(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】シートトレイ及び給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20220201BHJP
B65H 1/12 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B65H1/04 326B
B65H1/12 310Z
(21)【出願番号】P 2018051584
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】森田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】夏井 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正伸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
(72)【発明者】
【氏名】角田 文洋
(72)【発明者】
【氏名】高野 悟
(72)【発明者】
【氏名】菅原 久芳
(72)【発明者】
【氏名】早坂 健二
(72)【発明者】
【氏名】紺野 和法
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知幸
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-088946(JP,A)
【文献】特開平07-285684(JP,A)
【文献】特開平10-053340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載されるとともに、前記シートを送り出す送りローラに向かってシート搬送方向下流側の部位が近接離間する方向に回動自在な底板と、
前記底板
に配置され、前記シートの
シート搬送方向上流側端部に当接する当接面を備えたエンドフェンスと、
シートサイズ情報、シート種類情報または前記底板の高さ情報の少なくとも1つの情報に基づき、
前記底板が前記送りローラに近接する方向に移動したときにおける最上位の前記シートの前記シート搬送方向下流側端部と前記送りローラと分離ローラとで形成されるニップの中心との距離が一定となるように、前記エンドフェンス又は前記当接面を移動させる移動手段
と、
前記底板の位置を検知して高さ情報を出力する検知手段と、を有し、
前記移動手段は、前記検知手段によって前記底板が前記シートを送り出す送りローラに向かって近接する方向への移動を検知した場合、前記エンドフェンス又は前記当接面を、前記シートの端部を前記シート搬送方向下流側に向かって押し出す向きに移動させるシートトレイ。
【請求項2】
前記検知手段は、前記底板に設けられたフィラーと、前記フィラーを検知する検知センサを備え、
前記フィラー又は前記検知センサが任意の位置に変更可能に構成されている請求項1に記載のシートトレイ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートトレイを備えた給送装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシートトレイが着脱可能に装着される装置本体と、前記シートトレイから給送されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートトレイ及びシート給送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの給送装置には、シートとして例えば複数枚の用紙を収容可能なトレイ(カセットと称するものもある)が設けられている。トレイは、その底板のシート搬送方向下流側が持ち上がるように回動自在に設けられていて、装置本体に装着されると、底板が斜めに持ち上げられて、用紙(用紙束も含む)の上方に配置された送りローラ(フィードコロ)に当接するように構成されている。底板が斜めになると、用紙(用紙束)がシート搬送方向上流側にずれてしまうため、トレイのシート搬送方向上流側には、用紙の端部に当接して、その位置を規制するエンドフェンスが設けられている。
底板に載置される用紙は、使用に伴う自重の変化などによって、シート搬送方向上流側にずり落ちる量にばらつきが発生するため、例えば特許文献1では、エンドフェンスに設けた用紙との当接面を、用紙の重さが閾値以下になると、用紙をシート搬送方向下流側に向かって押し出す方向に移動するようにした構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の構成においては、用紙の重さに着目し、重さの変化に応じてエンドフェンスの当接面を、用紙をシート搬送方向下流側に向かって押し出す向きに移動させている。しかし、用紙がシート搬送方向上流側にずり落ちる要因は、重さ以外にも、サイズ、紙種、底板の角度(高さ)によって異なる場合があり、結果として用紙と送りローラとの位置関係のばらつきの発生要因になってしまう場合がある。
本発明は、シートと送りローラとの位置関係のばらつきを抑制することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明に係るシートトレイは、シートが積載されるとともに、シートを送り出す送りローラに向かってシート搬送方向下流側の部位が近接離間する方向に回動自在な底板と、底板に配置され、シートのシート搬送方向上流側端部に当接する当接面を備えたエンドフェンスと、シートサイズ情報、シート種類情報または底板の高さ情報の少なくとも1つの情報に基づき、底板が送りローラに近接する方向に移動したときにおける最上位のシートのシート搬送方向下流側端部と送りローラと分離ローラとで形成されるニップの中心との距離が一定となるように、エンドフェンス又は当接面を移動させる移動手段と、底板の位置を検知して高さ情報を出力する検知手段と、を有し、移動手段は、検知手段によって底板がシートを送り出す送りローラに向かって近接する方向への移動を検知した場合、エンドフェンス又は当接面を、シートの端部をシート搬送方向下流側に向かって押し出す向きに移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、底板の高さ情報、底面に積載されるシートのサイズ情報またはシート種類情報の少なくとも1つの情報に基づき、エンドフェンス又はエンドフェンスの当接面を移動手段で移動させるので、底板の高さ、シートサイズ、シート種類などの影響を受け難くなり、シートと送りローラとの位置関係のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る画像形成装置と給紙装置の一実施形態を示す概略図。
【
図2】本発明に係るシートトレイの構成を説明する斜視図。
【
図4】シートトレイの底板の構成を説明する斜視図。
【
図6】シートトレイに設けられたエンドフェンスの概略構成と動作を説明する図。
【
図7】エンドフェンスの構成と収納位置および移動手段の一構成例を説明する拡大斜視図。
【
図8】エンドフェンスの構成と開放位置を説明する拡大斜視図。
【
図9】画像形成装置本体にシートトレイが装着される状態を説明する拡大斜視図。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロック図。
【
図11】第1の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の移動制御を説明するフローチャート。
【
図12】底板の高さを検知する検知手段の取付け形態を説明する拡大図。
【
図13】第2の実施形態に係る移動手段の構成を説明する拡大図。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロック図。
【
図15】第2の実施形態に係る加圧板と底面高さに応じて設定された加圧板の移動量のデータの一例を示す図。
【
図16】第2の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の移動制御を説明するフローチャート。
【
図17】第3の実施形態に係る検知手段の構成を説明する斜視図。
【
図18】第3の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロック図。
【
図19】第3の実施形態に係る加圧板と底面高さに応じて設定された加圧板の移動量のデータの一例を示す図。
【
図20】第3の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の移動制御を説明するフローチャート。
【
図21】底板の高さとシート先端位置の関係を説明する図。
【
図22】従来構成と第1および第3の実施形態に係るエンドフェンスの移動量と底板高さとの関係の一例を示す図。
【
図23】第4の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロッ図。
【
図24】第4の実施形態に係る底板高さとシート種類に応じたエンドフェンス移動量のデータの一例を示す図。
【
図25】第4の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の可変制御を説明するフローチャート。
【
図26】第5の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロック図。
【
図27】第5の実施形態に係る底板高さとシートサイズに応じたエンドフェンス移動量のデータの一例を示す図。
【
図28】第5の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の可変制御を説明するフローチャート。
【
図29】第6の実施形態に係るエンドフェンスの動作制御系の構成を説明するブロック図。
【
図30】第6の実施形態に係る底板高さとシートサイズおよびシート種類に応じたエンドフェンス移動量のデータの一例を示す図。
【
図31】第6の実施形態に係るエンドフェンスの当接面の可変制御を説明するフローチャート。
【
図32】シートの種類に応じたエンドフェンスの移動量のデータの一例を説明する図。
【
図33】シートの種類に応じたエンドフェンスの移動量のデータの一例を説明する図。
【
図34】シートの種類とシートのサイズに応じたエンドフェンスの移動量のデータの一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る複数の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において、同一の機能や構成を有するものには同一の符号を付し、重複説明は適宜省略する。図面は一部構成の理解を助けるために、部分的に省略又は模式的に示す場合もある。
本実施形態に係るシートトレイは、シートが積載されるとともに、シートを送り出す送りローラに向かってシート搬送方向下流側の部位が近接離間する方向に回動自在な底板と、底板のシート搬送方向上流側に配置され、シートの端部に当接する当接面を備えたエンドフェンスと、エンドフェンス又は当接面を移動させる移動手段を備えている。そして、このエンドフェンス又は当接面をシートサイズ情報、シート種類情報または底板の高さ情報の少なくとも1つの情報に基づき移動してシートと送りローラとの位置関係のばらつきを抑制しようとするものである。
【0008】
各実施形態で共通する画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態としてのカラープリンタ1の概略構成を示すものである。カラープリンタ1は、電子写真プロセスを用いるものであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像剤としてのトナーを用いてカラー画像とモノクロ画像を選択的に形成可能な4連タンデム型中間転写方式のものである。なお、図中Y、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色に関連する構成部材に付与する添え字であり、省略して記載する場合もある。
カラープリンタ1は、筐体である装置本体2の正面側の上部に、4色のニュートナーを個別に収容する複数のニュートナー収容部(現像剤収容容器)19が設けられている。装置本体2の略中央には、4色のトナーからそれぞれの単色トナー像を形成する画像形成部となる4つのプロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kと、各色のトナー像が転写される中間転写体(像担持体)を備えた中間転写ユニット4が配置されている。カラープリンタ1は、装置本体2内に各部の動作を制御可能な制御部200を備えている。
【0009】
プロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kは、中間転写ユニット4よりも下方に配置されている。プロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kの下方には、露光手段としての光学ユニット5が配置されている。
プロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kは、光学ユニット5からそれぞれ照射される露光光によって走査されることで静電潜像が形成される像担持体としてのドラム状の感光体30Y、30M、30C、30Kを備えている。プロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kは、感光体30Y、30M、30C、30Kの周囲に、帯電装置31Y、31M、31C、31K、現像装置32Y、32M、32C、32K、クリーニング装置33Y、33M、33C、33Kと周知の除電装置を備えている。プロセスカートリッジユニット3Y、3M、3C、3Kは、これら装置を使って電子写真プロセスを実行することで、感光体30Y、30M、30C、30K上にそれぞれ単色のトナー像を形成して担持する周知の構成である。つまり、感光体30Y、30M、30C、30Kは、各色のトナー像を担持可能な複数の像担持体である。
【0010】
中間転写ユニット4は、複数の回転支持部材としてのローラ41、42、43、44に、像担持体であり中間転写体でもある無端状のベルト部材で構成された転写ベルト45を巻き掛けて構成したものである。中間転写ユニット4は、ローラ44が回転駆動することで、転写ベルト45が図中反時計回り方向に回転搬送するように構成されている。ローラ41は、付勢手段としての引っ張りコイルバネ48によって転写ベルト45に内側から外側へ向かう張力を与える張力付与部材でありテンションローラとして機能すべく、スライド自在に側板に支持されている。ローラ42はバックアップローラとして機能し、ローラ43は2次転写部8に対する入口ローラを構成している。
【0011】
転写ベルト45の内側ループ内には、感光体30Y、30M、30C、30Kと対向する位置に1次転写部材としての1次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kが配置されている。1次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kは、感光体30Y、30M、30C、30Kに向かって転写ベルト45を加圧していて、感光体30Y、30M、30C、30Kと転写ベルト45の間に、各感光体上のトナー像を転写ベルト45に転写するための1次転写部7Y、7M、7C、7Kを形成している。つまり、転写ベルト45はトナー像が転写されるベルト状の転写部材である。転写ベルト45は押付部材としての押付ローラ46によってテンションを与えられている。
【0012】
1次転写部7Y、7M、7C、7Kには、1次転写用の転写バイアスが供給される。1次転写部7Y、7M、7C、7Kよりもベルト搬送方向下流側には、2次転写部8が形成されている。2次転写部8は、ローラ44と対向配置されて転写ベルト45に接触する2次転写部材としての2次転写ローラ9と転写ベルト45の間に形成されている。2次転写部8には、2次転写用の転写バイアスが供給される。
【0013】
光学ユニット5の下方には、シートである複数の用紙Pが収納されるシートトレイ100を備えた給送装置10が配置されていて、シート給送部11を構成している。複数の用紙Pは用紙束と称する場合もある。シートトレイ100に収納された用紙Pは、送り出しと分離を行う送りローラ101と分離ローラ102によってシートトレイ100から1枚に分離されて2次転写部8に向けて送り出され、搬送ローラ対70によって2次転写部8につながる搬送経路71を搬送される。
2次転写部8では、1次転写部7Y、7M、7C、7Kで転写ベルト45に転写されたトナー像が、用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、2次転写部8よりも用紙搬送方向下流側に配置された定着装置12へと搬送される。
定着装置12では熱と圧力を用紙Pに対して与えてトナー像を用紙P上に定着して、排出口13に向かって搬送する。排出口13に搬送された用紙Pは、装置本体2の上部に形成された排出トレイ14にローラ対15によって排出されてスタックされる。
トナー像の転写を終えた転写ベルト45は、ブレードやローラ等のクリーニング部材で転写ベルト45を挟み込んで清掃するベルトクリーニング手段16によって、転写残トナーや紙粉等が取り除かれる。
【0014】
次にシートトレイ100の構成について順次説明する。
(第1の実施形態)
シートトレイ100は、
図2、
図3に示すように、複数の用紙Pが積載される底板103と、矢印Yで示すシート幅方向に位置する一対のサイドフェンス104、104と、サイドフェンス104、104の間に位置するエンドフェンス105を備えている。シートトレイ10は、装置本体2(
図1参照)に対して着脱可能に設けられている。
底板103は、
図3、
図4、
図5に示すように、サイドフェンス104、104およびエンドフェンス105と個別にトレイ基部106に装着されている。底板103は、シートトレイ100に積載可能な最大サイズの用紙Pを積載可能な大きさを有している。底板103は、矢印X1で示すシート搬送方向上流側に向かって延びるアーム103B、103Cがシート幅方向Yにそれぞれ形成されている。底板103は、アーム103B、103Cの端部がトレイ基部106に軸107、107を中心にして回動可能に支持されている。底板103よりも上方には、送りローラ101が配置されている。送りローラ101は、エンドフェンス105よりも符号X2で示すシート搬送方向下流側でトレイ基部106に回転自在に支持されている。送りローラ101は、シートトレイ100を装置本体2に装着すると、装置本体2側に設けられている駆動源と連結されて、回転駆動力が得られるように構成されている。
【0015】
底板103は、シートトレイ100を装置本体2に装着すると近接方向(上昇方向)Z1に持ち上がられ、シートトレイ100を装置本体2から引き出すと離間方向(下降方向)Z2に押し下げられるように構成されている。図中符号Zは、接触離間する方向(接触離間方向)を示す。
すなわち、底板103は、
図3に示すように、シート搬送方向下流側X1に位置する端部となる前端103A側が送りローラ101に向かって近接離間方向Zに可能に軸107、107を支点にして回動自在とされている。なお、本実施形態において近接離間方向Zは、昇降方向であり上下方向でもある。トレイ基部106と底板103との間には、付勢手段としてのコイルスプリング108が設けられていて、底板103を近接方向Z1へ付勢している。
図5は、底板103の下限位置と上限位置を示している。底板103はこの下限位置と上限位置の間を近接離間方向Zに移動する。
図5中、符号αは、後述するエンドフェンス105やエンドフェンスの当接面1052aを移動する際のパラメータとなる角度であり、ここでは底板103の高さ情報として用いる。
【0016】
一対のサイドフェンス104、104は、シート幅方向Yに、例えばラックアンドピニオン機構によってスライド可能に設けられていて、シート幅方向Yへの位置を用紙Pのサイズに合わせて任意に変更可能とされている。サイドフェンス104、104は、シート幅方向Yへの位置を用紙Pの幅に応じて調整することで、底板103に積載した用紙Pを両側から挟み込み、シート幅方向Yに位置する用紙Pの端部をガイドするものである。サイドフェンス104、104は、
図3に示すように、近接離間方向Zへの高さHが、底板103に積載される用紙Pの最大積載枚数の高さよりも高くなるように形成されている。
【0017】
エンドフェンス105は、
図2に示すようにトレイ基部106に、シート幅方向Yと平面視において交差するシート搬送方向上流側X1とシート搬送方向下流側X2にスライド可能に装着されていて、積載した用紙Pの長さに合わせて、任意の位置に移動可能に構成されている。エンドフェンス105は、
図6に示すように、トレイ基部106に設けられたフェンス本体1051と、フェンス本体1051に回動可能に支持された加圧板1052を有している。本実施形態においては、フェンス本体1051がトレイ基部106にスライド自在に取り付けられている。フェンス本体1051は、シート搬送方向下流側X2
に延び、近接離間方向Zに段差を有するシート積載面1051a、1051bを備えている。
加圧板1052は、矩形の板状部材で構成されていて、上端1052bがフェンス本体1051にピン1054で回動可能に支持されていて、下端1052cがシート積載面1051aの上方に位置するように配置されている。加圧板1052は、近接離間方向Zへの高さ(全長)H1が、底板103に積載される用紙Pの最大積載枚数の高さよりも高くなるように形成されている。加圧板1052は、底板103に積載された用紙Pの端部と様後端PAと対向する対向面を備えていて、この面が当接面1052aを構成している。
【0018】
図7、
図8に示すように、シート搬送方向上流側X1に位置するフェンス本体1051の裏面1051cには、台座部1053が形成されている。台座部1053には、移動手段90が設けられている。移動手段90は、アクチュエータである電磁ソレノイド1070と復帰用の弾性部材としての引っ張りコイルスプリング1080とリンク機構109を有している。電磁ソレノイド1070は通電時にプランジャ1071をソレノイド本体1072に引き込むプルタイプのものを用いている。プランジャ1071の先端は、リンク機構109を介して加圧板1052とピン結合されていて、電磁ソレノイド1070が作動してプランジャ1071が引き込まれると、用紙P(用紙束)の端部となる用紙後端PAをシート搬送方向下流側X2に向かって押し出す向きに加圧板1052を移動させる。なお、底板103に積載された用紙P(記録束)のシート搬送方向下流側X2に位置する端部を、ここでは便宜的に用紙先端PBする。
引っ張りコイルスプリング1080は、一端が台座部1053に引っかけられ、他端が加圧板1052に引っかけられていて、加圧板1052に対してシート搬送方向上流側X1(収納位置)への復帰修正を与えている。加圧板1052は、通常は
図6の破線、
図7に示すように引っ張りコイルスプリング1080によってフェンス本体1051と当接面1052aとが平行になる収納位置を占めている。加圧板1052は、電磁ソレノイド1070が作動すると
図6に実線、
図8に示すように、フェンス本体1051からシート搬送方向下流側X2に向かってしてピン1054を中心に回動し、当接面1052aで用紙後端PAをシート搬送方向下流側X2に向かって押し出す開放位置へと移動する。
【0019】
シートトレイ100は、
図4に示すように、検知手段として反射型の検知センサ120を備えている。検知センサ120は底板103の位置となる高さ(角度)を検知して高さ情報αを出力する。検知センサ120は底板103に設けられたフィラー121を検知することで検知信号(高さ信号)を出力するもので、トレイ基部106に装着されている。
装置本体2には、
図9に示すように、シートトレイ100が装置本体2に装着されたことを検知するトレイセット検知スイッチ122Aが設けられている。トレイセット検知スイッチ122Aは、シートトレイ100が装置本体2に装着されると、トレイセット検知板122Bによって押されることでセット信号を出力するように構成されている。
【0020】
次に制御系の構成について
図10を用いて説明する。
制御部200は、記憶部としてのRAMとROM、中央演算部としてのCPUなどを備えたコンピュータで構成されている。制御部200の入力側には検知センサ120と、トレイセット検知スイッチ122Aが信号線を介して接続されている。制御部200の出力側には電磁ソレノイド1070と、送りローラ101を回転駆動するための駆動源となる給送モータ123が信号線を介して接続されている。ROMには、電磁ソレノイド1070を作動するパラメータとなる閾値α1が設定されている。制御部200は、検知センサ120からの高さ信号αがα1となると、電磁ソレノイド1070を作動するロジックを備えている。
【0021】
図11に示すフローチャートを用いて、第1の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作タイミングの制御について説明する。
シートトレイに用紙Pをセット後、シートトレイを装置本体2に装着してセットする(ステップST1、ST2)。シートトレイ100が装置本体2にされてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされる(ステップST3)と、制御部200は、ステップST4において検知センサ120からの高さ情報αの信号を読み取り、ステップST5において、信号変化が読み取れたか否かを判定する。ここでは、ROMに設定された閾値α1と高さ情報αとを比較し、α1≦αの場合にはステップST6に進んで電磁ソレノイド1070(アクチュエータ)を作動(動作開始)し、α1≦αを満たさない場合にはステップST7に進んで電磁ソレノイド1070(アクチュエータ)は動作停止のまま(非作動状態維持)とし、ステップST9へと進む。
【0022】
電磁ソレノイド1070(アクチュエータ)が作動(動作開始)すると、ステップST8において、エンドフェンス105に設けた加圧板1052が
図7に示す収納位置から
図8に示す開放位置へと移動し、用紙後端P1がシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
その後、制御部200はステップST9において給紙開始を行う。具体的には給送モータ123を作動して送りローラ101を回転駆動し、底板103に積載されている用紙P(用紙束)から最上位の用紙Pのみを送り出す。
制御部200は、例えば、底板103に積載された用紙Pがなくなった場合、ステップST10において給紙を終了する。トレイに用紙Pを補給すべく作業者がシートトレイ100を装置本体2から引き出すと、トレイセット検知スイッチ122Aがオフされる(ステップST12)。また、シートトレイ100が引き出されると、シートトレイ100と装置本体2との通電コネクタが外れるので、電磁ソレノイド1070(アクチュエータ)への通電が絶たれて動作が停止する。すると、加圧板1052は、引っ張りコイルスプリング108のばね力によって
図8に示す開放位置から
図7に示す収納位置へと戻される。
【0023】
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報(角度情報)αを検知センサ120で直接検知して、閾値α1に到達した場合に、エンドフェンス105に設けた当接面1052aを備えた加圧板1052を、
図7に示す収納位置から
図8に示す開放位置へと移動させるため、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2側に押し出される。このため、サイズ、紙種などによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきを抑制できるので、狙いの位置に用紙先端PBを位置させることができる。この結果、用紙先端PBと送りローラ101との位置が安定し、用紙Pのジャムやジャム発生によるダメージを低減することができる。
つまり、用紙Pがシートトレイ100に収納状態だった場合、給紙開始後、徐々に積載量が減少することにより、底板103の高さ情報(角度情報)αが変化する。そして、閾値α1に到達した場合には、エンドフェンス105に設けた加圧板1052を移動して用紙後端PAを押し出すよう加圧する。すなわち、サイズ違い、厚さ違い、種類が異なる場合でも、一定の高さ(一定の角度)に達すると、用紙後端PAが押し出されるので、用紙Pの状態にかかわらず同じタイミングで用紙後端PAを加圧することができる。すなわち、サイズ違い、厚さ違い、種類の互いによるバラツキが生じないように、用紙後端PAを押すタイミングを同一タイミングとすることができるので、送りローラ101と用紙先端PBの位置関係のバラツキを抑制することができる。
【0024】
検知センサ120の位置は固定状態であってもよいが、
図12に示すように、トレイ基部106にブラケット125を介して取り付ける。そして、ブラケット125に接触離間方向(上下方向)Zに延びる長孔126、126を形成し、トレイ基部106からピン127、127を突出させて設けて長孔126、126内に挿入し、長孔126、126の長手方向に検知センサ120の位置を移動可能にしてもよい。このように検知センサ120の位置を移動可能にすることで、底板103を検知する高さ(角度)を任意に調整することができるので、機器の個体差のバラツキ等に応じて検知センサ120の位置を微調整することができ、底板103を検知する精度を高めることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
本実施形態は、底板103の高さを検知する検知センサを複数備えるとともに、移動手段が段階的(多段階)で加圧板1052を移動可能としたものである。第1の実施形態との違いは、検知センサ120A、120Bを備えている点と、移動手段の構成が異なっているため、この違う点を中心に説明する。
本実施形態に係る移動手段300は、
図13に示すように、駆動モータ301と回転カム302によって構成されている。駆動モータ301と回転カム302はエンドフェンス105の台座部1053に設けられている。回転カム302は偏心カムであって、駆動モータ301の出力軸に固定されており、駆動モータ301が回転することで回転するように構成されている。回転カム302の先端は、加圧板1052の裏面1052bに当接されている。回転カム302には、引っ張りコイルスプリング1080のばね力が加圧板1052に作用するため、回転カム302と裏面1052bとは、常に当接状態が維持される。
検知センサ120A、120Bは、接触離間方向(上下方向)Zに間隔を空けて、フィラー121の移動軌道上に配置されている。本実施形態では、検知センサ120Bは検知センサ120Aよりも上方に配置されている。このため、検知センサ120Aは底板103の中間位置を検知し、検知センサ120Bは底板103の上限位置を検知する。底板103の高さは用紙P(用紙束)の積載量と相関している。すなわち、積載量が満載の場合、底板103は下限位置(低)にあり、用紙Pの使用に伴い積載枚数が減ってくると、徐々に上昇して中間位置(中)を占め、積載枚数が数枚程度の場合、上限位置(高)を占める。
【0026】
図14は、第2の実施形態に係る制御系の構成を説明するブロック図である。同図において、制御部200の入力側には検知センサ120A、120Bと、トレイセット検知スイッチ122Aが信号線を介して接続されている。制御部200の出力側には給送モータ123と駆動モータ301が信号線を介して接続されている。ROMには、2つの検知センサ120A、120Bと駆動モータ301によるエンドフェンス(加圧板1052)の移動量の関係が例えば
図15に一例として示すマップデータとして記憶されている。
制御部200は、検知センサ120Aがフィラー121を検知すると、加圧板1052が収納位置から開放位置に向かって、ここでは5ミリ移動するように駆動モータ301の回転量を制御する。制御部200は、検知センサ120Bがフィラー121を検知すると、加圧板1052が収納位置から開放位置に向かって、ここでは10ミリ移動するように駆動モータ301の回転量を制御する。加圧板1052の移動量は、予め試験によって用紙先端PBと送りローラ101との位置関係が少なくなる値を計測して設定している。なお、ここでの移動量とは、加圧板1052の収納位置からの移動量である。
【0027】
図16に示すフローチャートを用いて、第2の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作の制御について説明する。
シートトレイに用紙Pをセット後、シートトレイを装置本体2に装着してセットする(ステップST21、ST22)。シートトレイ100が装置本体2にされてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされる(ステップST23)と、制御部200は、ステップST24において検知センサ120A又は検知センサ120Bがオンか否かを判定する。いずれかの検知センサがオンしている場合には、ステップST25に進み、いずれの検知センサもオンしない場合にはステップST28に進み、エンドフェンス(加圧板1052)の位置は変更しないまま、ステップST29に進んで給紙を開始する。
制御部200は、ステップST25において、検知センサ120A又は検知センサ120Bの何れがオンしたかを信号の有無で判定し(読みとり)、ステップST26において、オンした検知センサに対応した移動量を決定してステップST27に進む。
【0028】
制御部200は、ステップST27において、エンドフェンス動作を開始する。ここでは、決定された移動量だけ加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動すべく、駆動モータ301を駆動し、決定された移動量に達すると駆動モータ301は停止する。駆動モータ301が駆動すると回転カム302が回転して加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動させる。このため、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
その後、制御部200はステップST29において給紙を開始する。具体的には給送モータ123を作動して送りローラ101を回転駆動し、底板103に積載されている用紙P(用紙束)から最上位の用紙Pのみを送り出す。
制御部200は、例えば、底板103に積載された用紙Pが無くなった場合、ステップST30において給紙を終了する。ステップST31では、シートトレイ100に用紙Pを補給すべく作業者がシートトレイ100を装置本体2から引き出すと、トレイセット検知スイッチ122Aがオフされる(ステップST32)。
【0029】
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報αを複数の検知センサ120A、120Bで直接検知して、底板103を検知した検知センサに応じた加圧板1052の異なる移動量を設定しているので、加圧板1052による用紙後端PAに対する押し出しタイミングや押し出し量をより細かく調整することができる。このため、サイズ、紙種などによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できるので、狙いの位置に用紙先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
本実施形態は、
図17に示すように、底板103の高さを検知する検知手段の構成が、他の実施形態と異なっている。なお。本実施形態では、加圧板1052の移動手段として第2の実施形態で説明した移動手段300を用いることとする。
本実施形態にかかる検知手段400は、底板103を回動自在に支持する軸107、107の回転角度を、回転検知センサ401とスリット入りの回転板402で構成されたロータリエンコーダで検知して底板103の高さ情報αを得るものである。回転板402は一方の軸107に固定されていて、軸107、107もアーム103B、103Cに固定されている。この場合、軸107、107はトレイ基部106に回転自在に支持されるようにする。
【0031】
図18は、第3の実施形態に係る制御系の構成を説明するブロック図である。同図において、制御部200の入力側には回転検知センサ401と、トレイセット検知スイッチ122Aが信号線を介して接続されている。制御部200の出力側には給送モータ123と駆動モータ301が信号線を介して接続されている。ROMには、回転検知センサ401と駆動モータ301によるエンドフェンス(加圧板1052)の移動量の関係が例えば
図19に一例として示すマップデータとして記憶されている。
マップデータは、回転検知センサ401で検知された高さ情報が高まるに従い、エンドフェンスの加圧板1052の移動量が多くなるように設定されている。制御部200は、このマップデータに従い、回転検知センサ401で検知された高さ情報が高まるに従い、エンドフェンスの加圧板1052の移動量が多くなるように駆動モータ301の駆動を制御する。
【0032】
図20に示すフローチャートを用いて、第3の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作の制御について説明する。なお、
図20のフローチャートにおいて、ステップST41~ステップST43およびステップST48~ステップST52までは、
図16に示したステップST21~ステップST23およびステップST28~ステップST22までと同様の内容であるので、ここではその説明を省略する。
制御部200は、ステップST43においてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされると、ステップST44において回転検知センサ401がオンか否かを判定し、回転検知センサ401がオンしている場合にはステップST45に進み、オンしていない場合にはステップST48に進み、エンドフェンス(加圧板1052)の位置は変更しないまま、ステップST49に進んで給紙を開始する。
制御部200は、ステップST45において、回転検知センサ401により回転板402(軸107)の回転量を読み取り、ステップST46において、回転量に対応した移動量を決定してステップST47に進む。
【0033】
制御部200は、ステップST47において、エンドフェンス動作を開始する。ここでは、決定された移動量だけ加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動すべく、駆動モータ301を駆動し、決定された移動量に達すると駆動モータ301を停止する。駆動モータ301が駆動すると回転カム302が回転して加圧板1052がシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動するので、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
【0034】
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報(回転数(パルス数))αを回転検知センサ401と回転板402からなるロータリエンコーダで直接検知して、検知結果に応じた移動量だけ加圧板1052を移動するので、加圧板1052による用紙後端PAに対する押し出しタイミングや押し出し量をより細かく調整することができる。このため、サイズ、紙種などによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できるので、狙いの位置に用紙先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
【0035】
ここで、
図21、22を用いて従来構成と実施形態の効果について説明する。
図21に示すように、底板103の高さ(角度)は用紙Pの積載量によって変化する。すなわち、積載されている量が多ければ高さは低く(角度は小さく)、積載されている量が少なくなると、コイルスプリング108の作用によって押し上げられるため、高さは高く低く(角度は大きく)なる。すると、送りローラ101と分離ローラ102のニップの中心から底板103に積載されている用紙先端PBまでの距離Lが、底板103の高さが高くなるほど(傾斜が大きくなるほど)離れることになり、ジャムなどの発生につながってしまう。
このため、距離Lを一定に保つためには、底板10の高さ(角度)が大きくなるほど用紙後端PAをシート搬送方向下流側(送りローラ側)X2に向かって移動させる量を多くすれば、距離Lのばらつきを抑えられる。つまり、底板103の高さの変化に応じて距離Lが広がる場合、広がった分だけ用紙Pをシート搬送方向下流側(送りローラ側)X2に送り出させ距離Lの安定化を図ることができる。
【0036】
図22は、エンドフェンス105を移動させない場合と、第1の実施形態で説明したように検知センサ120を1つ用いて高さ情報を得て一度だけ加圧板1052を移動した場合と、第3の実施形態のように回転検知センサ401を用いカム302で加圧板1052を移動した場合の、用紙Pの高さとなる底板103の高さ(角度)と先端ずれ量の関係を示す。
図22において、縦軸は理想の先端位置からのずれ量を示し、横軸は用紙Pの高さの推移を示す。先端ずれ量は上に行くほど大きく、用紙高さは右へ進むほど低くなる。
図22によると、従来構成の場合、積載枚数が少なくにつれてずれ量が大きくなる。これに対し、第1の実施形態の場合、積載枚数が少なくなるに従いずれ量は多くなるが、加圧板1052によって用紙後端PAが押されると、ずれ量がいったんリセットされ、理想の先端位置となるが、加圧板1052による押出し後においては、用紙Pの量が少なくなると、紙先端位置のずれ量が、再度大きくなる。
これに対し、第3の実施形態のように、高さの検知を細かく行い、その都度、加圧板1052の移動量を大きくして用紙後端PBに対する押し出しを大きくすると、加圧後は、用紙先端PBが、略理想の先端位置をしめた。このため、底板103の高さの変化に追従するように、用紙後端PAをように加圧板1052を移動させることで、サイズ、紙種などによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できる。このため、狙いの位置に用紙先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
【0037】
(第4の実施形態)
本実施形態は、底板103の高さ情報と用紙種別情報に応じてエンドフェンス105の加圧板1052の移動量を決定して、その移動を制御するものである。
検知手段としては、第2の実施形態で説明した複数の検知センサ120A、120Bを用いて底板103の中間位置と上限位置を検知し、移動手段としては、第2の実施形態で説明した駆動モータ301と回転カム302を備えた移動手段300を用いる。
制御系の構成としては、
図23に示すように、第2の実施形態で説明した制御系の構成に用紙サイズ情報を入力するとともに、ROMに、2つの検知センサ120A、120Bと駆動モータ301によるエンドフェンス(加圧板1052)の移動量の関係と用紙種類に応じたエンドフェンス(加圧板1052)の移動量を
図24に示すマップデータとして記憶している。
本実施形態において用紙種別情報は、たとえば用紙種別選択手段150を制御部200の入力側に信号線を介して接続して入力する。用紙種別選択手段150は、薄紙を選択する際に操作されるスイッチ151、普通紙を選択する場合に操作されるスイッチ152、厚紙を選択する際に操作されるスイッチ153で構成されている。スイッチ151が操作されると用紙種別情報として薄紙の情報が制御部200に送信され、スイッチ152が操作されると用紙種別情報として普通の情報が制御部200に送信され、スイッチ153が操作されると用紙種別情報として厚紙の情報が制御部200に送信される。
そして、ROMには、用紙種別ごとに移動量が定められていて、高さ情報により設定された移動量に用紙種別毎に設定された移動量を加算して最終的な加圧板1052の移動量を決めている。すなわち、高さ情報に応じて決められた移動量を用紙種別情報に応じて補正するようにした。マップデータとしては、底板103が低い場合には、エンドフェンスの移動の必要はないので移動量はゼロとし、底板103が中間位置を占めた場合には5ミリ、底板103が上限位置を占めた場合には10ミリ移動するように設定した。
また、用紙種別による移動量(補正量)は底板103が中間位置と上限位置の場合に適用される。各位置において、薄紙の場合には1ミリ増加、普通紙の場合には2ミリ増加、厚紙の場合には3ミリ増加するようにした。
【0038】
図25に示すフローチャートを用いて、第4の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作の制御について説明する。なお、
図25のフローチャートにおいて、ステップST61~ステップST63およびステップST69からステップST73までは、
図16に示したステップST21~ステップST23およびステップST28~ステップST32までと同様の内容であるので、ここではその説明を省略する。
制御部200は、ステップST63においてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされると、ステップST64において用紙種別情報を入手する。ここでは、用紙種別選択手段150の操作によって入力された「薄紙」、「普通紙」、「厚紙」のいずれかの用紙種別情報を取り込む。
制御部200は、ステップST65において、検知センサ120A又は検知センサ120Bがオンか否かを判定する。いずれかの検知センサがオンしている場合には、ステップST66に進み、いずれの検知センサもオンしない場合にはステップST69に進み、エンドフェンス(加圧板1052)の位置は変更しないまま、ステップST70に進んで給紙を開始する。
制御部200は、ステップST66において、検知センサ120A又は検知センサ120Bの何れかがオンしたかを信号の有無から反対し(読みとり)、ステップST67において、オンした検知センサと用紙種別情報に応じた移動量を、データマップを参照して決定し、ステップST68に進む。
【0039】
制御部200は、ステップST68において、エンドフェンス動作を開始する。ここでは、決定された移動量だけ加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動すべく、駆動モータ301を駆動し、決定された移動量に達すると駆動モータ301は停止する。駆動モータ301が駆動すると回転カム302が回転して加圧板1052がシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動するので、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
【0040】
すなわち、本実施形態では、用紙種別情報に応じた移動量(補正値)を、加圧板1052の移動量に加算している。これは、紙厚による自重以外に、用紙間摩擦係数の差異による用紙先端PBのずれを考慮したものである。例えば、用紙間摩擦係数が低い場合は用紙先端PBのずれが発生しやすいので用紙後端PAに対する押圧量(移動量)を大きく設定し、用紙摩擦係数が大きい場合は用紙後端PAに対する押圧量(移動量)を小さく設定している。
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報αを複数の検知センサ120A、120Bで直接検知するとともに、底板103を検知した検知センサに応じて加圧板1052の移動量と用紙種別情報に応じた移動量を加味して最終的な移動量を求めて加圧板1052を移動するので、加圧板1052による用紙後端PAに対する押し出しタイミングや押し出し量をより細かく調整することができる。このため、用紙種別などによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できるので、狙いの位置に先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
【0041】
(第5の実施形態)
本実施形態は、底板103の高さ情報と用紙サイズ情報に応じてエンドフェンス105の加圧板1052の移動量を決定して移動制御するものである。
検知手段としては、第2の実施形態で説明した複数の検知センサ120A、120Bを用いて底板103の中間位置と上限位置を検知し、移動手段としては、第2の実施形態で説明した駆動モータ301と回転カム302を備えた移動手段300を用いる。
制御系の構成としては、
図26に示すように、第2の実施形態で説明した制御系の構成に用紙サイズ情報を入力するとともに、ROMに、2つの検知センサ120A、120Bと駆動モータ301によるエンドフェンス(加圧板1052)の移動量の関係と用紙サイズ情報に応じたエンドフェンス(加圧板1052)の移動量を
図27に示すマップデータとして記憶している。用紙サイズとは、JIS規格のA5、A4、A3を縦送り(SEF)したときの場合を例示している。
【0042】
本実施形態において用紙サイズ情報は、たとえば用紙サイズ選択手段160を制御部200の入力側に信号線を介して接続して入力する。用紙サイズ選択手段160は、A5サイズを選択する際に操作されるスイッチ161、A4サイズを選択する場合に操作されるスイッチ162,A3サイズを選択する際に操作されるスイッチ163で構成されている。スイッチ161が操作されると用紙サイズ情報としてA5SEFが制御部200に送信され、スイッチ162が操作されると用紙サイズ情報としてA4SEF通が制御部200に送信され、スイッチ163が操作されると用紙サイズ情報としてA3SEFが制御部200に送信される。
そして、ROMには、用紙サイズごとに移動量が定められていて、高さ情報により設定された移動量に用紙サイズ毎に設定された移動量を加算して最終的な加圧板1052の移動量を決めている。すなわち、高さ情報に応じて決められた移動量を用紙サイズ情報に応じて補正するようにした。マップデータとしては、底板103が低い場合には、エンドフェンス105の移動はないので移動量はゼロとし、底板103が中間位置を占めた場合には5ミリ、底板103が上限位置を占めた場合には10ミリ移動するように設定した。
また、用紙サイズによる移動量(補正量)は、底板103が中間位置と上限位置の場合に適用される。中間位置において、A5SEFの場合には2ミリ増加、A4SEFの場合には1ミリ増加、A3SEFの場合には増加なし(0ミリ)しとした。上限位置において、A5SEFの場合には4ミリ増加、A4SEFの場合には2ミリ増加、A3SEFの場合には増加なし(0ミリ)とした。
【0043】
図28に示すフローチャートを用いて、第5の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作の制御について説明する。なお、
図28のフローチャートにおいて、ステップST81~ステップST83およびステップST89からステップST93までは、
図16に示したステップST21~ステップST23およびステップST28~ステップST32までと同様の内容であるので、ここではその説明を省略する。
制御部200は、ステップST83においてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされると、ステップST84において用紙サイズ情報を入手する。ここでは、用紙サイズ選択手段160の操作によって入力された「A5SEF」、「A4SEF」、「A3SEF」のいずれかの用紙サイズ情報を取り込む。
制御部200は、ステップST85において、検知センサ120A又は検知センサ120Bがオンか否かを判定する。いずれかの検知センサがオンしている場合には、ステップST86に進み、いずれの検知センサもオンしない場合にはステップST89に進み、エンドフェンス(加圧板1052)の位置は変更しないまま、ステップST90に進んで給紙を開始する。
制御部200は、ステップST86において、検知センサ120A又は検知センサ120Bの何れかがオンしたかを読みとり、ステップST87において、オンした検知センサと用紙サイズに応じた移動量を、データマップを参照して決定し、ステップST88に進む。
【0044】
制御部200は、ステップST88において、エンドフェンス動作を開始する。ここでは、決定された移動量だけ加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動すべく、駆動モータ301を駆動し、決定された移動量に達すると駆動モータ301は停止する。駆動モータ301が駆動すると回転カム302が回転して加圧板1052はシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動するので、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
【0045】
つまり、本実施形態では、底板103に積載された用紙Pが満杯で底板103が低い場合には、加圧板1052による用紙後端PAの押し出しは行わず、積載量が減って底板103が中間位置や上限位置となった場合、用紙サイズを考慮して加圧板1052の移動量を多くするようにした。また、用紙サイズは、小さいサイズほど移動量が多くなるようにした。
【0046】
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報αを複数の検知センサ120A、120Bで直接検知するとともに、底板103を検知した検知センサに応じて加圧板1052の移動量と用紙サイズに応じて移動量を加味して最終的な移動量を求めて加圧板1052を移動するので、加圧板1052による用紙後端PAに対する押し出しタイミングや押し出し量をより細かく調整することができる。このため、用紙サイズなどによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できるので、狙いの位置に先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
なお、第5の実施形態では、加圧板1052の移動量を決める用紙サイズとして定型サイズを縦送りした場合を想定したが、非定型サイズによる移動量を設定してもよい。すなわち、用紙サイズを加圧板1052の移動量決定のパラメータとして利用する場合、主走査方向、副走査方向の用紙長に応じて用紙後端PAを押す押圧量(移動量)を調整することで、用紙先端PBのずれを低減することができる。
【0047】
(第6の実施形態)
本実施形態は、底板103の高さ情報と、用紙サイズ情報と、用紙種別情報の3つのパラメータに応じてエンドフェンス105の加圧板1052の移動量を決定して移動を制御するものである。つまり、第4の実施形態と第5の実施形態を合わせたものである。
検知手段としては、第2の実施形態で説明した複数の検知センサ120A、120Bを用いて底板103の中間位置と上限位置を検知し、移動手段としては、第2の実施形態で説明した駆動モータ301と回転カム302を備えた移動手段300を用いる。
制御系の構成としては、
図29に示すように、第2の実施形態で説明した制御系の構成に用紙種別情報と用紙サイズ情報を入力するとともに、ROMに、2つの検知センサ120A、120Bと駆動モータ301によるエンドフェンス(加圧板1052)の移動量の関係と、用紙種別と用紙サイズに応じたエンドフェンス(加圧板1052)の移動量を
図30に示すマップデータとして記憶している。
【0048】
用紙種別情報は、先に説明した薄紙を選択する際に操作されるスイッチ151、普通紙を選択する場合に操作されるスイッチ152、厚紙を選択する際に操作されるスイッチ153を備えた用紙種別選択手段150で入力する。
用紙サイズ情報は、A5サイズを選択する際に操作されるスイッチ161、A4サイズを選択する場合に操作されるスイッチ162,A3サイズを選択する際に操作されるスイッチ163を備えた用紙サイズ選択手段160で入力する。
そして、ROMには、用紙種別と用紙サイズごとに移動量が定められていて、高さ情報により設定された移動量、用紙種別毎および用紙サイズ毎に設定された移動量を加算して加圧板1052の移動量を決めている。すなわち、高さ情報に応じて決められた移動量を用紙種別情報と用紙サイズ情報に応じて補正するようにした。マップデータとしては、底板103が低い場合には、エンドフェンス105の移動はないので移動量はゼロとし、底板103が中間位置を占めた場合には5ミリ、底板103が上限位置を占めた場合には10ミリ移動するように設定した。
用紙種別と用紙サイズによる移動量(補正量)は、底板103が中間位置と上限位置の場合に適用される。各位置において、薄紙の場合には1ミリ増加、普通紙の場合には2ミリ増加、厚紙の場合には3ミリ増加するようにした。また、用紙サイズの場合、用紙種別に応じてA5SEFの場合とA4SEFの場合に移動量が増えるように設定されている。
【0049】
図31に示すフローチャートを用いて、第6の実施形態に係るエンドフェンス105の加圧板1052の動作の制御について説明する。なお、
図31のフローチャートにおいて、ステップST101~ステップST103およびステップST110からステップST114までは、
図16に示したステップST21~ステップST23およびステップST28~ステップST32までと同様の内容であるので、ここではその説明を省略する。
制御部200は、ステップST103においてトレイセット検知スイッチ122Aがオンされると、ステップST104、ST105において用紙種別情報と用紙サイズ情報を入手する。ここでは、用紙種別選択手段150と用紙サイズ選択手段160の操作によって入力された「薄紙」、「普通」、「厚紙」、「A5SEF」、「A4SEF」、「A3SEF」のいずれかの用紙種別情報と用紙サイズ情報を取り込む。
【0050】
制御部200は、ステップST106において、検知センサ120A又は検知センサ120Bがオンか否かを信号の有無で判定する。いずれかの検知センサがオンしている場合には、ステップST107に進み、いずれの検知センサもオンしない場合にはステップST110に進み、エンドフェンス(加圧板1052)の位置は変更しないまま、ステップST111に進んで給紙を開始する。
制御部200は、ステップST107において、検知センサ120A又は検知センサ120Bの何れかがオンしたかを読みとり、ステップST108において、オンした検知センサと用紙種別と用紙サイズに応じた移動量を、データマップを参照して決定し、ステップST109に進む。
【0051】
制御部200は、ステップS109において、エンドフェンス動作を開始する。ここでは、決定された移動量だけ加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動すべく、駆動モータ301を駆動し、決定した移動量に達すると駆動モータ301を停止する。駆動モータ301が駆動すると回転カム302が回転して加圧板1052をシート搬送方向下流側(加圧方向)X2に移動するため、用紙後端PAがシート搬送方向下流側X2へと押し出される。
【0052】
つまり、本実施形態では、底板103に積載された用紙Pが満杯で底板103が低い場合には、加圧板1052による用紙後端PAの押し出しは行わず、積載量が減って底板103が中間位置や上限位置となった場合、用紙種別や用紙サイズを考慮して加圧板1052の移動量を多くするようにした。また、用紙サイズは、小さいサイズほど移動量が多く、かつ、普通紙よりも薄紙のときに移動量が多くなるように設定した。これは、薄紙で小さなサイズの用紙Pの場合、その他の用紙種別や用紙サイズに比べて変動量が大きくなる傾向にあるからである。
【0053】
このように、本実施形態においては、底板103の高さ情報αを複数の検知センサ120A、120Bで直接検知するとともに、底板103を検知した検知センサに応じて加圧板1052の移動量と用紙種別や用紙サイズに応じて移動量を加味して最終的な移動量を求めて加圧板1052を移動するので、加圧板1052による用紙後端PAに対する押し出しタイミングや押し出し量をより細かく調整することができる。このため、用紙種別、用紙サイズなどによる用紙重量と用紙積載量の差の影響を受けずに用紙先端PBの位置のばらつきをより抑制できるので、狙いの位置に先端PBを位置させることができ、送りローラ101との位置も安定し、用紙Pのジャムやジャムの発生によるダメージを低減することができる。
【0054】
上記実施形態においては、底板103の高さ(角度)情報をベースに、用紙種別や用紙サイズに応じて用紙後端PAを押し出す量である加圧板1052の移動量を適宜増減するようにしたが、移動量を決めるパラメータの組み合わせとしては、上記の実施形態に限定されるものでない。例えば
図32に示すように、用紙種別である薄紙、普通紙、厚紙に応じて移動量を決定して加圧板1052を移動してもよいし、
図33に示すように、用紙サイズである例えば「A5」、「A4」、「A3」に応じて移動量を決定して加圧板1052を移動してもよい。
図32に示すように、用紙Pの厚いほどエンドフェンスの移動量(押し出し量)を大きくする理由は、厚紙は薄紙に比べてコシが強くて重いため、底板103上で用紙Pがエンドフェンス105側に押し戻されやすい。そこで、厚紙の場合、エンドフェンス105側へ用紙Pが押し戻されることをみこんで給紙位置側となるシート搬送方向下流側へ多めに押し出すことで、給紙不良を防止することができる。
【0055】
第5の実施形態や
図33に示すように、用紙サイズが小さいほどエンドフェンスの移動量(押し出し量)を大きくする理由は、用紙Pが小さい場合、用紙Pと用紙Pとの間および用紙Pと底板103との間の摩擦力が小さい。最上位の用紙Pをシート給送部11から送る時、分離ローラ102(セパレートコロ)の逆回転(用紙Pをエンドフェンス側に戻す回転)によって底板103上の用紙Pがエンドフェンスに押し戻されやすい。また、底板103が傾いてくると用紙Pがエンドセフェンス側へ滑りやすい。そこで、小サイズ紙の場合は、用紙Pがエンドフェンス側へ押し戻される、あるいは滑ることを見込んで給紙位置側となるシート搬送方向下流側へ多めに押し出すことで、給紙不良を防止することができる。
【0056】
あるいは、
図32、
図33に示したように、1つのパラメータに応じて加圧板1052の移動量を決めるのではなく、
図34に示すように、用紙種別情報と用紙サイズ情報に応じて移動量を決定して加圧板1052を移動するようにしてもよい。これらは第4~第6の実施形態で説明した制御系の構成から底板103の高さ情報を検出する検知手段の構成を取り除く、あるいは利用しない構成とすることで実現することができる。
【0057】
上記実施形態において、移動手段はエンドフェンス105に設けられていて用紙後端PAとの当接面1052aを備えた加圧板1052を移動させて用紙後端PAの位置を移動するようにしたが、移動手段の構成としては、このような形態に限定されるものではない。
たとえは、
図35に示す構成は、加圧板1052を備えないエンドフェンス105Bを移動する移動手段500を用いて用紙後端PAをシート搬送方向下流側X2側に移動可能としたものである。
移動手段500は、駆動モータ501と、駆動モータ501によって回転駆動される駆動軸502に設けられた駆動プーリ503と、駆動プーリ503よりもシート搬送方向下流側X2に配置された従動プーリ504とを備え、駆動プーリ503と従動プーリ504とに巻きかけられたタイミングベルト505にエンドフェンス105Bを固定したものである。
この場合、用紙後端PAは、用紙後端PAと対向するエンドフェンス105Bの対向面105Baによって押し出されるので、この対向面105Baが当接面として機能することになる。
【0058】
このように加圧板1052を持たないエンドフェンス105Bの場合、移動手段500を用いてシート搬送方向下流側X2に移動する場合、回転体(偏心カム)を用いて加圧板1052を回動して移動する移動手段に比べて、省スペースで用紙後端PAの押圧が可能となるメリットがある。さらに、エンドフェンス自体の移動と当接面との移動を同時に行うことができるので、上述した底板103の高さ・用紙種別・用紙サイズに応じてより細分化して用紙後端PAの押圧が可能となり、従来技術より用紙先端のずれを抑えることができる。
【0059】
なお、本実施形態において、送りローラ101と分離ローラ102は、シートトレイ100のトレイ基部106に設けた構造としているが、送りローラ101と分離ローラ102は、装置本体2側に配置して、シートトレイ100が備えていない構成であってもよい。
上述した実施形態において、給送装置10は画像形成装置1と一体化された構成を例に説明したが、画像形成装置1と個別に設けられた給紙装置のシートトレイとして各実施形態で説明したシートトレイを用いても、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態に係るシートトレイ100を適用する対象は、画像形成装置や給紙装置に限定するものではなく、積載状態のシート状の被搬送物を送り出す装置に適用することができる。このような被搬送物を送り出す装置に、各実施形態で説明したシートトレイを適用することで、被搬送物の先端位置ずれを抑制することができ、位置ずれに起因する技術的課題を解決することができるので好ましい。
各実施形態において、シートは用紙として説明したがこれに限定されるものではなく、シート状の被搬送物であればよい。シート状の被搬送物としては、例えば、用紙(紙)以外に、コート紙、樹脂フィルム(OHP)、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔などがあげられる。
【0060】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
2 装置本体
3Y、3M、3C、3K 画像形成部
10 給送装置
90、300、500 移動手段
100 シートトレイ
101 送りローラ
103 底板
105、105B エンドフェンス
105ba、1052a 当接面(対向面)
120、120A、120B、400 検知手段
121 フィラー
1052a、105Ba 当接面
1051 フェンス本体
1052 加圧板
X1 シート搬送方向上流側
X2 シート搬送方向下流側
P シート
PA シートの端部
PB シート搬送方向下流側の部位
Z 近接離間する方向
Z1 接触方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】