(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220128BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20220128BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
H01L21/30 541W
H01L21/30 541B
H01J37/305 B
G03F7/20 504
(21)【出願番号】P 2018175432
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 史朗
(72)【発明者】
【氏名】松尾 美恵
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩
(72)【発明者】
【氏名】鍋屋 信介
(72)【発明者】
【氏名】片岡 憲一
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216338(JP,A)
【文献】特開2009-004366(JP,A)
【文献】特開2000-164495(JP,A)
【文献】特開2014-041948(JP,A)
【文献】特開2006-013390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/30 -37/36
H01L 21/027
G03F 7/20 - 7/24
9/00 - 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、
前記第1の基板上に、複数の前記第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、
前記第1の基板上に、前記第1の貫通孔のそれぞれに隣接して前記第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、
前記第1の基板と対向するように設けられ、複数の前記第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔
と、前記複数の第1の電極のそれぞれに対向する部分に、前記複数の第1の電極の形状のそれぞれにあわせて設けられた複数の凹部と、を有し、少なくとも前記第1の基板との対向面において導電性を有し、前記第2の電極と電気的に接続された第2の基板と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第2の貫通孔の下に前記第1の貫通孔と、前記第1の基板の一部が設けられた請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の貫通孔の開口形状は、前記第1の電極と前記第1の貫通孔の上面形状を合せた形状と略相似形状である請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の電極と前記第2の基板との間に設けられた突起部をさらに備える請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の基板の貫通孔のアレイ周縁で、前記第2の基板との対向面に設けられ、導電性を有する第1の接合材と、
前記第2の基板の周縁で、前記第1の基板との対向面に設けられ、導電性を有する第2の接合材と、
前記第1の接合材と前記第2の接合材の間に設けられたスペーサと、
を備える請求項1ないし請求項
4いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は、極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は、年々微細化されてきている。電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しているため、マスクブランクスへ電子線を使ってマスクパターンを描画することが行われている。
【0003】
マルチ電子ビーム(マルチビーム)を用いた描画装置は、1本の電子ビームを描画する場合に比べて、スループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを、複数の穴を持った成型アパーチャに通してマルチビームを形成する。形成されたマルチビームを構成するそれぞれの電子ビームは、ブランキングアパーチャアレイによりブランキング制御される。ブランキングアパーチャアレイにより偏向された電子ビームは遮蔽され(ブランキング)、偏向されなかった電子ビームはマスクブランクス等の試料に照射される。
【0004】
ブランキングアパーチャアレイには、それぞれの電子ビームが通過する貫通孔が設けられている。そして、貫通孔の周囲には、電子ビームを偏向させるためのそれぞれ一対の電極対が設けられている。ブランキングアパーチャアレイの製造においては、半導体製造技術を用いて、例えばシリコン(Si)基板に上述のそれぞれの貫通孔及びそれぞれの電極対等を形成していく方法が採られる。
【0005】
マルチビームを用いてパターンの描画を行う際には、ブランキングアパーチャアレイに設けられた電極対間に印加される電圧により生じる電界により、それぞれの電子ビームを独立して偏向することができる。この時、対象となる電子ビームを偏向させるための電極対以外の電極対により発生する電界の影響による意図しないビームの偏向、クロストークが発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、クロストークを抑制することが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、第1の基板上に、複数の第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、第1の基板上に、第1の貫通孔のそれぞれに隣接して第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、第1の基板と対向するように設けられ、複数の第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔と、複数の第1の電極のそれぞれに対向する部分に、複数の第1の電極の形状のそれぞれにあわせて設けられた複数の凹部と、を有し、少なくとも第1の基板との対向面において導電性を有し、第2の電極と電気的に接続された第2の基板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の電子ビーム描画装置の模式断面図である。
【
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【
図4】第1の実施形態の半導体装置の要部の一例を示す模式上面図である。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置における第1の貫通孔、第2の貫通孔及び電源電極の一例を示す模式図である。
【
図6】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である
【
図7】第2の実施形態の他の態様の半導体装置の模式断面図である。
【
図8】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0011】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0012】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0013】
以下、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも良い。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の第1の貫通孔を有する第1の基板と、第1の基板上に、複数の第1の貫通孔のそれぞれに隣接して設けられた複数の第1の電極と、第1の基板上に、第1の貫通孔のそれぞれに隣接して第1の電極とそれぞれ対向するように設けられた複数の第2の電極と、第1の基板と対向するように設けられ、複数の第1の貫通孔のそれぞれに対向する複数の第2の貫通孔を有し、少なくとも第1の基板との対向面において導電性を有し、第2の電極と電気的に接続された第2の基板と、を備える。
【0015】
図1は、本実施形態の電子ビーム描画装置150の模式断面図である。電子ビーム描画装置150は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。
【0016】
本実施形態の半導体装置100aは、電子ビーム描画装置150に用いられるブランキングアパーチャアレイである。
【0017】
電子ビーム描画装置150は、電子鏡筒102(マルチ電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成型アパーチャアレイ203、半導体装置100a(ブランキングアパーチャアレイ)、縮小レンズ205、制限アパーチャ部材206、対物レンズ207、主偏向器208、及び副偏向器209が配置されている。
【0018】
ここで、x軸と、x軸に垂直なy軸と、x軸及びy軸に垂直なz軸を定義する。電子銃201はz方向に垂直な方向電子ビーム200を放出するものとする。また、試料101は、xy面に平行な面内に配置されているものとする。
【0019】
電子銃201から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により、ほぼ垂直に成型アパーチャアレイ203を照明する。そして、成型アパーチャアレイ203の開口部を電子ビーム200が通過することにより、マルチビーム110が形成される。マルチビーム110は、電子ビーム120a、120b、120c、120d、120e及び120fを有する。それぞれの電子ビーム120の形状は、成型アパーチャアレイ203の開口部の形状を反映したものであり、例えば矩形形状である。なお、
図1において成型アパーチャアレイ203の開口部の個数は6個であることが示されているが、これに限定されるものではない。成型アパーチャアレイ203により形成されるマルチビーム110の本数は、
図1においては6本である。しかし、形成されるマルチビーム110の本数は、勿論6本に限定されるものではない。一例としては、成型アパーチャアレイ203の開口部は、x方向及びy方向にそれぞれ512個ずつ、マトリックス状に配置されている。
【0020】
ブランキングアパーチャアレイとしての半導体装置100aは、成型アパーチャアレイ203の下に設けられている。半導体装置100aによって偏向された電子ビーム120は、制限アパーチャ部材206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ部材206によって遮蔽される。一方、偏向されなかった電子ビーム120は、制限アパーチャ部材206の中心の穴を通過する。これにより、電子ビームのオンオフが制御される。
【0021】
制限アパーチャ部材206を通過した電子ビーム120は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向される。そして、XYステージ105に載置された試料101上の、それぞれの照射位置に照射される。XYステージ105には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置されている。
【0022】
図2は、本実施形態の半導体装置100aの模式上面図である。
図3は、
図2で示した本実施形態の半導体装置100aの、A-A’線における模式断面図である。
図2と
図3を用いて、本実施形態の半導体装置100aについて説明する。
【0023】
第1の基板20は、例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
図2及び
図3において、第1の基板20の基板表面は、xy面に平行に配置されている。
【0024】
第1の基板20は、複数の第1の貫通孔12を有する。
図3においては、複数の第1の貫通孔として、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e及び12fが示されている。
図2においては、第1の貫通孔12は、x方向及びy方向にそれぞれ6個ずつ配置されていることが示されている。なお、複数の第1の貫通孔12の個数は、勿論これに限定されるものではない。
【0025】
複数の電源電極14(第1の電極の一例)は、第1の基板20の上の、複数の第1の貫通孔12のそれぞれの周辺に設けられている。
図3においては、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e、12fの周囲に、それぞれ電源電極14a、14b、14c、14d、14e、14fが設けられている。
【0026】
接地電極16(第2の電極の一例)は、第1の基板20の上に設けられている。
図3においては、接地電極16は、電源電極14と、第1の貫通孔12を挟んで対向するように設けられている。例えば、接地電極16a、16b、16c、16d、16e及び16fは、それぞれ対応する電源電極14a、14b、14c、14d、14e及び14fと、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e及び12fを挟んで対向するように設けられている。それぞれの接地電極16は、例えば図示されない部分において互いに接続され、図示しないグランドに接地されて電子ビーム描画装置150内で用いられる。
【0027】
回路10は、第1の基板20内に設けられている。
図3においては、回路10として、回路10a、10b、10c、10d、10e及び10fが示されている。例えば、回路10a、10b、10c、10d、10e及び10fは、図示しない配線により、それぞれ電源電極14a、14b、14c、14d、14e及び14fと接続されている。回路10は、電源電極14に、例えば5V程度の所定の電圧を印加する機能を有する。回路10は、例えば、CMOS(Complimentary Metal-Oxide-Semiconductor)回路である。
【0028】
第2の基板40は、第1の基板20と対向するように設けられている。第2の基板40は、例えばSi基板等の半導体基板である。なお、第2の基板40は、少なくとも第1の基板20との対向面が導電性を有している必要がある。
図3に示すように、表面に導電膜32を形成したものを用いることができる。例えば、Si基板表面に金(Au)などの金属膜を形成したものが好適である。また、その他金属基板等を好ましく用いることができる。
【0029】
第2の基板40は、複数の第2の貫通孔34を有する。複数の第1の貫通孔12のそれぞれの上に、複数の第2の貫通孔34がそれぞれ設けられている。
図3においては、第1の貫通孔12a、12b、12c、12d、12e及び12fの上に、それぞれ対応する第2の貫通孔34a、34b、34c、34d、34e及び34fが設けられている。
【0030】
また、電源電極14と第2の基板40が接触しないように、電源電極14a、14b、14c、14d、14e及び14fの上にそれぞれ対応する第2の貫通孔34a、34b、34c、34d、34e及び34fが設けられている。また、第2の貫通孔34の大きさは、第1の貫通孔12の大きさより大きいことが好ましいが、電子ビーム120の通過を妨げない程度であれば、同じか小さくても良い。
【0031】
さらに、第2の基板40を成型アパーチャアレイ203の機能を兼ねたものとし、第2の貫通孔34によりマルチビームを形成してもよい。この場合、第2の貫通孔34の大きさを第1の貫通孔12の大きさよりも小さい所望の大きさとする必要がある。
【0032】
また、第2の基板40の材料としてタングステン(W)、金(Au)等の重金属を用いることにより、X線遮蔽機能を備えることもできる。このとき、第2の貫通孔34の大きさを第1の貫通孔12の大きさよりも小さい所望の大きさとすることにより、成型アパーチャアレイ203の機能とX線遮蔽機能の両方を兼ね備えることもできる。
【0033】
第2の基板40の板厚は、専ら貫通孔34の大きさや撓み等を考慮した加工性と、電子ビーム120の透過性を考慮して決定される。第2の基板40の板厚は、10μm以上であることが好ましい。10μm未満とすると、第2の基板40を加工することが難しくなるためである。また、第2の基板40の板厚は、例えば200μm以下とすると、電子ビーム120を壁面に当たることなく貫通孔34を通過させる上では好ましい。しかし、クロストーク抑制効果の観点からは、第2の基板40の板厚は、200μmより大きくても良いし、10μm未満であっても構わない。
【0034】
第2の基板40における導電膜32は、第2の基板40の第1の基板20と対向する面に設けられ、接地電極16に電気的に接続されている。導電膜32は、例えばAu(金)の膜であるが、これに限定されるものではない。また、導電膜32は、第2の基板40の第1の基板20と対向する面に一様にまたはその一部に形成されていても良いし、貫通孔内に形成されても良い。
【0035】
成型アパーチャアレイ203により成型された電子ビーム120は、それぞれ第2の貫通孔34及び第1の貫通孔12を通過する。ここで、例えば回路10aを用いて電源電極14aに所定の電圧が印加されると、接地電極16a、導電膜32及び第2の基板40と電源電極14aの間に電界が発生する。発生した電界により、第2の貫通孔34a及び第1の貫通孔12aを通過する電子ビーム120は偏向される。
【0036】
なお電子ビーム120は、第2の貫通孔34から第1の貫通孔12へ向かって通過しても良いし、第1の貫通孔12から第2の貫通孔34へと通過しても良いが、第2の基板40を成型アパーチャアレイ203の機能、X線遮蔽機能、もしくはその両方を兼ね備える場合は、電子ビーム120が第2の貫通孔34から第1の貫通孔12へ向かって通過する場合に有効である。
【0037】
電源電極14と第2の基板40(導電膜32)との垂直距離(Z方向の距離)は、クロストーク抑制の観点から、30μm以下が好ましく、さらに10μm以下であることがより好ましい。電源電極14と第2の基板40の垂直距離がゼロの場合が最も好ましい。
【0038】
図4は、本実施形態の半導体装置100aの要部の一例を示す模式上面図である。
図4は、
図2に示した半導体装置100aにおいて、第2の基板40を除いて示した模式上面図である。接地電極16は第1の基板上に設けられ格子状の形状を有し、それぞれの格子の内側に、それぞれの第1の貫通孔12及び第1の基板上に設けられた電源電極14が配置されている。言い換えると、接地電極16は、それぞれの第1の貫通孔12及び電源電極14を取り囲むように設けられている。
【0039】
図5は、本実施形態の半導体装置100aにおける第1の貫通孔12、第2の貫通孔34及び電源電極14の一例を示す模式図である。
【0040】
図5(a)を用いて、第1の貫通孔12、第2の貫通孔34及び電源電極14の配置について説明をする。第2の貫通孔34のx方向の長さをL
x、y方向の長さをL
yとする。第1の貫通孔12のx方向の長さをa
x、y方向の長さをa
yとする。電源電極14のx方向の長さをb
x、y方向の長さをb
yとする。
【0041】
クロストーク抑制の観点から、第2の貫通孔34は、電子ビーム120が通過可能な程度に小さいことが好ましい。しかし、第2の基板40を第1の基板20上に配置する際に、第2の基板40が第1の基板20に対して、所定の位置からx方向にdx、y方向にdyずれて配置される場合がある。従って、x方向においては、2dx+bx+ax≦Lxであることが好ましい。また、y方向においては、2dy+ay≦Lyであり、かつ2dy+by≦Lyであることが好ましい。
【0042】
また、第2の貫通孔34の開口形状は、四角形に限られたものでなく、多角形等でもよい。
図5(b)に示すように、電源電極14と第1の貫通孔12からなる多角形に対して、外形がそれぞれ接合誤差d
xとd
yを考慮して大きくした電源電極14と第1の貫通孔12の上面形状を合せた形状と略相似形状とすることにより、開口面積をより小さくすることができ、クロストーク抑制効果をより大きくすることができる。
【0043】
図5(c)、
図5(d)及び
図5(e)は、第1の貫通孔12及び電源電極14の他の態様を示したものである。
図5(a)及び
図5(b)においては、第1の貫通孔12、第2の貫通孔34及び電源電極14の形状は、いずれも矩形形状である。しかし、第1の貫通孔12、第2の貫通孔34及び電源電極14の形状は、これに限定されるものではない。
図5(c)においては、第1の貫通孔12の形状は円である。
図5(d)においては、第1の貫通孔12の形状は三角形である。
図5(e)においては、第1の貫通孔12の形状は三角形であり、電源電極14の形状は波形である。
図5(c)、
図5(d)及び
図5(e)はいずれも好ましく用いることができる。そして、それぞれ、x方向においては2d
x+b
x+a
x≦L
xであることが好ましい。また、それぞれy方向においては、2d
y+a
y≦L
yであり、かつ2d
y+b
y≦L
yであることが好ましい。
【0044】
次に、本実施形態の作用効果を記載する。
【0045】
クロストークを抑制するために、回路10、電源電極14及び接地電極16を有する第1の基板20の上に、導電性を有する第2の基板40を配置する。これは、電源電極14と接地電極16間で発生する電界を、第2の基板40で遮蔽して、他の電源電極14の周辺に電界が及ばないようにするためである。この観点からは、電源電極14、接地電極16と、第2の基板40との距離はできるだけ小さいほど好ましい。これは、第2の基板40を成型アパーチャアレイ203の機能、X線遮蔽機能、もしくはその両方を兼ね備える場合も同様である。
【0046】
遮蔽効果を得るために、電源電極14、接地電極16がショートしないよう、第2の基板40との距離をできるだけ小さく保ちつつ、第1の基板20及び第2の基板40を平行に保つことは困難である。
【0047】
そこで、本実施形態の半導体装置100aでは、第2の基板40において第1の基板20との対向面に導電膜32を設けて、導電膜32を接地電極16に電気的に接続させる。そして、第2の基板40と電源電極14を接触させないように第2の貫通孔を設ける。このようにして第1の基板20と第2の基板40の距離を近づけることができるため、より確実にクロストークを抑制することができる。
【0048】
本実施形態の半導体装置100aによれば、クロストークを抑制することが可能な半導体装置の提供が可能になる。
【0049】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、複数の第1の電極の上に第2の基板の一部が設けられている点で、第1の実施形態の半導体装置と異なっている。ここで、第1の実施形態と重複する点については、記載を省略する。
【0050】
図6は、本実施形態の半導体装置100bの模式断面図である。
【0051】
半導体装置100bにおいては、接地電極16と導電膜32の間に突起部(バンプ)18が設けられている。これにより、電源電極14の上に第2の基板40の一部が設けられていても、電源電極14と第2の基板40が接触せずショートしない構成となっている。この構成により、電源電極14と設置電極16の膜厚が同じ場合であっても第2の基板が電源電極14を覆うよう設けることができるため、貫通孔34の開口面積をより小さくすることができ、クロストークを抑制することができる。
【0052】
突起部18は、例えば金属等の導電体で形成される。
【0053】
図7は、本実施形態の他の態様の半導体装置100cの模式断面図である。
【0054】
半導体装置100cにおいては、複数の凹部36が設けられている。凹部36a、36b、36c、36e、36fは、それぞれ対応する電源電極14a、14b、14c、14d、14e、14fの上に設けられている。これにより、電源電極14の上に第2の基板40の一部が設けられていても、電源電極14と第2の基板40が接触しない構成となっている。凹部36は電源電極14と接触しないよう、dxとdyを考慮して形成されている。また、凹部36のZ方向の量は小さいほど好ましいが、基板1と基板2がショートしないよう、接地電極14と電源電極16の高さバラツキを考慮して決定する。この構成により、貫通孔34が電源電極14を覆うよう設けることができるため、貫通孔34の開口面積をより小さくすることができ、クロストークをより確実に抑制できる。貫通孔34のサイズは接合誤差を考慮して決定することができる。
【0055】
本実施形態の半導体装置100b及び100cによっても、クロストークを抑制することが可能な半導体装置の提供が可能になる。
【0056】
(第3の実施形態)
本実施形態の半導体装置は、第1の基板の貫通孔のアレイ周縁で、第2の基板との対向面に設けられ、導電性を有する第1の接合材と、第2の基板の周縁で、第1の基板との対向面に設けられ、導電性を有する第2の接合材と、第1の接合材と第2の接合材の間に設けられたスペーサと、を備える点で、第1及び第2の実施形態と異なっている。ここで、第1及び第2の実施形態と重複する点については、記載を省略する。
【0057】
図8は、本実施形態の半導体装置100dの模式断面図である。
【0058】
第1の接合材90及び第2の接合材92は、例えばAg(銀)等を含有し導電性を有する接着剤である。これは、電子ビーム120が照射された際に半導体装置100dがチャージアップすることを抑制するためである。スペーサ94は、例えばSiである。第1の接合材90、第2の接合材92及びスペーサ94は、第1の基板の貫通孔12のアレイ部、第2の基板の周縁に設けられていることが好ましい。
【0059】
第1の接合材90、第2の接合材92及びスペーサ94の膜厚の和は、電源電極14又は接地電極16の膜厚と同程度であることが好ましい。
【0060】
本実施形態の半導体装置100dによっても、クロストークを抑制することが可能な半導体装置の提供が可能になる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 回路
12 第1の貫通孔
14 電源電極(第1の電極)
16 接地電極(第2の電極)
18 突起部
20 第1の基板
32 導電膜
34 第2の貫通孔
36 凹部
40 第2の基板
90 第1の接合材
92 第2の接合材
94 スペーサ
100a 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
100b 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
100c 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
100d 半導体装置(ブランキングアパーチャアレイ)
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 マルチビーム
120 電子ビーム
150 電子ビーム描画装置
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成型アパーチャアレイ
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ部材
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
210 ミラー