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特許7018370基板処理装置及び半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】基板処理装置及び半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220203BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20220203BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
H01L21/31 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018156519
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2019062191
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2017184691
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】相澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩城 洋人
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139274(JP,A)
【文献】特開2005-079250(JP,A)
【文献】特開2017-028158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収納される基板収容器を載置する載置部と、前記基板収容器の蓋が開閉される蓋開閉空間を構成するガイド部と、前記蓋開閉空間を前記基板収容器と前記基板が保持される基板保持具との間で前記基板を搬送する移載室から分離するゲート部と、前記蓋開閉空間に設けられ、前記基板収容器の前記蓋を開閉する蓋開閉機構と、前記基板収容器にガスを導入するガス導入機構と、該ガス導入機構に前記ガスを前記基板収容器に導入させ、前記基板収容器内のガスを置換するとともに圧力を調整する監視部と、該監視部に前記蓋開閉空間の圧力よりも前記基板収容器内の圧力を高く維持した状態で、前記蓋開閉機構に前記基板収容器の蓋を開かせるように構成されている制御部と、前記蓋開閉空間の雰囲気を排気する排気機構を備え、
前記ガス導入機構は、前記ガスを前記基板収容器に直接導入するよう構成され、前記監視部は、前記移載室と前記蓋開閉空間を前記ゲート部により分離した状態では、前記ガス導入機構による前記ガスの供給および前記排気機構による排気により、前記ガスが前記基板収容器内に導入されてから前記排気機構の方向に流れる流路を形成するよう構成しつつ、前記基板収容器内及び前記蓋開閉空間の圧力を前記移載室の圧力よりも高くするよう構成されている基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス導入機構は、前記基板収容器内を不活性ガス雰囲気に置換するように構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基板収容器が前記載置部に載置されると、前記ガス導入機構に前記ガスを前記基板収容器に導入させ、前記基板収容器内の圧力を前記移載室の圧力よりも大きくするよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ガス導入機構に前記ガスを前記基板収容器に導入させ、前記基板収容器内の圧力を前記移載室の圧力よりも大きい圧力に維持させるよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記移載室と前記蓋開閉空間を前記ゲート部に隔離させた後、前記移載室及び前記蓋開閉空間の圧力よりも前記基板収容器内の圧力を高くしつつ、前記ゲート部をスライドさせるように構成されている制御部を更に有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ゲート部による前記移載室と前記蓋開閉空間を分離後、前記基板収容器の蓋を開にするよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記排気機構は、前記蓋開閉機構により前記蓋が外される前記基板収容器の近傍に設けられ、前記制御部は、前記基板収容器の蓋を開にする際に、前記ガス導入機構に供給された前記ガスが前記基板収容器から前記排気機構の方向に流れる流路を形成するよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
更に、前記蓋開閉機構により前記蓋が外された前記基板収容器と前記基板保持具との間で前記基板を搬送する移載装置と、を備え、
前記移載装置は、前記ゲート部が所定位置に移動した後、前記基板収容器内の前記基板の搬送を開始するよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記ガス導入機構は、前記蓋開閉空間を不活性ガス雰囲気に置換するよう構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記ガス導入機構は、ガスの流量を制御する流量制御器と、ガスの流路を構成するガス配管と、前記基板収容器にガスを導入するガス導入部と、該ガス導入部と前記基板収容器を外部から密閉するシール部とを含むパージガス供給部と、前記基板収容器内の圧力を調整する調整部とを含む請求項1記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記シール部は、前記ガス導入部と前記基板収容器を密閉するシール材と、前記シール部を保持する保持部とを設けるよう構成されている請求項10記載の基板処理装置。
【請求項12】
更に、前記基板を保持した状態で前記基板保持具が装入され、前記基板を処理するよう構成されている処理炉と、を備えた請求項1記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板が収納される基板収容器を載置する工程と、前記基板収容器の蓋が開閉される蓋開閉空間と、前記基板収容器と前記基板が保持される基板保持具との間で前記基板を搬送する移載室を分離する工程と、前記基板収容器の前記蓋を開にする工程と、前記蓋が開かれた前記基板収容器と前記基板保持具との間で前記基板を移載する移載工程と、前記基板を保持した状態で前記基板保持具を装入して、前記基板を処理する処理工程と、を有し、前記基板収容器を載置する工程では、ガスを前記基板収容器に直接導入して、前記基板収容器内のガスを置換するとともに圧力を高くし、前記蓋を開にする工程では、前記蓋開閉空間の圧力よりも前記基板収容器内の圧力を高く維持しつつ、蓋開閉機構に前記基板収容器の蓋を開かせる工程と、
前記移載室と前記蓋開閉空間をゲート部により分離した状態で、ガス導入機構による前記ガスの供給および排気機構による排気により、前記ガスが前記基板収容器内に導入されてから前記排気機構の方向に流れる流路を形成するよう構成しつつ、前記基板収容器内及び前記蓋開閉空間の圧力を前記移載室の圧力よりも高くさせる工程と、を有するよう構成されている半導体装置の製造方法。
【請求項14】
基板が収納される基板収容器を載置する手順と、前記基板収容器の蓋が開閉される蓋開閉空間と、前記基板収容器と前記基板が保持される基板保持具との間で前記基板を搬送する移載室を分離する手順と、前記基板収容器の前記蓋を開にする手順と、前記蓋が開かれた前記基板収容器と前記基板保持具との間で前記基板を移載する手順と、前記基板を保持した状態で前記基板保持具を装入して、前記基板を処理する手順と、を基板処理装置に実行させるプログラムであって、
基板収容器を載置する手順では、ガスを基板収容器に直接導入して、前記基板収容器内のガスを置換するとともに圧力を高くし、前記蓋を開にする手順では、前記蓋開閉空間の圧力よりも前記基板収容器内の圧力を高く維持しつつ、蓋開閉機構に前記基板収容器の蓋を開かせる手順と、
前記移載室と前記蓋開閉空間をゲート部により分離した状態で、ガス導入機構による前記ガスの供給および排気機構による排気により、前記ガスが前記基板収容器内に導入されてから前記排気機構の方向に流れる流路を形成するよう構成しつつ、前記基板収容器内及び前記蓋開閉空間の圧力を前記移載室の圧力よりも高くさせる手順とを有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フープ(FOUP:Front Opening Unified Pod)(以下、ポッドという)内に不活性ガスを供給する取り組みはすでに行われている。例えば、特許文献1によれば、ポッド内に不活性ガスを供給する構成が記載されており、特許文献2によれば、ポッド内に不活性ガスを供給する構成、及び、この供給される不活性ガスの流量を監視する構成が記載されている。
【0003】
そして、不活性ガスの供給によりポッド内部の雰囲気を置換し、自然酸化膜やアウトガスの付着を防止していた。しかしながら、ポッド開閉機構の動作時に発生するパーティクルが基板(ウエハ)に付着するのを防止できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-340641号公報
【文献】特開2015-029057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ポッド蓋開閉時に、パーティクルがウエハ上に付着するのを防止する構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基板が収納される基板収容器を載置する載置部と、基板収容器の蓋が開閉される蓋開閉空間を構成するガイド部と、蓋開閉空間を基板収容器と基板が保持される基板保持具との間で基板を搬送する移載室から分離するゲート部と、蓋開閉空間に設けられ、基板収容器の蓋を開閉する蓋開閉機構と、載置部に載置された基板収容器にガスを導入するガス導入機構と、該ガス導入機構にガスを基板収容器に導入させ、基板収容器内のガスを置換するとともに圧力を調整する監視部と、該監視部に蓋開閉空間の圧力よりも基板収容器内の圧力を高く維持させつつ、蓋開閉機構に基板収容器の蓋を開かせるように構成されている制御部と、を備えた構成が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ポッドの蓋開閉時に、ポッド内部に収容されたウエハにパーティクルが、付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
図2】本発明の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置の側面透視図である。
図3】本発明の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉の縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態に好適に用いられる基板処理装置のコントローラ構成図である。
図5】本発明の一実施形態に好適に用いられるガス導入機構を説明するための図である。
図6A】本発明の一実施形態に好適に用いられるガス導入機構のシール部詳細図である。
図6B】本発明の一実施形態に好適に用いられるガス導入機構のシール部詳細図である。
図7A】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
図7B】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
図7C】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
図7D】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
図7E】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
図7F】本発明の一実施形態に好適に用いられる蓋開閉システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
続いて、本実施形態に係る基板処理装置100の構成について、図1図2を参照しながら説明する。
【0011】
図1図2に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、耐圧容器として構成された筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部103が開設されている。開口部103には、開口部103を開閉する立ち入り機構として一対の正面メンテナンス扉104が設けられている。シリコン等のウエハ(基板)200を収納した基板収容器としてのポッド110が、筐体111内外へウエハ200を搬送するキャリアとして使用される。
【0012】
筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口112が、筐体111内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、ロードポート114が設置されている。ロードポート114上には、ポッド110が載置されると共に位置合わせされるように構成されている。
【0013】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚105が設置されている。回転式ポッド棚105上には、複数個のポッド110が保管されるように構成されている。回転式ポッド棚105は、垂直に立設されて水平面内で間欠的に回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板117と、を備えている。複数枚の棚板117は、ポッド110を複数個それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0014】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、第一の搬送装置としてのポッド搬送装置118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ118aと、ポッド搬送機構118bとで構成されている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、載置台としての載置部122との間で、ポッド110を相互に搬送するように構成されている。
【0015】
筐体111内の下部には、サブ筐体119が筐体111内の前後方向の略中央部から後端にわたって設けられている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内外に搬送するポッド110を載置する載置部122が上下にそれぞれ設置されている。サブ筐体119内には、ポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105等が設置された搬送空間から隔絶された移載室124が構成されている。
【0016】
後述する蓋開閉システムは、移載室124と後述する蓋開閉空間124aを仕切る仕切部(以後、ガイド部ともいう)121と、ポッド110を載置する載置部122と、ポッド110のキャップとしての蓋120を着脱するポッドオープナとしてのキャップ着脱機構(蓋開閉機構)123とを少なくとも備えている。更に、蓋開閉システムは、後述するゲート部としてのパネル121aが設けられる。
【0017】
ここで、載置部122にはポッド110の内部に不活性ガスを噴出す機構としてのガス導入機構1を備えているが、ガス導入機構1については後述する。また、正面壁119aの、蓋開閉機構123によって蓋120が外されるポッド110の近傍には、後述する排気機構VENTが設けられ、後述する蓋開閉空間124aの雰囲気を排気するように構成されている。これらガス導入機構1及び排気機構VENTを蓋開閉システムに含むようにしてもよい。
【0018】
移載室124の前側領域には移載装置としてのウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。ウエハ移載装置エレベータ125bは、サブ筐体119の移載室124の前方領域右端部と筐体111右側の端部との間に設置されている。ウエハ移載装置125aは、ウエハ200の保持部としてのツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載機構125は、ウエハ200をポッド110から基板保持具としてのボート217に対して装填(チャージング)及びポッド110からボート217に対して脱装(ディスチャージング)することが可能に構成されている。このウエハ200のチャージング及びディスチャージングに関しては後述する。
【0019】
図1図3に示すように、移載室124の後側領域でボート217を収容して待機させる待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0020】
移載室124内には、ボート217を昇降させるボートエレベータ115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台には、アーム128が連結されている。アーム128には、シールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0021】
主に、回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置118,ウエハ移載機構125,ボート217及び蓋開閉機構123により、本実施形態に係る搬送機構が構成されている。これら回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置118,ウエハ移載機構125,ボート217及び蓋開閉機構123は、後述する搬送制御部27に電気的に接続されている。以後、搬送制御部27は、搬送コントローラと称する場合がある。
【0022】
ボート217は複数本の保持部材を備えている。ボート217は、複数枚のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態でそれぞれ水平に保持するように構成されている。
【0023】
(2)処理炉の構成
続いて、本実施形態にかかる処理炉202の構成について、図3を用いて説明する。
【0024】
図3に示すように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205と、を備えている。内部反応管204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。内部反応管204内の筒中空部には、基板としてのウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201は、後述するボート217を収容可能なように構成されている。外部反応管205は、内部反応管204と同心円状に設けられている。外部反応管205は、内径が内部反応管204の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0025】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203の側壁面を囲うように、加熱機構としてのヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に構成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0026】
外部反応管205の下方には、外部反応管205と同心円状になるように、マニホールド209が配設されている。また、マニホールド209は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、内部反応管204の下端部と外部反応管205の下端部とを支持するように設けられ、内部反応管204の下端部と外部反応管205の下端部とにそれぞれ係合している。なお、マニホールド209と外部反応管205との間には、Oリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209とにより反応容器が形成される。
【0027】
後述するシールキャップ219には、処理ガスノズル230a及びパージガスノズル230bが処理室201に連通するように接続されている。処理ガスノズル230aには、処理ガス供給管232aが接続されている。処理ガス供給管232aの上流側(処理ガスノズル230aとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのマスフローコントローラ(以下、MFCと略する)241aを介して、図示しない処理ガス供給源等が接続されている。また、パージガスノズル230bには、パージガス供給管232bが接続されている。パージガス供給管232bの上流側(パージガスノズル230bとの接続側と反対側)には、MFC241bを介して、図示しないパージガス供給源等が接続されている。MFC241a,241bには、ガス供給コントローラ14が電気的に接続されている。
【0028】
マニホールド209には、処理室201の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、内部反応管204と外部反応管205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されている。排気管231は、筒状空間250に連通している。排気管231の下流側(マニホールド209との接続側と反対側)には、圧力センサ245、例えばAPC(Auto Pressure Contoroller)として構成された圧力調整装置242、真空排気装置としての真空ポンプ246が上流側から順に接続されている。また、圧力調整装置242及び圧力センサ245には、圧力コントローラ13が電気的に接続されている。
【0029】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な蓋体としてのシールキャップ219が円盤状に設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0030】
シールキャップ219の中心部付近であって処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることが可能に構成されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。ボート217の下部には、断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、円板形状に形成されている。
【0031】
シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設備されたボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。シールキャップ219を昇降させることにより、ボート217を処理室201内外へ搬送することが可能に構成されている。回転機構254及びボートエレベータ115には、搬送制御部27が電気的に接続されている。
【0032】
プロセスチューブ203内には、温度検知器としての温度センサ263が設置されている。主に、ヒータ206及び温度センサ263により、本実施形態に係る加熱機構が構成されている。これらヒータ206と温度センサ263とには、温度コントローラ12が電気的に接続されている。
【0033】
(3)処理炉の動作
続いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、処理炉202を用いてウエハ200上に薄膜を形成する方法について、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は基板処理装置用コントローラ240により制御される。
【0034】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に装入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0035】
処理室201が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気される。この際、圧力センサ245が測定した圧力値に基づき、圧力調整装置242(の弁の開度)がフィードバック制御される。また、処理室201が所望の温度となるように、ヒータ206によって加熱される。この際、温度センサ263が検知した温度値に基づき、ヒータ206への通電量がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217及びウエハ200が回転させられる。
【0036】
次いで、処理ガス供給源から供給されてMFC241aにて所望の流量となるように制御された処理ガスは、処理ガス供給管232a内を流通して処理ガスノズル230aから処理室201に導入される。導入された処理ガスは処理室201を上昇し、内部反応管204の上端開口から筒状空間250内に流出して排気管231から排気される。ガスは、処理室201を通過する際にウエハ200の表面と接触し、例えば、この際に熱反応によってウエハ200の表面上に薄膜が堆積される。
【0037】
予め設定された処理時間が経過すると、パージガス供給源から供給されてMFC241bにて所望の流量となるように制御されたパージガスが処理室201に供給され、処理室201が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201の圧力が常圧に復帰される。
【0038】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されてマニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200を保持するボート217がマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部へと搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取り出され、ポッド110内へ格納される(ウエハディスチャージング)。
【0039】
(4)基板処理装置用コントローラの構成
(基板処理装置用コントローラ)
以下、図4を参照して、基板処理装置用コントローラとしての制御装置(以後、制御部ともいう)240について説明する。
【0040】
制御部240は、主にCPU(Central Processing Unit)等の演算制御部25と、処理コントローラとしての処理制御部20と、搬送制御部27と、メモリ(RAM)34やHDD等からなるROM35を備える記憶部28と、マウスやキーボード等の入力部29及びモニタ等の表示部31とから構成されている。尚、演算制御部25と、記憶部28と、入力部29と、表示部31とで各データを設定可能な操作部が構成される。
【0041】
演算制御部25は、制御部240の中枢を構成し、ROM35に記憶された制御プログラムを実行し、表示部31からの指示に従って、レシピ記憶部も構成する記憶部28に記憶されているレシピ(例えば、基板処理レシピとしてのプロセスレシピ等)を実行する。ROM35は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、演算制御部25の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。メモリ(RAM)34は、演算制御部25のワークエリア(一時記憶部)として機能する。
【0042】
ここで、基板処理レシピは、ウエハ200を処理する処理条件や処理手順等が定義されたレシピである。また、レシピファイルには、搬送コントローラ27、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14等に送信する設定値(制御値)や送信タイミング等が、基板処理のステップ毎に設定されている。
【0043】
処理制御部20は、前記処理炉202内にローディングされたウエハ200に対し、所定の処理がなされる様、処理炉202内の温度や圧力、該処理炉202内に導入される処理ガスの流量等を制御する機能を有している。
【0044】
搬送制御部27は、図示しない駆動モータを介してポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125、ボートエレベータ115等の基板を搬送する搬送機構の駆動を制御する機能を有している。例えば、搬送制御部27は、基板を搬送する搬送機構を構成する回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115、ポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125、ボート217及び回転機構254の搬送動作を実行させるように構成されている。
【0045】
記憶部28には、各種データ等が格納されるデータ格納領域32と、基板処理レシピを含む各種プログラムが格納されるプログラム格納領域33が形成されている。
【0046】
データ格納領域32は、レシピファイルに関連する各種パラメータが格納される。また、ポッド110毎に識別する情報であるキャリアIDやポッド110内のウエハ200の種別情報を少なくとも含むキャリア情報がデータ格納領域32に格納される様になっている。プログラム格納領域33には、上述の基板処理レシピを含む装置を制御するのに必要な各種プログラムが格納されている。また、プログラム格納領域33には、後述する蓋開閉制御プログラムが格納されている。
【0047】
制御部240の表示部31には、タッチパネルが設けられている。タッチパネルは、上述の基板搬送系、基板処理系への操作コマンドの入力を受け付ける操作画面を表示するように構成されている。かかる操作画面は、基板搬送系や基板処理系の状態を確認したり、基板搬送系や基板処理系への動作指示を入力したりするための各種表示欄及び操作ボタンを備えている。なお、操作部は、パソコンやモバイル等の操作端末(端末装置)のように、少なくとも表示部31と入力部29を含む構成であればよい。
【0048】
温度コントローラ12は、処理炉202のヒータ206の温度を制御することで処理炉202内の温度を調節すると共に、温度センサ263が所定の値や異常な値等を示した際、制御部240に通知を行うように構成されている。
【0049】
圧力コントローラ13は、圧力センサ245により検知された圧力値に基づいて、処理室201の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力調整装置242を制御すると共に、圧力センサ245が所定の値や異常な値等を示した際、制御部240に通知を行うように構成されている。圧力コントローラ13は、後述するガス導入機構1の調整部によるポッド110内の圧力を調整するように制御する。具体的には、圧力センサ8により検知された圧力値に基づいて、ポッド110内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力調整装置7を制御するよう構成されている。また、圧力コントローラ13は、ポッド110内の圧力と移載室124(蓋開閉空間124a)の圧力を監視し、圧力調整するよう構成されている。以後、圧力コントローラ13は、圧力を監視するための監視部と称する場合がある。
【0050】
ガス供給コントローラ14は、処理室201に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC241a,241bを制御するように構成されている。ガス供給コントローラ14は、後述するガス導入機構1によるポッド110に供給するガスの流量が所望の流量となるように制御するよう構成されている。
【0051】
(5)ガス導入機構
図5図6を用いて本実施形態におけるガス導入機構1について説明する。
【0052】
図5に示すように、ガス導入機構1は、ガスの流量を制御するガス流量制御器としての流量計4と、ガスの流路を構成するガス供給管としてのガス配管3と、ポッド110にガスを導入する接続部であるガス導入部と、ガス導入部とポッド110とを外部から密閉するシール部2と、ポッド110内の圧力を調整する調整部とを含む構成となっている。ガス導入機構1は、監視部(圧力コントローラ)13により、ポッド110内にガスを導入し、ポッド110内の圧力を所定圧力以上に維持するように構成されている。例えば、監視部13はポッド110内の圧力を蓋開閉空間124aよりも高くするように構成されている。
【0053】
載置部122にはポッド110の内部にパージガスとしての不活性ガスを導入する機構としてのガス導入機構1を備えており、ポッド110の内部に不活性ガスを流入させ、ポッド110内を不活性ガス雰囲気に置換するように構成されている。ガス導入機構1にはシール部2が設けられ、該シール部2は、ポッド110が載置部122に搬送されると、ガス配管3がガス導入部を介してポッド110内に連通するように設けられている。
【0054】
ノズルとしてのガス配管3の接続側の上流側には、流量計4とバルブ5を介して図示しない不活性ガス供給源が接続されている。流量計4とバルブ5は監視部13と電気的に接続されており、監視部13はポッド110内に供給するガスの流量が所望の量と所望のタイミングでなるよう、流量計4及びバルブ5を制御するよう構成されている。シール部2と、ガス配管3と、流量計4と、バルブ5と、ガス導入部と、不活性ガス供給源とでパージガス供給部が構成される。
【0055】
反対側である下流側には、ポッド110内の雰囲気を排気するガス配管6が設けられ、ポッド110内の圧力検出器としての圧力センサ8および圧力調整装置7を介して、ポッド110内の圧力が所定の圧力となるよう動作するよう構成されている。これら圧力センサ8及び圧力調整装置7を調整部ともいい、この調整部は監視部13により制御されるよう構成されている。
【0056】
次にシール部2の詳細について図6を用いて説明する。図6Aに示すように、ガス供給管としてのガス配管3の周りは、不活性ガスが漏れないようにシール材2aと該シール材2aを保持する保持部2bでシールされ、ガス導入部が構成されている。この構成により、シール材2aとシール材2aを保持する保持部2bでガス導入部とポッドの110との間を密閉することができるので、ポッド110の不活性ガス流入口の高さ、形状、材質に差異があっても不活性ガスが外部に漏れることなく、不活性ガスをポッド内に導入することができる。
【0057】
シール部2は、ポッド110内の下側にシール材2aを当接するように保持部2bが支持する構成である。保持部2bは、例えば、ばね等の伸縮可能な部材で構成される。その伸縮する力でシール材2aをポッド110の下側から押し上げるように構成される。また、シール材2aは、ゴム等の弾性変形可能な部材であり、例えば、パッキンやOリング等が選択される。これらの構成によれば、弾性体変形(反力)を利用して漏れないようにすることができ、ガス配管3とポッドの110との間を密閉することができる。
【0058】
また、図6Bに示すように、ポッド110が載置されると共にシール材2cを押圧するように構成されていてもよい。このような構成によってもガス配管3とポッド110との間を外部から密閉することができる。保持部2dに保持されるシール材2cの材質は、シール材2aと同様であるが、硬度が低いゴム等で構成される。よって、柔らかいゴムの収縮を利用することにより、ポッド110の構成によらず、ポッド110を載置するときに、ガス導入部とポッド110の密閉性を保持することができる。
【0059】
上述したように、本実施形態によれば、ポッド110の蓋を開く前(ポッド蓋開閉機構の動作前)に、ポッド110内部を不活性ガスで加圧(陽圧に)することができる。これにより、ポッド110の蓋が開かれたときに、発生したパーティクルのポッド110内への侵入を抑制することができるため、ポッド110内部に収容されたウエハ200へのパーティクルの付着を防止することができる。
【0060】
(6)蓋開閉システム
次に、蓋開閉システムによるポッド110の蓋を開閉する動作について説明する。このポッド110の蓋開閉は、ウエハ移載機構125によるウエハ200のポッド110からボート217への装填及びボート217からのポッド110への脱装時に適宜行われる。以下、図を参照しながらウエハチャージング(ウエハチャージ工程)時の動作を示す。なお、図7A図7B・・・図7Fをまとめて記載するときに、以後、図7と略称する。
【0061】
先ず、図7より、蓋開閉システムの構成について説明する。蓋開閉システムは、正面壁119aとの間に蓋開閉空間124aを構成する仕切部121と、ポッド110を載置する載置部122と、蓋開閉空間124aに設けられ、蓋開閉空間124a内でポッド110の蓋120を着脱する蓋開閉機構123と、図示しない蓋開閉空間124aに設けられるゲート部121aと、を少なくとも有するように構成されている。また、図示しないガス導入機構1、排気機構VENTも蓋開閉システムに含むようにしてもよい。ゲート部121aについては後述する。
【0062】
図7Aは、ポッド110が載置部122に載置された状態を模式的に示す図である。本実施形態において、このときに蓋開閉制御プログラムが制御部240により実行開始される。以下、蓋開閉システムを構成する各部の動作は制御部240により制御される。
【0063】
図7Aでは、図5に示すガス導入機構1による不活性ガスがポッド110内に供給される。そして、ポッド110内部に不活性ガスが流通され、ポッド110内の圧力が移載室124(若しくは蓋開閉空間124a)の圧力よりも陽圧に維持されるよう制御される。尚、予め圧力若しくはパージガス流量は設定されている。例えば、本実施形態では、移載室124の2倍の圧力に設定されている。
【0064】
図7Bは、ポッド110の蓋120を蓋開閉機構123に押し当て、蓋120を蓋開閉機構123に装着した状態を示す図である。尚、図5に示したガス導入機構1は、この図7B以降の状態でもポッド110内に不活性ガス(例えば、N2ガス)を供給できるように構成されている。これにより、ポッド110内の圧力を陽圧に保持することができる。
【0065】
図7Cは、蓋120を取り外した状態を示す図である。このように、載置部122上に載置されたポッド110の蓋120を蓋開閉機構123によって蓋開閉空間124a内で着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口120aを開閉するように構成されている。このとき、ポッド110は陽圧に保持されているので、蓋開閉機構123の動作による微小パーティクルが発生したとしても、ポッド110に入り込むことがない。例えば、ポッド110内の圧力は、移載室124(蓋開閉空間124a)の圧力の2倍程度に保持される。なお、ポッド110への微小パーティクルの侵入を抑制できればよいので、ポッド110内の圧力は、移載室124(蓋開閉空間124a)の圧力の2倍に限定されなく、陽圧であれば2倍未満(例えば、1.1倍)でもよく、また2倍以上でもよい。
【0066】
また、図7Cは、移載室124の間のウエハ200をウエハ移載機構125が搬送するための空間をゲート部121aで閉塞した図でもある。制御部240は、蓋開閉機構123によって蓋120をポッド110から取り外させ、蓋開閉機構123と共にゲート部121aを動作させて移載室124と蓋開閉空間124aとを分離させるように構成されている。本実施形態では、予めポッド110内を不活性ガスで置換しているとはいえ、一般的には、ポッド110内は移載室124に比べると高酸素濃度状態である一方、移載室124は、低酸素濃度(20ppm以下)状態であり、移載室124に酸素が流れ込むのを防止するためゲート部121aにより隔離している。
【0067】
本実施形態によれば、蓋開閉機構123によって蓋120が取り外されるとき、上述したようにポッド110内は、蓋開閉空間124aの圧力よりも圧力が高くなるように不活性ガスが供給されている(または不活性ガスで充満している)。即ち、制御部240は、監視部13にポッド110内の圧力を蓋開閉空間124aの圧力よりも高く維持させつつ、ポッド110の蓋120を開かせる様蓋開閉機構123を制御する。従って、蓋開閉機構123の動作による微小パーティクルがポッド110内に混入するのを低減することができる。また、制御部240は、図5に示したガス導入機構1による不活性ガス供給及び排気機構VENTによる排気により、ポッド110の蓋120を開にする際に、ポッド110内のガス及び蓋開閉空間124aの雰囲気が排気機構VENTへ流れるように構成されており、ポッド110内に導入された不活性ガスが排気機構VENTの方向に流れるよう流路を形成するよう構成されている。これにより、蓋開閉機構123の動作による微小パーティクルのポッド110内への混入を抑制する効果が期待できる。
【0068】
そして、監視部13は、移載室124と蓋開閉空間124aとを分離した状態で、引き続き図5に示したガス導入機構1による不活性ガス供給または排気機構VENTによる排気により、ポッド110内及び蓋開閉空間124aの圧力を移載室124の圧力よりも高く維持しつつポッド110内及び蓋開閉空間124aをN2雰囲気に置換するよう構成されている。なお、排気機構VENTによる排気は、ゲート部121aにより移載室124と蓋開閉空間124aとを分離した後、停止してもよく、また、所定の圧力(例えば移載室124の2倍程度)になると排気機構VENTを動作させて蓋開閉空間124aを排気するように構成してもよい。また、N2雰囲気に置換しつつ、蓋開閉空間124aの酸素濃度を所定の閾値以下にするように構成してもよい。更に、本実施形態では、予め不活性ガスによってポッド110内をN2置換するため、必要な酸素濃度まで到達する時間を短くすることができる。
【0069】
図7Dに示すように、蓋開閉空間124aのN2置換が終わる(酸素濃度が閾値以下になる)と、ウエハ移載機構125によるウエハ200の搬送が可能なように、ポッド110の蓋120と蓋開閉機構123とゲート部121aをスライドさせるよう構成されている。このとき、図7Dにおける矢印(点線)は図5に示したガス導入機構1からの不活性ガスの流れを示し、移載室124から排気機構VENTに続く矢印(実線)はガス雰囲気の流れを示す。ここで、図5に示したガス導入機構1からの不活性ガスの供給も停止してもよい。なお図示しないが、ゲート部121aも蓋開閉空間124aの所定位置(初期位置)に移動される。
【0070】
そして、図7Dにおいてウエハ移載機構125によるポッド110内のウエハ200の搬送が開始される。ここで、ウエハ移載機構125によるウエハ200の搬送が始まったとしても、ポッド110内の雰囲気及び移載室124の雰囲気は、蓋開閉空間124aを流れて排気機構VENTにより排気されるように構成してもよい。これにより、ウエハ移載機構125の動作によりパーティクルが発生してもポッド110内への侵入を低減する効果が期待できる。更に、ウエハ移載機構125によるウエハ200の搬送中に、図5に示したガス導入機構1から不活性ガスを供給するように構成してもよい。
【0071】
図7Eに示すように、ポッド110内にウエハ200が無くなると、ポッド110に蓋120を再度取付ける為、ポッド110の蓋120と蓋開閉機構123をスライドさせる。このときも排気機構VENTにより、移載室124の雰囲気を排気するよう構成してもよく、また、図5に示したガス導入機構1から不活性ガスを供給するよう構成してもよい。尚、図示しないゲート部121aで移載室124と蓋開閉空間124aの分離をした後にポッド110の蓋120と蓋開閉機構123を動作させるようにしてもよい。
【0072】
この後、ポッド110に蓋120が戻され(図7F)、ポッド110が載置部122の元の位置(図7Aに示すポッドの位置)に戻される。このポッド110は、図示しない回転式ポッド棚105に戻され、ウエハ200が収納されている新しいポッド110が載置部122に搬送されて、図7Aから図7Fまでの蓋開閉の動作が連続して行われる。図7Aから図7Fまでの蓋開閉の動作は、所定枚数のウエハ200がウエハ移載機構125により図示しないボート217に装填されるまで繰り返される。
【0073】
尚、ボート217からの脱装(ウエハディスチャージング)についても、上述したように図7Aから図7Fまでの蓋開閉動作が、ボート217に装填された全てのウエハ200が脱装されるまで繰り返される。
【0074】
(7)基板処理装置の動作
次に、図1図2図7により、本実施形態にかかる基板処理装置100の動作について説明する。
図1図2に示すように、ポッド110が工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート114に供給されると、基板検知センサ140によりポッド110が検知され、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。そして、ロードポート114の上のポッド110が、ポッド搬送装置118によってポッド搬入搬出口112から筐体111内部へと搬入される。
【0075】
筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって回転式ポッド棚105の棚板117上へ自動的に搬送されて一時的に保管される。その後、ポッド110は、棚板117上から載置部122上に移載される。図1図7Aに示すように、ポッド110が搬送されて載置部122に移載されると、図5に示したガス導入機構1によって、ポッド110の下面から不活性ガスが流入される。なお、筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって直接載置部122上に移載されてもよい。
【0076】
図7B図7Cに示すように、載置部122上に載置されたポッド110は、その開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口の開口縁辺部に押し付けられるとともに、ゲート部121aにより移載室124から蓋開閉空間124aを隔離する。その後、ポッド110の蓋120が蓋開閉機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口120aが開放される。その時、図5に示したガス導入機構1により、予めポッド110内の圧力は、移載室124(蓋開閉空間124a)の圧力よりも高く設定され、維持されている。その結果、移載室124からの雰囲気がポッド110に導入する流れを生じにくくなる。これにより、蓋開閉機構123の動作により、パーティクルが発生したとしてもポッド110内への侵入が低減される。
【0077】
本実施形態によれば、正面壁119aと仕切部121により仕切られる蓋開閉空間124aを設け、また、正面壁119aの、蓋開閉機構123によって蓋120が外されるポッド110の近傍に排気機構VENTを設け、蓋開閉機構123の動作により蓋120を開く時、制御部240は、ポッド110から排気機構VENTへの流路を形成することにより、この蓋開閉空間124aの雰囲気を所望の雰囲気に制御したり、また、ポッド110内の圧力を制御したりする。更に、制御部240は、図7Cに示すゲート部121aによる移載室124と蓋開閉空間124aの分離後、ポッド110内および蓋開閉空間124aの不活性ガス(例えば、N2ガス)による置換動作を制御したり、ポッド110内および蓋開閉空間124aの圧力を制御したりする。
【0078】
次に、制御部240は、図7Dに示すように、ウエハ200を搬送可能にするように蓋120、蓋開閉機構123等を動作させる。その後、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口120aを通じてポッド110内からウエハ200をピックアップさせ、図示しないノッチ合わせ装置にて方位を整合させた後、移載室124の後方にある待機部126内へ搬入させ、ボート217に装填(ウエハチャージング)させる。そして、ボート217にウエハ200を装填したウエハ移載装置125aは、ポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0079】
この一方(上段または下段)の載置部122上のポッド110におけるウエハ移載機構125によるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)の載置部122上には、別のポッド110が回転式ポッド棚105上からポッド搬送装置118によって搬送されて、図7Aから図7Dに示すガス導入機構1によるポッド110内の加圧制御及び蓋開閉機構123によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0080】
そして、この一方(上段または下段)の載置部122上のポッド110内のウエハ200が無くなると、図7E及び図7Fのように蓋開閉機構123により蓋120がポッド110に戻されると共に図7Aに示す位置にポッド110が移動される。一方、別のポッド110におけるウエハ移載機構125によるウエハ200のボート217への装填が並行して開始される。
【0081】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって開放される。続いて、ウエハ200を保持したボート217は、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより処理炉202内へ搬入(ローディング)されていく。
【0082】
ローディング後は、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ノッチ合わせ装置でのウエハの整合工程を除き、上述の手順とほぼ逆の手順で、処理後のウエハ200を格納したボート217が処理室201より搬出され、処理後のウエハ200を格納したポッド110が筐体111外へと搬出される。
【0083】
<本発明の他の実施形態>
また、本発明の実施の形態にかかる制御部240は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の各種処理を実行するためのプログラムを格納した外部記録媒体(USBメモリ、外付けHDD等)から制御プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部240を構成することができる。
【0084】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、基板処理装置の一例として半導体製造装置を示しているが、半導体製造装置に限らず、LCD装置のようなガラス基板を処理する装置であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等の処理であってもよい。また、成膜処理は、例えば、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。
【0086】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 ガス導入機構
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F