(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220201BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
H01L21/30 541F
H01L21/30 541L
G03F7/20 504
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2018151710
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】西村 理恵子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 干城
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正純
(72)【発明者】
【氏名】石川 広生
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151371(JP,A)
【文献】特開2012-160574(JP,A)
【文献】特開2006-203067(JP,A)
【文献】特開2001-283760(JP,A)
【文献】特開2010-123694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画対象の基板が載置される移動可能なステージと、
荷電粒子ビームを用いて、移動している前記ステージ上に載置される基板の表面にパターンを描画する描画部と、
静止している前記ステージ上に載置された基板の高さ分布を測定する測定部と、
前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正する補正部と、
前記描画位置における補正された基板表面高さに基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点位置を調整する制御部と、
を備える荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度及び加速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正することを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記ステージは、前記基板に描画するパターンの密度に応じて移動速度が変わることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
荷電粒子ビームを用いて、移動しているステージ上に載置される基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、
前記ステージを停止している状態で、前記ステージ上に載置された基板の高さ分布を測定する工程と、
前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正する工程と、
前記描画位置における補正された基板表面高さに基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点位置を調整する工程と、
を備える荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項5】
前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度及び加速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置の基板表面高さを補正することを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、縮小投影型露光装置を用いて、石英上に形成された高精度の原画パターン(マスク、或いは特にステッパやスキャナで用いられるものはレチクルともいう。)をウェーハ上に縮小転写する手法が採用されている。高精度の原画パターンは、電子ビーム描画装置によって描画され、所謂、電子ビームリソグラフィ技術が用いられている。
【0003】
電子ビーム描画装置では、ステージ位置を測定しながら、移動するステージ上に載置された基板にパターンを描画する。電子ビーム描画装置を用いて基板上にパターンを描画する場合、描画位置のずれや電子ビームの焦点ずれなどを避けるために、基板表面の正確な高さを測定し、測定された高さに応じてレンズを調整し、電子ビームを基板表面に収束させていた。例えば、電子ビーム描画装置の高さ測定部を用いて、描画前に、基板表面に光を照射して反射光を検出し、基板表面の高さ分布を測定していた。
【0004】
しかし、描画前に測定した高さ分布を用いて電子ビームの焦点位置を調整しても、電子ビームの位置ずれを十分に抑えることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-277373号公報
【文献】特開2010-123694号公報
【文献】特開2011-151111号公報
【文献】特開2009-147254号公報
【文献】特開2010-117507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ビームの描画位置のずれを低減する荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ステージ速度に応じて、ステージ上に載置されている基板の表面高さが変化しており、ステージ速度を考慮して基板表面高さを算出し、焦点位置を調整することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置は、描画対象の基板が載置される移動可能なステージと、荷電粒子ビームを用いて、移動している前記ステージ上に載置される基板の表面にパターンを描画する描画部と、静止している前記ステージ上に載置された基板の高さ分布を測定する測定部と、前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正する補正部と、前記描画位置における補正された基板表面高さに基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点位置を調整する制御部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置において、前記補正部は、前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度及び加速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正する。
【0010】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置において、前記ステージは、前記基板に描画するパターンの密度に応じて移動速度が変わる。
【0011】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法は、荷電粒子ビームを用いて、移動しているステージ上に載置される基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、前記ステージを停止している状態で、前記ステージ上に載置された基板の高さ分布を測定する工程と、前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置における基板表面高さを補正する工程と、前記描画位置における補正された基板表面高さに基づいて、前記荷電粒子ビームの焦点位置を調整する工程と、を備えるものである。
【0012】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法において、前記基板の高さ分布から求まる描画位置の基板表面高さに、前記ステージの移動速度及び加速度に基づく基板の高さ変動を加算して、描画位置の基板表面高さを補正する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビームの描画位置のずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
【
図4】同実施形態に係る描画方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
【0016】
図1に示す描画装置は、マスクやウェーハ等の対象物に電子ビームを照射して所望のパターンを描画する描画部100と、描画部100による描画動作を制御する制御部200とを備える。描画部100は、電子ビーム鏡筒102及び描画室104を有している。
【0017】
電子ビーム鏡筒102内には、電子銃101、照明レンズ112、投影レンズ114、対物レンズ116、ブランキングアパーチャ120、第1アパーチャ122、第2アパーチャ124、ブランキング偏向器130、成形偏向器132、主偏向器134及び副偏向器136が配置されている。
【0018】
描画室104内には、移動可能に配置されたXYステージ140が配置されている。XYステージ140上には、描画対象となる基板150が載置されている。なお、基板として、例えば、ウェーハや、ウェーハにパターンを転写する露光用のマスクが含まれる。また、このマスクは、例えば、まだ何もパターンが形成されていないマスクブランクスが含まれる。
【0019】
描画室104には、基板150の上方から基板150の表面に向かって斜めにレーザ光を照射する照射部、及び基板150の表面で反射したレーザ光を受光する受光部を有するZセンサ160(高さ測定部)が設けられている。
【0020】
制御部200は、記憶装置202、204、206、制御計算機210、偏向制御部220、及びステージ制御部230を備えている。記憶装置202、204、206は、例えば磁気ディスク装置である。記憶装置202には描画データが格納されている。この描画データには、図形パターンの形状及び位置が定義されている。
【0021】
制御計算機210は、Zマップ作成部212、ショットデータ生成部214、描画制御部216、関数生成部217、及び補正部218を備える。Zマップ作成部212、ショットデータ生成部214、描画制御部216、関数生成部217及び補正部218の各機能は、ソフトウェアで構成されてもよいし、ハードウェアで構成されてもよい。
【0022】
電子銃101から放出された電子ビーム103は、照明レンズ112により矩形の穴を持つ第1アパーチャ122全体を照明する。ここで、電子ビーム103は矩形に成形される。そして、第1アパーチャ122を通過した第1アパーチャ像の電子ビーム103は、投影レンズ114により第2アパーチャ124上に投影される。第2アパーチャ124上での第1アパーチャ像の位置は、成形偏向器132によって偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。第2アパーチャ124を通過した第2アパーチャ像の電子ビーム103は、対物レンズ116により焦点を合わせ、主偏向器134及び副偏向器136により偏向されて、連続移動するXYステージ140上の基板150の所望の位置に照射される。
【0023】
電子銃101から放出された電子ビーム103は、ブランキング偏向器130によって、ビームオンの状態では、ブランキングアパーチャ120を通過するように制御され、ビームオフの状態では、ビーム全体がブランキングアパーチャ120で遮蔽されるように偏向される。ビームオフの状態からビームオンとなり、その後ビームオフになるまでにブランキングアパーチャ120を通過した電子ビームが1回の電子ビームのショットとなる。各ショットの照射時間により、基板150に照射される電子ビームのショットあたりの照射量が調整されることになる。
【0024】
図2は、パターン描画時のステージ移動の一例を示す図である。基板150に描画する場合には、XYステージ140を例えばx方向に連続移動させながら、描画領域10を電子ビーム103が偏向可能な幅の短冊状の複数のストライプ(フレーム)20に仮想分割し、基板150の1つのストライプ20上に電子ビーム103を照射する。連続移動させることで描画時間を短縮させることができる。そして、1つのストライプ20を描画し終わったら、XYステージ140をy方向にステップ送りし、x方向(逆向き)に次のストライプ20の描画動作を行う。
【0025】
XYステージ140の移動速度は可変であり、例えば、描画パターンのパターン密度によって変わる。例えば、密なパターンを描画する際はステージ速度を遅くし、疎なパターンを描画する際はステージ速度を速くする。
【0026】
ストライプ20の幅は、主偏向器134により偏向可能な幅である。そして、各ストライプ20においてy方向にもストライプのx方向の幅と同じ幅で区切られる。この区切られた領域が、主偏向器134により偏向可能な主偏向領域となる。この主偏向領域をさらに細分化した領域が副偏向領域となる。
【0027】
副偏向器136は、ショット毎の電子ビーム103の位置を高速かつ高精度に制御するために用いられる。そのため、偏向範囲は副偏向領域に限定され、その領域を超える偏向は主偏向器134で副偏向領域の位置を移動することによって行う。一方、主偏向器134は、副偏向領域の位置を制御するために用いられ、複数の副偏向領域が含まれる範囲(主偏向領域)内で移動する。また、描画中はXYステージ140がx方向に連続的に移動しているため、主偏向器134で副偏向領域の描画原点を随時移動(トラッキング)することでXYステージ140の移動に追従させることができる。
【0028】
電子ビーム描画装置では、焦点高さ位置(Z=0)が基板150の表面と合うように、レンズ系の調整が行われる。基板150の高さが焦点高さ位置からずれると、
図3に示すように、基板表面における主偏向領域の形状が回転したり伸縮したりする。
図3に示す例では、基板の表面高さが負の方向(レンズ系から遠くになる方向)にずれるにしたがって、主偏向領域は、徐々に、左回りに回転していき、領域サイズが伸びていく。逆に、基板の表面高さが正の方向(レンズ系に近づく方向)にずれるにしたがって、主偏向領域は、徐々に、右回りに回転していき、領域サイズが縮小していく。
【0029】
本実施形態では、基板150の表面高さの分布を事前に測定しておき、描画位置の高さに応じた光学系の補正(焦点合わせ、主偏向領域の形状の伸縮・回転補正)を行う。さらに、本実施形態では、XYステージ140の移動速度に応じて基板150の高さが変わることに着目し、ステージ移動速度(及び加速度)に基づいて基板150の表面高さを補正し、補正後の高さに基づいて光学系の補正を行う。
【0030】
図4に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る描画方法を説明する。
図4のフローチャートにおいて、ステップS101~S105、S111~S115は描画開始前の前処理である。
【0031】
まず、XYステージ140に評価基板を載置し、Zセンサ160を用いて、評価基板面の高さ位置(Z値)を測定する(ステップS101)。測定は、XYステージ140を停止させた状態で行う。Zセンサ160の出力は制御計算機210へ出力される。Z値を測定する位置は細分化した方がより精度が向上するが、例えば、8×8ヶ所程度の位置のZ値を測定する。
【0032】
Zマップ作成部212が、得られたZ値をフィッティングして、高さ方向分布(Zマップ)を作成する(ステップS102)。
【0033】
評価基板に評価パターンを描画する(ステップS103)。ショットデータ生成部212が記憶装置202から評価パターンの描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。ショットデータには、ショット毎に、例えば、各ショット図形の図形種を示す図形コード、図形サイズ、ショット位置、照射時間等が含まれる。ショットデータはメモリ(図示略)に一時的に格納される。描画制御部216はショットデータを偏向制御部220へ出力する。
【0034】
偏向制御部220は、ショットデータに基づいて、偏向器130、132、134、136を制御する偏向信号を生成する。偏向信号は、図示しないDACアンプによりD/A変換された後に増幅され、偏向器130、132、134、136の電極に印加される。これにより、所望の形状の電子ビームを、評価基板の所望の位置に、所望の照射時間(照射量)で、照射することができる。なお、評価パターンは、評価基板を停止した状態で描画される。評価パターンは、ラインパターンでもよく、ホールパターンでもよい。
【0035】
描画された評価パターンの位置を測定し、主偏向領域の回転量と伸縮量とを測定する(ステップS104)。例えば、描画された評価パターンの測定位置を、x,yの2変数の1次関数でフィッティングすることで各位置での主偏向領域の回転量と伸縮量を演算できる。
【0036】
ステップS102で作成したZマップと、ステップS104で算出した各位置での主偏向領域の回転量及び伸縮量とから、基板面高さが変わることで主偏向領域の形状がどの程度回転及び伸縮するかを示すZ依存位置ずれ係数b1、b2を算出する(ステップS105)。算出された係数b1、b2は、後述の補正式で利用されるものであり、記憶装置206に格納される。
【0037】
また、描画位置に応じた主偏向領域の歪みを補正する補正係数a0、a1、a2等を算出し、記憶装置206に格納しておく。例えば、XYステージ140を移動させてステージ上のマーク(図示略)を所望する主偏向領域の各位置に移動させる。そして、主偏向領域内の各位置に電子ビームを偏向してマーク位置を計測し、その残差を求める。そして、得られた残差を、x、yを変数とする関数式でフィッティングすることにより、係数a0、a1、a2等が算出される。係数a0、a1、a2等も後述の補正式で利用されるものである。
【0038】
マークの高さをzとしたときの係数a1、a2、マークの高さをz´としたときの係数a1´、a2´を求め、Z依存位置ずれ係数b1をb1=(a1-a1´)/(a2-a2´)という式から算出してもよい。
【0039】
XYステージ140に評価基板を載置し、XYステージ140を移動させた状態で、Zセンサ160を用いて、評価基板面の高さ位置(Z値)を測定する(ステップS111)。測定は、XYステージ140の速度v、加速度aを変えながら、複数の速度、加速度でのZ値を測定する(ステップS113,S114)。関数生成部217は、測定結果から、ステージ速度v、加速度aによる基板面の高さの変動量を表す関数fを算出する(ステップS115)。関数fは、記憶装置206に格納される。
【0040】
係数a0、a1、a2、b1、b2、関数fを求めた後、描画対象の基板150に対して実描画を行う。基板150に対して描画するパターンの描画データは、記憶装置202に外部から入力され、格納される。
【0041】
Zセンサ160を用いて、基板150の高さ方向分布を測定する(ステップS121)。Zマップ作成部212が、各位置で測定された高さ位置(Z値)を用いて、高さ方向分布(Zマップ)を作成する(ステップS122)。Zマップは記憶装置204に格納される。
【0042】
描画処理を開始する(ステップS123)。例えば、ショットデータ生成部214が記憶装置202から描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行って、装置固有のショットデータを生成する。描画装置で図形パターンを描画するためには、1回のビームのショットで照射できるサイズに描画データに定義された各図形パターンを分割する必要がある。そこで、ショットデータ生成部214は、描画データが示す図形パターンを1回のビームのショットで照射できるサイズに分割してショット図形を生成する。そして、ショット図形毎にショットデータを生成する。ショットデータには、例えば、図形種、図形サイズ、照射位置、及び照射量が定義される。生成されたショットデータはメモリ(図示略)に順次一時的に格納される。
【0043】
描画制御部216が、ショットデータを偏向制御部220へ出力する。偏向制御部220は、ショットデータに基づいて、各偏向器を制御する偏向信号を生成する。
【0044】
描画制御部218は、描画パターンの密度に応じたステージ速度になるように、速度指令信号をステージ制御部230へ出力する。ステージ制御部230は、速度指令信号に基づいて、XYステージ140の速度(加速度)を制御する。
【0045】
補正部218が、速度指令信号から、XYステージ140の速度v、加速度aの情報を取得する(ステップS124)。速度v、加速度aは、XYステージ140の位置を測定するレーザ測長計から得た変位データを微分することで、リアルタイムに取得するようにしてもよい。
【0046】
補正部218が、偏向制御部220へ出力されるショットデータから、描画位置(ビーム照射位置)x、yを取得する(ステップS125)。
【0047】
補正部218が、XYステージ140の速度v、加速度aによる基板表面の高さの変動量f(v、a)を算出し、Zマップから求まる描画位置x、yにおける基板表面高さZmap(x、y)を補正する(ステップS126)。描画位置における補正後の基板表面高さz(x、y、v、a)は以下の式で表される。
z(x、y、v、a)=Zmap(x、y)+f(v、a)
【0048】
ショットデータから、主偏向器134による電子ビームの偏向位置mx、my(主偏向位置。副偏向領域の描画原点。)を取得する(ステップS127)。
【0049】
以下の補正式を用いて、DAC値(主偏向器134に設定される電圧値を決定するDAC(図示略)へ出力される値)を求め、主偏向領域の形状を補正する(ステップS128)。
DAC値X=(a0+b0*z)+(a1+b1*z)mx+(a2+b2*z)my
DAC値Yも同様に算出できる。補正式は1次でなくてもよく、例えば3次式でもよい。
【0050】
描画制御部216は、算出された主偏向領域の形状補正量に基づいて、対物レンズ116を制御して、焦点位置を調整し、主偏向領域の回転・伸縮を補正し、描画処理を行う。
【0051】
このように、本実施形態によれば、ステージ速度(加速度)による基板面高さの変動を考慮して、事前に測定した基板面高さを補正し、基板面高さを高精度に算出できる。そのため、焦点位置の調整等を精度良く行い、ビームの描画位置のずれを低減できる。
【0052】
上記実施形態では、ステージの速度及び加速度の変化に伴う基板面高さの変動について説明したが、速度/加速度を基板面高さの変動量に変換する関数fは、さらに位置を変数に含むものであってもよい。
【0053】
上記実施形態では、ステージの速度及び加速度の変化に伴う基板面高さの変動を考慮する例について説明したが、加速度は省略し、ステージの速度変化に伴う基板面高さの変動のみを考慮してもよい。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 描画部
101 電子銃
102 電子ビーム鏡筒
103 電子ビーム
104 描画室
112 照明レンズ
114 投影レンズ
116 対物レンズ
120 ブランキングアパーチャ
122 第1アパーチャ
124 第2アパーチャ
130、132、134、136 偏向器
140 XYステージ
160 Zセンサ
200 制御部
202、204、206 記憶装置
210 制御計算機
214 ショットデータ生成部
216 描画制御部
220 偏向制御部
230 ステージ制御部