(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-02
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ローレンツアクチュエータ、オブジェクト位置決めシステム、リソグラフィ装置、及びローレンツアクチュエータ動作方法
(51)【国際特許分類】
H02P 25/064 20160101AFI20220203BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220203BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220203BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H02P25/064
G03F7/20 521
H01L21/68 K
H02K41/03 A
(21)【出願番号】P 2018506257
(86)(22)【出願日】2016-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2016067975
(87)【国際公開番号】W WO2017032540
(87)【国際公開日】2017-03-02
【審査請求日】2018-04-04
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-29
(32)【優先日】2015-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ウーロフ,マルティヌス,ヨセフス
(72)【発明者】
【氏名】ボーン,フィデラス,アドリアヌス
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】柿崎 拓
【審判官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0049697(US,A1)
【文献】特開2004-120885(JP,A)
【文献】国際公開第2014/29678(WO,A1)
【文献】特表2004-515994(JP,A)
【文献】特開2008-141165(JP,A)
【文献】国際公開第2013/172262(WO,A1)
【文献】特開2010-142048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P25/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石配置と、
コイル配置と、
前記コイル配置に電流を供給するための電流コントローラと、
を備えるローレンツアクチュエータであって、
前記磁石配置または前記コイル配置は、主方向に互いに対して移動可能であり、
前記コイル配置は、前記電流コントローラによって別々に動作可能な第1のコイル部分及び第2のコイル部分を備え、
前記電流コントローラは、前記
磁石配置の上面に対して垂直な補助方向における寄生リラクタンス力及び/又は寄生ローレンツ力を補償するために、前記第1のコイル部分に第1の電流を、及び前記第2のコイル部分に第2の電流を供給して、前記第1の電流と前記第2の電流との間の位相差を適用するように構成され、
前記電流コントローラは、前記
磁石配置の上面に対して垂直な補助方向における前記磁石配置に関連した前記コイル配置の、測定された位置と所望の位置との差に基づいて、前記第1及び第2のコイル部分に供給される前記第1の電流と第2の電流との間の前記位相差を決定するように構成される、
ローレンツアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1のコイル部分及び前記第2のコイル部分は、前記第1のコイル部分及び前記第2のコイル部分にほぼ同じ前記電流が提供される時、前記主方向にほぼ同
じローレンツ力を生成するように構成される、請求項1に記載のローレンツアクチュエータ。
【請求項3】
前記磁石配置は静止しており、前記コイル配置は前記磁石配置に関連して移動可能である、請求項1に記載のローレンツアクチュエータ。
【請求項4】
前記コイル配置は静止しており、前記磁石配置は前記コイル配置に関連して移動可能である、請求項1に記載のローレンツアクチュエータ。
【請求項5】
前記磁石配置は、2つの平行面内に配置された複数の永久磁石を備え、前記コイル配置は、多相コイル配置を形成するために前記永久磁石の2つの平行面間で移動可能な複数のコイルを備え、前記多相コイル配置の各位相は、前記2つの平行面に対して垂直な
前記補助方向に相互に隣り合って配置された2つのコイルを備え、一方のコイルは前記第1のコイル部分の一部であり、他方のコイルは前記第2のコイル部分の一部である、請求項3に記載のローレンツアクチュエータ。
【請求項6】
前記コイル配置は、2つの平行面内に配置された複数のコイルを備え、前記磁石配置は、多相コイル配置を形成するために前記コイルの2つの平行面間で移動可能な複数の磁石を備え、前記多相コイル配置の各位相は2つのコイルを備え、一方のコイルは前記2つの平行面のうちの一方に配置され、前記第1のコイル部分の一部であり、他方のコイルは前記一方のコイルとは反対に前記2つの平行面のうちの他方に配置され、前記第2のコイル部分の一部である、請求項4に記載のローレンツアクチュエータ。
【請求項7】
オブジェクト位置決めシステムであって、
主方向および前
記補助方向のオブジェクトの前記所望の位置を表すセットポイントを生成するための、セットポイントジェネレータ、
前記主方向および前
記補助方向の前記オブジェクトの実際の位置を表す測定信号を出力するための、測定システム、
請求項
1に記載の、前記主方向に前記オブジェクトに力を印加するためのローレンツアクチュエータ、及び、
セットポイントと測定信号との差に依存して、前記ローレンツアクチュエータの前記電流コントローラを制御するための制御ユニット、
を備える、オブジェクト位置決めシステム。
【請求項8】
請求項
7に記載のオブジェクト位置決めシステムを備える、リソグラフィ装置。
【請求項9】
磁石配置及びコイル配置を備えるローレンツアクチュエータを動作させるための方法であって、前記コイル配置または磁石配置は主方向に互いに対して移動可能であり、前記コイル配置は第1のコイル部分及び第2のコイル部分を備え、前記方法は、前記
磁石配置の上面に対して垂直な補助方向における寄生リラクタンス力及び/又は寄生ローレンツ力を補償するために、前記第1のコイル部分に第1の電流を、及び前記第2のコイル部分に第2の電流を供給して、前記第1の電流と前記第2の電流との間の位相差を適用するステップと、前記
磁石配置の上面に対して垂直な補助方向における前記磁石配置に関連した前記コイル配置の、測定された位置と所望の位置との差に基づいて、前記第1及び第2のコイル部分に供給される前記第1の電流と第2の電流との間の前記位相差を決定するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2015年8月27日出願の欧州出願第15182657.5号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、ローレンツアクチュエータ、このようなローレンツアクチュエータを備えるオブジェクト位置決めシステム、このようなオブジェクト位置決めシステムを備えるリソグラフィ装置、及びこのようなローレンツアクチュエータを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、通常、相互に対して正確に位置決めされる必要がある1つ以上のオブジェクト、例えばパターニングデバイス、基板、及び/又はそれらのサポートを備える。これらのオブジェクトを主方向に位置決めするために、周知のローレンツアクチュエータを使用することができる。しかしながら、ローレンツアクチュエータの欠点は、磁石のようなアクチュエータ構成要素における許容差、及び磁石に対するコイルの位置決め精度に起因して、主方向に対して垂直な方向に寄生力が発生し得ることである。
【0005】
[0005] 特に、装置のスループットを向上させるために必要な加速が増加する時、結果として生じる電流も同様に増加し、最終的に寄生力は装置の動的性能に著しい影響を与える。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 寄生効果が適切に対処されるローレンツアクチュエータを提供することが望ましい。
【0007】
[0007] 本発明の実施形態によれば、
磁石アレンジメント(arrangement)、
コイルアレンジメント、
コイルアレンジメントに電流を供給するための電流コントローラ、
を備えるローレンツアクチュエータが提供され、
磁石アレンジメント及びコイルアレンジメントは、主方向に相互に関連して移動可能であり、
コイルアレンジメントは、電流コントローラによって別々に動作可能な第1のコイル部分及び第2のコイル部分を備え、
電流コントローラは、主方向に対して垂直な補助方向における寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償するために、第1のコイル部分に第1の電流を、及び第2のコイル部分に第2の電流を供給するように、並びに、第1の電流及び/又は第2の電流に位相差を適用するように、構成される。
【0008】
[0008] 本発明の別の実施形態によれば、
磁石アレンジメント、
コイルアレンジメント、
コイルアレンジメントに電流を供給するための電流コントローラ、
を備えるローレンツアクチュエータが提供され、
磁石アレンジメント及びコイルアレンジメントは、主方向に相互に関連して移動可能であり、
アクチュエータは、補償コイルを介して電流を供給することによって磁石アレンジメントとコイルアレンジメントとの間に補助方向に力を印加するための、補償コイルを備え、
電流コントローラは、例えばスキャン方向などの主方向に対して垂直な補助方向の寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償するために、補償コイルを介して電流を供給するように構成される。
【0009】
[0009] 本発明の更なる実施形態によれば、
主方向のオブジェクトの所望の位置を表すセットポイントを生成するための、セットポイントジェネレータ、
主方向のオブジェクトの実際の位置を表す測定信号を出力するための、測定システム、
-本発明に従った、主方向にオブジェクトに力を印加するためのローレンツアクチュエータ、及び、
セットポイントと測定信号との差に依存して、ローレンツアクチュエータの、例えば電流増幅器を含む電流コントローラを制御するための、例えば位置決めコントローラなどの制御ユニット、
を備える、オブジェクト位置決めシステムが提供される。
【0010】
[00010] 本発明の更に別の実施形態によれば、本発明に従ったオブジェクト位置決めシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[00011] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に従ったリソグラフィ装置を示す図である。
【
図2a】本発明の実施形態に従った、ローレンツアクチュエータを示す図である。
【
図2b】本発明の実施形態に従った、ローレンツアクチュエータを示す図である。
【
図3】本発明の別の実施形態に従った、ローレンツアクチュエータを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に従った、オブジェクト位置決めシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[00012]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
放射ビームB(例えばUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTa又はWTbと、
パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0014】
[00013] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0015】
[00014] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0016】
[00015] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0017】
[00016] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0018】
[00017] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0019】
[00018] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0020】
[00019] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。実施形態において、測定テーブルは基板を保持することができない。
図1の例における2つの基板テーブルWTa及びWTbがこれを例示している。本明細書で開示される発明は、スタンドアロン型で使用可能であるが、特に、シングルステージ又はマルチステージのいずれかの装置の露光前測定ステージにおいて、追加の機能を提供することができる。
【0021】
[00020] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増やすための分野では周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が存在するというほどの意味である。
【0022】
[00021]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0023】
[00022] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0024】
[00023] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)上に入射し、パターニングデバイスによりパターンを付与される。マスクMAを通過した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームを合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計装置、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、放射ビームBの経路内に異なるターゲット部分Cを位置決めするように基板テーブルWTa/WTbを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0025】
[00024] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される間、支持構造MT及び基板テーブルWTa/WTbは本質的に定常に維持される(すなわち単一静的露光)。次いで基板テーブルWTa/WTbがX及び/又はY方向にシフトされるため、異なるターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを限定する。
2.スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造MT及び基板テーブルWTa/WTbは同期的にスキャンされる(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特徴によって決定され得る。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャニング方向)を限定する一方で、スキャニングモーションの長さがターゲット部分の高さ(スキャニング方向)を決定する。
3.他のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持しながら本質的に定常に維持され、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、基板テーブルWTa/WTbは移動又はスキャンされる。このモードでは、一般にパルス放射源が使用され、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTa/WTbの各動きの後、又はスキャン中の連続する放射パルス間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0026】
[00025] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0027】
[00026] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTa及びWTbと、その間で基板テーブルが交換可能な、露光ステーション及び測定ステーションという2つのステーションとを有する、いわゆるデュアルステージタイプである。一方の基板テーブル上の1つの基板が露光ステーションで露光されている間に、測定ステーションで他方の基板テーブル上に別の基板を装填することができるため、様々な予備ステップが実施可能となる。予備ステップは、レベルセンサLSを使用して基板の表面をマッピングすること、及び、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することを含み得る。これにより、装置のスループットの大幅な増加が可能となる。基板テーブルが測定ステーション並びに露光ステーションにある間に、位置センサIFが基板テーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションで基板テーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサを提供することができる。
【0028】
[00027] 装置は、説明する様々なアクチュエータ及びセンサのすべての動き及び測定を制御する、リソグラフィ装置制御ユニットLACUを更に含む。LACUは、装置の動作に関連する所望の計算を実装するための、信号処理及びデータ処理容量も含む。実際には、制御ユニットLACUは、各々が装置内のサブシステム又は構成要素のリアルタイムのデータ獲得、処理、及び制御を取り扱う、多くのサブユニットのシステムとして実現されることになる。例えば1つの処理サブシステムを、基板ポジショナPWのサーボ制御専用とすることができる。別々のユニットが、粗動アクチュエータ及び微動アクチュエータ、又は異なる軸を取り扱うことさえも可能である。別のユニットを、位置センサIFの読み出し専用とすることも可能である。装置全体の制御は、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータ、及びリソグラフィ製造プロセスに関与する他の装置と通信する、中央処理ユニットによって制御可能である。
【0029】
[00028] 前述のように、リソグラフィ装置は、位置決めされる必要のある可動オブジェクトを備えることができる。それらの例が、パターニングデバイスMAをサポートするように構築されたサポートMT、及び基板Wを保持するように構築された基板テーブルWTa、WTbである。これらのオブジェクトは、以下の実施形態において、オブジェクト位置決めシステムがローレンツアクチュエータを使用することによって位置決めされる。
【0030】
[00029] 本発明の実施形態に従ったローレンツアクチュエータ1が、
図2aに示される。図示されたアクチュエータは、Y方向とY方向及びZ方向に垂直なX方向(図示せず)とに延在する、2つの平行面内に配置される、複数の永久磁石3の磁石アレンジメントを備える。2つの平行面のうちの1つを形成する永久磁石3の各アレイは、それぞれの裏面鉄製プレート4によってサポートされる。裏面鉄製プレート4は、磁石3をサポートする機能を有するのみならず、アクチュエータ内で磁石3によって生成される磁場も維持し、それによってアクチュエータの効率を向上させる。
【0031】
[00030] 永久磁石3の2つの面の間にムーバ5が配置され、ムーバ5は磁石アレンジメントに関連して移動可能であり、多相コイルアレンジメントを形成するために複数のコイル7a、7b、7c、8a、8b、8cを備えるコイルアレンジメントを担持する。各コイル7a、7b、7c、8a、8b、8cは、それぞれのコイルを介して流れる電流が、主方向、ここではY方向のローレンツ力を生成するために、永久磁石3によって生成される磁場と相互作用できるように配置される。これによって、ムーバ5に力を印加すること、及びムーバ5を主方向に位置決めすることが可能になる。コイルアレンジメントは、コイル7a、7b、及び7cによって形成される第1のコイル部分と、コイル8a、8b、及び8cによって形成される第2のコイル部分とを備える。図示されるような実施形態において、第1のコイル部分及び第2のコイル部分は、第1のコイル部分及び第2のコイル部分に対してほぼ同じ電流が提供される時、主方向にほぼ同じローレンツ力を生成するように配置され、すなわち、第1のコイル部分に、第2のコイル部分に供給されるのと同じ電流が供給される時、第1のコイル部分及び第2のコイル部分によって主方向に生成されるローレンツ力も同じである。
【0032】
[00031] 本実施形態におけるコイルアレンジメントは3相コイルアレンジメントであり、コイル7a、8aが第1の位相を形成し、コイル7b、8bが第2の位相を形成し、コイル7c、8cが第3の位相を形成する。通常、3つの位相を介する電流は、3相間に120度の位相シフトを伴う正弦波である。しかしながら、他の構成も想定される。
【0033】
[00032] 実際には、裏面鉄製プレート4に関してZ方向のコイルの不正確な位置決めは、結果として、アクチュエータ1の動作の間にムーバ5に作用する、Z方向又はX方向の寄生リラクタンス力/トルクを生じさせる。更に、アクチュエータ内の磁場はY方向の場の成分も有し得るため、結果として、アクチュエータ1の動作の間にムーバ5に作用する、Z方向又はX方向の寄生ローレンツ力/トルクを生じさせる。
【0034】
[00033] 本実施形態に従った本発明は、第1のコイル部分及び第2のコイル部分に分割されているコイルアレンジメントを使用して、第1の電流を第1のコイル部分に、及び第2の電流を第2のコイル部分に供給することにより、Z方向の寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償すること、並びに、第1の電流又は第2の電流あるいはその両方のいずれかに位相差を適用することが可能である、という洞察に基づく。実施形態において、適用される位相差は、第1の電流と第2の電流との間の位相差である。代替として、適用される位相差は、第1のコイル部分又は第2のコイル部分のいずれかにおいて適用される電流の公称位相角に関連して定義することも可能である。電流の公称位相角は、主方向に向けられる力を生成するために電流に適用されることになる位相角を指す。こうした実施形態において、位相差、すなわち、適用される電流の位相角及び公称位相角における差は、位相シフトと呼ぶこともできる。当業者であれば明らかとなるように、本発明の意味の範囲内で、主方向及び補助方向の両方に力を生成するためにこうした位相シフトが適用される。したがって、電流内に位相シフトを適用することにより、各コイル部分によって(主方向及び補助方向の両方に成分を有する)2Dの力を生成することができる。実施形態において、第1のコイル部分において適用される第1の電流に適用される位相シフトは、第2のコイル部分において適用される第2の電流に適用される位相シフトに比べて、反対の符号を有し得(結果として、第1と第2の電流間に位相シフトの2倍に等しい位相差が生じ)、結果として、Z方向にオフセット力を生成することになる。実施形態において、第1及び第2のコイル部分の電流において適用される位相シフトは、例えば、磁石アレンジメントに関連してコイルアレンジメントに作用する、Z方向オフセット力/Rx傾斜の組み合わせの場合、Rxトルク、すなわち、X方向に関するトルク成分に打ち勝つ及び/又は反作用するために、位相ごとに別々に/独立して制御することもできる。実施形態において、位相差、又は位相シフトは、好ましくは多くとも1/8*πラジアン、より好ましくは多くとも1/16*πラジアン、及び最も好ましくは多くとも1/32*πラジアンである。Z方向は、Y方向に垂直な場合は補助方向とも呼ばれ得、ムーバがアクチュエータによって位置決めされるべき方向である場合は、主方向と呼ぶこともできる。
【0035】
[00034] 第1のコイル部分における電流と第2のコイル部分における電流との間の位相差がゼロの時、補償は適用されない。補償の適用が必要のない状況は、例えば、第1のコイル部分及び第2のコイル部分に対してZ方向に作用する寄生力が、等しいが符号は反対である時に起こり得る。
【0036】
[00035] 第1のコイル部分における電流と第2のコイル部分における電流との間に位相差が適用される時、第1及び第2のコイル部分に作用する寄生ローレンツ力において意図的な差が生成され、これによって、寄生ローレンツ力において意図的でなく発生する差、並びに、第1及び第2のコイル部分に作用する寄生リラクタンス力において発生する差を、補償することが可能となる。
【0037】
[00036] 実施形態において、位相差はコイルアレンジメントのすべての位相について等しいが、コイルアレンジメントの各位相に対して別々のそれぞれの位相差が適用されることも想定される。
【0038】
[00037] 実施形態において、第1のコイル部分における電流と第2のコイル部分における電流との間に適用される位相差は、主方向(Y方向)の磁石アレンジメントに関連したコイルアレンジメントの位置に依存し得、この位置は、以下でも説明するように好適な測定システムによって決定され得る。
【0039】
[00038] 代替又は追加として、第1及び第2のコイル部分間に適用される位相差は、補助方向(Z方向)の磁石アレンジメントに関連したコイルアレンジメントの位置に依存し得、この位置は、好適な測定システムによって決定され得る。
【0040】
[00039] 当業者であれば、
図2aの実施形態は移動コイル構成であるが、本発明は
図2bに示されるような移動磁石構成にも適用可能であることが明らかとなろう。移動磁石構成は、例えば、2つの平行面に配置された複数のコイル(コイル7a、7b、及び7cによって形成される第1のコイル部分、並びにコイル8a、8b、及び8cによって形成される第2のコイル部分)を伴うコイルアレンジメントを備えることが可能であり、磁石アレンジメントは、多相コイルアレンジメントを形成するためにコイルの2つの平行面の間で移動可能な複数の磁石3を備え、各位相は2つのコイルを備え(コイル7a、8aは第1の位相を形成し、コイル7b、8bは第2の位相を形成し、コイル7c、8cは第3の位相を形成する)、一方のコイルは2つの平行面のうちの一方に配置され、第1のコイル部分の一部であり、一方のコイルとは反対の他方のコイルは2つの平行面のうちの他方に配置され、第2のコイル部分の一部である。
【0041】
[00040]
図3は、本発明の別の実施形態に従ったローレンツアクチュエータ1を示す。
図3のアクチュエータ1は、Y方向とY方向及びZ方向に垂直なX方向(図示せず)とに延在する2つの平行面内に配置される、複数の永久磁石3の磁石アレンジメントを備えるという点でもまた、
図2aのアクチュエータ1と同様の構成を有し、2つの平行面のうちの1つを形成する永久磁石3の各アレイは、それぞれの裏面鉄製プレート4によってサポートされる。
【0042】
[00041] 永久磁石3の2つの面の間にムーバ5が配置され、ムーバ5は磁石アレンジメントに関連して移動可能であり、多相コイルアレンジメントを形成するために複数のコイル7a、7b、7cを備えるコイルアレンジメントを担持する。各コイル7a、7b、7c、それぞれのコイルを介して流れる電流が、主方向、ここではY方向のローレンツ力を生成するために、永久磁石3によって生成される磁場と相互作用できるように配置される。これによって、ムーバ5に力を印加すること、及びムーバ5を主方向に位置決めすることが可能になる。
【0043】
[00042]
図2a及び
図2bに従った本発明において、コイル7a、7b、7cは第1のコイル部分及び第2のコイル部分に「分割」され、
図3に従った本発明は、補償コイル9a、9b、9cを使用して、補償コイル9a、9b、9cを介して電流を供給することにより、磁石アレンジメントとコイルアレンジメントとの間で、主方向(Y方向)に垂直な補助方向(Z方向)に、力を印加する。
【0044】
[00043] 本実施形態において、コイルアレンジメントの各位相について補償コイルが存在し、補償コイル9a、9b、9cのパターンは、ムーバ5の移動範囲に依存して左及び/又は右へと続行可能である。しかしながら、補助方向(Z方向)における寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償するために、補償コイルがコイルアレンジメントに対して反発力及び引力を印加できる限り、他の構成も想定される。
【0045】
[00044] 当業者であれば、
図3に従った本発明は移動磁石構成においても実装可能であることが明らかとなろう。
【0046】
[00045]
図4は、主方向のオブジェクト、例えばムーバの所望の位置を表すセットポイントSPを生成するためのセットポイントジェネレータSGを備える、オブジェクト位置決めシステムを示す。システムは、主方向のオブジェクトの実際の位置を表す測定信号OMSを出力するための測定システムMSを更に備える。
【0047】
[00046] セットポイントSP及び測定信号OMSは、セットポイントSPと測定信号OMSとの間の差を決定するため、及び、
図2a、
図2b、又は
図3に従ったローレンツアクチュエータの電流コントローラCC部分に制御信号Fを出力するために、制御ユニットCUに提供される。制御信号Fは、例えば、ローレンツアクチュエータによって主方向に印加されるために必要な力であり得る。制御信号はまた、整流のためにローレンツアクチュエータのムーバの位置に関する情報も備え得る。
【0048】
[00047] 電流コントローラCCは、6つの電流信号O1a、O1b、O2a、O2b、O3a、及びO3bを出力する。
【0049】
[00048]
図2a又は
図2bに従ったローレンツアクチュエータを制御する場合、電流信号O1a、O1bはコイル7a、8aによって形成される第1の位相に関連付けることが可能であり、電流信号O2a、O2bはコイル7b、8bによって形成される第2の位相に関連付けることが可能であり、電流信号O3a、O3bはコイル7c、8cによって形成される第3の位相に関連付けることが可能である。次いで、電流コントローラCCは、主方向に対して垂直な補助方向において寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償するために、第1の電流を第1のコイル部分に、及び第2の電流を第2のコイル部分に供給するように、並びに、第1の電流と第2の電流との間に多くとも1/8
*π
ラジアンの位相差を適用するように、構成される。位相差は、測定信号OMSに基づいて決定可能である。
【0050】
[00049]
図3に従ったローレンツアクチュエータを制御する場合、電流信号O1a、O1bはコイル7a及び補償コイル9aによって形成される第1の位相に関連付けることが可能であり、電流信号O2a、O2bはコイル7b及び補償コイル9bによって形成される第2の位相に関連付けることが可能であり、電流信号O3a、O3bはコイル7c及び補償コイル9cによって形成される第3の位相に関連付けることが可能である。次いで、電流コントローラCCは、補助方向において寄生リラクタンス及び/又はローレンツ力を補償するために、補償コイルを介して電流を供給するように構成される。その場合、電流信号はすべて、測定信号OMSに依存して整流される。
【0051】
[00050] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0052】
[00051] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0053】
[00052] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外光(EUV)放射(例えば、5nm~20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0054】
[00053] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0055】
[00054] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0056】
[00055] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。