(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】骨塩情報取得装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220128BHJP
A61B 6/02 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/02 301H
(21)【出願番号】P 2018109990
(22)【出願日】2018-06-08
【審査請求日】2020-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知幸
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-147863(JP,A)
【文献】特開2010-167159(JP,A)
【文献】特開2014-054301(JP,A)
【文献】特開2015-084805(JP,A)
【文献】特開2015-043959(JP,A)
【文献】特開2008-167949(JP,A)
【文献】特開平06-086777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から出射された放射線を被写体の正面から照射する基準線源位置を含む複数の線源位置から、骨部および軟部を含む
前記被写体
に面状に前記放射線を照射することにより取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像
のうちの、
前記基準線源位置において取得された1つの放射線画像の画素毎に前記被写体の体厚を推定する体厚推定部と、
前記複数の放射線画像に基づいて前記1つの放射線画像の撮影方向における骨部の厚さを取得し、前記
1つの放射線画像
における骨部領域の画素値を、骨部の厚さと、骨部領域の画素値と、放射線画像に含まれる軟部領域の影響を除去した骨部画素値との関係を規定したテーブルまたは演算式により変換することによって、前記
1つの放射線画像における骨部領域の
画素毎に骨部画素値を取得する骨部画素値取得部と、
前記放射線源に印加される管電圧に応じて用意された、体厚と補正係数との関係を規定したテーブルであって、前記補正係数は、前記骨部画素値を、基準撮影条件である基準管電圧により取得される放射線画像に含まれる骨部領域の画素毎の画素値に変換するための補正係数であるテーブルを参照して、前記
1つの放射線画像を取得した際の撮影条件
に含まれる管電圧および前記画素毎の体厚
に応じた補正係数を取得し、前記取得した補正係数により前記骨部画素値
を補正することによって、前記骨部領域の画素毎に該骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する情報取得部とを備えた骨塩情報取得装置。
【請求項2】
前記放射線源を検出部に対して相対的に移動させ、前記放射線源の移動による
前記複数の線源位置において、前記被写体に前記放射線を照射するトモシンセシス撮影により生成された、前記複数の線源位置のそれぞれに対応する複数の投影画像を前記複数の放射線画像として取得する画像取得部と、
前記複数の放射線画像を再構成することにより、
前記1つの放射線画像の撮影方向に直交する前記被写体の複数の断層面のそれぞれにおける複数の断層画像を生成する再構成部とをさらに備え、
前記骨部画素値取得部は、前記複数の断層画像に含まれる前記骨部の領域に基づいて
前記骨部の厚さを取得
する請求項1に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項3】
前記被写体の側面から前記放射線を照射する線源位置から前記被写体に前記放射線を照射することにより生成された、撮影方向が前記1つの放射線画像と直交する他の放射線画像および前記1つの放射線画像を、前記複数の放射線画像
として取得する画像取得部をさらに備え、
前記骨部画素値取得部は、前記
他の放射線画像に含まれる前記骨部の領域に基づいて
前記骨部の厚さを取得
する請求項1に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項4】
前記骨塩情報に関連する関連情報を表示部に表示する表示制御部をさらに備えた請求項1から
3のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記
1つの放射線画像から取得された、前記被写体の軟部領域を表す軟部画像、または前記
1つの放射線画像に前記骨塩情報を重畳した合成画像を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記骨塩情報から算出された骨強度を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4または
5に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記被写体が複数の骨を含む場合、骨毎に取得された前記関連情報を前記表示部に表示する請求項
4から
6のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記骨部領域内の部分領域についての前記関連情報を前記表示部に表示する請求項
4から
7のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項9】
前記部分領域は、前記骨部領域における海綿骨の領域である請求項
8に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記被写体が複数の骨を含む場合、骨間における前記骨塩情報の比較結果を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4から
9のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記骨部領域内の部分領域間における前記骨塩情報の比較結果を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4から
10のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、同一被
写体に関して取得日時が異なる過去の骨塩情報と前記骨塩情報との比較結果を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4から
11のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記骨部領域が椎骨領域である場合、脊柱のアライメントおよび前記骨塩情報から生成された骨折リスクを表す情報を、前記関連情報として前記表示部に表示する請求項
4から
12のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項14】
前記関連情報を生成する関連情報生成部をさらに備えた請求項
4から
13のいずれか1項に記載の骨塩情報取得装置。
【請求項15】
放射線源から出射された放射線を被写体の正面から照射する基準線源位置を含む複数の線源位置から、骨部および軟部を含む
前記被写体
に面状に前記放射線を照射することにより取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像
のうちの、
前記基準線源位置において取得された1つの放射線画像の画素毎に前記被写体の体厚を推定し、
前記複数の放射線画像に基づいて前記1つの放射線画像の撮影方向における骨部の厚さを取得し、前記
1つの放射線画像
における骨部領域の画素値を、骨部の厚さと、骨部領域の画素値と、放射線画像に含まれる軟部領域の影響を除去した骨部画素値との関係を規定したテーブルまたは演算式により変換することによって、前記
1つの放射線画像における骨部領域の
画素毎に骨部画素値を取得し、
前記放射線源に印加される管電圧に応じて用意された、体厚と補正係数との関係を規定したテーブルであって、前記補正係数は、前記骨部画素値を、基準撮影条件である基準管電圧により取得される放射線画像に含まれる骨部領域の画素毎の画素値に変換するための補正係数であるテーブルを参照して、前記
1つの放射線画像を取得した際の撮影条件
に含まれる管電圧および前記画素毎の体厚
に応じた補正係数を取得し、前記取得した補正係数により前記骨部画素値
を補正することによって、前記骨部領域の画素毎に該骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する骨塩情報取得方法。
【請求項16】
放射線源から出射された放射線を被写体の正面から照射する基準線源位置を含む複数の線源位置から、骨部および軟部を含む
前記被写体
に面状に前記放射線を照射することにより取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像
のうちの、
前記基準線源位置において取得された1つの放射線画像の画素毎に前記被写体の体厚を推定する手順と、
前記複数の放射線画像に基づいて前記1つの放射線画像の撮影方向における骨部の厚さを取得し、前記
1つの放射線画像
における骨部領域の画素値を、骨部の厚さと、骨部領域の画素値と、放射線画像に含まれる軟部領域の影響を除去した骨部画素値との関係を規定したテーブルまたは演算式により変換することによって、前記
1つの放射線画像における骨部領域の
画素毎に骨部画素値を取得する手順と、
前記放射線源に印加される管電圧に応じて用意された、体厚と補正係数との関係を規定したテーブルであって、前記補正係数は、前記骨部画素値を、基準撮影条件である基準管電圧により取得される放射線画像に含まれる骨部領域の画素毎の画素値に変換するための補正係数であるテーブルを参照して、前記
1つの放射線画像を取得した際の撮影条件
に含まれる管電圧および前記画素毎の体厚
に応じた補正係数を取得し、前記取得した補正係数により前記骨部画素値
を補正することによって、前記骨部領域の画素毎に該骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する手順とをコンピュータに実行させる骨塩情報取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨を含む放射線画像を用いて骨塩情報を取得する骨塩情報取得装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症等の骨系疾患において、骨密度の診断に用いられる代表的な骨塩定量方法の一つにDXA法(Dual X-ray Absorptiometry)が知られている。DXA法は、人体に入射し透過する放射線が、人体を構成する物質(例えば骨)に依存する質量減弱係数μ(cm2/g)とその密度ρ(g/cm3)および厚さt(cm)によって特徴づけされる減弱を受けることを利用し、2種類のエネルギーの放射線で撮影して得られた放射線画像のピクセル値から、骨塩量を算出する手法である。
【0003】
また、照射された放射線に応じた電荷を蓄積する複数の画素を含む放射線検出器を2つ備え、これらの2つの放射線検出器が積層されて配置された放射線画像撮影装置が知られている。また、この種の放射線画像撮影装置において、各放射線検出器に照射された放射線の線量に応じた電気信号の各々を用いて、被写体の骨塩量を測定する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、放射線画像を取得する際には、被写体内において放射線が散乱することにより散乱線が発生するが、DXA法においては、散乱線の影響が低減されるように放射線を被写体に照射している。DXA法により骨塩情報を取得するためには、上記のように放射線を被写体に照射するための専用の装置が必要となることから、既存の設備を使用することができない。また、DXA法は、個々の骨についての骨塩量を算出するものであるため、骨の部分毎に骨塩情報を評価することができない。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みなされたものであり、既存の設備を使用して骨塩情報を取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による骨塩情報取得装置は、骨部および軟部を含む被写体を透過した放射線により取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像に基づいて、複数の放射線画像のうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体の体厚を推定する体厚推定部と、
少なくとも1つの放射線画像に基づいて、被写体の骨部領域の画素値である骨部画素値を取得する骨部画素値取得部と、
少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する情報取得部とを備える。
【0008】
なお、本開示による骨塩情報取得装置においては、放射線源を検出部に対して相対的に移動させ、放射線源の移動による複数の線源位置において、被写体に放射線を照射するトモシンセシス撮影により生成された、複数の線源位置のそれぞれに対応する複数の投影画像を複数の放射線画像として取得する画像取得部と、
複数の放射線画像を再構成することにより、被写体の複数の断層面のそれぞれにおける複数の断層画像を生成する再構成部とをさらに備え、
骨部画素値取得部は、複数の断層画像に含まれる骨部の領域に基づいて、断層面に直交する方向における骨部の厚さを取得し、骨部の厚さに基づいて、骨部画素値を取得するものであってもよい。
【0009】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、互いに直交する複数の方向から被写体に放射線を照射することにより生成された、複数の放射線画像を取得する画像取得部をさらに備え、
骨部画素値取得部は、複数の放射線画像に含まれる骨部の領域に基づいて、複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像の撮影方向における骨部の厚さを取得し、骨部の厚さに基づいて、骨部画素値を取得するものであってもよい。
【0010】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、情報取得部は、骨部画素値を、基準撮影条件に基づいて取得される放射線画像に含まれる骨部領域の画素値に変換することにより、骨塩情報を取得するものであってもよい。
【0011】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、基準撮影条件は、少なくとも1つの放射線画像を取得する際に、放射線源に印加される管電圧であってもよい。
【0012】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、情報取得部は、基準撮影条件、体厚に応じたビームハードニング、および撮影時における散乱線除去グリッドの有無の少なくとも1つの情報に応じた補正係数に基づいて、骨部画素値を変換することにより骨塩情報を取得するものであってもよい。
【0013】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、骨塩情報に関連する関連情報を表示部に表示する表示制御部をさらに備えるものであってもよい。
【0014】
骨塩情報に関連する関連情報は、骨塩情報から算出される新たな情報、および骨塩情報と他の情報とから算出される新たな情報を含む。また、関連情報は骨塩情報そのものであってもよい。
【0015】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、少なくとも1つの放射線画像から取得された、被写体の軟部領域を表す軟部画像、または少なくとも1つの放射線画像に骨塩情報を重畳した合成画像を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0016】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、骨塩情報から算出された骨強度を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0017】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、被写体が複数の骨を含む場合、骨毎に取得された関連情報を表示部に表示するものであってもよい。
【0018】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、骨部領域内の部分領域についての関連情報を表示部に表示するものであってもよい。
【0019】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、部分領域は、骨部領域における海綿骨の領域であってもよい。
【0020】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、被写体が複数の骨を含む場合、骨間における骨塩情報の比較結果を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0021】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、骨部領域内の部分領域間における骨塩情報の比較結果を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0022】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、同一被検体に関して取得日時が異なる過去の骨塩情報と取得した骨塩情報との比較結果を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0023】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、表示制御部は、骨部領域が椎骨領域である場合、脊柱のアライメントおよび骨塩情報から生成された骨折リスクを表す情報を、関連情報として表示部に表示するものであってもよい。
【0024】
また、本開示による骨塩情報取得装置においては、関連情報を生成する関連情報生成部をさらに備えるものであってもよい。
【0025】
本開示による骨塩情報取得方法は、骨部および軟部を含む被写体を透過した放射線により取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像に基づいて、複数の放射線画像のうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体の体厚を推定し、
少なくとも1つの放射線画像に基づいて、被写体の骨部領域の画素値である骨部画素値を取得し、
少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する。
【0026】
なお、本開示による骨塩情報取得方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0027】
本開示による他の骨塩情報取得装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
骨部および軟部を含む被写体を透過した放射線により取得された、一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像に基づいて、複数の放射線画像のうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体の体厚を推定し、
少なくとも1つの放射線画像に基づいて、被写体の骨部領域の画素値である骨部画素値を取得し、
少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する処理を実行する。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、複数の放射線画像のうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体の体厚が推定され、少なくとも1つの放射線画像に基づいて被写体の骨部領域の画素値である骨部画素値が取得される。そして、少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報が取得される。このため、DXA法のように専用の装置を使用しなくても、骨塩情報を取得することができる。また、骨部領域の画素毎に骨塩情報が取得されるため、骨の部分毎に骨塩情報を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の実施形態による骨塩情報取得装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図
【
図2】本実施形態による骨塩情報取得装置の概略構成を示す図
【
図5】複数の断層画像のうちの一部の断層画像を断層面が並ぶ順に示す図
【
図7】体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示す図
【
図8】補正係数を取得するためのルックアップテーブルを示す図
【
図11】本実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【
図14】表示部に表示された骨塩情報の統計値を示す図
【
図15】表示部に表示された骨塩情報の統計値を示す図
【
図16】表示部に表示された骨部領域内の部分領域の骨塩情報の統計値を示す図
【
図17】表示部に表示された部分領域の骨塩情報の統計値を示す図
【
図18】表示部に表示された部分領域の骨塩情報の統計値を示す図
【
図19】表示部に表示された部分領域の骨塩情報の統計値を示す図
【
図20】表示部に表示された骨間の統計値の比較結果を示す図
【
図21】表示部に表示された部分領域間の統計値の比較結果を示す図
【
図22】表示部に表示された骨塩情報の比較結果を示す図
【
図24】体厚を推定するための他の手法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は本開示の実施形態による骨塩情報取得装置を適用した放射線画像撮影システムの構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影システムは、被写体Hを撮影して放射線画像を取得し、取得した放射線画像を用いて骨塩情報を取得するためのものであり、撮影装置1と、本実施形態による骨塩情報取得装置を内包するコンピュータ2とを備える。
【0031】
撮影装置1は、トモシンセシス撮影を行うためのものであり、X線源3、放射線検出器5およびX線源3の移動機構6を備える。なお、
図1においては、被写体Hを支持するための撮影台を省略している。X線源3は移動機構6により円弧または直線に沿って移動し、移動経路上の複数の位置において、被写体HにX線を照射する。本実施形態においては
図1の矢印Aに示すように、円弧に沿ってX線源3を移動させるものとする。なお、トモシンセシス撮影の詳細については後述する。トモシンセシス撮影により取得された複数の放射線画像は、骨塩情報取得装置であるコンピュータ2に入力される。なお、本実施形態においては、被写体Hの撮影時には、被写体Hを透過したX線の散乱線成分を除去する散乱線除去グリッドは使用されない。このため、複数の放射線画像には、被写体Hを透過したX線の一次線成分および散乱線成分がそれぞれ含まれる。
【0032】
放射線検出器5は、放射線画像の記録および読み出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する直接型の放射線検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する間接型の放射線検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフさせることによって放射線画像信号が読み出されるTFT読出方式のもの、または読取り光を照射することによって放射線画像信号が読み出される光読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0033】
コンピュータ2には表示部8および入力部9が接続されている。表示部8は、CRT(Cathode Ray Tube)あるいは液晶ディスプレイ等からなり、撮影により取得された放射線画像およびコンピュータ2において行われる処理に必要な各種入力の補助を行う。入力部9は、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等からなる。
【0034】
コンピュータ2には、本実施形態の骨塩情報取得プログラムがインストールされている。本実施形態においては、コンピュータは、操作者が直接操作するワークステーションあるいはパソコンでもよいし、それらとネットワークを介して接続されたサーバコンピュータでもよい。骨塩情報取得プログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。もしくは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0035】
図2は、本実施形態において、コンピュータ2に骨塩情報取得プログラムをインストールすることにより実現された骨塩情報取得装置の概略構成を示す図である。
図2に示すように、骨塩情報取得装置は、標準的なコンピュータの構成として、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22およびストレージ23を備えている。
【0036】
ストレージ23は、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスからなり、撮影装置1の各部を駆動するためのプログラムおよび骨塩情報取得プログラムを含む各種情報が記憶されている。また、撮影により取得された複数の放射線画像Giも記憶される。
【0037】
メモリ22には、各種処理をCPU21に実行させるために、ストレージ23に記憶されたプログラム等が一時的に記憶される。骨塩情報取得プログラムは、CPU21に実行させる処理として、撮影装置1に撮影を行わせて一次線成分および散乱線成分をそれぞれ含む複数の放射線画像を取得する画像取得処理、複数の放射線画像のうちの少なくとも1つの放射線画像に基づいて、少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体Hの体厚を推定する体厚推定処理、少なくとも1つの放射線画像に基づいて、被写体Hの骨部領域の画素値である骨部画素値を取得する骨部画素値取得処理、少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する情報取得処理、骨塩情報に関連する関連情報を生成する関連情報生成処理、関連情報を表示部に表示する表示制御処理、および複数の放射線画像を再構成して断層画像を生成する再構成処理を規定する。
【0038】
そして、CPU21が骨塩情報取得プログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータ2は、画像取得部31、体厚推定部32、骨部画素値取得部33、情報取得部34、関連情報生成部35、表示制御部36および再構成部37として機能する。なお、本実施形態においては、CPU21が骨塩情報取得プログラムによって、各部の機能を実行するようにしたが、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサとしては、CPU21の他、FPGA (Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)を用いることができる。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等により、各部の処理を実行するようにしてもよい。
【0039】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、またはCPUとFPGAの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0040】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0041】
画像取得部31は、移動機構6を駆動することによりX線源3を移動させ、X線源3の移動による複数の線源位置において、被写体HにX線を照射し、被写体Hを透過したX線を放射線検出器5により検出するトモシンセシス撮影を撮影装置1に行わせることにより、複数の線源位置における複数の放射線画像Gi(i=1~n、nは線源位置の数であり、例えばn=15)を取得する。この際、X線源3において使用するターゲットおよびフィルタの種類、撮影線量、管電圧およびSID等の撮影条件が設定される。撮影条件は、操作者による入力部9からの入力により設定すればよい。設定された撮影条件は、ストレージ23に保存される。なお、本実施形態においては、被写体Hの胸部から腹部を撮影して、胸部から腹部についての複数の放射線画像Giを取得するものとする。なお、移動機構6は公知の任意の機構を用いることができる。
【0042】
図3はトモシンセシス撮影を説明するための図である。
図3に示すように、画像取得部31が、移動機構6によりX線源3をS1、S2、・・・、Snの各線源位置に移動し、各線源位置においてX線源3を駆動して被写体HにX線を照射し、被写体Hを透過したX線を放射線検出器5により検出することにより、各線源位置S1~Snに対応して、放射線画像G1、G2、・・・、Gnが取得される。なお、各線源位置S1~Snにおいては、同一の線量のX線が被写体Hに照射される。取得された複数の放射線画像Giはストレージ23に保存される。また、骨塩情報取得プログラムとは別個のプログラムにより複数の放射線画像Giを取得してストレージ23に保存するようにしてもよい。この場合、画像取得部31は、ストレージ23に保存された複数の放射線画像Giを、処理のためにストレージ23から読み出すものとなる。なお、
図3において、線源位置Sdは、X線源3からのX線の光軸が放射線検出器5と直交する線源位置である。
【0043】
ここで再構成部37について先に説明する。再構成部37は、複数の放射線画像Giを再構成することにより、被写体Hの所望とする断層面を強調した断層画像を生成する。具体的には、再構成部37は、単純逆投影法あるいはフィルタ逆投影法等の周知の逆投影法等を用いて複数の放射線画像Giを再構成して、被写体Hの複数の断層面のそれぞれにおける断層画像Dj(j=1~m:mは断層面の数)を生成する。
【0044】
体厚推定部32は、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像に基づいて、少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体Hの体厚を推定する。なお、本実施形態においては、線源位置Sdにおいて取得された1つの放射線画像Gdに基づいて被写体Hの体厚を推定するものとする。体厚は放射線画像Gdの画素毎に推定されることから、体厚推定部32は、放射線画像Gdにおける体厚分布を推定することとなる。体厚の推定に際し、体厚推定部32は、放射線画像Gdの低周波成分を表す低周波画像を生成し、低周波画像を用いて体厚を推定してもよい。
【0045】
本実施形態においては、体厚推定部32は、例えば特開2015-043959号公報に記載された手法を用いて、被写体Hの体厚を推定する。
図4は体厚推定部32の構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、体厚推定部32は、仮想モデル取得部41、推定画像生成部42、修正部43および体厚分布決定部44を備える。
【0046】
仮想モデル取得部41は、初期体厚分布T0(x,y)を有する被写体Hの仮想モデルKを取得する。なお、本実施形態においては、ストレージ23に、初期体厚分布T0(x,y)を有する被写体Hの仮想モデルKが記憶される。仮想モデルKは、初期体厚分布T0(x,y)に従った体厚がxy平面上の各位置に対応付けられた被写体Hを仮想的に表すデータである。
【0047】
推定画像生成部42は、仮想モデルKに基づいて、仮想モデルKの撮影により得られる一次線画像を推定した推定一次線画像と、仮想モデルKの撮影により得られる散乱線画像を推定した推定散乱線画像とを合成した画像を、被写体Hの撮影により得られた放射線画像Gdを推定した推定画像として生成する。
【0048】
修正部43は、推定画像と放射線画像Gdとに基づいて、推定画像と放射線画像Gdとの違いが小さくなるように仮想モデルKの初期体厚分布T0(x,y)を修正する。
【0049】
推定画像生成部42および修正部43は、推定画像と放射線画像Gdとの違いが予め定められた終了条件を満たすまで推定画像の生成および体厚分布の修正を繰り返し行う。
【0050】
体厚分布決定部44は、終了条件を満たした際の体厚分布を放射線画像Gdの体厚分布、すなわち画素毎の体厚T(x,y)に決定する。
【0051】
骨部画素値取得部33は、複数の放射線画像Giに基づいて、被写体Hの骨部領域の画素値である骨部画素値を取得する。ここで、放射線画像Giには被写体Hの骨部領域と軟部領域とが含まれるが、骨部領域には軟部領域が重畳している。このため、骨部画素値取得部33は、放射線画像Giに含まれる軟部領域の影響を除去した骨部領域の画素値を骨部画素値として取得する。
【0052】
具体的には、骨部画素値取得部33は、再構成部37が複数の放射線画像Giから生成した複数の断層画像Djを用いて、被写体Hの骨部画素値を取得する。
図5は複数の断層画像Djのうちの一部の断層画像を断層面が並ぶ順に示す図である。なお、
図5においては説明を簡単なものとするために、断層画像Djに含まれる脊柱の一部の椎骨のみを含む6つの断層画像D11~D16を示している。また、
図5においては、被写体HにおけるX線源3に近い側から離れる側に向かう断層面の断層画像を順に示している。したがって、断層画像D11~D16は、被写体Hの腹側から背側に向かう断層面を表すものとなっている。
図5に示すように、断層画像D11には椎骨は含まれないが、次の断層面の断層画像D12には、椎骨の腹側の表面に近い部分の断層面が含まれる。また、次の断層面の断層画像D13には、断層画像D12よりも背側の位置における椎骨の断層面が含まれる。このため、断層画像D13においては椎骨の断層面は断層画像D12よりも大きくなる。
【0053】
さらに、次の断層画像D14には、断層画像D13よりも背側の位置における椎骨の断層面が含まれる。このため、断層画像D14においては椎骨の断層面は断層画像D13よりも大きくなる。次の断層画像D15には断層画像D14よりも背側の位置における椎骨の断層面が含まれるが、断層画像D15により表される断層面の位置は、椎骨の腹側の表面よりも背側の表面に近くなる。このため、断層画像D15においては、椎骨の断層面は断層画像D14よりも小さくなる。次の断層画像D16は、断層画像D15の断層面よりも、より椎骨の背側の表面に近い位置における椎骨の断層面が含まれる。このため、断層画像D16においては椎骨の断層面は断層画像D15よりも小さくなる。
【0054】
骨部画素値取得部33は、複数の断層画像Djにおける骨部領域を認識する。ここで、骨部領域は軟部領域よりも低い画素値を有する。このため、骨部画素値取得部33は、しきい値処理により複数の断層画像Djにおける骨部領域を認識する。なお、ディープラーニング等の機械学習により作成された判別器を用いて、複数の断層画像Djにおける骨部領域を認識するようにしてもよい。そして、骨部画素値取得部33は、認識した骨部領域を用いて、断層画像Djの断層面が並ぶ方向における骨部の厚さを取得する。
図6は骨部の厚さの取得を説明するための図である。本実施形態においては、複数の断層画像Djの断層面の間隔は既知である。このため、被写体Hに含まれる骨部Bbについて、複数の断層画像Djのうち、断層画像D2~D9において骨部Bbの骨部領域が認識された場合、骨部画素値取得部33は、断層画像D2と断層画像D9との間隔を骨部Bbの厚さとして取得する。
【0055】
そして、骨部画素値取得部33は、取得した骨部の厚さに基づいて、被写体Hの骨部領域の画素値である骨部画素値を取得する。ここで、本実施形態においてトモシンセシス撮影により取得された複数の放射線画像Giの撮影条件(X線のエネルギーを決定するターゲットおよびフィルタの種類、管電圧、および撮影線量等)は既知である。本実施形態においては、各種撮影条件、とくに各種ターゲット/フィルタおよび各種管電圧に応じた、放射線画像における骨部領域の画素値(すなわち、画像取得部31が取得した放射線画像Giにおける骨部領域の画素値)と、骨部の厚さと、骨部画素値との関係がテーブルとしてストレージ23に記憶されている。骨部画素値取得部33は、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像における骨部領域を認識する。本実施形態においては、1つの放射線画像Gdにおける骨部領域を認識するものとする。放射線画像Gdにおける骨部領域の認識は、しきい値処理により行ってもよく、ディープラーニング等の機械学習により作成された判別器を用いることにより行ってもよい。
【0056】
そして、骨部画素値取得部33は、放射線画像Gdを取得した際の撮影条件に応じたテーブルをストレージ23から取得し、取得したテーブルを参照して、放射線画像Gdにおいて認識した骨部領域の画素値および骨部の厚さから、骨部画素値を取得する。したがって、骨部画素値は放射線画像Gdの画素毎に取得されることとなる。なお、テーブルに代えて、各種撮影条件に応じて、放射線画像における骨部領域の画素値および骨部の厚さから骨部画素値を算出する演算式をストレージ23に記憶しておいてもよい。この場合、骨部画素値取得部33は、撮影条件に応じた演算式をストレージ23から取得して、骨部画素値を取得する。
【0057】
なお、複数の放射線画像Giのそれぞれについて骨部画素値を取得し、複数の放射線画像Giにおける対応する画素間で骨部画素値の統計値を算出し、算出した統計値を最終的な骨部画素値として用いてもよい。なお,統計値としては、平均値、中間値、最大値または最小値等を用いることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、例えば特開2015-043959号公報に記載された手法を用いて、放射線画像Giから散乱線成分を除去してから、断層画像Djの生成および骨部画素値の取得を行うようにしてもよい。
【0059】
情報取得部34は、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像に含まれる骨部領域の画素毎に、骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する。本実施形態においては、情報取得部34は、放射線画像Gdについて取得した骨部画素値を、基準撮影条件に基づいて取得される放射線画像における、軟部の影響が除去された骨部のみの画素値に変換することにより、骨塩情報を取得する。
【0060】
ここで、X線源3に印加される管電圧が高く、X線が高エネルギーであるほど、放射線画像Gdにおける軟部と骨部とのコントラストが小さくなる。また、X線が被写体Hを透過する過程において、X線の低エネルギー成分が被写体Hに吸収され、X線が高エネルギー化するビームハードニングが生じる。ビームハードニングによるX線の高エネルギー化は、被写体Hの体厚が大きいほど大きくなる。
図7は体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示す図である。なお、
図7においては、80kV、90kVおよび100kVの3つの管電圧における、体厚に対する骨部と軟部とのコントラストの関係を示している。
図7に示すように、管電圧が高い程コントラストは低くなる。また、体厚がある値を超えると、体厚が大きいほどコントラストは低くなる。なお、放射線画像Gdにおける骨部画素値が大きく、骨部画素値取得部33が取得した骨部画素値が大きいほど、骨部と軟部とのコントラストは大きくなる。このため、
図7に示す関係は、骨部画素値が大きいほど、高コントラスト側にシフトすることとなる。
【0061】
本実施形態においては、基準撮影条件を、例えば管電圧90kVに設定したルックアップテーブルを用意する。ルックアップテーブルは、撮影時の管電圧に応じたコントラストの相違、およびビームハードニングの影響によるコントラストの低下を補正するための補正係数を取得するためのものとなる。なお、ルックアップテーブルはストレージ23に記憶されている。
図8は補正係数を取得するためのルックアップテーブルを示す図である。
図8に示すようにルックアップテーブルLUT1は、管電圧が大きいほど、かつ体厚が大きいほど、補正係数の値が大きいものとなっている。なお、本実施形態においては、基準撮影条件が管電圧90kVであるため、管電圧が90kVで厚さが0の場合に、補正係数が1となっている。また、
図8にはルックアップテーブルLUT1を2次元で示しているが、補正係数は骨部画素値に応じて異なる。このため、ルックアップテーブルLUT1は、実際には骨部画素値を表す軸が加わった3次元のテーブルとなる。
【0062】
情報取得部34は、撮影条件および体厚T(x,y)に応じた画素毎の補正係数C0(x,y)をルックアップテーブルLUT1を参照して取得する。そして、下記の式(1)に示すように、放射線画像Gdにおける骨部領域の各画素(x,y)において取得された骨部画素値Gb(x,y)に対して補正係数C0(x,y)を乗算することにより、放射線画像Gdの骨部領域の画素毎に骨塩情報B0(x,y)を取得する。このように算出された骨塩情報B0(x,y)は、基準撮影条件である90kVの管電圧により被写体Hを撮影することにより取得され、被写体H内の軟部の影響が除去され、かつビームハードニングの影響が除去された放射線画像に含まれる骨部領域の画素値を表すものとなる。
【0063】
B0(x,y)=C0(x,y)×Gb(x,y) (1)
【0064】
なお、被写体Hの撮影時においては、放射線検出器5に入射する散乱線を除去するための散乱線除去グリッドが使用される場合がある。このため、散乱線除去グリッドの有無に応じたルックアップテーブルを用意しておき、散乱線除去グリッドの有無に応じて補正係数を取得するためのルックアップテーブルを選択するようにしてもよい。また、散乱線除去グリッドの種類に応じたルックアップテーブルを用意しておき、撮影時に使用された散乱線除去グリッドの種類に応じたルックアップテーブルを選択するようにしてもよい。
【0065】
関連情報生成部35は、骨塩情報に関連する関連情報を生成する。このために、関連情報生成部35は、体厚推定部32が推定した放射線画像Gdの画素毎の体厚T(x,y)および放射線画像Gdを取得した際の撮影条件に基づいて、被写体Hの軟部を表す軟部画像Gsを生成する。具体的には、関連情報生成部35は、体厚T(x,y)および撮影条件を用いて、放射線画像Gdにおける画素毎のX線の透過および散乱の程度を算出し、放射線検出器5に到達するX線量を推定し、推定したX線量を画像化して軟部画像Gsを生成する。
図9は軟部画像Gsを示す図である。そして、関連情報生成部35は、軟部画像Gsに骨塩情報B0(x,y)を重畳した合成画像Gcを関連情報として生成する。
【0066】
なお、本実施形態においては、複数の断層画像Djのうちの1つの断層画像に対して骨塩情報を重畳して合成画像Gcを生成してもよく、複数の放射線画像Giのうちの1つの放射線画像(例えば放射線画像Gd)に対して骨塩情報B0(x,y)を重畳して合成画像Gcを生成してもよい。
【0067】
表示制御部36は、関連情報を表示部8に表示する。
図10は表示部8に表示された関連情報を示す図である。
図10に示すように、関連情報は上述した合成画像Gcである。
【0068】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。
図11は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、画像取得部31は、撮影装置1にトモシンセシス撮影を行わせて複数の放射線画像Giを取得する(ステップST1)。次いで、再構成部37が、複数の放射線画像Giを再構成することにより、被写体Hの複数の断層面における複数の断層画像Djを生成する(ステップST2)。次いで、体厚推定部32が、少なくとも1つの放射線画像に基づいて、少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体Hの体厚を推定する(ステップST3)。なお、ステップST3の処理をステップST2よりも先に行ってもよく、ステップST2およびステップST3の処理を並列に行ってもよい。
【0069】
さらに、骨部画素値取得部33が、少なくとも1つの放射線画像に基づいて被写体Hの骨部領域の画素値である骨部画素値を取得する(ステップST4)。続いて、情報取得部34が、少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得する(ステップST5)。さらに、関連情報生成部35が、骨塩情報に関連する関連情報を生成し(ステップST6)、表示制御部36が、関連情報を表示部8に表示し(ステップST7)、処理を終了する。
【0070】
このように、本実施形態によれば、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に被写体Hの体厚を推定し、少なくとも1つの放射線画像に基づいて被写体Hの骨部領域の画素値である骨部画素値を取得し、少なくとも1つの放射線画像を取得した際の撮影条件、画素毎の体厚および骨部画素値に基づいて、骨部領域の画素毎に骨部領域における骨塩量を表す骨塩情報を取得するようにした。このため、DXA法のように専用の装置を使用しなくても、骨塩情報を取得することができる。また、骨部領域の画素毎に骨塩情報が取得されるため、骨の部分毎に骨塩情報を評価することができる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、軟部画像Gsに骨塩情報B0(x,y)を重畳した合成画像Gcを関連情報として生成しているが、これに限定されるものではない。情報取得部34が取得した画素毎の骨塩情報そのものを関連情報として表示してもよい。
図12は、表示部8に表示された骨塩情報を示す図である。なお、
図12においては、説明を簡単なものとするために脊柱の一部の椎骨のみを示している。本実施形態においては、骨塩情報は画素毎に算出されているため、骨塩情報を表示することにより、骨塩情報の値に応じた骨塩量の分布を確認することができる。とくに、骨塩情報の値に応じて異なる色をマッピングして表示することにより、骨塩量の分布をより容易に確認することができる。なお、
図12においては、骨塩量の分布をハッチングの相違により示している。
【0072】
また、関連情報生成部35において、骨塩情報から骨強度を算出し、算出した骨強度を関連情報として用いてもよい。この際、骨強度は、骨塩情報および骨のテクスチャを表す指標値に基づいて算出できる。なお、テクスチャを表す指標値は、骨を構成する骨梁構造の密集の程度を用いる。このため、関連情報生成部35は、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像または複数の断層画像Djのうちの少なくとも1つの断層画像における骨部領域の画像の高周波成分を抽出する。高周波成分を抽出する手法としては、フーリエ変換、ウェーブレット変換およびハイパスフィルタを用いる手法等、任意の手法を用いることができる。そして、関連情報生成部35は、骨部領域の画素毎に高周波成分の分散値を算出する。ここで、骨梁構造の密度が低いほど、算出された高周波成分の分散値は小さくなる。このため、関連情報生成部35は、骨強度を骨塩情報×分散値の演算により算出する。ここで、骨塩情報および分散値は骨部領域における画素毎に取得されているため、骨強度も画素毎に算出される。
【0073】
なお、テクスチャを表す指標値としては、同時生起行列等によるテクスチャ特徴量、例えば一様性、コントラスト、相関またはエントロピー等を用いてもよい。ここで、同時生起行列は、画像における画素の信号値の分布を示す行列であり、ある信号値を有する画素に隣接する画素が有する信号値の頻度を行列として表したものである。
【0074】
図13は表示部8に表示された骨強度を示す図である。なお、
図13においては、説明を簡単なものとするために脊柱の一部の椎骨のみを示している。本実施形態においては、骨強度は画素毎に算出されているため、骨強度を表示することにより、骨強度の分布を確認することができる。とくに、骨強度に応じて異なる色をマッピングして表示することにより、骨強度の分布をより容易に確認することができる。なお、
図13においては、骨強度の分布をハッチングの相違により示している。
【0075】
なお、骨強度を表示する際には、軟部画像Gsに対して骨強度を重畳して表示してもよく、複数の断層画像Djのうちの1つの断層画像に対して骨強度を重畳して表示してもよい。また、複数の放射線画像Giのうちの1つの放射線画像(例えば放射線画像Gd)に骨強度を重畳して表示してもよい。
【0076】
また、放射線画像Giに複数の骨が含まれる場合、関連情報生成部35は、骨毎に関連情報を生成してもよい。この場合、関連情報としては、骨毎の骨塩情報の統計値を用いることができる。なお、統計値としては、骨毎の骨塩情報の平均値、中間値、最大値、および最小値等を用いることができる。
図14は表示部8に表示された骨塩情報の統計値を示す図である。なお、
図14においては、説明を簡単なものとするために脊柱の一部の椎骨のみを示している。本実施形態においては、骨塩情報の統計値は骨毎に算出されているため、骨毎の骨塩情報を確認することができる。とくに、骨塩情報の値に応じて異なる色をマッピングして表示することにより、骨毎の骨塩情報をより容易に確認することができる。なお、
図14においては、骨塩情報の統計値の相違をハッチングの相違により示している。
【0077】
なお、
図14においては骨塩情報の統計値をその大きさに応じた異なる色によりマッピングしているが、
図15に示すように骨塩情報の統計値を数値として表示してもよい。
【0078】
また、関連情報生成部35は、1つの骨について骨部領域内の部分領域の関連情報を生成してもよい。この場合、関連情報としては、部分領域の骨塩情報の統計値を用いることができる。なお、統計値としては、部分領域の骨塩情報の平均値、中間値、最大値、および最小値等を用いることができる。
図16は表示部8に表示された部分領域の骨塩情報の統計値を示す図である。なお、
図16においては、説明を簡単なものとするために椎骨の部分領域を海綿骨の領域とし、海綿骨の領域について骨塩情報の統計値を表示している。本実施形態においては、骨塩情報の統計値は骨毎に算出されているため、骨毎の骨塩情報を確認することができる。とくに、骨塩情報の値に応じて異なる色をマッピングして表示することにより、骨毎の骨塩情報をより容易に確認することができる。なお、
図16においては、骨塩情報の統計値の相違をハッチングの相違により示している。
【0079】
このように、骨部領域内における海綿骨の領域について関連情報を生成することにより、例えば、骨粗鬆症に対する投薬により、海綿骨に存在する骨芽細胞の活性化の程度を確認することができるため、投薬による治療効果の確認を容易に行うことができる。
【0080】
なお、
図16においては、海綿骨の領域のみ関連情報を生成しているが、
図17に示すように、海綿骨の領域に加えて皮質骨の領域についても骨塩情報の統計値を関連情報として生成し、かつ表示してもよい。
【0081】
また、
図16および
図17においては、部分領域毎に算出された骨塩情報の統計値をその大きさに応じた異なる色によりマッピングしているが、
図18に示すように骨塩情報の統計値を数値として表示してもよい。また、
図18においては、海綿骨の領域および皮
質骨の領域の双方について統計値の数値を表示しているが、海綿骨の領域のみまたは皮
質骨の領域のみ統計値の数値を表示してもよい。
【0082】
また、上記では骨部領域を皮質骨の領域および海綿骨の領域に分割しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図19に示すように、大腿骨を大腿骨頸部の領域とそれ以外の領域とに分割して、骨塩情報の統計値を関連情報として生成し、かつ表示してもよい。この場合においても、
図19と同様に、骨塩情報の統計値を数値として表示してもよい。
【0083】
また、放射線画像Giに複数の骨が含まれる場合、関連情報生成部35は、骨間の骨塩情報の比較結果を関連情報として生成してもよい。この場合、関連情報生成部35は、骨毎の骨塩情報の統計値を算出し、ある骨を基準とした骨間における骨塩情報の統計値の差分値または比率を関連情報として生成する。
図20は表示部8に表示された骨間の統計値の比較結果を示す図である。なお、
図20においては、説明を簡単なものとするために脊柱の一部の椎骨のみを示している。また、表示されている椎骨のうち一番上の椎骨を基準とした骨塩情報の統計値の比率の数値を比較結果として示している。このように、骨間の骨塩情報の比較結果を関連情報として生成し、かつ表示することにより、ある骨を基準とした他の骨の骨塩量を認識することができる。
【0084】
また、関連情報生成部35は、1つの骨について骨部領域内の部分領域間の骨塩情報の比較結果を関連情報として生成してもよい。この場合、関連情報生成部35は、骨部領域内の部分領域毎の骨塩情報の統計値を算出し、ある部分領域を基準とした部分領域間の骨塩情報の統計値の差分値または比率を関連情報として生成する。
図21は表示部8に表示された部分領域間の統計値の比較結果を示す図である。なお、
図21においては、説明を簡単なものとするために大腿骨の部分のみを示している。また、表示されている大腿骨のうち大腿骨頸部以外の領域を基準とした骨塩情報の
統計値の比率の数値を比較結果として示している。このように、骨部領域内における部分領域間の骨塩情報の比較結果を関連情報として生成し、かつ表示することにより、1つの骨において、ある部分を基準とした他の部分の骨塩量を認識することができる。
【0085】
また、関連情報生成部35は、同一被検体に関して取得日時が異なる骨塩情報間の比較結果を、関連情報として生成するものであってもよい。この場合、関連情報生成部35は、同一被検体についての、最新の骨塩情報および過去の骨塩情報の統計値を算出する。なお統計値は骨毎に算出してもよいが、放射線画像に含まれる骨の全体の統計値を算出してもよい。そして、関連情報生成部35は、過去の統計値と最新の統計値との比較結果を関連情報として生成する。比較結果としては過去の統計値に対する最新の統計値の比率または差分値を用いることができる。
【0086】
図22は表示部8に表示された骨塩情報の比較結果を示す図である。なお、
図22においては、過去の骨塩情報と最新の骨塩情報との、椎骨のそれぞれについての統計値の比率を比較結果として示している。また、過去の骨塩情報を取得した日時および最新の骨塩情報を取得した日時50も示している。このように、同一被検体に関して取得日時が異なる放射線画像から取得した骨塩情報の比較結果を関連情報として生成し、かつ表示することにより、被写体Hについての病気の進行の程度あるいは投薬による治癒の程度を認識することができる。また、病気の進行の程度あるいは投薬による治癒の程度に基づいて、治療方針を決定することも容易となる。
【0087】
また、関連情報生成部35は、骨部領域が椎骨である場合、脊柱のアライメントおよび骨塩情報から生成された骨折リスクを表す情報を、関連情報として生成してもよい。例えば、
図23に示すように側湾症の被写体の場合、関連情報生成部35は、脊柱のアライメントとしてコブ角αを算出し、コブ角αと骨塩情報とに基づいて骨折リスクを算出する。ここで、コブ角とは、湾曲の頂点になっている椎骨(頂椎)の上と下でそれぞれ最も大きく傾斜した椎骨の外縁から直線を延ばし、その2本の直線の交差する角度である。なお、コブ角αおよび骨塩情報と骨折リスクとの関係はテーブルまたは計算式により定められている。関連情報生成部35は、テーブルまたは計算式を参照して、コブ角および骨塩情報から骨折リスクを算出する。
図23には算出した骨折リスクが数値(ここでは80)として示されている。なお、骨折リスクは数値が大きいほど高いものとなる。このように、骨折リスクを関連情報として生成し、かつ表示することにより、骨折のリスクが高い患者に対して骨折の予防策をとるように指導をすることができる。
【0088】
なお、上記実施形態においては、各種関連情報の表示について説明したが、互いに異なる複数の関連情報を同時に表示部8に表示してもよいことはもちろんである。
【0089】
また、上記実施形態においては、トモシンセシス撮影により取得した複数の放射線画像Giを用いて骨塩情報を取得しているが、これに限定されるものではない。画像取得部31において、互いに直交する複数の方向から被写体HにX線を照射することにより生成された複数の放射線画像を取得し、骨部画素値取得部33において、複数の放射線画像に含まれる骨部の領域に基づいて、複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像の撮影方向における骨部の厚さを算出し、算出した骨部の厚さに基づいて、骨部領域の画素値である骨部画素値を取得するようにしてもよい。
【0090】
ここで、正面から被写体Hを撮影した第1の放射線画像G11および側面から被写体Hを撮影した第2の放射線画像G12が取得されたものとする。
図24は第1の放射線画像G11および第2の放射線画像G12を示す図である。このようにして、正面から被写体Hを撮影した第1の放射線画像G11および側面から被写体Hを撮影した第2の放射線画像G12を取得することにより、例えば椎骨について、第1の放射線画像G11および第2の放射線画像G12に含まれる同一の椎骨同士を対応づけることができる。したがって、第1の放射線画像G11に含まれるある椎骨について、第2の放射線画像G12を見れば、被写体Hの腹側から背側に向かう方向の距離、すなわち椎骨の厚さを取得することができる。
【0091】
骨部画素値取得部33は、このようにして椎骨、すなわち骨部の厚さを取得することによっても、上記実施形態と同様にして、正面から被写体Hを撮影した第1の放射線画像G11における骨部領域の画素毎に、骨部画素値を取得することができる。したがって、情報取得部34において、骨部画素値から骨塩情報を取得することができる。
【0092】
また、上記実施形態においては、体厚推定部32において、特開2015-043959号公報に記載された手法を用いて、放射線画像Gdから体厚を取得しているが、これに限定されるものではない。例えば、再構成部37が生成した複数の断層画像Djにおいて、被写体Hの領域である被写体領域を抽出し、抽出した被写体領域の断層面が並ぶ方向における厚さを、断層画像Djの各画素毎に算出することにより、複数の放射線画像Giのうちの少なくとも1つの放射線画像の画素毎に、被写体Hの体厚を推定することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 放射線画像撮影装置
2 コンピュータ
3 X線源
5 放射線検出器
6 移動機構
8 表示部
9 入力部
21 CPU
22 メモリ
23 ストレージ
31 画像取得部
32 体厚推定部
33 骨部画素値取得部
34 情報取得部
35 関連情報生成部
36 表示制御部
37 再構成部
41 仮想モデル取得部
42 推定画像生成部
43 修正部
44 体厚分布決定部
50 日時
Bb 骨部
Dj,D11~D16 断層画像
Gi,G11,G12 放射線画像
Gs 軟部画像
Gc 合成画像
H 被写体
α コブ角