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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220131BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20220131BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J11/42
B65H7/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018047564
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019155794
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】前山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀江 泰介
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-114547(JP,A)
【文献】特開2007-168174(JP,A)
【文献】特開平11-245383(JP,A)
【文献】特開2006-076074(JP,A)
【文献】特開2012-035602(JP,A)
【文献】特開2011-207210(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057436(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0170723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 11/42
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を周面に担持して搬送する回転部材と、
前記シート材に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記シート材の位置を検知するシート材位置検知手段と、
前記回転部材の回転量に応じた第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記回転部材の周面における前記シート材の移動量に相関する第2信号を出力する第2信号出力手段と、
前記シート材位置検知手段の検知結果と前記第1信号から前記液体吐出手段の吐出開始タイミングを決定する手段と、
前記第2信号から前記液体吐出手段の吐出タイミングを生成する手段と、を備え
前記第1信号出力手段は、前記回転部材の軸に設けられたエンコーダホイールと、前記エンコーダホイールを読取るエンコーダセンサとを含む
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
シート材を周面に担持して搬送する回転部材と、
前記シート材に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記シート材の位置を検知するシート材位置検知手段と、
前記回転部材の回転量に応じた第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記回転部材の周面における前記シート材の移動量に相関する第2信号を出力する第2信号出力手段と、
前記シート材位置検知手段の検知結果と前記第1信号から前記液体吐出手段の吐出開始タイミングを決定する手段と、
前記第2信号から前記液体吐出手段の吐出タイミングを生成する手段と、を備え、
前記第2信号出力手段は、前記回転部材の周面に設けられたエンコーダスケールと、前記エンコーダスケールを読取るエンコーダセンサと、を含み、
搬送方向において、前記エンコーダスケールの長さをL、前記担持可能なシート材の最大長さをL1、前記液体吐出手段の吐出領域の長さをL2、とするとき、L>L1+L2、の関係が成り立つ
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
シート材を周面に担持して搬送する回転部材と、
前記シート材に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記シート材の位置を検知するシート材位置検知手段と、
前記回転部材の回転量に応じた第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記回転部材の周面における前記シート材の移動量に相関する第2信号を出力する第2信号出力手段と、
前記シート材位置検知手段の検知結果と前記第1信号から前記液体吐出手段の吐出開始タイミングを決定する手段と、
前記第2信号から前記液体吐出手段の吐出タイミングを生成する手段と、を備え、
前記第2信号出力手段は、前記回転部材の周面に設けられたエンコーダスケールと、前記エンコーダスケールを読取るエンコーダセンサと、を含み、
前記回転部材の周面には、複数の前記エンコーダスケールが配置されている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記第2信号出力手段は、前記回転部材の周面に設けられたエンコーダスケールと、前記エンコーダスケールを読取るエンコーダセンサと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記回転部材の周面には、複数の前記エンコーダスケールが配置されている
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記第2信号出力手段の前記エンコーダセンサ、前記液体吐出手段の近傍に配置されている
ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
複数の前記液体吐出手段を備え、
前記エンコーダセンサは、各液体吐出手段の近傍に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
搬送方向において、前記エンコーダスケールの長さをL、前記担持可能なシート材の最大長さをL1、前記液体吐出手段の吐出領域の長さをL2、とするとき、L>L1+L2、の関係が成り立つ
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
搬送方向において、前記液体吐出手段の吐出領域上流端よりも上流側に、前記エンコーダセンサの読み取り位置があり、
前記エンコーダスケールの先端が、前記シート材の先端担持位置に対して、前記読み取り位置と前記吐出領域上流端との間の距離分搬送方向上流側の位置よりも下流側に位置している
ことを特徴とする請求項2ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
搬送方向において、前記液体吐出手段の吐出領域上流端よりも下流側に、前記エンコーダセンサの読み取り位置があり、
前記エンコーダスケールの先端が、前記シート材の先端担持位置に対して、前記読み取り位置と前記吐出領域上流端との間の距離よりも長い距離分、搬送方向下流側に位置している
ことを特徴とする請求項2ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
搬送方向において、前記液体吐出手段の吐出領域下流端よりも上流側に、前記エンコーダセンサの読み取り位置があり、
前記エンコーダスケールの後端が、前記シート材の後端担持位置に対して、前記読み取り位置と前記吐出領域下流端との間の距離よりも長い距離分、搬送方向上流側に位置している
ことを特徴とする請求項又は10に記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
搬送方向において、前記液体吐出手段の吐出領域下流端よりも下流側に、前記エンコーダセンサの読み取り位置があり、
前記エンコーダスケールの後端が、前記シート材の後端担持位置に対して、前記読み取り位置と前記吐出領域下流端との間の距離分搬送方向下流側の位置よりも上流側に位置している
ことを特徴とする請求項10に記載の液体を吐出する装置。
【請求項13】
前記第1信号出力手段は、前記回転部材の軸に設けられたエンコーダホイールと、前記エンコーダホイールを読取るエンコーダセンサとを含む
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の液体を吐出する装置。
【請求項14】
前記シート材位置検知手段は、前記シート材の先端を検知する
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項15】
前記シート材位置検知手段は、前記シート材に設けられたマークを検知する
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する装置として、例えば、搬送ドラムなどの回転部材にシート材を担持して搬送しながら印刷を施すものがある。
【0003】
従来、搬送ベルトに付設したエンコーダスケールを含むリニアエンコーダと、搬送ベルトを掛け回したローラの軸に設けたエンコーダホイールを含むロータリエンコーダと、を備えて、リニアエンコーダの検出結果でロータリエンコーダの検出結果を補正しながら搬送ベルトの送り速度を制御するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-347045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、ライン型印刷装置にあっては、シート材の搬送速度を液体吐出前に検出して色毎に吐出タイミングを決定する。このとき、回転部材の軸で検出した回転部材の回転速度と回転部材の周面で担持されているシート材の実際の速度(シート材の実搬送速度)とは必ずしも一致しない。
【0006】
そのため、1色目の前で決定した各色毎の吐出タイミングで、各色の液体吐出手段から液体を吐出しても、目標位置に着弾させることができず、印刷品質が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷品質を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
シート材を周面に担持して搬送する回転部材と、
前記シート材に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記シート材の位置を検知するシート材位置検知手段と、
前記回転部材の回転量に応じた第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記回転部材の周面における前記シート材の移動量に相関する第2信号を出力する第2信号出力手段と、
前記シート材位置検知手段の検知結果と前記第1信号から前記液体吐出手段の吐出開始タイミングを決定する手段と、
前記第2信号から前記液体吐出手段の吐出タイミングを生成する手段と、を備え
前記第1信号出力手段は、前記回転部材の軸に設けられたエンコーダホイールと、前記エンコーダホイールを読取るエンコーダセンサとを含む
構成とした。
【0009】
本発明によれば、印刷品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図3】同実施形態における吐出タイミング制御を行うための検出に係る部分の説明に供する搬送ドラム周りの正面説明図である。
図4】同じく平面説明図である。
図5】吐出タイミング制御に係る部分の説明に供するブロック説明図である。
図6】吐出制御の説明に供するフロー図である。
図7】第1エンコーダの出力を使用した吐出開始タイミングの確定の説明に供するタイミングチャートである。
図8】本発明の第2実施形態の説明に供する搬送ドラムの側面説明図である。
図9】本発明の第3実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
図10】本発明の第4実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
図11】本発明の第5実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、搬出部40とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入されるシート状部材であるシート材Pに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部30でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部40に排出する。
【0013】
搬入部10は、複数のシート材Pが積載される搬入トレイ11と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、シート材Pを印刷部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。
【0014】
給送装置12には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置12により搬入トレイ11から送り出されたシート材Pは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
【0015】
印刷部20は、シート材Pを外周面に担持して搬送する搬送手段である搬送ドラム21と、搬送ドラム21に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部22とを備えている。
【0016】
また、印刷部20は、送り込まれたシート材Pを受け取って搬送ドラム21へ渡す渡し胴24と、搬送ドラム21によって搬送されたシート材Pを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25を備えている。
【0017】
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴24の表面に設けられたシートグリッパによって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシート材Pは、搬送ドラム21との対向位置で搬送ドラム21へ受け渡される。
【0018】
搬送ドラム21の表面にもシートグリッパが設けられており、シート材Pの先端がシートグリッパによって把持される。搬送ドラム21の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されている。吸着手段である吸着装置26によって搬送ドラム21の吸引孔から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0019】
そして、渡し胴24から搬送ドラム21へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸着装置26による吸い込み気流によって搬送ドラム21上に吸着され、搬送ドラム21の回転に伴って搬送される。
【0020】
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23F,23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0021】
吐出ユニット23は、例えば、図2に示すように、複数のノズルを配列したノズル列101を有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)100をベース部材52に配置したフルライン型ヘッドである。
【0022】
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。搬送ドラムに担持されたシート材Pが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0023】
乾燥部30は、印刷部20でシート材P上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部31と、印刷部20から搬送されてくるシート材Pを吸引した状態で搬送する(吸引搬送する)吸引搬送機構部32とを備えている。
【0024】
印刷部20から搬送されてきたシート材Pは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
【0025】
乾燥機構部31を通過するとき、シート材P上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0026】
搬出部40は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ41を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。
【0027】
なお、印刷装置1には、例えば、シート材Pに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシート材Pに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
【0028】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシート材Pに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートを反転させて再び印刷部20へ送ってシート材Pの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
【0029】
次に、本実施形態における吐出タイミング制御を行うための検出に係る部分について図3及び図4を参照して説明する。図3は搬送ドラム周りの正面説明図、図4は同じく平面説明図である。ただし、図4では簡略化するために1つの吐出ユニットを図示している。
【0030】
搬送ドラム21の軸21aにはエンコーダホイール202を設け、エンコーダホイール202を読取るエンコーダセンサ203を配置して、これらのエンコーダホイール202とエンコーダセンサ203で第1信号出力手段である第1エンコーダ201を構成している。第1エンコーダ201はロータリエンコーダであり、搬送ドラム21の回転量(回転駆動量)に応じた第1信号(出力パルス)を出力する。
【0031】
また、搬送ドラム21の周面にはエンコーダスケール212を付設し、エンコーダスケール212を読取るエンコーダセンサ213を配置して、これらのエンコーダスケール212とエンコーダセンサ213で第2信号出力手段である第2エンコーダ211を構成している。第2エンコーダ202はリニアエンコーダであり、搬送ドラム21の周面の移動量に応じた第2信号(出力パルス)を出力し、第2信号は搬送ドラム21の周面におけるシート材Pの移動量に相関する信号である。
【0032】
ここで、第2エンコーダ211を構成するエンコーダセンサ213は、複数の吐出ユニット23の各々の近傍に配置されている。本実施形態では吐出ユニット23のベース部材52に取り付けている。したがって、各吐出ユニット23のエンコーダセンサ213と搬送ドラム21のエンコーダスケール212によって、各々第2エンコーダ211が構成される。
【0033】
さらに、搬送方向最上流の吐出ユニット23Aの搬送方向上流側には、シート材Pの先端を検出するシート材位置検知手段であるシート材位置センサ220が配置されている。
【0034】
なお、本実施形態では、シート材位置センサ220は、シート材Pの先端を検知しているが、シート材Pに付したマーク(レジストマーク)を読取る構成とすることもできる。レジストを読み取る構成とすることで、カットシート材だけでなく、連帳紙などの連続媒体を使用する場合にも対応可能となる。
【0035】
次に、吐出タイミング制御に係る部分について図5のブロック説明図を参照して説明する。
【0036】
吐出開始タイミング決定手段501は、シート材位置センサ220の検知結果がシート材Pの先端位置を検知した状態になったときから第1エンコーダ201からの第1信号である出力パルスをカウントして吐出開始タイミングを決定(確定)する。
【0037】
吐出タイミング生成手段502は、吐出開始タイミング決定手段501で決定された吐出開始タイミングで吐出された後の吐出タイミングを第2エンコーダ211の第2信号である出力パルスに基づいて生成する。
【0038】
ヘッド駆動制御部503は、吐出開始タイミング決定手段501で決定された吐出開始タイミングで各吐出ユニット23からの吐出を開始し、吐出開始後は、吐出タイミング生成手段502で生成された吐出タイミングで吐出ユニット23から液体を吐出させる。
【0039】
次に、吐出制御について図6のフロー図を参照して説明する。
【0040】
前述したように、渡し胴24によってシート材Pが搬送ドラム21に渡されると、吸着装置26によってシート材Pの吸着を開始し、搬送ドラム21の回転によってシート材Pを搬送する(ステップS001。以下、単に「S001」というように表記する。)。
【0041】
そして、シート材Pの先端をシート材位置センサ220で検知した(S002)ときから第1エンコーダ201の出力パルスをカウントして、所定カウント値になったときに、各吐出ユニット23からの各色毎の吐出開始タイミングを確定する(S003)。これにより、各吐出ユニット23からの吐出が開始される。
【0042】
次いで、吐出開始後は、吐出タイミング位置に到達する毎に、第2エンコーダ211の出力パルスにて吐出タイミングを生成し、吐出ユニット23から液体を吐出してシート材P上に画像を形成する。
【0043】
このように、色毎の重ね合わせ精度は、第1エンコーダ201の出力で制御する。また、ドットの搬送方向の間隔、位置精度は、第2エンコーダ211で検出する搬送ドラム21上の実際のシート材Pの位置にて制御する。
【0044】
これにより、精度が高く求められる同色間の吐出精度を、第2エンコーダ211で得られる搬送ドラム21上での実際のシート材Pの位置で規定することができる。このとき、第2エンコーダ211は搬送ドラム21の表面の移動量を検出することになり、搬送ドラム21n回転精度、搬送ドラム21の部品精度による誤差をキャンセルすることができる。したがって、第1エンコーダとして高精度のエンコーダを使用しないでも、高精度な着弾位置精度を得ることができ、印刷品質が向上する。
【0045】
ここで、第1エンコーダの出力を使用した吐出開始タイミングの確定について図7のタイミングチャートを参照して説明する。
【0046】
第1の例では、シート材位置センサ220の出力の立下りを検出すると、第1エンコーダ201の出力を逓倍処理したカウント信号のカウントを開始する。そして、カウント数が各色の吐出ユニットの物理的距離に合わせた所定値に達したときに、各色の印字信号(吐出開始タイミング信号)を出力する。なお、ここでは第1エンコーダ201の出力を逓倍処理しているが、逓倍処理をしない場合は搬送ドラム21のドラム軸心に高精度な第1エンコーダ201を設ける。
【0047】
第2の例では、第1エンコーダ201の出力を逓倍処理したカウント信号を生成し、シート材位置センサ220の立下り(紙あり)を検出するまで、前回の第1エンコーダ201の出力のエッジからのカウント信号のパルス数をカウントする。
【0048】
そして、シート材位置センサ220の出力の立下りを検出すると、そのタイミングにおけるカウント信号のカウント値を記憶するとともに、第1エンコーダ201の出力のエッジによるカウントを開始して、第1エンコーダ201の出力のカウント数が各色の吐出ユニット23の物理的距離に合わせた所定値に達したときに、記憶したカウント信号のカウント数分遅延させて各色の印字信号を出力する。
【0049】
これにより、第1の例よりもカウンタサイズを小さく抑えることができる。
【0050】
そして、本実施形態では、上記のようにして各色毎の吐出開始タイミング信号が出力された後、実際に吐出ユニット23のヘッド100からの液体の吐出は、第2エンコーダ211の出力パルスで生成した吐出タイミング信号で行う。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態の説明に供する搬送ドラムの側面説明図である。
【0052】
本実施形態では、搬送ドラム21の周面に複数に分割したエンコーダスケール212を設けている。分割数は、同時に担持可能なシート材Pの枚数としている。
【0053】
これにより、一般的に長さによって高価になるエンコーダスケールのコストを抑えることができる。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
【0055】
本発明においては、吐出ユニット23がシート材Pと対向しているときには第2エンコーダ211で検出しているように構成する必要がある。
【0056】
そこで、図9に示すように、エンコーダスケール212の長さLを、最大シート材長さL1と吐出ユニット23の搬送方向における吐出領域(作像領域)の搬送方向長さ、すなわち、吐出領域上流端A1と吐出領域下流端A2との間の距離L2とを加算した長さより長くする(L>L1+L2)。
【0057】
なお、ここでの吐出領域上流端A1は、吐出ユニット23Aの最上流のノズル位置を、吐出領域下流端A2は、吐出ユニット23Fの最下流のノズル位置を意味している。
【0058】
ここで、本実施形態では、搬送方向Yにおいて、吐出領域上流端A1より下流側にエンコーダセンサ213の読み取り位置B1がある。
【0059】
そこで、搬送方向Yにおいて、エンコーダスケール212の先端は、シート材Pの先端担持位置C1に対してエンコーダセンサ213の読み取り位置B1と吐出領域上流端A1との距離L3と検知の余裕度αを持った距離(L3+α)分、即ち距離L3より長い距離分、搬送方向下流側の位置にする。
【0060】
また、本実施形態では、搬送方向Yにおいて、エンコーダセンサ213の読み取り位置B1よりも下流側に吐出領域下流端A2が位置している。
【0061】
そこで、搬送方向Yにおいて、エンコーダスケール212の後端は、最大長さのシート材Pの後端担持位置C2に対してエンコーダセンサ213の読み取り位置B1と吐出領域下流端A2との距離L4と検知の余裕度βを持った距離(L4+β)分、即ち距離L4よりも長い距離分、搬送方向上流側の位置にする。
【0062】
したがって、エンコーダスケール212の全体の長さは、L+(L3+α)+(L4+β)となる。
【0063】
このように構成することで、吐出ユニット23から液体を吐出するときには、第2エンコーダ211が第2信号(出力パルス)を出力するので、確実に、吐出タイミング信号を生成することができる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
【0065】
本実施形態では、搬送方向Yにおいて、吐出領域上流端A1より上流側にエンコーダセンサ213の読み取り位置B1がある。したがって、シート材Pの先端が吐出領域上流端A1に位置したときにエンコーダスケール212をエンコーダセンサ213で読み取れればよい。
【0066】
そこで、シート材Pの先端担持位置C1を吐出領域上流端A1とするとき、搬送方向Yにおいて、エンコーダスケール212の先端は、シート材Pの先端担持位置C1に対して、読み取り位置Bと吐出領域上流端A1との間の距離L5分搬送方向上流側の位置D1よりも下流側の位置している。この場合、エンコーダスケール212の先端は、破線で示すように、位置D1より下流側であれば特に限定されない。
【0067】
また、本実施形態におけるエンコーダスケール212の後端位置は、上記第3実施形態における説明と併せると、距離(L5+L2+γ)分、搬送方向上流側に位置することになる。
【0068】
次に、本発明の第5実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態におけるエンコーダスケールの説明に供する要部拡大説明図である。
【0069】
本実施形態では、搬送方向Yにおいて、吐出領域下流端A2より下流側にエンコーダセンサ213の読み取り位置B1がある。したがって、シート材Pの後端が吐出領域下流端A2に位置したときにエンコーダスケール212をエンコーダセンサ213で読み取れればよい。
【0070】
そこで、シート材Pの後端担持位置C2を吐出領域下流端A2とするとき、搬送方向Yにおいて、エンコーダスケール212の後端は、シート材Pの後端担持位置C2に対して、読み取り位置Bと吐出領域下流端A2との間の距離L6分搬送方向下流側の位置D2より上流側に位置している。この場合、エンコーダスケール212の後端は、破線で示すように、位置D2より上流側であれば特に限定されない。
【0071】
また、本実施形態におけるエンコーダスケール212の先端位置は、上記第3実施形態における説明と併せると、距離(L6+L2+η)分、搬送方向下流側に位置することになる。
【0072】
上記第3ないし第5実施形態において、ノズル列が1列だけである場合には、吐出領域の上流端A1と下流端A2とは一致することになるので、エンコーダスケール212の先端位置、後端位置は、それに応じて、第3ないし第5実施形態を組み合わせればよい。
【0073】
なお、上記実施形態では、回転部材が搬送ドラムである例で説明しているが、無端ベルトを使用する場合にも、同様に適用できる。
【0074】
また、上記実施形態においては、第2信号出力手段がリニアエンコーダである例で説明しているが、回転部材の周面に担持されたシート材の表面の移動量を計測して移動量に応じた信号を出力する手段(速度を検出するものを含む)を備えることもできる。
【0075】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0076】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0077】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0078】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0079】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置がある。
【0080】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0081】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0082】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0083】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0084】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0085】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0086】
1 印刷装置
10 搬入部
20 印刷部
21 搬送ドラム
22 液体吐出部
23 吐出ユニット
26 吸着装置
201 第1エンコーダ
211 第2エンコーダ
502 吐出タイミング生成手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11