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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-28
(45)【発行日】2022-02-07
(54)【発明の名称】極紫外光源
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220131BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220131BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019132078
(22)【出願日】2019-07-17
(62)【分割の表示】P 2016544074の分割
【原出願日】2015-01-19
(65)【公開番号】P2019174851
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2019-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】61/930,392
(32)【優先日】2014-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/489,411
(32)【優先日】2014-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファック,ロバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ダニエル ジョン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,カイ-チュン
(72)【発明者】
【氏名】サンドストロム,リチャード リン
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】松川 直樹
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283107(JP,A)
【文献】特表2013-535824(JP,A)
【文献】国際公開第2013/029906/(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/20
H05G2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内のターゲット位置に向けてターゲット経路に沿ってターゲットを導くことであって、前記ターゲットは、第1の方向に沿った第1の次元における第1の伸長と、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿った第2の次元における第2の伸長とを含む幾何分布でターゲット材料を含み、前記第2の伸長は前記第1の伸長より大きい、ターゲットを導くことと、
前記ターゲット位置に向けて増幅光ビームを導くことであって、前記増幅光ビームは、伝搬経路に沿って進み、かつ、前記ターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する、増幅光ビームを導くことと、を含み、
前記伝搬経路と前記ターゲット経路とは、前記ターゲット位置において非直交であり、
前記増幅光ビームは、前記第2の方向に延伸する前記ターゲットの一部分によって受け取られ、
前記増幅光ビームと前記ターゲットの前記一部分との間の相互作用によって生成される反射が前記伝搬経路及び前記ターゲットから離れて伝搬するように、前記伝搬経路と前記第2の方向とは、前記ターゲット位置において非直交であり、
前記ターゲットが焦点面にあるときと比べて前記ターゲットのより多くが前記増幅光ビームに曝されるように、前記ターゲット位置は、前記増幅光ビームの焦点面の外部にある、
方法。
【請求項2】
前記ターゲット材料の前記幾何分布は、略楕円形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲット経路に沿ってターゲットを導くことは、前記ターゲット経路に沿って複数のターゲットを導くことを含み、前記複数のターゲットの前記幾何分布は、略楕円形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記略楕円形状の幾何分布を形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット材料は、スズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記増幅光ビームは、10.6ミクロン(μm)の波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
増幅光ビームを受け取るように構成された真空チャンバと、
ある幾何分布で配置されたターゲット材料を含むターゲットを提供するように構成されたターゲット材料供給システムであって、前記ターゲットは、前記真空チャンバ内のターゲット位置へとターゲット経路に沿って進み、前記ターゲット材料は、プラズマ状態になるとEUV光を放出する、ターゲット材料供給システムと、を含み、
前記増幅光ビームは、前記ターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを有し、
前記増幅光ビームは、伝搬経路に沿って伝搬し、
前記増幅光ビームは、第2の方向に沿って延伸する前記ターゲットの一部分によって受け取られ、前記ターゲットの前記第2の方向に沿った伸長は、直交する第1の方向に沿った伸長より大きく、
前記ターゲット経路と前記伝搬経路とは、前記ターゲット位置において非直交であり、
前記増幅光ビームと前記ターゲットの前記一部分との間の相互作用によって生成される反射が前記伝搬経路及び前記ターゲットから離れて伝搬するように、前記伝搬経路と前記第2の方向とは、前記ターゲット位置において非直交であり、
前記ターゲットが焦点面にあるときと比べて前記ターゲットのより多くが前記増幅光ビームに曝されるように、前記ターゲット位置は、前記増幅光ビームの焦点面の外部にある、
システム。
【請求項8】
前記真空チャンバ内の光学素子をさらに含み、前記光学素子は、前記ターゲット位置から放出されるEUV光を受け取るように位置決めされる、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学素子は、EUV光を反射する表面を含む集光器ミラーを含み、前記集光器ミラーは、孔を画定し、前記増幅光ビームの前記伝搬経路は、前記孔を通過する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記集光器ミラーは、第1の焦点及び中間焦点を画定し、前記ターゲット位置は、前記第1の焦点と少なくとも部分的に一致し、前記ターゲット位置から放出された前記EUV光の少なくとも一部が前記集光器ミラーの前記反射表面で反射され、前記第2の焦点に集束される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ターゲット材料供給システムは、略楕円形状のターゲットを提供するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記増幅光ビームを放出するように構成された光源をさらに含み、前記光源は、炭酸ガス(CO2)レーザを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
ウェーハを処理するように構成されたリソグラフィツールと、
極紫外光源と、を含むフォトリソグラフィシステムであって、
前記極紫外光源は、
内部のターゲット位置においてターゲットを受け取るように構成された真空チャンバであって、前記ターゲットは、プラズマに変換されたときに極紫外(EUV)光を放出するターゲット材料を含む、真空チャンバと、
少なくとも放射の第1のパルスと放射の第2のパルスとを含む放射パルスを生成するように構成された光源であって、前記放射の第1のパルスと前記放射の第2のパルスの少なくとも一方が、前記ターゲット内の前記ターゲット材料の少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する増幅光ビームである、光源と、
前記真空チャンバ内のEUV集光光学素子であって、前記プラズマによって放出されたEUV光を前記リソグラフィツールに導くように構成されたEUV集光光学素子と、を含み、
前記放射の第1のパルス及び前記放射の第2のパルスは、伝搬経路に沿って伝搬し、
前記ターゲットは、ターゲット経路に沿って進み、
前記ターゲットは、第1の方向に沿った第1の次元における第1の伸長と、第2の方向に沿った第2の次元における第2の伸長とを有し、前記第2の伸長は前記第1の伸長より大きく、前記第1の方向は前記第2の方向に対して直交し、
前記ターゲットは、前記第2の方向に延伸する一部分で前記第1のパルス及び前記第2のパルスの一方を受け取るように位置決めされ、
前記伝搬経路と前記第2の方向とは、前記ターゲット位置において非直交であり、
前記増幅光ビームと前記ターゲットの前記一部分との間の相互作用によって生成される反射が前記伝搬経路及び前記ターゲットから離れて伝搬するように、前記ターゲット経路と前記伝搬経路とは、前記ターゲット位置において非直交である、
前記ターゲットが焦点面にあるときと比べて前記ターゲットのより多くが前記増幅光ビームに曝されるように、前記ターゲット位置は、前記増幅光ビームの焦点面の外部にある、
フォトリソグラフィシステム。
【請求項14】
前記反射は、前記ターゲットからの前記増幅光ビームの反射、及び前記プラズマからの前記増幅光ビームの反射のうちの1つ以上である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2014年1月22日に出願された米国仮出願第61/930,392号及び2014年9月17日に出願された米国仮出願第14/489,411号の利益を主張し、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される主題は、極紫外光源に関する。
【背景技術】
【0003】
極紫外(「EUV」)光、例えばおよそ50nm又はそれ未満の波長を有する電磁放射(軟X線と称されることもある)であって約13nmの波長の光を含むものが、フォトリソグラフィプロセスにおいて、基板、例えばシリコンウェーハに微小フィーチャを作製するために用いられ得る。
【0004】
EUV光を生成するための方法は、例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの元素を有し輝線がEUV範囲内にある材料をプラズマ状態に変換することを含むが、必ずしもこれに限定されない。しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と称される1つのそのような方法においては、必要とされるプラズマは、例えば材料の小滴、プレート、テープ、流れ、又はクラスタの形をしたターゲット材料を、駆動レーザと称されることもある増幅光ビームで照射することによって、生成され得る。このプロセスに関しては、プラズマは一般的に密閉容器、例えば真空チャンバ内で生成され、様々な種類のメトロロジー機器を用いて監視される。
【発明の概要】
【0005】
一般的な一態様においては、極紫外(EUV)光システムにおける戻り反射を減少させる方法は、プラズマに変換されたときに極紫外光を放出する材料を含み伝搬の方向に沿って伝搬する光を第1の方向に反射するターゲット材料を提供することと;伝搬の方向に沿って伝搬する光を第1の方向とは異なる第2の方向に反射する光反射性表面を含む変更されたターゲットを形成するようにターゲット材料の幾何分布を変更することと;光源からの増幅光ビームを、伝搬の方向に沿って、変更されたターゲットの反射性表面の方に導くことと、を含み、増幅光ビームは、変更されたターゲットの少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換し、第2の方向に進む増幅光ビームの反射を生成することによって反射を光源から遠ざかるように導く。
【0006】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。増幅光ビームは焦点面に集束されてもよく、変更されたターゲットは焦点面の外部にあってもよい。増幅光ビームを焦点面に集束させることは、ある領域内に増幅光ビームのビームウエストを形成することを含んでいてもよく、変更されたターゲットはその領域の外部にあってもよい。増幅光ビームを焦点面に集束させることは、ある領域内に増幅光ビームのビームウエストを形成することを含んでいてもよく、変更されたターゲットはビームウエストと重なっていてもよい。
【0007】
ターゲット材料を提供することは、ターゲット材料を形成するために放射の第1のビームとターゲット材料の一例とを相互作用させることを含んでいてもよく、ターゲット材料は、ターゲット材料の一例によって占められる体積よりも、一次元では大きな体積を、二次元では小さな体積を占めてもよい。ターゲット材料の幾何分布を変更することは、光ビームをターゲット材料と相互作用させた後で遅延時間を経過させることを含んでいてもよく、変更されたターゲットは遅延時間の間にターゲット位置へと移動するとともに伝搬の方向に対して傾斜する。
【0008】
実装形態によっては、ターゲット材料の幾何分布を変更することは、放射の第1のビームを増幅光ビームの伝搬の方向とは異なる第1の伝搬の方向に沿ってターゲット材料へと導くことを含んでいてもよく、相互作用は、ターゲット材料を第1の伝搬の方向に垂直な方向に拡張させるとともに、ターゲット材料を増幅光ビームの伝搬の方向に対して傾斜させる。
【0009】
変更されたターゲットは略平坦な面を有する溶融金属の円盤形状の体積を含んでいてもよい。略平面は伝搬の方向と0乃至90度の角度を成していてもよい。略平面は伝搬の方向と35乃至45度の角度を成していてもよい。
【0010】
ターゲット材料の幾何分布を変更することは、変更されたターゲットを形成するためにターゲット材料を光ビームと相互作用させることを含んでいてもよい。
【0011】
別の一般的な一態様においては、極紫外(EUV)光を発生させる方法は、プラズマに変換されたときに極紫外光を放出する材料を含み第1の方向に沿った第1の伸長及び第2の方向に沿った第2の伸長で延伸するターゲット材料をターゲット位置に提供することと;増幅光ビームを伝搬の方向に沿ってターゲット位置の方へと導くことと;伝搬の方向に沿っており焦点面と重なる位置では集束し、伝搬の方向に沿っており焦点面の外部にある位置では焦点が合っていない増幅光ビームを、焦点面内に集束させることと;ターゲット材料が焦点面の外部で且つ増幅光ビームの焦点が合っていない位置にある間、増幅光ビームをターゲット材料と相互作用させることと、を含み、ターゲット材料との間の相互作用は、ターゲット材料の少なくとも一部を、EUV光を放出するプラズマに変換させる。
【0012】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ターゲット材料の第2の伸長はターゲット材料の第1の伸長よりも大きくてもよく、第2の方向と伝搬の方向とは非ゼロの角度を成していてもよい。
【0013】
第2の方向は伝搬の方向と伝搬の方向に垂直な方向との間にあってもよい。第2の方向は伝搬の方向に対して35度乃至45度の角度を成していてもよい。
【0014】
ターゲット材料をターゲット位置に提供することは、当初のターゲット材料を当初の位置に提供することと、時間を経過させることと、を含んでいてもよく、当初のターゲット材料はその時間の間に当初の位置からターゲット位置へと進む。
【0015】
ターゲット材料をターゲット位置に提供することは、中央領域と中央領域に対する少なくとも2つの側部とを含む当初のターゲット材料を当初の位置に提供することと;放射の第1のビームを、当初のターゲット材料の一方の側部のみにある当初のターゲット材料の一部分へと向けることと、を含んでいてもよい。
【0016】
ターゲット材料は、放射の第1のビームと当初のターゲット材料との間での相互作用の後で時間を経過させることによって発生されてもよく、この経過時間の間に、当初のターゲット材料の大きさは少なくとも1つの次元において増大するとともに少なくとも1つの次元において減少し、当初のターゲット材料は放射の第1のビームの伝搬の方向に対して傾斜する。
【0017】
当初のターゲット材料の側部は、当初のターゲット材料の外縁を含んでいてもよい。当初のターゲット材料の一側部は、当初のターゲット材料の中央領域を含む当初のターゲット材料の一部であってもよい。当初のターゲット材料はターゲット材料小滴を含んでいてもよい。
【0018】
ターゲット材料を発生させることは、放射の第1のビームの後、ターゲット材料がターゲット位置に提供される前に、放射の第2のビームをターゲット材料の方へと導くことをさらに含んでいてもよい。
【0019】
ターゲット材料はターゲット材料の連続するセグメントを含んでいてもよい。
【0020】
ターゲット材料全体が焦点面の外部にあってもよい。
【0021】
別の一般的な一態様においては、極紫外(EUV)光源は、放射の第1のビームを受ける当初のターゲット位置と増幅光ビームを受けるターゲット位置とを含む真空チャンバと;プラズマに変換されたときにEUV光を放出する材料を含むターゲット材料を当初のターゲット位置に提供するように構成されたターゲット材料デリバリシステムと;放射の第1のビームと、ターゲット材料の少なくとも一部をEUV光を放出するプラズマに変換するのに十分なエネルギを含む増幅光ビームとを生成するように構成された源と;増幅光ビームをターゲット位置の方へ導くとともに増幅光ビームを焦点面に集束させるように構成された光学ステアリングシステムと、を含み、放射の第1のビームは変更されたターゲットを形成するようにターゲット材料の幾何分布を変化させるのに十分なエネルギを有し、ターゲット位置は変更されたターゲットを受け取り、ターゲット位置は焦点面の外部にある。
【0022】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。放射の第1のビームはパルス化されたレーザビームの少なくとも1つのパルスであってもよく、源は、パルス化されたレーザビームを生成する第1のレーザ源と、第1のレーザ源とは別個の、増幅光ビームを生成する第2の源とを含んでいてもよい。放射の第1のパルスはビーム経路上を伝搬してもよい。
【0023】
源はシードレーザを含んでいてもよい。EUV光源は、少なくとも1つの光増幅器と;光増幅器とシードレーザとの間にアイソレータと、も含んでいてもよく、少なくとも1つの光増幅器とアイソレータとはビーム経路上にあり、このビーム経路に沿って増幅光ビームが伝搬する。
【0024】
上述の技術のうちいずれの実装形態も、レーザ生成プラズマEUV光源用のターゲット、EUV光源、レーザ生成プラズマEUV光源において用いられる駆動レーザにおける戻り反射を減少させ又は除去する方法、EUV光を生成する方法、EUV光源を改造するためのシステム、方法、プロセス、デバイス、コンピュータ可読媒体に記憶された実行可能な命令、又は装置を含み得る。1つ以上の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴は説明及び図面と特許請求の範囲とから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】例示的なレーザ生成プラズマ極紫外光(EUV)源のブロック図である。
図2A】例示的なターゲットの側断面図である。
図2B図2Aのターゲットの前断面図である。
図2C図2Aのターゲットの例示的な傾斜の説明図である。
図2D】ターゲットの別の例示的な傾斜の説明図である。
図3A】増幅光ビームと相互作用する2Aのターゲットの側断面図である。
図3B】増幅光ビームと相互作用する2Aのターゲットの側断面図である。
図3C】増幅光ビームと相互作用する2Aのターゲットの側断面図である。
図3D】増幅光ビームと相互作用する2Aのターゲットの側断面図である。
図4A】EUVシステムの例示的な光源のブロック図である。
図4B】EUVシステムの例示的な光源のブロック図である。
図4C】EUVシステムの例示的な光源のブロック図である。
図4D】EUVシステムの例示的な光源のブロック図である。
図5】ターゲット傾斜の関数としてのパワーの例示的な図表である。
図6】ターゲット傾斜の関数としてのエネルギの例示的な図表である。
図7】EUV光を生成する例示的なプロセスのフローチャートである。
図8A】ターゲットに変換される例示的な当初のターゲットを示す図である。
図8B】エネルギ対時間として示された、図8Aのターゲットを発生させるための例示的な波形の図表である。
図8C】当初のターゲット及び図8Aのターゲットの側面図である。
図9A】ターゲットに変換される別の例示的な当初のターゲットを示す図である。
図9B】エネルギ対時間として示された、図9Aのターゲットを発生せるための例示的な波形の図表である。
図9C】当初のターゲット及び図9Aのターゲットの側面図である。
図10】ターゲットに変換されている別の例示的な当初のターゲットの側面図である。
図11】別のレーザ生成プラズマ極紫外(EUV)光源及びこのEUV光源に連結されたリソグラフィツールの平面図である。
図12】例示的なレーザ生成プラズマ極紫外光(EUV)源のブロック図である。
図13】増幅光ビームと相互作用する別の例示的なターゲットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
極紫外(EUV)光生成の変換効率を高めるための技術が開示される。以下でより詳細に述べられるように、ターゲット材料、又はプラズマに変換されたときにEUV光を放出するターゲット材料を含むターゲットは、入射する増幅光ビームに対して、プラズマに変換されてEUV光を放出するターゲットの部分を増大させるように及び/又は生成されるEUV光の全体量を増加させるように位置決めされる。
【0027】
図1を参照すると、光増幅システム106は、レーザ生成プラズマ(LPP)極紫外(EUV)光源100を駆動するために用いられる光源105(駆動源又は駆動レーザとも称される)の少なくとも一部を形成する。光増幅システム106は、光源105がターゲット位置130に提供される増幅光ビーム110を生成するように、少なくとも1つの光増幅器を含む。ターゲット位置130はターゲット材料供給システム115からスズなどのターゲット材料120を受け取り、増幅光ビーム110とターゲット材料120との相互作用がEUV光又は放射150を放出するプラズマを生成する。集光器155は、EUV光150を集光するとともに集光されたEUV光160としてリソグラフィツールなどの光学装置165へと導く。
【0028】
増幅光ビーム110はビームデリバリシステム140によってターゲット位置130に向けられる。ビームデリバリシステム140は、光学コンポーネント135と、増幅光ビーム110を焦点領域145に集束させるフォーカスアセンブリ142とを含んでいてもよい。コンポーネント135は、屈折及び/又は反射によって増幅光ビーム110を方向づけるレンズ及び/又はミラーなどの光学素子を含んでいてもよい。コンポーネント135は、コンポーネント135を制御及び/又は移動する素子も含んでいてもよい。例えば、コンポーネント135は、ビームデリバリシステム140の光学素子を移動させるように制御可能なアクチュエータを含み得る。
【0029】
フォーカスアセンブリ142は、ビーム110の直径が焦点領域145において最小になるように、増幅光ビーム110を収束させる。換言すれば、フォーカスアセンブリ142は、増幅光ビーム110の放射を、焦点領域145に向かって方向112で伝搬するにつれて集中させる。ターゲットが無い場合には、増幅光ビーム110の放射は、ビーム110が方向112で焦点領域145から遠ざかって伝搬するにつれて分散する。
【0030】
後述のように、ターゲット120は、増幅光ビーム110及びフォーカスアセンブリ142に対して、ターゲット120のうちプラズマに変換される部分を増大させるように位置決めされており、これによって変換効率が高められ及び/又は生成されるEUV光の量が増大される。
【0031】
追加的又は代替的には、ターゲット材料120の空間分布は、増幅光ビーム110を横切る方向のターゲット材料120の大きさを増大させるように変更され得る。例えば、ターゲット材料120は、小滴から方向112に対して垂直の又は傾斜した面を有する平坦な円盤へと拡張されてもよい。このようにターゲット材料120の大きさを増大させることによって、ターゲット材料120のうち増幅光ビーム110に曝される部分を増大させることができ、所与の量のターゲット材料120に対して生成されるEUV光の量が増大される。実装形態によっては、ターゲットの材料特性が、増幅光ビーム110の吸収を増加させるように変更されてもよい。
【0032】
図2Aを参照すると、例示的なターゲット220の(方向xに沿って見た)側断面図が示されている。ターゲット220はシステム100においてターゲット材料120として用いられ得る。ターゲット220は、増幅光ビーム210を受けるターゲット領域230の内側にある。ターゲット220は、プラズマに変換されたときにEUV光を放出するターゲット材料(例えばスズなど)を含む。増幅光ビーム210は、ターゲット220の少なくとも一部をプラズマに変換するのに十分なエネルギを有する。
【0033】
例示的なターゲット220は楕円体(三次元の楕円)である。換言すれば、ターゲット220は、楕円の三次元類似体である表面の内部としておおよそ定義されている体積を占める。しかしながら、ターゲット220は他の形を有していてもよい。例えば、ターゲット220は、球体の全部又は一部の形状を有する体積を占めていてもよく、あるいはターゲット220は、はっきりと定義された縁を有さない雲のような任意の形状の体積を占めていてもよい。はっきりと定義された縁を持たないターゲット220に関しては、ターゲットを構成する材料の例えば90%、95%又はそれより多くを含む体積がターゲット220として扱われてもよい。ターゲット220は非対称であってもよい。
【0034】
さらに、ターゲット220は、ターゲット材料の任意の空間分布を有していてもよく、非ターゲット材料を含んでいてもよい。ターゲット220は、粒子系及び/又は断片系、本質的に連続的且つ均質的な材料である拡張されたオブジェクト、粒子の集合、イオン及び/又は電子を含むプリプラズマ、溶融金属、プリプラズマ、及び粒子の連続するセグメントを含む材料の空間分布、及び/又は溶融金属のセグメントであってもよい。ターゲット220の内容は任意の空間分布を有し得る。例えば、ターゲット220は、1つ以上の方向で均質的であってもよい。実装形態によっては、ターゲット220の内容はターゲット220の特定の部分に集中され、ターゲットは不均等な質量の分布を有する。
【0035】
図2Aに示されるターゲット220の側断面は楕円であり、楕円全体に及ぶ最大距離に等しい長さを有する長径と、この長径に垂直な短径とを有する。ターゲット220は、方向221に沿って延伸する第1の伸長222と、方向221に垂直な方向223に沿って延伸する第2の伸長224とを有する。ターゲット例220に関しては、伸長222及び方向221は短径の長さ及び方向であり、伸長224及び方向223は長径の長さ及び方向である。
【0036】
図2Bも参照すると、方向221で見たターゲット220の前断面図が示されている。ターゲット220は楕円形状の前断面を有し、その長径は方向223に延伸し伸長224を有する。ターゲット220の前断面は、方向225に三次元の伸長226を有する。方向225は方向221及び223に垂直である。
【0037】
図2Aを参照すると、ターゲット220の伸長224は、増幅光ビーム210の伝搬の方向212に対して傾斜している。図2Cも参照すると、伸長224の方向223は、増幅光ビーム210の伝搬の方向212と角度227を成している。角度227は、増幅光ビーム210が方向212に進みターゲット220に入射する際に、この増幅光ビームに関して測定される。角度227は0乃至90度であり得る。図2A及び2Cにおいては、ターゲット220は増幅光ビーム210に向かって傾斜している。図2Dに概略的に示されているようにターゲット220が増幅光ビーム210から遠ざかって傾斜している例においては、角度227は0乃至-90度である。
【0038】
上述のように、ターゲット220は楕円体以外の他の形を有していてもよい。ある体積を占めるターゲットに関しては、そのターゲットの形状は三次元の形であるものと考えられ得る。この形は、それぞれ3つの相互に直交する方向221,223,225に沿って延伸する3つの伸長222,224,226によって説明することができる。伸長222,224,226の長さは、方向221,223,225のうち1つに対応する特定の方向でその形の1つの縁からその形の別の側の縁へとその形を横断する最長の長さに対応する。伸長222,224,226及び方向221,223,225は、ターゲット220の目視検査から決定又は推定され得る。ターゲット220の目視検査は、例えば、ターゲット220がターゲット材料デリバリシステム115を離れてターゲット位置130へと進む際に(図1)このターゲットを撮像することによって行われてもよい。
【0039】
実装形態によっては、方向221,223,225は、ターゲット220の質量中心を通りターゲット220の慣性主軸に対応する、相互に直交する軸であると考えられ得る。ターゲット220の質量中心は、ターゲット220の質量の相対位置がゼロとなる空間内の点である。換言すれば、質量中心は、ターゲット220を構成する材料の平均位置である。質量中心はターゲット220の幾何中心と必ずしも一致しないが、ターゲットが均質的で対照的な体積であるときには一致し得る。
【0040】
ターゲット220の質量中心は、ターゲット220における質量の空間分布の不均衡の測度である慣性乗積の関数として表すことができる。慣性乗積はマトリクス又はテンソルとして表すことができる。三次元のオブジェクトに関しては、質量中心を通る3つの相互に直交する軸が存在しており、それらの慣性乗積はゼロである。すなわち、慣性乗積はある方向に沿って存在し、質量はその方向に沿って延伸するベクトルの両側で等しく均衡する。慣性乗積の方向は、三次元のオブジェクトの慣性主軸とも称され得る。方向221,223,225は、ターゲット220の慣性主軸であってもよい。この実装形態においては、方向221,223,225は、ターゲット220の慣性乗積の慣性テンソル又はマトリクスの固有ベクトルである。伸長222,224,226は、慣性乗積の慣性テンソル又はマトリクスの固有値から決定され得る。
【0041】
実装形態によっては、ターゲット220は、おおよそ二次元のオブジェクトと見なされてもよい。ターゲット220が二次元であるときには、ターゲット220は、2つの直交する主軸と、主軸の方向に沿った2つの伸長とによってモデル化され得る。代替的又は追加的には、三次元のターゲットに関して、二次元のターゲットの伸長及び方向が目視検査によって決定されてもよい。
【0042】
図3A乃至3Dを参照すると、増幅光ビーム210によって照射されているターゲット材料220の(方向xに沿って見た)側面図が示されている。増幅光ビーム210は方向212に沿って伝搬し、方向212に垂直な焦点面246で集束される。増幅光ビーム210は焦点面246ではビーム径「d」を有する。この例では、増幅光ビーム210のビーム径「d」及び断面積は焦点面246において最小となり、増幅光ビーム110の放射照度(単位面積当たりのパワー)は面246において最大となる。
【0043】
増幅光ビーム210は、最小で半径が「w」のビーム径を有し面246においてビームウエスト「w」を形成するガウシャンビームと近似できる。増幅光ビーム210は、方程式(1)によって与えられる焦点深度「b」を有するように近似できる:
【0044】
【数1】
【0045】
ただし、λは増幅光ビーム210の波長であり、量Zはレイリー範囲である。
【0046】
図3Aに示す例においては、ターゲット220は、伸長224が方向212に垂直であり面246と一致した状態で配置されている。換言すれば、ターゲット220は、増幅光ビーム210の焦点にある。増幅光ビーム210がターゲット220と相互作用するとき、ターゲット220の一部がプラズマに変換されて、反射301が生成される。反射301は、ターゲット220からの増幅光ビーム210の反射であってもよく、及び/又はターゲット220を照射することにより作り出されたプラズマからの反射であってもよい。反射301は方向212とは反対の方向にターゲット220から遠ざかるように伝搬する。ターゲット220は伸長224が方向212に垂直な状態で焦点面246にあるため、反射301は、増幅光ビーム210がターゲット220に到達するために進んだ経路を辿り、ひいては光増幅システム106へと戻るように導かれ得る。
【0047】
図3Bに示す例においては、ターゲット220は方向212に対して傾斜しており、伸長224の方向223が方向212と角度327を成している。ターゲット220は、位置決めされるとき、移動されるとき、又は伝搬の方向212に対する傾斜位置へと動かされるときに傾斜される。ターゲット220の一部は焦点面246と一致し、ターゲット220は焦点深度b内にある。増幅光ビーム210がターゲット220と相互作用するとき、ターゲット220の一部がプラズマに変換されて、反射307が生成される。反射307は方向212に対して角度327でターゲット220から遠ざかるように伝搬する。したがって、反射307は、ターゲット220から反射301の方向とは異なる方向に遠ざかるように伝搬するため、光増幅システム106へと戻るようには導かれにくい。
【0048】
反射された増幅光ビーム210の方向を変更することに加え、ターゲット220を傾斜させることによって、ターゲット220を焦点面246において入射する増幅光ビーム210に対して直角に配向することに比べ、ターゲット220のより多くが増幅光ビーム210に曝される。例えば、ターゲット220を傾斜させることは、図3Aに示す構成においては増幅光ビーム210の外部にあるターゲット部分310a及び310bを、増幅光ビーム210の経路内に存在させる。
【0049】
さらに、実装形態によっては、ターゲット220を増幅光ビーム210の伝搬の方向に対して傾斜させることは、増幅光ビーム210を伸長224が方向212に垂直であるときよりも好ましい密度プロファイルを有するターゲット220の一部に曝し得る。いくつかのターゲット(図9A乃至9Cに関して述べられるターゲット920など)においては、密度プロファイルは伸長222に沿って増大する。より低密度の材料はより容易にプラズマに変換する。伸長222に沿って増大する密度を有するターゲットが方向212に対して傾斜されるとき、増幅光ビーム210に曝される低密度材料の体積は増加され、その結果ターゲットのより大きな部分がプラズマに変換されてEUV光を放出する。
【0050】
図3C及び3Dを参照すると、ターゲット220はまた、焦点面246から距離262を置いて配置されてもよい。距離262は、焦点面246から方向212の方向に、又は方向212とは反対の方向に延伸する。換言すれば、ターゲット220は、(図3C及び3Dに示されるように)焦点面246の上流に配置されてもよく、焦点面246の下流に配置されてもよい。距離262は、いずれのターゲット220も焦点面246と一致しないようになっていてもよい。実装形態によっては、ターゲット220のうちいくらか又は全体が焦点深度bの外部にあってもよい。距離262は、例えば、ガウシャンビームと近似される増幅光ビーム110のレイリー範囲(Z)の2乃至3倍であってもよい。いくつかの例においては、距離262は1ミリメートル(mm)以上であってもよい。
【0051】
上述のように、増幅光ビーム210は、フォーカスアセンブリ242から焦点面246へと伝搬する間に収束する。したがって、ターゲット220が焦点面246から距離262を置いて配置されるときには、ターゲット220のより多くが増幅光ビーム210に曝される。さらに、ターゲット220が焦点面246から離れて配置されるときには、ターゲット220からの増幅光ビーム110の反射は、異なる状態でフォーカスアセンブリ242を介して伝搬するため、増幅光ビーム210が伝搬するのと同一の経路に沿って戻って撮像されはしない。
【0052】
図3Dは、焦点面246から距離262を置いて配置され伸長224が方向212に対して角度328で傾斜された状態のターゲット220を示す。ターゲット220を増幅光ビーム210の伝搬の方向212に対して傾斜することは、増幅光ビーム210の反射314も増幅光ビーム210が伝搬する経路から遠ざかるように導く。
【0053】
このように、ターゲット220での最高放射照度(単位面積当たりのパワー)は、一般的にはターゲット220のプラズマへの変換の最大化をもたらすと予期されるであろうターゲットが焦点面246にあるときに生じるが、ターゲット220を焦点面246の外部に及び/又は伸長224が増幅光ビーム210に対してある角度を成す状態で配置すると、ターゲット220のより多くを増幅光ビーム210に曝すことにより、ターゲット220のより大きな部分をプラズマに変換し得る。また、図4A乃至4D,5及び6において議論するように、ターゲット220を焦点面246から遠ざけて傾斜させること及び/又は配置することも、反射を増幅光ビーム210の光源、光源105などから遠ざかるように導き、その結果、光源はより大きなパワーを生成し得る。
【0054】
図4A乃至4Dは、ターゲット220を照射する増幅光ビーム410を生成する例示的なシステム400のブロック図である。システムは、増幅光ビーム410を生成する光源(又は駆動レーザシステム)405と、焦点光学素子442とを含む。増幅光ビーム410は方向412に伝搬し、焦点光学素子442によって焦点面446へと集束される。
【0055】
図4A乃至4Dは、焦点面446及び方向412に対するターゲット220の異なる配向及び位置を示す。ターゲット220の配向及び/又は位置は、光源405に入射する反射の量に影響を及ぼす。とりわけ、ターゲット220を焦点面446から遠ざかるように傾斜及び/又は移動させることは、システム400によって生成されるパワーの量を増大させ得るので、ターゲット220にはより大きなパワーが届けられる。ターゲット220へのより大きなパワーは、発生されるEUV光の量を対応して増大させ得る。
【0056】
この例においては、光源405は、光発生器402と、2つの光増幅器406a,406bの「チェーン」を含む光増幅システム406とを含む。光発生器402は、例えば、レーザ、主発振器などのシードレーザ、又はランプであってもよい。光増幅器406a,406bは、光発生器402からの光ビーム408が伝搬するビーム経路407上に、利得媒体(図示しない)を含む。利得媒体は、励起されるとき、光ビーム408に光子を提供し、増幅光ビーム410を生成するように光ビーム408を増幅する。
【0057】
光源405はアイソレータ409も含む。アイソレータ409は、ビーム経路407を中心とする孔を有するピンホールなどの空間フィルタ又は他の幾何学的な種類のフィルタであってもよい。ピンホールは孔の外部の光を遮断する。この種のアイソレータは、孔の中に納まる光しか通さないため、光を通すか阻むかの基準となるのは、光が伝搬する角度(例えば後方への反射が伝搬する角度)である。したがって、焦点光学素子442によって集光された後の後方への反射に角度付けするようにターゲット200を傾斜させること及び/又は後方への反射の角度を変えるべくターゲット220を焦点面から遠ざかるように移動させることにより、この種のアイソレータの強みを活かした技術を提供することができる。
【0058】
アイソレータ409は、増幅器406a及び光発生器402を、ターゲット位置430から発せられる反射から隔離又は保護するのに役立つ。図4A乃至4Dに示される例示的な光源405は2つの増幅器406a,406bを含み、アイソレータ409が2つの増幅器406a,406bの間のビーム経路407上に配置されているが、他の実装形態は異なる構成を含んでいてもよい。例えば、光源405は、より少数又は多数の光増幅器及び/又は追加的なアイソレータを含み得る。アイソレータは増幅器及び光発生器402の間のビーム経路407上に、任意の配置で位置決めされてもよい。
【0059】
図4Aに示される配置においては、ターゲット220は、伸長224が焦点面446と一致する状態で置かれている。ターゲット220は増幅光ビーム410の焦点にあるため、ターゲット220及び/又は生成されたプラズマは増幅光ビーム410を増幅光ビーム410が辿った経路に沿って反射して戻し、この反射は、焦点光学素子442によってコリメートされて増幅器406bに入射し、そこで利得媒体により増幅され得る。反射は破線で示されており、光源405内を光ビーム408が進む方向とは概ね反対の方向に進むため、「後行」ビームと称され得る。
【0060】
反射は、さらなる伝搬を阻止する孔又はフィルタに到達するまで、光源405内へと戻って進む。反射は、ビーム経路407に沿って伝搬するため、アイソレータ409に到達し得るとともに恐らくはこれを通過し、増幅器406a及び光発生器402に入射する。増幅された反射は、増幅器405の利得媒体に蓄えられたエネルギを抽出し、光増幅器406a,406b内の利得媒体が後続の前行光ビームに提供し得る光子の量を減少させる。場合によっては、後方に伝搬するエネルギは、光増幅器チェーンの第1の部分(例えば増幅器406aの中又は付近にあるコンポーネント)において光学材料の損傷閾値を超過し、そこにあるコンポーネントを損傷し得る。このようにして、反射は光源405のパワー出力を低減させることができる。
【0061】
図4Bを参照すると、ターゲット220は焦点面446から離れて焦点面446と焦点光学素子442との間に位置決めされており、伸長224が増幅光ビーム410の伝搬の方向に垂直に配向されている。この配置においては、ターゲット220からの反射は、増幅光ビーム410がターゲットに到達するために通った経路を辿らない。その代わりに、反射は収束し続け、その後最小に達した後で分散する。反射のうちいくらかは焦点光学素子442に入射し得るが、入射する量は図4Aに示されるシナリオよりも少なくなり得る。また、反射のうち焦点光学素子442に入射する部分は、焦点光学素子442に反射をコリメートさせたり反射をビーム経路407上に導いたりするであろう角度では焦点光学素子442に入射していない。さらに、反射は正確にビーム経路407に沿って進むのではないため、前行ビーム408は遮断しない孔及びフィルタが反射を阻止し、光源405のコンポーネントに到達する反射の量をさらに減少させ得る。
【0062】
図4Cを参照すると、ターゲット220は部分的に焦点面446と一致するように位置決めされており、伸長224は増幅光ビーム410の伝搬の方向と角度を成している。増幅光ビーム410は、ターゲット220を照射してプラズマ及び反射を生成する。反射はその角度でターゲット220から遠ざかるように伝搬する。したがって、反射は増幅光ビーム410が通った経路を辿らない。図4Aに示される場合と比較して、より少ない反射光が増幅器406bに入射する。実装形態によっては、反射光は全く増幅器406bに入射しない。
【0063】
図4Dは、ターゲット220が増幅光ビーム410の伝搬の方向に対して傾斜して焦点光学素子442と焦点面446との間に位置決めされている例を示す。増幅光ビーム410とターゲット220との相互作用により作られた反射は、方向412とは反対の方向に対してその角度で伝搬する。その結果、反射はほとんど又は全く光源405に入射しない。
【0064】
図5は、増幅光ビームの焦点に位置決めされたターゲットについてのパワーとターゲット角度との例示的な関係の図表500である。ターゲット角度とは、増幅光ビーム210の伝搬の方向212に対する伸長224の間の角度である。図表500と類似の図表のデータを生成するためには他のターゲットを用いてもよいが、図5では図4A乃至4Dに示されるシステム400に関して議論する。
【0065】
図表500は曲線501,502,503を含む。曲線501は、増幅光ビーム410がターゲット220を照射するときに生成されるEUVパワーの量を表す。曲線502は、増幅光ビーム410がターゲット220に向かって進む際に測定される、この増幅光ビームのパワーを表す。曲線503は、増幅光ビーム410を反射するターゲット220から生じる逆行ビームのパワーのパワーを表す。
【0066】
生成されたEUVパワーは、ターゲット220が増幅光ビーム410の伝搬の方向に対して約+/-35乃至45度傾斜しているときに最大量を有する。実装形態によっては、生成されたEUVパワーは、ターゲット220が増幅光ビーム410の伝搬の方向に対して約+/-25乃至45度傾斜しているときに最大量を有する。生成されたEUVパワーは、0度の傾斜角度で最小量を有する(そのような位置の例が図4Aに示されている)。逆行ビームのパワーは、ターゲット220が0度の傾斜角度で位置決めされるときに最大となる。これは、光増幅システム406に入射する反射された増幅光ビームの量が、伸長224が増幅光ビーム210の伝搬の方向に垂直な状態でターゲット220が配置されるときに最大となるためである。また、前ビーム(増幅光ビーム210)のパワーは、ターゲット傾斜角度が0度であるときに最小となる。
【0067】
上述のように、逆行ビームは、増幅光ビーム410を生成する光増幅器406a,406bの利得媒体を消耗させ得るもので、これは代わりに増幅光ビーム410のパワーの低減をもたらす。したがって、前行ビーム(増幅光ビーム410)のパワーは、後行ビームのパワーが最小量を有するときに最大量を有する。EUVパワーは、増幅光ビーム410が最大量を有するときに、ターゲット220をEUVを放出するプラズマへと変換するために利用可能な追加的なパワーによって最大量を有する。
【0068】
図6は、ターゲット角度の関数として実験的に測定されたEUVパワーのグラフ600を示す。グラフ600に示されるデータを得るために、EUV光を感知するセンサが、ターゲット(ターゲット220など)から発生されたプラズマから放出されたEUV光を集光するように配置され、これらのセンサの出力の平均がとられて、測定されたEUVパワー値が決定された。センサは、「探照」の効果を最小化するように、ターゲットの傾斜の方向に配置された。探照とは、ターゲット220から生成されたプラズマが、より感度の高いセンサに向けてはより多くのEUV光を放出するが、より感度の低いセンサに向けてはほとんど又は全くEUV光を放出しないときに発生し得るものである。
【0069】
ターゲットの大きさは、178乃至236ミクロン(μm)であった。ターゲットは、増幅光ビームの伝搬の方向に対して、0度乃至約+/--40度傾斜された。図示する例においては、ターゲットは、メインパルスの前に当初のターゲットに当たるプリパルス光ビームを用いて傾斜された。傾斜の角度はプリパルスと増幅光ビームとの間の時間によって決定され、プリパルスと増幅光ビームとの間の時間が増加するにつれて、より大きな傾斜角度が達成された。増幅光ビームは各傾斜角度及びターゲット大きさについて同一のパラメータ(伝搬の方向、エネルギ、波長)を有していた。収集されたデータには曲線601が宛がわれた。曲線601は、傾斜したターゲットからは垂直入射ターゲットよりも20乃至25%多いEUV光が生成されることを示している。
【0070】
図7を参照すると、EUV光を発生させるための例示的なプロセス700のフローチャートが示されている。プロセス700は、光源105内への戻り反射を低減させるようにターゲット120を光源105に対して位置決めするためにも用いられ得る。ターゲット120はターゲット位置130に提供される(710)。ターゲットは、第1の方向に沿った第1の伸長と、第2の方向に沿った第2の伸長とを有する。ターゲットは、プラズマに変換されたときにEUV光を放出するターゲット材料を含む。増幅光ビームは伝搬の方向に沿ってターゲット位置の方へと向けられる(720)。
【0071】
図8A乃至8C,9A乃至9C及び10は、ターゲットをターゲット位置に提供すること(710)、及び増幅光ビームをターゲット位置の方へと向けること(720)の例を示す。図11は、ターゲット形成の一部としてプリパルスを採用する実装形態の例示的なシステム構成を示す。
【0072】
図8A乃至8Cは、ターゲット820をターゲット位置830に提供することの一例を示す。図8A及び8Bを参照すると、例示的な波形802が当初のターゲット818をターゲット820へと変形させる。当初のターゲット818及びターゲット820は、増幅光ビーム810の照射を通じてプラズマに変換されたときにEUV光860を放出するターゲット材料を含む(図8C)。
【0073】
ターゲット材料は、ターゲット物質と非ターゲット粒子などの不純物とを含むターゲット混合物であってもよい。ターゲット物質とは、EUV範囲の輝線を有するプラズマ状態に変換される物質である。ターゲット物質は、例えば、液体金属又は溶融金属の小滴、液体流の一部、固体粒子又はクラスタ、液体小滴に含有される固体粒子、ターゲット材料の泡、又は液体流の一部に含有される固体粒子であってもよい。ターゲット物質は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又はプラズマ状態に変換されたときにEUV範囲の輝線を有する任意の材料であってもよい。例えば、ターゲット物質は元素スズであってもよく、これは、純スズ(Sn)として;スズ化合物、例えばSnBr,SnBr,SnHとして;スズ合金、例えばスズ・ガリウム合金、スズ・インジウム合金、スズ・インジウム・ガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせとして用いられ得る。また、不純物が存在しない状況においては、ターゲット材料はターゲット物質のみを含む。以下の議論は、当初のターゲット818が溶融金属からなる小滴である一例を提示する。しかしながら、当初のターゲット818は他の形もとり得る。
【0074】
図8A及び8Cは、当初のターゲット818が物理的にターゲット820へと変形し、その後EUV光860を放出する期間801を示す。当初のターゲット818は、波形802に従って時間内に届けられる放射との相互作用を通じて変形される。図8Bは、図8Aの期間にわたる時間の関数として波形802で表したエネルギの図表である。当初のターゲット818と比較すると、ターゲット820は「y」方向の伸長がより大きく「z」方向の伸長がより小さい側断面を有している。また、ターゲット820は、「z」方向(ターゲット820の少なくとも一部をプラズマに変換する増幅されたビーム810の伝搬の方向812)に対して傾斜している。
【0075】
波形802は、放射806のパルス(プリパルス806)の表示を含む。プリパルス806は当初のターゲット818に作用するのに十分なエネルギを有する任意の種類のパルス化された放射であり得るが、プリパルス806はターゲット材料をプラズマに変換しない。第1のプリパルス806の衝撃の力は、当初のターゲット818を円盤に近い形状へと変形させ得るもので、これは約1乃至3マイクロ秒(μs)後には溶融金属の円盤形状片へと拡張する。増幅光ビーム810はメインビーム又はメインパルスと称され得る。増幅光ビーム810はターゲット820のターゲット材料をEUV光を放出するプラズマへと変換するのに十分なエネルギを有する。
【0076】
プリパルス806と増幅光ビーム810とは遅延時間811によって時間的に分離されており、増幅光ビーム810はプリパルス806の後の時刻tに発生する。プリパルス806は時刻t=tに発生し、パルス幅815を有する。パルス幅は、半値全幅、パルスがパルスの最大強度の少なくとも半分の強度を有する時間の量によって表され得る。しかしながら、パルス幅を決定するためには他の測定基準が用いられてもよい。
【0077】
ターゲット820をターゲット位置830に提供する技術を議論する前に、プリパルス806を含む放射のパルスと当初のターゲット818との相互作用を議論する。
【0078】
レーザパルスが金属のターゲット材料小滴に衝突する(当たる)とき、パルスの立ち上がり縁は、反射金属である小滴の表面を認識(表面と相互作用)する。当初のターゲット818は、パルスの立ち上がり縁でエネルギの大部分を反射し、ほとんど吸収しない。吸収された少量は小滴の表面を加熱し、この表面を蒸発させるとともに除去する。小滴の表面から蒸発されたターゲット材料は、表面付近に電子及びイオンの雲を形成する。放射のパルスがターゲット材料小滴に衝突し続けるにつれて、レーザパルスの電界は雲の中の電子を移動させ得る。移動中の電子はすぐ近くのイオンにぶつかり、雲の中の電子及びイオンの密度の積にほぼ比例する速さでの運動エネルギの伝達を通じてイオンを加熱する。イオンに当たる移動中の電子とイオンの加熱との組み合わせによって、雲はパルスを吸収する。
【0079】
雲がレーザパルスの後半に曝されるにつれて、雲の中の電子は移動し続けるとともにイオンに当たり続け、雲の中のイオンは加熱し続ける。電子は広がって熱をターゲット材料小滴(又は雲の下にあるバルク材料)の表面に伝達し、ターゲット材料小滴の表面をさらに蒸発させる。雲の中の電子密度は、雲のうちターゲット材料小滴の表面に最も近い部分において高くなる。雲は、雲の一部がレーザパルスを吸収するのではなく反射する程度に電子の密度が高まる点に到達し得る。
【0080】
図8Cも参照すると、当初のターゲット818は当初のターゲット位置831で提供される。当初のターゲット818は、例えばターゲット材料デリバリシステム115(図1)からターゲット材料をリリースすることによって、当初のターゲット位置831で提供されてもよい。図示する例においては、プリパルス806が当初のターゲット818に当たり、当初のターゲット818を変形させ、変形された当初のターゲットが時間を経てターゲット位置830へとドリフトする。
【0081】
当初のターゲット818にかかるプリパルス806の力は、当初のターゲット818を、ターゲット材料の幾何分布852へと物理的に変形させる。幾何分布852はイオン化されていない材料(プラズマでない材料)であってもよい。幾何分布852は、例えば、液体金属又は溶融金属の円盤、空隙又は実質的なギャップを有さないターゲット材料の連続するセグメント、マイクロ粒子もしくはナノ粒子の霧、又は原子蒸気の雲であってもよい。幾何分布852は、遅延時間811の間にさらに拡張し、ターゲット820となる。当初のターゲット818を拡張することには、3つの効果があり得る。
【0082】
第一に、当初のターゲット818と比較すると、プリパルス806との相互作用によって発生したターゲット820は、入射する放射のパルス(増幅光ビーム810など)に対してより広い面積を呈する形を有する。ターゲット820は、当初のターゲット818の「y」方向の断面直径よりも大きな「y」方向の断面直径を有する。また、ターゲット820は、当初のターゲット818よりも増幅光ビーム810の伝搬の方向(812又は「z」)に薄い厚さを有し得る。ターゲット820の相対的な薄さは、増幅光ビーム810がターゲット818内にあるターゲット材料のより多くを照射することを可能にする。
【0083】
第二に、当初のターゲット818を空間内に広げることによって、増幅光ビーム810によるプラズマの加熱中、過度に材料密度が高い領域の発生を最小化することができる。そのような過度に材料密度が高い領域は、発生されたEUV光を遮断し得る。プラズマ密度がレーザパルスで照射される領域の全体にわたって高い場合には、レーザパルスの吸収は、領域のうちレーザパルスを最初に受ける部分に限定される。この吸収によって発生された熱は、増幅光ビーム810の有限の継続時間の間、有意量のバルクターゲット材料を利用する(蒸発させる)のに十分なほどターゲット材料表面を蒸発させ加熱するプロセスを長く維持するには、バルクターゲット材料から離れすぎているかもしれない。
【0084】
領域が高い電子密度を有する場合においては、光パルスは、光パルスが反射される程度に電子密度が高い「臨界表面」に到達する前に領域への通り道の一部だけに浸透する。光パルスは領域のこれらの部分には進入することができず、これらの領域ではターゲット材料からEUV光がほとんど発生されない。高いプラズマ密度の領域は、領域のうちEUV光を放出する部分から放出されるEUV光も遮断し得る。その結果、領域から放出されるEUV光の総量は、領域にプラズマ密度が高い部分が無い場合のそれよりも少ない。したがって、当初のターゲット818をより大きな体積のターゲット820へと広げることは、入射光ビームが、反射される前に、ターゲット820内の材料のより多くに到達することを意味する。これは、生成されるEUV光の量を増大させ得る。
【0085】
第三に、プリパルス806と当初のターゲット818との相互作用は、ターゲット820を、増幅光ビーム810の伝搬の方向に対して角度827で傾斜させてターゲット位置830に到着させる。プリパルス806は、当初のターゲット818と交差するとき、ビーム幅807を有する。当初のターゲット818は質量中心819を有し、プリパルス806は、プリパルス806のエネルギの大半が質量中心819の一方側に降りかかるように、当初のターゲット818に当たる。プリパルス806は当初のターゲット818に力を印加し、その力が質量中心819の一方側にあるために、当初のターゲット818は、プリパルス806が質量中心819で当初のターゲット818に当たった場合にターゲットが拡張するであろうものとは異なる一組の軸に沿って拡張する。当初のターゲット818は、プリパルス806に打たれた方向に沿って平坦化する。このように、中心を外して又は質量中心819から離れて当初のターゲット818に当たることによって、傾斜が生み出される。例えば、プリパルス806が質量中心819から離れて当初のターゲット818と相互作用するとき、当初のターゲット818はy軸に沿っては拡張せず、ターゲット位置830に向かって移動しながらy軸に対して角度841で傾斜した軸y’に沿って拡張する。したがって、期間経過後、当初のターゲット818はターゲット820に変形しており、これは拡張された体積を占めるとともに、増幅光ビーム810の伝搬の方向に対して角度827で傾斜している。
【0086】
図8Cはターゲット820の側断面を示す。ターゲット820は、方向821に沿った伸長822と、方向821に垂直な方向823に沿った伸長824とを有する。伸長824は伸長822よりも大きく、伸長824は増幅光ビーム810の伝搬の方向812と角度827を成す。ターゲット820は、ターゲット820の一部が増幅光ビーム810の焦点面内にあるように置かれてもよく、あるいは、ターゲット820は焦点面から離れて置かれてもよい。実装形態によっては、増幅光ビーム810はガウシャンビームと近似されてもよく、ターゲット820は増幅光ビーム810の焦点深度の外部に置かれてもよい。
【0087】
図8Cに示す例においては、プリパルス806の強度の大半は、質量中心819の上で当初のターゲット818に当たり、当初のターゲット818の質量をプリパルス806から遠ざかるように傾斜させる。しかしながら、他の例においては、質量中心819の下にプリパルス806が適用されて、ターゲット820を増幅光ビーム810の伝搬の方向812の方へ傾斜させてもよい。図8Cに示す例においては、当初のターゲット818は、当初のターゲット位置831を通って「-y」方向へとドリフトする。したがって、当初のターゲット818のうちプリパルス806が入射する部分は、プリパルス806のタイミングによって制御され得る。例えば、プリパルス806を図8Cに示すよりも早い時刻にリリースすること(すなわち図8Bの遅延時間811を増大させること)は、プリパルス806を当初のターゲット818のより低い位置に当たらせる。
【0088】
プリパルス806は、ターゲット820を形成するように当初のターゲット818に作用し得る任意の種類の放射であり得る。例えば、プリパルス806は、レーザによって発生された、パルス化された光ビームであってもよい。プリパルス806は1乃至10μmの波長を有し得る。プリパルス806の継続時間812は、例えば、20乃至70ナノ秒(ns)、1ns未満、300ピコ秒(ps)、100乃至300ps、10乃至50ps、又は10乃至100psであってもよい。プリパルス806のエネルギは、例えば、15乃至60ミリジュール(mJ)であってもよい。プリパルス806が1ns以下の継続時間を有するときには、プリパルス806のエネルギは2mJであってもよい。遅延時間811は、例えば、1乃至3マイクロ秒(μs)であってもよい。
【0089】
波形802は時間の関数としての単一波形で示されているが、波形802の様々な部分は、異なる源によって生成され得る。さらに、プリパルス806は方向812に伝搬するものとして示されているが、そうとは限らない。プリパルス806は別の方向に伝搬してもよく、それでも依然として当初のターゲット818を傾斜させ得る。例えば、プリパルス806は、z方向に対して角度827の方向に伝搬してもよい。プリパルス806がこの方向に進み、質量中心819で当初のターゲット818に衝突するとき、当初のターゲット818はy’軸に沿って拡張し傾斜する。このように、実装形態によっては、当初のターゲット818は、当初のターゲット818に中心で又は質量中心819で当たることにより、増幅光ビーム810の伝搬の方向に対して傾斜し得る。このようにして当初のターゲット818に当たることは、当初のターゲット818を、プリパルス806が伝搬する方向に垂直な方向に沿って平坦化又は拡張させ、ひいては当初のターゲット818をz軸に対して角度付けし又は傾斜させる。さらに、他の例においては、プリパルス806は、他の方向に(例えば図8Cのページ内にx軸に沿って)伝搬して、当初のターゲット818をz軸に対して平坦化及び傾斜させてもよい。
【0090】
上述のように、プリパルス806の当初のターゲット818への衝撃は当初のターゲット818を変形させる。当初のターゲット818が溶融金属の小滴である実装形態においては、衝撃は当初のターゲット818を円盤に類似の形状へと変形させ、この円盤は遅延811の時間を経てターゲット820へと拡張する。ターゲット820はターゲット位置830に到着する。
【0091】
図8Cは当初のターゲット818が遅延811にわたってターゲットへと拡張する実装形態を示しているが、他の実装形態においては、ターゲット820は、プリパルス806と当初のターゲット818との互いに対する空間位置を調整することによって、必ずしも遅延811を用いずに、プリパルス806の伝搬の方向に垂直な方向に沿って傾斜及び拡張される。この実装形態においては、プリパルス806及び当初のターゲット818の空間位置は、互いに対して調整される。この空間オフセットによって、プリパルス806と当初のターゲット818との間の相互作用が、当初のターゲット818を、プリパルス806の伝搬の方向に垂直な方向に傾斜させる。例えば、プリパルス806は、当初のターゲット818を増幅光ビーム810の伝搬の方向に対して拡張及び傾斜させるように、図8Cのページ内へと伝搬してもよい。
【0092】
このように、そして図7のプロセス700を再び参照すると、図8A乃至8Cは、ターゲットをターゲット位置に提供することの一例を開示している。ターゲットをターゲット位置に提供することの別の例が9A乃至9Cに示されている。図8A乃至8Cの例と比較すると、9A乃至9Cの例は、当初のターゲット918をターゲット920へと変形させるために、複数のプリパルスを用いている。ターゲット材料を複数のプリパルスで照射する技術の一例は米国出願第13/830,461号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
図9A及び9Bを参照すると、例示的な波形902は、当初のターゲット918をターゲット920へと変形させる。以下の議論は、当初のターゲット918が溶融金属からなるターゲット材料小滴である一例を提示する。しかしながら、当初のターゲット918は他の形もとり得る。
【0094】
図9A及び9Cは、期間901にわたって、中間ターゲット917へ、次いでターゲット920へと物理的に変形する当初のターゲット918を示す。当初のターゲット918は、波形902に従って時間内に届けられる放射との相互作用を通じて変形される。図9Bは、図9Aの期間にわたる時間の関するとして波形902で表したエネルギの図表である。当初のターゲット918及び中間ターゲット917と比較すると、ターゲット920は、増幅光ビーム910(図9C)のより多くを吸収するとともに、増幅光ビーム910のエネルギのより大きな部分をEUV光960に変換する。
【0095】
波形902は、当初のターゲット918及びその時間を経て変形された形と相互作用するエネルギの表示である。波形902は時間の関数としての単一波形で示されているが、波形902の様々な部分は、異なる源によって生成され得る。波形902は、放射の第1のパルス906(第1のプリパルス906)の表示と放射の第2のパルス907(第2のプリパルス907)の表示とを含む。第1のプリパルス906及び第2のプリパルス907は、当初のターゲット918及び中間ターゲット917にそれぞれ作用するのに十分なエネルギを有する任意の種類のパルス化された放射であり得る。第1及び第2のプリパルス906,907はターゲット材料をプラズマに変換しない。
【0096】
第1のプリパルス906は時刻t=tで発生しパルス幅915を有し、第2のプリパルス907は時刻t=tで発生しパルス幅914を有する。パルス幅915は、半値全幅、パルスがパルスの最大強度の少なくとも半分の強度を有する時間の量によって表され得る。しかしながら、パルス幅915を決定するためには他の測定基準が用いられてもよい。時刻tとtとは第1の遅延時間911によって分離されており、第2のプリパルス907は第1のプリパルス906の後で発生する。
【0097】
波形902は増幅光ビーム910の表示も示す。増幅光ビーム910はメインビーム又はメインパルスと称され得る。増幅光ビーム910はターゲット920のターゲット材料をEUV光960を放出するプラズマへと変換するのに十分なエネルギを有する。第2のプリパルス907と増幅光ビーム910とは第2の遅延時間913によって時間的に分離されており、増幅光ビーム910は第2のプリパルス907の後で発生し、第2のプリパルス907は第1のプリパルス906の後で発生する。
【0098】
図9A乃至9Cの例は、2つのプリパルスをターゲット材料小滴に印加してターゲット920を形成する。図8A及び8Bの例と同様に、第1のプリパルス906は、当初のターゲット位置931の方へと向けられ、中間ターゲット917となるターゲット材料の幾何分布を形成する。第1のプリパルス906と当初のターゲット918との相互作用は、当初のターゲット918を、当初のターゲット918よりも大きな体積を占める中間ターゲット917へと拡張する。第1のプリパルス906も、当初のターゲット918の質量中心919を外して当初のターゲット918を照射し、当初のターゲット918を傾斜し始めさせる。第2のプリパルス907は中間ターゲット917をターゲット920へと変形させる。
【0099】
第2のプリパルス907は中間ターゲット917に衝突する。中間ターゲット917と第2のプリパルス907との相互作用は、増幅光ビーム910が到着する前にターゲット920を形成する。第2のプリパルス907は放射の吸収に関係する中間ターゲット917の特性を変化させるのに十分なエネルギを有する。換言すれば、中間ターゲット917に第2のプリパルス907を当てることにより、変化した小滴の光などの放射を吸収する能力が変更される。
【0100】
一例においては、中間ターゲット917は、当初のターゲット918よりも入射する放射のパルスの伝搬の方向に薄い溶融スズの円盤である。この中間ターゲット917は当初のターゲット918よりも壊れてターゲット材料の破片になりやすく、中間ターゲット917を粉々にするために必要であろうエネルギの量はより小さい。この例では、第2のプリパルス907が中間ターゲット917をターゲット材料の断片の雲へと変換し、これは一緒にすると又は集合的には、入射する放射のパルスの経路内において、当初のターゲット918よりも大きなターゲット材料の表面積を有する。表面積が大きければ大きいほど、増幅光ビーム910との相互作用のためのより多くのターゲット材料が提供され、ターゲット材料の増大されたイオン化と、ひいては増大されたEUV光の発生とがもたらされ得る。
【0101】
別の一例においては、中間ターゲット917はやはり溶融スズの円盤であって、ターゲット材料小滴よりも薄く且つ幅広い。この例では、第2のプリパルス907が中間ターゲット917を照射し、放射の第2のパルスを受ける中間ターゲットの表面近くに電子及びイオンの雲(プリプラズマ)を発生させる。プリプラズマとは、入射光(プリパルス907又は増幅光ビーム910など)の吸収を高めるために用いられるプラズマである。プリプラズマは場合によっては少量のEUV光を放出し得るが、放出されるEUV光は、ターゲット920全体によって放出される波長又は量ではない。中間ターゲット917の表面に電子及びイオンの雲を作り出すことによって、第2のプリパルス907は、中間ターゲット917の少なくとも一部の電子密度及び/又はイオン密度を変化させる。プリプラズマは遅延時間913にわたって拡張することができ、拡張されたプリプラズマ及びバルクターゲット材料はターゲット920を形成し、これは傾斜し続けるとともに増幅光ビーム910の伝搬の方向に対して傾斜してターゲット位置930へとドリフトする。また、プリプラズマの密度プロファイルは、プリパルス907の伝搬の方向で高まり得る。このように、プリプラズマはターゲット位置930に到達する前に傾斜し続けるため、増幅光ビーム910は、プリプラズマの比較的密度の低い部分のうち、ターゲット920が増幅光ビーム910の伝搬の方向912に垂直である場合よりも大きな部分と相互作用する。
【0102】
このように、ターゲット920は、空間的にバルクターゲット材料の付近にあるプリプラズマであり得る。実装形態によっては、ターゲット920は、大量の断片又はターゲット材料の霧である。さらに他の実装形態においては、ターゲット920は、半球状の体積の全体に分布するターゲット材料の粒子の集合の付近に形成されたプリプラズマである。
【0103】
第1のプリパルス906は、ターゲット920を形成するように当初のターゲット918に作用し得る任意の種類の放射であり得る。例えば、第1のプリパルス906は、レーザによって発生された、パルス化された光ビームであってもよい。第1のプリパルス906は1乃至10.6μmの波長を有し得る。第1のプリパルス906の継続時間915は、例えば、20乃至70ナノ秒(ns)、1ns未満、300ピコ秒(ps)、100乃至300ps、10乃至50ps、又は10乃至100psであってもよい。第1のプリパルス906のエネルギは、例えば、15乃至60ミリジュール(mJ)であってもよい。プリパルス806が1ns以下の継続時間を有するときには、プリパルス806のエネルギは、例えば2mJであり得る。
【0104】
第2のプリパルス907は、少なくとも1nsの継続時間及び1乃至10mJのエネルギを有し得る。例えば、第2のプリパルス907は、10nsの継続時間及び5mJのエネルギを有していてもよい。放射の第2のプリパルス907は、1乃至10.6μmの波長を有し得る。例えば、第2のプリパルス907は、1.06μmの波長を有していてもよい。当初のターゲット918に直接印加される第1のプリパルス906よりも、第2のプリパルス907のエネルギは低くてもよく、及び/又はパルス幅は長くてもよい。遅延時間913は、例えば10乃至100ns又は1乃至200nsであり得る。第2のプリパルス907がプリプラズマを形成する実装形態においては、第2のプリパルス907と増幅光ビーム910との間の遅延時間913は、プリプラズマが拡張するのを可能にするのに十分なほど長い時間であってもよい。
【0105】
実装形態によっては、第1のプリパルス906のパルス幅915及び第2のプリパルス907のパルス幅914は1ns以上である。1nsよりも大きな2つのプリパルスを用いることは、ターゲット920が、ピコ秒(ps)又はそれより短いパルスを発生させるレーザを用いることなく発生された放射のパルスを用いて生成されることを可能にする。ns幅のパルスを放出し比較的高い反復率(50kHz乃至100kHz)を有するレーザは、psパルスを放出するものよりも容易に利用可能であり得る。プリパルス906及び907を発生させるために反復率のより高いnsパルス発生レーザを用いることは、ターゲット920を用いるEUV光源がより高い全体のシステム反復率を有することを可能にする。
【0106】
上述のように、第1のプリパルス906の当初のターゲット918への衝撃は、当初のターゲット918を、当初のターゲット918が溶融金属の小滴である実装形態においては、円盤に類似の形状へと変形させ得るものであり、この円盤は遅延911の時間を経て溶融金属の円盤状の断片へと拡張する。第2のプリパルス907は、当初のターゲット918よりも容易に放射を吸収するターゲット920を形成するように、中間ターゲット917の吸収特性を変更する。ターゲット920は、伸長922と、伸長922よりも大きくこれに垂直な伸長924とを有する。ターゲット920は増幅光ビーム910の伝搬の方向912に対して傾斜され、伸長924が延伸する方向が方向912と角度を成している。ターゲット位置930は、増幅光ビーム910の焦点面(図示しない)と一致するか、この焦点面の外部にあってもよい。
【0107】
このように、そして図7のプロセス700を再び参照すると、図9A乃至9Cはターゲットをターゲット位置に提供することの一例を開示している。
【0108】
図9A乃至9Cの例においては2つのプリパルス906及び907が用いられているが、当初のターゲット918をターゲット920を形成するようにさらに条件づけるために、追加的なプリパルスが用いられてもよい。
【0109】
ターゲットをターゲット位置に提供することの別の一例が図10に示されている。図8A乃至8C及び9A乃至9Cの例においては、ターゲットは増幅光ビームの伝搬の方向に対して傾斜しており、また、ターゲットは増幅光ビームの焦点面と部分的に一致していてもよく、あるいはターゲットは焦点面又は焦点深度の外部にあってもよい。図10の例においては、ターゲット1020はターゲット位置1030に提供される。ターゲット1020は増幅光ビーム810の伝搬の方向に対して傾斜しておらず、ターゲット1020は増幅光ビーム810の焦点面846の外部にある。
【0110】
波形802(図8A)が、ターゲット1020を発生させるために用いられ得る。プリパルス806は当初のターゲット1018に当たる。プリパルス806は当初のターゲット1018を、当初のターゲット1018の質量中心1019の両側で等しい強度で照射する。したがって、プリパルス806は当初のターゲット1018を傾斜させない。しかしながら、プリパルス806は当初のターゲット1018を中間ターゲット1052へと空間的に拡張させる。遅延時間811の間、中間ターゲット1052は拡張し続け、ターゲット位置1030へとドリフトする。このように、ターゲット1020はターゲット位置1030に提供される。
【0111】
ターゲット1020は方向1021に沿って伸長1022を有する。方向1021は増幅光ビーム1010の伝搬の方向に平行である。ターゲット1020は方向1023の伸長1024も有する。方向1023は伝搬の方向812に垂直である。図示する例においては、伸長1024は伸長1022よりも大きい。増幅光ビーム810に対するターゲット1020のこのような配置は、変換効率を向上させ得る。増大された効率は、増幅光ビーム810が「臨界表面」に到達する前に方向812でターゲット1020のより大きな部分を照射することができるようにし得るターゲット1020の相対的な薄さと、ターゲット1020が増幅光ビーム810の幅のほとんど又はすべてを占める結果となり得る方向1023の相対的な広がりとに因るものである。このように、ターゲット1020の形状は、増幅光ビーム810のエネルギの有効な使用を助ける。
【0112】
増幅光ビーム810は焦点面846に集束され、ターゲット1020は距離1031を置いて焦点面846の下流にある。距離1031は、例えばレイリー範囲未満、又はレイリー範囲よりも2乃至3大きくてもよい。実装形態によっては、距離1031は1mmであってもよい。ターゲット位置1030は焦点面846の上流にあってもよい。
【0113】
増幅光ビーム1010はターゲット1020と交差し、ターゲット1020の少なくとも一部をEUV光に変換する。
【0114】
図11を参照すると、例示的な光学撮像システム1100の平面図が示されている。光学撮像システム1100は、リソグラフィツール1170にEUV光を提供するLPP EUV光源1102を含む。光源1102は、図1の光源100に類似していてもよく、及び/又は図1の光源100のコンポーネントのうちいくらか又はすべてを含んでいてもよい。
【0115】
システム1100は、駆動レーザシステム1105などの光源、光学素子1122、プリパルス源1143、集束アセンブリ1142、及び真空チャンバ1140を含む。駆動レーザシステム1105は増幅光ビーム1110を生成する。増幅光ビーム1110はターゲット1120内のターゲット材料をEUV光を放出するプラズマへと変換するのに十分なエネルギを有する。上述のターゲットはいずれもターゲット1120として用いられ得る。
【0116】
プリパルス源1143は放射のパルス1117を放出する。放射のパルスは、プリパルス806(図8A乃至8C,図10)として又はプリパルス806及び/又は807(9A乃至9C)として用いられ得る。プリパルス源1143は、例えば、50kHzの反復率で動作するQスイッチNd:YAGレーザであってもよく、放射のパルス1117は、1.06μmの波長を有するNd:YAGレーザからのパルスであってもよい。プリパルス源1143の反復率は、プリパルス源1143がどのくらいの頻度で放射のパルスを生成するかを示す。プリパルス源1143が50kHzの反復率を有する例については、放射のパルス1117は20マイクロ秒(μs)毎に放出される。
【0117】
他の源がプリパルス源1143として用いられ得る。例えば、プリパルス源324は、エルビウムドープファイバ(Er:glass)レーザなど、Nd:YAG以外の任意の希土類ドープ固体レーザであってもよい。別の一例においては、プリパルス源は、10.6μmの波長を有するパルスを生成する炭酸ガスレーザであってもよい。プリパルス源1143は、上述のプリパルスに用いられるエネルギ及び波長を有する光パルスを生成する任意の他の放射又は光源であってもよい。
【0118】
光学素子1122は、増幅光ビーム1110とプリパルス源1143からの放射のパルス1117とをチャンバ1140に向ける。光学素子1122は、増幅光ビーム1110及び放射のパルス1117を類似又は同一の経路に沿って導き得る任意の素子である。図11に示す例においては、光学素子1122は、増幅光ビーム1110を受けてチャンバ1140の方へと反射する二色性ビームスプリッタである。光学素子1122は放射のパルス1117を受け、そのパルスをチャンバ1140の方へと伝送する。二色性ビームスプリッタは、増幅光ビーム1110の(単数又は複数の)波長を反射し放射のパルス1117の(単数又は複数の)波長を伝送するコーティングを有している。二色性ビームスプリッタは、例えばダイヤモンドから作製され得る。
【0119】
他の実装形態においては、光学素子1122は、孔(図示しない)を定義するミラーである。この実装形態においては、増幅光ビーム1110はミラー表面に反射されてチャンバ1140の方へ向けられ、放射のパルスは孔を通過してチャンバ1140の方へ伝搬する。
【0120】
さらに他の実装形態においては、メインパルス1110とプリパルス1117とをそれらの波長に従って異なる角度に分離するために、楔形の光学素子(例えばプリズム)が用いられてもよい。楔形の光学素子は、光学素子1122に加えて用いられてもよく、又は光学素子1122として用いられてもよい。楔形の光学素子は、集束アセンブリ1142のすぐ上流(「-z」方向)に配置されてもよい。
【0121】
また、パルス1117は他の手法でチャンバ1140へと届けられてもよい。例えば、パルス1117は、光学素子1122又は方向づけ素子を用いることなく、パルス1117をチャンバ1140及び/又は集束アセンブリ1142に届ける光ファイバを伝って進んでもよい。これらの実装形態においては、ファイバが放射のパルス1117を、チャンバ1140の壁に形成された開口部を通じて直接、チャンバ1140の内部に至らせる。
【0122】
増幅光ビーム1110は、光学素子1122で反射され、集束アセンブリ1142を通って伝搬する。集束アセンブリ1142は増幅光ビーム1110を、ターゲット位置1130と一致していてもよく一致していなくてもよい焦点面1146に集束させる。放射のパルス1117は、光学素子1122を通過し、集束アセンブリ1142を通ってチャンバ1140へと導かれる。増幅光ビーム1110と放射のパルス1117とは、「x」方向に沿ってチャンバ1140内の異なる箇所に向けられ、異なる時刻にチャンバ1140に到着する。
【0123】
図11に示す例においては、単一のブロックがプリパルス源1143を表す。しかしながら、プリパルス源1143は、単一の光源であってもよく、又は複数の光源であってもよい。例えば、複数のプリパルス(図9A乃至9Cのプリパルス906及び907など)を発生させるためには、2つの別々の源が用いられ得る。2つの別々の源は、異なる波長及びエネルギを有する放射のパルスを生成する異なる種類の源であってもよい。例えば、一方のプリパルスは10.6μmの波長を有しCOレーザによって発生されてもよく、他方のプリパルスは1.06μmの波長を有し希土類ドープ固体レーザによって発生されてもよい。
【0124】
実装形態によっては、プリパルス1117と増幅光ビーム1110とは同一の源により発生されてもよい。例えば、放射のプリパルス1117は駆動レーザシステム1105によって発生されてもよい。この例においては、駆動レーザシステムは2つのCOシードレーザサブシステムと1つの増幅器とを含み得る。一方のシードレーザサブシステムは10.26μmの波長を有する増幅光ビームを生成してもよく、他方のシードレーザサブシステムは10.59μmの波長を有する増幅光ビームを生成してもよい。これら2つの波長はCOレーザの異なる線に由来するものであってもよい。他の例においては、CO2レーザの他の線が2つの増幅光ビームを発生するために用いられてもよい。2つのシードレーザサブシステムからの両増幅光ビームは、同一のパワー増幅器チェーンにおいて増幅され、次いでチャンバ1140内の異なる箇所に到達するように角度分散される。10.26μmの波長の増幅光ビームがプリパルス1117として用いられてもよく、10.59μmの波長の増幅光ビームが増幅光ビーム1110として用いられてもよい。図9A乃至9Cの例のように複数のプリパルスを採用する実装形態においては、3つのシードレーザが用いられてもよく、そのうち1つが増幅光ビーム1110、第1のプリパルス、及び第2の別個のプリパルスの各々を発生するために用いられる。
【0125】
増幅光ビーム1110及び放射のプリパルス1117はすべて同一の光増幅器において増幅されてもよい。例えば、3つ以上のパワー増幅器が増幅光ビーム1110及びプリパルス1117を増幅するために用いられてもよい。
【0126】
図12を参照すると、実装形態によっては、極紫外光システム100は、真空チャンバ1200、1つ以上のコントローラ1280、1つ以上の作動システム1281、及びガイドレーザ1282といった他のコンポーネントを含むシステムの一部である。
【0127】
真空チャンバ1200は、単一の一体構造であってもよく、又は特定のコンポーネントを収容する別々のサブチャンバを有する構成であってもよい。真空チャンバ1200は少なくとも部分的に剛性のエンクロージャであり、そこから空気及び他のガスが真空ポンプによって除去されることによって、チャンバ1200内に低圧環境がもたらされる。チャンバ1200の壁は、真空使用に適した(より低い圧力に耐え得る)任意の適切な金属又は合金で作成され得る。
【0128】
ターゲット材料デリバリシステム115はターゲット材料120をターゲット位置130に届ける。ターゲット位置のターゲット材料120は、液体小滴、液体流、固体粒子もしくはクラスタ、液体小滴に含まれる固体粒子、又は液体流に含まれる固体粒子の形であってもよい。ターゲット材料120は、例えば、水、スズ、リチウム、キセノン、又はプラズマ状態に変換されたときにEUV範囲の輝線を有する任意の材料を含み得る。例えば、元素スズは純スズ(Sn)として、スズ化合物、例えばSnBr,SnBr,SnH、スズ合金、例えばスズ・ガリウム合金、スズ・インジウム合金、スズ・インジウム・ガリウム合金、又はこれらの合金の任意の組み合わせとして用いられ得る。ターゲット材料120は、スズなど上記の元素のうち1つで被覆されたワイヤを含み得る。ターゲット材料120は、固体である場合には、輪、球、又は立方体など、任意の適当な形状を有し得る。ターゲット材料120は、ターゲット材料デリバリシステム115によって、チャンバ1200の内部へ、そしてターゲット位置130へ届けられ得る。ターゲット位置130は、ターゲット材料120がプラズマを生成するべく増幅光ビーム110と光学的に相互作用する場所である、照射部位とも称される。
【0129】
駆動レーザシステム105は、1つ以上のメインパルスと、場合によっては1つ以上のプリパルスとを提供するための、1つ以上の光増幅器、レーザ、及び/又はランプを含んでいてもよい。各光増幅器は、所望の波長を高い利得で光学的に増幅することのできる利得媒体と、励振源と、内部光学素子とを含む。光増幅器はレーザキャビティを形成するレーザミラー又は他のフィードバックデバイスを有していてもよく、又は有していなくてもよい。したがって、駆動レーザシステム105は、レーザキャビティが無い場合であっても、レーザ増幅器の利得媒体における反転分布に起因して増幅光ビーム110を生成する。さらに、駆動レーザシステム105は、駆動レーザシステム105に十分なフィードバックを提供するためのレーザキャビティがある場合には、コヒーレントなレーザビームである増幅光ビーム110を生成し得る。「増幅光ビーム」という用語は、以下のもののうち1つ以上を包含する:単に増幅されたのみで必ずしもコヒーレントなレーザ発振に限らない駆動レーザシステム105からの光、及び、増幅され且つコヒーレントなレーザ発振でもある駆動レーザシステム105からの光。
【0130】
駆動レーザシステム105の光増幅器は、利得媒体としてCOを含む充填ガスを含んでおり、約9100乃至約11000nm、特に約10600nmの波長の光を、1000以上の利得で増幅し得る。駆動レーザシステム105における使用に適した増幅器及びレーザは、例えばDC励起又はRF励起によって約9300nm又は約10600nmの放射を生成し、例えば10kW以上の比較的高いパワー、及び例えば50kHz以上の高いパルス反復率で動作する、パルス化されたレーザデバイス、例えばパルス化されたガス放電COレーザデバイスを含み得る。駆動レーザシステム105の光増幅器は、駆動レーザシステム105をより高いパワーで動作させるときに用いられ得る水などの冷却システムも含んでいてもよい。
【0131】
集光器155は、増幅光ビーム110を通過させ焦点領域145に到達させる孔1240を有する集光器ミラー1255であってもよい。集光器ミラー1255は、例えば、ターゲット位置130又は焦点領域145に第1の焦点を有し、EUV光160が極紫外光システムから出力され得るとともに光学装置165に入力され得る中間位置1261に第2の焦点(中間焦点とも称される)を有する楕円体ミラーであってもよい。
【0132】
1つ以上のコントローラ1280は、例えば小滴位置検出フィードバックシステム、レーザ制御システム、及びビーム制御システムといった1つ以上の作動システム又は診断システムと、1つ以上のターゲットもしくは小滴イメージャとに接続されている。ターゲットイメージャは、例えばターゲット位置130に対する小滴の位置を示す出力を提供するとともに、この出力を、例えば小滴の位置及び軌道を計算し得る小滴位置検出フィードバックシステムに提供し、そこから小滴位置誤差が小滴単位で又は平均で計算されてもよい。小滴位置検出フィードバックシステムは、こうして小滴位置誤差を入力としてコントローラ1280に提供する。したがって、コントローラ1280は、レーザ位置、方向、及びタイミング補正信号を、例えばレーザタイミング回路を制御するために用いられ得るレーザ制御システムに、及び/又はチャンバ1200内でのビーム焦点位置の位置及び/又は焦点屈折力を変更するようにビーム輸送システムの増幅光ビーム位置及び形状を制御するためのビーム制御システムに提供してもよい。
【0133】
ターゲット材料デリバリシステム115はターゲット材料デリバリ制御システムを含み、これはコントローラ1280からの信号に応答して、例えば、内部デリバリ機構によってリリースされる小滴のリリースポイントを、所望のターゲット位置130に到着する小滴の誤差を補正するように修正するべく動作可能である。
【0134】
また、極紫外光システムは、パルスエネルギ、波長の関数としてのエネルギ分布、波長の特定の帯域内のエネルギ、波長の特定の帯域外のエネルギ、ならびにEUV強度の角度分布及び/又は平均パワーを含むがこれらに限られない、1つ以上のEUV光パラメータを測定する光源検出器を含んでいてもよい。光源検出器はコントローラ1280によって用いられるフィードバック信号を発生させる。フィードバック信号は、効果的且つ効率的なEUV光生成に適した場所及び時間で小滴を適切にインターセプトするために、例えばレーザパルスのタイミング及び焦点などのパラメータの誤差を示すものであってもよい。
【0135】
実装形態によっては、駆動レーザシステム105は、例えば100kHz動作が可能な低エネルギで高反復率のQスイッチ主発振器(MO)によって開始されるシードパルスを有する、多段階の増幅を備えた主発振器/パワー増幅器(MOPA)構造を有する。このMOから、レーザパルスが、例えばRFポンプ式高速軸流CO増幅器を用いて増幅され、ビーム経路に沿って進む増幅光ビーム110が生成されてもよい。
【0136】
3つの光増幅器が用いられてもよいが、この実装形態においては、わずか1つの増幅器及び3つよりも多くの増幅器が用いられ得る。実装形態によっては、CO増幅器の各々は、内部ミラーによって折り返された10メートルの増幅器長を有するRFポンプ式軸流COレーザキューブであってもよい。
【0137】
照射部位においては、フォーカスアセンブリ142によって適当に集束された増幅光ビーム110を用いて、ターゲット材料120の組成に応じた特定の特性を有するプラズマが作り出される。これらの特性は、プラズマによって生成されるEUV光160の波長と、プラズマからリリースされるデブリの種類及び量とを含み得る。増幅光ビーム110はターゲット材料120を蒸発させ、蒸発されたターゲット材料を電子が発せられる臨界温度まで加熱し(プラズマ状態)、イオンが残され、イオンは極紫外範囲の波長を有する光子の放出を始めるまでさらに加熱される。
【0138】
他の実装形態は以下の特許請求の範囲内にある。
【0139】
例えば、図8A乃至8C及び9A乃至9Cの例は当初のターゲットの傾斜を開始するためにプリパルスを用いることを示しているが、傾斜したターゲットはプリパルスを採用しない他の技術によってターゲット位置830,930へと届けられてもよい。例えば、図13に示されるように、プラズマに変換されたときにEUV光を放出するターゲット材料を含む円盤形状のターゲット1320は、予め成形されるとともに、この円盤ターゲット1320を、ターゲット位置1330で受けられる増幅光ビーム1310に対して傾斜したターゲット位置1310を通って移動させるという結果をもたらす力でリリースすることによって、ターゲット位置1330に提供される。
【0140】
幾何学的な種類のアイソレータ、ピンホールが、図4A乃至4Dにおいてはアイソレータ409として図示され議論されているが、実装形態によっては、アイソレータ409は、分極、波長、及び/又は強度に基づいて光を遮断又は減衰するフィルタであってもよい。例えば、アイソレータ409は、1/4波長板又は可飽和吸収体であってもよい。ピンホールなどの幾何学的な種類のアイソレータとは異なり、分極、波長、及び/又は強度に基づくアイソレータの性能は、アイソレータに到達する光が伝搬する角度に直接的には依存しない。しかしながら、焦点面から遠ざかるようにターゲット220の位置を調整すること及び/又は増幅光ビームの伝搬の方向に対して傾斜させることもまた、これらのアイソレータの性能を向上させ得る。例えば、これらのアイソレータは、一般的には感熱性であり、その性能は、これらのアイソレータに入射する反射光の量を減少させることによって向上され得る。
図1
図2A-C-D】
図2B
図3A-B】
図3C-D】
図4A-D】
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13