(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220126BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H05K3/34 505B
H05K3/34 507C
(21)【出願番号】P 2017165015
(22)【出願日】2017-08-30
【審査請求日】2020-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 宏丞
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-132328(JP,A)
【文献】特開2015-162651(JP,A)
【文献】特開2013-093370(JP,A)
【文献】特開2005-223156(JP,A)
【文献】特開平07-111275(JP,A)
【文献】特開2004-281646(JP,A)
【文献】特開平04-252040(JP,A)
【文献】特開2002-223065(JP,A)
【文献】特開平06-326141(JP,A)
【文献】特開平08-293508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60-607
H01L 23/12-15
H01L 33/62
H05K 3/32-34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板の1つのパッド上に、前記パッドの中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドットを形成する第1工程と、
半導体素子を前記複数の半田ドットの全数を覆うように載置して、前記複数の半田ドットを溶融させて半田層を形成する第2工程と、を備え
、
前記半田ドットの径は、前記パッドの中心から遠い前記半田ドットほど大きい、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
頂点の位置が最も高い前記半田ドットは、前記パッドの中心に配置される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
頂点の位置が同等の高さとなる前記半田ドットが、前記パッドの中心に対して対称に配置される、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半田ドットは、前記パッドの中心を通る1つ以上の直線上に並置され、
同一直線上に並置された隣り合う前記半田ドットの中心間距離は、前記パッドの中心から遠いほど大きい、請求項1から
3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記半導体素子は、前記複数の半田ドットのうち、前記頂点の位置が最も高い半田ドットの頂点に対して、距離が最小となる状態に載置される、請求項1から
4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程は、頂点の位置が同等の高さの複数の半田ドットを前記パッド上に形成する段階と、前記頂点の位置が同等の高さの複数の半田ドットをプレスすることによって、前記パッドの中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドットを形成する段階と、を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2工程において、前記複数の半田ドットをフラックスレスリフローによって溶融させる、請求項1から
6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
配線基板の1つのパッド上に、前記パッドの中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドットを形成する第1工程と、
半導体素子を前記複数の半田ドットの全数を覆うように載置して、前記複数の半田ドットを溶融させて半田層を形成する第2工程と、を備え
、
前記半田ドットは、前記パッドの中心を通る1つ以上の直線上に並置され、
同一直線上に並置された隣り合う前記半田ドットの中心間距離は、前記パッドの中心から遠いほど大きい、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、半田の中にボイドが生じ難い電子部品の実装方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-134831号公報
【文献】特開2015-162651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、今尚、半田の中に生じるボイドにおいては、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の一実施の形態は、半田層のボイドを抑えることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法は、配線基板の1つのパッド上に、前記パッドの中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドットを形成する第1工程と、半導体素子を前記複数の半田ドットの全数を覆うように載置して、前記複数の半田ドットを溶融させて半田層を形成する第2工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記一実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、半田層のボイドを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の概略上面図である。
【
図2A】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の製造方法における一工程を説明するための概略上面図である。
【
図3A】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の製造方法における一工程を説明するための概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する半導体装置及びその製造方法は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさ及び位置関係などは、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0010】
<実施の形態1>
(半導体装置100)
図1Aは、実施の形態1に係る半導体装置100の概略上面図である。
図1Bは、
図1Aに示す半導体装置100のA-A断面における概略断面図である。
【0011】
図1A,1Bに示すように、実施の形態1の半導体装置100は、配線基板10と、半田層20と、半導体素子30と、を備えている。さらに、半導体装置100は、ワイヤ40と、封止部材50と、を備えている。配線基板10は、基体11と、その基体11の上面に設けられたパッド15及びパッド以外の配線16と、を有している。半導体素子30は、パッド15上に、半田層20を介して、接合されている。半導体素子30は、パッド以外の配線16にワイヤ40で接続されている。半導体素子30及びワイヤ40は、封止部材50で封止されている。
【0012】
(半導体装置100の製造方法)
図2Aは、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法における第1工程を説明するための概略上面図である。
図2Bは、
図2AにおけるB-B断面を示す概略断面図である。
図3Aは、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法における第2工程を説明するための概略上面図である。
図3Bは、
図3AにおけるC-C断面を示す概略断面図である。
【0013】
実施の形態1の半導体装置100の製造方法は、以下のような第1工程、第2工程を備える。第1工程は、
図2A,2Bに示すように、配線基板10の1つのパッド15上に、パッド15の中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドット25を形成する工程である。第2工程は、
図3A,3Bに示すように、半導体素子30を複数の半田ドット25の全数を覆うように載置して、複数の半田ドット25を溶融させて半田層20を形成する工程である。
【0014】
このような構成を有する半導体装置100の製造方法によれば、パッド15と半導体素子30との接合を、頂点の位置が最も高い半田ドット251によって開始させ、その後、順次、頂点の位置がより低い半田ドット(例えば252,253)によって進行させやすくすることができる。したがって、パッド15と半導体素子30との接合を、パッド15の中心から周縁へ向かう方向に進行させやすくすることができる。これにより、パッド15と半導体素子30との接合の進行が、半田ドット25間にあった気体をパッド15の外側へ排出するように作用して、半田層20のボイドを抑えることができる。
【0015】
なお、半田ドット25の頂点の位置の高さは、パッド15の上面が平坦であって、半田ドット25の厚さのみで決まることが簡便で好ましい。但し、パッド15の上面が凹部及び/若しくは凸部を有し、半田ドット25がその凹部若しくは凸部上に配置されることで、半田ドット25の頂点の位置の高さが調整されてもよい。また、パッド15の中心は、上面視における幾何中心で定義することができる。
【0016】
以下、実施の形態1の半導体装置100の製造方法の好ましい形態について詳述する。
【0017】
図2A,2Bに示すように、頂点の位置が最も高い半田ドット251は、パッド15の中心に配置されることが好ましい。これにより、パッド15の中心を、パッド15と半導体素子30との接合の起点とすることができ、半田ドット25間にあった気体をパッド15の外側へ排出しやすくすることができる。
【0018】
図2A,2Bに示すように、頂点の位置が同等の高さとなる半田ドット25が、パッド15の中心に対して対称に配置されることが好ましい(例えば半田ドット252,253)。これにより、パッド15と半導体素子30との接合をパッド15の中心に対して対称に進行させやすくし、半田ドット25間にあった気体をパッド15の外側へ均等に排出しやすくすることができる。
【0019】
図2A,2Bに示すように、半田ドット25の径は、パッド15の中心から遠い半田ドット25ほど大きいことが好ましい(例えば半田ドット252の径<半田ドット253の径)。これにより、各半田ドット25の体積の差を小さくしやすいので、半田層20の厚さ分布を制御しやすくすることができる。
【0020】
図2A,2Bに示すように、半田ドット25はパッド15の中心を通る1つ以上の直線上に並置され、同一直線上に並置された隣り合う半田ドット25の中心間距離はパッド15の中心から遠いほど大きいことが好ましい(例えば半田ドット251-252の中心間距離<半田ドット252-253の中心間距離)。これにより、パッド15の中心側より周縁側において空間を広く取っておくことができ、半田ドット25間にあった気体のパッド15の外側への排出を促進することができる。
【0021】
図3A,3Bに示すように、第2工程において、半導体素子30は、複数の半田ドット25のうち、頂点の位置が最も高い半田ドット251の頂点に対して、距離が最小となる状態に載置されることが好ましい。これにより、頂点の位置が最も高い半田ドット251によるパッド15と半導体素子30との接合の開始を高確率に得やすくすることができる。なお、このような半導体素子30の姿勢は、仮止め剤28の補助によって、形成及び維持しやすくすることができる。また、半導体素子30は、当該半導体素子の中心とパッド15の中心が一致するように載置されることが好ましいが、パッド15の中心と半導体素子30の中心とのズレは、半田ドット25の溶融によるセルフアライメント作用によって補正することもできる。
【0022】
第1工程は、頂点の位置が同等の高さの複数の半田ドットをパッド15上に形成する段階と、その頂点の位置が同等の高さの複数の半田ドットをプレスすることによって、パッド15の中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドット25を形成する段階と、を含むことが好ましい。このように、プレス金型を用いて半田ドットを成形することで、各半田ドット25の高さ、径、体積、及び配置を高精度に制御することができる。また、生産性においても優れている。さらに、半田ドット25の上面が平坦になることで、半田ドット25上への半導体素子30の載置を安定させることができる。
【0023】
第2工程において、複数の半田ドット25をフラックスレスリフローによって溶融させることが好ましい。フラックスレスリフローによれば、パッド15と半導体素子30との接合を気化したフラックス成分による影響無く進行させることができるので、半田ドット25間にあった気体のパッド15の外側への排出を制御しやすくすることができる。フラックスレスリフローとしては、例えば、蟻酸還元リフロー、水素還元リフローなどが挙げられる。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る半導体装置の各構成要素について説明する。
【0025】
(配線基板10)
配線基板は、基体と、その基体上に保持された、半導体素子が設置されるパッド、及び半導体素子と電気的に接続される配線と、を有する。配線基板は、基体の材質及び厚さによって、リジッド基板若しくは可撓性基板(フレキシブル基板)とすることができる。また、配線基板は、平板状の形態が半田ドットの形成及び半導体素子の実装を簡便にでき好ましいが、半導体素子を収容可能な凹部を有する形態でもよい。
【0026】
(基体11)
基体は、電気的絶縁性を有するものが好ましいが、導電性を有するものでも、絶縁膜などを介することでパッド及び配線と電気的に絶縁させることができる。基体の材料としては、セラミック、金属、樹脂(繊維強化樹脂を含む)などが挙げられる。具体的には、セラミックとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及びこれらの混合物のうちのいずれか1つを用いることができる。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、及びこれらの合金のうちのいずれか1つを用いることができる。樹脂としては、エポキシ樹脂、BTレジン、ポリイミド樹脂、及びこれらの変性樹脂のうちのいずれか1つを用いることができる。
【0027】
(パッド15、パッド以外の配線16)
パッド及び配線は、箔又は膜として、基体の少なくとも上面に形成される。配線は、基体の内部及び/若しくは下面にも形成されていてもよい。パッド及び配線は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、若しくはこれらの合金の単層又は多層で構成することができる。特に、放熱性の観点においては、パッド及び配線は、銅又は銅合金を含むことが好ましい。また、パッド及び配線の表層は、表面酸化が少なく半田接合性に優れる、金若しくは金合金で構成されることが好ましい。また、パッド及び配線の表層には、銀、白金、アルミニウム、ロジウム若しくはこれらの合金などの光反射膜が設けられていてもよく、なかでも光反射性に優れる銀若しくは銀合金が好ましい。
【0028】
(半田層20、半田ドット25)
半田ドットは、金-錫系、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系の半田のうちのいずれか1つを用いることができる。1つのパッド上に形成される半田ドットの数は、適宜選択できるが、例えば、3以上50以下であることが好ましく、5以上25以下であることがより好ましい。1つの半田ドットの径は、適宜選択できるが、例えば、50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましい。1つの半田ドットの厚さは、適宜選択できるが、例えば、5μm以上150μm以下であることが好ましく、15μm以上100μm以下であることがより好ましい。半田層は、複数の半田ドットが、溶融して濡れ広がり、層状に一体化して固まることで形成される。このような方法によれば、半田の量を抑えて、半田層を比較的薄く形成することができる。
【0029】
(仮止め剤28)
仮止め剤は、半田ドットの溶融による半導体素子のパッドへの接合が開始されるまでの間、半導体素子を半田ドット上に保持しておく機能を有する。仮止め剤は、揮発性の有機化合物を用いることができる。仮止め剤は、常温で液状であることが扱いやすく好ましい。また、仮止め剤は、半田ドットが溶融する温度で揮発することが好ましい。具体的には、仮止め剤は、テルピネオール、オクタンジオール、酢酸ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの混合物のうちのいずれか1つを用いることができる。なお、仮止め剤は、半導体素子を半田ドット上に好ましい姿勢で載置するために使用されることが好ましいが、本実施の形態において必要不可欠なものではない。
【0030】
(半導体素子30)
半導体素子は、発光素子のほか、受光素子でもよいし、電子素子でもよい。発光素子としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザなどが挙げられる。受光素子としては、フォトダイオード、太陽電池などが挙げられる。電子素子としては、トランジスタ、IC、LSIなどが挙げられる。半導体素子の上面視形状は、四角形、特に正方形又は一方向に長い矩形であることが好ましいが、その他の形状であってもよい。半導体素子は、同一面側に正/負の両電極を有する構造のものでもよいし、正電極と負電極が半導体素子の上面と下面に別個に設けられる対向電極(上下電極)構造のものでもよい。同一面側に正/負の両電極を有する構造の半導体素子は、下面に設けられた金属膜が半田層でパッドに接合され、正/負の各電極(上面電極)がワイヤで配線と接続される(フェイスアップ実装)。また、同一面側に正/負の両電極を有する構造の半導体素子は、正/負の各電極が半田層で2つのパッドに各々接合されてもよい(フェイスダウン実装、フリップチップ実装)。対向電極構造の半導体素子は、下面電極が半田層でパッドに接合され、上面電極がワイヤで配線(パッド以外の配線)と接続される。電極は、金、銀、錫、プラチナ、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル、若しくはこれらの合金で構成することができる。
【0031】
(ワイヤ40)
ワイヤは、半導体素子の電極と、配線と、を接続する導線である。具体的には、金、銅、銀、プラチナ、アルミニウムなどの金属線、及びこれらの合金線のうちのいずれか1つを用いることができる。特に、封止部材からの応力による破断が生じにくく、熱抵抗などに優れる金線が好ましい。また、光反射性を高めるために、銀を含むことも好ましい。
【0032】
(封止部材50)
封止部材は、半導体素子、ワイヤなどを、封止して、外力、外気などから保護する部材である。封止部材は、電気的絶縁性を有することが好ましい。封止部材の具体的な母材としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、及びこれらの変性樹脂(ハイブリッド樹脂を含む)のうちのいずれか1つを用いることができる。また、封止部材は、これらの母材中に、酸化珪素(シリカ)などの充填剤、及び/若しくはカーボンブラックなどの着色剤を含有してもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0034】
<実施例1>
実施例1の半導体装置は、
図1A,1Bに示す例の半導体装置100の構造を有する、幅4.0mm、奥行き3.2mm、厚さ1.2mmの直方体状の上面発光及び表面実装型のLED装置である。配線基板は、幅4.0mm、奥行き3.2mmであって、厚さ0.6mmの平板状の窒化アルミニウムの基体と、基体の上面に保持された厚さ20μmのパッド及び上面配線と、基体の下面に保持された厚さ20μmの2つの下面配線と、を有している。パッド、上面配線、及び2つの下面配線は其々、チタン-タングステン/銅/ニッケル/金の積層体で構成されている。パッドと一方の下面配線、及び上面配線と他方の下面配線は其々、タングステンで満たされた貫通ビアによって接続されている。パッドは、幅2.6mm、奥行き2.6mmの上面視正方形状の各辺中央に0.3mm角の切り欠きがあるパターンである。パッドの上面は、平坦である。半導体素子は、発光ピーク波長452nmで青色発光可能な、幅2.0mm、奥行き2.0mm、厚さ0.3mmの上面視正方形状のLEDチップである。半導体素子は、シリコン基板と、基板の上面側に形成された窒化物半導体の発光素子構造と、を有している。半導体素子の下面電極は、基板の下面全域に形成された、厚さ0.5μmの金の膜である。この下面電極は、配線基板のパッドに、厚さ4.5μmの金-錫の半田層を介して接合されている。半導体素子の上面電極は、配線基板の上面配線にワイヤで接続されている。ワイヤは、線径25μmの金線である。封止部材は、配線基板の上面側の全域に亘って設けられ、半導体素子及びワイヤを封止している。封止部材は、シリカの充填剤を含有したフェニルシリコーン樹脂の硬化物である。
【0035】
本実施例1の半導体装置は、以下のように製造される。
(第1工程)
まず、第1段階として、配線基板のバッドの上面に、金-錫(組成比:金80%、錫20%)の半田ドットを溶融半田吐出装置で吐出する。このとき、パッド上に形成される半田ドットは、17個であって、其々、外径160μm、高さ80μmの半球状である。次に、第2段階として、これらの半田ドットをホットプレス装置(プレス温度200℃)でプレスする。ホットプレス装置の上金型のプレス面は、段差を有している。プレス後の半田ドットの配置及び形状は、以下のとおりである。パッドの中心には、外径184μm、高さ40μmの半田ドットが配置されている。また、パッドの中心を通って0度、90度、180度、270度方向に延びる各直線上における、パッドの中心との距離が330μmの位置に外径197μm、高さ35μmの半田ドット、パッドの中心との距離が818μmの位置に外径233μm、高さ25μmの半田ドットが配置されている。さらに、パッドの中心を通って45度、135度、225度、315度方向に延びる各直線上における、パッドの中心との距離が565μmの位置に外径213μm、高さ30μmの半田ドットが、パッドの中心との距離が1218μmの位置に外径261μm、高さ20μmの半田ドットが配置されている。なお、プレス後の半田ドットは其々、側面が若干傾斜した、円柱状若しくは円盤状である。以上のようにして、配線基板の1つのパッド上に、パッドの中心に近いほど頂点の位置が高い複数の半田ドットを形成される。
(第2工程)
プレス後の半田ドットを有するパッドの上面に、オクタンジオールの仮止め剤をディスペンサで塗布して、その上に半導体素子をダイボンド装置で載置する。このとき、半導体素子は、複数の半田ドットの全数を覆うように、且つ、複数の半田ドットのうち、パッドの中心に配置された半田ドットの頂点に対して、距離が最小となる状態に、載置される。そして、複数の半田ドットを蟻酸還元リフロー装置(最高温度310℃)で溶融させる。なお、このとき、仮止め剤は、炉内温度の上昇に伴って徐々に揮発し、半田ドットが溶融を開始するまでに、完全に消失する。
(第3工程)
ワイヤボンド装置により、半導体素子の上面電極と配線基板の上面配線をワイヤで接続する。最後に、封止部材の液状材料を、半導体素子及びワイヤを覆って配線基板の上面側の全域に塗布し、熱処理にて硬化させる。
【0036】
以上のように構成された実施例1の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置100の製造方法と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の一実施の形態に係る半導体装置は、半導体素子が発光素子又は受光素子である場合には、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告、行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、各種センサなどに利用することができる。また、本発明の一実施の形態に係る半導体装置は、半導体素子が電子素子である場合には、パソコンなどの各種電子計算機及びそれらに搭載される回路基板などに利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 配線基板
11 基体
15 パッド
16 パッド以外の配線
20 半田層
25,251,252,253 半田ドット
28 仮止め剤
30 半導体素子
40 ワイヤ
50 封止部材
100 半導体装置