(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】体重増加抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/752 20060101AFI20220128BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220128BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220128BHJP
【FI】
A61K36/752
A61P3/04
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2017064205
(22)【出願日】2017-03-29
【審査請求日】2020-01-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年2月20日に第32回日本静脈経腸栄養学会学術集会の抄録集のウエブページhttp://kapp.expcp.jp/jspen2017/schedule/2017-02-24に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年2月24日にANAクラウンプラザホテル岡山において開催された、第32回日本静脈経腸栄養学会学術集会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(73)【特許権者】
【識別番号】399118955
【氏名又は名称】馬路村農業協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 俊二
(72)【発明者】
【氏名】渡部 嘉哉
(72)【発明者】
【氏名】宮本 美緒
(72)【発明者】
【氏名】東谷 望史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 公人
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221001(JP,A)
【文献】特開2007-297343(JP,A)
【文献】特開2014-065664(JP,A)
【文献】日本農芸化学会2012年度大会講演要旨集(オンライン), (2012.03.05), p.488(2J14p12)<URL:https://katosei.jsbba.or.jp/MeetingofJSBBA/2012/MeetingofJSBBA2012.pdf>
【文献】ユズ果汁びん詰製品中の浮遊物および果汁の成分特性 農研機構, [online], Internet Archive:Wayback Machine,2013.02.27,[Retrieved on 2020-DEC-17], Retrieved from the internet:<URL:https://web.archive.org/web/20130227014946/https://www.naro.affrc.go.jp/org/warc/research_results/h09/ryutu/cgk97088.html>
【文献】umaji 2016年秋冬パンフレット, 馬路村ゆず化粧品事業部, 2016, <URL:https://www.yuzu.or.jp/_cosme/img/pnf201610.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/752
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユズ種子圧搾オイルを有効成分として含むことを特徴とする体重増加抑制剤。
【請求項2】
経口投与されるものである請求項1に記載の体重増加抑制剤。
【請求項3】
更に、基材、賦形剤、着色剤、滑沢剤、矯味剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、界面活性剤、抗酸化剤、佐薬、緩衝剤、pH調整剤、甘味料、および香料から選択される1以上の添加成分を含む請求項1または2に記載の体重増加抑制剤。
【請求項4】
1日あたり1mL以上、50mL以下服用される請求項1~3のいずれかに記載の体重増加抑制剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の体重増加抑制剤を含むことを特徴とする
体重増加抑制用健康食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全で害が少ないと考えられる一方で優れた体重増加抑制作用を示す体重増加抑制剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化や運動不足などを原因として、日本でも肥満が問題になっている。また、体型維持の観点からも、体重増加の抑制手段は注目されている。体重の低減のためには、様々な食事制限療法が提案されている。しかし食事制限療法には、医師などによる指導が伴わない限り、栄養の偏りによる体調や精神の不調につながりかねないという問題がある。また、リパーゼ阻害剤などの所謂ダイエット薬が日本でも承認されているが、合成医薬品には常に副作用の問題がある。例えばリパーゼ阻害剤であるオルリスタットには、下痢の他、肝臓障害、腎臓障害、胆石症といった重篤な副作用が認められることがある。そこで、安全で継続的な服用も可能な体重増加抑制剤が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、梅肉エキスを有効成分として含む体重増加抑制剤が開示されている。特許文献2には、ε-ポリリジンを含む体重増加抑制剤が開示されている。特許文献3には、サラシア属植物抽出物や、海水魚のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンペプチドを含む体重増加抑制組成物が開示されている。
【0004】
ところで、本発明者らの研究グループは、ユズの生理作用に関する研究を種々行っている。例えば、ユズ種子圧搾オイルが抗アレルギー作用や抗酸化作用を有することを見出している(特許文献4,5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-166132号公報
【文献】特開2007-039428号公報
【文献】特開2011-173847号公報
【文献】特開2013-082647号公報
【文献】特開2014-065664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、体重増加抑制作用を示す薬剤は種々開発されているが、安全で且つ高い効果を示す薬剤は常に求められている。
そこで本発明は、安全であり毎日の使用も可能であって、優れた体重増加抑制作用を示す体重増加抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた。その結果、食用にも利用されているユズ果実が優れた体重増加抑制作用を示す成分を含むことを実験的に明らかにして、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
【0008】
[1] ユズ果実の少なくとも一部を有効成分として含むことを特徴とする体重増加抑制剤。
[2] ユズ種子オイルを含む上記[1]に記載の体重増加抑制剤。
[3] ユズ種子圧搾オイルを含む上記[2]に記載の体重増加抑制剤。
[4] ユズ果汁を含む上記[1]に記載の体重増加抑制剤。
[5] 経口投与されるものである上記[1]~[4]のいずれかに記載の体重増加抑制剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る体重増加抑制剤は、食用に利用されているユズ果実の少なくとも一部を主要な有効成分とするものであることから安全性に優れ、毎日の服用も可能である。その上、極めて優れた体重増加抑制作用を示す。また、本発明者らによる実験的知見によれば、通常の食餌を摂った上で本発明の体重増加剤を服用するのみで、体重増加の抑制が認められている。従って、本発明に係る体重増加抑制剤は、体調や精神の不調を惹起させず、また、服用者に苦痛を感じさせることなく、体重の増加を効果的に抑制できるものとして、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るユズ種子圧搾オイルによる体重増加抑制作用を示すグラフである。
【
図2】
図2は、本発明に係るユズ果汁による体重増加抑制作用を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の体重増加抑制剤は、成長や、食物の過剰摂取などによる体重増加を効果的に抑制することができる。また、いったん増加した体重を減少させることができる可能性もある。なお、本発明において「体重増加の抑制」とは、本発明に係る体重増加抑制剤を服用しない場合に比べて体重の増加程度が低減されている場合の他、体重の維持や低減も含まれる概念である。
【0012】
本発明に係る体重増加抑制剤は、ユズ果実の少なくとも一部を有効成分として含む。ユズ(Citrus junos)はミカン科ミカン属に分類される植物であり、柑橘類の中では比較的寒さに強いため、日本各地で栽培されている。その果実は、ビタミンC、クエン酸、酒石酸などを含み、酸味が強くそのままでは食材に向かないが、独特で良好な香りにより、主に調味料として食材に香味や酸味を加えるために用いられる。具体的には、果汁は焼き魚などへの香味付けのために用いられ、また、果皮は細切りして汁物などに加えられる。その他、果皮を砂糖漬けにすることもある。
【0013】
ユズの果実は、主に、外皮と内皮からなる果皮、果肉を区分けしているじょう嚢、じょう嚢に包まれている砂じょう、砂じょうと共にじょう嚢内にある種子を含む。本発明に係る体重増加抑制剤の有効成分としては、ユズの種子オイル、特にユズ種子圧搾オイル、および、砂じょうに含まれる果汁が好ましい。
【0014】
上記の通り、ユズの果実はその果汁や果皮が利用され、種子の有効利用はされてきておらず、種子はかえって廃棄されていた。よって、本発明におけるユズ種子の使用は、廃棄物の有効利用にもつながる。ユズ種子オイルとは、ユズの種子に含まれる疎水性成分をいう。当該オイルの有効成分がグリセライドであるか、脂肪酸エステルであるか、或いは炭化水素類などであるかは不明であるが、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸など、不飽和長鎖脂肪酸もしくは飽和長鎖脂肪酸、またはそれらの誘導体が含まれる。少なくとも、本発明では複数の有効成分が複合的に作用して体重増加抑制作用を発揮していると考えられる。
【0015】
本発明で用いるユズ種子オイルは、圧搾オイルや抽出オイルなど特に制限されないが、抽出オイルにはヘキサンなどの抽出有機溶媒の残留の懸念があり、また、圧搾オイルにはユズ種子に含まれるオイルが万遍無く含まれていると考えられ、さらに、ユズ種子圧搾オイルによる優れた体重増加抑制作用は実験的に確認されているため、ユズ種子圧搾オイルがより好ましい。
【0016】
本発明に係るユズ種子オイルは、ユズ種子圧搾オイルをさらに蒸留やクロマトグラフィなどで処理したものであってもよい。蒸留の圧力や温度は、例えば、5Pa以上、0.1MPa以下の減圧下、10℃以上、200℃以下の範囲で適宜決定すればよい。ユズ種子圧搾オイルには様々な有効成分が含まれており、それぞれが単独で、或いは他の成分と協働的に抗酸化作用を発揮している可能性がある。よって、ユズ種子圧搾オイルからさらに蒸留したものを用いることによって、より優れた体重増加抑制作用が発揮される可能性がある。
【0017】
本発明に係る体重増加抑制剤の有効成分であるユズ果実の少なくとも一部は、原料であるユズ果実を水洗した後、必要な部分を分離して得ることができる。例えば、ユズ果汁は砂じょう内に含まれる液体であり、搾汁機を使ってユズ果実から容易に得ることができる。搾汁機としては、柑橘類一般に使用可能であるものであれば特に制限されないが、例えば、インライン搾汁機、チョッパーパルパー搾汁機、ベルトプレス搾汁機、キャタピラ搾汁機、シトラスマスター搾汁機、シトロマット搾汁機、ブラウン搾汁機、遠心分離搾汁機、スクリュープレス搾汁機などを挙げることができる。なお、これら搾汁機は、事前に果皮などを分離しなくても、果実から果汁が直接得られるよう工夫されている。
【0018】
ユズ種子オイルの原料となるユズ種子は、ユズ果実から果汁を分離した残渣から得られる。原料であるユズ種子は、洗浄した後、水分の混入をできる限り抑えるために乾燥することが好ましい。但し、有効成分の分解などを避けるため、加熱温度は必要以上に上げるべきではない。よって、常温で風乾するか、60℃以下で乾燥すべきである。また、ユズ種子の水分含量は、10%以下にすることが好ましい。
【0019】
ユズ種子からオイルを抽出する方法は特に制限されず、常法を用いることができる。例えば、ヘキサンなどの有機溶媒中でユズ種子を粉砕し、必要に応じて加温してオイルを抽出した後、固形成分から有機相を分離し、有機溶媒を留去すればよい。また、ユズ種子からオイルを圧搾する方法も特に制限されない。例えば、圧搾機を用いて容易に得ることができる。圧搾機は主にフィルタープレス機などの直圧式圧搾機とスクリュープレス機などのスクリュー式圧搾機に分けられる。
【0020】
スクリュープレス機は、一組以上の雄螺子と雌螺子をフレーム内で回転させることにより加圧力を発生させる形式のプレス機械である。スクリュープレス機を用いれば、乾燥されたユズ種子を特別に処理することなく直接圧搾できる利点がある。スクリュープレス機は様々なものが販売されていることから、ユズ種子の大きさや実施規模に応じたものを選択して用いることができる。フィルタープレス機とは、ポンプで濾板と濾布を重ねたものの中に原液を圧入して強制的に濾過を行う装置である。よって、先ずはユズ種子を粉砕し、固形分からオイル分を圧搾する必要がある。
【0021】
また、ユズ種子を粉砕することにより固形分からオイル分を圧搾した場合、当該オイル分は遠心分離機やデカンテーションなどにより分離することができる。粉砕手段は特に制限されないが、例えば、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミル、ロッドミル、サンプルミル、スタンプミル、エヒスインテグレーター、冷却装置付きブレンダーなどを用いることができる。
【0022】
得られた果汁やユズ種子圧搾オイルは、さらなる活性向上のためや所望の作用効果向上のため、さらに精製してもよい。精製手段としては、蒸留やクロマトグラフィを挙げることができる。
【0023】
本発明に係る体重増加抑制剤は、非常に優れた体重増加抑制作用を示す。その一方で、食用にも利用されているユズ果実の成分を有効成分としているために、安全性が非常に高く、恒常的な使用も可能であると考えられる。よって、例えば、過剰に増加した体重を低減するために一日あたり複数回の服用も可能であり、また、長期にわたる体重の維持などを目的として恒常的な服用も可能である。
【0024】
本発明に係る体重増加抑制剤の使用量は、服用者の状態、年齢、性別などに応じて適宜調整すべきであり、特に制限されない。例えば、本発明に係る体重増加抑制剤の服用量は、体重増加抑制作用が認められる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、ユズ種子オイルまたはユズ果汁の摂取量が1日あたり1mL以上、50mL以下程度となるように、1日当たり1回以上、5回以下程度服用することができる。なお、ユズは酸味が強いために、通常、直接食用とされることはなく、他の食品の臭み消しや香り付け、調味料などとして使用されることが多く、一般的には体重増加抑制作用が認められる程度の量が恒常的に摂取されていることはない。また、服用者としては、ヒトの他、愛玩動物などヒト以外の動物が考えられる。
【0025】
本発明に係る体重増加抑制剤の剤形は特に制限されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、エアゾール剤などの内服剤;塗布剤、軟膏剤、ローション剤などの外用剤;エアゾール剤などの吸入剤;注射剤;坐剤などとすることができる。本発明に係る抗酸化剤は、剤形に応じて様々な添加成分を配合してもよい。例えば、基材、賦形剤、着色剤、滑沢剤、矯味剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、界面活性剤、抗酸化剤、佐薬、緩衝剤、pH調整剤、甘味料、香料などを添加することができる。また、これら添加剤の配合量は、本発明の作用効果を妨げない様な量で有る限り、必要に応じて適宜設定することができる。さらに、他の薬効成分を添加してもよい。好適には経口製剤とする。
【0026】
また、本発明に係る体重増加抑制剤は、体重増加抑制効果が認められる限り、ユズ種子オイルやユズ果汁などユズ果実の一部そのものであってもよいし、また、ユズ果実の一部を含む食品であってもよいものとする。
【0027】
本発明の体重増加抑制剤は、過剰に増加した体重の低減や、体重の維持、過剰な体重の増加の抑制などに適用することができる。また、本発明の体重増加抑制剤は安全性が高いので、上記の目的の他、体重増加の予防目的の薬剤として、或いは体重増加の予防効果を有する健康食品または健康飲料として、恒常的に継続して使用することもできる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0029】
実施例1
(1) ユズ果汁とユズ種子圧搾オイルの製造
高知県安芸郡馬路村産の完熟ユズ果実から大きなキズなどの問題が無いものを選別した上で、水で洗浄した。洗浄したユズ果実の下部に切れ込みを入れた後、キャタピラ式果実搾汁機(井河鉄工所社製,製品名「果汁搾汁機」)を用いて圧搾することにより、種子を含む果汁を得た。次いで、100メッシュの振動篩を用い、果汁と種子を分離した。得られた種子は、50℃以下の温度で、水分含量が10%以下になるまで乾燥した。
上記乾燥ユズ種子をスクリュープレス(Reinartz社製,製品名「Screwpress type AP 10/06」)で搾油し、ユズ種子の圧搾オイルを得た。
【0030】
(2) ユズ種子圧搾オイルの体重抑制作用の評価
8週齢の雌性ICRマウスを10匹ずつのユズ種子圧搾オイル投与群と対照群に任意に分けた。ユズ種子圧搾オイル投与群には、午前8~9時の間に、ゾンデを使ってマウスの体重1gあたり10μLのユズ種子圧搾オイルを胃内に28日間にわたって直接投与した。対照群には、ユズ種子圧搾オイル投与群と同一のストレスを与えるために、体重1gあたり10μLの水をゾンデで胃内に直接投与した。両群には高脂肪飼料(「Diet No.D15001」日本クレア社製,コレステロール2%、コール酸1%およびヤシ油5%を含む)と水を自由摂取させ、1日に1回、投与時に体重を測定した。測定結果を
図1に示す。
図1中、縦軸は体重、横軸は投与日数を示し、各プロットは各群10匹のマウスの体重平均値を示し、エラーバーは標準偏差を示している。
投与28日目の体重平均はそれぞれ、対照群で33.9±2.93g、ユズ種子圧搾オイル投与群で31.9±2.41gと、ユズ種子圧搾オイル投与群が低値を示した。投与28日目の対照群とユズ種子圧搾オイル投与群とをt検定で評価すると、p値は0.057であった。つまり、ユズ種子圧搾オイルの経口投与によって体重の増加が抑制される傾向が確認された。
【0031】
(3) ユズ果汁の体重抑制作用の評価
8週齢の雌性ICRマウスを12匹ずつのユズ果汁投与群と対照群に任意に分けた。ユズ果汁投与群には、10v/v%に希釈したユズ果汁を吸水瓶から自由に摂取させた。対照群には、吸水瓶で水を自由に摂取させた。また、両群には通常飼料(「CE-2」日本クレア社製)を自由摂取させ、28日間にわたり、体重を隔日で測定した。結果を
図2に示す。
図2中、縦軸は体重、横軸は投与日数を示し、各プロットは各群12匹のマウスの体重平均値を示し、エラーバーは標準偏差を示している。
投与28日目の体重平均はそれぞれ、対照群で37.2±2.81g、ユズ果汁投与群で36.0±2.11gと、ユズ果汁投与群が低値を示した。投与28日目の対照群とユズ果汁投与群とをt検定で評価すると、p値は0.052であった。つまり、ユズ果汁の経口投与によって体重の増加が抑制される傾向が確認された。