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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】配線基板、電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220127BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220127BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
H01L25/08 H
H05K1/14 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018073344
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019186329
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】織田 祥子
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 大介
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】谷口 弘明
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021550(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203859(WO,A1)
【文献】特開2016-225414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12-23/15
25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
H05K 1/14
3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続パッドを備えた第1基板と、
円柱状の接続ピンと、
を有し、
前記第1基板は、配線層と、前記配線層の一部を覆うソルダーレジスト層と、を有し、
前記ソルダーレジスト層は、前記配線層の一部を露出する円形状の開口部と、前記開口部の中に前記配線層の一部を覆う支持部とを有し、前記開口部と前記支持部との間から露出する前記配線層の一部が前記第1接続パッドであり、
前記接続ピンの第1端部は、前記開口部に配置された接合部材により前記第1接続パッドに接続されており、
前記支持部の側面と前記開口部の内側面との間の最短距離は、前記接続ピンの直径の50%未満であること、
を特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記開口部の直径は、前記接続ピンの直径よりも大きく、
前記接合部材は、前記接続ピンの側面にフィレットを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記支持部は円形状であり、前記支持部の直径は、前記接続ピンの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記接続ピンの端面は、前記支持部に当接していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記開口部の中には、1つの前記支持部が配設されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記開口部の中には、複数の前記支持部が配設されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記ソルダーレジスト層は、前記開口部の周囲に前記配線層を覆う被覆部を備え、前記支持部の厚さは、前記被覆部の厚さと等しいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
第2接続パッドを備えた第2基板を有し、
前記接続ピンの第2端部は前記第2接続パッドに接続されていること、
を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
第1接続パッドを備えた第1基板と、
第2接続パッドを備えた第2基板を有し、
前記第1基板と前記第2基板との間に配設され、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に搭載された電子部品と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配設され、前記第1接続パッドに第1端部が接続され、前記第2接続パッドに第2端部が接続された円柱状の接続ピンと、
前記第1基板と前記第2基板の間に充填され、前記電子部品及び前記接続ピンを封止する封止樹脂と、を有し、
前記第1基板は、配線層と、前記配線層の一部を覆うソルダーレジスト層と、を有し、
前記ソルダーレジスト層は、前記配線層の一部を露出する円形状の開口部と、前記開口部の中に前記配線層の一部を覆う支持部とを有し、前記開口部と前記支持部との間から露出する前記配線層の一部が前記第1接続パッドであり、
前記接続ピンの前記第1端部は、前記開口部に配置された接合部材により前記第1接続パッドに接続されており、
前記支持部の側面と前記開口部の内側面との間の最短距離は、前記接続ピンの直径の50%未満であること、
を特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配線基板、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下側の半導体パッケージの上に上側の半導体パッケージを積層した積層型の半導体装置がある。そのような積層型の半導体装置では、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとが金属ポストによって接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-146384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金属ピンが位置ずれすると、金属ピンが傾いて接続パッドに接続されてしまう場合がある。この場合、下側配線基板の金属ピンに上側配線基板の接続パッドを信頼性よく接続することが困難になり、製造歩留りの低下の要因になる。このため、金属ピンの傾きを抑制することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の一観点によれば、配線基板は、第1接続パッドを備えた第1基板と、円柱状の接続ピンと、を有し、前記第1基板は、配線層と、前記配線層の一部を覆うソルダーレジスト層と、を有し、前記ソルダーレジスト層は、前記配線層の一部を露出する円形状の開口部と、前記開口部の中に前記配線層の一部を覆う支持部とを有し、前記開口部と前記支持部との間から露出する前記配線層の一部が前記第1接続パッドであり、前記接続ピンの第1端部は、前記開口部に配置された接合部材により前記第1接続パッドに接続されており、前記支持部の側面と前記開口部の内側面との間の最短距離は、前記接続ピンの直径の50%未満である
【0006】
開示の別の一観点によれば、電子部品は、第1接続パッドを備えた第1基板と、第2接続パッドを備えた第2基板を有し、前記第1基板と前記第2基板との間に配設され、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に搭載された電子部品と、前記第1基板と前記第2基板との間に配設され、前記第1接続パッドに第1端部が接続され、前記第2接続パッドに第2端部が接続された円柱状の接続ピンと、前記第1基板と前記第2基板の間に充填され、前記電子部品及び前記接続ピンを封止する封止樹脂と、を有し、前記第1基板は、配線層と、前記配線層の一部を覆うソルダーレジスト層と、を有し、前記ソルダーレジスト層は、前記配線層の一部を露出する円形状の開口部と、前記開口部の中に前記配線層の一部を覆う支持部とを有し、前記開口部と前記支持部との間から露出する前記配線層の一部が前記第1接続パッドであり、前記接続ピンの前記第1端部は、前記開口部に配置された接合部材により前記第1接続パッドに接続されており、前記支持部の側面と前記開口部の内側面との間の最短距離は、前記接続ピンの直径の50%未満である
【発明の効果】
【0007】
開示の一観点によれば、接続ピンの傾きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配線基板の概略断面図。
図2】(a)はソルダーレジスト層を示す概略平面図、(b)は配線層とソルダーレジスト層と接続ピンを示す概略断面図。
図3】(a)は位置ずれの無い接続ピンと位置ずれした接続ピンの接続状態を示す概略断面図、(b)はソルダーレジスト層及び接続ピンを示す概略平面図。
図4】比較例の配線基板の一部概略断面図を示し、接続ピンの傾きを示す概略断面図。
図5】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図6】(a)~(c)は、ソルダーレジスト層の形成工程を示す概略断面図。
図7】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図8】(a)(b)は接続ピンの実装を示す概略断面図。
図9】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図10】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図11】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図12】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図13】配線基板の製造方法を示す概略断面図。
図14】(a)~(c)は、変更例の支持部の形状を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を図1等の鉛直方向(図中上下方向)から視ることを言い、「平面形状」とは、対象物を図1等の鉛直方向から視た形状のことを言う。
【0010】
図1に示すように、配線基板1は、第1基板10、第2基板20、接続ピン30、電子部品41,42,43、封止樹脂50を有している。
第1基板10と第2基板20は、接続ピン30を介して互いに接続されている。接続ピン30は、導電性を有する柱状の金属ピンである。接続ピン30の形状は、例えば円柱状である。本実施形態において、電子部品41~43は、第1基板10の下面に搭載されている。封止樹脂50は、第1基板10と第2基板20との間に充填されている。封止樹脂50は、接続ピン30及び電子部品41~43を封止する。外部接続端子60は、第2基板20の下面に形成されている。外部接続端子60は、この配線基板1を実装するマザーボードなどの実装基板の接続電極に接続される。
【0011】
第2基板20は、配線層21,22,23、絶縁層24,25、ソルダーレジスト層26,27を有している。
配線層21は、絶縁層24の下面に積層されている。配線層22は、絶縁層24の上面に積層されている。配線層22は、絶縁層24を厚さ方向に貫通するビア配線と、ビア配線を介して配線層21と接続された配線パターンとを有している。絶縁層25は、絶縁層24の上面に、配線層22を被覆するように形成されている。配線層23は、絶縁層25の上面に積層されている。配線層23は、絶縁層25を厚さ方向に貫通するビア配線と、ビア配線を介して配線層22と接続された配線パターンとを有している。配線層21~23の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層24,25の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0012】
ソルダーレジスト層26は、絶縁層24の下面と配線層21の一部を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層26は、配線層21の下面の一部を外部接続パッド21Pとして露出する開口部26Xを有している。ソルダーレジスト層26の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0013】
外部接続パッド21Pには外部接続端子60が接続されている。外部接続端子60は、例えば、はんだバンプである。なお、外部接続端子60として、はんだボールやリードピン等としてもよい。
【0014】
なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層26の開口部26Xから露出する配線層21の表面上にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に外部接続端子60を接続するようにしてもよい。また、開口部26Xから露出する配線層21の表面上に金属層を形成し、その金属層に外部接続端子60を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部26Xから露出する配線層21(あるいは、配線層21にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0015】
ソルダーレジスト層27は、絶縁層25の上面と配線層23の一部を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層27は、配線層23の上面の一部を接続パッド23Pとして露出する開口部27Xを有している。開口部27Xは、平面視で円形状に形成されている。開口部27Xの大きさ(直径)は、接続ピン30の大きさに応じて設定されている。例えば、開口部27Xの大きさ(直径)は、接続ピン30の外径と等しく設定されている。ソルダーレジスト層27の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0016】
なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層27の開口部27Xから露出する配線層23の表面上にOSP処理を施してOSP膜を形成してもよい。また、開口部27Xから露出する配線層23の表面上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部27Xから露出する配線層23(あるいは、配線層23にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、接続パッド23Pとしてもよい。
【0017】
第1基板10は、配線層11,12、絶縁層14,15、保護絶縁層16、ソルダーレジスト層17を有している。
配線層11は、絶縁層14の下面に積層されている。絶縁層15は、絶縁層14の下面に、配線層11を被覆するように形成されている。配線層12は、絶縁層15の下面に積層されている。配線層12は、絶縁層15を厚さ方向に貫通するビア配線と、ビア配線を介して配線層11と接続された配線パターンとを有している。配線層11,12の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層14,15の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0018】
保護絶縁層16は、絶縁層14の上面を覆うように形成されている。保護絶縁層16の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0019】
図1図2(a)及び図2(b)に示すように、ソルダーレジスト層17は、配線層12の一部を接続パッド12Pとして露出する開口部17Xと、配線層12の一部をパッド12Yとして露出する開口部17Yを有している。パッド12Yは電子部品41~43の接続に用いられる。接続パッド12Pは、接続ピン30の接続に用いられる。ソルダーレジスト層17の材料としては、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0020】
図2(a)に示すように、開口部17Xは、平面視で円形状である。開口部17Xの大きさ(直径)は、接続ピン30の大きさに応じて設定されている。図2(b)に示すように、例えば、開口部17Xの大きさ(直径)は、接続ピン30の外径より大きく設定されている。
【0021】
図2(a)及び図2(b)に示すように、ソルダーレジスト層17は、開口部17Xの内部に支持部17Sを有している。本実施形態において、支持部17Sは、開口部17Xの内部に1つ設けられている。支持部17Sは、開口部17Xの高さ、つまりソルダーレジスト層17において配線層12を覆う被覆部17Cの厚さと等しい。
【0022】
支持部17Sの形状は、任意の形状とすることができる。支持部17Sの形状は、接続ピン30の傾きの抑制及びはんだ71の接合面積を確保することを考慮すると、円形状が好ましい。本実施形態の支持部17Sは円形状である。本実施形態において、支持部17Sの中心は、開口部17Xの中心と一致している。開口部17Xの直径(内径)をD1、支持部17Sの直径(外径)をD2とすると、開口部17Xの直径は接続ピン30の直径よりも大きな値に設定され、支持部17Sの直径D2は、接続ピン30の直径よりも小さな値に設定される。なお、支持部17Sの直径D2は、開口部17Xの直径D1及び接続ピン30の直径に応じて設定する。支持部17Sの直径D1は、支持部17Sの側面から開口部17Xの内面までの最短距離を、接続ピンの直径の50%未満に設定することが好ましい。このように設定した場合、接続ピン30が大きく位置ずれしても、その接続ピン30の傾きを抑制できる。
【0023】
なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層17の開口部17Xから露出する配線層12の表面上にOSP処理を施してOSP膜を形成してもよい。また、開口部17Xから露出する配線層12の表面上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部17Xから露出する配線層12(あるいは、配線層12にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、接続パッド12Pとしてもよい。
【0024】
第1基板10の下面には電子部品41~43が実装されている。電子部品41は、例えば半導体素子である。この電子部品41は、はんだ41aによって第1基板10のパッド12Yに接続されている。電子部品41と第1基板10との間にはアンダーフィル樹脂41bが充填されている。電子部品42,43は、例えばキャパシタ素子である。電子部品42,43は、はんだ42a,43aによって第1基板10のパッド12Yに接続されている。
【0025】
第1基板10の接続パッド12Pと、第2基板20の接続パッド23Pは、接続ピン30とはんだ71,72により互いに接続されている。接続ピン30の第1端部(上端)は、ソルダーレジスト層17の開口部17Xの内部のはんだ71を介して第1基板10の接続パッド12Pに接続されている。また、接続ピン30の第2端部(下端)は、ソルダーレジスト層27の開口部27X内のはんだ72により接続パッド23Pに接続されている。第1基板10において、ソルダーレジスト層17の開口部17X内には、支持部17Sが配設され、その支持部17Sは、ソルダーレジスト層17において、配線層12を覆う被覆部17Cの厚さと同じ厚さである。したがって、接続ピン30の端面30aは、支持部17Sに当接している。
【0026】
接続ピン30は、導電性を有する金属ピンである。また、接続ピン30の形状は、円柱状である。接続ピン30の材料としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属又はそれら金属の少なくとも一つを含む合金を用いることができる。
【0027】
封止樹脂50は、第1基板10と第2基板20との間に充填されている。封止樹脂50は、第1基板10に実装された電子部品41~43、及び接続ピン30を封止する。封止樹脂50としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカや酸化チタンなどのフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0028】
(比較例の説明)
ここで、本実施形態に対する比較例を説明する。なお、比較例の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない技術内容も含む場合がある。比較例の説明において、上述した実施形態の配線基板1と同じ部材について同じ符号を用いる場合がある。
【0029】
図4は、比較例の配線基板に含まれる第1基板110、第2基板20、及び接続ピン30を示し、第1基板110に接続ピン30を接続し、その接続ピン30に第2基板20を接続する場合を示している。なお、図4は、上述した本実施形態に対して、上下を反転して示している。
【0030】
比較例において、ソルダーレジスト層111は、円形の開口部111Xを有し、その開口部111Xにより配線層12の一部が接続パッド12Pとして露出される。開口部111Xの外径は、接続ピン30の外径よりも小さく形成される。接続ピン30は、開口部111X内のはんだ71により接続パッド12Pに接続される。
【0031】
図4の右側に示すように、接続ピン30がソルダーレジスト層111の開口部111Xの内壁よりも右側に位置ずれして配置されると、接続ピン30の下端の一部がソルダーレジスト層111の開口部111X内に落ち込む。この結果、接続ピン30は、傾いた状態で、はんだ71により接続パッド12Pに接続される。
【0032】
次に、接続ピン30の上端に接続する第2基板20が用意される。第2基板20は、接続される。第2基板20のソルダーレジスト層27は、配線層23の一部を露出する開口部27Xを有し、その開口部27X内にはんだ72が塗布されている。接続ピン30の上端に第2基板20の接続パッド23Pがはんだ72により接続される。
【0033】
このとき、第1基板110に対して接続ピン30が傾いて接続されていると、接続ピン30の上端が第2基板20の接続パッド23Pに対して位置ずれしたり、接続ピン30がはんだ72によって接続され難い場合がある。このため、第1基板110と第2基板20との間の接続信頼性の低下や、配線基板の歩留まり低下を招く。開口部111Xの直径をより小さくすることにより接続ピン30が開口部111X内に落ち込んで傾くことを抑制できるものの、開口部111X内のはんだ71の量が減って接続ピン30の接続強度を十分に確保できなくなる虞がある。
【0034】
(本実施形態の説明)
次に、本実施形態の配線基板1の作用を説明する。
図3(a)及び図3(b)は、本実施形態の配線基板1に含まれる第1基板10、第2基板20、及び接続ピン30を示し、第1基板10に接続ピン30を接続し、その接続ピン30に第2基板20を接続する場合を示している。なお、図3(a)は、上述した本実施形態に対して、上下を反転して示している。
【0035】
第1基板10のソルダーレジスト層17は、配線層12の一部を露出する開口部17Xと、開口部17Xの中であって、配線層12の上面の支持部17Sを有している。この開口部17Xと支持部17Sとから露出する配線層12の上面が接続パッド12Pとなる。この接続パッド12Pに対して接続ピン30がはんだ71により接続される。接続ピン30が支持部17Sに当接するため、接続ピン30の傾きが抑制される。また、支持部17Sは、配線層12を覆う被覆部17Cの厚さと同じ厚さである。位置ずれが生じた接続ピン30についても、その傾きが抑制される。これらについて、詳述する。
【0036】
図3(a)及び図3(b)において、左側には位置ずれの無い接続ピン30を示し、右側には、開口部17Xに対して右方向に位置ずれした接続ピン30を示す。これらを区別するため、図3(a)及び図3(b)では、左側の接続ピンを符号「30L」として示し、右側の接続ピンを符号「30R」として示し、それらについて説明する。
【0037】
図3(a)及び図3(b)に示すように、位置ずれの無い接続ピン30Lは、ソルダーレジスト層17の開口部17Xの直上であって、この開口部17Xの中心と中心が一致するように配置される。ソルダーレジスト層17は、開口部17X内に支持部17Sを有し、その支持部17Sは、配線層12を被覆する被覆部17Cの厚さと同じである。そして、接続ピン30Lは、開口部17X内部のはんだ71により接続パッド12Pに接続され、接続ピン30Lの端面30aは、支持部17Sの上面に当接する。
【0038】
このとき、接続ピン30Lを接続するはんだ71は、接続ピン30の側面30bの全周において這い上がりによるフィレット71Fを有する。このフィレット71Fは、はんだ71と接続ピン30との接触面積を、接続ピン30の端面のみがはんだ71に接する場合よりも大きくする。このように接触面積を増加することで、接合強度を増大できる。
【0039】
図3(a)及び図3(b)に示すように、接続ピン30Rは位置ずれしている。接続ピン30Rに大きな位置ずれ(例えば、支持部17Sの半径以上の位置ずれ)が生じた場合、接続ピン30Rの下面は、ソルダーレジスト層17の開口部17X内の支持部17Sの上面に当接する。この支持部17Sは、配線層12を覆う被覆部17Cの厚さと同じ厚さである。したがって、接続ピン30Rは、被覆部17Cと支持部17Sとによって傾くこと無く、はんだ71によって接続パッド12Pに接続される。このように位置ずれが生じた接続ピン30Rにおける傾きが抑制される。
【0040】
このとき、接続ピン30Rを接続するはんだ71は、接続ピン30Rの側面30bを這い上がってフィレット71Fを形成する。このように、はんだ71が接続ピン30Rの側面30bを這い上がることで、接続ピン30の端面のみがはんだ71により接続される場合と比べてはんだ71と接続ピン30との間の接触面積が増加する。位置ずれが生じた接続ピン30Rでは、位置ずれ量に応じてその接続ピン30Rとソルダーレジスト層17の開口部17Xの周囲の部分、つまり被覆部17Cとが重なることで、開口部17X内において露出する接続ピン30Rの面積が減少する場合がある。このような場合でも、はんだ71が接続ピン30Rの側面30bを這い上がることで、接続ピン30Rとはんだ71との間の接続面積の減少を抑制でき、はんだ71による接合強度を確保できる。
【0041】
次に、接続ピン30L,30Rの上端に第2基板20を接続する。位置ずれのある接続ピン30Rにおいても、接続ピン30Rに傾きが抑制されているため、接続ピン30Rの端面30cは、第2基板20の接続パッド23Pにはんだ72を介して接続される。この場合、位置ずれの無い接続ピン30Lは、接続ピン30Lの端面30cの全体がはんだ72を介して接続パッド23Pに接続される。したがって、各接続ピン30L,30Rが第2基板20の接続パッド23Pに接続されるため、第1基板10と第2基板20との間の接続信頼性の低下を抑制でき、歩留まりの低下を抑制できる。
【0042】
また、位置ずれの無い接続ピン30Lの場合、接続ピン30Lの端面30cの全体がはんだ72を介して接続パッド23Pに接続される。
一方、位置ずれのある接続ピン30Rの場合、接続ピン30Rの端面30cとソルダーレジスト層17とが重なりあう。この接続ピン30Rの側面30bにはんだ72が這い上がり、はんだ72はフィレット72Fを形成する。このフィレット72Fにより、上述のフィレット71Fと同様に、接続ピン30Rとはんだ72との間の接続面積の減少を抑制できる。
【0043】
(製造方法の説明)
次に、本実施形態の配線基板1の製造方法を説明する。
なお、説明の便宜上、最終的に配線基板1の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0044】
図5に示す第1基板10を用意する。なお、図5では、図1に示す第1基板を上下反転して示している。
第1基板10は、公知の方法により製造することが可能である。上述したように、第1基板10は、配線層11,12、絶縁層14,15、保護絶縁層16、ソルダーレジスト層17を有している。絶縁層14,15は、例えば、樹脂フィルムを真空ラミネートし、加熱により硬化することで形成することができる。なお、絶縁層14,15は、ペースト状や液状の樹脂を塗布し、加熱により樹脂を硬化することにより形成することもできる。絶縁層15には、公知の方法により開口部を形成する。配線層11,12は、例えばセミアディティブ法により形成することができる。保護絶縁層16は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。ソルダーレジスト層17は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。
【0045】
ソルダーレジスト層17の開口部17X及び支持部17Sの形成について説明する。
図6(a)に示すように、絶縁層15の上面に配線層12が形成されている。図6(b)に示すように、絶縁層15の上面及び配線層12を覆う樹脂層17を形成する。樹脂層17は、例えばネガ型の感光性樹脂からなる。なお、ポジ型の感光性樹脂を用いることもできる。図2(a)及び図2(b)に示すソルダーレジスト層17の開口部17X及び支持部17Sの形状を得るためのフォトマスク(図示略)を用意し、そのフォトマスクの開口部から樹脂層17を露光し、現像することにより、図6(c)に示す樹脂層17に開口部17X及び支持部17Sを形成する。ネガ型の感光性樹脂を用いた場合、未露光部分が現像で除去され、開口部17X及び開口部17X内の支持部17Sを形成する。ポジ型の感光性樹脂を用いた場合、露光部分が現像で除去され、開口部17X及び開口部17X内の支持部17Sを形成する。
【0046】
図7に示すように、接続ピン30の下端面を、はんだ71によって接続パッド12Pに接続する。接続ピン30の配置には、図8(a)及び図8(b)に示すピン振込治具200が用いられる。
【0047】
図8(a)に示すように、第1基板10の開口部17Xにはんだペースト71を塗布する。次に、ピン振込治具200を用意する。ピン振込治具200には、複数の開口部200Xが形成されている。開口部200Xは、第1基板10の接続パッド12Pの平面配置に合わせて形成されている。
【0048】
次に、ソルダーレジスト層17に形成された位置合わせマーク(不図示)を画像認織することにより、ピン振込治具200の開口部200Xを第1基板10のソルダーレジスト層17の開口部17Xに位置合わせする。そして、ピン振込治具200の上側から開口部200Xに接続ピンを挿入する。
【0049】
図8(b)に示すように、接続ピン30は、ソルダーレジスト層17の開口部17Xに落下し、支持部17Sの上面に当接する。また、接続ピン30の下面は、開口部17X内に塗布されたはんだペースト71に接触する。
【0050】
ピン振込治具200を取り外した後、リフロー処理によってはんだペースト71を加熱する。これにより、図7に示すように、はんだ71により接続パッド12Pに接続ピン30を接続する。
【0051】
次に、図7に示すように、電子部品41~43を用意する。そして、第1基板10のパッド12Yに、電子部品41~43をはんだ41a~43aにより接続する。そして、電子部品41と第1基板10との間にアンダーフィル樹脂41bを充填する。
【0052】
以上により、第1基板10に接続ピン30が接続されるとともに、電子部品41~43が搭載された配線基板210が得られる。この配線基板210は、第1基板10、接続ピン30、電子部品41~43を含んで構成される。
【0053】
次に、図9に示すように、第2基板20を用意する。
第2基板20は、公知の方法により製造することが可能である。上述したように、第2基板20は、配線層21,22,23、絶縁層24,25、ソルダーレジスト層26,27を有している。絶縁層24,25は、例えば、樹脂フィルムを真空ラミネートし、加熱により硬化することで形成することができる。なお、絶縁層24,25は、ペースト状や液状の樹脂を塗布し、加熱により樹脂を硬化することにより形成することもできる。絶縁層24,25には、公知の方法により開口部を形成する。配線層21~23は、例えばセミアディティブ法により形成することができる。なお、金属箔(例えば銅箔)をエッチングして配線層を形成することもできる。ソルダーレジスト層26は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。ソルダーレジスト層27は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストをフォトリソグラフィ法により露光・現像して所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。
【0054】
次に、図10に示すように、図9に示す第2基板20の接続パッド23Pの上にはんだペースト72を塗布し、第2基板20を上下反転させる。そして、第2基板20の接続パッド23Pを接続ピン30に位置合せする。
【0055】
図11に示すように、第2基板20のはんだペースト72を接続ピン30の上端に接触させ、リフロー処理によってはんだペースト72を加熱する。これにより、はんだ72により接続ピン30を第2基板20の接続パッド23Pに接続する。
【0056】
図12に示すように、第1基板10と第2基板20との間に封止樹脂50を充填する。これにより、接続ピン30、電子部品41~43を封止樹脂50により封止する。
図13に示すように、第1基板10の外部接続パッド21Pにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子60を形成する。
【0057】
以上により、図1に示す実施形態の配線基板1が完成する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)配線基板1は、接続パッド12Pを備えた第1基板10と、円柱状の接続ピン30とを有する。第1基板10は、配線層12と、配線層12の一部を覆うソルダーレジスト層17とを有している。ソルダーレジスト層17は、配線層12の一部を露出する円形状の開口部17Xと、開口部17Xの中に配線層12の一部を覆う支持部17Sとを有し、開口部17Xと支持部17Sとの間から露出する配線層12の一部が接続パッド12Pである。接続ピン30の第1端部は、開口部17Xに配置された接合部材71により接続パッド12Pに接続されている。したがって、その接続ピン30は支持部17Sに当接するため、接続ピン30の傾きを抑制できる。そして、第1基板10と第2基板20との間の接続信頼性の低下を抑制でき、歩留まりの低下を抑制できる。
【0058】
(2)接続ピン30の傾きが抑制されるため、接続ピン30の配列を狭ピッチ化することができ、配線基板の高密度化や高性能化に対応することができる。
(3)ソルダーレジスト層17の開口部17Xの直径は、接続ピン30の直径より大きい。したがって、接続ピン30を接続するはんだ71は、接続ピン30の側面30bを這い上がり、フィレット71Fを有する。このフィレット71Fにより、接続ピン30とはんだ71との間の接続面積を増加して接続強度を増大できる。また、位置ずれが生じた接続ピン30Rにおいても、はんだ71がフィレット71Fを有することで、接続面積の減少を抑制でき、接続強度を確保できる。
【0059】
(4)支持部17Sの直径は、支持部17Sの側面と開口部17Xの内周面との間、つまり支持部17Sと被覆部17Cとの間の最短距離が接続ピン30の直径の50%未満である。位置ずれにより接続ピン30が支持部17Sの端部から水平方向に飛び出すと、接続ピン30に傾きが生じ易くなる。しかし、上記のように最短距離を設定することで、接続ピン30は、支持部17Sに当接することで傾き難く、また大きく位置ずれした場合でも支持部17Sと開口部17Xの周囲の被覆部17Cとに当接して接続ピン30の傾きを抑制できる。
【0060】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、支持部17Sの数や形状を適宜変更してもよい。
図14(a)に示すように、開口部17Xの中に4つの支持部91を形成してもよい。支持部91の数は、2つ、3つ、又は5つ以上としてもよい。これらの支持部91の場合、支持部91の直径D3は、図1図2(b)等に示す接続ピン30の直径と開口部17Xの直径とに応じて設定することができる。
【0061】
図14(b)に示すように、開口部17Xの中に環状(円環状)の支持部92を配設してもよい。
図14(c)に示すように、開口部17Xの中に、円形以外、例えば扇型の支持部93を配置してもよい。
【0062】
・上記実施形態に対し、第2基板20のソルダーレジスト層27に、第1基板10のソルダーレジスト層17と同様に支持部を形成してもよい。
・上記実施形態に対し、電子部品は、第2基板20に搭載されてもよく、また第1基板10と第2基板20とに搭載されてもよい。
【0063】
また、第1基板10を電子部品が搭載されていないものとしてもよいし、第1基板10の上面側に電子部品が搭載されてもよい。
電子部品は、第1基板10と第2基板20の少なくとも一方に埋め込んで配置されてもよい。また、上述の電子部品41~43以外の電子部品が搭載又は埋め込まれて配置されてもよい。
【0064】
また、第1基板10及び第2基板20を、電子部品が搭載されていない配線基板やインターポーザなどであってもよい。
・上記実施形態において、接合部材71による接続ピン30の接合強度が十分に確保できれば開口部17Xの大きさを適宜変更してもよく、例えば、開口部17Xの直径を接続ピン30の直径以下の値としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 配線基板
10 第1基板
12 配線層
12P 接続パッド(第1接続パッド)
17 ソルダーレジスト層
17X 開口部
17S 支持部
20 第2基板
23P 接続パッド(第2接続パッド)
30 接続ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14