gene,Nature,312(5992):326-30(1984)、Vehar GH et al.,Structure of human
Factor VIII,Nature,312(5992):337-42(1984)、Thompson AR.Structure and Function of
the Factor VIII gene and protein,Semin Thromb Hemost,2003:29;11-29(2002)が挙げられる。
【0076】
フォンヴィレブランド因子
フォンヴィレブランド因子(VWF)は、約500~20,000kDの範囲のサイズの一連の多量体として血漿中を循環する糖タンパク質である。VWFの多量体形態は、ジスルフィド結合によって相互に連結された250kDのポリペプチドサブユニットからなる。VWFは、損傷した血管壁の内皮下層への初期血小板粘着を媒介する。より大きな多量体のみが止血活性を呈する。内皮細胞は大きいポリマー形態のVWFを分泌し、低分子量を有するVWFの形態(低分子量のVWF)はタンパク質分解開裂から生じることが想定されている。高分子質量を有する多量体は、内皮細胞のバイベルパラーデ小体内に保存され、刺激時に遊離される。
【0077】
VWFは、大部分反復ドメインからなるプレプロVWFとして内皮細胞および巨核球によって合成される。シグナルペプチドの開裂時に、プロVWFは、そのC末端領域においてジスルフィド連結を介して二量体化する。二量体は、多量体化のためのプロトマーとして機能し、それは、遊離末端間のジスルフィド連結によって支配される。多量体へのアセンブリの後、プロペプチド配列のタンパク質分解除去が続く(Leyte et al.,Biochem.J.274(1991),257-261)。
【0078】
VWFのクローン化cDNAから予測される一次翻訳生成物は、2813残基の前駆体ポリペプチド(プレプロVWF)である。プレプロVWFは、22個のアミノ酸シグナルペプチドおよび741個のアミノ酸プロペプチドからなり、成熟VWFは2050個のアミノ酸を含む(Ruggeri Z.A.,and Ware,J.,FASEB J.,308-316(1993)。
【0079】
VWFの欠損は、ある程度の顕著な出血性表現型を特徴とする、フォンヴィレブランド病(VWD)の原因である。3型VWDは、VWFが完全に欠損している最も重度な形態であり、1型VWDは、VWFの量的減少に関連し、その表現型は、非常に軽度である可能性がある。2型VWDは、VWFの質的欠損に関連し、3型VWDと同様の重度である可能性がある。2型VWDは、多くの亜種形態を有し、そのうちの幾つかは、高分子量の多量体の損失または減少に関連する。2a型フォンヴィレブランド病(VWD-2A)は、中間および大きい多量体の両方の損失を特徴とする。VWD-2Bは、最も高い分子量の多量体の損失を特徴とする。VWFに関連する他の疾患および障害は、当該技術分野において公知である。
【0080】
プレプロVWFのポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、それぞれ、GenBank受託番号NM_000552およびNP_000543で入手可能である。
【0081】
本発明に従う他の血液凝固タンパク質は、当該技術分野において、例えば、Mann KG,Thromb Haemost,1999;82:165-74において説明されている。
【0082】
A.ポリペプチド
一態様では、本発明の出発物質は、タンパク質またはポリペプチドである。本明細書に説明するとき、治療用タンパク質という用語は、治療用タンパク質に関連する生物学的活性を呈する、任意の治療用タンパク質分子を指す。本発明の一実施形態において、治療用タンパク質分子は、完全長のタンパク質である。
【0083】
企図される治療用タンパク質分子は、完全長のタンパク質、完全長のタンパク質の前駆体、完全長のタンパク質の生物学的に活性なサブユニットまたはフラグメント、ならびに治療用タンパク質のこれらの形態のうちのいずれかの生物学的に活性な誘導体および変異体を含む。したがって、治療用タンパク質は、(1)少なくとも約25、約50、約100、約200、約300、約400、またはそれ以上のアミノ酸の領域にわたって、参照核酸、または本明細書に説明されるアミノ酸配列によってコードされたポリペプチドと、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超、またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有する、アミノ酸配列を有する、および/または(2)本明細書に説明される参照アミノ酸配列を含む免疫原、その免疫原性フラグメント、および/またはその保存的に修飾された変異体に対して生成された抗体、例えば、ポリクロナールまたはモノクローナル抗体に特異的に結合する、治療用タンパク質を含む。
【0084】
本発明に従い、「組換え治療用タンパク質」という用語は、組換えDNA技術を介して得られた任意の治療用タンパク質を含む。ある特定の実施形態において、この用語は、本明細書に説明されるタンパク質を包含する。
【0085】
本明細書で使用される「内在性治療用タンパク質」は、治療を受けることを意図されている哺乳動物に由来する治療用タンパク質を含む。該用語はまた、該哺乳動物に存在する導入遺伝子または任意の他の外来DNAから転写された治療用タンパク質を含む。本明細書で使用される「外在性治療用タンパク質」は、治療を受けることを意図されている哺乳動物に由来しない血液凝固タンパク質を含む。
【0086】
本明細書で使用される「血漿由来血液凝固タンパク質」または「血漿性」は、凝固経路に関与する特性を有する哺乳動物から得られた、血中に見られるタンパク質のすべての形態を含む。
【0087】
本明細書で使用される「生物学的に活性な誘導体」または「生物学的に活性な変異体」は、分子の任意の誘導体または変異体であって、該分子の実質的に同一の機能的および/または生物学的特性(結合特性等)、および/または同一の構造基盤(ペプチド主鎖または塩基ポリマー単位)を有する分子の任意の誘導体または変異体を含む。
【0088】
「変異体」または「誘導体」等の「類似体」は、天然由来の分子と構造が実質的に同様であり、ある特定の例では、異なる程度ではあるが、同一の生物学的活性を有する化合物である。例えば、ポリペプチド変異体は、参照ポリペプチドと実質的に同様の構造を共有し、同一の生物学的活性を有するポリペプチドを指す。変異体または類似体は、類似体が由来する天然ポリペプチドと比較して、(i)ポリペプチドの1つまたは複数の末端および/または天然由来のポリペプチド配列の1つまたは複数の内部領域(例えば、フラグメント)における1つまたは複数のアミノ酸残基の欠失、(ii)ポリペプチドの1つまたは複数の末端における1つまたは複数のアミノ酸の挿入または付加(一般的に「付加」または「融合」)、および/または天然由来のポリペプチド配列の1つまたは複数の内部領域における1つまたは複数のアミノ酸の挿入または付加(一般的に「挿入」)、あるいは(iii)天然由来のポリペプチド配列での1つまたは複数のアミノ酸の他のアミノ酸に代えての置換を含む1つまたは複数の変異に基づき、それらのアミノ酸配列の組成が異なる。例として、「誘導体」は、一種の類似体であり、例えば、化学的に修飾されている参照ポリペプチドと同一または実質的に同様の構造を共有するポリペプチドを指す。
【0089】
変異体ポリペプチドは、1種の類似体ポリペプチドであり、挿入変異体を含み、そこでは1つまたは複数のアミノ酸残基が本発明の治療用タンパク質アミノ酸配列に付加される。挿入は、タンパク質のいずれか末端または両末端に位置してもよい、および/または治療用タンパク質アミノ酸配列の内部領域内に位置付けられてもよい。いずれかの末端または両方の末端に付加残基を有する挿入変異体は、例えば、融合タンパク質、およびアミノ酸タグまたは他のアミノ酸標識を含むタンパク質を含む。一態様では、血液凝固タンパク質分子は、特に、分子を大腸菌等の細菌性細胞内に組換え発現させるとき、任意に、N末端Metを含有する。
【0090】
欠失変異体では、本明細書に説明される治療用タンパク質ポリペプチド内の1つまたは複数のアミノ酸残基が除去される。欠失は、治療用タンパク質ポリペプチドの1つまたは両方の末端において、および/または治療用タンパク質アミノ酸配列内の1つまたは複数の残基の除去によって達成することができる。したがって、欠失変異体は、治療用タンパク質ポリペプチド配列のフラグメントを含む。
【0091】
置換変異体では、治療用タンパク質ポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基が除去され、代替の残基と置き換えられる。一態様では、置換は、保存的な性質を有し、このタイプの保存的置換は、当該技術分野において周知である。あるいは、本発明は、非保存的でもある置換を包含する。例示的な保存的置換が、Lehninger,[Biochemistry,2nd Edition;Worth Publishers,Inc.,New York(1975),pp.71-77]に記載されており、すぐ下に提示する。
【表1-26】
【0092】
代替的に、例示的な保存的置換をすぐ下に提示する。
【表1-27】
【0093】
B.ポリヌクレオチド
本発明の治療用タンパク質をコードする核酸としては、例えば、遺伝子、プレmRNA、mRNA、cDNA、多形変異体、対立遺伝子、合成、および天然由来の変異体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
また、本発明の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、(1)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に説明される参照アミノ酸配列をコードする核酸、およびその保存的に修飾された変異体に特異的にハイブリダイズする、(2)少なくとも約25、約50、約100、約150、約200、約250、約500、約1000、またはそれ以上のヌクレオチド(最大、成熟タンパク質の1218ヌクレオチドの完全長配列)の領域にわたって、本明細書に説明される参照核酸配列と、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、またはそれより高いヌクレオチド配列同一性を有する、核酸配列を有するポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」条件は、50%のホルムアミド、5×SSC、20mMのNa・PO4、pH6.8中の42℃でのハイブリダイゼーション、および30分間、55℃での1×SSCの洗浄を含む。これらの例示的な条件は、ハイブリダイズされる配列の長さおよびGCヌクレオチド含有量に基づき変化し得ることを理解されたい。当該技術分野における標準的な式は、適切なハイブリダイゼーション条件を決定するために適切である。Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Second ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)§§9.47-9.51を参照されたい。
【0095】
「天然(naturally-occurring)」ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、典型的には、霊長類(例えば、ヒト)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、または任意の哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない哺乳動物に由来する。本発明の核酸およびタンパク質は、(例えば、異種の、野生型配列またはその変異体をコードする、または非天然発生の)組換え分子であり得る。
【0096】
C.治療用タンパク質の産生
治療用タンパク質の産生には、(i)遺伝子操作による組換えDNAの産生、(ii)例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションによる(これらに限定されない)原核細胞または真核細胞への組換えDNAの導入、(iii)前述の形質転換細胞の培養、(iv)例えば構造的または誘発時の治療用タンパク質の発現、(v)精製した治療用タンパク質を得るために、例えば培養培地から、または形質転換細胞を収集することによる前述の血液凝固タンパク質の単離、に関して当該技術分野で公知の任意の方法が含まれる。
【0097】
他の態様では、治療用タンパク質は、薬理学的に許容される血液凝固タンパク質分子を産生することによって特徴付けられる好適な原核または真核宿主系内の発現によって産生される。真核細胞の例は、CHO、COS、HEK293、BHK、SK-Hep、およびHepG2等の哺乳動物細胞である。
【0098】
多種多様なベクターが治療用タンパク質の調製に使用され、真核および原核発現ベクターから選択される。原核発現のためのベクターの例としては、pRSET、pET、およびpBAD等のプラスミドが挙げられるが、これらに限定されず、原核発現ベクターに使用されるプロモーターとしては、lac、trc、trp、recA、またはaraBADのうちの1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。真核発現のためのベクターの例としては、(i)酵母における発現では、AOX1、GAP、GAL1、またはAUG1等であるが、これらに限定されないプロモーターを使用する、pAO、pPIC、pYES、またはpMET等であるが、これらに限定されないベクター、(ii)昆虫細胞における発現では、PH、p10、MT、Ac5、OpIE2、gp64、またはpolh等であるが、これらに限定されないプロモーターを使用する、pMT、pAc5、pIB、pMIB、またはpBAC等であるが、これらに限定されないベクター、および(iii)哺乳動物細胞における発現では、pSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、またはpBPV等であるが、これらに限定されないベクター、および一態様では、CMV、SV40、EF-1、UbC、RSV、ADV、BPV、およびβ-アクチン等であるが、これらに限定されないプロモーターを使用する、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはレトロウイルス等であるが、これらに限定されないウイルス系に由来するベクターが挙げられる。
【0099】
D.投与
一実施形態において、本発明の複合化された治療用タンパク質は、静脈内、筋肉内、または腹腔内注入等の注入によって投与されてもよい。
【0100】
本発明の複合化された治療用タンパク質を含む組成物をヒトまたは試験動物に投与するために、一態様では、組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む。「薬学的に」または「薬理学的に許容される」という用語は、下に説明されるように、安定しており、凝集および開裂生成物等のタンパク質分解を阻害し、加えて、当該技術分野で周知の経路を使用して投与されるとき、アレルギー反応または他の有害反応を起こさない分子的実体および組成物を指す。「薬学的に許容される担体」としては、上に開示した薬剤を含む、任意かつ全ての臨床的に有用な溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤等が挙げられる。
【0101】
本明細書で使用される「有効量」は、疾患または障害を治療するまたは疾患または障害の症状を改善するために好適な用量を含む。一実施形態において、「有効量」は、本明細書に説明される出血性障害を有する哺乳動物を治療するために好適な用量を含む。
【0102】
組成物は、経口的、局所的、経皮的、非経口的、吸引スプレーによって、経膣的、経直腸的、または頭蓋内注入によって、投与されてもよい。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、胸骨内注射、または注入技法が含まれる。静脈内、皮下、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄腔内、眼球後、肺内注入、およびまたは特定の部位での外科的移植による投与も企図される。一般に、組成物は、発熱物質、ならびに受容者に有害である可能性がある他の不純物を本質的に含んでいない。
【0103】
組成物の単回または複数回投与は、治療する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで実行することができる。疾患の予防または治療では、適切な投与量は、上述のように、治療すべき疾患の種類、疾患の重症度および経過、薬物が予防または治療目的のために投与されているか、治療歴、患者の病歴および薬物への応答、ならびに担当医の裁量に依存するであろう。
【0104】
本発明はまた、本明細書に定義する有効量の複合化された治療用タンパク質を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、塩、緩衝液、または賦形剤を更に含んでもよい。薬学的組成物は、上に定義する出血性障害を治療するために使用することができる。本発明の薬学的組成物は、溶液または凍結乾燥された生成物であってもよい。薬学的組成物の溶液は、任意の好適な凍結乾燥プロセスに供してもよい。
【0105】
更なる態様として、本発明は、対象に投与するためのその使用を促進する様式で梱包された本発明の組成物を含むキットを含む。一実施形態において、かかるキットは、本明細書に説明される化合物または組成物(例えば、複合化された治療用タンパク質を含む組成物)を含み、それは密封ボトルまたは器等の容器に梱包され、方法を実践する上での化合物または組成物の使用法を説明するラベルがその容器に貼られているか、パッケージに含まれる。一実施形態において、キットは、複合化された治療用タンパク質を含む組成物を有する第1の容器、および第1の容器内の組成物のための生理的に許容される再構成溶液を有する第2の容器を含有する。一態様では、化合物または組成物は、単位用量形態で梱包される。キットは、特定の投与経路に従い組成物を投与するための好適な装置を更に含んでもよい。好ましくは、キットは、治療用タンパク質またはペプチド組成物の使用法を説明するラベルを含有する。
【0106】
水溶性ポリマー
一態様では、提供される治療用タンパク質誘導体(即ち、複合化された治療用タンパク質)分子は、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、ポリシアル酸(PSA)、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレン-コマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)が挙げられるが、これらに限定されない、水溶性ポリマーに結合される。本発明の一実施形態において、水溶性ポリマーは、350~120,000、500~100,000、1000~80,000、1500~60,000、2,000~45,000Da、3,000~35,000Da、および5,000~25,000Daの範囲の分子量を有する、シアル酸分子からなる。水溶性ポリマーの結合は、タンパク質への直接結合によって、またはリンカー分子を介して実行することができる。化学的リンカーの一例は、炭水化物選択的ヒドラジドおよびスルフヒドリル反応マレイミド基を含有する、MBPH(4-[4-N-マレイミドフェニル]酪酸ヒドラジド)である(Chamow et al.,J Biol Chem 1992;267:15916-22)。他の例示的および好ましいリンカーは、下に説明される。
【0107】
一実施形態において、誘導体は、天然の治療用タンパク質生成物の完全な機能活性を保持し、天然の治療用タンパク質生成物と比較して、延長したインビボ半減期を提供する。別の実施形態において、誘導体は、天然の血液凝固タンパク質に対して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、または150パーセント(%)の生物学的活性を保持する。関連する態様では、誘導体および天然の血液凝固タンパク質の生物学的活性は、血液凝固因子抗原値に対する色原体活性の比(血液凝固因子:Chr:血液凝固因子:Ag)によって決定される。本発明の更に別の実施形態において、構築物の半減期は、天然の治療用タンパク質のインビボ半減期に対して、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍減少または増大する。
【0108】
A.シアル酸およびPSA
PSAは、N-アセチルノイラミン酸のポリマー(通常、ホモポリマー)からなる。二級アミノ基は、一般に、アセチル基を保有するが、その代わりにグリコリル基を保有してもよい。ヒドロキシル基における可能な置換基としては、アセチル基、ラクチル基、エチル基、硫酸基、およびリン酸基が挙げられる。
【化6】
【0109】
シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)の構造
【0110】
PSAおよびmPSAは、一般的には、2,8-または2,9-グリコシド連結、あるいはこれらの組み合わせ(例えば、2,8-および2,9-で交互に連結したもの)によって連結されたN-アセチルノイラミン酸部分から本質的になる直鎖状ポリマーを含む。特に好ましいPSAおよびmPSAでは、グリコシド連結はα-2,8である。そのようなPSAおよびmPSAは、好都合には、コロミン酸に由来し、本明細書中では「CA」および「mCA」と称される。典型的なPSAおよびmPSAは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、および最も好ましくは少なくとも20個のN-アセチルノイラミン酸部分を含む。したがって、それらは、2~300個のN-アセチルノイラミン酸部分、好ましくは5~200個のN-アセチルノイラミン酸部分、または最も好ましくは10~100個のN-アセチルノイラミン酸部分を含み得る。PSAおよびCAは、好ましくは、N-アセチルノイラミン酸以外の糖部分を本質的に含まない。したがって、PSAおよびCAは、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも98%のN-アセチルノイラミン酸部分を含む。
【0111】
PSAおよびCAがN-アセチルノイラミン酸以外の部分を含む場合(例えば、mPSASおよびmCA等の場合)、これらは、好ましくは、ポリマー鎖の一端または両端に位置している。例えば、そのような「他の」部分は、酸化または還元により末端N-アセチルノイラミン酸部分から誘導された部分であり得る。
【0112】
例えば、国際公開第A-0187922号には、過ヨウ素酸ナトリウムとの反応によって、非還元末端N-アセチルノイラミン酸単位がアルデヒド基に変換されたmPSAおよびmCAが記載されている。更に、国際公開第2005/016974号には、還元末端N-アセチルノイラミン酸単位が還元を受け、この還元末端N-アセチルノイラミン酸単位で還元的に開環し、それによって隣接ジオール基が形成され、続いて、酸化され、隣接ジオール基をアルデヒド基に変換したmPSAおよびmCAが記載されている。
【0113】
シアル酸リッチの糖タンパク質は、ヒトおよび他の生物でセレクチンに結合する。それらは、ヒトインフルエンザ感染に重要な役割を果たす。例えば、シアル酸は、マンノース結合レクチンから、宿主細胞または細菌の表面上のマンノース抗原を隠し得る。このことは、補体の活性化を妨げる。また、シアル酸は、最後から2番目の位置にあるガラクトース残基を隠し、これにより肝実質細胞上のガラクトース受容体による、糖タンパク質の急速な排除を妨げる。
【化7】
【0114】
コロミン酸(N-アセチルノイラミン酸のホモポリマー)の構造
【0115】
コロミン酸(PSAの部分集合)は、α(2→8)ケトシド連結によるN-アセチルノイラミン酸(NANA)のホモポリマーであり、とりわけ、K1抗原を有する大腸菌の特定の株によって産生される。コロミン酸は、多くの生理学的機能を有する。それらは、薬物および化粧品の原材料として重要である。
【0116】
ポリシアル化および非修飾アスパラギナーゼとのインビボ比較研究は、ポリシアル化が酵素の半減期を増大させたことを明らかにした(Fernandes and Gregoriadis,Biochimica Biophysica Acta 1341:26-34,1997)。
【0117】
本明細書で使用される「シアル酸部分」は、水性溶液または懸濁液中で可溶性であり、薬学的に有効量のPSA-血液凝固タンパク質複合体の投与時に、哺乳動物への副作用等の悪影響がわずか、または全くない、シアル酸モノマーまたはポリマー(「多糖類」)を含む。一態様では、ポリマーは、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、または500個のシアル酸単位を有することを特徴とする。ある特定の態様では、異なるシアル酸単位が鎖に組み込まれる。
【0118】
本発明の一実施形態において、多糖化合物のシアル酸部分は、非常に親水性であり、別の実施形態において、全化合物は、非常に親水性である。親水性は、主に、シアル酸単位のペンダントカルボキシル基、ならびにヒドロキシル基によって与えられる。糖類単位は、アミン基、ヒドロキシル基、または硫酸基等の他の官能基、またはそれらの組み合わせを含有してもよい。これらの基は、天然由来の糖類化合物上に存在してもよいか、または誘導体多糖類化合物中に導入されてもよい。
【0119】
天然由来のポリマーPSAは、広域な大きさの分布(例えば、Sigma C-5762)、および高い多分散性(PD)を示す、多分散調製物として利用可能である。多糖類は、通常、共精製する内毒素の特有のリスクを持つ細菌内で産生されるため、長いシアル酸ポリマー鎖の精製は、内毒素含有量の増大の可能性を上げる場合がある。1~4個のシアル酸単位を有する短いPSA分子はまた、合成的に調製することができ(Kang SH et al.,Chem Commun.2000;227-8、Ress DK and Linhardt RJ,Current Organic Synthesis.2004;1:31-46)、したがって、高い内毒素レベルのリスクを最小限化させる。しかしながら、ここで、内毒素もない、狭い大きさの分布および低い多分散性を有するPSA調製物を製造することができる。一態様では、本発明のための特定の使用の多糖類化合物は、細菌によって産生された多糖類化合物である。これらの天然の多糖類のうちの幾つかは、糖脂質として知られている。一実施形態において、多糖類化合物には、末端ガラクトース単位を実質的に含まない。
【0120】
B.ポリエチレングリコール(PEG)およびPEG化
ある特定の態様では、治療用タンパク質は、種々の化学的方法のいずれかによって、水溶性ポリマーに複合化される(Roberts JM et al.,Advan Drug Delivery Rev 2002;54:459-76)。例えば、一実施形態において、治療用タンパク質は、PEGの複合化によって、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを使用して、タンパク質の遊離アミノ基に修飾される。別の実施形態において、水溶性ポリマー、例えば、PEGは、マレインイミド化学、または事前酸化後に、治療用タンパク質の炭水化物部分へのPEGヒドラジドもしくはPEGアミンの結合を使用して、遊離SH基に結合される。
【0121】
一態様では、複合化は、水溶性ポリマーの直接結合(またはリンカー系を介する結合)によって、安定結合の形成下で、治療用タンパク質に対して実行される。更に、分解性、放出性、または加水分解性リンカー系が本発明のある特定の態様に使用される(Tsubery et al.J Biol Chem 2004;279:38118-24/Greenwald et al.,J Med Chem 1999;42:3657-67/Zhao et al.,Bioconj Chem 2006;17:341-51/国際公開第2006/138572A2号/米国特許第7259224B2号/米国特許第7060259B2号)。
【0122】
本発明の一実施形態において、治療用タンパク質は、コハク酸スクシンイミジル、グルタル酸スクシンイミジル、またはプロピオン酸スクシンイミジル等の活性N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)を含有するポリエチレングリコール誘導体の使用によって、リシン残基を介して修飾される。これらの誘導体は、安定アミド結合を形成することによって、温和な条件下で、治療用タンパク質のリシン残基と反応する。本発明の一実施形態において、PEG誘導体の鎖長は、5,000Daである。直鎖および分岐構造を含む、500~2,000Da、2,000~5,000Da、5,000超~最大10,000Da、または10,000超~最大20,000Da、または20,000超~最大150,000Daの鎖長を有する他のPEG誘導体が、種々の実施形態に使用される。
【0123】
アミノ基のPEG化のための代替の方法としては、ウレタン結合を形成することによるPEGカルボン酸との化学的複合化、または二級アミド結合を形成する還元アミノ化によるアルデヒドもしくはケトンとの反応が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
本発明の一実施形態において、治療用タンパク質分子は、市販されるPEG誘導体を使用して化学修飾される。代替的態様におけるこれらのPEG誘導体は、直鎖または分岐構造を有する。NHS基を含有するPEG誘導体の例が、下に列挙される。
【0125】
以下のPEG誘導体は、Nektar Therapeutics(Huntsville,Ala.、www.nektar.com/PEG試薬カタログ、Nektar Advanced PEGylation、価格表2005~2006を参照)から市販されるPEG誘導体の非制限的な例である:
mPEG-プロピオン酸スクシンイミジル(mPEG-SPA)
【化8】
mPEG-スクシンイミジルα-メチルブタノアート(mPEG-SMB)
【化9】
mPEG-CM-HBA-NHS(CM=カルボキシメチル、HBA=ヒドロキシ酪酸)
【化10】
分岐PEG誘導体(Nektar Therapeutics)の構造:
分岐PEG N-ヒドロキシスクシンイミド(mPEG2-NHS)
【化11】
【0126】
分岐構造を有するこの試薬は、Kozlowskiら(BioDrugs 2001;5:419-29)によって、より詳細に記載されている。
【0127】
PEG誘導体の他の非制限的例は、NOF Corporation(Tokyo、Japan、www.nof.co.jp/english:カタログ2005を参照)から市販されている。
直鎖PEG誘導体(NOF Corp.)の一般構造:
【化12】
X=カルボキシメチル
【化13】
X=カルボキシペンチル
【化14】
x=コハク酸
【化15】
x=グルタル酸
【化16】
分岐PEG誘導体(NOF Corp.)の構造:2,3-ビス(メチルポリオキシエチレン-オキシ)-1-(1,5-ジオキソ-5-スクシンイミジルオキシ、ペンチルオキシ)プロパン
【化17】
2,3-ビス(メチルポリオキシエチレン-オキシ)-1-(スクシンイミジルカルボキシペンチルオキシ)プロパン
【化18】
【0128】
これらのプロパン誘導体は、1,2置換パターンを有するグリセロール主鎖を示す。本発明では、1,3置換を有するグリセロール構造、または米国特許出願公開第2003/0143596A1号に説明される他の分岐構造に基づく分岐PEG誘導体もまた、企図される。
【0129】
Tsuberyら(J Biol Chem 2004;279:38118-24)およびShechterら(国際公開第04089280A3号)によって説明される、分解性(例えば、加水分解性)リンカーを有するPEG誘導体もまた、企図される。
【0130】
驚くべきことに、本発明のPEG化された治療用タンパク質は、延長したインビボ半減期と組み合わせて、機能活性を呈する。加えて、PEG化されたrFVIII、FVIIa、FIX、または他の血液凝固因子は、トロンビン不活性化に対してより耐性であるように思える。
【0131】
C.ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)およびヒドロキシエチルデンプン(HES)
本発明の種々の実施形態において、治療用タンパク質分子は、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)もしくはヒドロキシエチルデンプン(HES)、またはそれらの誘導体を使用して化学的に修飾される。
【0132】
HESは、天然由来のアミロペクチンの誘導体であり、体内ではα-アミラーゼによって分解される。HESは、炭水化物ポリマーのアミロペクチンの置換誘導体であり、これはコーンスターチ中に最大95重量%の濃度で存在する。HESは、有利な生物学的特性を示し、血液量置換剤として診療所の血液希釈療法で使用される(Sommermeyer et al.,1987,Krankenhauspharmazie,8(8),271-278、およびWeidler et al.,1991,Arzneim.-Forschung/Drug Res.g 419 494-498)。
【0133】
アミロペクチンは、主鎖においてα-1,4-グリコシド結合が存在し、分岐鎖部位においてα-1,6-グリコシド結合が見出される、グルコース部分からなる。この分子の物理化学的特性は、主に、グリコシド結合の型によって決定される。切れ目の入った(nicked)α-1,4-グリコシド結合のために、1回転当たり約6つのグリコースモノマーを有するらせん構造が作られる。ポリマーの物理化学的特性ならびに生化学的特性は、置換により改変し得る。ヒドロキシエチル基の導入は、アルカリ性ヒドロキシエチル化により達成することができる。反応条件を適合させることにより、ヒドロキシエチル化に関して非置換グルコースモノマーにおけるそれぞれのヒドロキシ基の異なる反応性を活用することが可能である。この事実により、当業者は限定される程度に置換パターンに影響を及ぼすことができる。
【0134】
HASは、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基によって置換されているデンプン誘導体を指す。したがって、ヒドロキシアルキルデンプンという用語は、末端炭水化物成分がヒドロキシアルキル基R1、R2、および/またはR3を含む化合物に限定されず、少なくとも1つのヒドロキシ基がどこかに存在し、末端炭水化物成分および/またはデンプン分子の残りの部分のいずれかにて、HAS’がヒドロキシアルキル基R1、R2、またはR3で置換されている化合物も指す。
【化19】
【0135】
アルキル基は、直鎖または分岐鎖アルキル基であってもよく、これは好適に置換されてもよい。好ましくは、ヒドロキシアルキル基は、1~10個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子、なおより好ましくは2~4個の炭素原子を含有する。したがって、「ヒドロキシアルキルデンプン」は、好ましくは、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、およびヒドロキシブチルデンプンを含み、ヒドロキシエチルデンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンが特に好ましい。
【0136】
2つ以上の異なるヒドロキシアルキル基を含むヒドロキシアルキルデンプンもまた、本発明に含まれる。HASに含まれる少なくとも1つのヒドロキシアルキル基は、2つ以上のヒドロキシ基を含有してもよい。一実施形態によれば、HASに含まれる少なくとも1つのヒドロキシアルキル基は、1つのヒドロキシ基を含有する。
【0137】
HASという用語はまた、アルキル基がモノ置換または多置換である誘導体も含む。一実施形態において、アルキル基がハロゲン、特にフッ素、またはアリール基で置換されているが、但し、HASは水溶性のままであるものとする。更に、ヒドロキシアルキル基の末端ヒドロキシ基は、エステル化またはエーテル化することができる。HAS誘導体は、国際公開第2004/024776号に説明されており、これは参照によってその全体が組み込まれる。
【0138】
D.付着方法
治療用タンパク質は、当業者に公知の種々の技術のいずれかによって、多糖類化合物に共有連結され得る。本発明の種々の態様では、シアル酸部分は、例えば、米国特許第4,356,170号に説明される方法(参照により、本明細書に組み込まれる)によって、治療用タンパク質、例えば、FIX、FVIII、FVIIa、またはVWFに結合される。
【0139】
PSAをポリペプチドに結合するための他の技術もまた、知られており、本発明によって企図される。例えば、米国特許出願公開第2007/0282096号は、例えば、PSAのアミンまたはヒドラジド誘導体をタンパク質に複合化させることを説明する。加えて、米国特許出願公開第2007/0191597号は、還元末端において基質(例えば、タンパク質)との反応のためのアルデヒド基を含有するPSA誘導体を説明する。これらの参照文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
種々の方法が米国特許第5,846,951号の7列、15行~8列、5行に開示される(参照によってその全体が組み込まれる)。例示的な技術は、血液凝固タンパク質または多糖類のうちのいずれかの上のカルボキシル基と、血液凝固タンパク質または多糖のアミン基との間のペプチド結合、または血液凝固タンパク質または多糖のカルボキシル基と、治療用タンパク質または多糖類のヒドロキシル基との間のエステル連結を介する連結を含む。治療用タンパク質が多糖類化合物に共有結合される、別の連結は、過ヨウ素酸塩酸化によって多糖類の非還元末端において形成されたアルデヒド基と反応させられる血液凝固タンパク質上の遊離アミノ基の間のシッフ塩基を介する(Jennings HJ and Lugowski C,J Immunol.1981;127:1011-8;Fernandes AI and Gregoriadis G,Biochim Biophys Acta.1997;1341;26-34)。一態様では、生成されたシッフ塩基は、NaCNBH3での特異的還元によって安定化され、二級アミンを形成する。代替のアプローチは、事前酸化後のNH4Clでの還元アミノ化によるPSA内の末端遊離アミノ基の生成である。二官能性試薬を、2つのアミノ基または2つのヒドロキシル基に連結するために使用することができる。例えば、アミノ基を含有するPSAが、BS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベリン酸/Pierce,Rockford,IL)等の試薬で、タンパク質のアミノ基に結合される。加えて、スルホ-EMCS(N-ε-マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル/Pierce)等のヘテロ二官能性架橋連結試薬を使用して、例えば、アミン基およびチオール基を連結する。
【0141】
別のアプローチでは、PSAヒドラジドが、事前酸化、およびアルデヒド官能基の生成の後に調製され、タンパク質の炭水化物部分に結合される。
【0142】
上述の通り、治療用タンパク質の遊離アミノ基は、シアル酸残基の1-カルボキシル基と反応してペプチジル結合を形成するか、またはエステル連結が1-カルボキシル酸基と血液凝固タンパク質上のヒドロキシルまたは他の好適な活性基との間に形成される。代替的には、カルボキシル基は、脱アセチル化5-アミノ基とのペプチド連結を形成するか、または治療用タンパク質の分子のアルデヒド基は、シアル酸残基のN-脱アセチル化5-アミノ基とともにシッフ塩基を形成する。
【0143】
代替的には、多糖類化合物は、非共有様式で治療用タンパク質と会合する。例えば、一態様では、多糖類化合物および薬学的に活性な化合物は、疎水性相互作用を介して連結される。他の非共有会合は、相互に求引する逆帯電されたイオンでの静電相互作用を含む。
【0144】
種々の実施形態において、治療用タンパク質は、化学量論量(例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:7、1:8、1:9、または1:10等)の多糖類化合物に連結、または会合される。種々の実施形態において、1~6、7~12、または13~20の多糖類が血液凝固タンパク質に連結される。更に他の実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の多糖類が血液凝固タンパク質に連結される。
【0145】
種々の実施形態において、治療用タンパク質は、修飾されて、グリコシル化部位(即ち、天然のグリコシル化部位以外の部位)が導入される。かかる修飾は、当該技術分野で公知の標準分子生物学的技術を用いて達成されてもよい。その上、1つまたは複数の炭水化物部分を介する水溶性ポリマーへの複合化の前に、治療用タンパク質は、インビボまたはインビトロでグリコシル化されてもよい。これらのグリコシル化部位は、水溶性ポリマーとのタンパク質の共役のための標的として機能することができる(米国特許出願第20090028822号、米国特許出願第2009/0093399号、米国特許出願第2009/0081188号、米国特許出願第2007/0254836号、米国特許出願第2006/0111279号、およびDeFrees S.et al.,Glycobiology,2006,16,9,833-43)。例えば、インビボで天然にグリコシル化されないタンパク質(例えば糖タンパク質ではないタンパク質)は、上述の通り、修飾され得る。
【0146】
E.アミノオキシ連結 本発明の一実施形態において、オキシム基を形成するための、アルデヒド(例えば過ヨウ素酸ナトリウムによる酸化後の炭水化物部分上)とのヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン誘導体の反応が、血液凝固タンパク質の複合体の調製に適用される。例えば、糖タンパク質(例えば本発明に従う治療用タンパク質)は、まず、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)等の酸化剤で酸化される(Rothfus JA et Smith EL.,J Biol Chem 1963,238,1402-10、およびVan Lenten L and Ashwell G.,J Biol Chem 1971,246,1889-94)。糖タンパク質の過ヨウ素酸酸化は、1928年の過ヨウ素酸塩との隣接ジオールの酸化に説明された古典的マラプラード反応に基づいて、活性アルデヒド基を形成する(Malaprade L.,Analytical application,Bull Soc Chim France,1928,43,683-96)。かかる酸化剤の更なる例としては、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)、酢酸マンガン(MnO(Ac)3)、酢酸コバルト(Co(OAc)2)、酢酸タリウム(TlOAc)、硫酸セリウム(Ce(SO4)2)(米国特許第4,367,309号)、または過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)(Marko et al.,J Am Chem
Soc 1997,119,12661-2)が挙げられる。「酸化剤」とは、炭水化物中の隣接ジオールを酸化し、それによって、生理学的反応条件下で、活性アルデヒド基を生成することが可能な温和な酸化化合物を意味する。
【0147】
第2のステップは、オキシム連結を形成するための、酸化炭水化物部分へのアミノオキシ基を含有するポリマーの結合である。本発明の一実施形態において、このステップは、触媒量の求核触媒アニリンまたはアニリン誘導体の存在下で実行することができる(Dirksen A et Dawson PE,Bioconjugate Chem.2008;Zeng Y et al.,Nature Methods 2009;6:207-9)。アニリン触媒は、オキシムライゲーションを著しく加速させ、非常に低い濃度の試薬の使用を可能にする。本発明の別の実施形態において、オキシム連結は、NaCNBH
3での還元により安定化され、アルコキシアミン連結を形成する(
図2)。更なる触媒を以下に説明する。
【0148】
アミノオキシ技術についての更なる情報は、以下の参照文献で確認することができ、それらのそれぞれは、その全体が組み込まれる:欧州特許第1681303A1号(HAS化エリスロポエチン)、国際公開第2005/014024号(オキシム連結基によって連結されるポリマーおよびタンパク質の複合体)、国際公開第96/40662号(アミノオキシ含有リンカー化合物、およびそれらの複合体における用途)、国際公開第2008/025856号(修飾タンパク質)、Peri F et al.,Tetrahedron 1998,54,12269-78、Kubler-Kielb J et.Pozsgay V.,J Org Chem 2005,70,6887-90、Lees A et al.,Vaccine 2006,24(6),716-29、およびHeredia KL et al.,Macromoecules 2007,40(14),4772-9。
【0149】
アミノオキシリンカーに水溶性ポリマーを結合する多くの方法が、本開示によって企図される。例えば、PSA等の水溶性ポリマーの還元または非還元末端のいずれかへのリンカーの結合が、本明細書中に説明されている。結合部位(例えば、還元末端対非還元末端)は、結合プロセスの1つまたは複数の条件(例えば、時間および温度)、ならびに水溶性ポリマーの状態(例えば、天然対酸化)によって決定される。一実施形態において、PSA等の酸化水溶性ポリマーは、低温(例えば、2~8℃)でカップリング反応を行うことによりアミノオキシリンカーにその非還元末端で結合する。別の実施形態において、PSA等の天然の(例えば、非酸化)水溶性ポリマーは、より高い温度(例えば、22~37℃)でカップリング反応を実行することによりアミノオキシリンカーにその還元末端で結合している。上述の実施形態は、以下および実施例においてより詳細に説明される。
【0150】
本明細書で説明されるように、ジアミノオキシリンカーを有する酸化PSAの反応は、2つの反応を示す:非還元末端でのアルデヒド基の「即応」および還元末端での「遅い反応」。(酸化されていない、活性アルデヒド基を含有しない)天然のPSAを室温での還元末端と反応させる場合、誘導体化PSAを観察することができる。したがって、様々な実施形態において、PSAのような水溶性ポリマーの還元末端での望ましくない副反応を最小限にするために、PSA-アミノオキシリンカーの試薬調製を2~8℃の温度で行う。
【0151】
本開示の更に別の実施形態において、還元末端での天然のPSAの誘導体化が提供される。本明細書で説明されるように、(NaIO4により酸化されていない、したがって、その非還元末端で遊離アルデヒド基を含有しない)天然のPSAを室温でジアミノオキシリンカーと反応させ、PSAの誘導体化がその還元末端で観察することができる。この結合は、還元末端での開環およびその後のオキシム形成(上で説明する実際の副反応、およびアミノオキシ-PSA試薬中の副生成物が存在する原因)を介して起こる。この反応は、天然のPSAを用いて行い、最大約70%の程度の修飾をもたらすことができる。
【0152】
主生成物として、次のような構造が13C NMR分光法によって決定される。
【化20】
この反応は、デキストランおよびデンプンまたは還元末端基を含有する他の多糖類のような他の炭水化物に移すことができる。m-トルイジンまたはアニリンのような求核触媒の使用も企図される。したがって、その後、治療用タンパク質の化学修飾のために使用することができる天然の(即ち、事前酸化されていない)PSAを使用したアミノオキシ-PSA試薬の調製が本明細書で提供される。
【0153】
したがって、本開示の様々な実施形態において、ジアミノオキシリンカーを酸化PSA等の水溶性ポリマーに結合する条件(例えば、2~8℃のインキュベーション温度)が、いずれかの非還元末端への結合に有利である、または一つの代替として、ジアミノオキシリンカーを天然の非酸化PSA等の水溶性ポリマーに結合する条件(例えば、室温でのインキュベーション)が、いずれかの還元末端への結合に有利である方法が提供される。
【0154】
本発明の種々の実施形態において、本明細書に説明するアミノオキシ技術に従う治療用タンパク質(例えば、FVIII、FVIIa、またはFIX)の酸化炭水化物部分に連結される水溶性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐PEG、ポリシアル酸(PSA)、炭水化物、多糖類、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボン酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレンコマレイン酸無水物、ポリスチレン-コマレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
求核触媒
本明細書に説明される通り、治療用タンパク質への水溶性ポリマーの複合化は、アニリンによって触媒され得る。アニリンは、アルデヒドおよびケトンのアミンとの水性反応を強く触媒し、ヒドラゾンおよびオキシム等の安定したイミンを形成する。以下の略図は、無触媒オキシムライゲーション反応とアニリン触媒オキシムライゲーション反応を比較する(Kohler JJ,ChemBioChem 2009;10:2147-50):
【化21】
【0156】
しかしながら、アニリンに関連する多くの健康リスクを考慮すると、代替となる触媒が望ましい。本発明は、代替となるオキシムライゲーション触媒としてアニリン誘導体を提供する。かかるアニリン誘導体としては、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、スルファニル酸、o-アミノベンズアミド、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、およびp-アニシジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
本発明の一実施形態において、m-トルイジン(メタ-トルイジン、m-メチルアニリン、3-メチルアニリン、または3-アミノ-1-メチルベンゼンとしても知られている)を使用して、本明細書に説明される複合化反応を触媒する。M-トルイジンおよびアニリンは、同様の物理的特性、および本質的に同じpKa値(m-トルイジン:pKa4.73、アニリン:pKa4.63)を有する。
【0158】
本発明の求核触媒は、オキシムライゲーション(例えばアミノオキシ連結を使用)またはヒドラゾン形成(例えばヒドラジド化学を使用)において有用である。本発明の種々の実施形態において、求核触媒は、複合化反応において0.1、0.2、0.3、0.5、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、または50mMの濃度で提供される。一実施形態において、求核触媒は、1~10mMで提供される。本発明の種々の実施形態において、複合化反応のpH範囲は、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、および7.5である。一実施形態において、pHは、5.5~6.5である。
【0159】
共役タンパク質の精製
種々の実施形態において、酸化剤でインキュベートされているタンパク質および/または本開示に従って水溶性ポリマーで複合化されている治療用タンパク質の精製が望ましい。多くの精製技術が、当該技術分野で公知であり、これには、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および親和性クロマトグラフィ、またはそれらの組み合わせ等のクロマトグラフィ法、濾過法(例えば、UF/DF)、および沈殿法、ならびに透析手順、および上述の技術の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない(Guide to Protein Purification,Meth.,Enzymology Vol 463(edited by Burgess RR and Deutscher MP),2nd edition,Academic Press 2009)。
【0160】
以下の実施例は、本発明の具体的な実施形態を制限するものではなく、例示目的のみである。
【実施例】
【0161】
実施例1
ホモ二官能性リンカーNH
2
[OCH
2
CH
2
]
2
ONH
2
の調製
ホモ二官能性リンカーNH
2[OCH
2CH
2]
2ONH
2
【化22】
【0162】
2つの活性アミノオキシ基を含有する(3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミン)を、一級アミンの修飾ガブリエル合成を採用する2ステップ有機反応で、Boturynら(Tetrahedron 1997;53:5485-92)に従って合成した(
図3)。第1のステップでは、2,2-クロロジエチルエーテルの1つの分子を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で、エンド-N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドの2つの分子と反応させた。所望のホモ二官能性生成物を、得られた中間体からエタノール中のヒドラジン分解によって調製した。
【0163】
実施例2
ホモ二官性リンカーNH
2
[OCH
2
CH
2
]
4
ONH
2
の調製
ホモ二官能性リンカーNH
2[OCH
2CH
2]
4ONH
2
【化23】
【0164】
2つの活性アミノオキシ基を含有する(3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミン)を、一級アミンの修飾ガブリエル合成を採用する2ステップ有機反応で、Boturynら(Tetrahedron 1997;53:5485-92)に従って合成した(
図3)。第1のステップでは、ビス-(2-(2-クロロエトキシ)-エチル)-エーテルの1つの分子を、DMF中で、エンド-N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドの2つの分子と反応させた。所望のホモ二官能性生成物を、得られた中間体からエタノール中のヒドラジン分解によって調製した。
【0165】
実施例3
ホモ二官性リンカーNH
2
[OCH
2
CH
2
]
6
ONH
2
の調製
ホモ二官能性リンカーNH
2[OCH
2CH
2]
6ONH
2
【化24】
【0166】
2つの活性アミノオキシ基を含有する(3,6,9,12,15-ペナトキサ(penatoxa)-ヘプタデカン-1,17-ジオキシアミン)を、一級アミンの修飾ガブリエル合成を採用する2ステップ有機反応で、Boturynら(Tetrahedron
1997;53:5485-92)に従って合成した。第1のステップでは、ヘキサエチレングリコール二塩化物の1つの分子を、DMF中で、エンド-N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミドの2つの分子と反応させた。所望のホモ二官能性生成物を、得られた中間体からエタノール中のヒドラジン分解によって調製した。
【0167】
実施例4
アミノオキシ-PSA試薬の詳細な合成
3-オキサ-ペンタン-1,5ジオキシアミンを、実施例1に概説される2ステップ有機合成で、Botyrynら(Tetrahedron 1997;53:5485-92)に従って合成した。
【0168】
ステップ1:
700mLの無水N,N-ジメチルホルムアミド中のエンド-N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド(59.0g、1.00当量)の溶液に、無水K2CO3(45.51g、1.00当量)および2,2-ジクロロジエチルエーテル(15.84mL、0.41当量)を添加した。反応混合物を50℃で22時間撹拌した。混合物を減圧下で乾燥するまで蒸発させた。残渣を、2Lのジクロロメタン中で懸濁し、NaCl飽和水溶液(各1L)で2回、抽出した。ジクロロメタン層を、Na2SO4上で乾燥させ、次いで、減圧下で乾燥するまで蒸発させ、高真空内で乾燥して、白黄色の固体(中間体1)として64.5gの3-オキサペンタン-1,5-ジオキシ-エンド-2’,3’-ジカルボキシジイミドノルボルネンを得た。
【0169】
ステップ2:
800mLの無水エタノール中の中間体1(64.25g、1.00当量)の溶液に、31.0mLのヒドラジン水和物(4.26当量)を添加した。次いで、反応混合物を2時間還流させた。混合物を、減圧下で溶媒を蒸発させることによって、出発体積の半分まで濃縮した。生じた沈殿物を濾去した。残りのエタノール層を、減圧下で乾燥するまで蒸発させた。粗生成物3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを含有する残渣を、真空内で乾燥させ、46.3gを得た。粗生成物を更に、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、ジクロロメタン/メタノール混合物での定組成溶離、9/1)によって精製して、11.7gの純最終生成物3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを得た。
【0170】
実施例5
アミノオキシ-PSAの調製
Serum Institute of India(Pune,India)から得た1000mgの酸化PSA(分子量=20kD)を、16mLの50mMのリン酸緩衝液、pH6.0中に溶解した。次いで、170mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを反応混合物に添加した。室温で2時間振とうした後、78.5mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、反応を、一晩かけて18時間行った。次いで、反応混合物を、再生成されたセルロースから作製された5kDのカットオフを有する膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過の手順(UF/DF)に供した。
【0171】
実施例6
クロマトグラフィ精製ステップを採用するアミノオキシ-PSAの調製
Serum Institute of India(Pune,India)から得た1290mgの酸化PSA(分子量=20kD)を、25mLの50mMのリン酸緩衝液(緩衝液A)、pH6.0中に溶解した。次いで、209mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを反応混合物に添加した。室温で1時間振とうした後、101mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、反応を、3時間行った。次いで、混合物を、Fractogel EMD DEAE 650-Mクロマトグラフィゲル(カラム寸法:XK26/135)を採用する穏やかな陰イオン交換クロマトグラフィに供した。反応混合物を110mLの緩衝液Aで希釈し、1cm/分の流速で、緩衝液Aで事前に平衡化したDEAEカラム上に負荷した。次いで、カラムを20CVの緩衝液B(20mMのHepes、pH6.0)で洗浄し、2cm/分の流速で、遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンおよびシアン化物を除去した。次いで、アミノオキシ-PSA試薬を、67%の緩衝液Bおよび43%の緩衝液C(20mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)からなるステップ勾配で溶出した。溶出液を、ポリエーテルスルホンから作製された5kDの膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。最終透析濾過ステップを緩衝液D(20mMのHepes、90mMのNaCl、pH7.4)に対して行った。調製物を、全PSA(レゾルシノールアッセイ)および全アミノオキシ基(TNBSアッセイ)を測定し、修飾の度合いを決定することによって分析的に特徴付けた。更に、多分散性、ならびに遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンおよびシアン化物を決定した。
【0172】
実施例7
還元ステップを行わないアミノオキシ-PSAの調製
Serum Institute of India(Pune,India)から得た573mgの酸化PSA(分子量=20kD)を、11,3mLの50mMのリン酸緩衝液(緩衝液A)、pH6.0中に溶解した。次いで、94mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを反応混合物に添加した。次いで、室温で5時間振とうした後、混合物を、Fractogel EMD DEAE 650-Mクロマトグラフィゲル(カラム寸法:XK16/105)を採用する穏やかな陰イオン交換クロマトグラフィのステップに供した。反応混合物を50mLの緩衝液Aで希釈し、1cm/分の流速で、緩衝液Aで事前に平衡化したDEAEカラム上に負荷した。次いで、カラムを20CVの緩衝液B(20mMのHepes、pH6.0)で洗浄し、2cm/分の流速で、遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンおよびシアン化物を除去した。アミノオキシ-PSA試薬を、67%の緩衝液Bおよび43%の緩衝液C(20mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)からなるステップ勾配で溶出した。溶出液を、ポリエーテルスルホンから作製された5kDの膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。最終透析濾過ステップを緩衝液D(20mMのHepes、90mMのNaCl、pH7.4)に対して行った。調製物を、全PSA(レゾルシノールアッセイ)および全アミノオキシ基(TNBSアッセイ)を測定し、修飾の度合いを決定することによって分析的に特徴付けた。更に、多分散性、ならびに遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを決定した。
【0173】
実施例8
求核触媒m-トルイジンの存在下で、還元ステップを行わないアミノオキシ-PSAの調製
Serum Institute of India(Pune,India)から得た573mgの酸化PSA(分子量=20kD)を、9mLの50mMのリン酸緩衝液(緩衝液A)、pH6.0中に溶解する。次いで、94mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンをこの溶液に添加する。続いて、2.3mLの50mMのm-トルイジン原液をこの反応混合物に添加する。次いで、室温で2時間振とうした後、混合物を、Fractogel EMD DEAE 650-Mクロマトグラフィゲル(カラム寸法:XK16/105)を採用する穏やかな陰イオン交換クロマトグラフィステップに供する。反応混合物を50mLの緩衝液Aで希釈し、1cm/分の流速で、緩衝液Aで事前に平衡化したDEAEカラム上に負荷する。次いで、カラムを20CVの緩衝液B(20mMのHepes、pH6.0)で洗浄し、2cm/分の流速で、遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンおよびシアン化物を除去する。アミノオキシ-PSA試薬を、67%の緩衝液Bおよび43%の緩衝液C(20mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)からなるステップ勾配で溶出する。溶出液を、ポリエーテルスルホンから作製された5kDの膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを緩衝液D(20mMのHepes、90mMのNaCl、pH7.4)に対して行う。調製物を、全PSA(レゾルシノールアッセイ)および全アミノオキシ基(TNBSアッセイ)を測定し、修飾の度合いを決定することによって分析的に特徴付ける。更に、多分散性、ならびに遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを決定する。
【0174】
実施例9
アミノオキシ-PSA試薬の調製
アミノオキシ-PSA試薬を実施例4~8に従い調製した。透析濾過後、生成物を-80℃で凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥後、試薬を適切な体積の水中で溶解し、炭水化物修飾を介するPSA-タンパク質複合体の調製のために使用した。
【0175】
実施例10
異なる代替の求核触媒の有効性の評価
rFIXを、異なる求核触媒(アニリン、m-トルイジン、o-アニシジン、m-アニシジン、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-アミノベンズアミド、スルファニル酸/標準濃度:10mM)を使用して、標準条件(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2中の1mg/mLのrFIX、pH6.0、5倍のモル過剰のアミノオキシ-PSA試薬、100μMのNaIO4)下で、過ヨウ素酸ナトリウム、アミノオキシ-PSA試薬でインキュベートした。反応を、穏やかな撹拌下で、暗室で、室温で2時間行い、1mMの最終濃度でシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行った。
【0176】
カップリング効率を、Invitrogen X-cellミニシステムを使用するSDS-PAGEによって決定した。試料をリチウムドデシル硫酸塩(LDS)緩衝液でスパイクし、70℃で10分間変性した。次いで、試料を3~8%のトリス-酢酸塩ゲルに適用し、150Vで60分間行った。続いて、ゲルをクマシーで染色した。
【0177】
加えて、試料を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するSEC-HPLCシステムの使用によって特徴付けた(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。
【0178】
不希釈の50μLの試料を注入し、0.5mL/分の流速で、20mMのNaH2PO4、50mMのNa2SO4、pH6.1の0.22μmの濾過溶液を使用して均一濃度で溶出した。溶出パターンを280nmで記録した。
【0179】
これらの結果を
図5A~Cおよび6(SDS PAGE)ならびに表2(SEC- HPLCの結果)に要約する。異なる調製物の触媒効果を示す。m-トルイジンの使用が、アニリンで得たものと同等の結果をもたらすことが示される。
【表2】
【0180】
実施例11
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFIXのポリシアル化
方法1:
12.3mgのrFIXを、6.1mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解した。次いで、254μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、6.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行った。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去した。
【0181】
酸化rFIXを含有する残余分(8.8mL)を、2.46mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートした。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加して、5倍モル過剰の試薬を得た。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートした。
【0182】
遊離rFIXを、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)によって除去した。反応混合物を、15mLの緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFIXは、12~25mS/cmの伝導率で溶出し、複合体は、27~45mS/cmの伝導率で溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)を用いて190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)を用いて事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷した。遊離アミノオキシ-PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出する。複合体を含有する画分を、Vivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClおよび5mMのCaCl2を含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行った。調製物を、総タンパク質(Bradford)およびFIX色原体活性の測定によって分析的に特徴付けた。PSA-rFIX複合体は、天然のrFIXと比較して50%超の特異的活性を決定することを示した。
【0183】
方法2:
12.3mgのrFIXを、L-ヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解し、rFIXの1mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、100μMの最終濃度を得、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、pH6.0で、4℃で1時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液(または他の反応停止試薬)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0184】
酸化rFIXを含有する得られた残余分(8.8mL)を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、10mMの最終濃度を得、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、pH6.0で、室温で2.5時間インキュベートし、暗室で、穏やかな撹拌下で、+4℃)で0.5時間~18時間インキュベートした。
【0185】
遊離rFIXを、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)によって除去する。反応混合物を、適切な量の緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する前に、溶液の伝導率およびpHを修正する。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出する。遊離rFIXを、25%の緩衝液Bを使用するステップ勾配によって溶出し、得られた画分中12~25mS/cmの伝導率をもたらし、その複合体を、50%の緩衝液Bのステップ勾配を使用して溶出し、複合体画分中27~45mS/cmの伝導率をもたらす。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液Cを使用して(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9、または例えば硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の抗カオトロピック塩の使用によって)、190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CTまたは同等のHIC培地)上に負荷する。遊離アミノオキシ-PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClおよび5mMのCaCl2を含有するL-ヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行う。調製物を、総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびにFIX色原体活性および凝固活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-rFIX複合体に対して、天然のrFIXと比較して50%超の特異的活性を決定する。
【0186】
方法3:
25.4mgのrFIXを、18.7mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解した。次いで、531μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および5.07mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加した。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得た。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、25μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行った。
【0187】
遊離rFIXを、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)によって除去した。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFIXを、12~25mS/cmの伝導率で溶出し、複合体を、27~45mS/cmの伝導率で溶出した。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)を用いて190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷した。遊離アミノオキシ-PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出した。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClおよび5mMのCaCl2を含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行った。調製物を、総タンパク質(Bradford)およびFIX色原体活性を測定することによって分析的に特徴付けた。PSA-rFIX複合体に対して、天然のrFIXと比較して50%超の特異的活性を決定した。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付けた(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離FIXを含有しないことを示した。複合体は、57%のモノポリシアル化、31%のジポリシアル化、および12%のトリポリシアル化された生成物からなった。
【0188】
方法4:
25.4mgのrFIXを、L-ヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解し、rFIXの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得た。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分間以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分以内に10mMの最終濃度を得た。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得た。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得た。
【0189】
遊離rFIXを、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって除去した。反応混合物を、適切な量の緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF 16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する前に、溶液の伝導率およびpH値を修正した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFIXを、25%の緩衝液Bを使用するステップ勾配によって溶出し、得られた画分中12~25mS/cmの伝導率をもたらし、その複合体を、50%の緩衝液Bのステップ勾配を使用して溶出し、複合体画分中27~45mS/cmの伝導率をもたらした。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液Cを使用して(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9、例えば酢酸アンモニウム等の抗カオトロピック塩の使用によって)、190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT;または同等のHIC培地)上に負荷した。遊離アミノオキシ-PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出した。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClおよび5mMのCaCl2を含有するL-ヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行った。調製物を、総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびにFIX色原体活性および凝固活性を測定することによって分析的に特徴付けた。PSA-rFIX複合体に対して、天然のrFIXと比較して50%超の特異的活性を決定した。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付けた(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離FIXを含有しないことを示した。複合体は、57%のモノポリシアル化、31%のジポリシアル化、および12%のトリポリシアル化された生成物からなった。
【0190】
実施例12
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFVIIIのポリシアル化
方法1:
50mgのrFVIIIを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得た。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得た。酸化を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間行った。次いで、反応物は、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行った。溶液を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化した20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供した。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化した。次いで、酸化rFVIIIを、緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)を使用して溶出した。rFVIIIを含有する画分を収集した。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整した。次いで、50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒(最終濃度:10mM)として、m-トルイジンを添加した。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行った。過剰のアミノオキシ-PSA試薬をHICによって除去した。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって130mS/cmに引き上げ、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷した。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出した。最後に、PSA-rFVIIIを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された30kDの膜(88cm2、Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供した。調製物を、総タンパク質(Coomassie、Bradford)およびFVIII色原体活性の測定によって分析的に特徴付けた。PSA-rFVIII複合体は、天然のrFVIIIと比較して70%超の特異的活性を決定することを示した。
【0191】
方法2:
Hepes緩衝液(50mMのHEPES、約350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.1%のポリソルベート80、pH7.4)中のADVATEプロセス由来の58mgの組換え因子VIII(rFVIII)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0192】
酸化rFVIIIを、EMD TMAE(M)(Merck)上で陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。混合物を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH6.5)で希釈し、5ms/cmの伝導率を得る。この溶液を、1.5cm/分の流速を用いて、10mLのカラム体積を有するIEXカラム(床高さ:5.4cm)上に負荷する。続いて、このカラムを、5CVの緩衝液Aと緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1.0MのNaCl、pH7.0)の92:8の混合物(w/w)で洗浄する(流速:1.5cm/分)。次いで、酸化rFVIIIを、緩衝液Aと緩衝液Bの50:50(w/w)の混合物で溶出し、続いて、5CVの緩衝液Bを使用して溶出後のステップを行う。1.0cm/分の流速の使用によって溶出ステップを行う。
【0193】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化rFVIIIを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0194】
得られたPSA-rFVIII複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0195】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値は、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速でHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0196】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたPSA-rFVIII複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PSA-rFVIII複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集する。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIIを分離する。
【0197】
最後に、精製された複合体を、30kDの分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0198】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、FVIII色原体活性の測定によって、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。得られた複合体に対して、50%超の特異的特性および5.0超のPSAの度合いを算出する。
【0199】
方法3:
50mgのrFVIIIを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得た。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加した。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行った。続いて、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行った。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を添加することによって、130mS/cmに引き上げ、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷した。続いて、その複合体を50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出した。最後に、PSA-rFVIIIを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された30kDの膜(88cm2、Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供した。調製物を、総タンパク質(Bradford)およびFVIII色原体活性の測定によって分析的に特徴付けた。PSA-rFVIII複合体に対して、天然のrFVIIIと比較して70%以上の特異的活性を決定した。
【0200】
方法4:
50mMのHepes緩衝液(50mMのHEPES、約350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.1%のポリソルベート80、pH7.4)中のADVATEプロセス由来の50mgの組換え因子VIII(rFVIII)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得た。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正した。
【0201】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このrFVIII溶液に最長期間(t)の15分以内で添加した。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得た。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得た。
【0202】
反応混合物を、穏やかな振とう下で、暗室で、T=+22+/-2℃の温度(T)で120+/-10分間インキュベートした。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートした。
【0203】
得られたPSA-rFVIII複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製した。
【0204】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクした。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値は、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正した。この混合物を、1cm/分の流速でHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行った。
【0205】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行った。次いで、精製されたrFVIII複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行った。PSA-rFVIII複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集した。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIIを分離した。
【0206】
最後に、精製された複合体を、30kDの分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮した。
【0207】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、FVIII色原体活性の測定によって、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付けた。
分析データ(6つの連続するバッチの平均):
プロセス収率(Bradford):58.9%
プロセス収率(FVIII色原体活性):46.4%
特異的活性:(FVIII色原体活性/mgタンパク質):4148IU/mg
特異的活性(出発物質の割合(%)):79.9%
PSAの度合い(mol/mol):8.1
【0208】
実施例13
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFVIIIのPEG化
方法1:
rFVIIIを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。14.7mgのrFVIIIを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、296μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去した。
【0209】
酸化rFVIIIを含有する残余分(10.9mL)を、2.94mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加して、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートした。
【0210】
最後に、PEG-rFVIII複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、30kDの膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、総タンパク質(Coomassie、、Bradford)およびFVIII色原体活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-rFVIII複合体では、天然のrFVIIIと比較して70%超の特異的活性が決定されることを示すことが予測される。
【0211】
方法2:
rFVIIIを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。出発重量または濃度のrFVIIIを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応を、T=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間で行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中での10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0212】
酸化rFVIIIを、EMD TMAE(M)(Merck)上で陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。混合物を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH6.5)で希釈し、5ms/cmの伝導率を得る。この溶液を、1.5cm/分の流速を用いて、10mLのカラム体積を有するIEXカラム(床高さ:5.4cm)上に負荷する。続いて、このカラムを、5CVの緩衝液Aと緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1.0MのNaCl、pH7.0)の92:8の混合物(w/w)で洗浄する(流速:1.5cm/分)。次いで、酸化rFVIIIを、緩衝液Aと緩衝液Bの50:50(w/w)の混合物で溶出し、続いて、5CVの緩衝液Bを使用して溶出後のステップを行う。1.0cm/分の流速の使用によって溶出ステップを行う。
【0213】
続いて、20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化rFVIIIを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0214】
得られたPEG-rFVIII複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0215】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値を、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速を用いてHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0216】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたrFVIII複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PEG-rFVIII複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集する。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIIを分離する。
【0217】
最後に、精製された複合体を、30kDの分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0218】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0219】
方法3:
rFVIIIを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。6mLのHepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解される7.84mgのrFVIIIを、314μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)、および1.57mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0220】
最後に、PEG-rFVIII複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、30kDの膜(88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過に供する。FVIII色原体アッセイおよび総タンパク質(Bradford)の決定による複合体の分析的特徴付けは、rFVIII出発物質と比較して60%超の特異的活性を示す。
【0221】
方法4:
rFVIIIを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のrFVIIIを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、rFVIIIの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0222】
遊離rFVIIIを、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって除去する。反応混合物を、適切な量の緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する前に、溶液の伝導率およびpH値を修正した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFVIIIを、25%の緩衝液Bを使用するステップ勾配によって溶出し、得られた画分中12~25mS/cmの伝導率をもたらし、その複合体を、50%の緩衝液Bのステップ勾配を使用して溶出し、複合体画分中27~45mS/cmの伝導率をもたらした。続いて、複合体を含有する画分の伝導率は、緩衝液Cを使用して(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9、例えば酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の抗カオトロピック塩の使用によって)、引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CTまたは同等のHIC培地)上に負荷する。遊離PEG試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出した。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0223】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0224】
実施例14
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFVIIaのポリシアル化
方法1:
出発濃度または重量の組換え因子VIIa(rFVIIa)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのNaOH水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、50μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0225】
酸化rFVIIaを、EMD TMAE(M)(Merck)上で陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。混合物を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH6.5)で希釈し、5ms/cmの伝導率を得る。この溶液を、1.5cm/分の流速を用いて、10mLのカラム体積を有するIEXカラム(床高さ:5.4cm)上に負荷する。続いて、このカラムを、5CVの緩衝液Aと緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1.0MのNaCl、pH7.0)の92:8の混合物(w/w)で洗浄する(流速:1.5cm/分)。次いで、酸化rFVIIaを、緩衝液Aと緩衝液Bの50:50(w/w)の混合物で溶出し、続いて、5CVの緩衝液Bを使用して溶出後のステップを行う。1.0cm/分の流速の使用によって溶出ステップを行う。
【0226】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化rFVIIaを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0227】
得られたPSA-rFVIIa複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0228】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値を、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速でHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0229】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたrFVIIa複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PSA-rFVIIa複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集する。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIaを分離する。
【0230】
最後に、精製された複合体を、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(例えば10kDのMWCO、88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0231】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0232】
方法2:
出発重量または濃度のrFVIIaを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのNaOH水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0233】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このrFVIIa溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、150μMの濃度を得る。
【0234】
反応混合物を、穏やかな振とう下で、暗室で、T=+22+/-2℃の温度(T)で120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0235】
得られたPSA-rFVIIa複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0236】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値は、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速を使用するHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0237】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたrFVIIa複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PSA-rFVIIa複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集した。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIIを分離する。
【0238】
最後に、精製された複合体を、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0239】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0240】
実施例15
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFIXのPEG化
方法1:
rFIXを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。出発重量または濃度のrFIXを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0241】
酸化rFVIIIを、EMD TMAE(M)(Merck)上で陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。混合物を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH6.5)で希釈し、5mS/cmの伝導率を得る。この溶液を、1.5cm/分の流速を用いて、10mLのカラム体積を有するIEXカラム(床高さ:5.4cm)上に負荷する。続いて、このカラムを、5CVの緩衝液Aと緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1.0MのNaCl、pH7.0)の92:8の混合物(w/w)で洗浄する(流速:1.5cm/分)。次いで、酸化rFIXを、緩衝液Aと緩衝液Bの50:50(w/w)の混合物で溶出し、続いて、5CVの緩衝液Bを使用して溶出後のステップを行う。1.0cm/分の流速の使用によって溶出ステップを行う。
【0242】
続いて、20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化rFIXを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0243】
得られたPEG-rFIX複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0244】
反応混合物を、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値を、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速を用いてHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0245】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたrFIX複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PSA-rFIX複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集する。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFIXを分離する。
【0246】
最後に、精製された複合体を、10kDの分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0247】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0248】
方法2:
rFIXを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のrFIXを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、rFIXの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0249】
遊離rFIXを、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって除去する。反応混合物を、適切な量の緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する前に、溶液の伝導率およびpH値を修正した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFIXを、25%の緩衝液Bを使用するステップ勾配によって溶出し、得られた画分中12~25mS/cmの伝導率をもたらし、その複合体を、50%の緩衝液Bのステップ勾配を使用して溶出し、複合体画分中27~45mS/cmの伝導率をもたらした。続いて、複合体を含有する画分の伝導率は、緩衝液Cを使用して(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9、例えば酢酸アンモニウム等の抗カオトロピック塩の使用によって)、引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CTまたは同等のHIC培地)上に負荷する。遊離アミノオキシ-PEG試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出した。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0250】
調製物を、公知の方法に従って総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0251】
実施例16
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するrFVIIaのPEG化
方法1:
rFVIIaを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。出発重量または濃度のrFVIIaを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのNaOH水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、50μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0252】
酸化rFVIIaを、EMD TMAE(M)(Merck)上で陰イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。混合物を、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH6.5)で希釈し、5mS/cmの伝導率を得る。この溶液を、1.5cm/分の流速を用いて、10mLのカラム体積を有するIEXカラム(床高さ:5.4cm)上に負荷する。続いて、このカラムを、5CVの緩衝液Aと緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1.0MのNaCl、pH7.0)の92:8の混合物(w/w)で洗浄する(流速:1.5cm/分)。次いで、酸化rFVIIaを、緩衝液Aと緩衝液Bの50:50(w/w)の混合物で溶出し、続いて、5CVの緩衝液Bを使用して溶出後のステップを行う。1.0cm/分の流速の使用によって溶出ステップを行う。
【0253】
続いて、20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化rFVIIaを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0254】
得られたPEG-rFVIIa複合体を、15cmの床高さ(h)および81mLの得られたカラム体積(CV)を有するGE Healthcareによって製造されたカラムに充填されたフェニルセファロースFF低sub樹脂(GE Healthcare)を使用する疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によって精製する。
【0255】
反応混合物に、350mMの塩化ナトリウム、8Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9を含有する50mMのHepes緩衝液の添加によって、酢酸アンモニウムでスパイクする。2体積の反応混合物を、緩衝液系を含有する1体積の酢酸アンモニウムと混合し、pH値を、0.5NのNaOH水溶液の滴加によってpH6.9に修正する。この混合物を、1cm/分の流速を用いてHICカラム上に負荷し、続いて、3CV超の平衡化緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、2.5Mの酢酸アンモニウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用する洗浄ステップを行う。
【0256】
反応副生成物および抗カオトロピック塩の除去に関しては、第2の洗浄ステップを、2cm/分の流速の上向流モードで、5CV超の洗浄緩衝液1(50mMのHepes、3Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)を使用して行う。次いで、精製されたrFVIIa複合体の溶出を、1cm/分の流速の下向流モードで、40%の洗浄緩衝液2(50mMのHepes、1.5Mの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9)および60%の溶出緩衝液(20mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5)のステップ勾配を使用して行う。PEG-rFVIIa複合体の溶出は、UV280nmでモニタリングし、複合体を含有する溶出液を、4CV未満以内で収集する。溶出後のステップを同じ条件下で、3CV超の溶出緩衝液を使用して行い、主な生成物から微量および/または修飾されないrFVIIaを分離する。
【0257】
最後に、精製された複合体を、10kDの分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0258】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0259】
方法2:
rFVIIaを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のrFVIIaを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、rFVIIaの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0260】
遊離rFVIIaを、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって除去する。反応混合物を、適切な量の緩衝液A(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する前に、溶液の伝導率およびpH値を修正した。次いで、カラムを緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、5mMのCaCl2、pH7.5)で溶出した。遊離rFVIIaを、25%の緩衝液Bを使用するステップ勾配によって溶出し、得られた画分中12~25mS/cmの伝導率をもたらし、その複合体を、50%の緩衝液Bのステップ勾配を使用して溶出し、複合体画分中27~45mS/cmの伝導率をもたらした。続いて、複合体を含有する画分の伝導率は、緩衝液Cを使用して(50mMのHepes、5MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9、例えば酢酸アンモニウム等の抗カオトロピック塩の使用によって)、引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、5mMのCaCl2、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CTまたは同等のHIC培地)上に負荷する。遊離PEG試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄した。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.4)で溶出した。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0261】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0262】
実施例17
o-アミノ安息香酸の存在下でのrFIXのポリシアル化
方法1:
8.2mgのrFIXを、4.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、82μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、4μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin
6 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0263】
酸化rFIXを含有する残余分(6.5mL)を、1.64mLの水性o-アミノ安息香酸(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートした。
【0264】
本明細書に説明される通りに複合体の更なる精製を行う。
【0265】
方法2:
5倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を含有する0.65mLのリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0中の1mgのrFIXの溶液を調製した。333μLのo-アミノ安息香酸水溶液(30mM)を求核触媒として添加し、10mMの最終濃度を得た。続いて、20μLのNaIO4水溶液(5mM)を添加し、100μMの最終濃度を生じた。カップリングプロセスを、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行い、1μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行った。本明細書に説明される通りに複合体の更なる精製を行う。
【0266】
実施例18
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するEPOのポリシアル化
方法1:
出発濃度のエリスロポエチン(EPO)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0267】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化EPOを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)を使用して溶出する。EPOを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0268】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ-PSA試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-EPOを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースで作製された膜(MWCO 10kD、50cm2、Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0269】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。
【0270】
10mgのEPOを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0271】
酸化EPOを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0272】
遊離EPOを、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)で溶出する。遊離EPOを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH7.4)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-EPO複合体に対して、天然のEPOと比較して50%超の特異性活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離EPOを含有しないことを示す。
【0273】
方法2:
EPOを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0274】
酸化EPOを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化EPOを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0275】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化EPOを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0276】
得られたPSA-EPO複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-EPO複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0277】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0278】
方法3:
エリスロポエチン(EPO)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-EPOを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(MWCO
10kD、88cm2、Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0279】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。10mgのEPOを、8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0280】
遊離EPOを、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)で溶出する。遊離EPOを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH7.4)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-EPO複合体に対して、天然のEPOと比較して50%超の特異性活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離EPOを含有しないことを示す。
【0281】
方法4:
EPOを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0282】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このEPO溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0283】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0284】
得られたPSA-EPO複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-EPOを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(MWCO 10kD、88cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0285】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0286】
実施例19
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するAng-2のポリシアル化
方法1:
出発濃度のアンジオポエチン-2(Ang-2)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0287】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化した20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化Ang-2を緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)を使用して溶出する。Ang-2を含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0288】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-Ang-2-を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0289】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。アンジオポエチン-2(Ang-2)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0290】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0291】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-Ang-2複合体を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0292】
方法2:
Ang-2を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0293】
酸化Ang-2を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化Ang-2を含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0294】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化Ang-2を含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0295】
得られたPSA-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。
【0296】
PSA-Ang-2複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0297】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0298】
方法3:
アンジオポエチン-2(Ang-2)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-Ang-2-を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0299】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。アンジオポエチン-2(Ang-2)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA Ang-2-を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0300】
方法4:
Ang-2を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0301】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このAng-2溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0302】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0303】
得られたPSA-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-Ang-2を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0304】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0305】
実施例20
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するVEGFのポリシアル化
方法1:
出発濃度の血管内皮増殖因子(VEGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0306】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化VEGFを、緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。VEGFを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのNaOHの滴加によってpH6.0に調整する。
【0307】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-VEGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0308】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。血管内皮増殖因子(VEGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0309】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0310】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-VEGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0311】
方法2:
VEGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0312】
酸化VEGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化VEGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0313】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化VEGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0314】
得られたPSA-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-VEGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0315】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0316】
方法3:
血管内皮増殖因子(VEGF)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-VEGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0317】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。血管内皮増殖因子(VEGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-VEGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0318】
方法4:
VEGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0319】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このVEGF溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0320】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0321】
得られたVEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-VEGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0322】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0323】
実施例21
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するEGFのポリシアル化
方法1:
出発濃度の上皮増殖因子(EGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0324】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化EGFを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。EGFを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0325】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-EGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0326】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。上皮増殖因子(EGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0327】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0328】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-EGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0329】
方法2:
EGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0330】
酸化EGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化EGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0331】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化EGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0332】
得られたPSA-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-EGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0333】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0334】
方法3:
上皮増殖因子(EGF)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-EGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0335】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。上皮増殖因子(EGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0336】
方法4:
EGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0337】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このEGF溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0338】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0339】
得られたEGF-複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-EGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0340】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0341】
実施例22
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するNGFのポリシアル化
方法1:
出発濃度の神経増殖因子(NGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0342】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化NGFを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)を使用して溶出する。NGFを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0343】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-NGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0344】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。神経増殖因子(NGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0345】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0346】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-NGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0347】
方法2:
NGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0348】
酸化NGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化NGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0349】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化NGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0350】
得られたPSA-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-NGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0351】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0352】
方法3:
神経増殖因子(NGF)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-NGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0353】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。神経増殖因子(NGF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。次いで、溶出液のPSA-NGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0354】
方法4:
NGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、それに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0355】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このNGF溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0356】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0357】
得られたNGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-NGFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0358】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0359】
実施例23
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するHGHのポリシアル化
方法1:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル酸化される。
【0360】
出発濃度のヒト成長ホルモン(HGH)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0361】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化HGHを、緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。HGHを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0362】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-HGHを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0363】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。HGHを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0364】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0365】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-HGHを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0366】
方法2:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0367】
HGHを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0368】
酸化HGHを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化HGHを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0369】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化HGHを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0370】
得られたPSA-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-HGH複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0371】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0372】
方法3:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0373】
ヒト成長ホルモン(HGH)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA HGHを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0374】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。HGHを、反応緩衝液(例えば、50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。次いで、溶出液のPSA-HGHを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0375】
方法4:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0376】
HGHを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0377】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このHGH溶液に最長時間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0378】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0379】
得られたHGH-複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-HGHを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0380】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0381】
実施例24
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するTNF-αのポリシアル化
出発濃度の腫瘍壊死因子-α(TNF-α)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0382】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化TNF-αを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。TNF-αを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0383】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-TNF-α-を含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0384】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。腫瘍壊死因子-α(TNF-α)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0385】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-TNF-αを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0386】
方法2:
TNF-αを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0387】
酸化TNF-αを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化TNF-αを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0388】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化TNF-αを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0389】
得られたPSA-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-TNF-α複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0390】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0391】
方法3:
腫瘍壊死因子-α(TNF-α)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈し、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-TNF-αを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0392】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。腫瘍壊死因子-α(TNF-α)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-TNF-αを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0393】
方法4:
TNF-αを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0394】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このTNF-α溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0395】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0396】
得られたTNF-α複合体をイオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-TNF-αを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0397】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0398】
実施例25
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するインスリンのポリシアル化
方法1:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。出発濃度のインスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0399】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化インスリンを、緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。インスリンを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0400】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-インスリンを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0401】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。インスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0402】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0403】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-インスリンを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0404】
方法2:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0405】
インスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0406】
酸化インスリンを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化インスリンを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0407】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化インスリンを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0408】
得られたPSA-インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-インスリン複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0409】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0410】
方法3:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0411】
インスリンを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-インスリンを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0412】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0413】
インスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-インスリンを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0414】
方法4:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0415】
インスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0416】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このインスリン溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0417】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0418】
得られたインスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-インスリンを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0419】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0420】
実施例26
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するインターフェロンαのポリシアル化
方法1:
出発濃度のインターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0421】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化インターフェロン-αを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。インターフェロンαを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0422】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-インターフェロンαを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0423】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。インターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0424】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0425】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-インターフェロンαを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0426】
方法2:
インターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0427】
酸化インターフェロンαを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化インターフェロンαを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0428】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化インターフェロンγを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0429】
得られたPSA-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-インターフェロンα複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0430】
方法3:
インターフェロンαを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するPSAアミノオキシ試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-インターフェロンαを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0431】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。インターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-インターフェロンαを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0432】
方法4:
インターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0433】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このインターフェロンα溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0434】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0435】
得られたインターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-インターフェロンαを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0436】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0437】
実施例27
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するインターフェロンγのポリシアル化
方法1:
10mgのインターフェロンγを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0438】
酸化インターフェロンγを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加して、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0439】
遊離インターフェロンγを、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離インターフェロンγを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH6.9)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-インターフェロンγ複合体に対して、天然のインターフェロンγと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent
1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離インターフェロンγを含有しないことを示す。
【0440】
方法2:
10mgのインターフェロンγを、8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0441】
遊離インターフェロンγを、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離インターフェロンγを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH6.9)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-インターフェロンγ複合体に対して、天然のインターフェロンγと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent
1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離インターフェロンγを含有しないことを示す。
【0442】
方法3:
10mgのインターフェロンγを、8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0443】
遊離インターフェロンγを、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離インターフェロンγを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH6.9)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-インターフェロンγ複合体に対して、天然のインターフェロンγと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent
1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離インターフェロンγを含有しないことを示す。
【0444】
方法4:
インターフェロンγを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0445】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このインターフェロンγ溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0446】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0447】
得られたインターフェロンγ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-インターフェロンγを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0448】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0449】
実施例28
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するG-CSFのポリシアル化
方法1:
出発濃度の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0450】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化G-CSFを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。G-CSFを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0451】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-G-CSFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0452】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0453】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-G-CSFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0454】
方法2:
G-CSFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0455】
酸化G-CSFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化G-CSFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0456】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化G-CSFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0457】
得られたPSA-G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-G-CSF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0458】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0459】
方法3:
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-G-CSFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0460】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-G-CSFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0461】
方法4:
G-CSFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0462】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このG-CSF溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0463】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0464】
得られたG-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-G-CSFを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0465】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0466】
実施例29
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するヒュミラ(Humira)のポリシアル化
方法1:
出発濃度のヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0467】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化ヒュミラを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)で溶出する。ヒュミラを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0468】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-ヒュミラを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0469】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。ヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0470】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をイオン交換クロマトグラフィによって除去する。溶出液のPSA-ヒュミラを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0471】
方法2:
ヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0472】
酸化ヒュミラを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化ヒュミラを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0473】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化ヒュミラを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0474】
得られたPSA-ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PSA-ヒュミラ複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0475】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0476】
方法3:
ヒュミラを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA-ヒュミラを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0477】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。ヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行い、その複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-ヒュミラを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0478】
方法4:
ヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0479】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このヒュミラ溶液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0480】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0481】
得られたヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-ヒュミラを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0482】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0483】
実施例30
アミノオキシ-PSAおよび求核触媒としてm-トルイジンを使用するプロリアのポリシアル化
方法1:
出発濃度のプロリアを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。この溶液に、NaIO4を添加して、200μMの最終濃度を得る。暗室で、穏やかな振とう下で、室温で30分間酸化を行う。次いで、反応物を、システイン(最終濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。
【0484】
次に、溶液を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去するか、代替法において、緩衝液A(20mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.0)で平衡化された20mLの体積を有するIEXカラム(Merck EMD TMAE(M))に供する。カラムを、5CVの緩衝液Aで平衡化する。酸化プロリアを緩衝液B(20mMのHepes、5mMのCaCl2、1MのNaCl、pH7.0)を使用して溶出する。プロリアを含有する画分を収集する。タンパク質含有量を決定し(Coomassie、Bradford)、反応緩衝液を使用して1mg/mLに調整し、0.5MのHClの滴加によってpH6.0に調整する。
【0485】
50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(最終濃度:10mM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。過剰のアミノオキシ試薬をHICによって除去する。反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.9で事前に平衡化した80mLのフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液pH7.5で溶出する。最後に、PSA-プロリアを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0486】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。10mgのプロリアを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0487】
酸化プロリアを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加して、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0488】
遊離プロリアを、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離プロリアを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH6.9)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-プロリア複合体に対して、天然のプロリアと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離プロリアを含有しないことを示す。
【0489】
方法2:
プロリアを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0490】
酸化プロリアを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化プロリアを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0491】
アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化プロリアを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、pH6.0で120+/-10分間インキュベートする(タンパク質濃度:1mg/mL)。
【0492】
得られたプロリア複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。プロリア複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0493】
この手順の使用によって調製された複合体を、総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0494】
方法3:
プロリアを、反応緩衝液(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移し、希釈して、1mg/mLのタンパク質濃度を得る。50倍モル過剰の20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、続いて、求核触媒としてm-トルイジン(10mMの最終濃度)およびNaIO4(最終濃度:400μM)を添加する。カップリング反応を、暗室で、穏やかな振とう下で、室温で2時間行う。続いて、反応物を、システイン(システイン濃度:10mM)を使用して、室温で60分間反応停止処理を行う。次いで、反応混合物の伝導率を、酢酸アンモニウム(50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、8Mの酢酸アンモニウム、pH6.9)を含有する緩衝液を添加することによって調整し、50mMのHepes、2.5Mの酢酸アンモニウム、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、0.01%のTween80、pH6.9で事前に平衡化したフェニルセファロースFF(GE Healthcare,Fairfield,CT)で充填したカラム上に負荷する。続いて、その複合体を、50mMのHepes、5mMの塩化カルシウム、pH7.5で溶出する。最後に、PSA プロリアを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)の使用によって限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0495】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。10mgのプロリアを、8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PSA試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0496】
遊離プロリアを、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEC)によって除去する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離プロリアを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。続いて、複合体を含有する画分の伝導率を、緩衝液C(50mMのHepes、5MのNaCl、pH6.9)を使用して約190mS/cmに引き上げ、緩衝液D(50mMのHepes、3MのNaCl、pH6.9)で事前に平衡化した20mLのHiPrepブチルFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。遊離PSA試薬を、5CVの緩衝液D内で洗浄する。続いて、その複合体を、100%の緩衝液E(50mMのHepes、pH6.9)で溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PSA-プロリア複合体に対して、天然のプロリアと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離プロリアを含有しないことを示す。
【0497】
方法4:
プロリアを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解するか、またはそれに移して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。
【0498】
続いて、アミノオキシ-ポリシアル酸(PSA-ONH2)試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、このプロリア溶液に最長時間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。最後に、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を添加し、400μMの濃度を得る。
【0499】
反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。次いで、L-システイン水溶液(1M)の添加によって反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0500】
得られたプロリア複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液のPSA-プロリアを含有する画分を収集し、再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0501】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質、生物活性の測定、およびPSA含有量の測定によるポリシアル化の度合いの決定(レゾルシノールアッセイ)によって分析的に特徴付ける。
【0502】
実施例31
他の治療用タンパク質のポリシアル化
本明細書に説明される、m-トルイジンまたはo-アミノ安息香酸のような代替的な求核触媒の存在下で行われるポリシアル化反応は、他の治療用タンパク質まで拡大され得る。例えば、本発明の種々の態様において、本明細書に説明されるPSAアミノオキシもしくはPEGアミノオキシ試薬による上述のポリシアル化またはPEG化反応が、本明細書に説明されるこれらのタンパク質等の治療用タンパク質で繰り返される。
【0503】
実施例32
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するEPOのPEG化
方法1:
エリスロポエチン(EPO)を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EPOを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0504】
次に、酸化EPOを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0505】
最後に、PEG-EPO複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0506】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。EPOを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのEPOを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0507】
酸化EPOを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0508】
最後に、PEG-EPO複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)で溶出する。遊離EPOを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-EPO複合体に対して、天然EPOと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離EPOを含有しないことを示す。
【0509】
方法2:
EPOを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。
【0510】
EPOを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0511】
酸化EPOを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化EPOを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0512】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化EPOを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0513】
得られたPEG-EPO複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-EPO複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0514】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0515】
方法3:
EPOを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EPOを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0516】
最後に、PEG-EPO複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0517】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。EPOを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのEPOを、約8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0518】
最後に、PEG-EPO複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH7.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep QFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)で溶出する。遊離EPOを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH7.2に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-EPO複合体に対して、天然EPOと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離EPOを含有しないことを示す。
【0519】
方法4:
EPOを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によって、PEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のEPOを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、EPOの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0520】
PEG-EPO複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0521】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0522】
実施例33
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するAng-2のPEG化
方法1:
Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。Ang-2を、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2))中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0523】
次に、酸化Ang-2を含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0524】
最後に、PEG-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0525】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。Ang-2を、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2))中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0526】
次に、酸化Ang-2を含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0527】
最後に、PEG-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量カットオフの膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0528】
方法2:
Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。
【0529】
Ang-2を、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0530】
酸化Ang-2を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化Ang-2を含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0531】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化Ang-2を含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0532】
得られたPEG-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-Ang-2複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0533】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0534】
方法3:
Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。Ang-2を、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0535】
最後に、PEG-Ang-2複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0536】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。Ang-2を、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0537】
最後に、PEG-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0538】
方法4:
Ang-2を、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のAng-2を、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、Ang-2の2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0539】
PEG-Ang-2複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0540】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0541】
続いて、遊離Ang-2を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって除去する。溶出液の複合体を含有する画分を、限外濾過/透析濾過によって濃縮する。
【0542】
実施例34
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するVEGFのPEG化
方法1:
VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。VEGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0543】
次に、酸化VEGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0544】
最後に、PEG-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0545】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。VEGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0546】
次に、酸化VEGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0547】
最後に、PEG-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0548】
方法2:
VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。VEGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0549】
酸化VEGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化VEGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0550】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化VEGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0551】
得られたPEG-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-VEGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0552】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0553】
方法3:
VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。VEGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0554】
最後に、PEG-VEGF複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0555】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。VEGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0556】
最後に、PEG-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体複合体の画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0557】
方法4:
VEGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のVEGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、VEGFの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0558】
PEG-VEGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0559】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0560】
実施例35
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するEGFのPEG化
方法1:
EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0561】
次に、酸化EGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0562】
最後に、PEG-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0563】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0564】
次に、酸化EGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0565】
最後に、PEG-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量カットオフの膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0566】
方法2:
EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0567】
酸化EGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化EGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0568】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化NGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0569】
得られたPEG-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-EGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0570】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0571】
方法3:
EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0572】
最後に、PEG-EGF複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0573】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0574】
最後に、PEG-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0575】
方法4:
EGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のEGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、EGFの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0576】
PEG-EGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0577】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0578】
実施例36
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するNGFのPEG化
方法1:
NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。NGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0579】
次に、酸化NGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0580】
最後に、PEG-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0581】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。NGFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0582】
次に、酸化NGFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0583】
最後に、PEG-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0584】
方法2:
NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。NGFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0585】
酸化NGFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化NGFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0586】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化NGFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0587】
得られたPEG-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-NGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0588】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0589】
方法3:
NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。NGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0590】
最後に、PEG-NGF複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0591】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。NGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0592】
最後に、PEG-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0593】
方法4:
NGFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のNGFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、NGFの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0594】
PEG-NGF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0595】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0596】
実施例37
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するHGHのPEG化
方法1:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0597】
HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。HGHを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0598】
次に、酸化HGHを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0599】
最後に、PEG-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0600】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0601】
HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。HGHを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0602】
次に、酸化HGHを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0603】
最後に、PEG-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0604】
方法2:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0605】
HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。HGHを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0606】
酸化HGHを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化HGHを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0607】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化HGHを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0608】
得られたPEG-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-NGF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0609】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0610】
方法3:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0611】
HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。HGHを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0612】
最後に、PEG-HGH複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0613】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。HGHを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0614】
最後に、PEG-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0615】
方法4:
本明細書に説明されるように、ヒト成長ホルモン(HGH)のアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、HGHは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0616】
HGHを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のHGHを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、HGHの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0617】
PEG-HGH複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0618】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0619】
実施例38
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するTNF-αのPEG化
方法1:
TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。TNF-αを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0620】
次に、酸化TNF-αを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0621】
最後に、PEG-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0622】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。TNF-αを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0623】
次に、酸化TNF-αを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0624】
最後に、PEG-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量カットオフの膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0625】
方法2:
TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。TNF-αを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0626】
酸化TNF-αを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化TNF-αを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0627】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化TNF-αを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0628】
得られたPEG-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-TNF-α複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0629】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0630】
方法3:
TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。TNF-αを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0631】
最後に、PEG-TNF-α複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0632】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。TNF-αを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0633】
最後に、PEG-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0634】
方法4:
TNF-αを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のTNF-αを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、TNF-αの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0635】
PEG-TNF-α複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0636】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0637】
実施例39
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するインスリンのPEG化
方法1:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インスリンを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0638】
次に、酸化インスリンを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0639】
最後に、PEG-インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0640】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インスリンを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0641】
次に、酸化インスリンを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0642】
最後に、PEG-インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量カットオフの膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0643】
方法2:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0644】
インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インスリンを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0645】
酸化インスリンを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化インスリンを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0646】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化インスリンを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0647】
得られたPEG-インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-インスリン複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0648】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0649】
方法3:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0650】
インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インスリンを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0651】
最後に、PEG-インスリン複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0652】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インスリンを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0653】
最後に、インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0654】
方法4:
本明細書に説明されるように、インスリンのアミノ酸配列は、まず、少なくとも1つのグリコシル化部位を組み込むように修飾される。精製後、インスリンは、当該技術分野で公知の方法に従ってインビトロでグリコシル化される。
【0655】
インスリンを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のインスリンを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、インスリンの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0656】
PEG-インスリン複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0657】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0658】
実施例40
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するインターフェロンαのPEG化
方法1:
インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンαを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0659】
次に、酸化インターフェロンαを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0660】
最後に、PEG-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0661】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンαを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0662】
次に、酸化インターフェロンαを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0663】
最後に、PEG-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0664】
方法2:
インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンαを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0665】
酸化インターフェロンαを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化インターフェロンαを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0666】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化インターフェロンαを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0667】
得られたPEG-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-インターフェロンα複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0668】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0669】
方法3:
インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンαを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0670】
最後に、PEG-インターフェロンα複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0671】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンαを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0672】
最後に、PEG-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0673】
方法4:
インターフェロンαを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のインターフェロンαを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、インターフェロンαの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0674】
PEG-インターフェロンα複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0675】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0676】
実施例41
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するインターフェロンγのPEG化
方法1:
インターフェロンγを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのインターフェロンγを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0677】
酸化インターフェロンγを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0678】
最後に、PEG-インターフェロンγ複合体を、SPセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep
SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離インターフェロンγを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-インターフェロンγ複合体に対して、天然のインターフェロンγと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW
803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離インターフェロンγを含有しないことを示す。
【0679】
方法2:
インターフェロンγを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。インターフェロンγを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0680】
酸化インターフェロンγを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化インターフェロンγを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0681】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化インターフェロンγを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0682】
得られたPEG-インターフェロンγ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-インターフェロンγ複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0683】
この手順の使用によって調製された複合体を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0684】
方法3:
インターフェロンγを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのインターフェロンγを、約8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0685】
最後に、PEG-インターフェロンγ複合体を、SPセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep
SP FF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離インターフェロンγを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-インターフェロンγ複合体に対して、天然のインターフェロンγと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離インターフェロンγを含有しないことを示す。
【0686】
方法4:
インターフェロンγを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のインターフェロンγを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、インターフェロンγの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0687】
PEG-インターフェロンγ複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0688】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0689】
実施例42
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するG-CSFのPEG化
方法1:
G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。G-CSFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0690】
次に、酸化G-CSFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0691】
最後に、PEG-G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0692】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。G-CSFを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0693】
次に、酸化G-CSFを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0694】
最後に、PEG-G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0695】
方法2:
G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。G-CSFを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0696】
酸化G-CSFを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化G-CSFを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0697】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化G-CSFを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0698】
得られたPEG-G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-G-CSF複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0699】
方法3:
G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。G-CSFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0700】
最後に、PEG-G-CSF複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0701】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。G-CSFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0702】
最後に、PEG-G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0703】
方法4:
G-CSFを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のG-CSFを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、G-CSFの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0704】
G-CSF複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0705】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0706】
実施例43
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するヒュミラのPEG化
方法1:
ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。ヒュミラを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0707】
次に、酸化ヒュミラを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0708】
最後に、PEG-ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0709】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。ヒュミラを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0710】
次に、酸化ヒュミラを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0711】
最後に、PEG-ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を収集し、次いで、適切な分子量カットオフの膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0712】
方法2:
ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。ヒュミラを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0713】
酸化ヒュミラを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化ヒュミラを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0714】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化ヒュミラを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0715】
得られたPEG-ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-ヒュミラ複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0716】
方法3:
ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。ヒュミラを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0717】
最後に、PEG-ヒュミラ複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0718】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。ヒュミラを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0719】
最後に、PEG-ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって精製する。複合体を含有する画分を収集し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0720】
方法4:
ヒュミラを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のヒュミラを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、ヒュミラの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0721】
ヒュミラ複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0722】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0723】
実施例44
アミノオキシ-PEG試薬および求核触媒としてm-トルイジンを使用するプロリアのPEG化
方法1:
プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。プロリアを、7.0mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl、5mMのCaCl2)中に溶解する。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、7.5μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物を、Vivaspin遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0724】
次に、酸化プロリアを含有する残余分を、m-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0725】
最後に、PEG-プロリア複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(例えばQセファロースFF上で)によって精製する。例えば、1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、適切な分子量のカットオフ膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。次に、調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Coomassie、Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0726】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法1を実行する。プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのrFIXを、5mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、100μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)を添加し、反応混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、4℃で1時間インキュベートし、50μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。続いて、その混合物をVivaspin 15R 10kDの遠心分離濾過機を採用する限外濾過/透析濾過に供し、過剰な過ヨウ素酸塩、反応停止剤、およびその副生成物を除去する。
【0727】
酸化プロリアを含有する残余分(約7mL)を、2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。この混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2.5時間インキュベートする。
【0728】
最後に、PEG-プロリア複合体を、SPセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SP FF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離プロリアを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-プロリア複合体に対して、天然のプロリアと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent
1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離プロリアを含有しないことを示す。
【0729】
方法2:
プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。プロリアを、反応緩衝液(例えば50mMのHepes、350mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、1.0+/-0.25mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。次いで、溶液のpHを、0.5NのHCl水溶液の滴加によって6.0に修正する。続いて、40mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を、10分以内で添加し、200μMの濃度を得る。酸化反応をT=+22+/-2℃の温度(T)で30+/-5分間行う。次いで、T=+22+/-2℃で、15分以内のL-システイン水溶液(1M)の添加により反応を停止し、反応混合物中で10mMの最終濃度を得て、60+/-5分間インキュベートする。
【0730】
酸化プロリアを、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。溶出液の酸化ヒュミラを含有する画分を収集し、複合化反応に使用する。
【0731】
20kDの分子量の試薬を有するアミノオキシ-PEG試薬を、穏やかな撹拌下で、50倍モル過剰で、精製された酸化プロリアを含有する溶出液に最長期間(t)の15分以内で添加する。次いで、m-トルイジン水溶液(50mM)を15分以内で添加し、10mMの最終濃度を得る。反応混合物を、暗室で、穏やかな振とう下で、T=+22+/-2℃の温度(T)で、120+/-10分間インキュベートする。
【0732】
得られたPEG-プロリア複合体を、イオン交換クロマトグラフィによって更に精製する。PEG-プロリア複合体を含有する画分を収集し、適切な分子量カットオフを有する再生成されたセルロースから作製された膜(Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって濃縮する。
【0733】
方法3:
プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。EPOを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)中に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(10mM)およびm-トルイジン水溶液(50mM)と混合する。続いて、アミノオキシ試薬を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、8μLのシステイン水溶液(1M)の添加によって、室温で15分間反応停止処理を行う。
【0734】
最後に、PEG-プロリア複合体を、QセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。1.5mgのタンパク質/mLゲルを、5mMのCaCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.4で事前に平衡化したカラム上に負荷する。複合体を、5mMのCaCl2および500mMの塩化ナトリウム、pH7.4を含有する50mMのHepes緩衝液で溶出し、次いで、膜を使用する限外濾過/透析濾過に供する。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0735】
代替的な実施形態において、以下の通りに方法3を実行する。
【0736】
プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。10mgのプロリアを、約8mLのヒスチジン緩衝液、pH6.0(20mMのL-ヒスチジン、150mMのNaCl)中に溶解する。次いで、200μLの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(5mM)および2mLのm-トルイジン水溶液(50mM)を添加する。続いて、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、5倍モル過剰の試薬を得る。その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、100μLの1Mのシステイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行う。
【0737】
最後に、PEG-プロリア複合体を、SPセファロースFF上でイオン交換クロマトグラフィによって精製する。反応混合物を、20mLの緩衝液A(50mMのHepes、pH6.5)で希釈し、緩衝液Aで事前に平衡化した20mLのHiPrep SPFF16/10カラム(GE Healthcare,Fairfield,CT)上に負荷する。次いで、カラムを、緩衝液B(50mMのHepes、1MのNaCl、pH6.5)で溶出する。遊離プロリアを、25%の緩衝液Bを使用してカラムを洗浄することによって溶出し、その複合体を、50%の緩衝液Bで溶出する。複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップを、150mMのNaClを含有するヒスチジン緩衝液、pH6.9に対して行う。調製物を、当該技術分野で公知の方法に従う総タンパク質(Bradford)および生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。PEG-プロリア複合体に対して、天然のプロリアと比較して50%超の特異的活性を決定する。更に、その複合体を、以前に説明されている条件下で、Shodex KW 803カラムを搭載したAgilent 1200 HPLCシステムを使用するサイズ排除HPLCによって分析的に特徴付ける(Kolarich et al,Transfusion 2006;46:1959-77)。調製物が遊離プロリアを含有しないことを示す。
【0738】
方法4:
プロリアを、アミノオキシ基を含有する直鎖20kDのPEG化試薬の使用によってPEG化する。このタイプの試薬の例は、NOF(NOF Corp.,Tokyo,Japan)のSunbright(登録商標)CAシリーズである。初期濃度または重量のヒュミラを、Hepes緩衝液(50mMのHepes、150mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カルシウム、pH6.0)に移すか、またはその中に溶解して、プロリアの2mg/mLの最終タンパク質濃度を得る。続いて、5mMの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を15分以内で添加し、100μMの最終濃度を得、続いて、50mMのm-トルイジン水溶液の添加によって、30分の期間以内に10mMの最終濃度を得る。次いで、20kDの分子量を有するアミノオキシ-PEG試薬(上述)を添加し、20倍モル過剰の試薬を得る。pHを6.0に修正した後、その混合物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートし、1MのL-システイン水溶液の添加によって室温で15分間反応停止処理を行い、10mMの最終濃度を得る。
【0739】
プロリア複合体を、イオン交換クロマトグラフィ(IEC)によって精製する。溶出液の複合体を含有する画分を、再生成されたセルロースから作製された10kDの膜(88cm2、カットオフ10kD/Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮する。最終透析濾過ステップをHepes緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、pH7.5)に対して行う。
【0740】
調製物を、公知の方法に従う総タンパク質(BradfordおよびBCA手順)ならびに生物活性の測定によって分析的に特徴付ける。
【0741】
実施例45
分岐鎖PEGを使用する治療用タンパク質のPEG化
本発明の治療用タンパク質のPEG化は、アルデヒドおよび活性アミノオキシ基を含有する適切なリンカーから作製される分岐鎖または直鎖PEG化試薬まで拡大され得る。
【0742】
実施例46
天然のPSAへのジアミノオキシリンカーの結合
この実施例は、治療用タンパク質の化学修飾に使用することができる天然(即ち、事前酸化なし)のPSAを使用したアミノオキシ-PSA試薬を調製する手順を説明する。
【0743】
a)周囲温度での結合
【0744】
Serum Institute of India(Pune,India)から得た52.2mgの天然のPSA(分子量=20kD)を、1.05mLの50mMのリン酸緩衝液、pH6.0中に溶解した。次いで、10.3mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミン(リンカー分子)を反応混合物に滴加した。この反応物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートした。
【0745】
b)上昇した温度での結合
【0746】
Serum Institute of India(Pune,India)から得た52.2mgの天然のPSA(分子量=20kD)を、1.05mLの50mMのリン酸緩衝液、pH6.0中に溶解した。次いで、10.3mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミン(リンカー分子)を反応混合物に滴加した。この反応物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートした。次いで、温度を32~37℃に上昇させ、反応混合物を更に14時間インキュベートした。
【0747】
c)上昇した温度でのおよび増加したリンカー過剰での結合
【0748】
Serum Institute of India(Pune,India)から得た52.2mgの天然のPSA(分子量=20kD)を、1.05mLの50mMのリン酸緩衝液、pH6.0中に溶解した。次いで、10.3mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミン(リンカー分子)を反応混合物に滴加した。この反応物を、暗室で、穏やかな撹拌下で、室温で2時間インキュベートした。次いで、26.3mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを反応物に滴加し、温度を32~37℃に上昇させ、反応混合物を更に14時間インキュベートした。
【0749】
d)PSA誘導体の精製
【0750】
インキュベーションが完了した後、ポイントa~c下で生成した反応混合物を十分な透析により精製した。したがって、反応混合物の試料を、Slide-A-Lyzer透析カセット(0-5-3ml、MWCO3.5kD、再生成されたセルロース、Pierce)中に負荷し、以下のパターンに従い10mMのリン酸緩衝液、pH8.0に対して透析した:
【0751】
500mLの緩衝液に対して室温で2時間
【0752】
500mLの緩衝液に対して室温で2時間
【0753】
500mLの緩衝液に対して4℃で12時間
【0754】
初期試料の体積まで濃縮するために50mLの「透析のためのSlide-A-Lyzer濃縮溶液」に対して室温で1時間
【0755】
したがって、精製されたアミノオキシ-PSAは、例えば、上の実施例11、12、14、および17~31に従ってタンパク質の複合化反応に使用できる状態である。同様に、本明細書に記載の水溶性ポリマーのいずれかは、この実施例に記載のアミノオキシリンカーに結合し、次いで、上の実施例に記載のタンパク質に複合化することができる。
【0756】
調製物を、全PSA(レゾルシノールアッセイ)および全アミノオキシ基(TNBSアッセイ)を測定し、修飾の度合いを決定することによって分析的に特徴付けた。調製物について、(a)修飾の度合い(MD)0.35、(b)MD=0.54、および(c)MD=0.58を決定した。更に、多分散性、ならびに遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを測定した。多分散性は、全ての調製について1.15より低く、遊離リンカーの含有量は、0.15モル%のPSA濃度より低いものであった。
【0757】
還元末端で修飾されたPSAについて、以下の構造が
13C NMR分光法によって決定された。
【化25】
【0758】
実施例47
クロマトグラフィ精製ステップを採用するアミノオキシ-PSAの4℃での調製
室温で調製されたアミノオキシ-PSA試薬の詳細な分析的特長付けの間に、NMR研究(例えば、参照によってその全体が組み込まれる米国仮出願第61/647,814号を参照されたい)は、ジアミノオキシリンカーを有する酸化PSAの誘導体化が、2つの別個の反応(PSAの非還元末端でのアルデヒド基の迅速な反応およびPSAの還元末端での(ヘミケタール形態の)アルデヒド基の遅い反応)からなることを明らかにした。後者の反応は、試薬の産生のために回避されるべきである望ましくない副反応と考えることができる。
【0759】
したがって、本実施例に記載のように、アミノオキシ-PSA試薬を調製するためのプロセスが最適化されている。還元末端は、プロセスが室温で実行される場合にかなりの程度で起こるのみである。したがって、プロセスは調整され、2~8℃で行われる。2~8℃でプロセス全体(化学反応、およびIEXによるPSA試薬の精製)を実行することにより、PSAの還元末端での副反応が実質的に減少した。したがって、このプロセスの変更は、より高い品質の試薬をもたらす。
【0760】
手順
【0761】
Serum Institute of India(Pune,India)から得た1290mgの酸化PSA(分子量=20kD)を、25mLの50mMのリン酸緩衝液(緩衝液A)、pH6.0中に溶解した。次いで、209mgの3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを反応混合物に添加し、暗室で、穏やかな撹拌下で、2~8℃で1時間インキュベートした。
【0762】
インキュベーション後、混合物を、2~8°Cの温度の冷室で実施されたFractogel EMD DEAE 650-Mクロマトグラフィゲル(カラム寸法:XK26/135)を採用する穏やかな陰イオン交換クロマトグラフィステップに供した。反応混合物を予め冷却した110mLの緩衝液Aで希釈し、1cm/分の流速で、緩衝液Aで事前に平衡化したDEAEカラム上に負荷した。次いで、2cm/分の流速で、カラムを20CVの緩衝液B(20mMのHepes、pH6.0)で洗浄し、遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンを除去した。次いで、アミノオキシ-PSA試薬を、67%の緩衝液Bおよび43%の緩衝液C(20mMのHepes、1MのNaCl、pH7.5)からなるステップ勾配で溶出した。溶出液を、ポリエーテルスルホンから作製された5kDの膜(50cm2、Millipore)を使用する限外濾過/透析濾過によって濃縮した。調製物を、全PSA(レゾルシノールアッセイ)および全アミノオキシ基(TNBSアッセイ)を測定し、修飾の度合いを決定することによって分析的に特徴付けた。最終調製物中のPSA濃度は、46.0mg/mlであり、修飾の度合いは83.5%であった。更に、1.131の多分散性値が決定された。加えて、0.22μg/mlの濃度(PSAの0.07mol%)が、遊離3-オキサ-ペンタン-1,5-ジオキシアミンについて測定された。
【0763】
したがって、精製されたアミノオキシ-PSAは、上の実施例11、12、14、および17~31に従って複合化反応に使用できる状態である。
【配列表】