IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリー インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図1
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図2
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図3
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図4
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図5A
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図5B
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図6
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図7
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図8A
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図8B
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図9
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図10
  • 特許-炭化ケイ素への制御されたイオン注入 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】炭化ケイ素への制御されたイオン注入
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/265 20060101AFI20220127BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220127BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H01L21/265 U
H01L21/265 Z
H01L21/265 602B
H01L21/265 V
H01L21/265 T
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 652E
H01L29/78 652H
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/91 K
H01L29/91 F
H01L29/91 D
H01L29/78 658A
H01L29/91 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018154705
(22)【出願日】2018-08-21
(62)【分割の表示】P 2016530071の分割
【原出願日】2014-07-25
(65)【公開番号】P2018201036
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2018-09-20
(31)【優先権主張番号】61/858,926
(32)【優先日】2013-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/281,384
(32)【優先日】2014-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】クリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】スヴォロフ アレクサンダー ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】パラ ヴィピンダス
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-227151(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056704(WO,A1)
【文献】特開2011-049267(JP,A)
【文献】E. Morvan, et al.,Channeling implantations of Al+ into 6H silicon carbide,Applied Physics Letters,米国,1999年06月28日,Vol.74, No.26,p.3990-3992
【文献】MARTIN S. JANSON ET AL,Channeled Implants in 6H Silicon Carbide,MATERIALS SCIENCE FORUM,米国,2000年,vol. 338-342,p.889 - 892
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/265
H01L 29/12
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 29/872
H01L 29/861
H01L 21/336
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、
前記ドリフト領域内のウェル領域であって、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、第2のドーピング濃度を有するウェル領域と、
前記ウェル領域下方の深く注入された前記第2の導電型を有する領域であって、前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する深く注入された領域と
を備え、
前記ドリフト領域が前記第1のドーピング濃度を有するドリフト層および前記ドリフト層上の第4のドーピング濃度を有する電流広がり層を備え、
前記第4のドーピング濃度が、前記ドリフト層の前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記深く注入された領域の前記第3のドーピング濃度よりも低く、
前記深く注入された領域が前記電流広がり層の厚さよりも浅い深さまで延在する
電子デバイス。
【請求項2】
前記電流広がり層が2.5μm~4.5μmの厚さを有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記電流広がり層が1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記ドリフト層が2.5μm~4.5μmの厚さを有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記ドリフト層が6E15cm-3~2E16cm-3のドーピング濃度を有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記深く注入された領域が前記ドリフト領域内へ2.5μm~4.5μmの深さまで延在する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記深く注入された領域が1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記深く注入された領域が少なくとも1μmの深さを超えてピーク濃度から25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
第1の導電型および第1のドーピング濃度を有し、c軸または<0001>軸を有する炭化ケイ素ドリフト領域を用意するステップと、
前記ドリフト領域内のウェル領域を形成するステップであって、前記ウェル領域が、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、第2のドーピング濃度を有する、ステップと、
前記第2の導電型を有し、前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する、前記ウェル領域下方の深く注入された領域を形成するためにドーパントイオンを注入するステップであって、注入の方向と前記c軸または<0001>軸との間が2°未満の注入角度で、前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、ステップと
を含電子デバイスを形成する方法であって、
前記ドリフト領域が前記第1のドーピング濃度を有するドリフト層を備え、
前記方法が、前記ドリフト層上の第4のドーピング濃度を有する電流広がり層を形成するステップをさらに含み、
前記第4のドーピング濃度が前記ドリフト層の前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記深く注入された領域の前記第3のドーピング濃度よりも低く、
前記ドーパントイオンを注入するステップが前記電流広がり層の厚さよりも浅い深さまで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む
前記方法。
【請求項10】
前記注入角度が0.1°よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記注入角度が0.1°~1°である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ドリフト層が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされる厚さよりも薄い厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記電流広がり層の前記第4のドーピング濃度が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされるものよりも高い、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記電子デバイスが、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧に対して得ることができるものよりも低いオン抵抗を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記電流広がり層が2.5μm~4.5μmの厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記電流広がり層が1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ドリフト層が0μm~10μmの厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記ドリフト層が6E15cm-3~2E16cm-3のドーピング濃度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記深く注入された領域が前記ドリフト層内へ2.5μm~4.5μmの深さまで延在する、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記深く注入された領域が1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記深く注入された領域が前記ウェル領域と接触する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年7月26日に出願された「Controlled Ion Implantation Into Silicon Carbide Using Channeling And Devices Fabricated Using Controlled Ion Implantation Into Silicon Carbide Using Channeling」と題された米国仮特許出願第61/858,926号の利益および優先権を主張し、本仮特許出願の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、半導体デバイスの作製に関し、より詳細には半導体デバイスを作製するためのイオン注入に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、ウェーハに特定のドーパントを添加することによって半導体ウェーハの電子的特性を変更するのに使用することができる半導体デバイスの作製技法である。より詳細には、従来のイオン注入では、ウェーハへ注入される所望のイオン種は、イオン化され、所定の運動エネルギーに加速され、イオン注入ターゲットチャンバ内に装荷された半導体ウェーハの表面に向かってイオンビームとして導かれ得る。所定の運動エネルギーに基づいて、所望のイオン種は、ある深さまで半導体ウェーハに侵入することができる。このようにして、イオンを半導体ウェーハ内へ埋め込む(すなわち、注入する)ことができ、それによって、半導体ウェーハの電気的特性を変えることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一部の実施形態は、半導体構造を形成する方法を提供する。本方法は、結晶軸を有する炭化ケイ素層を用意するステップと、炭化ケイ素層を約300℃以上の温度まで加熱するステップと、注入の方向と結晶軸との間が約2°未満の注入角度で、加熱された炭化ケイ素層へドーパントイオンを注入するステップと、注入されたイオンを活性化するために約30,000℃・時間未満の時間温度積で炭化ケイ素層をアニールするステップと、を含む。
注入角度は、一部の実施形態では0.1°よりも大きくてもよい。一部の実施形態では、注入角度は、0.1°~1°、および一部の実施形態では0.1°~5°であってもよい。
炭化ケイ素層は、約2°~10°のオフ角を有する軸外し(off-axis)炭化ケイ素層を含んでもよい。
【0004】
本方法は、注入されたイオンが0°の注入角度で注入された場合に有する深さと比較して、炭化ケイ素層内の注入されたイオンの深さを低減させるように注入角度を制御するステップをさらに含むことができる。
本方法は、注入中に炭化ケイ素層を約500℃以上の温度に維持するステップ、および一部の実施形態では注入中に炭化ケイ素層を約1000℃以上の温度に維持するステップをさらに含んでもよい。
ドーパントイオンを注入するステップは、注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約100keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップを含むことができる。一部の実施形態では、ドーパントイオンは、注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約100keV以下の注入エネルギーで注入されてもよい。
さらなる実施形態では、ドーパントイオンを注入するステップは、注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約50keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップ、およびさらなる実施形態では、注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約50keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップを含む。
さらなる実施形態では、ドーパントイオンを注入するステップは、注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約30keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップ、およびさらなる実施形態では、注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.3μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約30keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップを含む。
【0005】
さらなる実施形態では、ドーパントイオンを注入するステップは、注入されたイオンが0.1μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約10keV以下の注入エネルギーでドーパントイオンを注入するステップを含む。
注入されたイオンは、室温で注入された場合に注入されたイオンが有する深さよりも浅い深さを炭化ケイ素層内に有することができる。
炭化ケイ素層は、ドーパントイオンが注入されるときに、スクリーニング層がなくてもよい。
【0006】
本方法は、炭化ケイ素層の一部を露出させるマスクを炭化ケイ素層上に設けるステップであって、マスクが、チャネリングのない場合に同一の注入深さを得るのに必要なエネルギーレベルで行われる注入に対して普通ならば必要とされる厚さの半分未満の厚さを有し、ドーパントイオンを注入するステップがマスクを介してドーパントイオンを注入するステップを含む、ステップをさらに含むことができる。
一部の実施形態による電子デバイスは、第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、ドリフト領域内のウェル領域であって、第1の導電型と反対の第2の導電型を有し第2のドーピング濃度を有するウェル領域と、ウェル領域下方の深く注入された領域であって、第1のドーピング濃度よりも高く第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する深く注入された領域と、を含む。
ドリフト領域は、第1のドーピング濃度を有するドリフト層、およびドリフト層上の第4のドーピング濃度を有する電流広がり層を含む。第4のドーピング濃度は、ドリフト層の第1のドーピング濃度よりも高く、深く注入された領域の第3のドーピング濃度よりも低くてもよい。
【0007】
深く注入された領域は、電流広がり層の厚さよりも浅い深さまで延在することができる。
ドリフト層は、深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされる厚さよりも薄い厚さを有することができる。
電流広がり層の第4のドーピング濃度は、深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされるものよりも高くてもよい。
電子デバイスは、深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧に対して得ることができるものよりも低いオン抵抗を有することができる。
【0008】
電流広がり層は、約2.5μm~約4.5μmの厚さを有することができる。
電流広がり層は、約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有することができる。
ドリフト層は、約2.5μm~約4.5μmの厚さを有することができる。
ドリフト層は、約6E15cm-3~約2E16cm-3のドーピング濃度を有することができる。
深く注入された領域は、ドリフト領域内へ約2.5μm~約4.5μmの深さまで延在することができる。
深く注入された領域は、約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有することができる。
【0009】
一部の実施形態によるショットキーダイオードは、第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト領域、ならびに炭化ケイ素ドリフト領域内の深く注入された領域を含む。深く注入された領域は、第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度を有し、約2.5μm~約4.5μmの第1の深さまで延在し、第1の深さが炭化ケイ素ドリフト領域の厚さよりも浅い。
【0010】
さらなる実施形態によるショットキーダイオードは、第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト層と、炭化ケイ素ドリフト層上の、第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度を有する炭化ケイ素エピタキシャル層であって、約2.5μmよりも厚い厚さを有する炭化ケイ素エピタキシャル層と、炭化ケイ素ドリフト領域を貫いて炭化ケイ素ドリフト層内へ延在する深く注入された領域であって、第1の導電型を有し、第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する深く注入された領域と、を含む。
【0011】
電子デバイスを形成する方法は、第1の導電型および第1のドーピング濃度を有し結晶軸を有する炭化ケイ素ドリフト領域を用意するステップと、ドリフト領域内に、第1の導電型と反対の第2の導電型を有し第2のドーピング濃度を有するウェル領域を形成するステップと、ウェル領域下方の深く注入された領域を形成するためにドーパントイオンを注入するステップと、を含み、深く注入された領域が、第1のドーピング濃度よりも高く第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有し、イオンを注入するステップが、注入の方向と結晶軸との間が約2°未満の注入角度でドーパントイオンを注入するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一部の実施形態により作製することができるデバイス構造の概略ブロック図である。
図2】一部の実施形態によるチャネリングイオン注入を示す概略図である。
図3】室温および500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。
図4】室温および500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された11Bイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない11Bイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。
図5A】室温および500℃において200keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。
図5B】室温において様々な注入エネルギーで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。
図6】一部の実施形態による動作を示すブロック図である。
図7】室温において様々な注入エネルギーで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対するSIMS分析データを示すグラフである。
図8A】従来のDMOSFET構造を示す概略ブロック図である。
図8B】一部の実施形態による超接合DMOSFET構造を示す概略ブロック図である。
図9図8Aおよび図8Bに示すデバイスのp型注入下の電界のグラフである。
図10】一部の実施形態による超接合ジャンクションバリアショットキー(JBS:Junction Barrier Schottky)ダイオードを示す概略ブロック図である。
図11】さらなる実施形態による超接合JBSダイオードを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明について、本発明の実施形態が示される添付図面を参照して、以降より完全に説明される。しかしながら、本発明は、本明細書に述べられる実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完璧で完全となるように、および当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。図面では、層および領域の厚さは、明瞭にするために誇張されている。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0014】
用語の第1、第2などは、本明細書では諸要素を説明するために使用されることがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されるであろう。これらの用語は、単にある要素を別の要素と区別するために使用される。例えば、本発明の範囲から逸脱せずに、第1の要素を第2の要素と称することができ、同様に、第2の要素を第1の要素と称することができる。
【0015】
本明細書で本発明の説明において使用される術語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することは意図されてない。本発明の説明および添付された特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈で明確にそうでないと示さない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。また、本明細書で使用されるような用語「および/または」は、関連付けられた列挙項目の1つまたは複数のすべての可能な組合せを指し、包含していることが理解されるであろう。用語「備える」および/または「備えている」は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在もしくは追加を妨げないことをさらに理解されるであろう。
【0016】
本発明の実施形態について、本発明の理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して本明細書で説明する。そのため、例えば、製造技法および/または公差の結果として、各図の形状からの変化が予期される。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に図示された領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造により生じる形状の偏差が含まれることになる。例えば、矩形として図示される注入領域は、典型的には、注入領域から非注入領域への2値的変化ではなく、領域のエッジで注入濃度が丸みのあるもしくは曲線状のフィーチャおよび/または勾配を有する。同様に、例えば、ボロンおよび/またはベリリウムなどの軽量元素の注入によって形成された埋め込み領域は、結果として、ある注入では、埋め込み領域と、注入が貫通して行われる表面との間の領域となり得る。したがって、各図に示す領域は、本質的に概略であって、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことは意図されておらず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
別段の定義がなければ、技術的および科学的用語を含む、本発明の実施形態を開示するのに使用される用語はすべて、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同一の意味を有し、必ずしも本発明が記載される時点で知られている特定の定義に限定されない。したがって、これらの用語は、そのような時点の後に生み出される等価な用語を含むことができる。通常使用される辞書で定義されるような用語は、本明細書におけるおよび関連する技術の文脈における用語の意味と矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味において解釈されないことをさらに理解されるであろう。本明細書に述べられる刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、その全体が参照により組み込まれる。
【0017】
炭化ケイ素における半導体デバイスの作製は、ひとつには高い温度が多くのデバイス作製プロセスに必要となるため困難である。例えば、成長温度およびアニール温度は、炭化ケイ素では、シリコンなどの他の材料系よりも著しく高い。加えて、炭化ケイ素デバイスの作製は、炭化ケイ素内のドーパント原子の高い熱的安定性によってより困難になる。具体的には、炭化ケイ素内のドーパント原子の高い熱的安定性は、シリコンを主成分とするデバイス作製における通常のドーピング技法であるドーパント拡散が炭化ケイ素では一般に有用ではないことを意味する。
したがって、炭化ケイ素デバイスを作製する際に、多くの場合、エピタキシャル成長/再成長およびイオン注入などの他の技法を使用して炭化ケイ素内にドープ領域を形成する必要がある。
【0018】
炭化ケイ素内にドープ領域を形成するためにエピタキシャル成長/再成長およびリソグラフィを使用することは、有用ではあるが、時間がかかり費用がかかる。また、そのような技法は、時間のかかる位置合わせステップをしばしば必要とし、デバイス作製に必要とされる領域をすべて形成するのに適していないことがある。
イオン注入は、炭化ケイ素層の一部分を選択的にドープするための柔軟で便利な方法である。イオン注入プロセスでは、ドーパントイオンは、通常keVまたはMeVを単位として表わされる高エネルギーに加速され、半導体格子に向かって導かれる。注入は、格子に侵入し、格子内のどこかにとどまるようになる。ドーズ量と呼ばれる、半導体層へ注入されたイオンの数は、通常1平方cm当たり(cm-2)のイオンによって表わされる。層の一部をマスクすることによって選択的な注入が行われ、イオンが層のマスクされた部分に侵入するのを防ぐ。
【0019】
しかしながら、イオン注入は、あるよく知られている欠点を有する。具体的には、ドーパントイオンが半導体層へ注入される場合、イオンは半導体層の結晶格子に照射損傷をもたらす。格子損傷を修復するために、(例えば、1200℃よりも高い、場合によっては1600℃よりも高い)比較的高い温度で構造をアニールしなければならない。高温アニールおよび/または長いアニール時間にもかかわらず、一部の格子損傷は、残留する場合がある。
【0020】
さらに、従来のイオン注入は、深い注入領域、または深さにおいて高レベルのドーピング均一性を必要とする領域の形成に使用するには魅力的でない場合がある。注入レンジは、注入されたイオンの平均深さを指す。注入されたイオンの深さは、注入のエネルギーと直接関係し、すなわち、より高いエネルギーで半導体層へ注入されたイオンは、より深く層に入る傾向がある。したがって、深い注入領域の形成は、高エネルギー注入を必要とする。しかしながら、格子損傷も、注入のエネルギーと直接関係があり、より高いエネルギーの注入は、やはりより低いエネルギーの注入よりも多くの格子損傷を引き起こす傾向がある。また、高エネルギーの注入は、厚いマスク層を必要とし、この厚いマスク層が、注入の望ましくないシャドーイングの原因となる場合がある。
本明細書で使用されるように、注入深さは、注入領域の深さを指し、この注入領域の深さは、ピークの注入濃度が生じる深さよりも深い。具体的には、注入深さは、本明細書では、注入されたドーパントの濃度が1014cm-3未満になる深さを指す。pn接合の位置は、近隣領域のドーピングレベルによって影響を受けるため、注入深さは、注入領域によって形成されたpn接合の接合深さに対応しない場合があることに留意されたい。
さらに、深さにおける良好なドーピング均一性を有する注入領域を形成するために、複数のエネルギーおよびドーズ量によって複数の注入ステップを行う必要がある。各注入ステップによって、構造を作製するのに必要とされる時間および費用が増加する。
【0021】
本発明の実施形態は、結果として格子損傷を低減するより低いエネルギー注入を使用して深さにおいて極めて均一な注入領域を炭化ケイ素内に制御可能に形成するために、注入チャネリングを使用することができるという認識に基づく。一部の実施形態によると、チャネリング注入の深さは、高温で注入を行うことによって制御することができ、これによって、注入の深さを低減させることができる。また、注入の深さは、注入の角度を変えることによって制御することができる。格子損傷を減らすことによって、注入後のアニールの温度および/または時間を低減することができ、これによって、作製のスループットを増加させ、および/または作製費用を減らすことができる。
【0022】
一部の材料では、比較的高温(例えば、最大1800℃)でのイオン注入によって、損傷の回復、構造変更、化学反応の増大、および/または注入された種の拡散向上などのいくつかの利点が提供されることがある。例えば、炭化ケイ素(SiC)基板への高温のイオン注入によって、室温でのイオン注入と比べて、注入された種の活性化効率の向上、注入された層のシート抵抗の低減、キャリア移動度の向上、および/または炭化ケイ素基板に対する損傷の低減が提供されることがある。
さらに、高温の注入は、時間とともに、より少ない変動を示し、よりよい信頼性を有する、より安定したデバイスにつながる可能性がある。
【0023】
チャネリングは、イオンが半導体の結晶軸に沿って注入されるときに遭遇する現象である。イオンが結晶格子へ注入される場合、注入されるイオンは、それらが結晶格子内の原子に衝突するときに散乱する傾向がある(衝突散乱と呼ばれる)。注入の方向が結晶格子の主軸に対して斜角に配向している場合、格子内の原子は、注入の方向に対してランダムな分布を有するように見える。したがって、注入されたイオンと結晶格子内の原子との間の衝突の可能性は、深さの増加とともにかなり一様である。しかしながら、注入の方向が結晶格子の主軸に近い場合、結晶格子内の原子は、注入の方向に対して「整列している」ように見え、注入されたイオンは、結晶構造によって生成されたチャネルを進むように見える。これによって、特に半導体層の表面の近くで、注入されたイオンと結晶格子内の原子との間の衝突の可能性が低減する。その結果、注入の深さが大幅に増加する。
注入の深さが注入領域の所望の深さよりも深い場合があるため、通常、注入の深さがチャネリングによって増加することは望ましくない。従来の技法を使用して、チャネリング注入の深さを制御するのが難しいためである。したがって、例えば、炭化ケイ素の処理では、半導体層の結晶軸に近い角度でイオンを注入する場合、注入される層の上に二酸化シリコンなどの犠牲層を形成すること、およびアモルファス層を通して半導体層に注入することが普通である。スクリーン層は、注入されたイオンの方向をランダム化する効果を有し、それによって、下にある格子構造のチャネリング効果を低減させる。
【0024】
一般に、注入の方向が炭化ケイ素結晶の結晶軸の約2°以内にある場合は、チャネリングが炭化ケイ素内で起こる。注入の方向が炭化ケイ素結晶の結晶軸の約2°を超える場合は、格子内の原子は、注入の方向に対してランダムに分布しているように見え、これによってチャネリング効果が低減する。本明細書で使用されるように、用語「注入角度」は、注入の方向と、c軸または<0001>軸などの、イオンが注入される半導体層の結晶軸との間の角度を指す。したがって、炭化ケイ素層のc軸に対して約2°未満の注入角度は、チャネリングをもたらすと予想される。
一部の実施形態は、炭化ケイ素内の浅いおよび/または深い注入領域の注入のためにチャネリング注入を利用する。チャネリング注入の深さは、注入の温度を制御することによって、および/または半導体層の結晶軸に対して注入の方向を精密に制御することによって制御され得る。
本明細書に記載された実施形態を使用して形成することができる例示的な構造が図1に示されている。図1に示すデバイス10は、イオン注入によって形成することができる様々な領域を有するMOSFETデバイスである。しかしながら、例えば、金属半導体電界効果トランジスター(MESFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ショットキーダイオード、PINダイオードなどを含む多くの様々な種類の半導体デバイスの様々な領域を形成するために、本明細書に開示された実施形態を有利に用いることができることを認識されるであろう。さらに、図1のデバイス10のある層は、特定の導電型(すなわち、n型またはp型)を有するとして記載されているが、層の導電型を逆にしてもよい(例えば、n型として指定された層および/または領域がp型であってもよく、その逆であってもよい)ことを認識されるであろう。
【0025】
例示的な構造10は、n+基板20上のn型ドリフト層22を含む。基板20は、例えば、6Hポリタイプを有する単結晶炭化ケイ素層を含んでもよいが、他のポリタイプが使用されてもよい。さらに、基板は、約2°~約10°の軸外し配向を有してもよい。すなわち、炭化ケイ素結晶の六方晶系構造のc軸は、基板表面に垂直の方向に対してわずかに傾いていてもよい。
n型ドリフト層22は、約1E14cm-3~約5E16cm-3のドーピング濃度を有してもよい。
【0026】
P型ウェル14は、ドリフト層の上部表面に設けられる。p型ウェル14は、例えば、アルミニウムおよび/またはボロンイオンなどのp型ドーパントによって約1E16cm-3~1E19cm-3の濃度にドープされてもよい。p型ウェル14は、約0.3μm~約1.2μmの接合深さを有する。深いp領域34は、p型ウェル14の直下に形成される。深いp型領域34は、例えば、アルミニウムおよび/またはボロンイオンなどのp型ドーパントによってp型ウェル14の濃度よりも高い濃度にドープされてもよい。
【0027】
Pガードリング38は、ドリフト層22の表面でデバイスの周辺に形成される。Pガードリング38は、約0.5~約1.5μmの深さに形成されてもよく、例えば、アルミニウムおよび/またはボロンイオンなどのp型ドーパントによって約1E15cm-3~約1E16cm-3の濃度にドープされてもよい。チャネリングによって形成された深い注入を有するデバイスの場合は、ガードリングも深い注入によって形成されるべきである。したがって、これらのデバイスのガードリングの深さは、従来の0.5μm~1.5μmの深さとは対照的に、約2.5μm~約4.5μmであってもよい。
【0028】
接合型電界効果トランジスター(JFET)領域32は、p型ウェル14間に形成される。JFET領域32の厚さは、約0.5μm~約1.5μmであってもよく、例えば、窒素および/またはリンイオンなどのn型ドーパントによって約1E15cm-3~約5E17cm-3の濃度にドープされてもよい。
n+ソース領域16は、pウェル領域14内に形成され、n+ソース領域とJFET領域との間のチャネル領域15を画成するためにJFET領域32から離間されている。n+ソース領域16は、例えば、窒素および/またはリンイオンなどのn型ドーパントによって約5E18cm-3~1E21cm-3の濃度にドープされてもよい。n+ソース領域16は、約0.2μm~1.2μmの深さを有してもよい。
チャネル領域15に所望のp型ドーパントまたはn型ドーパントを注入して、所望のしきい電圧を得ることができる。具体的には、チャネル領域15は、例えば、アルミニウムおよび/またはボロンイオンなどのp型ドーパントによって約1E17cm-3~2E18cm-3の濃度にドープされてもよい。チャネル領域15は、約50nm~300nmの深さを有してもよい。
p+ウェルコンタクト領域18は、n+ソース領域に隣接してpウェル領域14内に形成される。p+ウェルコンタクト領域18は、約0.2μm~1.2μmの深さを有してもよく、例えば、アルミニウムおよび/またはボロンイオンなどのp型ドーパントによって約5E18cm-3~1E21cm-3の濃度にドープされてもよい。
【0029】
二酸化シリコンなどのゲート絶縁体25は、ドリフト層22上に設けられ、n+ソース層16からチャネル領域15およびJFET領域32上に延在する。金属被覆層を有するポリシリコンを含むことがあるゲートコンタクト24は、ゲート絶縁体25上にある。
ソースオーミックコンタクト26は、n+ソース領域16およびp+ウェルコンタクト領域18上に形成され、ドレインオーミックコンタクト28は、基板20上に形成される。
電流がドリフト層22を横切って、ソースコンタクト32からドレインコンタクト28まで流れるように、十分な電圧をゲートコンタクト24に印加して、チャネル領域15に反転層を生成することができ、それによってソース領域16からのn型キャリアがウェル領域14を通過し、ドリフト領域22および基板20を横切ってドレインコンタクト28まで達することができる。
【0030】
前述の議論から理解されるように、図1のデバイス10の領域の多くは、有利には選択的イオン注入によって形成することができる。例えば、ウェル領域14、ソース領域16、ウェルコンタクト領域18、JFET領域32およびチャネル領域15は、すべてイオン注入を使用して形成することができる。これらの領域は、大きく変わる深さおよびドーピング濃度を有する。通常、JFET領域32およびウェル領域14などのより深い領域は、チャネリング効果を低減させる/防ぐために二酸化シリコンマスク層を用いて複数の注入ステップを使用して形成される。
【0031】
例えば、従来のデバイス処理レシピは、深いp型の注入を必要とすることがある。360keVでの27Alイオンの注入は、特に分布の端部(EOD:End of Distribution)で、すなわちイオンの最深侵入部で、ならびに注入パターンの側部で、受け入れがたいほど高いレベルの格子損傷を結果として生じることが分かった。その結果、注入を行うのに10倍を超える時間を必要とする、二重イオン化された27Al++イオンの複数の注入ステップを使用して、深いp型領域34を形成する必要があった。また、チャネル注入およびJFET領域注入は、EODおよび注入パターンの側部に受け入れがたいレベルの格子損傷をこうむる。一部の実施形態によって、低エネルギーイオン注入を使用して、炭化ケイ素内に深い注入を形成することが可能となる。
【0032】
一部の実施形態によると、チャネリングイオン注入を使用して、炭化ケイ素半導体デバイス内に1つまたは複数のドープ領域を形成することができる。図2を参照すると、エピタキシャル層22が形成される炭化ケイ素基板20にイオン50が注入されてもよい。注入の方向は、基板20およびエピタキシャル層22の六方晶系半導体格子のc軸と実質的に平行であってもよい。本明細書で使用されるように、実質的に平行とは、注入の方向が半導体格子のc軸の方向と2°未満異なることを意味する。
上記のように、炭化ケイ素基板20およびその上に形成されたエピタキシャル層22は、例えば、2°~10°のオフ角配向を有してもよい。したがって、図2に示すように、炭化ケイ素基板20のc軸52は、基板のオフ角と等しい傾斜角に基板20を傾けることによって注入50の進行方向と一直線に並ぶことができる。注入の角度は、基板と注入ビームを位置合わせするためにラザフォード後方散乱を使用して、(例えば、0.1°の分解能で)厳密に制御することができる。
注入マスク(図示せず)は、注入されることになるエピタキシャル層の領域を画成するために、エピタキシャル層22上に設けられてもよい。
高温イオン注入は、例えば、「High-temperature ion implantation apparatus and methods of fabricating semiconductor devices using high-temperature ion implantation」と題する本出願の譲受人に譲渡された米国特許第7,547,897号に記載されるような装置で行われてもよく、本特許の開示は、あたかも完全に本明細書で述べられるかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
一部の実施形態によると、炭化ケイ素デバイス構造内の様々なドープ領域は、最初にスクリーン層を通過することなく、チャネリング効果が生じるように炭化ケイ素層の結晶軸と実質的に一直線になって炭化ケイ素層へイオンを直接注入することによって形成することができる。注入は、室温よりも高い、注入の所望の深さを提供するように選択された温度で行われてもよい。
また、注入の深さは、注入方向に対するウェーハの傾斜角および注入温度を精密に制御することによって制御されてもよい。例えば、注入の温度を増加させることによって、チャネリング注入の深さを低減させることが可能な場合がある。結晶軸に対してわずかに傾いた角度、例えば、0°よりも大きく約2°よりも小さな角度でイオンを注入することによって、注入の深さをさらに制御することができる。
【0034】
図3は、室温および500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。図3で、曲線302は、チャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを表わし、曲線304は、室温において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対するSIMS分析データを表わし、曲線306は、500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対するSIMS分析データを表わす。
【0035】
図3で分かるように、チャネリング注入(曲線304および306)は、両方とも非チャネリング注入(曲線302)よりも著しく深い深さを有する。さらに、500℃で行われたチャネリング注入(曲線306)は、室温で行われたチャネリング注入(曲線304)よりも著しく浅い深さを有する。
同様に、図4は、室温および500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された11Bイオンに対するSIMS分析データ、ならびにチャネリングのない11Bイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。図4で、曲線402は、チャネリングのない11Bイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを表わし、曲線404は、室温において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された11Bイオンに対するSIMS分析データを表わし、曲線406は、500℃において100keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された11Bイオンに対するSIMS分析データを表わす。
【0036】
図4で分かるように、チャネリング注入(曲線404および406)は、両方とも非チャネリング注入(曲線402)よりも著しく深い深さを有する。さらに、500℃で行われたチャネリング注入(曲線406)は、室温(曲線404)で行われたチャネリング注入よりもわずかに浅い深さであるが、より良好なドーピング均一性を有する。
図5Aは、さらなる実験(SIMS)およびシミュレーション(TRIM)結果を示す。具体的には、図5Aは、室温および500℃において200keVで4H-SiCウェーハにチャネリングによって注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、ならびにチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。曲線502C~508C、502U~508U、および510は、下記の表1に示す条件に対応する。
【表1】
【0037】
図5Aで分かるように、200keVの注入エネルギーでは、均一性の高いドーピングが、約0.2μm~1.2μmの深さでチャネリング注入に対して得られている。しかしながら、ドーズ量が1E12cm-2から5E13cm-2に増加すると、約0.4μmの深さに第2のピークが現われ始め、ドーピング濃度が深さとともに落ち始めることに留意されたい。これは、高いフルエンスのドーパントイオンによって引き起こされる格子損傷の増加に起因する可能性がある。したがって、ドーズ量を高くするとともに、注入されたイオンを活性化することがますます困難になり、活性化パーセントの低下を招く。
【0038】
曲線510によって示すように、高温注入は、首尾よく注入の深さを約0.4μmだけ低減させた。
【0039】
図5Bは、室温において様々な注入エネルギーで4H-SiCウェーハにチャネリングによって1E13cm-2のドーズ量が注入された27Alイオンに対する二次イオン質量分析法(SIMS)分析データ、およびチャネリングのない27Alイオンの注入に対するTRIMシミュレーションデータを示すグラフである。曲線522U~528Uおよび532C~538Cは、下記の表2に示す条件に対応する。
【0040】
【表2】
【0041】
注入深さが注入エネルギーの増加に正比例して増加し、第2のピークが現れていないことに留意されたい。
また、注入深さは、注入の傾斜角を注意深く制御することによって制御することができる。注入中の回転角も、チャネリング注入のドーパント分布に影響することがある。
一部の実施形態によると、炭化ケイ素層に、2°未満の注入角度で、約100keV未満の注入エネルギーで、および300℃を超える温度でイオンを注入し、約1μm未満の、場合によっては約0.5μm未満の、場合によっては約0.3μm未満の、場合によっては約0.2μm未満の、および場合によっては約0.1μm未満の深さを有する注入領域を設けることができる。一部の実施形態では、注入は、400℃を超える温度で、一部の実施形態では600℃を超える温度で、一部の実施形態では1000℃を超える温度で、および一部の実施形態では1100℃を超える温度で行われてもよい。場合によっては、炭化ケイ素層は、1°未満の、場合によっては0.5°未満の、場合によっては0.1°~0.5°の、場合によっては0.1°未満の注入角度で注入されてもよい。
一部の実施形態では、イオンは、1E13cm-2未満のドーズ量で注入されてもよい。
【0042】
特定の理論によって拘束されたくないが、イオン注入が半導体層に対して行われる場合に、2つのタイプの欠陥が半導体層へ導入されると現在信じられている。第1のタイプの欠陥(タイプI欠陥)は、注入されたイオンが半導体層の格子構造における原子の結合を壊す場合に引き起こされる。第2のタイプの欠陥(タイプII欠陥)は、注入されたイオンが半導体格子内の電気的に活性な位置に静止した状態にならない場合があるため、注入されたイオン自体の位置における欠陥である。アニールは、イオン注入によって引き起こされた格子損傷を修復し、また、注入されたイオンが半導体格子の電気的に活性なサイトへ移動するように促す。高温注入は、タイプI欠陥の発生を低減させる傾向があるが、チャネリングは、タイプII欠陥の発生を低減させる傾向がある。
【0043】
したがって、高温チャネリング注入を使用して注入された半導体層は、低エネルギーの、高温チャネリング注入によって引き起こされる格子損傷が少なくなるため同様の深さの注入に対して普通ならば必要とされるものよりも著しく低い可能性がある時間および/または温度でのアニールが必要であってもよい。場合によっては、アニールの時間温度積は、同様の深さの注入に対して普通ならば必要とされるものの十分の一未満であってもよい。特定の実施形態では、半導体層は、注入されたチャネリングイオンを活性化するために約1000℃未満の温度で約30時間未満の時間アニールされてもよい。
【0044】
特定の実施形態では、注入角度は、制御可能な結果を得るように0.1°以内の精度で制御されてもよい。そのような精度は、例えば、Varian Semiconductor Associates, Gloucester MA, USAによって製造されたVIISTa810イオン注入装置によって得られる。
シリコンデバイス処理では、高温チャネリングイオン注入は、炭化ケイ素における高温チャネリングイオン注入と同様の効果を有するとは期待されないことに留意されたい。シリコンは、一般に炭化ケイ素ほど堅牢ではなく、したがって、注入がチャネリングの場合でさえ、炭化ケイ素よりもイオン注入中の格子損傷により敏感である。この格子損傷は、チャネルを閉じる傾向があり、注入の深さを制限する。しかしながら、炭化ケイ素でさえ、ドーズ量が増加するとともに、格子損傷がチャネリング注入の注入深さを制限する可能性があることに留意されたい。例えば、M. Janson, et al., "Channeled Implants in 6H Silicon Carbide," Mat. Sci. For. Vols. 338-342 (2000), pp, 889-892は、高エネルギー(>1MeV)チャネリング注入に対する注入深さのドーズ量依存性について記載している。Jansonらは、1.5MeVの注入エネルギーでは、27Al注入の注入レンジが、約11×1012cm-2でドーズ量に依存するようになり始めると指摘している。図5Aから分かるように、4H-SiCにおいて200keVの注入に対して同様の効果を観察することができる。
【0045】
さらに、その結晶構造により、注入後に、シリコンは、炭化ケイ素よりも良好な結晶学的な復元を受ける。具体的には、シリコンは、格子内で垂直に構成されたダイヤモンド立方晶系結晶構造を有する。したがって、シリコン原子をアモルファス化する高エネルギー注入を使用することは、シリコンに関しては好ましい。その場合、シリコンの結晶構造は、アニールによって復元することができる。一方、炭化ケイ素は、横方向に構成された六方晶系構造を有する。例えば、炭化ケイ素におけるエピタキシャル結晶成長は、横方向のステップフローメカニズムによって生じる。したがって、格子を、所望のポリタイプに復元することが高温アニールによってでさえ困難なため、炭化ケイ素格子をアモルファス化することは望ましくない。
【0046】
図6は、一部の実施形態による炭化ケイ素層を注入するための動作を示すブロック図である。図示するように、一部の実施形態による動作は、炭化ケイ素層を用意するステップ(ブロック602)と、炭化ケイ素層を、400℃を超える、場合によっては600℃を超える、場合によっては1000℃を超える、および場合によっては1100℃を超える温度まで加熱するステップ(ブロック604)と、約2°未満の注入角度で、加熱された炭化ケイ素層へドーパントイオンを注入するステップ(ブロック606)と、注入されたイオンを活性化するために炭化ケイ素層をアニールするステップ(ブロック608)と、を含む。具体的には、炭化ケイ素層は、注入されたイオンを活性化するために約30,000℃・時間未満の時間温度積でアニールされてもよい。例えば、1000℃で30時間実行されるアニールは、30,000℃・時間の温度時間積を有する。場合によっては、炭化ケイ素層は、注入されたイオンを活性化するために約25,000℃・時間未満の時間温度積でアニールされてもよく、場合によっては、炭化ケイ素層は、注入されたイオンを活性化するために約20,000℃・時間未満の時間温度積でアニールされてもよい。
【0047】
一部の実施形態では、炭化ケイ素層は、1200℃未満の、場合によっては1100℃未満の、場合によっては1000℃未満の、および場合によっては600℃未満の温度でアニールされてもよい。
炭化ケイ素にチャネリング注入を組み込んだパワー半導体素子の一部のさらなる実施形態について次に記載する。縦型パワーデバイスでは、デバイスの阻止電圧の定格は、ドリフト領域の厚さおよびドーピングによって決定される。典型的には、設計段階中に、所望の阻止電圧の定格が選択され、次に、ドリフト領域の厚さおよびドーピングが所望の阻止電圧の定格に基づいて選ばれる。
【0048】
縦型パワー半導体デバイスが逆阻止(すなわち、非導通)モードで動作する場合、ドリフト領域の電界プロファイルは、PN接合近くに電界のピークが現れる三角形である。ドリフト領域のオン抵抗を低減させるために、ドリフト領域のドーピング濃度を増加させることが望ましい。しかしながら、ドリフト領域のドーピング濃度が増加するとともに、阻止動作モードにおけるドリフト領域のピーク電界も増加する。ピーク電界の増加は、阻止モードにおけるデバイスの降伏電圧を低減させる。したがって、阻止電圧とドリフト層のドーピングレベルとの間の関係によりそのようなデバイスに対するオン抵抗と阻止電圧との間にトレードオフがある。しかしながら、所望の阻止電圧に対して、ドリフト抵抗を最小化するドリフト層ドーピングおよびドリフト層厚さの最適な選択がある場合がある。これは、4H-SiCに対する一次元ユニポーラ限界として知られている。
【0049】
一部の実施形態は、接合バリアショットキー(JBS:Junction Barrier Schottky)およびPNショットキー組合せ(MPS:Merged PN-Schottky)ダイオードを含むショットキーダイオード、DMOSFET、ならびにUMOSFETなどのユニポーラ縦型パワーデバイス、BJTなどの抵抗を、典型的にはドリフト層またはドリフト領域である電圧支持領域の抵抗によって課された一次元限界を超えて、低減させる。これは、ドリフト領域と反対極性の深い注入(例えば、2.5μm~5μm以上の深さに注入されたイオン)を使用することによって実現することができる。これらの注入領域は、阻止動作モードにおいてドリフト領域の電荷を相殺することができる。この特徴を有するパワー半導体デバイスは、超接合デバイスとして知られている。超接合デバイスでは、阻止モードにおける電界は、もはや三角形でも一次元でもなく、デバイスがどのように設計されているかに応じて、電界のピークを接合から移動させることができる。これによって、ドリフト領域のドーピングを、一次元ユニポーラ限界によって典型的に許容されるものを上回って増加させることが可能な場合がある。したがって、ドリフト領域の抵抗を、同一または同様の電圧定格に対して従来の縦型デバイスよりも小さくすることができる。
【0050】
本明細書に記載される実施形態によるデバイスは、深いイオン注入を使用して形成された、ドリフト領域とは反対極性タイプの領域を含む点で従来のデバイスと異なることがある。本明細書に記載されるように、深い注入は、チャネリング注入を使用することによって実現されてもよい。本明細書に記載されるようなチャネリングイオン注入条件の使用によって、注入されたSiC層の品質を改善することができ、それによって、結果として得られるデバイスのよりよい性能および/または安定性が可能となり得る。
【0051】
注入領域を深く形成する高い注入エネルギーの使用は、チャネリングを使用して促進されてもよい。通常、高エネルギー注入は、注入されたイオンの横方向分布の増大、ならびに高エネルギー注入の結果として半導体格子へ導入されるエンドオブレンジ欠陥(ERD:end-of-range defect)密度の増加のためにデバイス性能に有害であると考えられている。注入レンジを増加させるためにチャネリングを使用することによって、ERDを低減させることができ、注入の横方向分布も低減させることができ、これによってよりよいプロセス制御およびより小さなフィーチャサイズが実現される。加えて、注入エネルギーが、同様の注入レンジを実現するために普通ならば必要とされるものよりも低くてもよいため、チャネリング注入が行われる場合に、より薄い注入マスクを使用することができる。場合によっては、注入マスクは、同様の注入レンジを得るために普通ならば必要とされる厚さの半分未満であってもよい。
【0052】
例えば、チャネリングのないSiCで3.5μmの接合深さを実現するためには、5MeVの注入エネルギーで注入を行う必要がある。その注入エネルギーに対して、5.0μmの厚さを有するSiO2マスクが必要である。対照的に、チャネリングによって、3.5μmの接合深さを、750keVの注入エネルギーで27Alイオンのチャネリング注入を使用して実現することができる。そのような注入エネルギーに対して、5.0μm未満の厚さを有するSiO2を使用することができる。場合によっては、マスクは、3μm未満の、および場合によっては2μm未満の厚さを有することができる。一部の実施形態では、1.4μmの厚さを有するマスクを、750keVの注入エネルギーでのチャネリング注入に対する注入マスクとして使用することができる。したがって、一部の実施形態では、マスクは、同様の接合深さを得るのに非チャネリング注入に対して必要とされるマスク厚さの60%未満の、および場合によっては同様の接合深さを得るのに非チャネリング注入に対して必要とされる厚さの40%未満の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、同様の接合深さを得るのに非チャネリング注入に対して必要とされる厚さの30%未満の厚さを有するマスクを、チャネリング注入に対する注入マスクとして使用することができる。
エンドオブレンジ欠陥は、デバイス性能に大きな影響を及ぼすと考えられている。チャネリングは、ERDを低減させるため、チャネリングの使用は、デバイス性能に著しい影響を及ぼすことがある。さらに、炭化ケイ素格子の相対的強度のために、炭化ケイ素は、シリコンなどの従来の半導体材料よりもはるかにうまく重大な格子損傷なしにチャネリング注入に対処すると予想される。
【0053】
比較的低いエネルギー、例えば約10keV以下でのチャネリング注入については、注入レンジを制限するほとんどのイオン衝突は、核衝突、すなわち格子内の原子核との衝突であると考えられている。これは、半導体結晶格子が受ける注入損傷の量を増加させる。反対に、比較的高いエネルギーの(すなわち、より深い)チャネリング注入に対しては、注入されたイオンは、半導体格子内の電子雲と比較的多く衝突し、結果として格子損傷が比較的少なくなると考えられている。したがって、格子損傷の見地から、チャネリング注入は、非チャネリング注入とは非常に異なった振舞いをする。非チャネリング注入については、注入によって引き起こされる格子損傷の量は、一般に注入エネルギーとともに増加する。したがって、チャネリング注入は、非常に深い、例えば、2.5μm以上の注入領域の形成に特によく適している可能性がある。
【0054】
図7は、二次イオン質量分析法(SIMS)によって測定されるような、c軸に沿った4H-SiCウェーハ内のチャネリング注入された27Alの分布を示す。注入は、室温で、300、500および750keVのエネルギーレベルによって、およびそれぞれの場合で1E13cm-2のドーズ量で行われた。具体的には、曲線700は、300keVのエネルギーで注入されたAl原子の測定された分布を示し、曲線702は、500keVのエネルギーで注入されたAl原子の測定された分布を示し、曲線704は、750keVのエネルギーで注入されたAl原子の測定された分布を示す。
【0055】
図7に示す注入は、SiCウェーハの表面のすぐ上のSiO2スクリーン層なしに行われた。そのような注入エネルギーに対して、チャネリングのない27Alに対する予期される侵入深さRpは、300keVに対してRp=0.33μm、500keVに対してRp=0.52μm、750keVに対してRp=0.71μmである。このチャネリング条件は、注入されるAl原子を約7E16cm-3の平坦な濃度でウェーハ内へ約4倍深く延在させることができ、これは深いp型のドーピングレベルにとっては妥当なものである。
【0056】
図7は、チャネリング注入によって得られる注入領域が高レベルのドーピング均一性を有することができることを示す。具体的には、一部の実施形態では、大きな深さを超えて約25%未満だけそのピークの分布と異なる分布を有する単一の注入領域を得ることができる。例えば、図7の曲線700(300keVの注入に対応する)は、約1μmの深さを超えて約9E17cm-3から約7E17cm-3まで変わるドーピング濃度を有する注入領域を表わす。図7の曲線702(500keVの注入に対応する)は、約1.5μmの深さを超えて約9E17cm-3から約7E17cm-3まで変わるドーピング濃度を有する注入領域を表わす。図7の曲線704は、約1.75μmの深さを超えて約8.5E17cm-3から約6E17cm-3まで変わるドーピング濃度を有する注入領域を表わす。
上記のように、チャネリング注入プロセスは、あるタイプの注入装置では制御するのが困難である。イオンチャネリングプロセスでは、特に大口径のウェーハを処理する場合に、イオン注入装置におけるイオンビームの高度の平行度、およびイオンビームの方向に対するウェーハの精密な配向が必要となる。これらのパラメータの厳格な制御によって首尾一貫したドーピング分布が可能となることがあり、このことは、適切で再現可能な結果を実現するのに役立つ。本明細書に記載されるようなチャネリング注入を使用することによって、指定されたシート抵抗を実現するために複数の注入をする必要性を低減させることもできる。
チャネリングを利用しない場合は、高い注入エネルギーを使用して、深い注入を得ることが可能な場合がある。例えば、深いp型の注入は、360keVの注入エネルギーで単一状態の27Alイオンの注入を使用して得ることができる。注入は、ターゲットウェーハ内で注入されたイオンの再現可能な分布を得るために、c軸から(11-20)軸の方へ約4度オフの配向にターゲットウェーハを保持しながら、「スクリーン」SiO2層を使用して行うことができる。しかしながら、そのような注入条件によって、結果として、イオンの分布の端部(EOD)における受け入れがたいほど高度の格子損傷、ならびに横方向の側部損傷が生じることがある。
【0057】
SiCを主成分とするデバイスの一部のフィーチャを形成するためにc軸に沿ってチャネリング注入を使用することによって、深いドーパント分布を得るのに必要とされる注入条件の数を低減させ、同時に格子損傷を低減させることができる。また、格子損傷が低減することによって、ポスト注入アニール温度および/またはアニール時間を低減させることができる。
1200Vの逆阻止電圧に定格された超接合DMOSFET構造が図8Aおよび図8Bに示されている。具体的には、図8Aは、従来の1200VSiC DMOSFET構造800Aを示し、一方図8Bは、深いp型のチャネリング注入を使用して、一部の実施形態により形成された超接合DMOSFET構造800Bを示す。
【0058】
図8Aを参照すると、従来のDMOSFET構造800Aは、n+基板802、および基板802上の約8E15cm-3のドーピング濃度を有するn型ドリフト層804を含むことができる。ドリフト層804は、約7.5μmの厚さを有する。約2.5μmの厚さおよび約2E16cm-3のドーピング濃度を有するn型広がり層806がドリフト層804上にある。n型広がり層806のドーピング濃度は、ドリフト層804のドーピング濃度よりも高い。ドリフト層804およびn型広がり層806は、ともにデバイス800Aのドリフト領域を形成することができる。
【0059】
p+ウェル領域808は、n型広がり層806内に形成され、n+ソース領域810は、p+ウェル領域808内に形成される。n+ソース領域810は、約1E20cm-3よりも高いドーピング濃度を有するように縮退してドープされている。同様に、p+ウェル領域808は、約1E20cm-3よりも高いドーピング濃度を有するように縮退してドープされている。n+ソース層810およびp+ウェル層808のドーピング濃度は、それぞれn型電流広がり層806、JFET領域812およびドリフト層804のドーピング濃度よりも高い。
n型JFET注入領域812は、p+ウェル領域808に隣接してn型広がり層806内に形成される。n型JFET領域は、n型電流広がり層806のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有する。ゲート絶縁層820は、n型広がり層806上にあり、ゲートコンタクト814は、ゲート絶縁層820上にある。ソースコンタクト818は、n+ソース領域810上に形成され、p+ウェル領域808と接触する。ドレインコンタクト822は、基板802上に形成される。
【0060】
図8Bに示すDMOSFET構造800Bは、図8Aに示すDMOSFET構造と同様の構造を有するが、チャネリング注入を使用することによって、構造内に追加の/異なるフィーチャを形成することができる。具体的には、構造800Bは、p+ウェル808直下に深いp注入領域850を含む。深いp注入領域850は、約1E17cm-3のドーピング濃度を有してもよい。
深いp注入領域850は、ドリフト領域内へ約4.5μmの深さまで延在してもよい。しかしながら、深いp型層850は、n型広がり層846を完全に貫いて延在するほど深くなくてもよい。
また、構造800Bは、より薄い、より高度にドープされたドリフト層844、およびより厚い、より高度にドープされたn型広がり層846を有する。n型広がり層846およびドリフト層844は両方とも、約5μmの厚さを有することができる。
【0061】
すなわち、ドリフト層844よりも多量にドープされたn型広がり層846は、深いp注入領域850よりも構造内へより深く延在するように形成されてもよく、この深いp注入領域850は、n型広がり層846およびドリフト層844の両方よりも多量にドープされている。
領域850内の深いp型注入がドリフト領域内の電荷を相殺するため、ドリフト領域の頂部部分(すなわち、n型広がり層846)は、普通ならば従来の構造に対して可能となるよりも多量にドープされ得る。これによって、デバイス800Bは、所与の阻止電圧に対して普通ならば可能となるものよりも低いオン抵抗を有することができる。具体的には、デバイス800Bは、広がり層846ならびにドリフト層844においてより高いドーピングを有する。オン抵抗は、これらの両方の層の抵抗によって決定され、したがって、オン抵抗は、図8Bに示すデバイス構造800Bでは低減する。
【0062】
ドリフト領域の(深いp注入領域850下方の)底部部分も、従来の構造の対応する部分よりも多量に、例えば、約1.5E16cm-3にドープされてもよい。
一部の実施形態では、深いp注入領域850は、2~5μmの深さまで延在してもよく、1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有してもよい。n型広がり層846は、2~5μmの深さまで延在してもよく、1E16cm-3~2E17cm-3のドーピング濃度を有してもよい。ドリフト層844は、0~10μmの厚さを有してもよく、6E15cm-3~2E16cm-3のドーピング濃度を有してもよい。
【0063】
深いp型注入領域は、上記のようなチャネリングイオン注入によって形成されてもよい。具体的には、深いp型注入領域は、注入の方向とドリフト層の結晶軸との間が約2°未満の注入角度で、炭化ケイ素ドリフト領域へドーパントイオンを注入すること、および注入されたイオンを活性化するために約30,000℃・時間未満の時間温度積で炭化ケイ素層をアニールすることによって形成されてもよい。
注入角度は、一部の実施形態では0.1°よりも大きくてもよい。一部の実施形態では、注入角度は、0.1°~1°、および一部の実施形態では0.1°~5°であってもよい。4.5μmの注入深さを実現するために、注入は、0°の注入角度および900keV以上の注入エネルギーによって室温で行われてもよい。
【0064】
深いp型注入は、注入されたイオンを活性化するために上記のように約30,000℃・時間未満の時間温度積でアニールされてもよい。
2Dシミュレーションを使用して計算された1200Vの阻止モード動作でのデバイスのドリフト領域内の電界が、図9に示されている。具体的には、曲線902は、図8Aに示す従来のデバイス構造における電界のグラフであり、一方曲線904は、図8Bに示すデバイス構造における電界のグラフである。
曲線902によって示すように、図8Aの従来のデバイス構造は、略三角形状の電界を有し、ピーク電界が約1μmの深さの接合で現われている。図8Bの超接合デバイスでは、曲線904によって示す電界は、最初の4.5μmについては略台形であり、ピーク電界は従来のデバイスよりも低い。
また、デバイスシミュレーションは、図8Aの従来のデバイス構造は、25℃で3mΩcm2および150℃で4.4mΩcm2の比オン抵抗を有するが、図8Bの超接合デバイス構造は、25℃で2.5mΩcm2および150℃で3.3mΩcm2の比オン抵抗を有することを示す。オン抵抗の大きな減少は、超接合デバイスに対するより多量のドリフトドーピングによると考えられる。
本発明概念の実施形態は、限定されることなく、トレンチMOSFET、JBSおよびMPSダイオード、図8Bに示す構造と同様の深いP注入および2層ドリフト領域を有するJFETまたはIGBTを含む、多くの様々なタイプのパワー半導体デバイスに適用することができる。
【0065】
さらに、本発明概念の実施形態は、限定されることなく、トレンチMOSFET、JBSおよびMPSダイオード、単層ドリフト領域を有するJFETまたはIGBTを含む、多くの様々なタイプのパワー半導体デバイスに適用することができる。
例えば、図10は、n+基板1002上のn型ドリフト層1004内に形成された深いp型注入領域1006を含むショットキーダイオードを示す。深いp型注入層1006は、約1E17cm-3のドーピング濃度で約2.5μm~4.5μmの深さを有してもよい。深いp型注入領域1006は、約5μmの(すなわち、深いp型注入領域1006の深さよりも厚い)厚さおよび約7E16cm-3のドーピング濃度を有するn型ドリフト層1004内に形成されてもよい。陽極1022は、ドリフト層1004上に形成され、陰極コンタクト1020は、基板1002上に形成される。
【0066】
また、一部の実施形態による超接合デバイスは、(窒素またはリンなどの)n型ドーパントの深いチャネリング注入を使用して作製することができる。この場合、相殺するp型層は、エピタキシャル成長を使用して形成される。この一例が図11に示され、この図は、n+基板1040上のn型ドリフト層1046を含むショットキーダイオード構造を示す。n型ドリフト層1046は、7E16cm-3のドーピング濃度を有する。1E17cm-3のドーピング濃度を有するp型エピタキシャル層1044は、n型ドリフト層1046の上に形成される。ドリフト層1046およびp型エピタキシャル層1044の全体の厚さは、約5μmである。約7E16cm-3の正味のドーピング濃度を有する深いn型注入領域1042は、p型エピタキシャル層1044を貫いて、n型ドリフト層1046内へ延在する。深いn型注入領域1042は、約2.5μm~約4.5μmの深さを有してもよい。
【0067】
上記の説明および図面に関連して、多くの様々な実施形態について本明細書で開示した。これらの実施形態のすべての組合せおよびサブ組合せを文字通りに記載し示すことは、必要以上にくどくなることが理解されるであろう。したがって、実施形態はすべて、任意の仕方および/または組合せで組み合わせることができ、図面を含む本明細書は、本明細書に記載される各実施形態のすべての組合せおよびサブ組合せについての、ならびにそれらを作り使用するやり方およびプロセスについての完全な書面による明細を構成すると解釈されるものとし、いかなるそのような組合せまたはサブ組合せに対する主張をも支持するものとする。
【0068】
図面および明細書では、典型的な実施形態について開示され、特定の用語が用いられているが、それらは、限定するためではなく、単に包括的で記述的な意味において使用され、本発明概念の範囲は、以下の特許請求の範囲に述べられている。
1.結晶軸を有する炭化ケイ素層を用意するステップと、
前記炭化ケイ素層を約300℃以上の温度まで加熱するステップと、
注入の方向と前記結晶軸との間が約2°未満の注入角度で、前記加熱された炭化ケイ素層へドーパントイオンを注入するステップと、
前記注入されたイオンを活性化するために約30,000℃・時間未満の時間温度積で前記炭化ケイ素層をアニールするステップと、
を含む、半導体構造を形成する方法。
2.前記注入角度が0.1°よりも大きい、1に記載の方法。
3.前記注入角度が0.1°~1°である、1に記載の方法。
4.前記注入角度が0.1°~5°である、1に記載の方法。
5.前記炭化ケイ素層が約2°~10°のオフ角を有する軸外し炭化ケイ素層を含む、1に記載の方法。
6.前記注入されたイオンが0°の注入角度で注入された場合に有する深さと比較して、前記炭化ケイ素層内の前記注入されたイオンの深さを低減させるように前記注入角度を制御するステップをさらに含む、1に記載の方法。
7.前記注入中に前記炭化ケイ素層を約500℃以上の温度に維持するステップをさらに含む、1に記載の方法。
8.前記注入中に前記炭化ケイ素層を約1000℃以上の温度に維持するステップをさらに含む、1に記載の方法。
9.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約100keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、1に記載の方法。
10.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約100keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、9に記載の方法。
11.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約50keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、1に記載の方法。
12.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約50keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、11に記載の方法。
13.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.1μmよりも深く1.0μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約30keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、1に記載の方法。
14.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.2μmよりも深く0.3μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約30keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、13に記載の方法。
15.前記ドーパントイオンを注入するステップが、前記注入されたイオンが0.1μmよりも深く0.5μmよりも浅い深さを有するように制御しながら、約10keV以下の注入エネルギーで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、1に記載の方法。
16.前記注入されたイオンが、室温で注入された場合に前記注入されたイオンが有する深さよりも浅い深さを前記炭化ケイ素層内に有する、1に記載の方法。
17.前記炭化ケイ素層は、前記ドーパントイオンが注入されるときに、スクリーニング層がない、1に記載の方法。
18.前記炭化ケイ素層の一部を露出させるマスクを前記炭化ケイ素層上に設けるステップであって、前記マスクが、チャネリングのない場合に同一の注入深さを得るのに必要なエネルギーレベルで行われる注入に対して普通ならば必要とされる厚さの60%未満の厚さを有し、前記ドーパントイオンを注入するステップが前記マスクを介して前記ドーパントイオンを注入する、ステップ
をさらに含む、1に記載の方法。
19.第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、
前記ドリフト領域内のウェル領域であって、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、第2のドーピング濃度を有するウェル領域と、
前記ウェル領域下方の深く注入された領域であって、前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する深く注入された領域と
を備える、電子デバイス。
20.前記ドリフト領域が前記第1のドーピング濃度を有するドリフト層および前記ドリフト層上の第4のドーピング濃度を有する電流広がり層を備え、
前記第4のドーピング濃度が、前記ドリフト層の前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記深く注入された領域の前記第3のドーピング濃度よりも低い、
19に記載の電子デバイス。
21.前記深く注入された領域が前記電流広がり層の厚さよりも浅い深さまで延在する、20に記載の電子デバイス。
22.ドリフト層が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされる厚さよりも薄い厚さを有する、20に記載の電子デバイス。
23.前記電流広がり層の前記第4のドーピング濃度が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされるものよりも高い、20に記載の電子デバイス。
24.前記電子デバイスが、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧に対して得ることができるものよりも低いオン抵抗を有する、20に記載の電子デバイス。
25.前記電流広がり層が約2.5μm~約4.5μmの厚さを有する、20に記載の電子デバイス。
26.前記電流広がり層が約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有する、20に記載の電子デバイス。
27.前記ドリフト層が約2.5μm~約4.5μmの厚さを有する、20に記載の電子デバイス。
28.前記ドリフト層が約6E15cm-3~約2E16cm-3のドーピング濃度を有する、20に記載の電子デバイス。
29.前記深く注入された領域が前記ドリフト領域内へ約2.5μm~約4.5μmの深さまで延在する、19に記載の電子デバイス。
30.前記深く注入された領域が約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有する、19に記載の電子デバイス。
31.前記深く注入された領域が少なくとも約1μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、19に記載の電子デバイス。
32.前記深く注入された領域が少なくとも約1.5μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、19に記載の電子デバイス。
33.前記深く注入された領域が少なくとも約1.75μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、19に記載の電子デバイス。
34.第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、
前記炭化ケイ素ドリフト領域内の深く注入された領域であって、前記第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度を有し、約2.5μm~約4.5μmの第1の深さまで延在し、前記第1の深さが前記炭化ケイ素ドリフト領域の厚さよりも浅い、深く注入された領域と
を備えるショットキーダイオード。
35.炭化ケイ素ドリフト領域が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされる厚さよりも薄い厚さを有する、34に記載のショットキーダイオード。
36.前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧に対して得ることができるものよりも低いオン抵抗を有する、34に記載のショットキーダイオード。
37.前記深く注入された領域が前記ドリフト領域内へ約2.5μm~約4.5μmの深さまで延在する、34に記載のショットキーダイオード。
38.前記深く注入された領域が約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有する、34に記載のショットキーダイオード。
39.第1の導電型および第1のドーピング濃度を有する炭化ケイ素ドリフト層と、
前記炭化ケイ素ドリフト層上の、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、前記第1のドーピング濃度よりも高い第2のドーピング濃度を有する炭化ケイ素エピタキシャル層であって、約2.5μmよりも厚い厚さを有する、炭化ケイ素エピタキシャル層と、
炭化ケイ素ドリフト領域を貫いて、前記炭化ケイ素ドリフト層内へ延在する深く注入された領域であって、前記第1の導電型を有し、前記第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する、深く注入された領域と
を備えるショットキーダイオード。
40.第1の導電型および第1のドーピング濃度を有し、結晶軸を有する炭化ケイ素ドリフト領域を用意するステップと、
前記ドリフト領域内のウェル領域を形成するステップであって、前記ウェル領域が、前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、第2のドーピング濃度を有する、ステップと、
前記第2の導電型を有し、前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記第2のドーピング濃度よりも低い第3のドーピング濃度を有する、前記ウェル領域下方の深く注入された領域を形成するためにドーパントイオンを注入するステップであって、注入の方向と前記結晶軸との間が約2°未満の注入角度で、前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、ステップと
を含む、電子デバイスを形成する方法。
41.前記注入角度が0.1°よりも大きい、40に記載の方法。
42.前記注入角度が0.1°~1°である、40に記載の方法。
43.前記ドリフト領域が前記第1のドーピング濃度を有するドリフト層を備え、前記方法が、前記ドリフト層上の第4のドーピング濃度を有する電流広がり層を形成するステップをさらに含み、
前記第4のドーピング濃度が前記ドリフト層の前記第1のドーピング濃度よりも高く、前記深く注入された領域の前記第3のドーピング濃度よりも低い、
39に記載の方法。
44.前記ドーパントイオンを注入するステップが前記電流広がり層の厚さよりも浅い深さまで前記ドーパントイオンを注入するステップを含む、43に記載の方法。
45.ドリフト層が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされる厚さよりも薄い厚さを有する、43に記載の方法。
46.前記電流広がり層の前記第4のドーピング濃度が、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧を保持するのに必要とされるものよりも高い、43に記載の方法。
47.前記電子デバイスが、前記深く注入された領域が存在しない場合に所与の逆阻止電圧に対して得ることができるものよりも低いオン抵抗を有する、43に記載の方法。
48.前記電流広がり層が約2.5μm~約4.5μmの厚さを有する、43に記載の方法。
49.前記電流広がり層が約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有する、43に記載の方法。
50.前記ドリフト層が約0μm~約10μmの厚さを有する、43に記載の方法。
51.前記ドリフト層が約6E15cm-3~約2E16cm-3のドーピング濃度を有する、43に記載の方法。
52.前記深く注入された領域が前記ドリフト層内へ約2.5μm~約4.5μmの深さまで延在する、39に記載の方法。
53.前記深く注入された領域が約1E16cm-3~約2E17cm-3のドーピング濃度を有する、39に記載の方法。
54.前記深く注入された領域が前記ウェル領域と接触する、39に記載の方法。
55.炭化ケイ素層と、
注入されたドーパント原子を含有する前記炭化ケイ素層内の注入領域であって、約2.5μm~約4.5μmの深さまで炭化ケイ素層内へ延在し、少なくとも約1μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、注入領域と
を備える、製造物品。
56.前記注入領域が少なくとも約1.5μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、55に記載の物品。
57.前記注入領域が少なくとも約1.75μmの深さを超えてピーク濃度から約25%未満だけ異なるドーピング濃度を有する、56に記載の物品。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11