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  • 特許-ダイヤルゲージ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ダイヤルゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/22 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
G01B3/22 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018027152
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2019144050
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 真央
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特許第3285312(JP,B2)
【文献】実開平06-025708(JP,U)
【文献】特開2005-300270(JP,A)
【文献】特開2001-264003(JP,A)
【文献】特開2009-300301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/22
G01B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に測定子を有するスピンドルが筐体部を貫通して軸方向に往復移動可能に設けられているダイヤルゲージであって、
前記筐体部の側面には前記スピンドルの基端側を挿通させる挿通孔があり、
さらに、
前記筐体部の側面には前記挿通孔を囲むように円筒形に立ち上がったキャップ取付部が形成されているとともに前記挿通孔には前記スピンドルを案内するブッシュが圧入されており、このとき、前記キャップ取付部と前記ブッシュとの間には隙間があり、
前記キャップ取付部には着脱可能にキャップが取り付けられる
ことを特徴とするダイヤルゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載のダイヤルゲージにおいて、
前記キャップ取付部の円筒形の外側面に雄ネジ部を有する
ことを特徴とするダイヤルゲージ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のダイヤルゲージにおいて、
前記キャップ取付部は前記筐体部に一体的に形成されている
ことを特徴とするダイヤルゲージ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のダイヤルゲージにおいて、
前記キャップ取付部と前記ブッシュとの間の前記隙間に樹脂が充填されている
ことを特徴とするダイヤルゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイヤルゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
比較測長器の一種として例えばダイヤルゲージが知られている。
図1はダイヤルゲージの正面図である。
ダイヤルゲージ100は、円筒形の筐体部200、上下動可能に設けられたスピンドル110、および、筐体部200に突設されたステム120を有する。
【0003】
筐体部200の前面には文字盤(表示部)130がある。
筐体部200の内部には、スピンドル110の変位を拡大して指針131に伝える歯車機構(不図示)がある。
スピンドル110の下端(先端)には測定子112が設けられている。
ステム120は、スピンドル110を摺動可能に支持するものである。
【0004】
スピンドル110は筐体部200を貫通しており、スピンドル110の上端(基端)が筐体部200から突き出る。そこで、スピンドル110の上端部を保護するため、筐体部200の側面にはキャップ300が設けられている。
図2は、キャップ300を外した状態を示す図である。
図2においては構造が分かりやすいように断面図を示している。
(ただしダイヤルゲージの内部構造である歯車機構等は省略した。)。
【0005】
筐体部200の側面には、スピンドル110の上端部を突出させる孔210が穿設されている。この孔210はスピンドル110を挿通させるための孔であるので、挿通孔210と称することにする。
挿通孔210には円筒形のブッシュ220が圧入されている。
このブッシュ220は、ステム120とともにスピンドル110の直動を案内する軸受となっている。
ブッシュ220の外周には雄ネジ部230が設けられている。キャップ300は雄ネジ部230にネジ止め(螺合)できるようになっている。
【0006】
なお、図1では、スピンドル110の直線変位を歯車機構(不図示)で拡大して筐体部200の正面に設けられた文字盤130に表示するいわゆるアナログ指針式のダイヤルゲージ100を例示した。
この他、スピンドル110の変位をエンコーダ等の変位検出装置で読み取って、筐体部200の正面に設けられた(液晶)表示パネルに表示するいわゆるデジタル式のダイヤルゲージもある。(デジタル式ダイヤルゲージはデジタルインジケータと呼ばれることもある。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭49-7954
【文献】特許3285312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
小型測定器であるダイヤルゲージ100は持ち運びに便利であり、測定対象物の近くにダイヤルゲージ100を持っていって実際の測定作業を行うことが多い。すると、測定準備中や測定作業中に誤ってダイヤルゲージ100を何かにぶつけてしまったり、落としてしまったりすることが有り得る。すると、意図せずにキャップ300側に少し強い力を掛けてしまうことがある。
【0009】
例えば、図1中の矢印Aのようにキャップ300に力が掛かったとする。すると、キャップ300はブッシュ220の雄ネジ部230に螺合しているから、ブッシュ220にも力が掛かり、ブッシュ220が極僅かではあるが傾いてしまうことが有り得る(例えば図3参照)。
ブッシュ220とステム120とによってスピンドル110の直動を案内しているから、ブッシュ220とステム120との同軸誤差はスピンドル110の摺動性に影響し、スピンドルの摺動性はダイヤルゲージの測定精度に直結する。
【0010】
本発明の目的は、キャップに力が掛かってもスピンドルの摺動性に影響しないダイヤルゲージの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のダイヤルゲージは、
先端に測定子を有するスピンドルが筐体部を貫通して軸方向に往復移動可能に設けられているダイヤルゲージであって、
前記筐体部の側面には前記スピンドルの基端側を挿通させる挿通孔があり、
さらに、
前記筐体部の側面には前記挿通孔を囲むように円筒形に立ち上がったキャップ取付部が形成されているとともに前記挿通孔には前記スピンドルを案内するブッシュが圧入されており、このとき、前記キャップ取付部と前記ブッシュとの間には隙間があり、
前記キャップ取付部には着脱可能にキャップが取り付けられる
ことを特徴とする。
【0012】
本発明では、
前記キャップ取付部の円筒形の外側面に雄ネジ部を有する
ことが好ましい。
【0013】
本発明では、
前記キャップ取付部は前記筐体部に一体的に形成されている
ことが好ましい。
【0014】
本発明では、
前記キャップ取付部と前記ブッシュとの間の前記隙間に樹脂が充填されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ダイヤルゲージの正面図である。
図2】ダイヤルゲージのキャップを外した状態を示す図である。
図3図1中の矢印Aのようにキャップに力が掛かったときの様子を模式的に示す図である。
図4】ダイヤルゲージの構造を説明するための分解図である。
図5】ダイヤルゲージの構造を説明するための断面図である。
図6】変形例を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明のダイヤルゲージに係る第1実施形態について説明する。
図4および図5は、本実施形態のダイヤルゲージの構造を説明するための図である。
図4は、ブッシュを筐体部に圧入する前の分解図である。
図5は、ブッシュを筐体部に圧入した後の構造を示す断面図である。
【0017】
筐体部200の側面には、スピンドル110の上端部を突出させる挿通孔210が穿設されている。
挿通孔210には、スピンドル110の上端部を案内するブッシュ500が圧入される。
さらに、筐体部200の側面において、挿通孔210を囲むようにネジ部(キャップ取付部)400が設けられている。
ネジ部400は雄ネジであって、挿通孔210の周囲において筐体部200の側面を円筒形に立ち上がらせて円筒部410を形成し、この円筒部410の外側面に雄ネジ部420が刻設されている。
図5に示されるように、雄ネジ部420が設けられた円筒部410と挿通孔210に圧入されたブッシュ500とは直接に接触せず、両者の間には隙間Gsが生じるようになっている。
【0018】
なお、この隙間Gsは樹脂等で充填されてもよい。
【0019】
キャップ300は、円筒部410の雄ネジ部420にネジ止め(螺合)できるようになっている。
【0020】
この構成において、仮にキャップ300に力が掛かったとする。すると、キャップ300に掛かった力は筐体部200の側面である円筒部410に掛かるかもしれないが、ブッシュ500には影響しない。したがって、キャップ300に力が掛かったとしてもスピンドル110の摺動性には影響せず、ダイヤルゲージ100の測定精度は保たれる。
【0021】
図4図5においてはネジ部400が筐体部200に一体的に設けられている例を示したが、図6に例示するようにネジ部(キャップ取付部)400と筐体部200とが別体になっていてもよい。
キャップ取付部を筐体部とは別体にしておき、さらに、キャップ取付部の剛性を筐体部よりも少し弱くしておけば、キャップ取付部やキャップが破損しても筐体部へのダメージは回避される。キャップ取付部は部品交換で交換することもできる。
【0022】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
アナログ指針式のダイヤルゲージのみならずデジタル式ダイヤルゲージ(デジタルインジケータ)にも本発明が適用できるのはもちろんである。
キャップ取付部としてはネジ部400(雄ネジ部420)を例示したが、キャップ300を取り付けられればよいのであって、雌ネジになってもよいだろうし、ネジではなく、篏合させたり、摩擦係合でキャップを止めておくようにしたりしてもよいだろう。
【符号の説明】
【0023】
100…ダイヤルゲージ、
110…スピンドル、112…測定子、
120…ステム、130…文字盤、131…指針、
200…筐体部、210…挿通孔、220…ブッシュ、230…雄ネジ部、
300…キャップ、
400…ネジ部、410…円筒部、420…雄ネジ部、
500…ブッシュ、
Gs…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6