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特許7016479印刷装置、ホーム位置決め方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】印刷装置、ホーム位置決め方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 19/18 20060101AFI20220131BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B41J19/18 N
B41J19/18 E
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018003225
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019123087
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉平
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-307771(JP,A)
【文献】特開昭58-217381(JP,A)
【文献】特開平11-023323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0007032(US,A1)
【文献】特開2000-065524(JP,A)
【文献】特開平05-338306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 19/18
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジの主走査方向への移動量を検知するエンコーダと、
前記キャリッジに設けられた被検知部材と、
装置本体側に設けられ、前記被検知部材を検知する検知手段と、
前記検知手段による前記被検知部材の検知結果に基づいて、前記キャリッジのホーム位置を決める位置決め動作を制御する制御手段と、を備え、
前記被検知部材は、主走査方向の途中に切欠部を有し、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が、前記被検知部材の一端部に対向する検知から前記切欠部に対向する非検知に遷移し、前記非検知から前記検知部材の他端部に対向する検知に遷移したときの位置を基準位置とし、前記基準位置から前記キャリッジを所定量移動させた位置をホーム位置とする前記位置決め動作を制御し、
前記位置決め動作を制御するとき、
前記検知手段の検知結果が、検知から非検知に遷移したときから再度検知に遷移するまでの間、前記エンコーダの出力パルスを計数し、
前記出力パルスの計数値が、前記切欠部の主走査方向の幅に基づいて予め定めた所定値以上であるかを判別し、
前記出力パルスの計数値が前記所定値以上でないときには前記位置決め動作が失敗したとする
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記基準位置から第1所定量だけ、前記検知手段の検知結果が検知となる状態が継続する方向に、前記キャリッジを移動させ、前記第1所定量移動した位置から前記キャリッジを反対方向に第2所定量移動させた位置をホーム位置とし、
前記第2所定量は、前記切欠部の主走査方向の幅と前記第1所定量より長い移動量である
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
主走査方向に移動するキャリッジに設けられ、主走査方向の途中に切欠部を有する被検知部材を、装置本体側に設けられた検知手段で検知し、
前記検知手段による前記被検知部材の検知及び非検知の検知結果に基づいて前記キャリッジのホーム位置を決めるホーム位置決め方法であって、
前記検知手段の検知結果が、前記被検知部材の一端部に対向する検知から前記切欠部に対向する非検知に遷移し、前記非検知から前記検知部材の他端部に対向する検知に遷移したときの位置を基準位置とし、前記基準位置から前記キャリッジを所定量移動させた位置をホーム位置とするホーム位置決めをするとき、
前記検知手段の検知結果が、検知から非検知に遷移したときから再度検知に遷移するまでの間、前記キャリッジの移動量を検知するエンコーダの出力パルスを計数し、
前記出力パルスの計数値が、前記切欠部の主走査方向の幅に基づいて予め定めた所定値以上であるかを判別し、
前記出力パルスの計数値が前記所定値以上でないときには前記位置決めが失敗したとする
ことを特徴とするホーム位置決め方法。
【請求項4】
前記基準位置から第1所定量だけ、前記検知手段の検知結果が検知となる状態が継続する方向に、前記キャリッジを移動させ、前記第1所定量移動した位置から前記キャリッジを反対方向に第2所定量移動させた位置をホーム位置とし、
前記第2所定量は、前記切欠部の主走査方向の幅と前記第1所定量より長い移動量である
ことを特徴とする請求項3に記載のホーム位置決め方法。
【請求項5】
主走査方向に移動するキャリッジに設けられ、主走査方向の途中に切欠部を有する被検知部材を、装置本体側に設けられた検知手段で検知し、
前記検知手段による前記被検知部材の検知及び非検知の検知結果に基づいて前記キャリッジのホーム位置を決める位置決め動作の制御をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記検知手段の検知結果が、前記被検知部材の一端部に対向する検知から前記切欠部に対向する非検知に遷移し、前記非検知から前記検知部材の他端部に対向する検知に遷移したときの位置を基準位置とし、前記基準位置から前記キャリッジを所定量移動させた位置をホーム位置とする前記位置決め動作の制御を行うとき、
前記検知手段の検知結果が、検知から非検知に遷移したときから再度検知に遷移するまでの間、前記キャリッジの移動量を検知するエンコーダの出力パルスを計数し、
前記出力パルスの計数値が、前記切欠部の主走査方向の幅に基づいて予め定めた所定値以上であるかを判別し、前記出力パルスの計数値が前記所定値以上でないときには前記位置決め動作が失敗したとする処理を前記コンピュータに行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記基準位置から第1所定量だけ、前記検知手段の検知結果が検知となる状態が継続する方向に、前記キャリッジを移動させ、前記第1所定量移動した位置から前記キャリッジを反対方向に第2所定量移動させた位置をホーム位置とする処理を、前記コンピュータに行わせ、
前記第2所定量は、前記切欠部の主走査方向の幅と前記第1所定量より長い移動量である
ことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置、ホーム位置決め方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させて印刷する印刷装置にあっては、キャリッジのホーム位置を正確に定める必要がある。
【0003】
従来、例えば、被検知部を備え、駆動手段によって所定の方向に走査されるキャリッジと、キャリッジが走査されている間に、該被検知部の切り欠き部で構成される被検知領域の走査方向における両端部を検知する検知手段と、走査方向におけるキャリッジの位置座標を検出する座標検出手段と、被検知部の被検知領域の両端部が該検知手段によってそれぞれ検知されたときに座標検出手段で検出されたキャリッジの各位置座標に基づいて、キャリッジを停止させる目標位置の座標を演算する演算手段とを有する記録装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-307771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、チャタリングなどが生じたときに被検知領域の両端部を正確に検知できなくなり、誤検知によってキャリッジをホーム位置に正しく位置決め停止できないという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ホーム位置決めの精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る印刷装置は、
キャリッジの主走査方向への移動量を検知するエンコーダと、
前記キャリッジに設けられた被検知部材と、
装置本体側に設けられ、前記被検知部材を検知する検知手段と、
前記検知手段による前記被検知部材の検知結果に基づいて、前記キャリッジのホーム位置を決める位置決め動作を制御する制御手段と、を備え、
前記被検知部材は、主走査方向の途中に切欠部を有し、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果が、前記被検知部材の一端部に対向する検知から前記切欠部に対向する非検知に遷移し、前記非検知から前記検知部材の他端部に対向する検知に遷移したときの位置を基準位置とし、前記基準位置から前記キャリッジを所定量移動させた位置をホーム位置とする前記位置決め動作を制御し、
前記位置決め動作を制御するとき、
前記検知手段の検知結果が、検知から非検知に遷移したときから再度検知に遷移するまでの間、前記エンコーダの出力パルスを計数し、
前記出力パルスの計数値が、前記切欠部の主走査方向の幅に基づいて予め定めた所定値以上であるかを判別し、
前記出力パルスの計数値が前記所定値以上でないときには前記位置決め動作が失敗したとする
構成とした。


【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホーム位置決めの精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の模式的側面説明図である。
図2】同印刷装置の要部平面説明図である。
図3】キャリッジに備える被検知部材と装置本体側の検知手段の説明に供する平面説明図である。
図4】同印刷装置の制御部の概要のブロック説明図である。
図5】ホーム位置センサとセンサフィラの関係が第1状態にあるときの位置決め動作の説明に供する説明図である。
図6】ホーム位置センサとセンサフィラの関係が第2状態にあるときの位置決め動作の説明に供する説明図である。
図7】ホーム位置センサとセンサフィラの関係が第3状態にあるときの位置決め動作の説明に供する説明図である。
図8】ホーム位置センサとセンサフィラの関係が第4状態にあるときの位置決め動作の説明に供する説明図である。
図9】本発明に係るプログラムによって制御部のコンピュータが行うホーム位置決め動作の制御の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る印刷装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同印刷装置の模式的側面説明図、図2は同印刷装置の要部平面説明図である。
【0011】
この印刷装置100は、シリアル型印刷装置であり、装置本体101と、装置本体101の下側に配置した給紙装置102とを備えている。
【0012】
装置本体101の内部には、給紙装置102から給紙されるロール状媒体であるロール紙120に画像を印刷する印刷部103が配置されている。
【0013】
また、装置本体101の前面側(印刷され切断されたロール紙120が排出される側を前面とする)には、印刷部103によって画像が印刷されたロール紙120を装置本体101の外に排出する排出口108が配置されている。
【0014】
また、この排出口108の上下方向は、装置本体101の前面側に設けた開閉可能な開閉カバー104と、排出されるロール紙120(切断後の状態を含む)をガイドする下排紙ガイド部材105とで構成されている。
【0015】
下排紙ガイド部材105の下方に、下排紙ガイド部材105で案内されて排出(排紙)されるロール紙120を収納するバケット106が配置される。
【0016】
印刷部103は、図2にも示すように、両側板110、110間にガイド部材1が掛け渡されている。ガイド部材1にはキャリッジ5が主走査方向に移動可能に保持されている。
【0017】
キャリッジ5は、主走査方向の一方側に配置される駆動源である主走査モータ6と、駆動プーリ7と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ8と、駆動プーリ7と従動プーリ8との間に掛け回されたタイミングベルト9とで、移動走査される。
【0018】
キャリッジ5には、複数(ここでは2個)の液体吐出ヘッドを含むヘッド11(11a、11b)を搭載している。ヘッド11は、液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンクを一体にしたものである。
【0019】
ヘッド11a、11bは主走査方向と直交する方向である副走査方向に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置されている。また、ヘッド11はいずれも2列のノズル列を有し、ブラック(K)、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)などの液体を吐出する。
【0020】
一方、キャリッジ5の主走査領域のうち、印刷領域では、給紙装置102からロール紙120が給送され、搬送手段21によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向)に間欠的に搬送される。
【0021】
また、キャリッジ5の主走査方向に沿って両側板110間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール41を張り渡し、キャリッジ5にはエンコーダスケール41のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ42を設けている。これらのエンコーダスケール41とエンコーダセンサ42によってキャリッジ5の移動量などを検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)43を構成している。
【0022】
搬送手段21は、給紙装置102から給紙されるロール紙120を搬送する搬送ローラ23及び搬送ローラ23に対向配置した加圧ローラ24を有する。そして、複数の吸引穴が形成された搬送ガイド部材25と、搬送ガイド部材25の吸引穴から吸引を行う吸引手段としての吸引ファン26とを有している。
【0023】
この搬送手段21の下流側には、ヘッド11で画像が印刷されたロール紙120を所定の長さで切断するカッタ27が配置されている。
【0024】
さらに、キャリッジ5の主走査方向の一方側には搬送ガイド部材25の側方にヘッド11の維持回復を行う維持回復機構(メンテナンス機構)30が配置されている。維持回復機構30は、装置本体101のヘッド11のノズル面をキャッピングするキャップ31と、ノズル面を払拭するワイパ部材33とを備えている。
【0025】
また、キャリッジ5の主走査方向の他方側には、搬送ガイド部材25の側方にヘッド11から印刷に使用しない液体を吐出する空吐出を行う空吐出受け34が配置されている。
【0026】
給紙装置102は、ロール体112を有している。ロール体112は、芯部材である管114に長尺のロール状媒体であるシート(これを上述したように「ロール紙」という。)120をロール状に巻き付けたものである。
【0027】
そして、装置本体101側には、給紙装置102のロール体112から引き出されるロール紙の下面をガイドするガイド部材130と、ロール紙120を湾曲させて上方に給送する搬送ローラ対131とが配置されている。
【0028】
搬送ローラ対131を回転駆動することで、ロール体112から繰り出されるロール紙120は、搬送ローラ対131とロール体112間で張られた状態で搬送される。そして、ロール紙120は、搬送ローラ対131を経て、搬送手段21の搬送ローラ23と加圧ローラ24との間に送り込まれる。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、キャリッジ5を主走査方向に移動し、給紙装置102から給送されるロール紙120を、搬送手段21によって間欠的に送る。
【0030】
そして、ヘッド11を画像情報(印刷情報)に応じて駆動して液体を吐出させることによって、ロール紙120上に所要の画像を印刷し、カッタ27で所要の長さで切断して、バケット106に排出する。
【0031】
次に、キャリッジに備える被検知部材と装置本体側の検知手段について図3も参照して説明する。図3は同説明に供する平面説明図である。
【0032】
キャリッジ5には被検知部材であるセンサフィラ51を設け、装置本体側にはフィラ51を検知する検知手段である透過型フォトセンサからなるホーム位置センサ52を配置している。
【0033】
センサフィラ51は、平板状部材であり、主走査方向の途中に、主走査方向の幅L[mm](以下、単位の[mm]は省略する。他の数値も同じ)の切欠部51aが設けられている。なお、切欠部51aには穴形状のものも含まれる。
【0034】
ここで、主走査方向において、左方向を矢印X1の方向(以下、「左方向X1」という。)とし、右方向を矢印X2の方向(以下、「右方向X2」という。)とする。そして、センサフィラ51の切欠部51aを挟んで左方向X1側を一端部51bとし、右方向X2側を他端部51cとする。
【0035】
ホーム位置センサ52の出力は、発光部及び受光部によるセンサ検知位置52aがセンサフィラ51の切欠部51a以外の部分に対向するときに「検知」状態に遷移する。また、ホーム位置センサ52の出力は、センサフィラ51に対向しないとき、及び、センサフィラ51の切欠部51aの部分に対向するときに「非検知」状態に遷移する。
【0036】
次に、この印刷装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。図4は同制御部のブロック説明図である。
【0037】
この制御部500は、装置全体の制御を司る本発明に係る制御手段を兼ねるCPU501と、CPU501が実行する本発明に係るプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
【0038】
また、制御部500は、PCなどのホスト(情報処理装置)600のプリンタドライバ601との間でデータの転送を司るホストI/F506と、ヘッド11を駆動制御する画像出力制御部511と、エンコーダ解析部512を備えている。エンコーダ解析部512は、主走査エンコーダ43のエンコーダセンサ42、副走査エンコーダ63のエンコーダセンサからの検知信号(出力パルス)を入力して解析する。副走査エンコーダ63は、搬送ローラ23の回転を検知するロータリエンコーダである。
【0039】
また、制御部500は、主走査モータ6を駆動する主走査モータ駆動部513と、搬送ローラ23を回転駆動する副走査モータ66を駆動する副走査モータ駆動部514と、各種センサ及びアクチュエータ517との間のI/O516なども備えている。ホーム位置センサ52の検知信号もI/O516に入力される。
【0040】
画像出力制御部511は、印刷データを生成するデータ生成手段、ヘッド11を駆動制御するための駆動波形を発生する駆動波形発生手段、駆動波形から所要の駆動信号を選択するためのヘッド制御信号及び印刷データを転送するデータ転送手段などを含む。そして、ヘッド11を駆動するためのヘッド駆動回路であるヘッドドライバに対して駆動波形、ヘッド制御信号、印刷データなどを出力して、ヘッド11のノズルから印刷データに応じて液体の滴を吐出させる。
【0041】
また、エンコーダ解析部512は、主走査エンコーダ43からの出力パルス(検出信号)、副走査エンコーダ63からの出力パルスから移動方向を検知する方向検知部520と、出力パルス数をカウント(計数)して移動量を計測するカウンタ部521とを備えている。
【0042】
制御部500は、エンコーダ解析部512による解析結果に基づいて、主走査モータ駆動部513を介して主走査モータ6を駆動制御することでキャリッジ5の主走査方向への移動制御を行う。また、制御部500は、エンコーダ解析部512による解析結果に基づいて、副走査モータ駆動部514を介して副走査モータ66を駆動制御することでロール紙120の送り制御を行う。
【0043】
制御部500は、キャリッジ5をホーム位置に位置決めする動作(ホーミング動作)を行うときには、ホーム位置センサ52の検知結果に基づいてキャリッジ5を移動制御し、このとき主走査エンコーダ43からの出力パルスの計数値を参照する。
【0044】
次に、キャリッジのホーム位置決め動作の制御について図5ないし図8を参照して説明する。図5ないし図8はホーム位置センサとセンサフィラの関係と位置決め動作(ホーム位置決め方法)の説明に供する説明図である。なお、各図において、ホーム位置センサ52についてはセンサ検知位置52aで図示する。
【0045】
まず、図5を参照して、ホーム位置センサ52がセンサフィラ51の切欠部51aの左側部分である一端部51bに対向している第1状態にあるときについて説明する。
【0046】
第1状態にあるときには、図5(a)に示すように、キャリッジ5を左方向X1に移動させると、ホーム位置センサ52に対して、センサフィラ51の左側部分51b、切欠部51a、切欠部51aの右側部分である他端部51cの順に通過する。
【0047】
そこで、図5(b)に示すように、ホーム位置センサ52の検知結果が、一端部51bに対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→他端部51cに対向する「検知」になった位置(切欠部51aの他端部51c側エッジ)を基準位置とする。
【0048】
その後、図5(c)に示すように、キャリッジ5を基準位置から更に予め定めた第1所定量Aだけ更に左方向X1に移動させて停止する。なお、キャリッジ5の移動量は、前述したように主走査エンコーダ43の出力パルスをカウントして検出できる。
【0049】
そして、図5(d)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、基準位置から第2所定量(B+L)だけ移動した位置をホーム位置として停止する。なお、距離「B」は、図3に示すように、ホーム位置センサ52が一端部51bに対向する位置とする。
【0050】
次に、図6を参照して、ホーム位置センサ52がセンサフィラ51の切欠部51aの右側部分である他端部51cに対向している第2状態にあるときについて説明する。
【0051】
第2状態にあるときには、図6(a)に示すように、一旦、キャリッジ5を左方向X1に移動させると、ホーム位置センサ52の検知結果が、他端部51cに対向する「検知」からセンサフィラ51外に対向する「非検知」に遷移する。
【0052】
そこで、図6(b)に示すように、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」から「非検知」に遷移したときから、更に予め定めた第3所定量(C+D)分だけ移動させる。この第3所定量(C+D)以内でホーム位置センサ52が「非検知」から「検知」に遷移しないときには、第3所定量(C+D)移動した位置でキャリッジ5を停止させる。
【0053】
そして、図6(c)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が他端部51cに対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→一端部51bに対向する「検知」に遷移したときから第1所定量Aだけ移動させて停止する。
【0054】
次いで、図6(d)に示すように、キャリッジ5を左方向X1に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が一端部51bに対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→他端部51cに対向する「検知」になった位置(切欠部51aの他端部51c側エッジ)を基準位置とする。
【0055】
そのまま、前記第1実施形態と同様に、図6(e)に示すように、キャリッジ5を基準位置から更に予め定めた第1所定量Aだけ更に左方向X1に移動させて停止する。
【0056】
そして、図6(f)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、基準位置から第2所定量(B+L)だけ移動した位置をホーム位置として停止する。
【0057】
次に、図7を参照して、ホーム位置センサ52がセンサフィラ51の切欠部51aに対向している第3状態にあるときについて説明する。
【0058】
第3状態にあるときには、図7(a)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させると、ホーム位置センサ52の検知結果は、切欠部51aaに対向する「非検知」→一端部51bに対向する「検知」になる。そこで、図7(b)に示すように、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」となった位置から第1所定量Aだけ更に右方向X2に移動させて停止する。
【0059】
そして、図7(c)に示すように、キャリッジ5を左方向X1に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が、一端部51bに対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→他端部51cに対向する「検知」になった位置(切欠部51aの他端部51c側エッジ)を基準位置とする。
【0060】
その後、前記第1実施形態と同様に、図7(d)に示すように、キャリッジ5を基準位置から更に予め定めた第1所定量Aだけ更に左方向X1に移動させて停止する。
【0061】
そして、図7(e)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、基準位置から第2所定量(B+L)だけ移動した位置をホーム位置として停止する。
【0062】
次に、図8を参照して、ホーム位置センサ52がセンサフィラ51に対向しておらず、センサフィラ51の右側に位置している第4状態にあるときについて説明する。
【0063】
第4状態にあるときには、図8(a)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させると、ホーム位置センサ52の検知結果は、センサフィラ51外に対向する「非検知」→他端部51cに対向する「検知」になる。
【0064】
そこで、図8(b)に示すように、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」となった位置から第1所定量Aだけ更に右方向X2に移動させて停止する。
【0065】
そして、図8(c)に示すように、キャリッジ5を左方向X1に移動させると、ホーム位置センサ52の検知結果は他端部51cに対向する「検知」→センサフィラ51外に対向する「非検知」になる。
【0066】
そこで、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」→「非検知」になった位置から予め定めた第3所定量(C+D)分だけ移動させる。この第3所定量(C+D)以内でホーム位置センサ52が「非検知」から「検知」に遷移しないときには、第3所定量(C+D)移動した位置でキャリッジ5を停止させる。
【0067】
そして、図8(d)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が、他端部51cに対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→一端部51bに対向する「検知」に遷移したときから第1所定量Aだけ移動させて停止する。
【0068】
次いで、図8(e)に示すように、キャリッジ5を左方向X1に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が一端部に対向する「検知」→切欠部51aに対向する「非検知」→他端部51cに対向する「検知」になった位置(切欠部51aの他端部51c側エッジ)を基準位置とする。
【0069】
そのまま、前記第1実施形態と同様に、図8(f)に示すように、キャリッジ5を基準位置から更に予め定めた第1所定量Aだけ更に左方向X1に移動させて停止する。
【0070】
そして、図8(g)に示すように、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、基準位置から第2所定量(B+L)だけ移動した位置をホーム位置として停止する。
【0071】
つまり、キャリッジ5のホーム位置決め動作(ホーミング動作)を開始したときには、ホーム位置センサ52の検知結果を判別して、検知結果と、ホーム位置センサ52とセンサフィラ51の位置関係によって前記第1状態ないし第4状態の4パターンの動作を実施する。
【0072】
第1状態及び第2状態は、いずれも、センサフィラ51を検知している状態でホーミング動作をスタートするが、キャリッジ5が第1状態、第2状態のいずれの位置にあるのかを認識できない。
【0073】
そこで、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」→「非検知」となって、次の検知が第3所定量(C+D)以内か否かで第1状態と第2状態のいずれであるかを判定する。
【0074】
第3状態及び第4状態についても、同様の手順でいずれの状態であるかを判定する。
【0075】
ここで、例えば、第1状態では、図5(b)、(c)に示すように、切欠部51aのエッジを検出した位置を基準位置と決定してから第1所定量Aだけ移動させて停止した後、反対方向に移動させる制御を行っている。
【0076】
これに対し、切欠部51aのエッジを検出してすぐにキャリッジ5を停止させ、キャリッジ5を反対方向に移動すると、キャリッジ5や装置の振動等によって切欠部51aのエッジの検知が不安定になって誤検知を生じるおそれがある。
【0077】
そこで、第1状態ないし第4状態のいずれの場合も、センサフィラ51の切欠部51aのエッジを検出してから、キャリッジ5を第1所定量Aだけ移動させて停止することで、ホーム位置センサ52の誤検知を防止することができる。
【0078】
また、基準位置を決定するときに、ホーム位置センサ52の検知結果のみで、「検知」→「非検知」→「検知」と遷移した位置を基準位置とすると、ホーム位置センサ52がチャタリングなどによって予期しない位置で切欠部51aのエッジを検知したと誤判定するおそれがある。
【0079】
そこで、本実施形態では、主走査エンコーダ43の出力パルス数と組み合わせることによって、この誤検知を防止している。
【0080】
具体的には、ホーム位置センサ52の検知結果が、「検知」から「非検知」に遷移したときから再度「検知」に遷移するまでの間、すなわち、「検知」→「非検知」→「検知」となる間、の主走査エンコーダ43の出力パルス数をカウント(計数)する。
【0081】
そして、出力パルス数のカウント値(計数値)が、切欠部51aのエッジ間の距離(主走査方向の幅L)に基づいて予め定めた所定値以上であるか否かを確認する。なお、所定値は、切欠部51aのエッジ間の距離(主走査方向の幅L)よりも少し短い距離(幅)に相当する。
【0082】
これにより、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」→「検知」になったときの「非検知」である間の出力パルス数が所定値以上であれば、正しく切欠部51aを検知していることになるので、「非検知」から「検知」に遷移した位置が正しい位置であると判定することができる。
【0083】
これに対し、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」→「非検知」→「検知」に遷移するときの「非検知」である間の出力パルス数が所定値未満であるときには、正しく切欠部51aを検知できていないことになるので、ホーミング失敗として、ホーミング動作をやり直すなどする。
【0084】
また、第1状態ないし第4状態において、基準位置決定後にホーム位置に移動するときにも、上述した主走査エンコーダ43の出力パルス数による判定処理を行うことで、エンコーダシート41の汚れ等による出力パルス数カウントの誤検知を防止することができ、より確実にホーミング動作を実施することができる。
【0085】
次に、本発明に係るプログラムによって制御部のコンピュータが行うホーム位置決め動作(ホーミング動作)の制御について図9のフロー図を参照して説明する。
【0086】
まず、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」であるか否かを判別する。これにより、前記第1状態又は第2状態か、第3状態又は第4状態のいずれかであるかを判定できる。
【0087】
ここで、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」でないとき、すなわち、「非検知」であるときには、第3状態及び第4状態のいずれかであることになるので、キャリッジ5を右方向X2に移動させる。そして、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」から「検知」に遷移した位置から第1所定量Aだけ移動させて、キャリッジ5を停止する。
【0088】
その後、また、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」であるときにはそのまま、キャリッジ5を左方向X1に移動させる。
【0089】
そして、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」となった位置から第3所定量(C+D)以内にホーム位置センサ52の検知結果が「検知」に遷移したか否かを判別する。これにより、第1状態及び第2状態のいずれであるか、又は、第3状態及び第4状態のいずれであるかを判定できる。
【0090】
ここで、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」となった位置から第3所定量(C+D)以内にホーム位置センサ52の検知結果が「検知」に遷移しなかったときには、第3所定量(C+D)移動した位置でキャリッジ5を停止する。
【0091】
そして、キャリッジ5を右方向X2に移動させ、ホーム位置センサ52の検知結果が「検知」→「非検知」→「検知」と遷移した位置から第1所定量Aだけ移動させてキャリッジ5を停止する。
【0092】
その後、また、ホーム位置センサ52の検知結果が「非検知」となった位置から第3所定量(C+D)以内にホーム位置センサ52の検知結果が「検知」に遷移したときには、「検知」→「非検知」→「検知」となったときの主走査エンコーダ43の出力パルス数のカウント値が所定値以上であるか否かを判別する。
【0093】
このとき、主走査エンコーダ43の出力パルス数のカウント値が所定値以上であるときには、正常な検知結果であると判定できるので、「検知」から「非検知」に遷移し、再度「検知」に遷移したときの位置を基準位置とする。
【0094】
そして、キャリッジ5を停止することなく、更に左方向X1に第1所定量Aだけ移動させてキャリッジ5を停止する。
【0095】
その後、キャリッジ5を右方向X2に移動させて、基準位置から第2所定量(B+L)移動させた位置をホーム位置としてキャリッジ5を停止させる。
【0096】
これに対し、主走査エンコーダ43の出力パルス数のカウント値が所定値未満であるときには、ホーミング動作が失敗したとして処理を終了する。ホーミング動作の失敗には異物の混入やセンサ故障なども含まれるが、ホーミング動作をリトライすることもできる。
【符号の説明】
【0097】
5 キャリッジ
11a、11b 液体吐出ヘッド
43 主走査エンコーダ
51 センサフィラ(被検知部材)
51a 切欠部
52 ホーム位置センサ(検知手段)
500 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9