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特許7017048液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220201BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/14 611
B41J2/14 603
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017177626
(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2018086834
(43)【公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2016225503
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】木田 仁司
(72)【発明者】
【氏名】時田 寛也
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-011357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部から引き出された第1配線基板と、
前記ヘッド本体部のノズル面の面直方向に沿って配置され、前記第1配線基板と電気的に接続された第2配線基板と、を備え、
前記第1配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の短手方向にして配置され、
前記第2配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の長手方向にして配置されており、更に、
前記第1配線基板には、配線パターンの延伸方向が前記ノズル面の面直方向に沿う方向から前記ヘッド本体部の短手方向に沿う方向に向きが変わる方向転換部分を有し、
前記方向転換部分の先端部が前記ヘッド本体部の長手方向に沿う方向に折り曲げられて前記第2配線基板に対面して接続されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出するヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部から引き出された第1配線基板と、
前記ヘッド本体部のノズル面の面直方向に沿って配置され、前記第1配線基板と電気的に接続された第2配線基板と、を備え、
前記第1配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の短手方向にして配置され、
前記第2配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の長手方向にして配置されており、更に、
前記第1配線基板は、前記ヘッド本体部から引き出された部分が前記ヘッド本体部の短手方向に沿う方向に折り曲げられ、更に前記ヘッド本体部の長手方向に沿う方向に折り曲げられて、前記第2配線基板に対面して接続されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
液体を吐出するヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部から引き出された第1配線基板と、
前記ヘッド本体部のノズル面の面直方向に沿って配置され、前記第1配線基板と電気的に接続された第2配線基板と、を備え、
前記第1配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の短手方向にして配置され、
前記第2配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の長手方向にして配置されており、更に、
前記第1配線基板と前記第2配線基板とは、第3配線基板を介して電気的に接続されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド本体部の長手方向の一端部には、前記第1配線基板が引き出されたスリットが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド本体部のフレーム部材には、
前記スリットと繋がっており、前記ノズル面側の面とは反対側の面が開口された溝が形成され、
前記溝の内部に、前記第3配線基板、前記第2配線基板、及び前記第3配線基板と前記第2配線基板との電気的接続部のそれぞれの少なくとも一部が収容されている
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記溝は、
前記ヘッド本体部の長手方向に延在する長手溝と、
前記長手溝に繋がっており、前記ヘッド本体部の短手方向に延在する短手溝と、を含み、
前記第3配線基板は、前記長手溝の内部と前記短手溝の内部とに跨って配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記溝は、前記ヘッド本体部の長手方向に延在する長手溝であり、
前記第3配線基板は、前記長手溝の内部と前記スリットの内部とに跨って配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第3配線基板に設けられた配線パターンは、前記ヘッド本体部の高さ方向において、前記第1配線基板のノズル面側とは反対側の先端よりも下方に位置している
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第3配線基板の主面が前記ヘッド本体部の短手方向から前記ヘッド本体部の長手方向へ屈曲する屈曲部の少なくとも一部は、前記溝内に位置する
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記スリットから引き出された前記第1配線基板の端部を前記スリット側に折り返した状態で、前記第1配線基板と前記第3配線基板とを接合している
ことを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記第2配線基板と前記第3配線基板とはリジッドフレキシブル基板である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記ヘッド本体部の短手方向において、前記第1配線基板の最大幅が前記スリットの幅より狭い
ことを特徴とする請求項4ないし10のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記第1配線基板には、前記ヘッド本体部から引き出された部分に補強板を有し、
前記第1配線基板は、前記補強板を設けた面と反対側の面で他の配線基板と接続され、
前記ヘッド本体部の長手方向又は短手方向において、前記第1配線基板が前記他の配線基板と接合される面から前記ヘッド本体部の外周までの距離は、前記補強板を設けた面から前記ヘッド本体部の外周までの距離よりも短い
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第1配線基板は、前記ヘッド本体部内で、前記ノズル面の面内方向に沿う方向から 面直方向に沿う方向に曲げられて、引き出されており、
前記第1配線基板を曲げた状態で内面になる側に部品が実装されている
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記ヘッド本体部上に、前記第1配線基板及び前記第2配線基板を保持する保持部材が搭載され、
前記保持部材の前記ヘッド本体部の短手方向に沿う側面に、前記第1配線基板が保持され、
前記保持部材の前記ヘッド本体部の長手方向に沿う側面に前記第2配線基板が保持されている
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記保持部材は、前記ヘッド本体部内の共通液室に液体を供給する液体供給流路を有する液体供給部材である
ことを特徴とする請求項15に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項18】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項17に記載の液体吐出ユニット。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項17若しくは18に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドとして、圧力発生手段に駆動信号を与えるための配線基板と、ヘッド外部に配置した配線基板とを接続するものがある。
【0003】
従来、ヘッド本体部の長手方向に主面が沿うようにヘッド本体部から引き出したフレキシブル基板を、ヘッド本体部の長手方向に主面が沿うように配置した回路基板と対面させて接続するものがある(特許文献1)。また、ヘッド本体部の長手方向の一端部から主面が短手方向に沿うようにフレキシブル配線部材を引き出したものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5262968号公報
【文献】特開2016-134453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に開示されているヘッド本体部の長手方向の一端部からフレキシブル配線部材を引き出す構成において、特許文献1のように回路基板とフレキシブル基板を対面させて接続する構成を適用すると、回路基板の外形はヘッド本体部の短手より突出してしまいヘッドが大型化し、突出しないように回路基板の幅を小さくすると、端子数の多いコネクタを実装できないという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドの大型化を抑え、外部と接続される配線基板の幅広化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するヘッド本体部と、
前記ヘッド本体部から引き出された第1配線基板と、
前記ヘッド本体部のノズル面の面直方向に沿って配置され、前記第1配線基板と電気的に接続された第2配線基板と、を備え、
前記第1配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の短手方向にして配置され、
前記第2配線基板は、主面を前記ヘッド本体部の長手方向にして配置されており、更に、
前記第1配線基板には、配線パターンの延伸方向が前記ノズル面の面直方向に沿う方向から前記ヘッド本体部の短手方向に沿う方向に向きが変わる方向転換部分を有し、
前記方向転換部分の先端部が前記ヘッド本体部の長手方向に沿う方向に折り曲げられて前記第2配線基板に対面して接続されている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヘッドの大型化を抑え、外部と接続される配線基板の幅広化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図2】同じく短手方向から視た側面説明図である。
図3】同じく平面説明図である。
図4】ヘッド本体部の分解斜視説明図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図6】同じく短手方向から視た側面説明図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図10】同じく第1配線部材の先端部分の断面説明図である。
図11】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図12】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの要部断面説明図である。
図13】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図14】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図15】同第9実施形態におけるヘッド本体部の一例の斜視説明図である。
図16】同ヘッド本体部のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
図17図14の要部拡大断面説明図である。
図18】同ヘッド本体部のノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。
図19】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図20】同じくフレーム部材の説明図である。
図21】同じく配線基板を配置した状態でのフレーム部材の説明図である。
図22】本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材の説明図である。
図23】同じく配線基板を配置した状態でのフレーム部材の説明図である。
図24】本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
図25】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
図26】同装置の要部側面説明図である。
図27】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
図28】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図2を参照して説明する。図1は同液体吐出ヘッドの斜視説明図、図2は同じく短手方向から視た側面説明図、図3は同じく平面説明図である。
【0011】
液体吐出ヘッドは、液体を吐出するヘッド本体部201と、ヘッド本体部201内部に通じて開口部(スリット)202から引き出された第1配線基板211と、ヘッド本体部201のノズル面1aの面直方向に沿って配置され、第1配線基板211と電気的に接続された第2配線基板212とを備えている。
【0012】
本実施形態では、第1配線基板211にはフレキシブル配線基板(FPC)を、第2配線基板212にはプリント基板(PCB)を使用している。
【0013】
ここで、第1配線基板211は、主面をヘッド本体部201の短手方向(図ではX方向と表記)に沿う方向にして配置され、ヘッド本体部201の長手方向(図ではY方向と表記)の端部側の開口部202から引き出されている。第1配線基板211は、ヘッド本体部201内において、圧力発生手段やドライバICに繋がる配線パターンが接続される。
【0014】
第2配線基板212は、主面をヘッド本体部201の長手方向に沿う方向にして配置されている。この第2配線基板212にはコネクタ214が、端子列がヘッド本体部201の長手方向に沿う方向に実装されている。コネクタ214は、例えば上位装置に接続されて制御信号や駆動信号などの信号を伝達する配線部材に設けられるコネクタが連結可能である。
【0015】
そして、第1配線基板211には、配線パターン215の延伸方向がノズル面の面直方向に沿う方向(引出し方向)からヘッド本体部201の短手方向に沿う方向に向きが変わる方向転換部分213を有し、方向転換部分213の先端部213aがヘッド本体部201の長手方向に沿う方向に折り曲げられて、第2配線基板212に対面して接続されている。
【0016】
このような形状の第1配線基板211は、第1配線基板211の引出し側をほぼL字形状にすることで形成している。なお、配線パターン215は、方向転換部分213で、開口部202から第2配線基板212の第1配線基板211側との接続部に向かって斜めに延伸するように設けられてもよい。
【0017】
第1配線基板211の方向転換部分213と第2配線基板212との接続は、コネクタ接続、ACF(異方性導電フィルム)による接続、NCP(Non-Conductive Paste)による接続、ハンダ接続、金属拡散接合による接続、ワイヤボンディングによる接続などを適用することができる。
【0018】
このように、ヘッド本体部201内に接続した第1配線基板211は、ヘッド本体部201の長手方向の端部から引出している。これにより、複数のノズル列に対応する信号、電源を供給する場合でも、ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(短手方向)の幅の拡大を抑制することができ、ヘッドの小型化を図れる。
【0019】
つまり、次の図4で説明するように、ヘッド本体部201内のアクチュエータ基板20上にアクチュエータの配列が複数設けられており(図4では2列)、各列のアクチュエータから引き出した配線パターンを接続したドライバIC500の制御信号配線パターンとアクチュエータの駆動電源配線パターンとを、アクチュエータ基板20のノズル配列方向の一端部に集約している。配線パターンを集約している部分で、第1配線基板211は各配線パターンと接続している。これにより、1つの第1配線基板211で、複数列のアクチュエータに信号や駆動電源を供給することができるので、ヘッド本体部201からの第1配線基板211の引き出しが簡単になり、ヘッド幅方向の小型化が図れる。
【0020】
一方、ヘッド本体部201と外部とをつなぐ第2配線基板212は、主面がヘッド本体部201の長手方向に沿う方向に配置されている。これにより、第2配線基板212はヘッド本体部201の長手方向の幅相当の幅まで幅広化することができ、ピン数の多いコネクタを実装することができる。
【0021】
したがって、ヘッド本体部の大型化を抑え、外部と接続される配線基板の幅広化を図ることができる。
【0022】
ここで、ヘッド本体部201の一例の概要について図4を参照して説明する。図4は同ヘッド本体部の分解斜視説明図である。
【0023】
ヘッド本体部201は、図4に概略を示すように、ノズル4が形成されたノズル板1と、個別流路及び圧力発生手段としての圧電素子11を含むアクチュエータ基板20と、アクチュエータ基板20に接合される保持基板50と、共通液室を形成する共通液室部材70とを備えている。共通液室部材70はヘッド本体部201のフレーム部材を兼ねている。
【0024】
保持基板50には共通液室の一部となる開口部51が設けられている。アクチュエータ基板20には開口部51と内部の個別液室を通じる開口9が設けられている。共通液室部材70には外部から液体を供給する液体供給口部71が設けられている。
【0025】
アクチュエータ基板20には、圧電素子11を駆動するドライバIC500が搭載されており、アクチュエータ基板20の長手方向の端部にドライバIC500への接続配線パターン18が設けられている。そして、この接続配線パターン18に前記第1配線基板211が接続される。接続配線パターン18と第1配線基板211の配線パターン215はワイヤボンディングで接続することができる。
【0026】
そして、共通液室部材70のヘッド本体部201の長手方向の端部に、アクチュエータ基板20に接続される第1配線基板211を通して引き出す開口部202が設けられている。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図5及び図6を参照して説明する。図5は同液体吐出ヘッドの斜視説明図、図6は同じく短手方向から視た側面説明図である。
【0028】
第1配線基板211は、ヘッド本体部201から引き出された部分がヘッド本体部201の短手方向に沿う方向に折り曲げられて、配線パターンの延伸方向がノズル面の面直方向に沿う方向からヘッド本体部201の短手方向に沿う方向に向きが変わる方向転換部分213が形成されている。更に、方向転換部分213の先端部213aがヘッド本体部201の長手方向に沿う方向に折り曲げられて、第2配線基板212に対面して接続されている。
【0029】
この場合、第1配線基板211は、折り曲げ前の状態では直線状となり、ヘッド本体部201の短手方向において、第1配線基板211の幅W1は最大幅も含めて開口部202の幅W0よりも狭くなるように形成している。なお、前記第1実施形態では、第1配線基板211の最大幅には方向転換部分213が含まれるので、開口部202の幅W0よりも広くなる。
【0030】
これにより、第1配線基板211を、ヘッド本体部201の内部側から開口部202を通して引き出すことができるようになる。
【0031】
つまり、前述した図4のヘッド本体部201の構成においては、第1配線基板211を共通液室部材70の開口部202の内側から外側に向かって通すことができるようになる。したがって、アクチュエータ基板20に接続された第1配線基板211を共通液室部材70の開口部202を通した後、アクチュエータ基板20に接合される保持基板50と共通液室部材70を接合することが可能になる。
【0032】
これによって、第1配線基板211を共通液室部材70の外側から開口部202を通した後に、第1配線基板211をアクチュエータ基板20に接続する必要がなくなるので、フレームを兼ねる大きな共通液室部材70が、アクチュエータ基板20と第1配線基板211の接続作業の邪魔になることがなく、組み立て性が向上する。
【0033】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図7を参照して説明する。図7は同液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0034】
本実施形態は、第2配線基板222としてフレキシブル配線基板を使用したものである。第2配線基板222は端子224を有し、上位装置のコネクタに接続されて制御信号や電源等を受取る。
【0035】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図8を参照して説明する。図8は同液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0036】
本実施形態では、第1配線基板211と第2配線基板212とを、第1配線基板211及び第2配線基板212とは別の第3配線基板223で接続している。第3配線基板223は、前記第1実施形態の第1配線基板211の方向転換部分213と同様な配線パターンを有し、先端部223aがヘッド本体部201の長手方向に沿う方向に折り曲げられて、第2配線基板212と対面して接続されている。
【0037】
したがって、第1配線基板211は、前記第2実施形態のように折り曲げ形状としないでも、開口部202内の幅よりも狭い幅の一定幅とした上で、第2配線基板212と接続することができる。
【0038】
この場合、第3配線基板223と第2配線基板212とは、それぞれ別に製作してから、コネクタ接続、ACF接続、NCP接続、ハンダ接続、金属拡散接合による接続、ワイヤボンディングによる接続などで接続することができる。
【0039】
あるいは、第3配線基板223と第2配線基板212はフライングリードタイプのリジッドフレキシブル基板(リジッドフレックス基板)とすることができる。これにより、接続信頼性が向上し、接続する工程を減らすことができる。
【0040】
また、ヘッド本体部201に接続する第1配線基板211の長さを前記第1実施形態などよりも短くすることができて、取扱い性が向上し、第1配線基板211のアクチュエータ基板20への接続やヘッド本体部201の組み立て作業性が向上する。また、第1配線基板211が短くなることで、開口部202を通し易くなり、この点でも作業性が向上する。
【0041】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9及び図10を参照して説明する。図9は同液体吐出ヘッドの斜視説明図、図10は同じく第1配線基板の先端部分の断面説明図である。
【0042】
本実施形態では、第1配線基板211は、基材211A上に配線パターン215が設けられ、保護層211Bで配線パターン215が覆われて構成されている。そして、第1配線基板211の第2配線基板212と接続する端部に、補強板231を設けている。
【0043】
補強板231は、第1配線基板211の端子部分を補強するためのものであり、例えば補強フィルムなどが使用される。この補強板231は、基材211Aの端子211C(配線パターン215の保護層211Bがなく露出している部分)側とは反対側の面に設けられる。補強板231は保護層211Bよりも厚さが厚いものを使用している。
【0044】
なお、その他の構成は前記第3実施形態と同様である。
【0045】
第1配線基板211は、補強板231を設けた面と反対側の面で他の配線基板である第2配線基板222と接続される。そして、ヘッド本体部201の短手方向において、第1配線基板211が第2配線基板222と接合される面からヘッド本体部201の外周までの距離L1は、補強板231を設けた面からヘッド本体部201の外周までの距離L2よりも短い。
【0046】
これにより、ヒータチップなどの接合ツールを、ヘッド本体部201の外周から第1配線基板211と第2配線基板212の接合位置までの距離が近い側から接合箇所に当てることができる。
【0047】
したがって、ヘッド本体部201と接合ツールが干渉しにくくなり、接合箇所がヘッド本体部201に近くても(第1配線基板211のヘッド本体部201からの突出し量が少なくても)接合可能となり、ヘッドの小型化を図れる。
【0048】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図11を参照して説明する。図11は同液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0049】
本実施形態では、前記第4実施形態において、第1配線基板211の第3配線基板223と接続する端部に補強板231を設けている。
【0050】
第1配線基板211は、補強板231を設けた面と反対側の面で他の配線基板である第3配線基板223と接続される。そして、ヘッド本体部201の長手方向において、第1配線基板211が第3配線基板223と接合される面からヘッド本体部201の外周までの距離L3は、補強板231を設けた面からヘッド本体部201の外周までの距離L4よりも短い。
【0051】
これにより、前記第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図12を参照して説明する。図12は同液体吐出ヘッドの要部断面説明図である。
【0053】
アクチュエータ基板20に一端部を接続した第1配線基板211は、ノズル面1aの面内方向に沿う方向から面直方向に沿う方向に曲げられて、共通液室部材70の開口部202を通じて引き出されている。
【0054】
ここで、第1配線基板211を曲げた状態で内面(ヘッド内面ではなく、第1配線基板211を曲げた円弧の内側の面)になる側にコンデンサなどの電気部品504が実装されている。
【0055】
第1配線基板211をアクチュエータ基板20に接続した状態でほぼ90度曲げた場合、折りの癖が付いていなければ、開口部202に第1配線基板211を通すときに、第1配線基板211は曲げが伸びる方向に復元しようとする。
【0056】
そこで、第1配線基板211を曲げた状態で内面になる側に部品504を実装することで、実装した部品504が開口部202の端に引っ掛かり難くなり、第1配線基板211を開口部202に通し易くなる。
【0057】
次に、本発明の第8実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0058】
本実施形態では、液体を吐出するヘッド本体部201上に、第1配線基板211、第2配線基板212、第3配線基板223を保持する保持部材250を搭載している。
【0059】
そして、保持部材250のヘッド本体部201の短手方向に沿う側面に第1配線基板211を保持している。保持部材250のヘッド本体部201の長手方向に沿う側面に第2配線基板212を保持している。第3配線基板223は、第1配線基板211側の面に主面が重なって保持され、先端部223aが第2配線基板212の外面に対面して接続されている。
【0060】
第1配線基板211、第2配線基板212、第3配線基板223の保持部材250の取付け(保持)は、ネジで固定したり、クリップで基板を挟み込んで保持部材250を係止したり、両面テープや接着剤で配線基板223を固定したりして行うことができる。
【0061】
次に、本発明の第9実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0062】
この液体吐出ヘッド300は、液体を吐出するヘッド本体部201と、ヘッド本体部201内の共通液室10に通じて液体を供給する液体供給流路を有する液体供給部材301とを備えている。
【0063】
そして、外部と接続するコネクタ214を有するプリント基板である第2配線基板212は、ヘッド本体部201の長手方向に沿う液体供給部材301の外面側に沿って、ノズル面に対して略垂直(垂直を含む。)に立てて配置されている。この第2配線基板212は、ヘッド本体部201の長手方向の端部から主面を短手方向に沿う方向にして引き出された第1配線基板211と第3配線基板223を介して接続されている。
【0064】
次に、この第9実施形態におけるヘッド本体部の一例について図15ないし図18を参照して説明する。図15は同じくヘッド本体部の斜視説明図、図16は同ヘッド本体部のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、図17図16の要部拡大断面説明図、図18は同ヘッド本体部のノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。
【0065】
ヘッド本体部201は、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板3と、圧力発生素子である圧電素子11と、保持基板50と、FPCなどの配線部材である第1配線基板211と、共通液室部材70と、カバー部材45とを備えている。
【0066】
ここで、流路板2、振動板3及び圧電素子11で構成される部分がアクチュエータ基板20となる。
【0067】
ノズル板1には、液体を吐出する複数のノズル4が形成されている。ここでは、ノズル4を配列したノズル列を4列配置した構成としている。
【0068】
流路板2は、ノズル板1及び振動板3とともに、ノズル4が通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7が通じる液導入部8を形成している。
【0069】
この液導入部8は振動板3の開口9と保持基板50の流路となる開口部51を介して共通液室部材70で形成される共通液室10に通じている。
【0070】
振動板3は、個別液室6の壁面の一部を形成する変形可能な振動領域30を形成している。そして、この振動板3の振動領域30の個別液室6と反対側の面には、振動領域30と一体的に圧電素子11が設けられ、振動領域30と圧電素子11によって圧電アクチュエータ構成している。
【0071】
圧電素子11は、振動領域30側から下部電極13、圧電層(圧電体)12及び上部電極14を順次積層形成して構成している。この圧電素子11上には絶縁膜21が形成されている。
【0072】
複数の圧電素子11の共通電極となる下部電極13は、共通配線15を介して共通電極電源配線パターン26に接続されている。なお、下部電極13は、ノズル配列方向ですべての圧電素子11に跨って形成される1つの電極層である。
【0073】
また、圧電素子11の個別電極となる上部電極14は、個別配線16を介して駆動回路部である駆動IC(ドライバIC)500に接続されている。個別配線16などは絶縁膜22にて被覆されている。
【0074】
ドライバIC500は、圧電素子列の列間の領域を覆うようにアクチュエータ基板20にフリップチップボンディングなどの工法により実装されている。
【0075】
アクチュエータ基板20に搭載されたドライバIC500は、駆動波形(駆動信号)が供給される個別電極電源配線パターン25と接続されている。
【0076】
第1配線基板211に設けられた配線パターンが、ドライバIC500及び配線パターンと電気的に接続されており、第1配線基板211の他端側は第3配線基板223を介し第2配線基板212に接続され、更に装置本体側の制御部に接続される。
【0077】
そして、アクチュエータ基板20の振動板3側には、アクチュエータ基板20上の圧電素子11を覆っている保持基板50が接着剤で接合されている。
【0078】
保持基板50には、共通液室10と個別液室6側を通じる流路の一部となる開口部51と、圧電素子11を収容する凹部52と、ドライバIC500を収容する開口部53が設けられている。開口部51は、ノズル配列方向に亘って延びるスリット状の貫通穴であり、ここでは共通液室10の一部を構成している。
【0079】
この保持基板50は、アクチュエータ基板20と共通液室部材70との間に介在し、共通液室10の壁面の一部を形成している。
【0080】
共通液室部材70は、各個別液室6に液体を供給する共通液室10を形成する。なお、共通液室10は4つのノズル列に対応してそれぞれ設けられる。また、液体供給部材301と通じる供給口部71を介して共通液室10に所要の色の液体が供給される。
【0081】
共通液室部材70には、ダンパ部材90が接合されている。ダンパ部材90は、共通液室10の一部の壁面を形成する変形可能なダンパ91と、ダンパ91を補強するダンパプレート92とを有している。
【0082】
共通液室部材70はノズル板1の外周部及び保持基板50と接着剤で接合され、アクチュエータ基板20及び保持基板50を収容して、このヘッドのフレームを構成している。
【0083】
そして、ノズル板1の周縁部及び共通液室部材70の外周面の一部を覆うカバー部材45を設けている。
【0084】
このヘッド本体部201においては、ドライバIC500から圧電素子11の上部電極14と下部電極13の間に電圧を与えることで、圧電層12が電極積層方向、すなわち電界方向に伸張し、振動領域30と平行な方向に収縮する。これにより、振動領域30の下部電極13側に引っ張り応力が発生し、振動領域30が個別液室6側に撓み、内部の液体を加圧することで、ノズル4から液体が吐出される。
【0085】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図19ないし図21を参照して説明する。図19は同液体吐出ヘッドの斜視説明図である。図20は同じくフレーム部材の説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のA1-A1線に沿う断面説明図である。図21は同じく配線基板を配置した状態でのフレーム部材の説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のA2-A2線に沿う断面説明図である。
【0086】
ヘッド本体部201のフレーム部材270には、第1配線基板211をヘッド本体部201の外部へ引き出すためのフレーム部材270を貫通したスリット271が形成されている。スリット271は、前記第1実施形態の開口部202に相当する開口を形成している。
【0087】
また、フレーム部材270には、スリット271と繋がっており、ノズル面側の面とは反対側の面、すなわち、第1配線基板211が引き出される側が開口された溝272とが形成されている。なお、図20(a)及び図21(a)では溝272に相当する領域に面塗りを施している。
【0088】
溝272は、ヘッド本体部201の長手方向に延在する長手溝272aと、ヘッド本体部201の短手方向に延在する短手溝272bで構成されている。溝272は、長手溝272aと短手溝272bは繋がっていることで、フレーム部材270の上面側の平面視でL型形状をしている。
【0089】
第1配線基板211は、スリット271を通してヘッド本体部201の外部に引き出されている。
【0090】
第3配線基板223は、主面がヘッド本体部201の短手方向に沿った方向から、主面がヘッド本体部201の長手方向に沿った方向に曲げられて、短手溝272bと長手溝272aにわたって配置されている。このとき、第3配線基板223の主面がヘッド本体部201の短手方向からヘッド本体部201の長手方向へ屈曲する屈曲部223bは、溝272内に位置している。
【0091】
第2配線基板212は、主面がヘッド本体部201の長手方向に沿った状態で、ノズル面の面直方向に沿って立設されている。
【0092】
第1配線基板211の一方の端子群はヘッド本体部201の外部に位置しており、ヘッド本体部201の外部で第3配線基板223の一方の端子群と半田接合又は異方性導電フィルム(ACF)接合などにより、電気的に接続されている(接続部分を電気的接続部232とする。)
【0093】
第3配線基板223の他方の端子群と第2配線基板212の端子群は半田接合などにより電気的に接続されている。この第3配線基板223と第2配線基板212との電気的接続部233の一部は、長手溝272a内に配置されている。したがって、第2配線基板212及び第3配線基板223もそれぞれ一部が溝272内に配置されることになる。
【0094】
このように、第2配線基板212と第3配線基板223の電気的接続部233を含めて第2配線基板212の高さを低くする(フレーム部材270からの突出量を少なくする)ことができ、ヘッド全体での高さ方向の小型化を図れる。
【0095】
また、第3配線基板223の一部を短手溝272b内に収容して配置していることで、第3配線基板223の配線パターンは高さ方向で第1配線基板211と重なって位置し、第3配線基板223の配線パターンが高さ方向において第1配線基板211の先端よりも低い位置になる。
【0096】
したがって、この点においてもヘッド全体での高さ方向の小型化を図れる。
【0097】
また、第3配線基板223を曲げて第1配線基板211に接合するときに、第3配線基板223が長手溝272aと短手溝272bに跨って配置されていることで、短手溝272bが第3配線基板223をガイドする効果も得られる。
【0098】
つまり、第2配線基板212に予め接続された第3配線基板223を長手溝272aに配置した状態で、第3配線基板223を短手溝272bに沿って曲げることで、第3配線基板223と第1配線基板211との電気的接続(接合)が容易になる。
【0099】
次に、本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図22及び図23を参照して説明する。図22は同液体吐出ヘッドのフレーム部材の説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のA3-A3線に沿う断面説明図である。図23は同じく配線基板を配置した状態でのフレーム部材の説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のA4-A4線に沿う断面説明図である。
【0100】
本実施形態は、前記第10実施形態における短手溝272bを有さず、長手溝272aだけで構成される溝272を設けた例である。
【0101】
ここでは、第3配線基板223の第2配線基板212と電気的に接続するための折り曲げ部分を溝272(長手溝272a)内に配置し、残りの部分をスリット271内に配置している。
【0102】
このように構成しても、前述したように、第2配線基板212と第3配線基板223の電気的接続部233を含めて第2配線基板212の高さを低くする(フレーム部材270からの突出量を少なくする)ことができ、ヘッド全体での高さ方向の小型化を図れる。また、このように構成しても、第3配線基板223の配線パターンが高さ方向において第1配線基板211の先端よりも低い位置になるので、この点においてもヘッド全体での高さ方向の小型化を図れる。
【0103】
次に、本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図24を参照して説明する。図24は同液体吐出ヘッドの斜視説明図である。
【0104】
本実施形態では、フレーム部材270のスリット271から引き出された第1配線基板211の端部211aをスリット271側に折り返した状態で、第1配線基板211と第3配線基板223とを接合している。
【0105】
つまり、第1配線基板211として長さの長い配線基板を使用する場合、第1配線基板211をフレーム部材270のスリット271から引き出しただけでは、先端の端子群の位置と第3配線基板223の端子群との高さ方向における位置が合わない場合が生じる。
【0106】
そこで、スリット271から引き出した第1配線基板211の端部211aをスリット271側に折り返すことで、先端の端子群を第3配線基板223の端子群の位置に調整した上で接合して電気的に接続することができる。
【0107】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図25及び図26を参照して説明する。図25は同装置の要部平面説明図、図26は同装置の要部側面説明図である。
【0108】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0109】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0110】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0111】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0112】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0113】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0114】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0115】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0116】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0117】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0118】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0119】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0120】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0121】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図27を参照して説明する。図27は同ユニットの要部平面説明図である。
【0122】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0123】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0124】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図28を参照して説明する。図28は同ユニットの正面説明図である。
【0125】
この液体吐出ユニットは、液体供給部材である流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0126】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0127】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0128】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0129】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0130】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0131】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0132】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0133】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0134】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0135】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0136】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0137】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0138】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0139】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0140】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0141】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0142】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0143】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0144】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0145】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0146】
201 ヘッド本体部
202 開口部
211 第1配線基板
212 第2配線基板
213 方向転換部分
223 第3配線基板
270 フレーム部材
271 スリット
272 溝
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28