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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】車両の周辺監視装置および周辺監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/00 20060101AFI20220203BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20220203BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20220203BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01C3/00 120
G01C3/06 110V
G01C3/06 140
G06T7/80
G08G1/16 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017192065
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019066327
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】寺田 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】内田 尚秀
(72)【発明者】
【氏名】長尾 景洋
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-037011(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013691(WO,A1)
【文献】特開2001-211466(JP,A)
【文献】特開2006-90896(JP,A)
【文献】特開2012-58188(JP,A)
【文献】特開2001-92968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00
G01C 3/06
G06T 7/80
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を異なる位置から撮影した複数の画像を取得する画像取得部(100)と、
前記複数の画像について探索領域を設定して、前記探索領域内で複数の対応点ごとの位置ずれ量である対応点ずれ値を算出する対応点ずれ算出部(111)と、
前記対応点ずれ値の個数が閾値未満であることを条件として、前記探索領域を変更する変更部(112)と、
前記対応点ずれ値の個数が前記閾値以上であることを条件として、前記対応点ずれ値に基づいて前記複数の画像全体の位置ずれ量である画像ずれ値を算出する画像ずれ算出部(113)と、
前記画像の画像ずれ値に基づいて前記画像のずれを補正するずれ補正部(120)と、を備える、車両の周辺監視装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記対応点ずれ値の個数が前記閾値未満であることを条件として、前記探索領域を大きくする請求項1に記載の周辺監視装置。
【請求項3】
対象物を異なる位置から撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップ(S101)と、
前記複数の画像について探索領域を設定して、前記探索領域内で複数の対応点ごとの位置ずれ量である対応点ずれ値を算出する対応点ずれ算出ステップ(S102,103)と、
前記対応点ずれ値の個数が閾値未満であることを条件として、前記探索領域を変更する変更ステップ(S104,S110)と、
前記対応点ずれ値の個数が前記閾値以上であることを条件として、前記対応点ずれ値に基づいて前記複数の画像全体の位置ずれ量である画像ずれ値を算出する画像ずれ算出ステップ(S106)と、
前記画像の画像ずれ値に基づいて前記画像のずれを補正するずれ補正ステップ(S107)と、を含む、車両の周辺監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの撮像装置により得られた2つの撮像画像に基づいて対象物の距離を算出して、車両の周辺を監視する周辺監視装置および周辺監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステレオカメラ等の2つの撮像装置により得られた2つの画像から求めた視差に基づいて対象物の距離を算出する技術として、ステレオマッチング処理が知られている。ステレオマッチング処理においては、2つの画像上で互いに対応する特徴点である対応点を探索し、視差を求めることによって距離を算出することができる。各撮像装置を正確な位置に配置できていない場合に、画像から得られる視差にずれが生じ、算出した対象物の距離の精度が低下する。距離計測の精度を維持するために、撮像装置を配置する位置は製品出荷前に正確に調整されるが、車両走行中の振動や温度変化等によって、正確な位置を維持できない場合がある。
【0003】
このため、撮像装置の配置ずれに起因する対応点ごとに対応位置のずれ量を算出して撮像装置を補正する技術が知られている。例えば、特許文献1では、複数の撮像装置から得られた複数の画像についてマッチング処理を行って複数の対応点を探索し、複数の対応点における対応位置のずれに基づいて画像のずれを補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5440461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マッチング処理においては、対応位置のずれ量に対して適切な大きさの探索領域を設定することが好ましい。探索領域の大きさは、対応位置のずれ量よりも大きく設定する必要がある。このため、広い範囲の対応位置のずれ量に対応するためには、探索領域は大きい方が好ましい。一方で、対応位置のずれ量に対して過剰に探索領域が大き過ぎると、マッチング処理速度が低下し、対応位置のずれ量の算出精度が低下する。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、車両の周辺監視装置および周辺監視方法において、マッチング処理の速度と精度とを確保しつつ、広範囲の対応位置のずれ量に対応可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象物を異なる位置から撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像について探索領域を設定して、前記探索領域内で複数の対応点ごとの位置ずれ量である対応点ずれ値を算出する対応点ずれ算出部と、前記対応点ずれ値の個数が閾値未満であることを条件として、前記探索領域を変更する変更部と、前記対応点ずれ値の個数が前記閾値以上であることを条件として、前記対応点ずれ値に基づいて前記複数の画像全体の位置ずれ量である画像ずれ値を算出する画像ずれ算出部と、前記画像の画像ずれ値に基づいて前記画像のずれを補正するずれ補正部と、を備える、車両の周辺監視装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、変更部は、対応点ずれ算出部によって算出される対応点ずれ値の個数が閾値未満であることを条件として、対応点ずれ値を算出する際に設定される探索領域を変更する。すなわち、探索領域の設定が不適切であり、収集された対応点ずれ値が不十分であった場合には、変更部によって探索領域を調整して対応点ずれ値を算出することができる。このため、画像ずれ算出部において、十分な個数の対応点ずれ値を用いて画像ずれ値を算出することができ、画像ずれ値の算出精度が高くなる。また、変更部によって探索領域を調整できるため、例えば、通常は、マッチング処理の速度と精度とを優先して探索領域を設定し、例外的に対応点ずれ値の個数が閾値未満である場合には探索領域を変更するように構成することができ、処理速度と精度とを確保しつつ、広範囲の対応位置のずれ量に対応することができる。
【0009】
本発明は、また、上記の周辺監視装置によって実現可能な周辺監視方法を提供する。この周辺監視方法は、対象物を異なる位置から撮影した複数の画像を取得する画像取得ステップと、前記複数の画像について探索領域を設定して、前記探索領域内で複数の対応点ごとの位置ずれ量である対応点ずれ値を算出する対応点ずれ算出ステップと、前記対応点ずれ値の個数が閾値未満であることを条件として、前記探索領域を変更する変更ステップと、前記対応点ずれ値の個数が前記閾値以上であることを条件として、前記対応点ずれ値に基づいて前記複数の画像全体の位置ずれ量である画像ずれ値を算出する画像ずれ算出ステップと、前記画像の画像ずれ値に基づいて前記画像のずれを補正するずれ補正ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の周辺監視装置を説明するためのブロック図。
図2】ステレオマッチングの説明図。
図3】実施形態の周辺監視方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、周辺監視装置10は、画像取得部100と、ずれ算出部110と、ずれ補正部120とを備えている。周辺監視装置10は、A/D変換回路、I/O、CPU、RAM、ROM、画像メモリ等を含む電子制御ユニット(ECU)であり、CPUは、予め格納されたプログラムを実行することによって、上記の各部の機能を実現する。CPUに替えて、またはCPUとともに、デジタル処理回路を書き込んだFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えていてもよい。
【0012】
撮像装置21、22から出力される信号は、デジタル信号に変換されて、周辺監視装置10のCPUに入力される。周辺監視装置10は、入力された画像データにおける位置ずれ量を算出し、画像を補正する。周辺監視装置10は、補正した画像データや、この画像データに基づく制御信号を報知装置、表示装置、運転制御装置等の外部装置に出力してもよい。
【0013】
撮像装置21,22は、CCDやCMOSセンサ、あるいは赤外線カメラ等のイメージセンサを内蔵したステレオカメラである。撮像装置21、22は、車両のルームミラーの背後に、車幅方向において所定の基線長で取り付けられている。撮像装置21、22は、通常の走行状態において車両前方の道路や先行車両等を含む周辺環境を撮影する。撮像装置21及び撮像装置22は、互いに同期が取れており、同一タイミングで周辺環境を撮影する。撮像装置21から基準画像Toが得られ、撮像装置22から参照画像Tcが得られて、一対のアナログ画像To,Tcは、画像取得部100へ出力される。
【0014】
画像取得部100は、1対の撮像装置21、22が撮影した画像を取得し、これによって対象物を異なる位置から撮影した複数の画像を取得することができる。画像取得部100は、A/D変換回路により、撮像装置21,22から入力された一対のアナログ画像To,Tcを、それぞれ所定の輝度階調(例えば、256階調のグレースケール)のデジタル画像に変換し、ずれ算出部110に出力する。このデジタル化された画像データは、画像の左上隅を原点として、水平方向をi座標軸、垂直方向をj座標軸とするi-j座標系で表現される。
【0015】
ずれ算出部110は、画像取得部100から入力された1対の画像To,Tcにおける位置ずれ量を算出して、ずれ補正部120に出力する。ずれ算出部110は、1対の画像To,Tcについて対応点探索を行って、対応点ごとの位置ずれ量を算出し、これに基づいて、画像全体の位置ずれ量を算出する。ずれ算出部110は、対応点ずれ算出部111と、変更部112と、画像ずれ算出部113とを備えている。
【0016】
対応点ずれ算出部111は、1対の画像To,Tcの対応点ごとに参照画像Tc上に探索領域を設定して、探索領域内で対応点ごとの位置ずれ量である対応点ずれ値dを算出する。対応点ずれ値dは、例えば、ピクセル単位で算出することができる。なお、探索領域とは、基準画像Toの所定の画素領域を探索するために、参照画像Tcの画面上に設定され、対応点探索に使用される領域であり、通常、探索対象となる基準画像To上の画素領域よりも広い画素領域が含まれるように設定される。探索領域の大きさは、対応点ずれ値dに対して適切に設定されることが好ましい。対応点ずれ値dに対して大き過ぎる探索領域を設定すると、対応点ずれ値dの算出精度が低下し、対応点ずれ算出部111における対応点ずれ値dの算出処理負荷が増加する。対応点ずれ値dに対して小さ過ぎる探索領域を設定すると、探索領域内に一致する対応点を見出すことができず、対応点ずれ値dを適切に算出することが困難となる。
【0017】
対応点ずれ算出部111は、基準画像Toと参照画像Tcに対して、ステレオマッチング処理を行い、2つの画像To,Tcに上の同一点の対応位置を求める対応点探索を実行する。具体的には、参照画像Tcに設定された探索領域内の画素領域の中から、基準画像Toにおける所定の画素領域と一致する画素領域を探索する。
【0018】
対応点ずれ算出部111が実行するステレオマッチング処理においては、周知の領域探索法を用いることができ、これによって、基準画像Toと参照画像Tcとの相関度が評価される。本実施の形態においては、相関度の評価関数として、基準画像Toの小領域(ブロック)と参照画像の小領域(ブロック)との間のピクセル値の差分(絶対値)の総和(SAD:Sum of Absolute Difference)を演算する場合を例示して説明する。なお、ピクセル値としては、一般的に、各画素の輝度値を用いることが多い。
【0019】
SADによる評価関数の値は、シティブロック距離と称されるものであり、ブロック間の相関が高い程(類似している程)、シティブロック距離の値が小さくなり、シティブロック距離が最小値を取るブロック間の水平方向のシフト量により、視差が与えられる。シティブロック距離CBは、画像平面上の位置を、水平方向をi座標、垂直方向をj座標とする直交座標で定義し、互いの相関度を探索するブロックを、i×j(i=0~n,j=0~n)の探索ブロックとするとき、下記式(1)式に示すように、基準画像Toの探索ブロックM(i,j)と、参照画像の探索ブロックS(i,j)とのSAD値を、i軸またはj軸上を所定のシフト値ずつずらしながら演算することにより得られる。
CB=Σ│M(i,j)-S(i,j)│ …(1)。
【0020】
例えば、4×4画素の探索ブロックを対象として、基準画像Toの所定の探索ブロック(メインブロック)に対して、参照画像の探索ブロック(サブブロック)を数ブロック含む探索領域を設定する。そして、メインブロックと、探索領域中のそれぞれのサブブロックについて、上記式(1)に従い、SAD演算を行う。これによって、図2に示すように、シティブロック距離が最小値C0となる点がメインブロックとサブブロックとの相関度が最も高い対応位置(一致点)として求められる。この一致点におけるメインブロックとサブブロックとの画素単位のずれ量(メインブロックの位置座標(im,jm)とサブブロックの位置座標(is,js)との差)は、画素単位の分解能を有する対応点ずれ値dを与える。対応点ずれ値dは、i方向およびj方向のそれぞれについて表されるものであってもよい。例えば、図2に示すように、対応点ずれ値dのi軸成分をid、j軸成分をjdと表し、is=im+id,js=jm+jdと表してもよい。1対の画像To,Tcにおいて、基準画像Toの探索ブロック毎に対応点ずれ値dが算出され、画像全体として複数の対応点ずれ値dが算出される。なお、画像全体について対応点ごとに算出された複数の対応点ずれ値dは、周辺監視装置10の記憶手段(RAM等)に記憶されてもよい。
【0021】
変更部112は、対応点ずれ算出部111によって算出された対応点ずれ値dについて、その信頼性を評価する。変更部112は、対応点ずれ値dの集合についての信頼性が十分ではないと判断した場合には、対応点ずれ算出部111によって設定された探索領域を変更する。なお、変更部112は、参照画像Tc上の水平方向(図2に示すi方向)、垂直方向(図2に示すj方向)のいずれの方向に探索領域の大きさを変更してもよい。
【0022】
具体的には、変更部112は、対応点ずれ算出部111によって所定時間内に収集された対応点ずれ値dの個数kをカウントする。そして、変更部112は、この対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X未満(k<X)である場合に、対応点ずれ算出部111によって設定された探索領域を変更する。
【0023】
探索領域の大きさは、対応点ずれ値dよりも大きく設定する必要がある。例えば、対応位置に対して、探索領域が小さすぎると、基準画像Toと参照画像Tcとの間で一致点を求めることができず、所定時間内に収集される対応点ずれ値dの個数が少なくなる。変更部112は、対応点ずれ算出部111によって所定時間内に収集された対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X未満である場合に、より大きい探索領域を設定する。対応点ずれ算出部111は、変更部112によって拡大された探索領域内で基準画像Toと参照画像Tcとの対応点探索を行うことができる。対応点ずれ値dに対して探索領域が十分に拡大された場合には、所定時間内に十分な個数の対応点ずれ値dを収集することができる。
【0024】
例えば、周辺監視装置10によれば、通常は、対応点ずれ算出部111の処理の速度と精度とを優先して探索領域を小さく設定し、例外的に対応点ずれ値dの個数kが閾値X未満である場合には、変更部112によって探索領域を大きく変更するように構成することができる。このように構成することによって、周辺監視装置10によれば、対応点ずれ算出部111の処理速度と精度とを確保しつつ、広範囲の対応点ずれ値dに対応することができる。
【0025】
一方、変更部112は、対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X以上(k≧X)である場合には、画像ずれ算出部113に、対応点ずれ値dの集合に基づいて、画像To,Tcについての対応位置のずれ量である画像ずれ値Gを算出することを指示する。
【0026】
画像ずれ算出部113は、変更部112からの指示を受けて、対応点ずれ値dに基づいて、画像To,Tc全体の位置ずれ量である画像ずれ値Gを算出する。画像ずれ値Gは、例えば、対応点ずれ値dと同様にピクセル単位で算出することができる。画像ずれ算出部113は、対応点ずれ値dの加算平均値を画像ずれ値Gとして算出してもよいし、対応点ずれ値dについて、正規分布、多項式分布、2項分布、ポアソン分布等を用いた回帰分析等の統計処理を行って画像ずれ値Gを算出してもよい。
【0027】
一方で、対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X未満である場合には、変更部112から画像ずれ値Gを算出する指示が送信されず、画像ずれ算出部113は画像ずれ値Gを算出しない。画像ずれ算出部113は、所定の閾値X以上の個数の対応点ずれ値d、すなわち、十分な個数の対応点ずれ値dを用いて画像ずれ値Dを算出するため、高い精度で画像ずれ値Gを算出することができる。なお、算出された画像ずれ値Gは、周辺監視装置10の記憶手段(RAM等)に記憶されてもよい。
【0028】
ずれ算出部110は、基準画像Toおよび参照画像Tcの画像データとともに画像ずれ値Gの値をずれ補正部120に送信する。ずれ補正部120は、画像ずれ値Gに基づいて画像のずれを補正する。画像ずれの補正方法としては、例えば、画像データを座標軸に沿って移動させる画像シフト法、高次多項式を用いて画像データの座標を変換する高次多項式法等の従来公知の補正方法を用いることができる。
【0029】
図3は、周辺監視装置10によって実施される周辺監視方法の一部を構成する、画像取得部100、ずれ算出部110、および、ずれ補正部120が行う演算処理のフローチャートを示す。
【0030】
画像取得部100は、画像取得ステップ(S101)を実行し、撮像装置21,22が撮影した画像データを取得する。画像データは、対象物を異なる位置から撮影した基準画像Toおよび参照画像Tcであり、画像取得部100によってデジタルデータに変換されて、対応点ずれ算出部111に出力される。
【0031】
次に、対応点ずれ算出部111は、対応点ずれ算出ステップを実行し、複数の画像について探索領域を設定して(ステップS102)、設定した探索領域内で、複数の対応点ごとに対応点ずれ値dを算出する(ステップS103)。
【0032】
次に、変更部112は、変更ステップを実行し、対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X以上であるか否かを判定する(ステップS104)。そして、変更部112は、対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X未満(k<X)であることを条件として、探索領域を変更し(ステップS110)、ステップS102に戻る。ステップS110の後に実行されるステップS102では、対応点ずれ算出部111は、ステップS110において変更された探索領域内で対応点探索を行い、対応点ずれ値dを算出する。
【0033】
ステップS104において、対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X以上(k≧X)であると判定された場合には、ステップS105に進む。ステップS105では、変更部112は、画像ずれ算出部113に、対応点ずれ値dの集合に基づいて、画像To,Tcについて画像ずれ値Gを算出することを指示する。
【0034】
画像ずれ算出部113は、変更部112からの指示を受けて、画像ずれ算出ステップ(S106)を実行し、対応点ずれ値dに基づいて、画像To,Tcについて画像ずれ値Gを算出する。
【0035】
ずれ補正部120は、補正ステップ(ステップS107)を実行し、ステップS106において算出された画像ずれ値Gに基づいて画像ずれの補正を行い、出力装置に画像データや制御信号を出力する。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0037】
周辺監視装置10によれば、変更部112は、対応点ずれ算出部111によって所定時間内に収集された対応点ずれ値dの個数kが所定の閾値X未満である場合に、対応点ずれ算出部111が対応点探索を行う際の探索領域を変更する。この場合、対応点ずれ算出部111は、変更部112によって変更後の探索領域内で基準画像Toと参照画像Tcとの対応点探索を行い、対応点ずれ値dを算出する。変更部112によって、対応点ずれ値dに応じて探索領域を調整できるため、十分な個数の対応点ずれ値dを収集することができる。そして、画像ずれ算出部113は、十分な個数の対応点ずれ値dを用いて画像ずれ値Dを算出することができる。
【0038】
また、周辺監視装置10によれば、通常は、対応点ずれ算出部111の処理の速度と精度とを優先して探索領域を小さく設定し、例外的に対応点ずれ値dの個数kが閾値X未満である場合には探索領域を大きく変更するように構成することができる。このため、周辺監視装置10によれば、対応点ずれ算出部111の処理速度と精度とを確保しつつ、広範囲の対応点ずれ値dに対応することができる。
【0039】
なお、上記の実施形態では、撮像装置と、報知装置、表示装置、運転制御装置等の出力装置とを含まない周辺監視装置を例示して説明したが、これに限定されない。周辺監視装置は上記の装置等を含んでいてもよく、さらには、一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…周辺監視装置、100…画像取得部、111…対応点ずれ算出部、112…変更部、113…画像ずれ算出部、120…ずれ補正部
図1
図2
図3