(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-31
(45)【発行日】2022-02-08
(54)【発明の名称】シーラントフィルム、ラミネートフィルム及び包装材
(51)【国際特許分類】
B32B 25/08 20060101AFI20220201BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220201BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B32B25/08
B32B27/32 E
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021566498
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032220
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020154454
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】時枝 大貴
(72)【発明者】
【氏名】森谷 貴史
【審査官】橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5882749(US,A)
【文献】特開2008-200960(JP,A)
【文献】特開2015-071290(JP,A)
【文献】特開2020-015546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B65D65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)が積層されたシーラントフィルムであって、
前記粘着樹脂層(B)が、熱可塑性エラストマー(b1)及び粘着付与樹脂(b2)を含有し、
前記剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)を、前記剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の40質量%以上含有し、
さらに、前記剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)を、前記剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の0~60質量%含有し、
前記ヒートシール樹脂層(D)がオレフィン系樹脂(d1)を含有し、
前記ヒートシール樹脂層(D)が、熱可塑性エラストマー(d2)を、前記ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の0~80質量%含有し、
下記式で表される前記エチレン系アイオノマー(c2)及び前記熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合が20~60%であることを特徴とするシーラントフィルム。
[((Wc2/Wct)×100)+((Wd2/Wdt)×100)]/2
Wct:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wc2:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の前記エチレン系アイオノマー(c2)の含有量(質量)
Wdt:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wd2:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の前記熱可塑性エラストマー(d2)の含有量(質量)
【請求項2】
前記粘着樹脂層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(b1)が、スチレン系エラストマー、エチレン系エラストマー又はプロピレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のシーラントフィルム。
【請求項3】
前記ヒートシール樹脂層(D)に含まれるオレフィン系樹脂(d1)がプロピレン系樹脂である請求項1又は2に記載のシーラントフィルム。
【請求項4】
前記表面樹脂層(A)が、オレフィン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する樹脂層である請求項1~3のいずれかに記載のシーラントフィルム。
【請求項5】
前記粘着樹脂層(B)と前記剥離樹脂層(C)の界面で剥離した後、再封止可能な請求項1~4のいずれかに記載のシーラントフィルム。
【請求項6】
ヒートシールした後に剥離し、23℃、0.2MPa、シール時間1秒の条件で再度圧着した後、23℃、50%RHの条件で5分間静置した後に測定される再封止後のシール強度が、2N/15mm以上である請求項1~5のいずれかに記載のシーラントフィルム。
【請求項7】
フィルムの総厚みが10~100μmである請求項1~6のいずれかに記載のシーラントフィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のシーラントフィルムを含むラミネートフィルム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載のシーラントフィルムを含む包装材。
【請求項10】
プロピレン系樹脂を主成分とする開口部を有する容器の開口部の封止に使用する請求項9に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器のヒートシール部等の被着体に対して良好な接着性を有し、かつ好適に剥離できると共に、剥離後も再度の封止が可能なシーラントフィルム、ラミネートフィルム及び包装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の食品や医療品の包装材として、容易に開封が可能なイージーピールフィルムを使用した包装材が広く使用されている。イージーピールフィルムを使用した包装材において、残存した内容物の保存等を目的に、一旦開封した後にも簡易に再封が可能である、再封止性の実現が求められている。
【0003】
再封止性のフィルムとしては、例えば、非晶性オレフィン系樹脂を含有する粘着樹脂層と、熱可塑性樹脂を含有してなるヒートシール樹脂層を積層した多層フィルム(特許文献1参照)や、アミド系樹脂等を使用した剥離樹脂層上に、スチレン系エラストマーを主成分とする粘着樹脂層を積層した多層フィルム(特許文献2参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-119075号公報
【文献】特開2016-043964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記多層フィルムは、積層する樹脂層を特定の構成とすることで、一旦開封した後にも再度の封止が可能な再封止性を有するものである。しかし、再封止後のシール強度が十分でないと、残存内容物の保存が十分にできない場合や、内容物の脱落等が生じることから、再封止後のシール強度を更に向上することが望まれている。
【0006】
また、再封止後のシール強度を向上するためフィルム構成を調整すると、初期の剥離強度が高くなって易開封性が損なわれる場合や、シール面が良好に露出せず所望の再封止性が得られない場合があった。
【0007】
本願発明が解決しようとする課題は、フィルム同士や被着体への好適なヒートシール性と易開封性とを有し、かつ、一旦開封した際にも好適に再度の封止が可能なラミネートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、 表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)が積層されたシーラントフィルムであって、前記粘着樹脂層(B)が、熱可塑性エラストマー(b1)及び粘着付与樹脂(b2)を含有し、前記剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)を、前記剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の40質量%以上含有し、さらに、前記剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)を、前記剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の0~60質量%含有し、前記ヒートシール樹脂層(D)がオレフィン系樹脂(d1)を含有し、前記ヒートシール樹脂層(D)が、熱可塑性エラストマー(d2)を、前記ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の0~80質量%含有し、下記式で表される前記エチレン系アイオノマー(c2)及び前記熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合が20~60%であることを特徴とするシーラントフィルムにより、上記課題を解決するものである。
[((Wc2/Wct)×100)+((Wd2/Wdt)×100)]/2
Wct:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wc2:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)の含有量(質量)
Wdt:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wd2:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の熱可塑性エラストマー(d2)の含有量(質量)
【0009】
また本発明は、前記記載のシーラントフィルムを含むラミネートフィルムにより、上記課題を解決するものである。。
【0010】
また本発明は、前記記載のシーラントフィルムを含む包装材により、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシーラントフィルムは、好適なヒートシール性と易開封性とを有すると共に、一旦開封した後にも優れたシール強度での再封が可能であり、開封後も残存内容物を好適に保護できることから、各種の食品や医療品等の包装用途に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシーラントフィルムは、表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)が積層されたシーラントフィルムである。そして、粘着樹脂層(B)が、熱可塑性エラストマー(b1)及び粘着付与樹脂(b2)を含有する樹脂層であり、剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)を剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の40質量%以上含有する層であり、ヒートシール樹脂層(D)がオレフィン系樹脂(d1)を含有する。
さらに、剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)を、剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の0~60質量%含有し、ヒートシール樹脂層(D)が、熱可塑性エラストマー(d2)をヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の0~80質量%含有し、シーラントフィルムにおけるエチレン系アイオノマー(c2)及び前記熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合が、下記式で表される割合で20~60%である。
[((Wc2/Wct)×100)+((Wd2/Wdt)×100)]/2
Wct:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wc2:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)の含有量(質量)
Wdt:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wd2:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の熱可塑性エラストマー(d2)の含有量(質量)
【0013】
[表面樹脂層(A)]
表面樹脂層(A)は、シーラントフィルムのヒートシール樹脂層(D)とは他方の表面を形成する層である。表面樹脂層(A)に使用する樹脂としては、シーラントフィルムに使用される各種樹脂を使用できるが、他の層との密着性を得やすいことから、オレフィン系樹脂を主たる樹脂成分として好ましく使用できる。表面樹脂層(A)にオレフィン系樹脂を使用する場合には、当該オレフィン系樹脂の含有量が表面樹脂層(A)に含まれる樹脂成分中の80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、使用する樹脂成分がオレフィン系樹脂のみであることも好ましい。
【0014】
表面樹脂層(A)に使用するオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ブチレン系樹脂等を使用でき、なかでもエチレン系樹脂を主たる樹脂成分として使用することが好ましい。エチレン系樹脂を主たる樹脂成分として使用する場合には、表面樹脂層(A)に使用するオレフィン系樹脂中の当該エチレン系樹脂の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。また、使用するオレフィン系樹脂がエチレン系樹脂のみであることも好ましい。
【0015】
エチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体が例示できる。当該エチレン系樹脂は、単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。当該エチレン系樹脂の中でも好適な耐衝撃性を得やすいことから、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレンを好ましく使用でき、直鎖状低密度ポリエチレンを特に好ましく使用できる。
【0016】
上記エチレン系樹脂の密度は、良好な耐衝撃性を得やすいことから、好ましくは0.950g/cm3以下、より好ましくは0.940g/cm3以下である。また、0.900g/cm3以上であることが好ましく、0.910g/cm3以上であることがより好ましい。
【0017】
上記エチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.5~50g/10分(190℃、21.18N)、好ましくは1~30g/10分(190℃、21.18N)、より好ましくは2~20g/10分(190℃、21.18N)である。MFRがこの範囲であると、良好な成膜性が得られる点で好ましい。
【0018】
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体や、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体等のプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等を使用できる。これらプロピレン系樹脂等のエチレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂を使用する場合には、当該プロピレン系樹脂等の含有量が表面樹脂層(A)に使用するオレフィン系樹脂中の50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
表面樹脂層(A)中には、上記以外の他の樹脂を併用してもよい。当該他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、ブテン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を例示できる。
【0020】
上記他の樹脂を使用する場合には、その含有量が表面樹脂層(A)に含まれる樹脂成分中の20質量%以下で使用することが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
表面樹脂層(A)中には、上記樹脂成分以外に各種添加剤等を適宜併用してもよい。当該添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、防曇剤等、着色剤等を適宜使用できる。当該添加剤を使用する場合には、表面樹脂層(A)に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは0.01~3質量部程度で使用する。
【0022】
特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、表面樹脂層(A)の摩擦係数は0.9以下、中でも0.8以下である事が好ましいので、表面樹脂層(A)には、滑剤やブロッキング防止剤を適宜添加することも好ましい。
【0023】
表面樹脂層(A)のシーラントフィルムの総厚みに対する厚み比率は、好適な耐衝撃性を得やすいことから、20~70%の範囲であることが好ましく、30~60%の範囲であることがより好ましい。
【0024】
[粘着樹脂層(B)]
粘着樹脂層(B)は、熱可塑性エラストマー(b1)及び粘着付与樹脂(b2)を含有する樹脂層であり、本発明のシーラントフィルム又はシーラントフィルムを構成に含むフィルムをヒートシール後に剥離(開封)した際に、接着による再封止に寄与する層である。剥離、再封止の態様としては、粘着樹脂層(B)と剥離樹脂層(C)の界面で剥離し、当該剥離した粘着樹脂層(B)と剥離樹脂層(C)を再度接触させ、必要により押圧することで、再封止する態様が好ましい。なお、粘着樹脂層(B)/剥離樹脂層(C)界面での剥離に際しては、粘着樹脂層(B)の一部が剥離樹脂層(C)表面に残存したり、剥離樹脂層(C)の一部が粘着樹脂層(B)の表面に残存したりしてもよいが、剥離後の粘着樹脂層(B)表面における粘着樹脂層(B)の露出部の占める割合が、剥離部の面積中の60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。剥離面に占める粘着樹脂層(B)の露出部の割合を当該範囲とすることで、好適な再封止性を得やすくなる。
【0025】
粘着樹脂層(B)に使用する熱可塑性エラストマー(b1)としては、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、ブテン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー等を使用できる。なかでも、エチレン系エラストマーは、安価で好適な易剥離性と再封止性を得やすいことから好ましく使用できる。また、スチレン系エラストマーは、特に優れた易剥離性と再封止性を得やすいことから好ましく使用できる。
【0026】
上記エチレン系エラストマーは、モノマー成分としてエチレンを含有している熱可塑性エラストマーであり、モノマー成分としてエチレンをモノマー成分全量に対して50モル%以上、好ましくは50~90モル%、より好ましくは、60~85モル%程度含有するエラストマーである。エチレンと共重合可能なモノマーとしては、エチレン以外のα-オレフィン、例えば、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等を例示できる。なかでも、α-オレフィンとのランダム共重合を好ましく使用でき、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体が特に好ましい。
【0027】
上記エチレン系エラストマーの密度は、0.870~0.943g/cm3の範囲が好ましく、再封する際に良好な密着性を得られることから、0.870~0.910g/cm3であることがより好ましい。
【0028】
上記エチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分(190℃、21.18N)が好ましく、他樹脂層との流動性を合わせやすいことから2~15g/10分(190℃、21.18N)であることがより好ましい。
【0029】
上記スチレン系エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン(SBBS)等のA-B-A型ブロックポリマー;スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-イソプレン(SI)、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン-エチレン-プロピレン共重合体(SEP)等のA-Bブロックポリマー;スチレン-ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体;スチレン-エチレン-ブチレン共重合体-オレフィン結晶(SEBC)等のA-B-C型のスチレン-オレフィン結晶系ブロックポリマー、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。なかでも、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン(SBBS)は、特に好適な易剥離性と再封止性を得やすいため好ましい。
【0030】
上記スチレン系エラストマーの密度は、0.92~1.1g/cm3の範囲が好ましい、剥離樹脂層との密着性向上に寄与することから0.92~1.0g/cm3であることがより好ましい。
【0031】
上記スチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分(190℃、21.18N)が好ましく、他樹脂層との流動性を合わせやすいことから2~15g/10分(190℃、21.18N)であることがより好ましい。
【0032】
粘着樹脂層(B)中の熱可塑性エラストマー(b1)の含有量は、粘着樹脂層(B)に含まれる樹脂成分中の10~60質量%であることが好ましく、15~55質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることが更に好ましい。熱可塑性エラストマー(b1)の含有量を当該範囲とすることで、剥離時の好適な凝集力や易剥離性、さらには、再封止時の良好な接着性を得やすくなる。
【0033】
粘着樹脂層(B)に使用する粘着付与樹脂(b2)としては、天燃樹脂や合成樹脂からなる常温で粘着性を有する樹脂が挙げられ、例えば、天然樹脂ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン、グリセリンエステルロジン、ペンタエリスリトール等のロジン系樹脂;テルペン、芳香族変性テルペン、テルペンフェノール、水素添加テルペン等のテルペン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、水添脂環式系石油樹脂等の石油樹脂; 常温で液状のポリブタジエン、常温で液状のポリイソプレン、常温で液状のポリイソブチレンなどが挙げられ、なかでも、易剥離性や再封止性を調整しやすいことから、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂が好ましい。
【0034】
粘着樹脂層(B)中の上記粘着付与樹脂(b2)の含有量は、粘着樹脂層(B)に含まれる樹脂成分中の40~90質量%であることが好ましく、45~85質量%であることがより好ましく、50~80質量%であることが更に好ましい。上記粘着付与樹脂(b2)の含有量を当該範囲とすることで、剥離時の好適な凝集力や易剥離性、さらには、再封止時の良好な接着性を得やすくなる。
【0035】
粘着樹脂層(B)には、上記熱可塑性エラストマー(b1)、粘着付与樹脂(b2)以外の他の樹脂を併用してもよい。当該他の樹脂としては、上記表面樹脂層(A)において例示したオレフィン系樹脂等を好適に使用できる。
【0036】
粘着樹脂層(B)中の当該他の樹脂の含有量は、粘着樹脂層(B)に含まれる樹脂成分中の30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、5~15質量%であることがさらに好ましい。当該範囲であれば、好適な易剥離性や再封止性を保持しつつ、添加する樹脂の特性を付与しやすくなる。
【0037】
なお、粘着樹脂層(B)においても上記表面樹脂層(A)にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。好ましい使用量も上記表面樹脂層(A)と同様である。
【0038】
粘着樹脂層(B)のシーラントフィルムの総厚みに対する厚み比率は、好適な再封止後のシール強度を得やすいことから、10~60%であることが好ましく、20~50%の範囲であることがより好ましい。
【0039】
[剥離樹脂層(C)]
剥離樹脂層(C)は、極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)を、剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の40質量%以上含有する層である。当該剥離樹脂層(C)は、本発明のシーラントフィルム又はシーラントフィルムを構成に含むフィルムをヒートシールした後、引き剥がして剥離(開封)した際、粘着樹脂層(B)/剥離樹脂層(C)の層間を剥離させて粘着樹脂層(B)を露出させる。また当該剥離樹脂層(C)は、再封止時には粘着樹脂層(B)と接着する。
【0040】
剥離樹脂層(C)に使用する極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)(以下、当該アイオノマーを、高極性アイオノマー、と称する場合がある。)の極性基濃度は、5.8モル%以上であることが好ましく、6モル%以上であることがより好ましく、6.5モル%以上であることが更に好ましい。また、15モル%以下であることが好ましく、12モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが更に好ましい。当該極性基濃度とすることで好適な再封止後のシール強度等の効果を得やすくなる。
【0041】
なお、上記極性基濃度は、樹脂ペレット(0.025g)をNMR管チューブに入れ、ここに重べンゼン(C6D6)/オルトジクロロベンゼン(ODCB)=1/3(V/V)混液を0.5cc入れ、乾燥機で2日間125℃加温することで溶解させた後、130℃加温条件下にて、H-NMR測定を実施し、エチレン鎖とメタクリル酸のメチル基のシグナル強度を基に算出した。
【0042】
上記極性基としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等が挙げられるが、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
【0043】
上記高極性アイオノマー(c1)としては、例えば、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等を使用でき、エチレン-アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属中和物を好ましく使用できる。
【0044】
上記高極性アイオノマー(c1)のメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分(190℃、21.18N)が好ましく、他樹脂層との流動性を合わせやすいことから2~17/10分(190℃、21.18N)であることがより好ましい。
【0045】
剥離樹脂層(C)中の上記高極性アイオノマー(c1)の含有量は、剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の40質量%以上とすることで、剥離樹脂層(C)の脱落や、剥離時の剥離樹脂層(C)/ヒートシール層(D)界面での剥離を抑制でき、粘着樹脂層(B)/剥離樹脂層(C)界面での好適な易剥離性を実現できる。当該含有量は好ましくは50~100質量%、より好ましくは50~75質量%である。
【0046】
剥離樹脂層(C)中には、上記高極性アイオノマー(c1)に、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)(以下、当該アイオノマーを、低極性アイオノマー、と称する場合がある。)を併用することも好ましい。当該低極性アイオノマー(c2)を併用することで剥離樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との密着性向上等の効果を得やすくなる。
【0047】
低極性アイオノマー(c2)の極性基濃度は、5.5モル%以下とすることが好ましく、5.2モル%以下とすることがより好ましく、5モル%以下とすることが更に好ましい。また、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることが更に好ましい。当該極性基濃度とすることで、好適な再封止後のシール強度発現等の効果を得やすくなる。なお、当該極性基濃度の測定方法は、上記高極性アイオノマーの極性基濃度測定方法と同様である。
【0048】
上記低極性アイオノマー(c2)としては、例えば、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等を使用でき、エチレン-アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン-メタクリル酸共重合体の金属中和物を好ましく使用できる。
【0049】
上記低極性アイオノマーのメルトフローレート(MFR)は、0.5~20g/10分(190℃、21.18N)が好ましく、他樹脂層との流動性を合わせやすいことから2~17g/10分(190℃、21.18N)であることがより好ましい。
【0050】
低極性アイオノマー(c2)を使用する場合には、剥離樹脂層(C)中の低極性アイオノマー(c2)の含有量を、剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の60質量%以下とすることで、好適な再封止後のシール強度を実現しやすくなる。当該含有量は好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
【0051】
剥離樹脂層(C)には、上記高極性アイオノマー(c1)、低極性アイオノマー(c2)以外の樹脂として、上記表面樹脂層(A)において例示したオレフィン系樹脂等を使用してもよい。当該他の樹脂を使用する場合には、当該他の樹脂の含有量が、剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の20質量%以下であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、好適な易剥離性や再封止性を保持しつつ、添加する樹脂の特性を付与しやすくなる。
【0052】
なお、剥離樹脂層(C)においても上記表面樹脂層(A)にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。好ましい使用量も上記表面樹脂層(A)と同様である。
【0053】
剥離樹脂層(C)のシーラントフィルムの総厚みに対する厚み比率は、好適な剥離性を得やすいことから、20%以下であることが好ましく、5~15%の範囲であることがより好ましい。
【0054】
[ヒートシール樹脂層(D)]
ヒートシール樹脂層(D)は、オレフィン系樹脂(d1)を含有する樹脂層である。当該ヒートシール樹脂層(D)を使用することで、被着体への好適なヒートシール性を実現しつつ、剥離時にも剥離樹脂層(C)の脱落が生じにくい好適な層間密着性を実現できる。
【0055】
ヒートシール樹脂層(D)に使用するオレフィン系樹脂(d1)としては、表面樹脂層(A)で例示した、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ブチレン系樹脂等を好適に使用できる。当該樹脂種は、被着体に応じて適宜選択して使用することが好ましく、被着面がプロピレン系樹脂からなる被着体に使用する場合には、プロピレン系樹脂を好ましく使用できる。
当該プロピレン系樹脂としては、表面樹脂層(A)で例示したプロピレン系樹脂を使用でき、特に、メタロセン触媒を使用したプロピレン単独重合体を好ましく使用できる。
【0056】
上記プロピレン系樹脂としては、230℃でのメルトフローレートが0.5~20g/10minであることが好ましく、2~15g/10minであることがより好ましい。メルトフローレートを当該範囲とすることで、好適な押出成形性を得やすくなる。
【0057】
オレフィン系樹脂(d1)の含有量は、ヒートシール性樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の10~90質量%以上であることが好ましく、20~85質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることがさらに好ましい。また、上記プロピレン系樹脂を使用する場合には、オレフィン系樹脂(d1)中の上記プロピレン系樹脂の含有量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、上記プロピレン系樹脂のみであることも好ましい。
【0058】
ヒートシール樹脂層(D)には、上記オレフィン系樹脂(d1)に熱可塑性エラストマー(d2)を併用することも好ましい。熱可塑性エラストマー(d2)としては、粘着樹脂層(B)にて例示した熱可塑性エラストマー(b1)と同様のものを例示できる。なかでも、エチレン系エラストマーを好ましく使用できる。
【0059】
熱可塑性エラストマー(d2)の含有量は、ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の0~80質量%であると、好適な再封止性を実現しやすくなる。当該含有量は15~80質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましい。
【0060】
ヒートシール樹脂層(D)には、上記オレフィン系樹脂(d1)、熱可塑性エラストマー(d2)以外の樹脂として、上記表面樹脂層(A)において他の樹脂として例示した樹脂等を使用してもよい。当該他の樹脂を使用する場合には、当該他の樹脂の含有量が、ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の20質量%以下であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、好適なシール性や易剥離性を保持しつつ、添加する樹脂の特性を付与しやすくなる。
【0061】
また、ヒートシール樹脂層(D)には、他層からの低分子量成分のブリードによる滑り性の悪化やブロッキングを抑制するために、ヒートシール樹脂層(D)のヒートシール面にエンボス加工を施すことや、ヒートシール樹脂層(D)中に充填剤を添加することも好ましい。充填剤としては、炭酸カルシウムやタルク等の無機材料が、安価に表面の凹凸形成をしやすく、良好な摩擦係数を維持しやすいため好ましい。
【0062】
当該充填剤の含有量は、ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
【0063】
なお、当該充填剤以外にも、上記表面樹脂層(A)にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。好ましい使用量も上記表面樹脂層(A)と同様である。
【0064】
本発明の構成においては、ヒートシール後の剥離は、粘着樹脂層(B)/剥離樹脂層(C)間での剥離であることから、上記充填剤や滑剤、アンチブロッキング剤等の添加剤をヒートシール樹脂層(D)に添加した場合にも、再封止時の接着性を確保しやすく、安定した再封止強度の多層フィルムとすることができる。
【0065】
ヒートシール樹脂層(D)のシーラントフィルムの総厚みに対する厚み比率は、好適なシール強度や剥離性を得やすいことから、20%以下であることが好ましく、5~15%の範囲であることがより好ましい。
【0066】
[シーラントフィルム]
本発明のシーラントフィルムは、上記表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)を有する。そして、本発明のシーラントフィルムにおいては、剥離樹脂層(C)は低極性アイオノマー(c2)を60質量%以下で含有してもよく、また、ヒートシール樹脂層(D)は熱可塑性エラストマー(d2)を80質量%以下で含有してもよいが、下記式で表される低極性アイオノマー(c2)及び熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合が20~60%となるよう、低極性アイオノマー(c2)及び/又は熱可塑性エラストマー(d2)を各層に含有する。
【0067】
[((Wc2/Wct)×100)+((Wd2/Wdt)×100)]/2
Wct:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wc2:剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中の、極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)の含有量(質量)
Wdt:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分の総量(質量)
Wd2:ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中の熱可塑性エラストマー(d2)の含有量(質量)
【0068】
上記式で表される低極性アイオノマー(c2)及び熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合を上記範囲とすることで、ヒートシール性を損なうことなく、剥離樹脂層(C)/ヒートシール樹脂層(D)の層間強度を高めることができる。その結果、粘着層の露出を好適に調整でき、良好なヒートシール性や易開封性、再封止性を実現できる。
低極性アイオノマー(c2)及び熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合は好ましくは30~60%、より好ましくは35~55%である。低極性アイオノマー(c2)及び熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合を当該範囲とすることで、特に好適な易剥離性や再封止性を得やすくなる。
【0069】
また、上記式で表される低極性アイオノマー(c2)及び熱可塑性エラストマー(d2)の含有割合が30~60質量%であり、かつヒートシール樹脂層(D)中のオレフィン系樹脂(d1)の含有割合が70質量%以下であると、剥離後に粘着層がよく露出し、再封止後のシール強度も非常に良好となるため好ましい。
【0070】
本発明のシーラントフィルムは、フィルムの総厚みが10~100μmのものが好ましく、より好ましくは20~60μm、さらに好ましくは30~50μmである。フィルムの総厚みが当該範囲であれば、安定したシール強度、包装機械適性、優れた耐ピンホール性能、易開封性等を得やすくなる。
【0071】
また、各層の厚みは、上記例示した各層の厚み比率の範囲にて適宜調整すればよいが、例えば、表面樹脂層(A)の厚みとしては、6~70μmであることが好ましく、9~60μmであることがより好ましい。粘着樹脂層(B)の厚みは3~60μmであることが好ましく、6~50μmであることがより好ましい。剥離樹脂層(C)の厚みは1~15μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましい。ヒートシール樹脂層(D)の厚みは1~15μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましい。
【0072】
本発明のシーラントフィルムは、内容物保護の観点から、ポリプロピレンシートとヒートシールした際に、シーラントフィルムをポリプロピレンシートから最初に剥離する際の初期シール強度が5N/15mm以上である事が好ましく、7N/15mm以上であることがより好ましい。なお、当該シール強度は、シール幅1cmで、180℃、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした後、180°方向に300mm/minの速度で剥離したときの最大強度である。
【0073】
また、本発明のシーラントフィルムは、好適な易開封性を得やすいことから上記初期シール強度が20N/15mm以下であることが好ましく、15N/15mm以下であることがより好ましい。
【0074】
なお、上記シール強度としては、ヒートシール温度を160~200℃の温度範囲でヒートシールした際のシール強度が上記範囲であると、ヒートシール時のシール安定性を得やすいため好ましい。
【0075】
本発明のシーラントフィルムは、上記条件にて一旦剥離した後、再封止することができる。再封止後のシール強度は、2N/15mm以上である事が好ましく、3N/15mm以上であることがより好ましい。当該再封止後のシール強度が当該範囲であると、良好な密着性が得られると共に、再封後に衝撃が加わった際の剥がれを好適に抑制できる。
なお、当該再封止後のシール強度は、ヒートシール後に一旦剥離した剥離面を合わせ、23℃、0.2MPa、1秒の条件で押圧した後、5分間、23℃、50%RHの恒温室においてそのままの状態で放置し、5分間放置後、180°方向に300mm/minの速度で剥離したときの最大強度である。上限は特に制限されないが、当該再封止後のシール強度は9N/15mm以下であることが好ましく、7N/15mm以下であることがより好ましい。
【0076】
本発明のシーラントフィルムは、剥離後の剥離面における粘着樹脂層(B)の露出状況が、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。剥離面の粘着樹脂層(B)の露出面の割合が当該範囲であると、再封止時の密着安定性が得やすく、再封後の外部からの衝撃による剥がれや開封を好適に抑制できる。当該露出割合は、例えば、剥離面の写真観察を行い、任意の1cm四方の領域内の露出面の割合を5点程度観察して評価できる。
【0077】
本発明のシーラントフィルムの曇り度は、包装する内容物を視認しやすいことから、30%以下である事が好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0078】
本発明のシーラントフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)、ヒートシール樹脂層(D)に用いる各樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。Tダイ・チルロール法は、比較的高温で溶融押出を行うことができる使用する樹脂の相分離やゲルの発生を抑制しやすいため好ましく、インフレーション法は安価かつ簡便にシーラントフィルムを製造しやすいため好ましい。
【0079】
なお、本発明のシーラントフィルムは、製造時に特別な延伸工程を施さず、無延伸のフィルムとすることで、好適な二次成形性を得やすいため好ましい。
【0080】
また、印刷インキとの接着性や、ラミネート用シーラントフィルムとして使用する場合のラミネート適性を向上させるため、表面樹脂層(A)に表面処理を施してもよい。当該表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
【0081】
[ラミネートフィルム]
本発明のシーラントフィルムは、一般に破断しない強度の確保、ヒ-トシール時の耐熱性確保、および印刷の意匠性向上等が図れることから、延伸基材フィルムとラミネートすることも好ましい。ラミネートする延伸基材フィルムとしては、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられるが、破断強度、透明性等の点で2軸延伸ポリエステルフィルムがより好ましい。また、上記延伸基材フィルムとしては、必要性に応じて、易裂け性処理や帯電防止処理が施されていてもよい。シーラントフィルムと延伸基材フィルムのラミネート方法としては、特に限定されないが、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミネート、多層押出コーティング等の複合化技術を用いればよい。ドライラミネート法で、上記シーラントフィルムと延伸基材フィルムとをラミネートする際に用いる接着剤としては、例えば、ポリエーテル-ポリウレタン系接着剤、ポリエステル-ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。
【0082】
[包装材]
本発明のシーラントフィルムや本発明のラミネートフィルムをヒートシール樹脂層(D)を内側として袋状に成形し、ヒートシールすることにより包装材とすることができる。包装材の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、など種々ある。
また、本発明のシーラントフィルムや本発明のラミネートフィルムを蓋材として用いて、開口部を有する容器の開口部を封止することで、包装容器とすることもできる。
本発明のシーラントフィルムや本発明のラミネートフィルムは、特に、食品、衛生用品、医薬用品等の開口部を有する包装容器の開口部を封止する蓋材として最適である。
また、本発明のシーラントフィルムを蓋材として用いる場合、包装容器の開口部のシーラントフィルムをヒートシールする被着面は、プロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂を主成分としたものが好ましく使用できる。当該ヒートシール面にプロピレン系樹脂を主成分としたものとすれば、高い耐熱性を実現しやすく、また、包装容器の開口部と蓋材とのシール強度が適性となり、易開封性に優れ、加熱処理中に内容物が漏れないシール強度を保てる包装容器を得ることができる。
【0083】
上記包装容器に使用するプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体等のプロピレンの単独重合体又はプロピレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0084】
また、上記包装容器の開口部のヒートシール面は、上記プロピレン系樹脂を主成分として含有したものを好ましく使用できるが、当該ヒートシール面を構成する樹脂中におけるプロピレン系樹脂の含有量として、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。上記ヒートシール面のプロピレン系樹脂の含有量がこの範囲であれば、十分なシール強度が得られるので好ましい。
また、上記ヒートシール面で、プロピレン系樹脂と併用しても良い樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂と相溶性が良く、ヒートシールを阻害しない樹脂であれば、特に限定はないが、例えば、エチレン単独重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
【実施例】
【0085】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0086】
(実施例1)
表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂組成物を調整した。これら樹脂組成物を各層用の押出機に供給し、Tダイ温度250℃にて、Tダイ・チルロール法による共押出後、40℃の水冷金属冷却ロールで冷却して、フィルムの層構成が、表面樹脂層(A)/粘着樹脂層(B)/剥離樹脂層(C)/ヒートシール樹脂層(D)の4層構成で、各層の厚みが12μm/12μm/3μm/3μm、フィルムの総厚みが30μmの積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの表面樹脂層(A)には、濡れ張力が40mN/mとなるようにコロナ放電処理を施した。
表面樹脂層(A):直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.93g/cm3、MFR:4.0g/10min)(以下、LLDPE(1))100質量部
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(MFR:8.0g/10min)(以下、スチレン系エラストマー(1))50質量部、粘着付与樹脂(軟化温度:110℃)(以下、粘着付与樹脂(1))50質量部
剥離樹脂層(C):メタクリル酸由来成分含有率6.8モル%のエチレン-メタアクリル酸共重合体の金属中和物(MFR:16.0g/10min)(以下、EMAA(1))25部、メタクリル酸由来成分含有率4.8モル%のエチレン-メタアクリル酸共重合体(EMAA)の金属中和物(MFR:6.0g/10min)(以下、EMAA(2))75部
ヒートシール層(D):メタロセン触媒を使用したポリプロピレン単独重合体(密度:0.9g/cm3、MFR:7.0g/10min)(以下、ポリプロピレン系樹脂(1))50質量部、エチレン-ブタジエンゴム(密度:0.89g/cm3、MFR:18.0g/10min))(以下、エチレン系エラストマー(1))50質量部
【0087】
(実施例2)
粘着樹脂層(B)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(1)40質量部、粘着付与樹脂(1)60質量部
【0088】
(実施例3)
粘着樹脂層(B)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(1)30質量部、粘着付与樹脂(1)70質量部
【0089】
(実施例4)
剥離樹脂層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)50質量部、EMAA(2)50質量部
【0090】
(実施例5)
剥離樹脂層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)100質量部
【0091】
(実施例6)
ヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)75質量部、エチレン系エラストマー25質量部
【0092】
(実施例7)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)50質量部、EMAA(2)50質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)100質量部
【0093】
(実施例8)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)50質量部、EMAA(2)50質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)75質量部、エチレン系エラストマー(1)25質量部
【0094】
(実施例9)
粘着樹脂層(B)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(1)30質量部、粘着付与樹脂(1)70質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)40質量部、エチレン系エラストマー(1)60質量部
【0095】
(実施例10)
粘着樹脂層(B)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(1)30質量部、粘着付与樹脂(1)70質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)30質量部、エチレン系エラストマー(1)70質量部
【0096】
(実施例11)
粘着樹脂層(B)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
粘着樹脂層(B):スチレン系エラストマー(1)30質量部、粘着付与樹脂(1)70質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)20質量部、エチレン系エラストマー(1)80質量部
【0097】
(比較例1)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)100質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)100質量部
【0098】
(比較例2)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)100質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)75質量部、エチレン系エラストマー(1)25質量部
【0099】
(比較例3)
ヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)100質量部
【0100】
(比較例4)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)25質量部、EMAA(2)75質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)100質量部
【0101】
(比較例5)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)25部質量、EMAA(2)75質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)75部、エチレン系エラストマー(1)25質量部
【0102】
(比較例6)
剥離樹脂層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(1)25質量部、EMAA(2)75質量部
【0103】
(比較例7)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(2)100質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)100質量部
【0104】
(比較例8)
剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(2)100質量部
ヒートシール樹脂層(D):ポリプロピレン系樹脂(1)75質量部、エチレン系エラストマー(1)25質量部
【0105】
(比較例9)
剥離樹脂層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
剥離樹脂層(C):EMAA(2)100質量部
【0106】
上記実施例及び比較例にて得られた多層フィルムにつき、以下の評価を行った。得られた結果は下表のとおりである。
【0107】
<ラミネートフィルムの作製>
上記実施例及び比較例で得られた多層フィルムの表面樹脂層(A)の表面に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)をドライラミネーションで貼り合わせて、40℃で36時間エージングし、評価用のラミネートフィルムを得た。この際、ドライラミネーション用接着剤としては、DIC株式会社製の2液硬化型接着剤(ポリエステル系接着剤「ディックドライ LX500」及び硬化剤「ディックドライ KR-90S」)を使用した。
【0108】
<ヘイズ>
実施例及び比較例にて得られたフィルムの曇り度を、JIS K7105に基づきヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した(単位:%)。
【0109】
<初期シール強度>
得られたラミネートフィルムのヒートシール樹脂層(D)表面とポリプロピレンシート(300μm)とを重ね合わせ、ヒートシール温度180℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールした。次いで、ヒートシールしたフィルムを23℃で24時間自然冷却後、15mm幅の短冊状に切り出して試験片とし、この試験片を23℃、50%RHの恒温室において引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)を用いて、300mm/分の速度で180°剥離を行い、ヒートシール強度(初期シール強度)を測定した。
【0110】
<剥離後の粘着樹脂層の露出状況の評価>
上記ヒートシール強度を測定した試験片において、剥離後のラミネートフィルムの外観を確認し、以下の基準で評価した。
◎:剥離面における粘着樹脂層の露出割合が80%以上
○:剥離面における粘着樹脂層の露出割合が50%以上、80%未満
△:剥離面における粘着樹脂層の露出割合が30%以上、50%未満
×:剥離面における粘着樹脂層の露出割合が30%未満
【0111】
<再封止性>
上記でヒートシール強度を測定した試験片を、23℃、0.2MPa、1秒の条件で再度圧着した後、23℃、50%RHの恒温室に5分間静置した後に引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)を用いて、300mm/分の速度で180°剥離を行い、シール強度(すなわち、再封止後のシール強度)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:再封止後のシール強度が3N/15mm以上
○:再封止後のシール強度が2N/15mm以上、3N/15mm未満
×:再封止後のシール強度が2N/15mm未満
【0112】
【0113】
【0114】
上記表から明らかなとおり、実施例1~11の本願発明の積層フィルムは、被着体への好適な初期ヒートシール性と易開封性とを有すると共に、剥離時の粘着面が良好に露出しており、安定した再封止性を実現できるものであった。
【要約】
表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)及びヒートシール樹脂層(D)が積層されたシーラントフィルムであって、前記粘着樹脂層(B)が、熱可塑性エラストマー(b1)及び粘着付与樹脂(b2)を含有し、前記剥離樹脂層(C)が、極性基濃度が5.5モル%を超えるエチレン系アイオノマー(c1)と極性基濃度が5.5モル%以下のエチレン系アイオノマー(c2)を、前記剥離樹脂層(C)に含まれる樹脂成分中に特定量含有し、前記ヒートシール樹脂層(D)がオレフィン系樹脂(d1)と熱可塑性エラストマー(d2)を、前記ヒートシール樹脂層(D)に含まれる樹脂成分中に特定量含有することを特徴とするシーラントフィルム。