(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】処理チャンバのための高温ヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20220204BHJP
H05B 3/68 20060101ALI20220204BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20220204BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220204BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
H05B3/10 A
H05B3/68
H05B3/14 F
H01L21/31 B
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2018530512
(86)(22)【出願日】2016-12-28
(86)【国際出願番号】 US2016068863
(87)【国際公開番号】W WO2017117213
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-23
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポリアック, アレクサンダー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ユドフスキー, ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ギャリー ケイ.
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-231420(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002028(WO,A1)
【文献】特開2004-022243(JP,A)
【文献】特開平09-082786(JP,A)
【文献】特開2008-108703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/10
H05B 3/68
H05B 3/14
H01L 21/31
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁で囲まれた円板状の本体、及び
前記円板状の本体の上側表面上で軸から離れる方向に間隔を空けられた複数の加熱要素であって、各々が、軸から離れる方向に間隔を空けられた加熱区域を形成し、前記加熱要素の長さを規定する内側端と外側端を有する螺旋形状を有し、前記螺旋形状の各コイルが、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ隣接するコイルから間隔を空けられている、複数の加熱要素を備える、ヒータアセンブリであって、
前記複数の加熱要素が、前記円板状の本体の中心を貫く中心軸から第1の距離の内側加熱区域、前記中心軸から前記第1の距離よりも大きい第2の距離の中間加熱区域、及び前記中心軸から前記第2の距離よりも大きい第3の距離の外側加熱区域を形成し、
前記内側加熱区域が、第1の数のコイルを有する内側加熱要素を備え、前記中間加熱区域が、第2の数のコイルを有する中間加熱要素を備え、前記外側加熱区域が、第3の数のコイルを有する外側加熱要素を備え、前記内側加熱要素、前記中間加熱要素、及び前記外側加熱要素の各々が、少なくとも3つのコイルを備え、
前記ヒータアセンブリは、前記円板状の本体の前記上側表面上に配置され、内側端、外側端、上端、第1の側部及び第2の側部を有する、キャリッジを更に備え、
前記キャリッジは、前記上端から切り取られ、前記第1及び第2の側部を突き抜けるように構成され、各々が加熱要素を支持するようにサイズ決定されている、複数の凹部が設けられ、前記キャリッジは、内側位置と外側位置との間でレールに沿って移動するように構成され、前記内側位置が前記外側位置よりも前記中心軸に近い、ヒータアセンブリ。
【請求項2】
コイルの前記第3の数が、コイルの前記第1の数及びコイルの前記第2の数よりも大きい、請求項1に記載のヒータアセンブリ。
【請求項3】
前記内側加熱要素、前記中間加熱要素、及び前記外側加熱要素の各々が、グラファイトを含む、請求項1に記載のヒータアセンブリ。
【請求項4】
前記内側加熱要素が、前記円板状の本体の前記上側表面内の内側チャネル内に配置され、前記内側加熱要素の前記長さが前記内側チャネルの範囲内にあるように、前記内側チャネルが前記内側加熱要素と形状において適合している、請求項1に記載のヒータアセンブリ。
【請求項5】
前記内側加熱要素の膨張を可能にするように、前記内側チャネルが前記内側加熱要素よりも広く、且つ/又は、前記内側チャネルの壁が前記内側加熱要素の上端の上方へ延在するように、前記内側チャネルが前記内側加熱要素の高さよりも大きい深さを有する、請求項4に記載のヒータアセンブリ。
【請求項6】
前記中間加熱要素が、前記円板状の本体の前記上側表面内の中間チャネル内に配置され、前記中間加熱要素の前記長さが前記中間チャネルの範囲内にあるように、前記中間チャネルが前記中間加熱要素と形状において適合している、請求項4に記載のヒータアセンブリ。
【請求項7】
前記中間加熱要素の膨張を可能にするように、前記中間チャネルが前記中間加熱要素よりも広く、且つ/又は、前記中間チャネルの壁が前記中間加熱要素の上端の上方へ延在するように、前記中間チャネルが前記中間加熱要素の高さよりも大きい深さを有する、請求項6に記載のヒータアセンブリ。
【請求項8】
ガス分配アセンブリ、
前記ガス分配アセンブリに隣接し、且つ、前記ガス分配アセンブリから間隔を空けられた、サセプタアセンブリ、及び
請求項1から
7のいずれか一項に記載のヒータアセンブリを備える、処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、処理チャンバのための加熱装置に関する。特に、本開示は、バッチ処理チャンバのための高温ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス形成は、一般に、クラスタツールとも称され得る、複数のチャンバを包含する基板処理システム又はプラットフォーム内で行われる。ある事例において、マルチチャンバ処理プラットフォーム又はクラスタツールの目的は、制御された環境内で、順次、2以上のプロセスを1枚の基板に対して実行することである。しかし、他の事例では、マルチチャンバ処理プラットフォームが、複数の基板上で単一の処理ステップしか実行しないこともある。基板が処理される速度を最大化するために、更なるチャンバが用いられ得る。後者の場合、基板上で実行されるプロセスは、典型的には、バッチプロセスであり、そのバッチプロセスでは、比較的多数の、例えば25枚又は50枚の基板が、所与のチャンバ内で同時に処理される。バッチ処理は、原子層堆積(ALD)プロセス及び一部の化学気相堆積(CVD)プロセスなどの、経済的に実行可能な様態において個々の基板上で実行するには時間がかかりすぎるプロセスにとって、特に有益である。
【0003】
温度の均一性は、CVD又はALDプロセスにおいて重要な関心事であり得る。CVD及びALDシステムの加熱システムにおいては、抵抗ヒータが広く採用されている。ウエハにわたる温度の均一性における、ほんの摂氏数度のオーダーの、わずかなばらつきでさえも、CVD又はALDプロセスに悪影響を与える可能性がある。バッチ処理チャンバのサイズは、加熱源の複雑さ及び要件を更に増加させる。したがって、バッチ処理チャンバのための改良されたヒータが、当該技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1以上の実施形態は、表面及び中心軸を有する円筒本体と複数の加熱要素とを備えたヒータアセンブリを対象とする。複数の加熱要素は、円筒本体の表面上で軸から離れる方向に間隔を空けられている。複数の加熱要素の各々が、軸から離れる方向に間隔を空けられた加熱区域を形成する。各加熱要素は、加熱要素の長さを規定する内側端と外側端を有する螺旋形状を有する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0005】
本開示の更なる実施形態は、サセプタアセンブリを対象とする。サセプタアセンブリは、表面と中心軸を有する円筒本体を有するヒータアセンブリを備える。複数の加熱要素が、円筒本体の表面上で軸から離れる方向に間隔を空けられている。複数の加熱要素の各々が、軸から離れる方向に間隔を空けられた加熱区域を形成する。各加熱要素は、加熱要素の長さを規定する内側端と外側端を有する螺旋形状を有する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0006】
本開示の更なる実施形態は、ガス分配アセンブリ、サセプタアセンブリ、及びヒータアセンブリを備えた処理チャンバを対象とする。ヒータアセンブリは、表面及び中心軸を有する円筒本体と複数の加熱要素とを備える。複数の加熱要素は、円筒本体の表面上で軸から離れる方向に間隔を空けられている。複数の加熱要素の各々が、軸から離れる方向に間隔を空けられた加熱区域を形成する。各加熱要素は、加熱要素の長さを規定する内側端と外側端を有する螺旋形状を有する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0007】
本開示の上述の特徴を詳しく理解し得るように、上記で簡単に要約されている本開示の、より詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの断面図を示す。
【
図2】本開示の1以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの部分斜視図を示す。
【
図3】本開示の1以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの概略図を示す。
【
図4】本開示の1以上の実施形態による、バッチ処理チャンバにおいて使用される楔形ガス分配アセンブリの一部分の概略図を示す。
【
図5】本開示の1以上の実施形態による、バッチ処理チャンバの概略図を示す。
【
図6】本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリを示す。
【
図7】本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリの部分断面図を示す。
【
図8】本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリの部分断面図を示す。
【
図9】本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリの部分図を示す。
【
図10】本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリを組み込んだサセプタアセンブリの部分断面図を示す。
【
図11】本開示の1以上の実施形態による、サセプタアセンブリに隣接するヒータアセンブリの部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の幾つかの例示的な実施形態が説明される前に理解するべきことは、本開示が以下の説明で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないということである。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々なやり方で実施又は実行することができる。
【0010】
本明細書で使用される「基板」は、製造プロセス中にその上で膜処理が実行されるところの任意の基板又は基板上に形成された材料面を指す。例えば、その上で処理が実行され得るところの基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料などの任意の他の材料を含む。基板は、半導体ウエハを含むが、それに限定されるものではない。基板表面を、研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング、及び/又はベークするために、基板を前処理プロセスに晒してもよい。基板自体の表面上で直接膜処理することに加えて、本開示では、開示される任意の膜処理ステップが、以下でより詳細に開示されるように基板上に形成された下層上で実行されてもよい。「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図されている。したがって、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が、基板表面の上へ堆積された場合、新しく堆積された膜/層の曝露面が、基板表面となる。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応し得る任意のガス状核種(gaseous species)を指すために、相互交換可能に使用される。
【0012】
図1は、注入器又は注入器アセンブリとも称されるガス分配アセンブリ120、及び、サセプタアセンブリ140を含む、処理チャンバ100の断面図を示している。ガス分配アセンブリ120は、処理チャンバ内で使用される任意の種類のガス供給デバイスである。ガス分配アセンブリ120は、サセプタアセンブリ140に面する前面121を含む。前面121は、サセプタアセンブリ140に向けてガスの流れを供給するための任意の数の又は様々な開口部を有し得る。ガス分配アセンブリ120は、示されている実施形態では実質的に丸い外側周縁端部124も含む。
【0013】
使用されるガス分配アセンブリ120の特定の種類は、使用されている特定の処理に応じて変動し得る。本開示の実施形態は、サセプタとガス分配アセンブリとの間隙が制御される、任意の種類の処理システムを用いて使用され得る。様々な種類のガス分配アセンブリ(例えば、シャワーヘッド)が採用され得るが、本開示の実施形態は、複数の実質的に平行なガスチャネルを有する空間的ガス分配アセンブリを用いると、特に有用であり得る。この明細書及び付随する特許請求の範囲において、「実質的に平行(substantially parallel)」という文言は、ガスチャネルの長手方向軸が大体同じ方向に延在することを意味する。ガスチャネルの平行度には若干の不完全性があってもよい。2成分反応においては、複数の実質的に平行なガスチャネルが、少なくとも1つの第1の反応性ガスAチャネル、少なくとも1つの第2の反応性ガスBチャネル、少なくとも1つのパージガスPチャネル、及び/又は少なくとも1つの真空Vチャネルを含み得る。(1以上の)第1の反応性ガスAチャネル、(1以上の)第2の反応性ガスBチャネル、及び(1以上の)パージガスPチャネルから流れるガスは、ウエハの頂面に向けられている。ガス流の一部は、ウエハの表面にわたり水平方向に移動し、(1以上の)パージガスPチャネルを通って処理領域から出る。ガス分配アセンブリの一端から他端へ移動する基板は、順番に処理ガスの各々に晒され、基板表面上に層を形成することとなる。
【0014】
ある実施形態では、ガス分配アセンブリ120が、単一の注入器ユニットから作られた固い静止した本体である。1以上の実施形態では、
図2で示されるように、ガス分配アセンブリ120が、複数の個別の区域(例えば、注入器ユニット122)から作り上げられている。単一片の本体又は複数区域の本体の何れも、説明される本開示の様々な実施形態と共に使用され得る。
【0015】
サセプタアセンブリ140は、ガス分配アセンブリ120の下方に配置されている。サセプタアセンブリ140は、頂面141と、頂面141内の少なくとも1つの凹部142とを含む。サセプタアセンブリ140は、底面143及び端部144も有する。凹部142は、処理されている基板60の形状及びサイズに応じて、任意の適切な形状及びサイズであり得る。
図1で示されている実施形態では、凹部142が、ウエハの底を支持するために平坦な底を有する。しかし、凹部の底は変動し得る。ある実施形態では、凹部が、ウエハの外側周縁端部を支持するためにサイズ決定された、凹部の外側周縁端部の周りの段差領域を有する。段差によって支持されるウエハの外側周縁端部の量は、例えば、ウエハの厚さと、ウエハの裏側に既にある特徴の存在とに応じて変動し得る。
【0016】
ある実施形態において、
図1で示されているように、サセプタアセンブリ140の頂面141内の凹部142は、凹部142内で支持されている基板60が、サセプタ140の頂面141と実質的に同一平面上にある頂面61を有するように、サイズ決定される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際に、「実質的に同一平面」という表現は、ウエハの頂面とサセプタアセンブリの頂面が、±0.2mm内で同一平面にあることを意味する。ある実施形態では、頂面が、±0.15mm、±0.10mm、又は±0.05mmの範囲内で同一平面にある。
【0017】
図1のサセプタアセンブリ140は、サセプタアセンブリ140を上昇、下降、及び回転させることが可能な支持ポスト160を含む。サセプタアセンブリは、支持ポスト160の中心部内にヒータ、又はガスライン、又は電子部品を含み得る。支持ポスト160は、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との間隙を広げたり狭めたりして、サセプタアセンブリ140を適正位置へと移動させる、主たる手段であり得る。サセプタアセンブリ140は、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との所定の間隙170を生成するために、サセプタアセンブリ140に対して微調整を行うことができる、微調整用アクチュエータ162も含み得る。
【0018】
ある実施形態では、間隙170の距離が、約0.1mm~約5.0mmの範囲内、又は約0.1mm~約3.0mmの範囲内、又は約0.1mm~約2.0mmの範囲内、又は約0.2mm~約1.8mmの範囲内、又は約0.3mm~約1.7mmの範囲内、又は約0.4mm~約1.6mmの範囲内、又は約0.5mm~約1.5mmの範囲内、又は約0.6mm~約1.4mmの範囲内、又は約0.7mm~約1.3mmの範囲内、又は約0.8mm~約1.2mmの範囲内、又は約0.9mm~約1.1mmの範囲内であるか、或いは約1mmである。
【0019】
図面で示されている処理チャンバ100は、その内部でサセプタアセンブリ140が複数の基板60を保持できるところの、カルーセル型のチャンバである。
図2で示されているように、ガス分配アセンブリ120は、ウエハが注入器ユニットの下方で移動する際に、各注入器122がウエハ上に膜を堆積させることができる、複数の分離した注入器ユニット122を含み得る。2つのパイ形状の注入器ユニット122が、サセプタアセンブリ140の近似的に反対側に、且つ、サセプタアセンブリ140の上方に配置されるように示されている。注入器ユニット122のこの数は、例示目的でのみ示されている。より多くの又はより少ない注入器ユニット122が含まれ得ることは、理解されよう。ある実施形態では、サセプタアセンブリ140の形状に適合する形状を形成するのに十分な数のパイ形状の注入器ユニット122が存在する。ある実施形態では、個別のパイ形状の注入器ユニット122の各々が、独立して、他の注入器ニット122の何れかに影響を与えることなく、移動され、取り外され、且つ/又は交換され得る。例えば、基板60の積み込み/積み出しのために、サセプタアセンブリ140とガス分配アセンブリ120との間の領域にロボットがアクセスできるように、1つのセグメントが上昇し得る。
【0020】
複数のウエハが同じ処理の流れを経験するように、複数のウエハを同時に処理するために複数のガス注入器を有する処理チャンバが使用され得る。例えば、
図3で示されるように、処理チャンバ100は、4つのガス注入器アセンブリ及び4つの基板60を有する。処理開始時に、基板60は、注入器アセンブリ30の間に配置され得る。サセプタアセンブリ140を45度だけ回転させること(17)により、ガス分配アセンブリ120の間にある各基板60が、膜堆積のために、(ガス分配アセンブリ120の下方の点線円で示されているように)ガス分配アセンブリ120の方へ移動する。更に45度だけ回転させると、基板60は、注入器アセンブリ30から離れるように移動する。基板60とガス分配アセンブリ120の数は、同一であるか又は異なっていてもよい。ある実施形態では、処理されるウエハの数が、ガス分配アセンブリの数と同じである。1以上の実施形態では、処理されるウエハの数が、ガス分配アセンブリの数より少ない数又は整数倍となる。例えば、4つのガス分配アセンブリが存在するならば、処理されるウエハの数は4xとなる。ここで、xは1以上の整数値である。例示的な一実施形態では、ガス分配アセンブリ120が、ガスカーテンによって分離された8つの処理領域を含み、サセプタアセンブリ140が6つのウエハを保持し得る。
【0021】
図3で示されている処理チャンバ100は、単に1つの可能な構成を表すものであり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。ここで、処理チャンバ100は、複数のガス分配アセンブリ120を含む。示されている実施形態では、処理チャンバ100の周りに均等に間隔を空けられた4つのガス分配アセンブリ(注入器アセンブリ30とも呼ばれる)が存在する。示されている処理チャンバ100は八角形であるが、これは1つの可能な形状であり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことが、当業者には理解されよう。示されているガス分配アセンブリ120は、台形であるが、
図2で示されているものなどの、複数のパイ形状のセグメントから作り上げられた単一の円形構成要素であってもよい。
【0022】
図3で示されている実施形態は、ロードロックチャンバ180、又は緩衝ステーションのような補助チャンバを含む。このチャンバ180は、処理チャンバ100の側部に連結され、例えば、(基板60とも称される)基板が、チャンバ100に積み込まれ/チャンバ100から積み出されることを可能にする。ウエハロボットが、チャンバ180内に配置され、基板をサセプタの上へ移動させ得る。
【0023】
カルーセル(例えば、サセプタアセンブリ140)の回転は、連続的であっても又は間欠的(不連続的)であってもよい。連続処理では、ウエハが順番に注入器の各々に晒されるように、ウエハは常に回転している。不連続処理では、ウエハを注入器の領域へと移動させてから停止させ、次いで、注入器間の領域84へと移動させてから停止させることができる。例えば、カルーセルは、ウエハが、注入器間領域から注入器を横断して移動し(又は注入器に隣接して停止し)、そして次の注入器間領域へと移動し、そこでカルーセルが再度休止し得るように、回転し得る。注入器間で休止することにより、各層の堆積の間に追加の処理ステップ(例えば、プラズマへの曝露)のための時間を付与することができる。
【0024】
図4は、注入器ユニット122と称され得る、ガス分配アセンブリ220の1つの区域又は一部分を示している。注入器ユニット122は、個別に、又は他の注入器ユニットと組み合わせて使用され得る。例えば、
図5で示されるように、単一のガス分配アセンブリ220を形成するために、
図4の注入器ユニット122が4つ組み合わされる。(4つの注入器ユニットを区切る線は明確に図示されていない。)
図4の注入器ユニット122は、パージガスポート155と真空ポート145に加えて、第1の反応性ガスポート125と第2の反応性ガスポート135の両方を有しているが、注入器ユニット122は、これらの構成要素の全てを必要とするわけではない。
【0025】
図4と
図5の両方を参照すると、1以上の実施形態によるガス分配アセンブリ220は、各区域が全く同一であるか又は異なっている、複数の区域(又は注入器ユニット122)を備えてよい。ガス分配アセンブリ220は、処理チャンバ内に配置され、ガス分配アセンブリ220の前面121内に複数の細長いガスポート125、135、145を備える。複数の細長いガスポート125、135、145、155は、ガス分配アセンブリ220の内側周縁端部123に隣接した領域から外側周縁端部124に隣接した領域に向けて延在する。示されている複数のガスポートは、第1の反応性ガスポート125、第2の反応性ガスポート135、第1の反応性ガスポートと第2の反応性ガスポートの各々を取り囲む真空ポート145、及びパージガスポート155を含む。
【0026】
図4又は
図5で示されている実施形態を参照すると、ポートは少なくとも内側周縁領域の辺りから少なくとも外側周縁領域の辺りまで延在する、と述べる時、ポートは、単に内側領域から外側領域まで径方向に延在するだけではない。ポートは、真空ポート145が反応性ガスポート125と反応性ガスポート135を取り囲むように、接線方向に延在し得る。
図4及び
図5で示されている実施形態において、楔形反応性ガスポート125、135は、真空ポート145によって、内側周縁領域と外側周縁領域に隣接する端部を含む全ての端部が取り囲まれている。
【0027】
図4を参照すると、基板が経路127に沿って移動する際に、基板表面の各部分は、様々な反応性ガスに晒される。経路127を辿ると、基板は、パージガスポート155、真空ポート145、第1の反応性ガスポート125、真空ポート145、パージガスポート155、真空ポート145、第2の反応性ガスポート135、そして、真空ポート145に晒され、又はそれらに「遭遇する(see)」こととなる。したがって、
図4で示されている経路127の終端時には、基板が、第1反応性ガス及び第2反応性ガスに晒されて、層を形成している。示されている注入器ユニット122は四分円となっているが、より大きい又はより小さいものである可能性もある。
図5で示されているガス分配アセンブリ220は、連続的に連結された、4つの
図4の注入器ユニット122の組み合わせと見なされ得る。
【0028】
図4の注入器ユニット122は、複数の反応性ガスを分離するガスカーテン150を示している。「ガスカーテン(gas curtain)」という用語は、反応性ガスを混合しないように分離させるガス流又は真空の任意の組み合わせを説明するために使用される。
図4で示されているガスカーテン150は、真空ポート145の第1反応性ガスポート125に隣り合った部分、中間のパージガスポート155、及び真空ポート145の第2の反応ガスポート135に隣り合った部分を含む。ガス流と真空とのこの組み合わせは、第1の反応性ガスと第2の反応性ガスとの気相反応を防止又は最小化するために使用され得る。
【0029】
図5を参照すると、ガス分配アセンブリ220からのガス流と真空との組み合わせは、複数の処理領域250への分離を形成する。複数の処理領域は、250の間のガスカーテン150により、個々の反応性ガスポート125、135の周りに大まかに画定される。
図5で示されている実施形態は、8つの分離したガスカーテン150をそれらの間に備えた、8つの分離した処理領域250を構成している。処理チャンバは、少なくとも2つの処理領域を有し得る。ある実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、又は12の処理領域が存在する。
【0030】
基板は、処理中に、どの時点においても、2以上の処理領域250に晒され得る。しかし、異なる処理領域に晒される部分は、その2つを分離するガスカーテンを有することになる。例えば、基板の前縁が第2の反応性ガスポート135を含む処理領域に入るならば、基板の中央部はガスカーテン150の下にあり、且つ、基板の後縁は第1の反応性ガスポート125を含む処理領域内にあることになる。
【0031】
処理チャンバ100に連結された、例えば、ロードロックチャンバであり得る、ファクトリインターフェース280が示されている。参照フレームを提供するために、基板60は、ガス分配アセンブリ220の上に重ね合わされて示されている。基板60は、しばしば、サセプタアセンブリ上に置かれて、ガス分配アセンブリ220の前部表面121の近くに保持され得る。基板60は、ファクトリインターフェース280を介して、処理チャンバ100内の基板支持体又はサセプタアセンブリ上に積み込まれる(
図3参照)。処理領域内に配置された基板60が示され得る。何故ならば、その基板は、第1の反応性ガスポート125に隣接し、且つ、2つのガスカーテン150a、150bの間に配置されているからである。基板60を経路127に沿って回転させることにより、基板は、処理チャンバ100を回るように反時計回りに移動することとなる。したがって、基板60は、8番目の処理領域250hを通って、第1の処理領域250aに晒されることとなるが、その間に全ての処理領域が含まれている。
【0032】
したがって、本開示の実施形態は、各処理領域がガスカーテン150によって隣接する領域から分離されている、複数の処理領域250a~250hを有する、処理チャンバ100を備えた処理方法を対象とする。例えば、
図5で示されている処理チャンバがそうである。処理チャンバ内のガスカーテンと処理領域の数は、ガス流の配置に応じて任意の適切な数であり得る。
図5で示されている実施形態は、8つのガスカーテン150と8つの処理領域250a~250hとを有する。ガスカーテンの数は、概して、処理領域の数と等しいか又はそれよりも多い。
【0033】
複数の基板60は、基板支持体、例えば、
図1及び
図2で示されたサセプタアセンブリ140上に配置される。複数の基板60は、処理のために処理領域の周りで回転する。概して、ガスカーテン150は、反応性ガスがチャンバの中へ流れていない期間を含む処理の全体を通して、使用されている(ガスが流れ、真空が機能している)。
【0034】
第1の反応性ガスAが、処理領域250の1以上の中へ流され、一方、不活性ガスが、その中へ流れている第1の反応性ガスAを有しない、任意の処理領域250の中へ流される。例えば、処理領域250bから処理領域250hの中へ第1の反応性ガスが流れているならば、不活性ガスは、処理領域250aの中へ流れ得る。不活性ガスは、第1の反応性ガスポート125又は第2の反応性ガスポート135を通って流され得る。
【0035】
処理領域内の不活性ガスの流量は、一定であるか又は変動し得る。ある実施形態では、反応性ガスが不活性ガスと共に流される。不活性ガスは、搬送ガス及び希釈剤として作用する。反応性ガスの量が、搬送ガスに対して少ないので、共に流すことは、隣接する領域の間の圧力における差異を低減させることによって、処理領域の間のガス圧をバランスさせることを、より容易にし得る。
【0036】
サセプタアセンブリの本体は、管状のヒータを含み得る。管状のヒータは、十分な熱を供給し、摂氏500度から摂氏600度までの温度で動作するように制御する。しかし、これらの種類のヒータは、より高い温度をサポートすることができない。
【0037】
本開示のある実施形態は、高温の加熱要素を対象とする。ある実施形態は、有利なことに、サセプタの下方において支持構造体及びリフレクタを有する要素を提供する。支持構造体を含むある実施形態には、有利なことに梁構造体によって支持され得るキャリッジが装備される。ヒータの材料は、加熱及び冷却の間に実質的な熱変形を経験する。ある実施形態のキャリッジは、有利なことに、ヒータの変位を受け入れヒータのコイルの間隔を維持して電気的な短絡を避けるために、位置を変更する。
【0038】
ある実施形態は、隣接するコイル間の予想可能で低減されたデルタポテンシャルを可能にする、螺旋形状において設計されたヒータを提供する。有利なことに、動作圧力の全範囲を通してヒータのコイル間のアーク放電がほとんど又は全く生じないように、コイルの間隔が設計される。
【0039】
図6は、本開示の1以上の実施形態による、ヒータアセンブリ600を示している。ヒータアセンブリ600は、概して、中心軸602を有する円筒本体601を有する。示されているヒータアセンブリ600は、側壁607によって囲まれた表面603を有する。側壁607内の領域は、ヒータアセンブリ600の内装610と称される。
【0040】
ある実施形態のヒータアセンブリ600は、内装610の範囲内に軸から離れる方向に間隔を空けられた複数の加熱要素620a、620b、620cを含む。複数の加熱要素は、軸から離れる方向に間隔を空けられた加熱区域630、632、634を形成する。
図6で示されている実施形態は、3つの加熱区域630、632、634を形成する、3つの加熱要素620を含む。加熱区域は、内側加熱要素620a、中間加熱要素620b、及び外側加熱要素620cによって画定されている。
【0041】
内側加熱要素620aは、ヒータアセンブリ600の中心軸602の近くに配置されている。内側加熱要素620aは、中心軸602を囲む螺旋形状として示されている。示されている内側加熱要素620aは、中心軸602の周りに2つのサイクルを作っている。内側加熱要素620aは、内側端621aから外側端622aへ延在する。加熱要素に沿った内側端621aと外側端622aとの間の距離は、加熱要素の長さを規定する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0042】
内側加熱要素620aは、第1の数のコイルを有する。中心軸602の周りで内側加熱要素620aが作るサイクル又はコイルの数は、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、コイルの間隔、要素に印加される電力、及び加熱要素を作り上げている材料に応じて、1つの完全なサイクル未満から任意の数のサイクルまで変動し得る。より大きいヒータアセンブリ600は、より小さいヒータアセンブリ600よりも多いサイクルを有する内側加熱要素620aを有し得る。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、中心軸602の周りで、約0.5から約15までの範囲内のサイクル、又は約1から約10までの範囲内のサイクル、又は約2から約6までの範囲内のサイクルを備える。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、中心軸602の周りで、約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、又は3回以下のサイクルを有する。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、少なくとも約3つのコイルを備える。
【0043】
内側加熱要素620aは、中心軸602から、最大で、ヒータアセンブリ600の中心軸602と側壁607との間隔の約50%までの距離だけ延在し得る。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、ほぼ中心軸602から、ヒータアセンブリ600の中心軸602と内壁607との間隔の約40%、35%、33%、25%、又は20%以下の距離だけ延在する内側加熱区域630を形成する。中心軸602と側壁607との間の距離は、概して、500mmより大きい直径を有するサセプタのために熱を供給するのに十分な大きさを有する。ある実施形態では、中心軸602と側壁607との間の距離が、約300mm、400mm、500mm、600mm、700mm、800mm、又は900mmよりも大きい。
【0044】
内側加熱要素620aの個別のコイルの間隔は、変動する場合がある。ある実施形態では、各リングの隣接ポイントの間の電磁場の密度が、リング間のアーク放電を妨げるのに十分な低さを有するように、コイルが間隔を空けられている。ある実施形態では、内側加熱要素620aのコイルが、約1mmから約10mmまでの範囲内、又は約2mmから約9mmまでの範囲内、又は約3mmから約8mmまでの範囲内、又は約4mmから約7mmまでの範囲内、又は約5mmの間隔を空けられている。
【0045】
内側端621aから外側端622aまでの内側加熱要素620aの長さは、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、内側加熱区域630のサイズ、及びコイルの間隔に応じて変動し得る。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、約1mから約5mまでの範囲内、又は約2mから約4mまでの範囲内、又は約3mの長さを有する。
【0046】
中間加熱要素620bは、内側加熱要素620aよりも、ヒータアセンブリ600の中心軸602から更に離れて配置されている。「中間」という用語の使用は、本開示の範囲を3つの加熱要素に限定するものとみなされるべきではない。図面内で加熱要素を説明するために使用されている「内側」、「中間」、及び「外側」という用語は、示されている異なる要素を特定するためにのみ使用されており、3つの加熱要素に限定されない。他の加熱要素や他の加熱区域も含まれ得ることが、当業者によって理解されよう。
【0047】
中間加熱要素620bは、中心軸602と内側加熱要素620aを囲む螺旋形状として示されている。内側加熱要素620aと中間加熱要素620bとの間隔は、加熱アセンブリの半径に沿って測定された場合に、間隔がない状態から約1メートルまでの加熱要素どうしの間隔で変動し得る。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、約10mmから約1mまでの範囲内、又は約20mmから約500mmまでの範囲内、又は約30mmから約400mmまでの範囲内、又は約40mmから約300mmまでの範囲内、又は約50mmから約200mmまでの範囲内、又は約60mmから約150mmまでの範囲内、又は約70mmから約100mmまでの範囲内にある距離だけ、内側加熱要素620aから間隔を空けられている。
【0048】
示されている中間加熱要素620bは、中心軸602の周りに2つのサイクルを作っている。中間加熱要素620bは、内側端621bから外側端622bへ延在する。加熱要素に沿った内側端621bと外側端622bとの間の距離は、中間加熱要素620bの長さを規定する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0049】
中間加熱要素620bは、第2の数のコイルを備える。コイルの第2の数は、内側加熱要素620aのコイルの第1の数と同じであるか又は異なり得る。中心軸602の周りで中間加熱要素620bが作るサイクル又はコイルの数は、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、コイルの間隔、要素に印加される電力、及び加熱要素を作り上げている材料に応じて、1つの完全なサイクル未満から任意の数のサイクルまで変動し得る。より大きいヒータアセンブリ600は、より小さいヒータアセンブリ600よりも多いサイクルを有する中間加熱要素620bを有し得る。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、中心軸602の周りで、約0.5から約15までの範囲内のサイクル、又は約1から約10までの範囲内のサイクル、又は約2から約6までの範囲内のサイクルを備える。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、中心軸602の周りで、約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、又は3回以下のサイクルを有する。ある実施形態では、コイルの第2の数が、約3以上である。
【0050】
中間加熱要素620bは、中心軸602から、ヒータアセンブリ600の中心軸602と側壁607との間隔の約25%から約75%までの範囲内の距離だけ延在し得る。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、ヒータアセンブリ600の中心軸602と内壁607との間の距離の約20%、25%、30%、35%、又は40%以上である中心軸602からの最小距離から延在する中間加熱区域632を形成する。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、ヒータアセンブリ600の中心軸602と内壁607との間の距離の約60%、65%、70%、75%、又は80%以上である中心軸602からの最大距離まで延在する内側加熱区域632を形成する。
【0051】
中間加熱要素620bの個別のコイルの間隔は、変動する場合がある。ある実施形態では、各リングの隣接ポイントの間の電磁場の密度が、リング間のアーク放電を妨げるのに十分な低さを有するように、コイルが間隔を空けられている。ある実施形態では、中間加熱要素620bのコイルが、約1mmから約10mmまでの範囲内、又は約2mmから約9mmまでの範囲内、又は約3mmから約8mmまでの範囲内、又は約4mmから約7mmまでの範囲内、又は約5mmの間隔を空けられている。
【0052】
内側端621bから外側端622bまでの中間加熱要素620bの長さは、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、中間加熱区域632のサイズ、及びコイルの間隔に応じて変動し得る。ある実施形態では、中間加熱要素620bが、約1mから約10mまでの範囲内、又は約2mから約9mまでの範囲内、又は約3mから約8mまでの範囲内、又は約4mから約7mまでの範囲内の長さを有する。
【0053】
外側加熱要素620cは、内側加熱要素620aと中間加熱要素620bよりも、ヒータアセンブリ600の中心軸602から更に離れて配置されている。「外側」という用語の使用は、本開示の範囲を2つ又は3つの加熱要素に限定するものとみなされるべきではない。図面内で加熱要素を説明するために使用されている「内側」、「中間」、及び「外側」という用語は、示されている異なる要素を特定するためにのみ使用されている。
【0054】
外側加熱要素620cは、中心軸602、内側加熱要素620a、中間加熱要素620bを囲む螺旋形状として示されている。中間加熱要素620bと外側加熱要素620cとの間隔は、加熱アセンブリの半径に沿って測定された場合に、間隔がない状態から約1メートルまでの加熱要素どうしの間隔で変動し得る。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、約10mmから約1mまでの範囲内、又は約20mmから約500mmまでの範囲内、又は約30mmから約400mmまでの範囲内、又は約40mmから約300mmまでの範囲内、又は約50mmから約200mmまでの範囲内、又は約60mmから約150mmまでの範囲内、又は約70mmから約100mmまでの範囲内にある距離だけ、中間加熱要素620bから間隔を空けられている。
【0055】
示されている外側加熱要素620cは、中心軸602の周りに2つのサイクルを作っている。外側加熱要素620cは、内側端621cから外側端622cへ延在する。加熱要素に沿った内側端621cと外側端622cとの間の距離は、外側加熱要素620cの長さを規定する。螺旋形状の各コイルは、隣接するコイル間のアーク放電を妨げるのに十分な距離だけ、隣接するコイルから間隔を空けられている。
【0056】
外側加熱要素620cは、第3の数のコイルを備える。コイルの第3の数は、内側加熱要素620aのコイルの第1の数及び/又は中間加熱要素620bのコイルの第2の数と同じであるか又は異なり得る。中心軸602の周りで外側加熱要素620cが作るサイクル又はコイルの数は、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、コイルの間隔、要素に印加される電力、及び加熱要素を作り上げている材料に応じて、1つの完全なサイクル未満から任意の数のサイクルまで変動し得る。より大きいヒータアセンブリ600は、より小さいヒータアセンブリ600よりも多いサイクルを有する外側加熱要素620cを有し得る。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、中心軸602の周りで、約0.5から約20までの範囲内のサイクル、又は約1から約15までの範囲内のサイクル、又は約2から約10までの範囲内のサイクル、又は約4から約9までの範囲内のサイクルを備える。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、中心軸602の周りで、約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、又は3回以下のサイクルを有する。ある実施形態では、コイルの第3の数が、約3以上である。ある実施形態では、コイルの第3の数が、コイルの第1の数及び/又はコイルの第2の数以上である。
【0057】
外側加熱要素620cは、中心軸602から、ヒータアセンブリ600の中心軸602と側壁607との間隔の約50%から約100%までの範囲内の距離だけ延在し得る。ここで、100%は、側壁607の位置である。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、ヒータアセンブリ600の中心軸602と内壁607との間の距離の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%以上である中心軸602からの最小距離から延在する外側加熱区域634を形成する。ここで、100%は側壁607の位置である。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、ヒータアセンブリ600の中心軸602と内壁607との間の距離の約100%、95%、90%、85%、又は80%以下である中心軸602からの最大距離まで延在する外側加熱区域634を形成する。
【0058】
外側加熱要素620cの個別のコイルの間隔は、変動する場合がある。ある実施形態では、各リングの隣接ポイントの間の電磁場の密度が、リング間のアーク放電を妨げるのに十分な低さを有するように、コイルが間隔を空けられている。ある実施形態では、外側加熱要素620cのコイルが、約1mmから約10mmまでの範囲内、又は約2mmから約9mmまでの範囲内、又は約3mmから約8mmまでの範囲内、又は約4mmから約7mmまでの範囲内、又は約5mmの間隔を空けられている。
【0059】
内側端621cから外側端622cまでの外側加熱要素620cの長さは、例えば、ヒータアセンブリ600のサイズ、外側加熱区域634のサイズ、及びコイルの間隔に応じて変動し得る。ある実施形態では、外側加熱要素620cが、約1mから約15mまでの範囲内、又は約2mから約14mまでの範囲内、又は約3mから約13mまでの範囲内、又は約4mから約12mまでの範囲内の長さを有する。
【0060】
1以上の実施形態では、
図6で示されているように、複数の加熱要素が、中心軸602から第1の距離だけ間隔を空けられた内側加熱区域630を形成する。中間加熱区域632は、中心軸602から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ間隔を空けられている。外側加熱区域634は、中心軸602から第2の距離よりも大きい第3の距離だけ間隔を空けられている。加熱区域の間隔と加熱区域のサイズは、例えば、加熱要素、ヒータハウジング、及びヒータがそれと共に使用されるところのサセプタアセンブリの構築のために使用される材料に応じることとなる。
【0061】
加熱要素は、グラファイトを含む任意の適切な材料から作られ得るが、それに限定されるものではない。ある実施形態では、内側加熱要素620a、中間加熱要素620b、及び外側加熱要素620cが、グラファイトを含む。様々な加熱要素のために使用されるグラファイトは、同じグレードであってもよく又は異なるグレードであってもよい。ある実施形態では、外側加熱要素620cのために使用されるグラファイトが、内側加熱要素620a及び/又は中間加熱要素620bのために使用されるグラファイトよりも高い熱膨張率(CTE)を有する。より高いCTEを有するグラファイトは、より低いCTEを有するグラファイトよりも、温度増加を伴った大きい量の膨張を有することとなる。より高い膨張は、加熱要素のグラファイトの剥離をもたらし得る。ある実施形態では、様々な加熱要素のために使用されるグラファイトが、同じ抵抗及び/又は粒径を有する。ある実施形態では、内側加熱要素のために使用されるグラファイトが、外側加熱要素のために使用されるグラファイトよりも高い抵抗を有する。ある実施形態では、最も長い加熱要素のために使用されるグラファイトが、最も短い加熱要素のために使用されるグラファイトよりも低い抵抗を有する。
【0062】
ある実施形態では、加熱要素の1以上が、ヒータアセンブリ600の円筒本体601の表面603内に形成されたチャネル内に配置されている。
図7は、内側加熱要素620aが、円筒本体601の表面603内の内側チャネル640aの範囲内に配置された、本開示の実施形態を示している。内側チャネル640aは、幅W
aと深さD
aを有する。ある実施形態では、内側チャネル640aが、内側加熱要素620aの形状に適合した形状を有する。それによって、内側加熱要素620aの長さが、内側チャネル640aの範囲内にある。
【0063】
内側チャネル640aの幅Waは、内側加熱要素620aの幅W1と同じであり得る。ある実施形態では、内側チャネル640aの範囲内での内側加熱要素620aの膨張及び/又は収縮を可能にするように、内側チャネル640aの幅Waが、内側加熱要素620aの幅W1よりも広い。ある実施形態では、内側加熱要素620aの幅W1が、内側チャネル640aの幅Waの約10%から約90%までの範囲内にある。様々な実施形態では、内側加熱要素620aの幅W1が、内側チャネル640aの幅Waの約20%から約80%まで、又は約30%から約70%まで、又は約40%から約60%までの範囲内にある。
【0064】
内側チャネル640aの深さDaは、内側加熱要素620aの高さH1と同じであり得る。ある実施形態では、内側チャネル640aが、内側加熱要素620aの高さH1よりも大きい深さDaを有する。それによって、内側チャネル640aの壁641aが、内側加熱要素620aの上端623aの上方へ延在する。ある実施形態では、内側加熱要素620aの高さH1が、内側チャネル640aの幅Daの約10%から約50%までの範囲内にある。様々な実施形態では、内側加熱要素620aの高さH1が、内側チャネル640aの深さDaの約10%よりも大きく、内側チャネル640aの深さDaの約90%、80%、70%、60%、50%、40%、又は30%以下である。
【0065】
ある実施形態では、中間加熱要素620bが、円筒本体601の表面603内の中間チャネル640bの範囲内に配置されている。中間チャネル640bは、幅Wbと深さDbを有する。ある実施形態では、中間チャネル640bが、中間加熱要素620bの形状に適合した形状を有する。それによって、中間加熱要素620bの長さが、中間チャネル640bの範囲内にある。
【0066】
中間チャネル640bの幅Wbは、中間加熱要素620bの幅W2と同じであり得る。ある実施形態では、中間チャネル640bの範囲内での中間加熱要素620bの膨張及び/又は収縮を可能にするように、中間チャネル640bの幅Wbが、中間加熱要素620bの幅W2よりも広い。ある実施形態では、中間加熱要素620bの幅W2が、中間チャネル640bの幅Wbの約10%から約90%までの範囲内にある。様々な実施形態では、中間加熱要素620bの幅W2が、中間チャネル640bの幅Wbの約20%から約80%まで、又は約30%から約70%まで、又は約40%から約60%までの範囲内にある。
【0067】
中間チャネル640bの深さDbは、中間加熱要素620bの高さH2と同じであり得る。ある実施形態では、中間チャネル640bが、中間加熱要素620bの高さH2よりも大きい深さDbを有する。それによって、中間チャネル640bの壁641bが、中間加熱要素620bの上端623bの上方へ延在する。ある実施形態では、中間加熱要素620bの高さH2が、中間チャネル640bの深さDbの約10%から約50%までの範囲内にある。様々な実施形態では、中間加熱要素620bの高さH2が、中間チャネル640bの深さDbの約10%よりも大きく、中間チャネル640bの深さDbの約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、又は30%以下である。
【0068】
ある実施形態では、中間チャネル640bの深さDbが、内側チャネル640aの深さDa未満であるか又は内側チャネル640aの深さDaとほぼ等しい。1以上の実施形態では、中間チャネル640bの深さDbが、内側チャネル640aの深さDa未満であるか又は内側チャネル640aの深さDaとほぼ等しく、内側加熱要素620aの高さH1が、中間加熱要素620bの高さH2とほぼ同じである。
【0069】
ある実施形態では、外側加熱要素620cが、円筒本体601の表面603内の外側チャネル640cの範囲内に配置されている。外側チャネル640cは、幅Wcと深さDcを有する。ある実施形態では、外側チャネル640cが、外側加熱要素620cの形状に適合した形状を有する。それによって、外側加熱要素620cの長さが、外側チャネル640cの範囲内にある。
【0070】
外側チャネル640cの幅Wcは、外側加熱要素620cの幅W3と同じであり得る。ある実施形態では、外側チャネル640cの範囲内での外側加熱要素620cの膨張及び/又は収縮を可能にするように、外側チャネル640cの幅Wcが、外側加熱要素620cの幅W3よりも広い。ある実施形態では、外側加熱要素620cの幅W3が、外側チャネル640cの幅Wcの約10%から約90%までの範囲内にある。様々な実施形態では、外側加熱要素620cの幅W3が、外側チャネル640cの幅Wcの約20%から約80%まで、又は約30%から約70%まで、又は約40%から約60%までの範囲内にある。
【0071】
外側チャネル640cの深さDcは、外側加熱要素620cの高さH3と同じであり得る。ある実施形態では、外側チャネル640cが、外側加熱要素620cの高さH3よりも大きい深さDcを有する。それによって、外側チャネル640cの壁641cが、外側加熱要素620cの上端623cの上方へ延在する。ある実施形態では、外側加熱要素620cの高さH3が、外側チャネル640cの深さDcの約50%から約100%までの範囲内にある。様々な実施形態では、外側加熱要素620cの高さH3が、外側チャネル640cの深さDcの約70%よりも大きく、外側チャネル640cの深さDcの約110%、105%、100%、95%、又は90%以下である。
【0072】
ある実施形態では、外側チャネル640cの深さDcが、中間チャネル640bの深さDb及び内側チャネル640aの深さDa未満であるか又は中間チャネル640bの深さDb及び内側チャネル640aの深さDaとほぼ等しい。1以上の実施形態では、外側チャネル640cの深さDcが、中間チャネル640bの深さDb未満であり又は中間チャネル640bの深さDbとほぼ等しく、中間加熱要素620bの高さH2が、外側加熱要素620cの高さH3とほぼ同じである。ある実施形態では、外側チャネル640cが、外側加熱要素620cの高さH3と実質的に同じ深さDcを有する。それによって、外側加熱要素620cの上端623cが、円筒本体601の表面603と実質的に面一である。これに関して使用される際に、「実質的に面一」という用語は、加熱要素の上端が、円筒本体の表面から約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、又は0.5mmの範囲内にあることを意味する。
【0073】
チャネル640の壁641は、円筒本体601の表面603と実質的に垂直であり得る。これに関して使用される際に、「実質的に垂直」という用語は、表面603と壁641によって作られた角度が、約85度から約95度の範囲内にあることを意味する。
図8を参照すると、ある実施形態では、チャネル640の壁641が、表面603と約95度よりも大きい角度645を形成するように傾いている。ある実施形態では、角度645が、約100度、105度、110度、115度、又は120度よりも大きい。1以上の実施形態では、角度645が、隣接するコイルの間の又は隣接する加熱要素の間のアーク放電の可能性を最小化するために、加熱要素620によって生成された電場628aと628bの著しい重なりを妨げるのに十分低い。ある実施形態では、加熱要素のうちの少なくとも1つの壁が、表面603に対して実質的に垂直であり、加熱要素のうちの少なくとも1つの壁が、約110度以上の角度645を形成する。
【0074】
図9を参照すると、本開示のある実施形態は、内側端681、外側端682、上端683、第1の側部684、及び第2の側部685を有する、キャリッジ680を含む。キャリッジ680は、複数のカットアウト688を含む。各カットアウトは、加熱要素620を支持するようにサイズ決定されている。
図9で示されている実施形態は、各々が外側加熱要素620cのコイルを支持するようにサイズ決定された3つのカットアウト688を含む。
【0075】
キャリッジ680は、内側位置691と外側位置692との間でレール690に沿って移動するように構成され得る。内側位置691は、側壁607により近い外側位置692よりも中心軸602に近い。キャリッジ680は、カットアウト688内で支持された加熱要素の膨張及び/又は収縮の結果として、内側位置691から外側位置692へ移動し、その逆もある。
【0076】
図9のレール690は、円筒本体601の表面603に取り付けられたトラックとして示されている。キャリッジ680の底部内の溝686は、レール690と協働的に相互作用して、加熱要素620の膨張及び収縮の間にレール690に沿って動く。
図9で示されている構成は、単に例示的な一実施形態を表したものである。ある実施形態では、キャリッジ680が、本体の表面内の溝の範囲内で動く底部上の突起部を有する。キャリッジが加熱要素を支持し加熱要素の膨張/収縮によって移動することを可能にする、構成要素の他のアレンジメントが存在することを、当業者は理解するだろう。ある実施形態では、各加熱要素がキャリッジ内で支持されている。ある実施形態では、加熱要素のうちの少なくとも1つがキャリッジ内にあり、加熱要素のうちの少なくとも1つがキャリッジ内にない。
【0077】
キャリッジ680は、加熱要素を本体から電気的に絶縁する任意の適切な材料から作られ得る。適切な材料は、石英、セラミック(例えば、Al2O3)、及び/又はセラミック繊維絶縁材料(例えば、多孔性セラミック)を含むが、それらに限定されるものではない。
【0078】
ヒータアセンブリ600は、処理チャンバの範囲内で静止したままであり得る。一方で、処理チャンバの他の構成要素は回転し得る。例えば、ある実施形態では、サセプタアセンブリが支持ポスト160の軸の周りで回転する間に、ヒータアセンブリ600は静止している。この種の実施形態では、ヒータアセンブリ600が、サセプタアセンブリに連結されることなしに、サセプタアセンブリの底部に隣接して配置され得る。ある実施形態では、
図10で示されているように、ヒータアセンブリ600が、サセプタアセンブリ140に一体化された構成要素である。ある実施形態では、内側加熱要素620aが、支持ポスト160の回転軸の近くでサセプタアセンブリ140の内側領域の近くにヒータ緩衝領域を生成する。回転軸は、サセプタアセンブリのための回転の中心であり、その周りでサセプタアセンブリ140が回転するところの支持ポスト160の位置に基づいて決定され得る。この種の実施形態では、ヒータアセンブリ600が、サセプタアセンブリと共に回転し、又は支持ポスト160に連結されない固定された構成要素であり得る。したがって、後者の場合では、支持ポストの回転が、ヒータアセンブリを回転させない。
【0079】
内側加熱要素620aは、基板60に隣接して配置され得る。それによって、基板60と内側加熱要素620aの何らかの重なりが存在する。または、示されているようにウエハと加熱要素620aとの間の垂直方向の重なりがないように、内側加熱要素620aが配置され得る。中間加熱要素620aは、基板60に隣接して配置され得るか、又は基板60と垂直方向に重なり得るか、又は基板60と整列するように位置合わせされ得る。外側加熱要素620cは、ウエハの外側端部と重なり得るか、又は基板60と垂直方向にほとんど若しくは全く重ならないかもしれない。
【0080】
ある実施形態では、ヒータアセンブリ600が、サセプタアセンブリ140に隣接して配置されるが、そのアセンブリに一体化した構成要素ではない。例えば、
図11は、サセプタアセンブリの底面143に隣接して配置されたヒータアセンブリ600を有する、サセプタアセンブリ140の断面概略図を示している。
【0081】
1以上の実施形態によれば、処理装置は、移送ステーションと通信する複数のチャンバを備え得る。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」などと呼ばれ得る。
【0082】
概して、クラスタツールは、基板の中心測定及び配向、アニーリング、堆積、並びに/又はエッチングを含む、様々な機能を実行する複数のチャンバを備えたモジュールシステムである。1以上の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと中央移送チャンバを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバとの間で基板を往復搬送することができる、ロボットを収容し得る。移送チャンバは、通常、真空状態に維持され、且つ、基板を、あるチャンバからクラスタツールの前端に配置された別のチャンバ及び/又はロードロックチャンバへ往復搬送するための中間段階を設ける。本開示に適合し得る2つのよく知られたクラスタツールは、両方ともサンタクララ州カリフにあるアプライドマテリアルズ社から購入可能なCentura(登録商標)とEndura(登録商標)である。しかし、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、本明細書で説明される処理の特定のステップを実行する目的で変更され得る。使用可能な他の処理チャンバは、限定されないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、予洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、アニーリング、配向、ヒドロキシル化、及びその他の基板処理を含む。クラスタツール上でチャンバ内の処理を実施することにより、後続膜を堆積する前に、酸化を伴わずに、空気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0083】
1以上の実施形態によれば、基板は、連続的に真空又は「ロードロック」状態の下にあり、1つのチャンバから次のチャンバへ移動されるときに、周囲空気に晒されない。移送チャンバは、このように真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。処理チャンバ又は移送チャンバ内に不活性ガスが存在し得る。ある実施形態では、反応物の一部又は全部を除去するために、パージガスとして不活性ガスが使用される。1以上の実施形態によれば、パージガスを堆積チャンバの出口で注入して、反応物質が、堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は追加の処理チャンバへ移動することを妨げる。したがって、不活性ガスの流れが、チャンバの出口でカーテンを形成する。
【0084】
基板は、単一の基板堆積チャンバの中で処理することができ、そこでは、単一の基板が積み込まれ処理され、別の基板が処理される前に積み出される。基板は、コンベヤシステムのような、連続的な方法で処理することもでき、そこでは、複数の基板が、チャンバの第1の部分の中へ個別に積み込まれ、チャンバを通って移動し、チャンバの第2の部分から積み出される。チャンバ及び関連したコンベヤシステムの形状は、直線経路又は曲線経路を形成することができる。付加的に、処理チャンバは、複数の基板が、中心軸の周りを移動し、カルーセル経路の間中、堆積、エッチング、アニーリング、洗浄、その他の処理に晒される、カルーセルであってもよい。
【0085】
処理の間、基板は加熱又は冷却され得る。そのような加熱又は冷却は、限定されないが、基板支持体の温度を変化させること、及び、基板表面へ加熱された又は冷却されたガスを流すことを含む、任意の適当な手段により、達成することができる。ある実施形態では、基板支持体が、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。1以上の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるため、使用するガス(反応性ガス又は不活性ガスの何れか)が加熱又は冷却される。ある実施形態では、基板温度を対流によって変化させるため、ヒータ/クーラが、チャンバ内部で基板表面に隣接するように配置される。
【0086】
基板は、処理の間、静止又は回転させることもできる。回転する基板は、連続的に又は不連続なステップで、回転させることができる。例えば、基板は、処理全体を通して、回転させてもよいし、又は、基板は、様々な反応性ガス又はパージガスへの曝露の間に、少量ずつ回転させることができる。処理中に基板を(連続的に又は段階的に)回転させることにより、例えば、ガス流形状の局所的可変性の影響が最小限に抑えられ、より均一な堆積又はエッチングの生成に役立つことができる。
【0087】
原子層堆積型チャンバ内で、基板は、空間的若しくは時間的に分離されたプロセスにおいて、第1及び第2の前駆体に曝露され得る。時間的ALDは、第1の前駆体がチャンバ内に流れ込んで表面と反応する、伝統的なプロセスである。第2の前駆体を流す前に、第1の前駆体はチャンバからパージされる。空間的ALDでは、第1の前駆体と第2の前駆体の両方が、同時にチャンバに流されるが、前駆体の混合を防止する領域が流れと流れの間に存在するように空間的に分離される。空間的ALDでは、基板が、ガス分配プレートに対して移動するか、又はその逆である。
【0088】
1つのチャンバ内で方法の部分の1以上が実行される実施形態では、プロセスが、空間的ALDプロセスであり得る。上述の化学反応のうちの1以上は親和性(compatible)ではない(すなわち、基板表面以外での反応をもたらし、且つ/又は、チャンバに堆積する)ことがあるが、空間的分離により、試薬同士が気相で互いに曝露されないことが確実になる。例えば、時間的ALDは堆積チャンバのパージを伴う。しかし、実際には、追加試薬を流し込む前に余剰試薬をチャンバの外にパージすることが不可能な時もある。したがって、チャンバ内に残存試薬があれば、それが反応し得る。空間的分離があることで、余剰試薬がパージされる必要がなくなり、相互汚染は限定的になる。更に、チャンバをパージするのに多くの時間を要することがあり、したがって、パージ段階をなくすことによってスループットが増大し得る。
【0089】
本明細書全体を通じて「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、実施形態と関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特質が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な箇所における「1以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」などの言い回しの表出は、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特質は、1以上の実施形態において、任意の適切なやり方で組み合わされ得る。
【0090】
本明細書の開示が、特定の実施形態を参照しながら説明されたが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して、様々な修正及び変形を行い得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図されている。