(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】電磁誘導式エンコーダの巻線構成
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
G01D5/245 E
G01D5/245 110A
(21)【出願番号】P 2017152094
(22)【出願日】2017-08-07
【審査請求日】2020-07-07
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-318781(JP,A)
【文献】特開2009-192546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダであって、
前記測定軸方向に沿って延在し、信号変調スケールパターンを含むスケールであって、前記信号変調スケールパターンは、前記X軸方向に垂直であるY軸方向に沿ってスケールパターン幅寸法を有し、また、前記信号変調スケールパターンは、前記X軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特性を含む、前記スケールと、
前記信号変調スケールパターンに近接して取り付けられ、前記信号変調スケールパターンに対して前記測定軸方向に沿って移動するように構成される検出部と、
コイル駆動信号を提供するように、前記検出部に動作可能に接続され、前記検出部から入力される検出信号に基づいて、前記検出部と前記信号変調スケールパターンとの相対的位置を決定する信号処理部と、
を含み、
前記検出部は、
基板上に固定される磁場発生コイルと、
前記X軸方向に沿って配置され、前記基板上に固定される複数の検知要素と、
を含み、
前記磁場発生コイルは、前記X軸方向に沿った公称コイル領域長さ寸法と、前記Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域を取り囲み、前記磁場発生コイルは、前記コイル駆動信号に応えて、前記内部領域内に、磁束変化を発生させ、
各検知要素は、前記Y軸方向に沿った公称検知要素幅寸法を有し、前記公称検知要素幅寸法の少なくとも半分以上は、前記Y軸方向に沿った前記公称コイル領域幅寸法に含まれ、前記複数の検知要素は、前記信号変調スケールパターンの隣接する信号変調部によって提供される前記磁束変化への局所的影響に応じて検出信号を提供するように構成され、
前記磁場発生コイルは、
前記信号処理部からの前記コイル駆動信号を、前記磁場発生コイルに提供するように接続する少なくとも2つの接続部を含む入力部と、
前記X軸方向に沿ってそれぞれ延在し、また、前記X軸方向及び前記Y軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、前記検出部の前記信号変調スケールパターンに対向する前面から、伸長部のz距離に名目上位置する第1の伸長部及び第2の伸長部と、
前記第1の伸長部と前記第2の伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘り、前記第1の伸長部と前記第2の伸長部との間の接続を提供する少なくとも第1の終端部と、
を含み、
前記第1の終端部は、前記検出部の前記前面から、シールドされた終端セクションのz距離に名目上位置するシールドされた終端セクションを含み、前記シールドされた終端セクションのz距離は、前記伸長部のz距離よりも大きく、
前記検出部は更に、前記X軸方向及び前記Y軸方向に沿って延在し、前記前面から、シールド領域のz距離に名目上位置する導電性シールド領域を含み、前記シールド領域のz距離は、前記シールドされた終端セクションのz距離よりも小さく、前記シールド領域は、前記シールドされた終端セクションの少なくとも一部と、前記検出部の前記前面との間に配置される、電子式エンコーダ。
【請求項2】
前記伸長部は、プリント回路基板の第1の層内に作成され、前記シールドされた終端セクションは、前記プリント回路基板の第2の層内に作成され、前記シールド領域は、前記プリント回路基板の前記第2の層よりも前記前面に近い前記プリント回路基板の層内に作成される、請求項
1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項3】
前記シールド領域は、前記第1の層と前記第2の層との間に配置される前記プリント回路基板の層内に作成される、請求項
2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項4】
前記シールド領域は、前記プリント回路基板のグランドプレーン層の少なくとも一部を含み、前記グランドプレーン層は、前記第1の層と前記第2の層との間に配置される、請求項
3に記載の電子式エンコーダ。
【請求項5】
前記シールド領域は、前記プリント回路基板の前記第1の層内に作成される、請求項
2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項6】
伸長部と前記シールドされた終端セクションとの間の接続は、前記Z軸方向に沿って延在するプリント回路基板フィードスルーを含む、請求項
2から
4の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項7】
前記シールド領域は、前記第1の層と前記第2の層との間に配置される前記プリント回路基板の層内に作成され、前記プリント回路基板フィードスルーは、前記シールド領域内に作成された開口を貫通する、請求項
6に記載の電子式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器に関し、より具体的には、精密測定器において使用できる電磁誘導式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動及び/又は位置トランスデューサが含まれうる。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器及び受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。磁気式及び電磁誘導式トランスデューサは、汚れに対して比較的ロバストではあるが、完璧にそうあるわけではない。
【0003】
特許文献1は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式位置トランスデューサについて説明している。特許文献2及び特許文献3は、信号生成及び処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギス及びリニアスケールについて説明している。特許文献4、特許文献5及び特許文献6は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギス及び電子式巻き尺について説明している。これらの特許に説明されるように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造されてよく、汚れにほとんど影響されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6011389号明細書
【文献】米国特許第5973494号明細書
【文献】米国特許第6002250号明細書
【文献】米国特許第5886519号明細書
【文献】米国特許第5841274号明細書
【文献】米国特許第5894678号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらのシステムは、例えば小型サイズ、高分解能、価格、汚れに対するロバスト性等の組み合わせといったユーザによって望まれる特徴の特定の組み合わせを提供する能力に限界がある場合がある。改良された組み合わせを提供するエンコーダの構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【0007】
X軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素の相対的位置を測定するために使用可能な電子式エンコーダが提供される。様々な実施態様において、電子式エンコーダは、スケールと、検出部と、信号処理部とを含む。スケールは、測定軸方向に沿って延在し、信号変調スケールパターンを含む。信号変調スケールパターンは、X軸方向に垂直なY軸方向に沿ったスケールパターン幅寸法を有し、また、X軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特徴を有する。
【0008】
検出部は、信号変調スケールパターンの付近に取り付けられ、信号変調スケールパターンに対して、測定軸方向に沿って移動するように構成される。様々な実施態様において、検出部は、磁場発生コイルと、複数の検知要素とを含む。磁場発生コイルは、基板上に固定され、X軸方向に沿った公称コイル領域長さ寸法と、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域を取り囲む。磁場発生コイルは、コイル駆動信号に応えて、内部領域内に、磁束変化を発生させる。複数の検知要素は、X軸方向に沿って配置され、基板上に固定される。各検知要素は、Y軸方向に沿った公称検知要素幅寸法を有し、公称検知要素幅寸法の少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法に含まれる。検知要素は、信号変調スケールパターンの隣接する信号変調部によって提供される磁束変化への局所的影響に応じて検出信号を提供するように構成される。信号処理部は、コイル駆動信号を提供するように、検出部に動作可能に接続され、検出部から入力される検出信号に基づいて、検出部と信号変調スケールパターンとの相対的位置を決定する。
【0009】
様々な実施態様において、磁場発生コイルは、入力部と、第1の伸長部及び第2の伸長部と、少なくとも第1の終端部とを含む。入力部は、信号処理部からのコイル駆動信号を磁場発生コイルに提供するように接続する少なくとも2つの接続部を含む。第1の伸長部及び第2の伸長部それぞれは、内部領域の側面に隣接してX軸方向に沿って延在し、また、それぞれ、Y軸方向に沿った公称磁場発生トレース幅寸法を有する。第1の終端部は、内部領域の終端の付近において、第1の伸長部と第2の伸長部との間のY軸方向の距離間隔に亘り、第1の伸長部と第2の伸長部との間の接続を提供する。様々な実施態様において、磁場発生コイルは、公称磁場発生トレース幅寸法が、公称コイル領域幅寸法の少なくとも0.1倍であるように構成される。幾つかの実施態様において、磁場発生コイルは、公称磁場発生トレース幅寸法が、公称コイル領域幅寸法の少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であるように構成されてよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルは、公称磁場発生トレース幅寸法が、磁束変化に応じて生じる検出信号に対応して規定された公称動作周波数における伸長部の表皮深さの少なくとも25倍であるように構成されてよい。
【0010】
様々な実施態様において、第1の伸長部及び第2の伸長部は、X軸方向及びY軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、検出部の信号変調スケールパターンに対向する前面から、伸長部のz距離に名目上位置してよい。第1の終端部は、検出部の前面から、シールドされた終端セクションのz距離に名目上位置するシールドされた終端セクションを含んでよく、シールドされた終端セクションのz距離は、伸長部のz距離よりも大きい。検出部は更に、X軸方向及びY軸方向に沿って延在し、前面から、シールド領域のz距離に名目上位置する導電性シールド領域を含み、シールド領域のz距離は、シールドされた終端セクションのz距離よりも小さく、シールド領域は、シールドされた終端セクションの少なくとも一部と、検出部の前面との間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、検出部及びスケールを含む電子式エンコーダを使用するハンドツールタイプのノギスの組立分解等角図である。
【
図2】
図2は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第1の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図3】
図3は、電子式エンコーダに使用可能である検出部の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。
【
図4】
図4は、検出部の磁界発生コイルの端部の第1の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図5】
図5は、検出部の磁界発生コイルの端部の第2の例示的な実施態様を示す等角図である。
【
図6】
図6は、電子式エンコーダを含む測定システムのコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、スケール170を含む略長方形の横断面の本尺を有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120とを含むハンドツールタイプのノギス100の組立分解等角図である。様々な実施態様において、スケール170は、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って延在してよく、また、信号変調スケールパターン180を含んでよい。既知のタイプのカバー層172(例えば100μmの厚さ)が、スケール170を覆ってよい。スケール部材102の第1の端の近くのジョー108及び110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョー116及び118とが、既知の方法で、物体の寸法を測定するために使用される。スライダアセンブリ120は、端止め具154によって、スケール部材102の下のデプスバー溝152内に収められるデプスバー126を含んでもよい。デプスバー測定面128を穴の中に延ばして、その深さを測定することができる。スライダアセンブリ120のカバー139が、オン/オフスイッチ134と、ゼロ設定スイッチ136と、測定結果ディスプレイ138とを含んでよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146に接触するガイドエッジ142を含み、ネジ147によって弾性圧力バー148をスケール部材102の対向するエッジに付勢することで、測定、及び、スケール170に対する読取ヘッド部164の移動に適切な位置合わせを保証する。
【0013】
ベース140上にはピックオフアセンブリ160が設けられている。このピックオフアセンブリ160は、読取ヘッド部164を保持している。読取ヘッド部164は、本実施態様では、磁界発生コイル及び測定軸方向MAに沿って配置された検知要素群(例えば集合的に電界発生及び検知巻線部)を含む検出部167と、信号処理部(例えば制御回路)166とを搭載した基板162を含んでいる。回路及び接続部の汚染を防止するように、弾性シール163が、カバー139と基板162との間で圧縮されるとよい。検出部167は、絶縁コーティングによって覆われてよい。
【0014】
1つの特定の例示的な例では、検出部167は、スケール170と平行にかつスケール170に対向して配置され、また、スケール170に対向する検出部167の前面は、深さ(Z)方向に沿って、約0.5mmの間隙によって、スケール170(及び/又は信号変調スケールパターン180)から離間されてよい。読取ヘッド部164とスケール170とを合わせて、電子式エンコーダの一部としてのトランスデューサが形成されうる。一実施態様では、トランスデューサは、変化する磁場を発生させることによって動作する渦電流トランスデューサであってよい。以下により詳細に説明されるように、変化する磁場は、当該変化する磁場内に置かれた信号変調スケールパターン180の信号変調要素の幾つかにおいて、エディカレントと知られる渦電流を誘導する。当然ながら、
図1に示されるノギス100は、小型サイズ、(例えば長い電池寿命のための)低電力動作、高分解能及び高精度測定、低価格、汚れに対するロバスト性等の比較的最適化された組み合わせを提供するように、長年にわたって進化してきた電子式エンコーダを通常実装する様々な応用のうちの1つである。これらの要素の何れかにおける小さい改良でも、非常に望ましいことであるが、特に、様々な応用における商業上の成功を達成するために課される設計上の制約を鑑みると、達成することは困難である。以下の説明に開示される原理は、特に費用効果的に、また、コンパクトに、これらの要素のうちの幾つかに改良を提供する。
【0015】
図2は、
図1等に示される電子式エンコーダに使用可能な検出部167及び信号変調スケールパターン180を示す第1の例示的な実施態様の平面図である。
図2は、部分的に具象的、部分的に概略的であるとみなされてよい。
図2の下部に、検出部167及び信号変調スケールパターン180の拡大部が示される。
図2では、以下に説明される様々な要素は、その形状又は外形によって表され、また、互いに重ね合わされて、特定の幾何学的関係を強調するように示される。当然ながら、以下の説明に基づいて当業者には明らかであるように及び/又は以下に
図4を参照してより詳細に説明されるように、各種要素は、必要に応じて、様々な動作間隙及び/又は絶縁層を提供するように、Z軸方向位置がそれぞれ異なる平面に配置された異なるレイヤー上にあってよい。本開示の全図面を通して、当然ながら、1つ以上の要素のX軸、Y軸及び/又はZ軸寸法は、明確にするために拡大されている。
【0016】
信号変調スケールパターン180の図示される部分は、破線の外形で示される信号変調要素SMEを含み、信号変調要素は、(
図1に示される)スケール170上に配置される。
図2に示される実施形態では、信号変調要素SMEの大部分のY軸方向の端は、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2の下に隠れている。
図1において見られるように、当然ながら、信号変調スケールパターン180は、動作中、検出部167に対して移動する。
【0017】
図2の例では、信号変調スケールパターン180は、X軸に垂直であるY軸に沿って、公称スケールパターン幅寸法NSPWDを有し、また、(例えばX軸方向に相当する)測定軸方向MAに沿って周期的に配置される個別の信号変調要素SMEを含む。しかし、より一般的には、信号変調スケールパターン180は、パターンがX軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特徴を有し、これにより、既知の方法に従って、検出部167の検知要素SEN(例えばSEN14)に生じる位置依存検出信号(幾つかの実施形態では、検出信号成分とも呼ばれる)を提供するならば、個別の要素又は1つ以上の連続パターン要素を含む様々な代替空間変調パターンを含んでよい。
【0018】
様々な実施態様では、検出部167は、信号変調スケールパターン180に近接して取り付けられ、信号変調スケールパターン180に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。検出部は、磁場発生コイルFGCと複数の検知要素とを含み、これらは、当業者には理解されるように、様々な実施形態において、多種多様の対応する信号処理スキームと組み合わせて使用される様々な代替構成を取りうる。
図2は、検知要素SEN1~SEN24の単一の代表セットを示す。検知要素SEN1~SEN24は、この特定の実施形態では、直列に接続される検知ループ要素(或いは、検知コイル要素又は検知巻線要素とも呼ばれる)を含む。この実施形態では、隣接するループ要素は、反対の巻線極性を有するように、(例えば
図4に示されるように)既知の方法に従って、フィードスルーによって接続されるPCBの様々な層上の導体の構成によって接続される。つまり、第1のループが、正の極性の検出信号寄与を有する変化する磁場に反応する場合、隣接するループは、負の極性の検出信号寄与で反応する。この特定の実施形態では、検知要素は、それらの検出信号又は信号寄与が合計され、「合計」検出信号が、検出信号出力接続部SDS1及びSDS2において、信号処理部(図示せず)へと出力されるように、直列に接続される。
図2は、視覚的な混乱を避けるために、検知要素の単一セットを示すが、当然ながら、当業者には理解されるように、幾つかの実施形態では、(例えば直交信号を提供するために)異なる空間位相位置において、検知要素の1つ以上の追加のセットを提供するように、検出を構成することが有利である。しかし、当然ながら、本明細書において説明される検知要素の構成は、例示に過ぎず、限定ではない。一例として、個々の検知要素ループは、幾つかの実施形態では、例えば2016年6月30日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願番号第15/199723号に開示されるように、対応する信号処理部に個別の信号を出力してもよい。より一般的には、様々な実施形態において、様々な既知の検知要素構成が、様々な既知の信号変調スケールパターン及び信号処理スキームと組み合わせた使用のために、本明細書において開示され、請求項に係る原理と組み合わせて使用されてよい。
【0019】
様々な検知要素及び磁場発生コイルFGCは、基板(例えば
図1の基板162)上に固定されてよい。磁場発生コイルFGCは、X軸方向に沿って公称コイル領域長さ寸法NCALDと、Y軸方向に沿って約YSEPの公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域INTAを取り囲むものとして説明されてよい。様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCは、内部領域INTAを取り囲む単一の巻回を含んでよい。動作中、磁場発生コイルFGCは、コイル駆動信号に応えて、内部領域INTA内に磁束変化を発生させる。
【0020】
様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCは、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)入力部INPと、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2と、終端部EDPとを含んでよい。入力部INPは、信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)からのコイル駆動信号を、磁場発生コイルFGCに提供するように接続する第1の接続部CP1及び第2の接続部CP2を含む。第1の接続部CP1及び第2の接続部CP2は、プリント回路基板フィードスルー等を介して、信号処理部に接続されてよく、当該接続は、幾つかの実施形態では、終端部EDPを参照して以下に開示される原理と同様の原理を使用してシールドされてもよい。第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2それぞれは、内部領域INTAの側面に隣接してX軸方向に沿って延在し、Y軸方向に沿って公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDを有する。図示される実施形態では、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、EP1及びEP2について同じであるが、これは、すべての実施形態で必須というわけではない。(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)終端部EDPは、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の近くおいて、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2間の接続を提供する。本明細書に開示される原理による様々な実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.1倍である設計比率を使用して構成されることが有利である。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であるように構成されてよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、磁束変化に応じて生じる検出信号に対応する、規定された公称動作周波数における伸長部EP1及びEP2の表皮深さの少なくとも25倍であるように構成されてよい。
【0021】
検知要素SEN1~SEN24は、(例えば測定軸方向MAに相当する)X軸方向に沿って配置され、基板(例えば
図1の基板162)上に固定される。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。
図2の例では、各検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有する。公称検知要素幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEPに含まれる。検知要素SENは、スケール170の(例えば1つ以上の信号変調要素SMEである)信号変調スケールパターン180の隣接する信号変調部によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。なお、「信号変調スケールパターン180の隣接する信号変調部」とは、スケール170の信号変調スケールパターン180における各検知要素SENに対向している部位を意味し、例えば、信号変調要素SME及び信号変調要素SME間の隙間(信号変調要素SMEが設けられていない部位)がこれに該当する。信号処理部(例えば
図1の信号処理部166又は
図6の信号処理部766等)は、検出部167から入力された検出信号に基づいて、スケール170に対する複数の検知要素SEN1~SEN24の位置を決定するように構成されてよい。一般に、磁場発生コイルFGC及び検知要素SEN1~SEN24等は、先行技術文献に記載の各特許文献において説明されるような(例えば電磁誘導式エンコーダの)既知の原理に従って動作してよい。
【0022】
様々な実施態様では、磁場発生コイルFGCと検知要素SENとは、(例えばプリント回路基板の異なる層内に配置されること等によって)互いから絶縁されている。1つのそのような実施態様では、少なくとも1つの検知要素SENの公称検知要素幅寸法NSEWDは、公称コイル領域幅寸法YSEPよりも大きく、伸長部の少なくとも1つの伸長部EP1又はEP2の内側の縁IEを、オーバーラップ寸法ODとして規定される量だけ超えて延在することが有利である。更に、様々な実施形態において、磁場発生コイルFGCは、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDが、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいように構成されることが有利でありうる。様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、プリント回路基板の第1の層上に作成されてよく、検知要素SENは、少なくともオーバーラップ寸法ODの付近において、上記第1の層とは異なる層を含むプリント回路基板の1つ以上の層内に作成される導電性ループを含んでよい。
【0023】
様々な実施態様において、基板は、プリント回路基板を含んでよく、磁場発生コイルFGCは、当該プリント回路基板上に作成された(例えば伸長部E1及びE2を含む)導電性トレースを含んでよい。様々な実施態様において、検知要素SENは、プリント回路基板上に作成された導電性トレースによって形成される磁束検知ループを含んでよい。
図1に関して上記されたように、様々な実施態様において、検出部167は、様々なタイプの測定器(例えばノギス、マイクロメータ、ゲージ、リニアスケール等)内に含まれてよい。例えば検出部167は、スライド部材に固定されてよく、信号変調スケールパターン180は、X軸方向と一致する測定軸を有するはり部材に固定されてよい。このような構成において、スライド部材は、はり部材に移動可動に取り付けられ、X軸方向及びY軸方向に沿って延在する平面(Z軸方向は、当該平面に対して直交する)内で測定軸方向MAに沿って移動可能である。
【0024】
図3は、
図1等に示される電子式エンコーダにおいて検出部167として使用可能である検出部367の第2の例示的な実施態様を示す平面図である。検出部367は、
図2の検出部167と同様の特徴及びコンポーネントを有し、その設計及び動作は、本明細書に開示され、請求項に記載される様々な設計原理を満たすように構成されている。具体的には、
図3において「プライム記号(’)の付いた」参照符号によって指定される要素は、
図2における対応する同様の「プライム記号の付いていない」参照符号を有する要素に類似し、以下に明記されない限り、同様に動作すると理解されてよい。
【0025】
図3及び
図2の実施形態の主な相違点は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDが公称検知要素幅寸法NSEWD’及び検出部367の他のY軸寸法よりも有意に大きいように、検出部367が、Y軸方向に沿って、検出部167よりも狭い点である。例えば1つの特定の実施態様において、公称検知要素幅寸法NSEWD’は、公称スケールパターン幅寸法NSPWDの約2/3以下であってよい。様々な実施態様において、このような構成は、信号変調スケールパターン180に対する検出部367の側方移動に関してより大きい側方オフセット許容範囲をもたらしうる。
【0026】
この相違点に関わらず、検出部367の他の特徴は、検出部167の他の特徴に類似する。例えば各検知要素SEN’は、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWD’を有してよく、公称検知要素幅寸法NSEWD’の少なくとも半分以上は、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEP’に含まれる。様々な実施態様において、磁場発生コイルFGC’は、(例えば
図4及び/又は
図5を参照して開示されるように実現される)第1の伸長部EP1’及び第2の伸長部EP2’と、終端部EDP’とを含み、これらはすべて、検出部167の対応する要素に類似した構成を有してよい。幾つかの実施態様では、磁場発生コイルFGC’は、公称磁場発生トレース幅寸法NGTWD’が、公称コイル領域幅寸法YSEP’の少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍であるように構成されてよい。他の特徴及び/又は設計関係も、必要に応じて、
図2を参照して説明された特徴及び/又は設計関係に類似するようにされてよい。
【0027】
上記検出部167及び367の例示的な構成に関して、当然ながら、幾つかの従前のシステムは、磁場発生コイルに、比較的狭いトレース幅及び/又は比較的大きい内部領域(例えばより大きい内部領域INTA及び/又は公称コイル領域幅寸法YSEP)を利用していた。より具体的には、幾つかの従前のシステムでは、一般に、システムが比較的長い期間の間、共鳴するように十分に高いQ値を有するように、関連の検出部要素が、比較的高いインダクタンスを有することが望ましいと考えられていた。これは、使用された信号処理及び測定方法に関して、有利であると考えられていたからである。対照的に、本明細書に開示される原理によれば、より広いトレース幅が使用される(例えば特定の応用によって課される検出部全体のY軸寸法制限について、INTA及び/又はYSEPを犠牲にして)。これは、比較的小さいインダクタンスと、更に、より小さい全体インピーダンスとをもたらし、これに対し、より大きい量の電流が、比較的短い期間に流れることが可能となる(例えばより強い信号を生成できる)。また、測定の所望の長さの時間について、共鳴が依然として達成可能である。検出部167及び367に関して上記されたように、様々な実施態様において、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.10倍、又は、少なくとも0.15倍、又は、少なくとも0.25倍、又は、少なくとも0.50倍である。幾つかの実施態様において、幾つかの特定の例示的な値として、公称コイル領域幅寸法YSEPは、約2.0mm、又は、8.0mm、又は、10mmであってよく、また、各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、少なくとも約0.25mm、又は、0.50mm、又は、1.00mm又はそれ以上であってよい。これらは、約0.10mmであった幾つかの従前のシステムにおけるトレース幅と比較されうる。本明細書に開示される構成といった構成は、幾つかの事例では、同等の駆動信号を磁場発生コイルに入力した際に、同等の従来技術の構成の信号レベルを、1.5倍以上、また、幾つかの事例では、3倍以上で超える検出信号レベルを達成することが分かっている。
【0028】
検出部167及び367等の例示的な構成に関して、様々な実施態様において、検知要素SEN(例えば
図2及び
図3に示されるように領域を取り囲むループ又はコイル要素)は、本明細書に開示される最大信号利得設計原理に従って構成される場合に、より従来型の検知要素に優る幾つかの利点(例えは増加された利得等)を提供しうる。磁場発生コイルFGCに一致する又は磁場発生コイルFGC内(例えばINTA内)に置かれる検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最大化されるべきである一方で、(例えばY軸方向に沿った)磁場発生コイルFGCを形成する導体の外側にある検知要素の磁場受信領域の量は、相対的に最小化されるべきである。当然ながら、
図2及び
図3に示される検知要素SENは、この原理に一致する上記設計関係を有するオーバーラップ寸法ODを示す。例えば各公称磁場発生トレース幅寸法NGTWDは、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きいようにされる。
【0029】
図4は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従った検出部467内に含まれる磁場発生コイルFGCの終端部EDPの第1の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。当然ながら、検出部467の要素は、
図2の検出部167の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、機能してよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。検出部467は、磁場発生コイルFGCと、複数の検知要素SEN1~SEN24(
図4には、代表検知要素SEN17~SEN24が示されている)とを含む。磁場発生コイルFGCは、第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2と、終端部EDPとを含み、基板(例えば
図1の基板162)上に固定され、内部領域INTAを取り囲む。
【0030】
様々な実施態様において、磁場発生コイルFGCと検知要素SENとは、例えばプリント回路基板の様々な層(
図4では、層構造は明示的に示されてはいない)内に配置されることによって、互いから絶縁される。
図4において、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なプリント回路基板(PCB)層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法が使用されてもよい。信号変調スケールパターン180の信号変調要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。当然ながら、スケール170は、検出部467の要素を担持するプリント回路基板(PCB)と離間している。
図4に示される実施形態では、PCBは、Z座標Zfsにある前面(例えば絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール要素のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepを有するPCB層表面上に作成されてよく、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1及びZseL2を有する各PCB層表面上にある相互接続された導電性ループ部を含んでよい。導電性ループ部は、上記されたように、導体が、互いに交差する一方で、検知要素の信号寄与を直列に接続し、各信号寄与極性を提供するように、フィードスルーを使用して、層間で接続されてよい。
【0031】
第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2それぞれは、X軸方向に沿って延在し、X軸方向及びY軸方向に垂直であるZ軸方向に沿って、信号変調スケールパターン180に対向する検出部467のPCBの前面から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置する。上記されたように、終端部EDPは、第1の伸長部EP1と第2の伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図4に示される実施形態では、終端部EDPは、検出部467のPCBの前面から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD=(Zses-Zfs)に名目上位置しているZ座標Zsesを有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSESを含む。シールドされた終端セクションのz距離SESZDは、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。第1の接続部CNP1(例えばPCBフィードスルー)は、第1の伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、第2の接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)は、第2の伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0032】
図4に示される実施態様では、検出部467は更に、X軸方向及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsrを有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部467のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD=(Zcsr-Zfs)に名目上位置する導電性シールド領域CSR(例えば
図4において、幾分任意に配置された破線の「縁」線によって表される導電性の平面領域)を含む。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZDは、シールドされた終端セクションのz距離SESZDよりも小さく、導電性シールド領域CSRは、シールドされた終端セクションSESの少なくとも一部と、検出部467のPCBの前面との間に配置される。導電性シールド領域CSRは、検出部467のPCBにおける広いグランドプレーン層の一部を含んでもよいし、又は、幾つかの実施形態では、個別の領域を含んでもよい。導電性シールド領域CSRは、第1の接続部CNP1及び第2の接続部CNP2(例えばPCBフィードスルー)が、導電性シールド領域CSRから分離又は絶縁されるように、クリアランスホールCHを含んでもよい。
【0033】
一般に、磁場発生コイルの終端部(例えばY軸方向に沿って延在する終端部)の以前から知られている構成によって発生される磁場成分は、終端部に最も近い検知要素の検出信号にエラー成分(いわゆる「終端効果(end effect)」)を生じさせる。検出部内に「テーパされた終端構成」を使用して、及び/又は、終端部を終端検知要素から遠くに離すことによって、この終端効果を軽減する試みがなされてきている。しかし、これらのアプローチは、望ましくなく信号強度を低下させるか、検出部のX軸寸法を増加させるか、又は、その両方を生じさせる。対照的に、上記シールド構成は、終端部によって生成される磁場成分を減少させる、及び/又は、それが、信号変調要素SEMに達しないようにする傾向がある。したがって、最も近い検知要素に結合される磁場成分は、より小さいか、及び/又は、スケール位置に関係なく、略一定であり、したがって、任意の終端効果を実質的に軽減する。
【0034】
上記されたように、様々な実施態様において、伸長部EP1及びEP2は、プリント回路基板の第1の層上に作成されてよく、シールドされる終端セクションSESは、プリント回路基板の第2の層上に作成されてよく、導電性シールド領域CSRは、プリント回路基板の第2の層よりも検出部の前面(例えば検出部のPCBの前面)に近い回路基板の層上に作成される。1つのそのような実施態様では、導電性シールド領域CSRは、第1の層と第2の層との間に配置されるプリント回路基板の層上に作成されてよい。このような構成では、導電性シールド領域CSRは、プリント回路基板のグランドプレーン層の少なくとも一部を含んでよく、グランドプレーン層は、第1の層と第2の層との間に配置される。1つの実施態様において、伸長部EP1又はEP2と、シールドされた終端セクションSESとの間の(例えば第1の接続部CNP1又は第2の接続部CNP2の一部としての)接続は、Z軸方向に沿って延在するプリント回路基板フィードスルーを含んでよい。1つのこのような構成において、導電性シールド領域CSRは、第1の層と第2の層との間に配置されるプリント回路基板の層上に作成されてよく、プリント回路基板のフィードスルーは、導電性シールド領域CSR内に作成される開口を貫通してよい。
【0035】
図5は、本明細書に開示され、請求項に係る原理に従って、検出部567内に含まれる磁場発生コイルFGC’’の終端部EDP’’の第2の例示的な実施態様を示す等角図の「ワイヤフレーム」図である。当然ながら、検出部567の要素は、
図2の検出部167及び/又は
図4の検出部467の同様の参照符号が付けられた要素と同様に設計され、操作されてよく、一般に、それらとの類似性によって理解されるものとする。
【0036】
図5では、
図4にあるように、様々なラベル付けされたZ座標が、様々なプリント回路基板(PCB)層の各表面と一致する又は各表面を特定すると理解されるものとする。しかし、別の作成方法を使用してもよい。信号変調スケールパターン180の要素SMEは、Z座標Zsmeにある(
図1に示される)スケール170の表面上にある。検出部567は、Z座標Zfsにある前面(例えば検出部567のPCB上の絶縁コーティングの前面)を有する。動作間隙が、スケール要素のZ座標Zsmeと、前面のZ座標Zfsとの間に存在する。伸長部EP1及びEP2は、Z座標Zepを有するPCB層の表面上に作成されてよく、また、絶縁コーティングによって覆われてよい。検知要素SENは、Z座標ZseL1及びZseL2を有するPCB層の各表面上にある相互接続された導電性ループ部を含んでよく、これらは、検出部467を参照して上で述べたように接続される。
【0037】
第1の伸長部EP1及び第2の伸長部EP2は、検出部567の信号変調スケールパターン180に対向する前面から、伸長部のz距離EPZD=(Zep-Zfs)に、名目上位置している。検出部467にあるように、終端部EDP’’は、第1の伸長部EP1と第2の伸長部EP2との間の公称コイル領域幅寸法YSEPに相当するY軸方向の距離間隔に亘り、内部領域INTAの端の付近において、それらの間に接続を提供する導電性経路を含む。
図5に示される実施形態では、終端部EDP’’は、Z座標Zses’’を有する対応するPCB層の表面上にあるシールドされた終端セクションSES’’を含む。終端セクションSES’’は、検出部567の前面から、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’=(Zses’’-Zfs)に名目上位置する。シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’は、伸長部のz距離EPZDよりも大きい。(例えばPCBフィードスルーCNP1A及び導電性トレースCNP1Bを含む)第1の接続部CNP1は、第1の伸長部EP1を、シールドされた終端セクションSESの第1の端に接続し、(例えばPCBフィードスルーCNP2A及び導電性トレースCNP2Bを含む)第2の接続部CNP2は、第2の伸長部EP2を、シールドされた終端セクションSESの第2の端に接続する。
【0038】
図5に示される実施態様では、検出部567は更に、導電性シールド領域CSR’’(例えば
図5において、破線の縁線によって表される導電性の平面領域)を含む。導電性シールド領域CSR’’は、X軸及びY軸方向に沿って延在し、Z座標Zcsr’’を有する対応するPCB層の表面上に名目上位置し、また、検出部567のPCBの前面から、シールド領域のz距離SRZD’’=(Zcsr’’-Zfs)に名目上位置する。様々な実施態様において、シールド領域のz距離SRZD’’は、シールドされた終端セクションのz距離SESZD’’よりも小さく、導電性シールド領域CSR’’は、シールドされた終端セクションSES’’の少なくとも一部と、検出部567のPCBの前面との間に配置される。
図5に示される実施形態について、当然ながら、幾つかの実施態様では、シールド領域CSR’’は、必要に応じて、伸長部EP1及びEP2と同じ表面上に配置されてもよい(つまり、必要に応じて、Zcsr’’=Zep及びEPZD=SRZD’’である)。更に、1つのこのような実施態様において、必要に応じて、シールドされた終端セクションSES’’及び導電性トレースCNP1B及びCNP2Bは、検知要素SENに使用されたのと同じ表面上に配置されてよい(つまり、必要に応じて、Zses’’=ZseL1又はZses’’=ZseL2等である)。このような実施態様では、検出部567のPCBが、検出部467よりも、少ない層を含んでも、及び/又は、Z軸方向に沿ってより薄くてもよい。いずれの場合でも、検出部567における終端部EDP’’のシールドされた構成は、検出部467における終端部EDPを参照して上で述べた様態と同様の様態で、終端効果を軽減する。
【0039】
上記例示的な検出部467及び567に関して、当然ながら、導電性シールド領域CSR(CSR’’)は、磁場発生コイルFGCの伸長部EP1及びEP2の層の位置に比べて、(例えば異なるPCB層等の上に配置された)シールドされた終端セクションSESの相対的な層の位置に少なくとも部分的に基づいて、検知要素SEN上のシールドされた終端セクションSESの(例えば磁束変化に関連する)効果を減少させることができる。このような構成は、導電性シールド領域CSR(CSR’’)の利用を可能にし、磁場発生コイルFGCに、より短い全体のX軸寸法を可能にする(例えばこれに対し、終端部EDPは、磁束変化等に応じて生じる検出信号に影響を及ぼすことを回避するために、検知要素SENから遠く離れて配置される必要がない)。
【0040】
図6は、電子式エンコーダ710を含む測定システム700のコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。当然ながら、
図6の幾つかの番号が付けられたコンポーネント7XXは、以下に特に指定のない限り、
図1の同様に番号が付けられたコンポーネント1XXに対応するか、及び/又は、同様の動作を有する。電子式エンコーダ710は、信号処理部766と、合わされるとトランスデューサを形成するスケール770及び検出部767とを含む。様々な実施態様では、検出部767は、
図2乃至
図6に関して説明された構成の何れか又は他の構成を含んでよい。測定システム700は更に、ディスプレイ738及びユーザによって操作可能なスイッチ734、736といったユーザインターフェースを含み、また、電源765を追加的に含んでもよい。様々な実施態様では、外部データインターフェース732が含まれてもよい。これらの要素はすべて、信号プロセッサとして具体化されうる信号処理部766(又は信号処理及び制御回路)に結合される。信号処理部766は、検出部767から入力される検出信号に基づいて、スケール770に対する検出部767の検知要素の位置を決定する。
【0041】
様々な実施態様において、
図6の信号処理部766(及び/又は
図1の信号処理部166)は、本明細書において説明される機能を行うように、ソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含んでも又はそれらから構成されてよい。プロセッサは、プログラマブル汎用又は特殊用途向けマイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等又はこのようなデバイスの組み合わせを含む。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等、又は、このようなコンポーネントの組み合わせといったメモリに記憶されてよい。ソフトウェアは更に、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス又はデータを記憶する任意の他のタイプの不揮発性記憶媒体といった1つ以上の記憶デバイスに記憶されてもよい。ソフトウェアは、特定のタスクを行う又は特定のアブストラクトデータタイプを実現するルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含んでよい。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールの機能は、組み合わされても、複数のコンピュータシステム又はデバイスにわたって分散され、有線又は無線構成のサービスコールを介してアクセスされてよい。
【0042】
本開示の好適な実施態様が図示及び説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示及び説明された特徴の配置及び動作の順序における多数の変形態様が明らかであろう。本明細書に開示される原理を実現するために、様々な代替形態が使用されてもよい。
【0043】
一例として、
図2及び
図3に示され、
図2及び
図3を参照して説明された実施形態は、非ゼロであるオーバーラップ寸法ODを使用するが、これは、すべての実施形態における要件ではない。幾つかの実施形態では、上記された最大信号利得の設計原理は、幾つかの他の設計上の利点を得るために妥協される場合がある(例えばオーバーラップ寸法を有さない設計、即ち、ゼロオーバーラップ寸法において)。1つのそのような実施形態において、検知要素SENは、Y軸方向に沿って公称検知要素幅寸法NSEWDを有してよい。公称検知要素幅寸法NSEWDは、Y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEPよりも小さい。このような構成は、検知要素SENが、磁場発生コイルFGCと同じプリント回路基板の層上に作成されることを可能にする。これは、幾つかの事例では、幾つかの利点を提供しうる。例えば同じ層内に作成されることによって、複数の検知要素SEN及び磁場発生コイルFGCは共に、信号変調スケールパターン180に可能な限り近くに配置されうる(例えばこれに対して、より小さい分離距離が、対応する検出部に対して、より大きい信号強度、ロバスト性、効率等をもたらしうる)。
【0044】
上記様々な実施態様は、更なる実施態様を提供するために、組み合わされてもよい。本明細書において参照されたすべての米国特許及び米国特許出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。必要に応じて、実施態様の態様は、更なる実施態様を提供するために、様々な特許及び出願の概念を採用するように、変更されてもよい。
【0045】
上記詳細な説明に照らせば、これらの及び他の変更を実施態様に行うことができる。一般に、次の請求項において使用される用語は、請求項を、本明細書及び請求項に開示される特定の実施態様に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、当該請求項の等価物の全範囲内のあらゆる可能な実施態様を含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 ノギス
120 スライダアセンブリ
140 ベース
160 ピックオフアセンブリ
170 スケール