(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-25
(45)【発行日】2022-02-02
(54)【発明の名称】範囲に基づくリアルタイム走査電子顕微鏡非可視ビナー
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20220126BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20220126BHJP
G01N 23/2251 20180101ALI20220126BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01J37/22 502H
G01N23/2251
(21)【出願番号】P 2018506092
(86)(22)【出願日】2016-08-03
(86)【国際出願番号】 US2016045410
(87)【国際公開番号】W WO2017024065
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-07-18
(31)【優先権主張番号】4069/CHE/2015
(32)【優先日】2015-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2015-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ヘマンタ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン アルピット
(72)【発明者】
【氏名】ヤチ アルピット
(72)【発明者】
【氏名】モレア オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ロボ アルン
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/066602(WO,A1)
【文献】特表2011-501875(JP,A)
【文献】国際公開第2014/028513(WO,A1)
【文献】特表2008-515239(JP,A)
【文献】特表2007-526444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/88-958
G01N 23/225-2258
G01B 11/24-255
G01B 15/00-08
H01J 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥レビューツールを備え、前記欠陥レビューツールは、ウェハを固締するように構成されたステージを有し、
さらに、前記欠陥レビューツールと通信するように構成されたコントローラを備え、前記コントローラは、前記ウェハの
複数の層上の非可視欠陥を
、単一の分類器を用いて識別するように構成されており、
前記コントローラは、前記
単一の分類器を用いて
前記複数の層上の前記非可視欠陥を識別して、トポグラフィカルな欠陥、強度属性またはエネルギー属性のうち少なくとも1つをフィルタリングし、前記トポグラフィカルな欠陥は粒子またはスクラッチを含み、前記強度属性は残渣またはスカムを含み、前記エネルギー属性はボイドを含む、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記欠陥レビューツールと通信するように構成されたプロセッサと、分類器を包含するプロセッサと電子的に通信する記憶デバイスと、前記欠陥レビューツールと通信するために前記プロセッサと電子的に通信する通信ポートを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記欠陥レビューツールは走査電子顕微鏡(SEM)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記非可視欠陥はSEM非可視欠陥(SNV)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
欠陥レビューツールを用いて、ウェハ上の層の画像を生成し、
プロセッサを用いて、
単一の分類器を用いて画像の少なくとも1つの属性を評価し、
プロセッサを用いて、
前記単一の分類器を用いてウェハの
複数の層上の非可視欠陥を識別することを含み、
前記プロセッサは、前記
単一の分類器を用いて
前記複数の層上の前記非可視欠陥を識別して、トポグラフィカルな欠陥、強度属性またはエネルギー属性のうち少なくとも1つをフィルタリングし、前記トポグラフィカルな欠陥は粒子またはスクラッチを含み、前記強度属性は残渣またはスカムを含み、前記エネルギー属性はボイドを含む、
方法。
【請求項6】
さらに、プロセッサを用いて、非可視欠陥の上限と下限を規定することを含み、識別される非可視欠陥は上限と下限の間にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記分類器は、トポグラフィカルな欠陥をフィルタリングする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記分類器は、強度属性をフィルタリングする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記分類器は、エネルギー属性をフィルタリングする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記生成は走査電子顕微鏡(SEM)を用いる、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記非可視欠陥はSEM非可視欠陥(SNV)である、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記比較と識別は、生成と同時に実行されてもよい、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記分類器は、前記トポグラフィカルな欠陥をフィルタリングする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記分類器は、前記強度属性をフィルタリングする、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記分類器は、前記エネルギー属性をフィルタリングする、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は欠陥の分類に関し、より詳細には非可視欠陥の分類に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月5日に出願され譲渡されたインド仮特許出願第4069/CHE/2015号のインド仮特許出願に基づく優先権を主張し、また、2015年9月23日に出願され譲渡された米国特許出願第62/222,647号の仮特許出願に基づく優先権を主張し、それらの開示は参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
ウェハ検査システムは、製造工程中に発生する欠陥を検出することによって、半導体製造業者が集積回路(IC)チップの歩留まりを増加させ維持する助けとなる。検査システムの1つの目的は、製造工程が仕様に見合うかどうかを監視することである。検査システムは、製造工程が、確立された規範の範囲外である場合に、問題および/または問題の源を示し、すると半導体製造業者はそれに対処できる。
【0004】
半導体製造工業の進化は、歩留まり管理、また、特に、計測および検査システムにますます増大する要求を課している。ウェハサイズが増加する一方でクリティカルディメンションは縮小している。経済は高歩留まりで高価値の製造を達成するための時間を減少するように産業を駆り立てている。したがって、歩留まりの問題を検出してから修正するまでの総時間数を最小化することは、半導体製造業者にとって投資利益率を決めることになる。
【0005】
人手による分類と層に基づく自動分類を含む欠陥の分類の以前の技法は、あまりにも多くの時間と労力を必要とする。デバイスがより複雑になるにつれ、半導体製造設備における欠陥の人手による分類は、より多くの時間と労力を要している。分類にかなりの時間を投資した後でも、欠陥分類はヒューマンエラーにより不正確かつ一貫性のないものになり得る。フィールド内での欠陥の自動分類の現在の技法は、欠陥の多くの事例を要し、また時には分類器をトレーニングするために人的資源も要する。さらに、各層の各欠陥タイプに関して分類器をトレーニングすることは、トレーニング対象の分類器の総数が、欠陥タイプの数に層の数を掛け合わせたものとなるため煩雑である。
【0006】
人手による分類は、各欠陥画像を多数の視野での人手による観察、基準欠陥画像の既知のセットでの欠陥識別および各欠陥サイトに対するクラスコードの人手による割り当てを包含する。欠陥の人手による分類は完了までに多大な時間を要する。それは結局非常に高費用ということになる。さらに、分類中に人の判断を用いることは結果に不正確さと一貫性のなさをもたらす可能性がある。
【0007】
層に基づく自動分類は、各層に関して作成される、存在する重大な欠陥タイプ全てを類別するカスタム分類器を含む。分類器は、人手によって作成されても自動作成されてもよい。層に基づく自動分類は、層特有のカスタム分類器の作成を実行する。全層に関する分類器のトレーニングは、トレーニングデータ、人的資源および時間等の拡張的リソースを要する。例えば、各層に関する分類器のトレーニングはトレーニングデータを要する。トレーニングデータは、分類器によって分類されるために必要な各重大な欠陥に関する十分な欠陥事例を有していなければならない。フィールド内で使用されるある種の分類器生成スキームは、人手による分類器作成を要する。多大な時間投資を包含することとともに、これは、これらの分類器の作成のための属性の最適なセットの判断における不正確さにより、作成された分類器の性能に不整合をもたらす。分類器を作成し、トレーニングし維持するために、同じ欠陥タイプに関して特定のサイトで層にわたって分類器の作成を膨大に繰り返し、また、多数の顧客サイトにわたっても膨大に繰り返すことで、膨大な時間が費やされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、必要なのは、ウェハ欠陥を分類するために必要な時間と労力を低減するシステムと技法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の実施形態において、システムが提供される。システムは、欠陥レビューツールと、欠陥レビューツールと通信するように構成されたコントローラを備えている。欠陥レビューツールは、ウェハを固締するように構成されたステージを有する。コントローラは、ウェハの層上の非可視欠陥を分類器を用いて識別するように構成されている。欠陥レビューツールは走査電子顕微鏡(SEM)であり得る。非可視欠陥はSEM非可視欠陥(SNV)であり得る。
【0011】
コントローラは、欠陥レビューツールと通信するように構成されたプロセッサと、分類器を包含するプロセッサと電子的に通信する記憶デバイスと、欠陥レビューツールと通信するためにプロセッサと電子的に通信する通信ポートを備えてもよい。
【0012】
コントローラは、分類器を用いて非可視欠陥を識別して、トポグラフィカルな欠陥、強度属性またはエネルギー属性のうち少なくとも1つをフィルタリングしてもよい。
【0013】
第2の実施形態において、方法が提供される。方法は、欠陥レビューツールを用いて、ウェハ上の層の画像を生成し、プロセッサを用いて、分類器を用いて画像の少なくとも1つの属性を評価し、プロセッサを用いて、分類器を用いてウェハ上の層上の非可視欠陥を識別することを含む。
【0014】
方法はさらに、プロセッサを用いて、非可視欠陥の上限と下限を規定することを含み、識別される非可視欠陥は上限と下限の間にある。
【0015】
分類器は、トポグラフィカルな欠陥、強度属性および/またはエネルギー属性をフィルタリングするように構成されてもよい。
【0016】
分類器はウェハの各層上で用いられるように構成されてもよい。
【0017】
生成は走査電子顕微鏡(SEM)を用いてもよい。非可視欠陥はSEM非可視欠陥(SNV)であってよい。
【0018】
比較と識別は、生成と同時に実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の本質と目的をより万全に理解するために、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照する。
【
図1】本開示の一実施形態によるフローチャートである。
【
図2】走査電子顕微鏡非可視(SNV)スプレッドの例示的上限と下限を示すチャートである。
【
図4】本開示による欠陥レビューツールの一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
請求項に記載された主題は特定の実施形態に関して説明されるが、本明細書に記載される利点と特徴の全てを提供するわけではない実施形態を含むその他の実施形態も本開示の範囲内にある。本開示の範囲から逸脱せずに、種々の構造的論理的、プロセスステップおよび電子的な変更がなされ得る。したがって、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲に関連してのみ定義される。
【0021】
走査電子顕微鏡(SEM)非可視(「SNV」と呼ぶ)は、欠陥があるが定義された実欠陥を含まないレビューサイトとして定義される。定義された実欠陥は基準と比べてウェハ上で破断となり得る。例えば、定義された実欠陥は、粒子、スクラッチまたはボイドであり得る。したがって、SNVはそれらの基準サイトと比べて同じ特性を有することとなり、それがSNVを人手により識別することを困難にする。本明細書の開示では、欠陥属性は、欠陥画像から基準画像を差し引いた後(即ち、欠陥画像-基準画像)で計算され得る。これは、層にわたるSNVの共通の属性値につながり、多数の層上のSNVをビンアウトするための単一の分類器、または、リアルタイムSNV(RT-SNV)分類器の作成につながる。ビニングとは、いくつかの略連続した値を、より少数のサブグループにグルーピングするための1以上の方法を指す。分類器は、特定の目的のため(例えば欠陥分類および検出)にSNVのコホートを識別することによってSNVを「ビンアウト」してもよい。
【0022】
SNV等の非可視欠陥は、容易に目視され得る物理的残渣または可視欠陥がないにもかかわらずデバイスの電気的故障を引き起こし得る。非可視欠陥の例は、ウェハ間またはチップ間の、抵抗、キャパシタンスまたはタイミング上のばらつき、ストレスによって起こる位置ずれ、局所的結晶欠陥または局所的ボンディング欠陥を含む。非可視欠陥は歩留まりに影響し、そのため非可視欠陥は半導体製造業者にとって懸念事項であり、識別が困難である。
【0023】
SNVまたは粒子等の特定の欠陥タイプは一般的であり、1以上のウェハの多数の層にわたり一貫性がある。これは、層に基づく分類器作成から、欠陥に基づく分類器作成への移行につながった。欠陥に基づく分類器作成は、1以上のウェハの多数の層にわたり1つの共通の欠陥タイプをビンアウトする単一の分類器の実装を包含する。共通の欠陥タイプは、多数の層にわたり同じ範囲の欠陥属性値を有する。
【0024】
SNVは、全ての検査器からの欠陥マップをレビューする間に発見され得る。検査器は、自動、半自動および人手によるウェハ検査ツールおよびプロセスを含み得る。半導体製造業者は、より低い閾値での検査走査につながる実欠陥を見逃したくはないであろう。より低い閾値はひいては偽陽性またはその他の擬似(nuisances)を招く。レビュー後にこれらの偽陽性またはその他の擬似を実欠陥から類別することは、SNVパーセンテージが高い層ではレビューのために多くの時間とマンパワーを要することになるため、困難な仕事である。本開示の実施形態は、全てのサイトで発見された全ての層と全てのノードにわたりSNVを実欠陥から類別するために、1以上のウェハの多数の層上のSNVに関する属性範囲が、1つの分類器を生成することを包含する。
【0025】
本明細書の開示では、多数の層上のSNVの属性範囲は、1)大量の層にわたるSNVの物理的特性を理解するために用いられることができ、それが、その他の実欠陥からSNVのプログラムに基づいた類別を可能にし、2)大量の層にわたるSNVに関して同じである属性と範囲を、それらがSNVをプログラムに基づいて類別するために用いられ得るように、理解するために用いられることができる。本開示のシステムおよび方法はさらに、SNVをビンアウトするために、全ての層上のSNVに関する共通の属性範囲を用いる分類器を生成して使用する。本開示のシステムおよび方法は、さらに、鎖テスト、発見の流れ(discovery flow)等の異なる事例に関して全ての層にわたりSNVをビンアウトするために、単一の分類器を生成して使用してもよい。さらに、本開示は、分類器のカットオフを規定するために属性の多数の層にわたり1つの共通の(すなわち共有の)範囲を用いてもよい。
【0026】
RT-SNV分類器は半導体製造業者においてコストを下げスループットを増加させ得る。さらに、欠陥のより迅速な分類は、半導体製造業者が歩留まりの問題をより早く解決することを助長でき、それは結果を得るまでの時間を短縮する。これらの利点は半導体製造業者にとって大きな資本節約をもたらす。
【0027】
図1は、本開示の一実施形態によるフローチャートである。方法のステップはそれぞれ、本明細書でさらに説明するように実行されてもよい。方法は、本明細書に記載される画像取得サブシステムおよび/またはコンピュータサブシステム(複数可)またはシステム(複数可)によって実行され得る任意のその他のステップ(複数可)をも含んでもよい。ステップは、本明細書に記載される実施形態のうちいずれかに従って構成され得る1以上のコンピュータシステムによって実行される。さらに、上記に説明した方法は、本明細書に記載されるシステムの実施形態のうちいずれによって実行されてもよい。
【0028】
図1に見られるように、ウェハ上の層の画像が100で生成される。画像は、走査電子顕微鏡(SEM)等の画像取込デバイスを用いて生成または取り込まれてもよい。画像はプログラムに基づいて縫合された1以上の画像を備えてもよい。1つの画像は、ウェハの多数の視界を含んでもよく、それは、光の種々の波長を用いて生成された視界である。画像はデジタル化されて、一時的メモリ(RAM)または永続的メモリ(ハードドライブ等)に記憶されてもよい。画像は、インターネットまたはイントラネットを介して1以上のシステムにアクセス可能な1つのキュレーションされたデータベースに記憶されてもよい。画像の少なくとも1つの属性が、101で分類器を用いて評価される。例えば、画像は、評価のために分類プロセッサによって取り出されてもよい。分類プロセッサは、画像を一時的メモリまたは永続的メモリから要求してもよい。一実施形態において、分類プロセッサは、キュレーションされたデータベースから画像を要求してもよい。分類プロセッサは、分類器を用いて画像を評価してもよい。そのため、ウェハの層上のSNV等の非可視欠陥が、102で分類器を用いて識別される。
【0029】
分類器は、多数の層および/または多数のウェハにわたり(また、組み合わせた装置を用いて、多数のサイトにわたり)SEMレビュー画像上で抽出された欠陥属性に基づいて作成または生成され得る。これは、検査または計測アルゴリズムで実行され得る。収集されたSEMレビュー画像は、異なるタイプの欠陥とSNVに、人手により分類され得る。いくつかの実施形態において、収集されたSEMレビュー画像は、以前の試験と既知のソースからインポートされてもよい。
【0030】
KLA-Tencor Corporation製のImpactXP等の欠陥レビューおよび分類ソフトウェアが、SNVの属性値の範囲を決定するために用いられる。この欠陥レビューおよび分類ソフトウェアは、自動欠陥分類を含み得る。特定の属性に対するSNVスプレッドの上限と下限が、SNV(外れ値を除く)のうち大多数がその中に共存する境界において生成される。例えば、
図2の上限と下限を参照されたい。SNVの大多数の属性値のスプレッドは、SNVの理想値の周囲の範囲内にある。例えば、SNVに関して、属性1=1、属性2=0、属性3=0等である。
【0031】
SNVを定義し分類するために有用な属性を決定またはさらに分析するために、種々のレビューロット上の多数の層に関して同様なデータが収集される。SNV範囲データ(上限と下限を含む)が、多数の属性に関して収集され得る。異なる層および/または異なるウェハにわたり、異なる撮像条件が使用され得る。
【0032】
SNVの属性範囲値は、1以上のウェハの層にわたる共通の範囲に関してプログラムに基づいて分析される。属性は、層にわたりSNVの値の共通の範囲を示し得るため、SNVの共通の属性範囲は、多数の層にわたりSNVをビンアウトするための単一の分類器の実装のために用いられ得る。これらの共通の範囲は、RT-SNV分類器の属性境界を定義するために用いられる。このようにして形成されたRT-SNV分類器の性能は、多数のウェハにわたり検証される。
【0033】
分類器を用いて、SNVビンから異なるタイプの欠陥をフィルタリングするために種々の属性が用いられ得る。これらは以下のフィルタのうち一部または全てを含む。トポグラフィー属性は、粒子、スクラッチ等のトポグラフィカルな欠陥をフィルタリングで除く。強度属性は、残渣、スカム等の高材料コントラストまたは高GL差欠陥を類別する。エネルギー属性は、ボイドまたは大きな欠陥等の高エネルギーおよび高エネルギー密度欠陥をフィルタリングする。同様に、その他のタイプの属性を用いて、異なるタイプの欠陥をSNVから類別してもよい。
【0034】
抽出された属性範囲はプロットされてもよい。リアルタイム自動欠陥分類(RT-ADC)属性が以下に言及され、SNVの範囲は多種多様な層に関して同じである。
【0035】
【0036】
全ての層上のSNVに関する共通の属性範囲の境界は、分類器に関する対応する属性ノードのカットオフとして用いられてもよい。この後、分類器の従来のトレーニングは必要なく、分類器は任意の顧客サイトでの任意のノードの任意の層での展開に準備ができているはずである。しかしながら、いくつかの実施形態では、特定の機器または目的を補償するために、カットオフは共通の属性範囲とは別に調整される必要もあり得る。
【0037】
SNVを実欠陥から類別するために、分類器によって以下の属性のノードが用いられてもよい。属性2、属性3、属性6および属性5は、粒子およびスクラッチ等のトポグラフィカルな実欠陥をSNVから類別する。属性5は、例えば、エネルギー測定を包含し得る。属性2は、例えばピーク高さを比較してもよい。属性3と属性6はそれぞれ、正の測定と負の測定であり得る。属性7は、残渣等の高材料コントラスト実欠陥をSNVから類別する。属性8は、ボイド等の高密度実欠陥をSNVから類別する。属性4は、顕著性をカバーすることができ、ハンプ、小粒子、小ピットおよび開き等の独自の単一の欠陥をSNVから類別できる。属性1は、背景と同じでない任意のその他の欠陥をSNVから類別する。
【0038】
例えば、例示的SNV分類器に関しては
図3を参照されたい。
【0039】
分類器の準備ができた後で、分類器はその他のウェハの層上のSNVを識別するために展開され得る。
【0040】
本明細書で用いる「ウェハ」という用語は一般に、半導体または非半導体材料で形成された基板を指す。そのような半導体または非半導体材料の例は、限定はしないが、単結晶シリコン、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、サファイアおよびガラスを含む。そのような基板は半導体製造設備内で一般的に見出されおよび/または処理され得る。
【0041】
ウェハは基板上に形成された1以上の層を含んでもよい。例えば、そのような層は、限定はしないが、フォトレジスト、誘電材料、導体材料および半導体材料
を含み得る。多くの異なるタイプのそのような層が当技術分野で公知であり、本明細書で用いるウェハという用語は、全てのタイプのそのような層を含むウェハを包含することを意図している。
【0042】
ウェハ上に形成された1以上の層は、パターン付きでもパターンなしでもよい。例えば、ウェハは、反復可能なパターン付きフィーチャまたは周期構造をそれぞれ有する複数のダイを含んでもよい。材料のそのような層の形成および加工が、最終的に完成したデバイスをもたらし得る。多くの異なるタイプのデバイスがウェハ上に形成されてもよく、本明細書で用いるウェハという用語は、当技術分野で公知の任意のタイプのデバイスがその上に製造されるウェハを包含することを意図している。
【0043】
図4は、欠陥レビューツール200の一実施形態である。欠陥レビューツール200は、SEMであっても、電子ビームを用いる別の欠陥レビューツールであっても、またはウェハを検査するように構成されたその他の装置であってもよい。
【0044】
欠陥レビューツール200は、ウェハ203を固締するように構成されたステージ204を含む。ステージ204は、1軸、2軸または3軸で運動または回転するように構成されてもよい。
【0045】
図4で見られるように、ウェハ203は層209および210を含む多数の層を含む。層210は層209の後で形成される。
図4では層210が撮像されているように示されているが、層210の形成の前に層209が撮像されている可能性がある。
図4に示す3層よりも多い層または少ない層が可能である。
【0046】
欠陥レビューツール200はさらに、ウェハ203の表面の画像を生成するように構成された画像生成システム201を含む。画像はウェハ203の特定の層に関するものであり得る。この例において、画像生成システム201は、ウェハ203の画像を生成するために電子ビーム202を生成する。広帯域プラズマまたはレーザー走査を用いるもの等のその他の画像生成システム201も可能である。
【0047】
特定の例において、欠陥レビューツール200は走査電子顕微鏡(SEM)の一部である。ウェハ203の画像が、ウェハ203を集束された電子ビーム202で走査することによって生成される。電子を用いて、ウェハ203の表面トポグラフィーと組成に関する情報を包含する信号を生成する。電子ビーム202は、ラスター走査パターンで走査されてもよく、電子ビーム202の位置を検出された信号と合成して、画像を生成してもよい。
【0048】
欠陥レビューツール200はコントローラ205と通信する。例えば、コントローラ205は画像生成システム201または欠陥レビューツール200のその他の構成要素と通信できる。コントローラ205は、プロセッサ206と、プロセッサ206と電子的に通信する記憶デバイス207と、プロセッサ206と電子的に通信する通信ポート208を含み得る。コントローラ205は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの任意の組み合わせによって実行され得ることを理解すべきである。さらに、本明細書に記載されるコントローラ205の機能は、1つのユニットによって実行されてもよく、または、異なる構成要素に分割されて、次にハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアの任意の組み合わせによって実行されてもよい。本明細書に記載される種々の方法と機能を実行するためのコントローラ205用のプログラムコードまたは命令は、コントローラ105内部、コントローラ205外部またはそれらの組み合わせで、メモリ等のコントローラが可読な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0049】
コントローラ205はさらに、分類器を用いてウェハの層上の、SNV等の非可視欠陥を識別してもよい。例えば、コントローラ205は、
図1のステップを実行してもよい。コントローラ205はさらに、本明細書で開示されるその他のステップまたは技法を実行してもよい。
【0050】
コントローラ205は、コントローラ205が、画像生成システム201内等の検出器によって生成された出力を受信できるように、欠陥レビューツール200の検出器に任意の適切な方式で(例えば、「有線」および/または「無線」伝送媒体を含み得る1以上の伝送媒体を介して)結合されてもよい。コントローラ205は、検出器の出力を用いていくつかの機能を実行するように構成されてもよい。例えば、コントローラ205は、検出器の出力を用いて、ウェハ203上の欠陥を検出するように構成されてもよい。ウェハ203上の欠陥を検出することは、コントローラ205によって、検出器により生成された出力に何らかの欠陥検出アルゴリズムおよび/または方法を適用することにより実行されてもよい。欠陥検出アルゴリズムおよび/または方法は、本明細書で開示される、または当技術分野で公知の任意の適切なアルゴリズムおよび/または方法を含み得る。例えば、コントローラ205は、検出器の出力を閾値と比較してもよい。閾値より上の値を有する出力はいずれも、SNVまたはその他の非可視欠陥等の潜在的欠陥として識別され得るのに対し、閾値より下の値を有する出力はいずれも潜在的欠陥としては識別され得ない。別の例において、コントローラ205は、出力への欠陥検出を行わずに、検出器の出力を記憶デバイス207または別の記憶媒体に送信するように構成されてもよい。コントローラ205はさらに、本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0051】
本明細書に記載されるコントローラ205、その他のシステム(複数可)またはその他のサブシステム(複数可)は、パーソナルコンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器またはその他のデバイスを含む種々の形態を取ってもよい。一般に、「コントローラ」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広範に定義され得る。サブシステム(複数可)またはシステム(複数可)はさらに、パレレルプロセッサ等の当技術分野で公知の任意の適切なプロセッサを含んでもよい。さらに、サブシステム(複数可)またはシステム(複数可)は、高速処理およびソフトウェアを備えたプラットフォームを、スタンドアローン、またはネットワーク化されたツールとして含んでもよい。
【0052】
システムが1より多いサブシステムを含む場合、サブシステム間で画像、データ、情報、命令等が送信され得るように、異なるサブシステムは互いに結合されてもよい。例えば、1つのサブシステムは、当技術分野で公知の任意の適切な有線および/または無線伝送媒体を含み得る任意の適切な伝送媒体によって付加的なサブシステム(複数可)に結合されてよい。2以上のそのようなサブシステムが、共有のコンピュータ可読記憶媒体(図示せず)によって有効に結合されてもよい。
【0053】
付加的な実施形態は、本明細書で開示されるSNV等の非可視欠陥を識別するためのコンピュータ実装方法を実行するためにコントローラ上で実行可能なプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。特に、
図4に示すように、記憶デバイス207またはその他の記憶媒体は、コントローラ205上で実行可能なプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ実装方法は、本明細書に記載される任意の方法(複数可)の任意のステップ(複数可)を含み得る。
【0054】
本明細書に記載されるような方法を実装するプログラム命令は、記憶デバイス207または別の記憶媒体等内のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気もしくは光ディスク、磁気テープ等の記憶媒体、または当技術分野で公知の任意のその他の適切な非一時的コンピュータ可読媒体であってよい。
【0055】
プログラム命令は、とりわけ、手順に基づく技法、コンポーネントに基づく技法および/またはオブジェクト志向の技法を含む種々の方式のうちいずれによって実装されてもよい。例えば、プログラム命令は、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、SSE(ストリーミングSIMDエクステンション)またはその他の技術もしくは方法を所望に用いて実装されてもよい。
【0056】
コントローラ205は本明細書に記載される実施形態のいずれに従って構成されてもよい。その開示の全体を参照により本明細書に組み込む、米国特許出願第14/991,901号に記載されるような、コントローラ205のその他の構成および機能も可能である。
【0057】
本明細書に記載されるコントローラは、欠陥レビューシステムの一部として開示されたが、検査システムでの使用向けに構成されてもよい。別の実施形態では、本明細書に記載されるコントローラは、計測システムでの使用向けに構成されてもよい。このように、本明細書で開示される実施形態は、異なる用途に多かれ少なかれ適した異なるイメージング能力を有するいくつかのシステム用に合わせて調整され得る分類向けのいくつかの構成を説明する。
【0058】
本明細書で開示される実施形態はさらに、検査、欠陥レビューおよびレチクル等のその他の試料の計測向けに構成されてもよい。例えば、本明細書に記載される実施形態は、マスク検査、ウェハ検査およびウェハ計測向けに構成されてもよい。特に、本明細書に記載される実施形態は、広帯域プラズマ検査器、電子ビーム検査器または欠陥レビューツール、マスク検査器、バーチャル検査器等の出力取得サブシステムの一構成要素であるか、または出力取得サブシステムに結合された、コンピュータノードまたはコンピュータクラスタにインストールされてもよい。こうして、本明細書に記載される実施形態は出力を生成してもよく、出力は、限定はしないが、ウェハ検査、マスク検査、電子ビーム検査およびレビュー、計測等を含む種々の用途に用いられ得る。コントローラは、実際の出力を生成する対象である試料に基づいて上記のように修正されてもよい。
【0059】
本明細書で開示される実施形態は、人手による分類よりも有利である。RT-SNVは、欠陥の人手による分類を支援する。RT-SNVは、RT-ADC属性を用いてSNVを自動フィルタリングする。RT-SNVは、欠陥分類の労力と時間を低減する。RT-SNVは、人手による分類方法に存在するヒューマンエラーも低減する。
【0060】
本明細書で開示される実施形態はさらに、層に基づく自動分類よりも有利である。層に基づく分類器は個々の層のみに働きかけるのに対し、ジェネリックな欠陥に基づく分類器は全ての層にわたり使用され得る。RT-SNV分類器は、各層に異なるSNV分類器を作成するのに費やされる時間を省く。RT-SNV分類器は、トレーニングデータが各層に必要とされる層に基づく分類器と比べて、より少ないトレーニングデータを必要とし得る。層に基づく分類器は、異なる欠陥タイプを有する新規ロットや、プロセス変動に遭遇した場合に再調整されなければならないのに対し、RT-SNV分類器は、すぐに使用でき、整合した結果をもたらし、トレーニングを一切必要としない。
【0061】
本開示を、1以上の特定の実施形態に関して説明してきたが、本開示の範囲から逸脱せずに、本開示のその他の実施形態が行われてもよいことが理解されよう。したがって、本開示は、添付の請求項およびその合理的解釈によってのみ限定されるものと見做される。