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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】乾燥装置、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20220131BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220131BHJP
   B41F 23/04 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
F26B21/00 E
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41F23/04 A
B41F23/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018050647
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019163870
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 経一
(72)【発明者】
【氏名】村井 俊文
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-010183(JP,A)
【文献】特開2017-109477(JP,A)
【文献】特開2016-112727(JP,A)
【文献】特開2017-039579(JP,A)
【文献】特開2010-125828(JP,A)
【文献】特開平11-014258(JP,A)
【文献】特開2011-083950(JP,A)
【文献】特開2017-007110(JP,A)
【文献】特開2017-090007(JP,A)
【文献】特開2015-074216(JP,A)
【文献】特開2019-162779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/00
B41J 2/01
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付与されたシートを加熱する加熱部と、
前記加熱部で乾燥された前記シートを冷却する冷却部と、
前記冷却部に冷却した循環液を供給する冷却ユニットと、
前記加熱部で生じる蒸気を排気する第1ダクトと、
前記循環液が流れる経路部材と、を備え、
前記経路部材は、前記第1ダクト内を流れる前記蒸気が外表面に接触する接触部を含み、
前記第1ダクトは、前記加熱部外に前記蒸気を案内する上流側ダクト部と、前記上流ダクト部に通じるとともに、装置外に通じる開口部、及び、廃液回収部に通じる開口部を有する下流側ダクト部と、を含む
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記接触部の外表面にはフィンが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第1ダクトの外壁面には断熱材が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第1ダクトは表面に凹凸を有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記第1ダクトは蛇腹状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記第1ダクトは、壁部内に前記循環液が流れる通路を有している
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記冷却ユニットの排熱で温められた空気を前記加熱部内に案内する第2ダクトを備えている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記第2ダクトは、前記加熱部内の前記シートが搬送される経路近傍に前記空気の吐き出し口を有している
ことを特徴とする請求項7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記上流側ダクト部と前記下流側ダクト部との交差部分に前記接触部が配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項10】
シート材に液体を付与する液体付与手段と、
請求項1ないしのいずれかに記載の乾燥装置と、を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を付与して印刷を行う印刷装置として、連帳紙などに液体を付与した後に加熱部で加熱し、冷却部で冷却するものがある。
【0003】
従来、記録媒体を乾燥するための加熱部と、加熱部から搬送された記録媒体を冷却する冷却部と、加熱部内の空気を機外に排出するダクトと、ダクトに、加熱部から出る空気と冷却部からの空気が合流する合流部とを有し、ダクト内で、加熱部からの水や溶剤を含んだ空気を冷却して、液体として回収するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-109477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、冷却ファンによる空気によって蒸気を冷却するが、その空気は室温環境、機内環境の温度に依存するため、冷却能力が低く、効率的な回収を行うことができないという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、安定した冷却能力が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る乾燥装置は、
液体が付与されたシートを加熱する加熱部と、
前記加熱部で乾燥された前記シートを冷却する冷却部と、
前記冷却部に冷却した循環液を供給する冷却ユニットと、
前記加熱部で生じる蒸気を排気する第1ダクトと、
前記循環液が流れる経路部材と、を備え、
前記経路部材は、前記第1ダクト内を流れる前記蒸気が外表面に接触する接触部を含み、
前記第1ダクトは、前記加熱部外に前記蒸気を案内する上流側ダクト部と、前記上流ダクト部に通じるとともに、装置外に通じる開口部、及び、廃液回収部に通じる開口部を有する下流側ダクト部と、を含む
構成とした。
【0008】
本発明によれば、安定した冷却能力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
図2】同第1実施形態における乾燥装置の説明図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
図7】本発明の第6実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は同実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【0011】
この印刷装置100は、インクジェット記録装置であり、シートである連帳紙110に対して所要の色の液体であるインクを吐出付与する液体付与手段である液体吐出ヘッドを含む液体付与部101を有している。
【0012】
液体付与部101は、例えば、連帳紙110の搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dが配置されている。各ヘッド111は、それぞれ、連帳紙110に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を付与する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0013】
連帳紙110は、元巻きロール102から繰り出され、搬送部103の搬送ローラ112によって、液体付与部101に対向して配置された搬送ガイド部材113上に送り出され、搬送ガイド部材113で案内されて搬送される。
【0014】
液体付与部101によって液体が付与された連帳紙110は、本発明に係る乾燥装置104を経て、排出ローラ114によって送られて、巻取りロール105に巻き取られる。
【0015】
次に、第1実施形態における乾燥却装置について図2も参照して説明する。図2は同乾燥装置の説明図である。
【0016】
乾燥装置104は、連帳紙110を加熱して乾燥する加熱部10と、加熱部10で加熱された連帳紙110を冷却する冷却部20と、冷却部20に循環液を供給する冷却ユニット30と、加熱部10から排気される蒸気を案内する第1ダクト40とを備えている。
【0017】
加熱部10は、ハウジング13内に、連帳紙110を加熱するヒートドラム11と、連帳紙110をヒートドラム11周りに案内する複数の案内ローラ12が配置されている。
【0018】
この加熱部10を通過した連帳紙110は、搬送駆動ローラ93と従動ローラ92で案内搬送されて、冷却部20に送り込まれる。
【0019】
冷却部20は、循環液36が通じる複数のローラ21を有している。
【0020】
冷却ユニット30は、循環液36の熱交換を行う熱交換ユニット31と、冷却された循環液36を冷却部20に送るポンプ32と、冷媒を冷却する冷却機33と、冷却機33により高温となった冷媒を放熱するファン35を備える放熱部34などを備えている。
【0021】
熱交換ユニット31を循環液36が通過することで循環液36が冷却される。循環液36は、ポンプ32によって供給路37を介して冷却部20のローラ21に送られる。循環液36が通じるローラ21に加熱部10で加熱された連帳紙110が巻きつけられることで、連帳紙110から循環液36に熱が回収され、熱を回収した循環液36は回収路38を介して熱交換ユニット31に戻されて再度冷却される。
【0022】
本実施形態では、ポンプ32からの供給路37及び熱交換ユニット31への回収路38は、循環液が流れる経路部材37A、38Aで構成されている。経路部材37A、38Aは、例えばチューブやパイプなどで構成できる。
【0023】
熱交換ユニット31で循環液36と熱交換されて昇温した冷媒は冷却機33に戻される。
【0024】
また、加熱部10で連帳紙110を乾燥させるときに発生する溶剤と水蒸気を含んだ蒸気19を排気する第1ダクト40を備えている。
【0025】
第1ダクト40は、加熱部10外に蒸気19を案内する上流側ダクト部41と、上流側ダクト部41と交差する下流側ダクト部42とを有している。下流側ダクト部42の上方開口部は例えば屋外に通じ、下方開口部は廃液回収タンク44に通じている。
【0026】
一方、循環液36の回収路38の一部を第1ダクト40の上流側ダクト部41と下流側ダクト部42との交差部分に臨ませて、第1ダクト40を流れる蒸気19が外表面に接触する接触部51を設けている。つまり、回収路38を形成する経路部材38Aの一部で触部51を構成し、接触部51内を循環液36が流れるようにしている。
【0027】
また、冷却ユニット30の放熱部34で生じる排熱で温められた空気65を加熱部10のハウジング13内に案内する第2ダクト60を備えている。
【0028】
このように構成した乾燥装置104においては、加熱部10で生じる蒸気19が第1ダクト40で案内されて接触部51の外表面と接触する。これにより、蒸気19に含まれる溶剤が結露し、結露液70は、下流側ダクト部42の下方に滴下して廃液回収タンク44に回収される。
【0029】
また、冷却ユニット30の放熱部34で生じる排熱で温められた空気65は第2ダクト60を通じて加熱部10のハウジング13内に送られる。これにより、加熱部10内における結露が防止されるとともに、加熱部10内が予熱されて、ヒートドラム11の消費電力を下げることもできる。
【0030】
このように、冷却ユニット30の循環液36によって蒸気19を冷却することで冷却能力が高く、安定した冷却能力が得られる。
【0031】
また、冷却ユニット30では、循環液36が結露液70を生成するときに使用した熱量と、加熱部10の空気65に供給した熱量の分だけ冷却されているため、冷却機33によって室内排気される排熱が少なくなる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。図3は同実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【0033】
本実施形態では、第1実施形態の構成において、接触部51の外表面にフィン52を設けている。
【0034】
これにより、溶剤蒸気19と接触部との接触面積が大きくなるので、蒸気19をより効率的に冷却することができる。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態について図4を参照して説明する。図4は同実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【0036】
本実施形態では、第2実施形態の構成において、加熱部10のハウジング13の容積を前記第1、第2実施形態よりも小さくしている。したがって、第2ダクト60の空気65の吐き出し口60aは、連帳紙110が搬送される経路近傍に配置される。
【0037】
これにより、第2ダクト60で案内される空気65による予熱効果を高めることができる。
【0038】
次に、本発明の第4実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【0039】
本実施形態では、供給路37から分岐し、冷却部20を通過せずに、循環液36を接触部51に送る分岐経路54を形成する経路部材54Aを設けている。つまり、分岐経路54の一部を、第1ダクト40の上流側ダクト部41と下流側ダクト部42との交差部分に臨ませて、第1ダクト40を流れる蒸気19が外表面に接触する接触部51を構成している。
【0040】
これにより、連帳紙110の熱を吸収していない状態の循環液36を接触部51に送液することができ、冷却能力が一層向上する。
【0041】
次に、本発明の第5実施形態について図6を参照して説明する。図6は同実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【0042】
本実施形態では、第4実施形態の構成において、下流側ダクト部42の内面に表面積を増やす加工を施して凹凸55を設けている。また、第2ダクト部42の外面に結露が生じないよう、断熱材53を設けている。
【0043】
これにより、蒸気19をより効率的に冷却することができる。
【0044】
次に、本発明の第6実施形態について図7を参照して説明する。図7は同実施形態に係る乾燥装置の説明図である。
【0045】
本実施形態では、第4実施形態の構成において、下流側ダクト部42は内外表面に凹凸を設けた蛇腹状とし、更に、下流側ダクト部42は壁内部に循環液36が流れる通路56を設けている。
【0046】
第2ダクト部42を蛇腹状とすることで、第2ダクト部42と溶剤蒸気19との接触面積を増やすことができる。
【0047】
そして、分岐経路54から更に分岐して下流側ダクト部42の壁内部の通路56に通じる分岐経路57と、通路56を接触部51より下流側で分岐経路54につなぐ戻し経路58とを設けている。
【0048】
これにより、下流側ダクト部42自体も循環液36が循環することで冷却されるので、蒸気19をより一層効率的に冷却することができる。
【0049】
本願において、シート材に付与される液体は、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0050】
液体付与手段として液体吐出ヘッドを使用するとき、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0051】
なお、本願における印刷は、画像形成、記録、印字、印写等とも同じ意味である。
【符号の説明】
【0052】
10 加熱部
11 ヒートドラム
12 案内ローラ
13 ハウジング
19 蒸気
20 冷却部
21 ローラ
30 冷却ユニット
31 熱交換ユニット
32 ポンプ
33 冷却機
34 放熱部
35 ファン
36 循環液
37 供給路
38 回収路
38A 経路部材
40 第1ダクト
41 上流側ダクト部
42 下流側ダクト部
44 廃液回収タンク
51 接触部
52 フィン
53 断熱材
54 分岐経路
54A 経路部材
55 凹凸
56 通路
57 分岐経路
58 戻し経路
60 第2ダクト
60a 吐き出し口
65 空気
70 結露液
92 従動ローラ
93 搬送駆動ローラ
100 印刷装置
101 液体付与部
103 搬送部
104 乾燥装置
110 連帳紙(シート)
111A フルライン型ヘッド
111B フルライン型ヘッド
111C フルライン型ヘッド
111D フルライン型ヘッド
102 元巻きロール
105 巻取りロール
112 搬送ローラ
113 搬送ガイド部材
114 排出ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7