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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び、画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220127BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220127BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G03G15/08 340
G03G15/01 113Z
G03G15/08 347
G03G15/00 303
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018032802
(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2019148676
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】守永 睦貴
(72)【発明者】
【氏名】一杉 潤
(72)【発明者】
【氏名】松本 桂子
(72)【発明者】
【氏名】赤藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】尾関 孝将
(72)【発明者】
【氏名】安田 理
(72)【発明者】
【氏名】梶村 恵子
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-043388(JP,A)
【文献】特開2011-227268(JP,A)
【文献】特開2017-215415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/01
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に回転する回転体と、
前記回転体に対向するように前記回転方向に沿って並設された複数の像担持体と、
内部にトナーが収容されて、前記複数の像担持体に形成された潜像をそれぞれ現像してトナー像を形成する複数の現像装置と、
現像剤がそれぞれ収容された複数の現像剤容器と、
前記複数の現像剤容器に収容された現像剤を前記複数の現像装置にそれぞれ補給するための複数の搬送路と、
を備え、
前記複数の現像剤容器の配列を変更することなく、前記複数の現像装置のうち、前記回転方向の最上流に位置する現像装置と最下流に位置する現像装置とを入れ替えるとともに、前記複数の搬送路のうち、それらの2つの現像装置にそれぞれ対応する2つの搬送路の配回しを変更し、
前記2つの現像装置のうち、一方は特色用の現像装置であり、他方は黒色用の現像装置であって、
前記回転体は、前記複数の像担持体のうち前記最下流に位置する像担持体だけを相対的に離間した状態で画像を形成できないように構成され、少なくとも前記最上流に位置する像担持体に対しては相対的に離間できるように構成され、
前記回転体の表面又は前記回転体によって搬送されるシートの表面に所望の画像を形成する場合において、前記最上流に位置する現像装置として前記黒色用の現像装置が配置されて、前記最下流に位置する現像装置として前記特色用の現像装置が配置されたときであって、前記最下流に位置する像担持体が前記回転体に当接して駆動されるとともに前記特色用の現像装置が駆動されている状態で前記特色用の現像装置を用いて前記所望の画像を形成しないときに、前記特色用の現像装置の内部のトナーを消費するとともに、前記特色用の現像装置の内部に新たにトナーを補給する制御モードが実行されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御モードは、前記所望の画像の形成に関与しないタイミングで、前記特色用の現像装置によって前記像担持体にダミー用トナー像を形成して前記特色用の現像装置の内部のトナーを消費するとともに、前記特色用の現像装置の内部に新たにトナーを補給するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所望の画像の形成に関与しないタイミングは、連続通紙時における紙間のタイミング、画像形成後のタイミング、画像形成前のタイミング、のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回転体又は前記シートの表面に所望の画像を形成する場合に、前記複数の像担持体のうち前記所望の画像の形成に関与する像担持体に対応する現像装置に対して、前記所望の画像の形成に関与しないように当該現像装置の内部のトナーを消費するとともに、当該現像装置の内部に新たにトナーを補給する第2の制御モードが実行され、
前記制御モードが実行されるときの前記特色用の現像装置における単位時間当たりのトナー消費量が、前記第2の制御モードが実行されるときの現像装置における単位時間当たりのトナー消費量に比べて多くなるように制御することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御モードが実行されるときに前記特色用の現像装置によって像担持体に形成するダミー用トナー像の画像面積が、前記第2の制御モードが実行されるときに現像装置によって像担持体に形成するダミー用トナー像の画像面積に比べて大きくなるように制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御モードが実行されるときの前記特色用の現像装置の単位駆動時間当たりの実行時間が、前記第2の制御モードが実行されるときの現像装置の単位駆動時間当たりの実行時間に比べて長くなるように制御することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
所定の回転方向に回転する回転体と、
前記回転体に対向するように前記回転方向に沿って並設された複数の像担持体と、
内部にトナーが収容されて、前記複数の像担持体に形成された潜像をそれぞれ現像してトナー像を形成する複数の現像装置と、
現像剤がそれぞれ収容された複数の現像剤容器と、
前記複数の現像剤容器に収容された現像剤を前記複数の現像装置にそれぞれ補給するための複数の搬送路と、
を備えて、
前記回転体が、前記複数の像担持体のうち前記回転方向の最下流に位置する像担持体だけを相対的に離間した状態で画像を形成できないように構成され、少なくとも前記回転方向の最上流に位置する像担持体に対しては相対的に離間できるように構成された画像形成装置における画像形成方法であって、
前記複数の現像剤容器の配列を変更することなく、前記複数の現像装置のうち、前記最上流に位置する特色用の現像装置と前記最下流に位置する黒色用の現像装置とを入れ替えるとともに、前記複数の搬送路のうち、それらの2つの現像装置にそれぞれ対応する2つの搬送路の配回しが変更された状態で、前記回転体の表面又は前記回転体によって搬送されるシートの表面に所望の画像を形成するために、前記複数の像担持体のうち前記所望の画像の形成に関与しない像担持体を前記回転体に当接した状態で駆動するとともに、前記複数の現像装置のうち当該像担持体に対応する前記特色用の現像装置を駆動する工程と、
前記所望の画像の形成に関与しないように前記特色用の現像装置の内部のトナーを消費する工程と、
前記特色用の現像装置の内部に新たにトナーを補給する工程と、
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、その画像形成方法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置において、複数の感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルト(回転体)に対向するように並設されたものが広く知られている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1、2における画像形成装置は、中間転写ベルト(回転体)に対向するように5つの感光体ドラム(像担持体)が並設されていて、5つの感光体ドラムに形成された潜像をそれぞれ現像する5つの現像装置が設置されている。5つの現像装置は、通常のカラー画像を形成するための4色用(YMCB用)の現像装置と、白色や透明色などの特色用の現像装置と、であって、それぞれ対応する感光体ドラムの表面に対応する色のトナー像を形成することになる。そして、5つの感光体ドラムの表面に形成されたトナー像が、中間転写ベルトの表面に重ねて1次転写されて、さらに重ねられたトナー像(カラー画像)がシートに2次転写されることになる。
【0004】
他方、特許文献3には、4色(YMCB)に対応した4つの感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルトに対向するように並設された画像形成装置であって、現像装置の内部に収容されたトナーが劣化する不具合を防止するために、現像装置内の劣化トナーを新しいトナーと入れ替える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置は、画像形成時において、複数の現像装置のうち使用しない色の現像装置がある場合であって、その使用しない色の現像装置を空駆動する必要があるときに、その現像装置の内部に収容されたトナーの劣化が進んでしまっていた。そして、そのようにトナーの劣化が進むことで、トナー飛散や転写不良などの異常画像が生じてしまっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数の像担持体と複数の現像装置とのうち、画像形成時に使用しない色の像担持体と現像装置とがある場合に、使用しない色の現像装置に収容されたトナーの劣化を軽減することができる、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における画像形成装置は、所定の回転方向に回転する回転体と、前記回転体に対向するように前記回転方向に沿って並設された複数の像担持体と、内部にトナーが収容されて、前記複数の像担持体に形成された潜像をそれぞれ現像してトナー像を形成する複数の現像装置と、現像剤がそれぞれ収容された複数の現像剤容器と、前記複数の現像剤容器に収容された現像剤を前記複数の現像装置にそれぞれ補給するための複数の搬送路と、を備え、前記複数の現像剤容器の配列を変更することなく、前記複数の現像装置のうち、前記回転方向の最上流に位置する現像装置と最下流に位置する現像装置とを入れ替えるとともに、前記複数の搬送路のうち、それらの2つの現像装置にそれぞれ対応する2つの搬送路の配回しを変更し、前記2つの現像装置のうち、一方は特色用の現像装置であり、他方は黒色用の現像装置であって、前記回転体は、前記複数の像担持体のうち前記最下流に位置する像担持体だけを相対的に離間した状態で画像を形成できないように構成され、少なくとも前記最上流に位置する像担持体に対しては相対的に離間できるように構成され、前記回転体の表面又は前記回転体によって搬送されるシートの表面に所望の画像を形成する場合において、前記最上流に位置する現像装置として前記黒色用の現像装置が配置されて、前記最下流に位置する現像装置として前記特色用の現像装置が配置されたときであって、前記最下流に位置する像担持体が前記回転体に当接して駆動されるとともに前記特色用の現像装置が駆動されている状態で前記特色用の現像装置を用いて前記所望の画像を形成しないときに、前記特色用の現像装置の内部のトナーを消費するとともに、前記特色用の現像装置の内部に新たにトナーを補給する制御モードが実行されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の像担持体と複数の現像装置とのうち、画像形成時に使用しない色の像担持体と現像装置とがある場合に、使用しない色の現像装置に収容されたトナーの劣化を軽減することができる、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】プロセスカートリッジの近傍を示す断面図である。
図3】現像剤補給装置を示す全体構成図である。
図4】搬送ポンプとサブホッパとを示す断面図である。
図5】(A)中間転写ベルトに対して回転方向上流側から特色、カラー色、黒色の順番でトナー像を1次転写するときの各部材の配列を示す概略図と、(B)中間転写ベルトに対して回転方向上流側から黒色、カラー色、特色の順番でトナー像を1次転写するときの各部材の配列を示す概略図と、である。
図6】種々のモードが実行されるときの、5つの感光体ドラムに対する中間転写ベルトの接離状態を示す概略図である。
図7】最下流位置に特色用のプロセスカートリッジが配置された場合であって、種々のモードが実行されるときの、5つの感光体ドラムに対する中間転写ベルトの接離状態を示す概略図である。
図8】使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートである。
図9】不使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートである。
図10】変形例1としての、(A)不使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートと、(B)使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートと、である。
図11】感光体ドラムの走行距離と、現像装置に収容されたトナーの劣化度と、の関係を示すグラフである。
図12】変形例2としての画像形成装置の要部を示す図であって、(A)基本となるプロセスカートリッジの配列を示す図と、(B)最上流位置のプロセスカートリッジと最下流位置のプロセスカートリッジとを入れ替えた配列を示す図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はそのプロセスカートリッジ6Yの近傍を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の上方には、種類が異なる5つの略筒状の現像剤容器としてのトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sがそれぞれ着脱可能に設置された現像剤補給装置90Y、90M、90C、90K、90S(トナー補給装置)が並設されている。詳しくは、図1に示すように、左方にはカラー用の3色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応したトナー容器32Y、32M、32C(現像剤補給装置90Y、90M、90C)が、最左方からイエロー、マゼンタ、シアンの順に設置されている。そして、その右方には黒色(ブラック)に対応したトナー容器32K(現像剤補給装置90K)が設置され、最右方には特色に対応したトナー容器32S(現像剤補給装置90S)が設置されている。
特に、特色に対応したトナー容器32Sは、その内部に収容されたトナーがすべて消費される前に、ユーザーの用途に応じて、他の種類の特色用のトナー容器32Sに交換される場合が多く、その交換頻度が他のトナー容器32Y、32M、32C、32Kに比べて多くなるため、その交換作業がしやすい最右方の位置に配置されている。なお、同じ理由から、特色用のトナー容器32を、他のトナー容器32Y、32M、32C、32Kが配列された高さより低い位置(例えば、黒色用のトナー容器32Kの下方である。)に配置することもできる。
そして、本実施の形態において、このようなトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sと、現像剤補給装置90Y、90M、90C、90K、90Sと、のそれぞれの並び順(配列)は、可変されないように設定している。
【0012】
図1図5等を参照して、黒色用の現像剤補給装置90Kは、黒色用のトナー容器32K(現像剤容器)に収容された黒色のトナー(現像剤)を、黒色用の現像装置5Yに補給するためのものである。
また、カラー用の3つの現像剤補給装置90Y、90M、90Cは、それぞれ、カラー用のトナー容器32Y、32M、32C(現像剤容器)に収容されたカラー(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー(現像剤)を、カラー用の現像装置5Y、5M、5Cにそれぞれ補給するためのものである。
また、特色用の現像剤補給装置90Sは、特色用のトナー容器32S(現像剤容器)に収容された特色のトナー(現像剤)を、特色用の現像装置5Sに補給するためのものである。
【0013】
黒色トナーや、カラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)や、特色トナーとしては、公知のものを用いることができる。
特に、特色トナーは、黒色トナーやカラートナーとは異なるもので、ユーザーの用途に合わせて公知のクリアトナー(透明トナー、無色トナー、無彩色トナー、ノーピグメントトナーなどである。)、白色トナー、金色トナー、銀色トナーなどを用いることができる。
【0014】
図1を参照して、画像形成装置本体1の上部には、それぞれ、5つの露光部7Y、7M、7C、7K、7Sが設置され、その下方に各色(イエロー、マゼンタ、シアン、黒色、特色)に対応したプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6S(現像装置5Y、5M、5C、5K、5S)が、中間転写ベルトユニット15(中間転写ベルト8)に対向するように並設されている。
図1に示すように、5つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6S(現像装置5Y、5M、5C、5K、5S)の基本的な並び順(配列)は、中間転写ベルト8の回転方向上流側から、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)、イエロー用のプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)、マゼンタ用のプロセスカートリッジ6M(現像装置5M)、シアン用のプロセスカートリッジ6C(現像装置5C)、黒色用のプロセスカートリッジ6K(現像装置5K)、となっている。そして、この並び順(配列)は、ユーザーの用途に応じて適宜に変更できるように構成されている。
特に、本実施の形態では、図5(A)及び図5(B)をも参照して、黒色用のプロセスカートリッジ6K(現像装置5K)と、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)と、の設置位置を入れ替えることができるように構成されている。
【0015】
特色のトナーは1つの種類のものに限定されることなく、ユーザーの用途に応じて、種類の異なる特色用のトナー容器32Sが適宜に交換される場合が多い。例えば、クリアトナー用のトナー容器32Sから白色トナー用のトナー容器32Sに交換されるような場合である。
そして、そのような場合に、特色トナーの種類に応じて、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)の並び順(配列)を、中間転写ベルト8の回転方向最上流側から回転方向最下流側に変更した方が良い場合がある。例えば、特色トナーとしてクリアトナーが用いられる場合には、画像の光沢性を向上させる目的で用いられることが多く、中間転写ベルト8上に最初に1次転写されることが望ましく、図1図5(A)に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)が中間転写ベルト8の回転方向最上流に配置される。これに対して、特色トナーとして白色トナーが用いられる場合には、白色ではない有色のシートP上に画像を形成する目的で用いられることが多く、シートP上の最下層に2次転写されることが望ましく、図5(B)に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)が中間転写ベルト8の回転方向最下流に配置される。そして、そのような特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)の設置位置の変更にともない、黒色用のプロセスカートリッジ6K(現像装置5K)の設置位置が入れ替えられるように変更されることになる。また、これらの入れ替え作業は、画像形成装置100の外装部に設置された表示パネルに表示される操作マニュアルに基いて、ユーザー(又は、サービスマン)によって手動でおこなわれることになる。
このような、黒色用のプロセスカートリッジ6K(現像装置5K)と、特色用のプロセスカートリッジ6S(現像装置5S)と、の配列の変更については、後でさらに詳しく説明する。
【0016】
ここで、図2を参照して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Yが一体化されたユニット(着脱ユニット)である。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0017】
なお、他の4つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sも、使用されるトナーの色(種類)が異なる以外は、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の4つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sの説明を適宜に省略して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0018】
図2を参照して、像担持体としての感光体ドラム1Yは、メインモータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7Y(書込み装置)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0019】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Y(現像ローラ51)との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が回転体としての中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって除去されてクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sでも、イエローのプロセスカートリッジ6Yと同様におこなわれる。すなわち、プロセスカートリッジの上方に配設された各露光部7M、7C、7K、7Sから、画像情報に基いたレーザ光Lが、各プロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上に所望のカラー画像が形成される。
【0022】
なお、中間転写ベルトユニット15(中間転写ベルト装置)は、回転体としての中間転写ベルト8、5つの1次転写部材としての1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9S、駆動ローラ、2次転写対向ローラ、複数のテンションローラ、クリーニング対向ローラ、中間転写クリーニング装置、等で構成される。中間転写ベルト8(回転体)は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)の回転駆動によって図1の矢印方向(時計方向)に無端移動される。
【0023】
5つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9S(1次転写部材)は、それぞれ、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sに対して中間転写ベルト8を介してそれぞれ対向するように設置されている。具体的に、5つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Sは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Sに、それぞれ、1次転写電源123からトナーの極性とは逆の1次転写バイアス(1次転写電圧)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に回転して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Sの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0024】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0025】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0026】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙ユニット26(給紙カセット)から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等が配設された搬送経路K1を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙ユニット26には、シートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0027】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0028】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排出経路K2を経由して排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0029】
次に、図2を用いて、プロセスカートリッジにおける現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51に対向するドクターブレード52、現像剤収容部に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56、現像剤収容部にトナー(現像剤)を補給するためのユニット側開口部57、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0030】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
【0031】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Y(現像剤容器)に収容されているトナー(粉体)が、現像剤補給装置90Yによって現像装置5Y(現像剤収容部)内に補給される。なお、トナー容器32Yや現像剤補給装置90Yの構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0032】
その後、現像装置5Y(現像剤収容部)内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、仕切り部材によって仕切られた2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の長手方向の移動である。)。そして、2成分現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
【0033】
現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転方向に沿うように搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱されて現像剤収容部に戻される。
なお、現像剤担持体としての現像ローラ51や、搬送スクリュ55は、感光体ドラム1Yを回転駆動するメインモータとは別に設けられた現像モータ124によって、それぞれ、図2の矢印方向に回転駆動される。
また、上述した現像領域に形成される電界は、レーザ光Lの照射によって感光体ドラム1Yの表面に形成される露光電位(画像部電位)と、現像電源122によって現像ローラ51に印加される現像バイアスと、の電位差によるものである。
【0034】
次に、図3にて、イエロー用の現像剤補給装置90Yの構成・動作について、簡単に説明する。
なお、本実施の形態では、他の4つの現像剤補給装置(マゼンタ用の現像剤補給装置90M、シアン用の現像剤補給装置90C、黒色用の現像剤補給装置90K、特色用の現像剤補給装置90Sである。)も、使用されるトナーの色(種類)が異なる以外は、イエロー用の現像剤補給装置90Yとほぼ同様の構成となっているため、それらの現像剤補給装置90M、90C、90K、90Sの説明を適宜に省略して、イエロー用の現像剤補給装置90Yのみの説明をおこなうことにする。
【0035】
現像剤補給装置90Yは、設置部31に設置された現像剤容器としてのトナー容器32Yを所定方向(図3の矢印方向である。)に回転駆動して、トナー容器32Y内に収容されたトナーを容器外に排出して、現像装置5Yに導くためのものであって、トナー補給経路(トナー搬送経路)を形成している。
なお、図3は、理解を容易にするために、トナー容器32Y、現像剤補給装置90Y、現像装置5Yの配置方向などを変えて図示している。実際には、図3において、トナー容器32Yと現像剤補給装置90Yの一部との長手方向が紙面垂直方向になるように配設されている(図1を参照できる。)。また、チューブ95Y(搬送路)の向きや配置も簡略化して図示している。
【0036】
画像形成装置本体100の設置部31に設置されたトナー容器32Y内のトナーは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、現像剤補給装置90Yによって適宜に現像装置5Y内に補給される。
詳しくは、トナー容器32Yが装置本体100の設置部31にセットされると、トナー容器32Yのボトル・ギア37が装置本体100の駆動ギア110に噛合するとともに、キャップ受部91のキャップ開閉チャック92によってトナー容器32Yからキャップ34(トナー排出口Cを塞ぐための部材である。)が取り外される。これにより、トナー容器32Yのトナー排出口C(開口部)が開放されて、トナー容器32Y内に収容されたトナーの排出が可能になる。
【0037】
一方、現像剤補給装置90Yにおいて、開放されたトナー排出口Cの下方には、落下経路部82を介して貯留部81Yが設けられている。貯留部81Yの底部には吸引口83が設けられていて、この吸引口83がノズルを介してチューブ95Y(搬送路)の一端に接続されている。搬送路としてのチューブ95Yは、親トナー性の低いフレキシブルなゴム材料からなり、その他端が搬送ポンプ60Y(ダイヤフラムポンプ)に接続されている。搬送ポンプ60Yは、サブホッパ70Y、搬送管98を介して現像装置5Yに接続されている。
このように構成された現像剤補給装置90Yにおいて、駆動モータ115によって駆動ギア110が駆動されるとトナー容器32Yの容器本体33が所定方向に回転駆動されて、トナー容器32Yのトナー排出口Cからトナーが排出される。トナー容器32Yから排出されたトナーは、落下経路部82を落下して貯留部81に貯留される。貯留部81に貯留されたトナーは、搬送ポンプ60Yが稼働することで、吸引口83から吸引されてチューブ95Yを介して搬送ポンプ60Yからサブホッパ70Yに向けて搬送される。そして、サブホッパ70Yに搬送されたトナーは、垂直方向に延在する搬送管98を介して、現像装置5Y内に補給される。すなわち、トナー容器32Y内のトナーは、図3中の破線矢印方向に搬送されることになる。なお、本実施の形態において、サブホッパ70Yと現像装置5Yとを中継する搬送管98(搬送パイプ)は、チューブ95Yとは異なり、変形しにくい硬質な樹脂材料や金属材料で形成されている。
【0038】
次に、図4にて、現像剤補給装置90Yにおける搬送ポンプ60Y及びサブホッパ70Yについて詳述する。
本実施の形態において、搬送ポンプ60Yは、サブホッパ70Yに一体的に設置されている。
図4を参照して、本実施の形態における搬送ポンプ60Yは、ダイヤフラムポンプ(容積式ポンプ)であって、ダイヤフラム61(ゴム部材)、ケース62、モータ67、回転板68、逆止弁63、64、シール部材65、66(弾性部材)、等で構成されている。このように構成された搬送ポンプ60Yは、比較的小型かつ低コストのものである。
【0039】
ここで、ケース62とダイヤフラム61とでポンプ本体を形成する。
ケース62は、剛性を有する樹脂材料又は金属材料からなり、ポンプ本体の主部(ハウジング)として機能する。ケース62(ポンプ本体)には、内部に向けて現像剤を空気とともに流入するための流入口Aと、内部から現像剤を空気とともに流出するための流出口Bと、が形成されている。
ダイヤフラム61は、親トナー性が低く弾性を有するゴム材料で形成されていて、椀状に形成された部分の内部が容積可変部Wとして機能して、その外周部に起立するようにアーム部61a(その穴部に回転板68の偏心軸68aが嵌合している。)が形成されている。ダイヤフラム61はケース62に対して隙間が生じないように接合されていて、ダイヤフラム61の容積可変部Wと、ケース62の内部と、がポンプ本体の内部において1つの閉空間として形成されている。そして、ポンプ本体61、62は、後述する回転板68(偏心軸68a)の回転にともなうダイヤフラム61の伸縮動作によって、内部の容積を増減させて正圧と負圧とを交互に発生させることになる。
【0040】
回転板68は、モータ67のモータ軸に設置されていて、その面上においてモータ軸(回転中心)から偏心した位置に起立するように偏心軸68aが設けられている。回転板68の偏心軸68aは、ダイヤフラム61におけるアーム部61aの先端部に形成された穴部に挿入(嵌合)されている。
このような構成により、制御部120に制御されてモータ67が駆動されることで、回転板68(偏心軸68a)が回転して、それにともないダイヤフラム61が容積可変部Wの容積を周期的に増減するように伸縮することになる。そして、このようなダイヤフラム61の伸縮動作にともない、ポンプ本体61、62の内部に正圧と負圧とが交互に発生されることになる。
【0041】
ここで、ポンプ本体(ケース62)の流入口Aには、流入側逆止弁63が設置されている。この流入側逆止弁63は、ポンプ本体61、62の内部に負圧が発生したときに流入口Aを開放して、ポンプ本体61、62の内部に正圧が発生したときに流入口Aを閉鎖するものである。流入側逆止弁63は、ポンプ本体61、62の内側(内部)から流入口Aに対向するように配設されている。搬送ポンプ60Yにおける流入口Aの側には、チューブ95Yを介して貯留部81が接続されている。
他方、ポンプ本体(ケース62)の流出口Bには、流出側逆止弁64が設置されている。この流出側逆止弁64は、ポンプ本体61、62の内部に負圧が発生したときに流出口Bを閉鎖して、ポンプ本体61、62の内部に正圧が発生したときに流出口Bを開放するものである。流出側逆止弁64は、ポンプ本体61、62の外側から流出口Bに対向するように配設されている。搬送ポンプ60Yにおける流出口Bの側には、サブホッパ70Yが接続されている。
このような構成・動作により、先に図3を用いて説明したように、搬送ポンプ60Yが稼働することで、補給元となる貯留部81の内部に貯留されたトナーが吸引口83から吸引されてチューブ95Yを搬送された後に、サブホッパ70Y内にトナーが搬送されることになる。詳しくは、サブホッパ70Yのホッパ残量センサ76がサブホッパ70内におけるトナー量の不足を検知すると、搬送ポンプ60Y(モータ67)を駆動して、貯留部81からサブホッパ70Yへのトナー補給をおこなう。
なお、搬送ポンプ60Y(モータ67)は、ホッパ残量センサ76がサブホッパ70内におけるトナー量が所定量に達しておらず不足状態を検知したときに、公知のものと同様に、比較的短い周期で間欠的に駆動される。これにより、サブホッパ70Yにおける搬送スクリュ71、72によるトナー搬送量が、搬送ポンプ60Yから供給されるトナー量に追いつかずに、サブホッパ70Yの一部でトナーが滞留する不具合が防止されることになる。
【0042】
図4を参照して、補給先としてのサブホッパ70Yには、2つの搬送スクリュ71、72、ホッパ残量センサ76、補給モータ121(図3を参照できる。)、等が設置されている。また、サブホッパ70Yの第1搬送経路(第1搬送スクリュ71が設置された搬送経路である。)の上流側の上方には、搬送ポンプ60Yの流出口Bに連通する補給口が形成されている。サブホッパ70Yの第2搬送経路(第2搬送スクリュ72が設置された搬送経路である。)の下流側の下方には排出口74が形成されていて、この排出口74が搬送管98(搬送パイプ)を介して現像装置5Yに接続されている。また、サブホッパ70Yの第2搬送経路の上方には、搬送ポンプ60Yからトナーとともに送入された空気を排出するための排気口75が設けられている。
ホッパ残量センサ76は、上述したように、サブホッパ70Yに収容されたトナー(現像剤)が所定量に達していない不足状態を検知する検知手段として機能するものである。
【0043】
ここで、サブホッパ70Yにおいて、第1搬送経路の下流側と第2搬送経路の上流側とは長手方向(図3及び図4の紙面垂直方向である。)の一端側で連通しているが、その連通部分を除いて第1搬送経路と第2搬送経路とは壁部で隔絶されている。
そして、サブホッパ70Y内に補給されたトナーは、補給モータ121によって回転駆動される搬送スクリュ71、72によって、サブホッパ70Y内の第1搬送経路、第2搬送経路の順に搬送されて、その後にサブホッパ70Yから搬送管98を介して現像装置5Y内に補給される。詳しくは、現像装置5Yの濃度検知センサ56が現像剤収容部(搬送スクリュ55による循環経路である。)におけるトナー濃度の不足を検知すると、制御部120による制御によってサブホッパ70Yの搬送スクリュ71、72を回転駆動して、サブホッパ70Yから現像装置5Yへのトナー補給をおこなう。
このように、本実施の形態では、貯留部81Yから搬送ポンプ60Yに至るトナーの搬送路をフレキシブルなチューブ95Yで形成している。そのため、貯留部81Yと搬送ポンプ60Yとの間の空間に種々の部材が設置されている場合であっても、それらの部材を避けるようにチューブ95Yを配回してトナーの搬送路を形成することができる。したがって、トナー容器32Yの設置部31を現像装置5Yから離れた位置に比較的自由にレイアウトすることができる。
【0044】
次に、図3を用いて、トナー容器32Yについての説明と、それに付随する現像剤補給装置90についての説明と、をおこなう。
先に説明したように、トナー容器32Yは、主として、容器本体33と、そのトナー排出口Cに着脱可能に設けられたキャップ34(栓部材)と、で構成される。
容器本体33の頭部には、容器本体33と一体的に回転するボトル・ギア37と、トナー排出口Cと、が設けられている。ボトル・ギア37は、装置本体100の駆動ギア110と噛合して容器本体33を所定方向に回転駆動するためのものである。また、トナー排出口Cは、容器本体33内に収容された現像剤としてのトナー(粉体)を落下経路部82に向けて排出するためのものである。
容器本体33には、外周面から内周面にかけて、螺旋状の突起33aが設けられている。この螺旋状の突起33aは、容器本体33を回転駆動してトナー排出口Cからトナーを排出するためのものである。
なお、このように構成された容器本体33は、ボトル・ギア37とともにブロー成形にて製造することができる。
【0045】
一方、図3を参照して、現像剤補給装置90Yのキャップ受部91は、設置部31(現像剤補給装置90Y)に設置された状態のトナー容器32Yの頭部を覆うように設けられている。
キャップ受部91には、トナー容器32Yの着脱動作に連動してキャップ34の開閉動作をおこなうキャップ開閉チャック92や、キャップ開閉チャック92を駆動する開閉駆動部が設けられていて、落下経路部82などとともに、貯留部81Yの一部として設けられている。そして、設置部31上に載置されたトナー容器32Yがキャップ受部91に向けてスライド移動されて、キャップ34がキャップ開閉チャック92の位置に達すると、さらにトナー容器32Yをスライド移動させて押し込む動作に連動して、キャップ開閉チャック92がキャップ34を挟んだ状態でトナー排出口Cからキャップ34を離脱させるように開閉駆動部が稼働する。これにより、トナー容器32Yのトナー排出口Cが開放された状態になって、トナー排出口Cからのトナー排出が可能になる。また、このようなトナー容器32Yの装着動作に連動して、ロック機構が稼働してトナー容器32Yの頭部側が設置部31から取り外されないようにロックされる。このとき、トナー容器32Yは、現像剤補給装置90Y(設置部31)に対して、そのトナー排出口C(頭部)の側が回転可能に固定されて、容器本体33が設置部31上において回転可能に保持されることになる。
また、設置部31(トナー容器受台)に対してトナー容器32Yが離脱されるときには、上述した装着時の動作と逆の動作がおこなわれることになる。
【0046】
現像剤補給装置90Yの貯留部81Yは、落下経路部82を落下したトナーが貯留されるように略椀状に形成されていて、その内部にはトナー検知センサ86や撹拌部材が設置されている。搬送ポンプ60Yは、搬送路としてのチューブ95Yを介して貯留部81Yの吸引口83に接続されていて、貯留部81Yに貯留されたトナーを吸引してチューブ95Y内を搬送させる。
このように、本実施の形態では、トナー容器32Yから排出されたトナーを搬送ポンプ60Yによって直接的に吸引するのではなくて、トナー容器32Yから排出されて貯留部81Yにある程度貯留されたトナーのうち、必要な量だけ搬送ポンプ60Yで吸引するように構成しているため、搬送ポンプ60Yで吸引するトナー量に不足が生じてしまう不具合を確実に軽減することができる。
【0047】
トナー検知センサ86は、トナー容器32Yの内部に収容されたトナーが空になった状態(トナーエンド状態)、又は、それに近い状態(トナーニアエンド状態)を間接的に検知するためのものであって、吸引口83に近い位置に設置している。そして、トナー検知センサ86の検知結果に基いて、トナー容器32Yからトナーを排出している。
詳しくは、トナー検知センサ86としては、圧電センサ、透過光センサなどを用いることができる。本実施の形態では、トナー検知センサ86として圧電センサを用いている。トナー検知センサ86の検知面の高さは、吸引口83の上方に堆積されるトナー量(堆積高さ)が狙いの値になるように設定されている。
そして、トナー検知センサ86の検知結果に基いて、制御部120による制御によって、トナー容器32Y(容器本体33)を回転駆動する駆動モータ115の駆動タイミングや駆動時間が制御される。具体的に、トナー検知センサ86によってその位置にトナーがないものと判別された場合には駆動モータ115が所定時間だけ駆動されて、トナー検知センサ86によってその位置にトナーがあるものと判別された場合には駆動モータ115の駆動が停止されることになる。
【0048】
以下、図5図9等を用いて、本実施の形態において特徴的な、画像形成装置100の構成・動作について説明する。
先に図1等を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、所定の回転方向(図1の時計方向である。)に回転する回転体としての中間転写ベルト8や、中間転写ベルト8(回転体)に対向するように中間転写ベルト8の回転方向に沿って並設された複数の像担持体としての感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S、が設置されている。また、図5に示すように、画像形成装置100には、複数の感光体ドラム(像担持体)に形成された潜像をそれぞれ現像する複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sや、現像剤としてのトナーがそれぞれ収容された複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32S(現像剤容器)や、複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sに収容されたトナーを複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sにそれぞれ補給するための複数の搬送路としてのチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sや、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sと複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sとをそれぞれ中継するように接続された複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70S、が設置されている。
【0049】
そして、本実施の形態では、先に説明したように、必要に応じて、複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32S(現像剤容器)の配列を変更することなく、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sと複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70Sとの接続関係が変更されないように、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sと複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70Sとの回転方向の配列(中間転写ベルト8の回転方向に沿った並び順である。)を変更するとともに、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95S(搬送路)における補給元(貯留部81Y、81M、81C、81K、81S)と補給先(複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70S)との接続関係が変更されないように複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sの配回しを変更している。
【0050】
詳しくは、先に説明したように、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sは、それぞれ、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sのうち対応する感光体ドラムとともにプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sを構成している。
また、複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70Sには、それぞれ、複数の搬送ポンプ60Y、60M、60C、60K、60Sのうち対応する搬送ポンプが一体的に設置されている。複数の搬送ポンプ60Y、60M、60C、60K、60Sは、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95S(搬送路)の下流側開口にそれぞれ着脱可能に接続されている。
したがって、複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sの配列を変更することなく、複数のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sと複数の搬送ポンプ60Y、60M、60C、60K、60Sと複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70Sとの接続関係が変更されないように、複数のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sと複数の搬送ポンプ60Y、60M、60C、60K、60Sと複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70Sとの回転方向の配列を変更するとともに、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sにおける貯留部81Y、81M、81C、81K、81S(補給元)と複数のサブホッパ70Y、70M、70C、70K、70S(補給先)との接続関係が変更されないように複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sの配回しを変更することになる。
【0051】
さらに具体的に、本実施の形態では、複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sの配列を変更することなく、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sのうち、最上流に位置する現像装置と、最下流に位置する現像装置と、を入れ替えるとともに、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sのうち、それらの2つの現像装置(一方は特色用の現像装置5Sであり、他方は黒色用に現像装置5Kである。)にそれぞれ対応する2つのチューブ95K、95Sの配回しを変更することになる。
【0052】
すなわち、図5(A)に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6Sとサブホッパ70S(及び、搬送ポンプ60S)とが最上流に位置して、黒色用のプロセスカートリッジ6Kとサブホッパ70K(及び、搬送ポンプ60K)とが最下流に位置した状態と、図5(B)に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6Sとサブホッパ70S(及び、搬送ポンプ60S)とが最下流に位置して、黒色用のプロセスカートリッジ6Kとサブホッパ70K(及び、搬送ポンプ60K)とが最上流に位置した状態と、が適宜に切り替えられることになる。
具体的な入れ替え操作は、5つのトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sの入れ替えをおこなうことなく、特色用のプロセスカートリッジ6Sとサブホッパ70S(及び、搬送ポンプ60S)と、黒色用のプロセスカートリッジ6Kとサブホッパ70K(及び、搬送ポンプ60K)と、の入れ替えと、特色用のチューブ95Sと黒色用のチューブ95Kとの配回しの変更と、をおこなう操作となる。
【0053】
ここで、上述した2つのチューブ95K、95Sは、それぞれ、その長さ(搬送方向の長さである。)が、2つのサブホッパ70K、70Sのうち遠くに位置するサブホッパに合わせて設定されている。
これにより、図5(A)の状態から図5(B)の状態(又は、図5(B)の状態から図5(A)の状態)への現像装置5K、5S(プロセスカートリッジ6K、6S)及びサブホッパ70K、70S(及び、搬送ポンプ60K、60S)の入れ替え作業がおこなわれても、チューブ95K、95Sの長さが足りなくなる不具合が生じないことになる。
【0054】
このように、本実施の形態では、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sにそれぞれトナーを補給するために接続された複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sや複数のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sの配列を変更することなく、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sの配列を変更するとともに、複数のチューブ95Y、95M、95C、95K、95Sの配回しを変更しているため、混色を防止するために中間転写ベルト8を複数回にわたって周回させて1次転写工程をおこなうことなく、中間転写ベルト8(又は、シートP)の表面に重ねるトナー色の順番を容易に変えることができる。したがって、先に説明したように、用途に合わせて最適な画像を形成することができる。
【0055】
ここで、図6に示すように、本実施の形態における画像形成装置100は、5つ(5色)のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sのうち、いくつかを組み合わせて用いたり、1つを単独で用いたりして、種々の画像形成モードを切り替えておこなうことができる。
図6に示すように、5つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S(プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6S)が基本的な並び順(配列)になっているものとする。
【0056】
このとき、図6(A)に示すように、5色のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sのすべてを用いて画像形成をおこなう「フルカラー+特色モード」を実行するときには、5つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sに対して中間転写ベルト8が当接した状態になる。
【0057】
また、図6(B)に示すように、5色のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sのうち、特色用のプロセスカートリッジ6Sを除く4色のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを用いて画像形成をおこなう「フルカラーモード」を実行するときには、特色用の感光体ドラム1Sに対して中間転写ベルト8が離間した状態になり、その他の4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して中間転写ベルト8が当接した状態になる。具体的に、離間機構によって特色用の1次転写ローラ9Sが1次転写ニップを形成しないように下方に移動されることになる。
これにより、不使用色となる特色のプロセスカートリッジ6Sを無駄に駆動(空駆動)して、現像装置5S内のトナー(現像剤)を劣化させたり、プロセスカートリッジ6Sを消耗させたりする不具合が抑止されることになる。
【0058】
また、図6(C)に示すように、5色のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sのうち、黒色用のプロセスカートリッジ6Kのみを用いて画像形成をおこなう「モノクロモード」を実行するときには、黒色用の感光体ドラム1Kのみに対して中間転写ベルト8が当接した状態になり、その他の4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Sに対して中間転写ベルト8が離間した状態になる。具体的に、離間機構によって、不使色の4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Sがそれぞれ1次転写ニップを形成しないように下方に移動されることになる。
これにより、不使用色となる4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Sを無駄に駆動(空駆動)して、現像装置5Y、5M、5C、5S内のトナー(現像剤)を劣化させたり、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Sを消耗させたりする不具合が抑止されることになる。
【0059】
また、図6(D)に示すように、5色のプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sのうち、特色用のプロセスカートリッジ6Sのみを用いて画像形成をおこなう「特色モード」を実行するときには、特色用の感光体ドラム1Sのみに対して中間転写ベルト8が当接した状態になり、その他の4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して中間転写ベルト8が離間した状態になる。具体的に、離間機構によって、不使色の4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kがそれぞれ1次転写ニップを形成しないように下方に移動されることになる。
これにより、不使用色となる4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを無駄に駆動して、現像装置5Y、5M、5C、5K内のトナー(現像剤)を劣化させたり、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを消耗させたりする不具合が抑止されることになる。
【0060】
このように、本実施の形態において、中間転写ベルト8(回転体)は、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sのうち最下流に位置する感光体ドラムだけを相対的に離間した状態で画像を形成できないように構成されていて、少なくとも最上流に位置する感光体ドラムに対しては相対的に離間できるように構成されていることになる。
具体的に、本実施の形態において、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Sを上下方向に移動可能に構成された接離機構は、レイアウト上の理由や機構上の理由などによって、最下流の1次転写ローラ9Kのみを下方に移動することはできないように構成されている。したがって、最下流の感光体ドラム1Kに対して中間転写ベルト8を離間して、上流側の4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Sに対して中間転写ベルト8を当接するような形態はとれないことになる。
【0061】
したがって、図7に示すように、最上流と最下流との2つの感光体ドラム1K、1S(プロセスカートリッジ6K、6S)を入れ替えて、5つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S(プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6S)の基本的な並び順(配列)を変更したときに、図7(B)に示す「フルカラーモード」にて、最下流の特色用の感光体ドラム1Sに対して中間転写ベルト8を離間できないことになる。
【0062】
すなわち、本来、「フルカラーモード」を実行する場合には、特色用のプロセスカートリッジ6Sは不要(不使用色)となるため、プロセスカートリッジ6Sを無駄に空駆動してトナー劣化や消耗を生じさせないために、図6(B)に示すように最下流の感光体ドラムに対して中間転写ベルト8を離間することが望ましい。しかし、上述したように、最下流の1次転写ローラ9Kのみを下方に移動することができないように離間機構が構成されているため、最下流位置に特色用のプロセスカートリッジ6Sが配置された場合であって、「フルカラーモード」を実行する場合には、図7(B)に示すように、5つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sのすべてに対して中間転写ベルト8が当接した状態になる。
【0063】
このとき、フルカラーモードにおいて、画像形成に関与しない不使用の感光体ドラム1S(最下流に位置する特色用の感光体ドラムである。)を中間転写ベルト8に当接させたまま、その駆動(回転駆動)を停止してしまうと、中間転写ベルト8と特色用の感光体ドラム1Sとが摺接して双方の部材1S、8が摩耗してしまうことになる。また、不使用の感光体ドラム1Sを回転駆動している状態で、不使用の現像装置5Sの駆動を停止してしまうと、感光体ドラム1Sと現像ローラ51上の現像剤とが摺接して感光体ドラム1Sが摩耗したり現像剤がダメージを受けたりしてしまうことになる。
そのため、本実施の形態では、図7(B)に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6Sが最下流に配置された状態でフルカラーモードが実行される場合、最下流の特色用の感光体ドラム1Sや現像装置5Sを駆動(空駆動)するように制御している。
そして、そのように不使用色の現像装置5Sを空駆動することにより、現像装置5Sの内部に収容されたトナーはまったく消費されずに撹拌されることになるため、そのままでは劣化が進んでしまうことになる。
【0064】
なお、図7に示す配列において、図7(A)に示すように「フルカラー+特色モード」が実行されるときには、図6(A)に示す「フルカラー+特色モード」が実行されるときと同じ接離状態がとられることになる。また、図7(C)に示すように「モノクロモード」が実行されるときには、図6(D)に示す「特色モード」が実行されるときと同じ接離状態がとられることになる。また、図7(D)に示すように「特色モード」が実行されるときには、図6(C)に示す「モノクロモード」が実行されるときと同じ接離状態がとられることになる。
【0065】
ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト8(回転体)の表面に所望の画像(シートP上に形成する出力画像である。)を形成する場合であって、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S(像担持体)のうち、その所望の画像の形成に関与しない感光体ドラムが中間転写ベルト8に当接した状態で駆動されるとともに、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sのうち、その感光体ドラムに対応する現像装置が駆動される場合に、その所望の画像の形成に関与しないように、その現像装置の内部のトナーを消費するとともに、その現像装置の内部に新たにトナーを補給する「制御モード」が実行されるようにしている。
この「制御モード」は、不使用色の現像装置が空駆動されて、その現像装置の内部に収容されたトナーがまったく消費されずに撹拌されることにより、トナーの劣化が進んでしまう不具合を防止するためのものであって、その現像装置の内部に収容されているトナーの一部を強制的に新しいトナーと入れ替える制御モードである。以下、この「制御モード」を適宜に「不使用色リフレッシュモード」と呼ぶ。
【0066】
詳しくは、「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」は、所望の画像の形成に関与しないタイミングで、所望の画像の形成に関与しない現像装置によって感光体ドラムにダミー用トナー像(所望の画像とは別のパターン画像である。)を形成して、その現像装置の内部のトナーを消費するとともに、その現像装置の内部に新たにトナーを補給するものである。
具体的に、図7(B)(及び、図5(B))に示すように、最上流に位置する現像装置として黒色用の現像装置5K(プロセスカートリッジ6K)が配置されて、最下流に位置する現像装置として特色用の現像装置5S(プロセスカートリッジ6S)が配置されたときであって、最下流に位置する感光体ドラム(特色用の感光体ドラム1S)が中間転写ベルト8に当接して回転駆動されている状態で特色用の現像装置5S(プロセスカートリッジ6S)が駆動(空駆動)されるときに、特色用の現像装置5S(プロセスカートリッジ6S)に対して「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」がおこなわれる。
【0067】
このように、使用しない特色用の現像装置5Sにおいてトナーの入れ替わりが充分におこなわれることで、使用しない特色用の現像装置5Sに収容されたトナーの劣化を軽減することができる。したがって、トナー劣化によってトナー帯電量が変動して現像装置からトナーが飛散する不具合や、トナー劣化によってトナー付着力の増加による転写不良などの異常画像が生じてしまう不具合も軽減することができる。
また、中間転写ベルト8に当接した特色用の感光体ドラム1S(不使用色の感光体ドラム)は回転駆動されているため、中間転写ベルト8や現像ローラ51上に担持された現像剤Gとの摺接による摩耗も生じにくくなる。
さらに、特色用の感光体ドラム1Sを回転駆動した状態でダミー用トナー像を形成して、特色用の現像装置5Sから感光体ドラム1Sの表面に適宜トナーを供給しているため、クリーニングブレード2aのエッジ部(感光体ドラム1Sとの当接部である。)に潤滑剤として作用するトナーが適宜に入力されて、クリーニングブレード2aが捲れにくくなる。
【0068】
このように、本実施の形態における画像形成装置100には、所望の画像の形成に関与しない不使用色の感光体ドラム1Sが中間転写ベルト8に当接した状態で回転駆動されるとともに、不使用色の現像装置5Sが駆動される場合に、その所望の画像の形成に関与しないように、その現像装置5Sの内部のトナーを消費するとともに、その現像装置5Sの内部に新たにトナーを補給する、制御部120が設けられている。
具体的に、不使用色リフレッシュモード時には、制御部120による露光部7Sの制御によって感光体ドラム1S上にダミー用トナー像を形成するための潜像(例えば、クリーニングブレード2aのエッジ部の長手方向の範囲に合わせた帯状のパターンである。)が書き込まれて、その潜像が現像装置5Sによって現像されて、現像装置5S内のトナーが消費されることになる。また、そのような現像装置5S内のトナー消費が濃度検知センサ56によって検知されて、その検知結果に基づいた制御部120による現像剤補給装置90Sの制御によって、現像装置5Sに新たにトナーが補給されることになる。
【0069】
さらに換言すると、本実施の形態における画像形成方法は、中間転写ベルト8の表面に所望の画像を形成するために、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sのうち、その所望の画像の形成に関与しない感光体ドラム1Sを中間転写ベルト8に当接した状態で駆動するとともに、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sのうち、その感光体ドラム1Sに対応する現像装置5Sを駆動する工程を備えている。そして、本実施の形態における画像形成方法は、さらに、その所望の画像の形成に関与しないように、その現像装置5Sの内部のトナーを消費する工程と、その現像装置5Sの内部に新たにトナーを補給する工程と、を備えていることになる。
【0070】
ここで、図8を用いて、使用色の作像部(図7(B)に示すフルカラーモード時における特色以外の色の作像部である。)の制御の一例について説明する。
図8に示すように、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kでは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面に形成されるトナー像(所望の画像)に応じて、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kの内部に収容されたトナーが消費される。そして、そのトナー消費が濃度検知センサ56によって検知されて、その検知結果に基づいた制御部120による現像剤補給装置90Y、90M、90C、90Kの制御によって、現像装置5Y、5M、5C、5Kに新たにトナーが補給されることになる。したがって、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kでは、トナーの入れ替えが比較的頻繁におこなわれて、トナー劣化が生じにくくなる。
【0071】
これに対して、図9は、不使用色の作像部(図7(B)に示すフルカラーモード時における特色の作像部である。)でおこなわれる不使用色リフレッシュモードの一例を示すものである。
「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」は、シートP上に形成する所望の画像の形成に関与しないものであるため、所望の画像の形成に関与しないタイミング(非画像形成時であって、例えば、連続通紙時における紙間のタイミング、画像形成後のタイミング、画像形成前のタイミング、のうち少なくとも1つである。)でおこなうことが好ましい。これにより、画像形成に関与しない色のトナーが出力画像に混色してしまう不具合を防止することができる。
【0072】
図9の例では、連続通紙時における紙間のタイミングと、画像形成が終了した直後のタイミングと、で不使用色リフレッシュモードがおこなわれている。
図9に示すように、不使用色の作像部では、使用色の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kにおける紙間のタイミング(実際には、中間転写ベルト8上の非画像領域となるタイミングである。)で、不使用色の感光体ドラム1Sに形成されたダミー用トナー像(パターン)が、不使用色の現像装置5Sによって現像されて、不使用色の現像装置5Sの内部に収容されたトナーが消費される。そして、そのトナー消費が濃度検知センサ56によって検知されて、その検知結果に基づいた制御部120による現像剤補給装置90Sの制御によって、不使用色の現像装置5Sに新たにトナーが補給されることになる。さらには、所望の画像が形成された直後にも、不使用色の作像部で同様の制御がおこなわれる。したがって、不使用色の現像装置5Sでは、トナーの入れ替えが適度におこなわれて、トナー劣化が生じにくくなる。
【0073】
ここで、本実施の形態では、画像形成に関与しない不使用色の感光体ドラム1Sに対応する特色用の現像装置5Sによって形成されたダミー用トナー像が中間転写ベルト8に付着しないように、特色用の1次転写ローラ9S(1次転写部材)にバイアスが印加される。
詳しくは、図9を参照して、特色用の現像装置5Sによって特色用の感光体ドラム1Sの表面に形成されたダミートナー像(パターン)が、1次転写ニップの位置を通過するタイミングに合わせて、特色用の1次転写ローラ9Yに逆極性のバイアス(通常の1次転写工程時に印加される1次転写バイアスの極性とは異なる極性のバイアスである。)が印加されるように、制御部120によって特色用の1次転写電源123が制御される。
このように制御することにより、特色用の感光体ドラム1Sの表面に付着したトナーの多くが、中間転写ベルト8に付着することなく、クリーニングブレード2aに入力されることになるため、クリーニングブレード2aの捲れを軽減する効果もさらに発揮されることになる。
【0074】
なお、本実施の形態において、不使用色リフレッシュモードが実行されるときに、不使色の現像装置5Sに対して、現像ローラに印可される現像バイアスの絶対値を、通常の現像工程時の現像バイアスの絶対値に比べて大きくなるように制御することもできる。
このような制御をおこなった場合には、不使用色の現像装置5Sから感光体ドラム1Sへの1回あたりのトナー供給量(トナー消費量)が多くなるため、現像装置5S内のトナーの入れ替えがさらに促進されることになる。
【0075】
<変形例1>
図10(A)は変形例1における不使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートであって、図10(B)は変形例1における使用色の作像部の制御の一例を示すタイミングチャートである。なお、変形例1においても、図7(B)に示すフルカラーモード時において、特色が不使用色となって、特色以外の色が使用色となる。
図10(A)に示すように、変形例1においても、本実施の形態のものと同様に、不使用色の作像部に対して「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」をおこなって、不使用色の現像装置5Sにおけるトナー劣化を軽減している。そして、変形例1では、図10(B)に示すように、使用色の作像部6Y、6M、6C、6Kに対しても、画像形成に関与しないタイミングで、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kのトナーの入れ替えを進めている。
すなわち、変形例1では、中間転写ベルト8(回転体)の表面に所望の画像を形成する場合に、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sのうち、その所望の画像の形成に関与する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対応する現像装置5Y、5M、5C、5Kに対して、その所望の画像の形成に関与しないように、その現像装置5Y、5M、5C、5Kの内部のトナーを消費するとともに、その現像装置5Y、5M、5C、5Kの内部に新たにトナーを補給する「第2の制御モード」が実行されて、現像装置5Y、5M、5C、5Kの内部におけるトナーの入れ替えがさらに進められている。この「第2の制御モード」を、以下、適宜に「使用色リフレッシュモード」と呼ぶ。
このように「使用色リフレッシュモード(第2の制御モード)」を実行するのは、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kであっても、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成される画像の画像面積率が小さな場合などには、その現像装置の内部に収容されたトナーがあまり消費されずに撹拌されることにより、トナーの劣化が進んでしまうためである(図11のグラフS2参照)。
【0076】
そして、変形例1では、「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」が実行されるときの現像装置5Sにおける単位時間当たりのトナー消費量が、「使用色リフレッシュモード(第2の制御モード)」が実行されるときの現像装置5Y、5M、5C、5Kにおける単位時間当たりのトナー消費量に比べて多くなるように制御している。これは、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kは、通常の画像形成によるトナーの入れ替えがおこなわれている分だけ、不使用色の現像装置5Sに比べてトナー劣化が少ないためである。
図11は、感光体ドラムの走行距離(現像装置の駆動時間)と、現像装置に収容されたトナーの劣化度と、の関係を示すグラフである。図11において、グラフS1は、通常の現像工程をおこなって現像装置内においてトナー消費がある状態で現像装置が駆動されるときのものであり、グラフS2は、通常の現像工程をおこなわれずに現像装置内においてトナー消費がない状態で現像装置が空駆動されるときのものである。図11からも、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kは、経時におけるトナー劣化はあるものの、そのトナー劣化の進み方は不使用色の現像装置5Sに比べて少ないことがわかる。
【0077】
具体的に、図10(B)に示すように、変形例1において、使用色の作像部6Y、6M、6C、6Kでは、使用色の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kにおける紙間のタイミングで、使用色の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成されたダミー用トナー像(パターン)が、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kによって現像されて、使用色の現像装置5Y、5M、5C、5Kの内部に収容されたトナーが消費される。また、そのような現像装置5Y、5M、5C、5K内のトナー消費が、通常の画像形成によるトナー消費と合わせて、濃度検知センサ56によって検知されて、その検知結果に基づいた制御部120による現像剤補給装置90Y、90M、90C、90Kの制御によって、現像装置5Y、5M、5C、5Kに新たにトナーが補給されることになる。
【0078】
そして、変形例1では、「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」が実行されるときに現像装置5Sによって感光体ドラム1Sに形成するダミー用トナー像の画像面積が、「使用色リフレッシュモード(第2の制御モード)」が実行されるときに現像装置5Y、5M、5C、5Kによって感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成するダミー用トナー像の画像面積に比べて大きくなるように制御している。
具体的に、図10における「トナー消費」における「パターン作成」の高さの違いを参照して、制御部120による露光部7Y、7M、7C、7Kの制御によって、使用色のダミー用トナー像の画像面積が不使用色のものよりも小さくなるように、それぞれの潜像が形成されることになる。
【0079】
また、変形例1では、「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」が実行されるときの現像装置5Sの単位駆動時間当たりの実行時間が、「使用色リフレッシュモード(第2の制御モード)」が実行されるときの現像装置5Y、5M、5C、5Kの単位駆動時間当たりの実行時間に比べて長くなるように制御している。
具体的に、図10における「トナー消費」における「パターン作成」の頻度の違いを参照して、制御部120による露光部7Y、7M、7C、7Kの制御によって、紙間において使用色のダミー用トナー像を作成する頻度が不使用色のものよりも少なくなるように、それぞれの潜像が形成されることになる。使用色は紙間2回に1回だけダミー用トナー像を作成して、不使用色は紙間毎回ごとにダミー用トナー像を作成している。
【0080】
<変形例2>
図12は、変形例2としての画像形成装置の要部を示す図であって、特に、図12(A)は基準となるプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sの配列を示す図である、図12(B)は最上流位置のプロセスカートリッジ6Kと最下流位置のプロセスカートリッジ6Sとを入れ替えた配列を示す図である。
図12に示すように、変形例2における画像形成装置は、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sが対向する回転体として転写搬送ベルト180が用いられている点が、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sが対向する回転体として中間転写ベルト8が用いられている本実施の形態のものと相違する。
転写搬送ベルト180は、シートPを破線矢印方向に搬送しながら、転写ニップの位置で、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sの表面に形成された画像を、シートP上に直接重ねて転写するためのものである。転写搬送ベルト180(回転体)によって搬送されるシートPの表面に所望の画像を形成した後には、本実施の形態のものと同様に、そのシートPが定着部20による定着工程を経て画像形成装置から排出されることになる。
このように転写搬送ベルト180を用いる場合であっても、特色としてどのような種類の色を用いるかによって、図10(A)、(B)に示すように、最上流位置のプロセスカートリッジ6Kと最下流位置のプロセスカートリッジ6Sとが入れ替えられることになる。
また、転写搬送ベルト180はシートPを搬送する機能を有するため、転写搬送ベルト180を用いる場合には、中間転写ベルト8を用いる場合とは異なり、転写搬送ベルト180の接離動作はおこなわない。したがって、「フルカラー+特色モード」、「フルカラー+特色モード」、「モノクロモード」、「特色モード」のいずれのモードであっても、5つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sが転写搬送ベルト180に当接した状態になり、「フルカラー+特色モード」以外のモードでは、不使用色が生じることになり、不使用色の感光体ドラムが転写搬送ベルト180に当接した状態で不使用色の感光体ドラムと現像装置とが駆動されることになる。そのため、変形例2においても、その不使用色の作像部に対して「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」が実行されることになる。
したがって、変形例2においても、不使用色の現像装置に収容されたトナーの劣化を軽減することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、中間転写ベルト8(回転体)の表面に所望の画像を形成する場合であって、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S(像担持体)のうち所望の画像の形成に関与しない感光体ドラム1Sが中間転写ベルト8に当接した状態で駆動されるとともに、複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sのうち、その感光体ドラム1Sに対応する現像装置5Sが駆動される場合に、その所望の画像の形成に関与しないように、その現像装置5Sの内部のトナーを消費するとともに、その現像装置5Sの内部に新たにトナーを補給する「不使用色リフレッシュモード(制御モード)」が実行される。
これにより、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sと複数の現像装置5Y、5M、5C、5K、5Sとのうち、画像形成時に使用しない色の感光体ドラム1Sと現像装置5Sとがある場合に、使用しない色の現像装置5Sに収容されたトナーの劣化を軽減することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、現像装置5Yが感光体ドラム1Y(像担持体)と帯電部4Yとクリーニング装置2Yとともに、プロセスカートリッジ6Yとして一体化されているものに対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、現像装置5Yや感光体ドラム1Yがそれぞれ単体で画像形成装置本体100に対して着脱されるユニットして構成されている場合であっても、当然に本発明を適用することができる。
なお、本願明細書等において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0083】
また、本実施の形態では、搬送ポンプ60Sに接続された補給先を、現像装置5Sに接続されたサブホッパ70Sとした。これに対して、搬送ポンプ60Sに接続された補給先を、現像装置5Yとすることもできる。すなわち、サブホッパを介在しないで搬送ポンプ60Sから現像装置5Sに直接的にトナー補給されるように構成することもできる。
また、本実施の形態では、略筒状の容器本体が回転駆動されるトナー容器32Sが設置された現像剤補給装置90Sに対して本発明を適用したが、現像剤補給装置に設置されるトナー容器の形態はこれに限定されることなく、例えば、箱形状のトナー容器が設置された現像剤補給装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、本実施の形態では、最下流位置に特色用の現像装置5S(プロセスカートリッジ6S)が配置された場合であって、フルカラーモードが実行されたときに、不使用色となり駆動される特色用の現像装置5Sに対して不使用色リフレッシュモードを実行するように制御した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、一連の画像形成動作において駆動される不使用色の現像装置がある場合には、その不使用色の現像装置に対して不使用色リフレッシュモードを実行することになる。
また、本実施の形態では、不使用色の現像装置5Sによって感光体ドラム1Sにダミー用トナー像を形成することで、不使用色の現像装置5Sの内部に収容されたトナーを消費したが、トナーを消費する方法はこれに限定されることなく、例えば、不使用色の現像装置5Sの底部にトナー(現像剤)を排出するための開閉シャッタを設けて、そのシャッタを開放することで不使用色の現像装置5Sの内部に収容されたトナーを消費するようにすることもできる。その場合、現像装置5Sから排出されるのは現像剤(トナー及びキャリア)となるため、それを補充するために現像装置5Sにはトナーに加えてキャリアをも補給することになる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1Y、1M、1C、1K、1S 感光体ドラム(像担持体)、
5Y、5M、5C、5K、5S 現像装置、
6Y、6M、6C、6K、6S プロセスカートリッジ、
8 中間転写ベルト(回転体)、
9Y、9M、9C、9K、9S 1次転写ローラ(1次転写部材)、
32Y、32M、32C、32K、32S トナー容器(現像剤容器)、
51 現像ローラ(現像剤担持体)、
60Y、60M、60C、60K、60S 搬送ポンプ、
70Y、70M、70C、70K、70S サブホッパ(補給先)、
81Y、81M、81C、81K、81S 貯留部(補給元)、
90Y、90M、90C、90K、90S 現像剤補給装置、
95Y、95M、95C、95K、95S チューブ(搬送路)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
180 転写搬送ベルト(回転体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【文献】特開2014-170052号公報
【文献】特開2012-22141号公報
【文献】特開2011-170104号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12