(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-03
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】回転ビームのレーザスクライビングプロセスとプラズマエッチングプロセスとを使用する、ハイブリッドなウエハダイシングの手法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220204BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20220204BHJP
B23K 26/06 20140101ALI20220204BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 S
B23K26/364
B23K26/06
(21)【出願番号】P 2018549975
(86)(22)【出願日】2017-03-23
(86)【国際出願番号】 US2017023903
(87)【国際公開番号】W WO2017165706
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-19
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョンネ
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ウェイ-ション
(72)【発明者】
【氏名】パパヌ, ジェームス エス.
(72)【発明者】
【氏名】イートン, ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アジャイ
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06795274(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第102285624(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102773605(CN,A)
【文献】特表2007-502712(JP,A)
【文献】特表2013-535114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/364
B23K 26/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記集積回路を覆いかつ保護する層を備えるマスクを、前記半導体ウエハ上に形成することと、
間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いて前記マスクをパターニングし、前記半導体ウエハの前記集積回路間の領域を露出させることと、
ここで前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスは、レーザビームを該レーザビームの中心軸周りに、該レーザビームの進行方向に沿って回転させることを含み、
前記集積回路を個片化するために、前記パターニングされたマスクの前記間隙を通じて、前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることとを含む、方法。
【請求項2】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが円滑なガウスビームに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、平坦頂部を有する円滑な線形ビームに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、入力レーザビームの軸上でビームを回転させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いてスクライブすることが、フェムト秒ベースの回転レーザビームを用いてスクライブすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザスクライビングプロセスを用いて前記マスクをパターニングすることが、前記半導体ウエハの前記集積回路間の前記領域内にトレンチを形成することを含み、前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることが、前記トレンチを延伸させて、対応するトレンチ延伸部を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記複数の集積回路を個片化するために、回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いて前記半導体ウエハをレーザスクライブすることを含
み、
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスは、レーザビームを該レーザビームの中心軸周りに、該レーザビームの進行方向に沿って回転させることを含む、方法。
【請求項9】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセスである、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが円滑なガウスビームに基づく、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、平坦頂部を有する円滑な線形ビームに基づく、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスが、入力レーザビームの軸上でビームを回転させることを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングするためのシステムであって、
ファクトリインターフェースと、
前記ファクトリインターフェースに連結されており、かつ、回転レーザビームを提供するよう構成されたレーザアセンブリを備える、レーザスクライビング装置
であって、
レーザビームを該レーザビームの中心軸周りに、該レーザビームの進行方向に沿って回転させるように構成されたレーザスクライビング装置と、
前記ファクトリインターフェースに連結されたプラズマエッチングチャンバとを備える、システム。
【請求項14】
前記レーザアセンブリは、前記回転レーザビームを回転成形されたレーザビームとして提供するよう構成され、前記レーザアセンブリは、回折光学素子、一又は複数のスリット開孔、及びアキシコンからなる群から選択される、ビーム成形光学素子を含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記レーザアセンブリが、入力レーザビームの軸上でレーザビームを回転させるよう構成される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項16】
前記レーザアセンブリは、コアを伴うロータを有するモータを備え、前記回転レーザビームが、前記ロータの前記コア内に収納された管状光パイプから出力される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項17】
前記レーザアセンブリは、コアを伴うロータを有するモータを備え、前記回転レーザビームが、前記ロータの前記コア内に収納された円柱状光パイプから出力される、請求項
13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、JungraePark氏等による、「回転ビームのレーザスクライビングプロセスとプラズマエッチングプロセスとを使用する、ハイブリッドなウエハダイシングの手法(Hybrid Wafer Dicing Approach using a Rotating Beam Laser Scribing Process and Plasma Etch Process)」と題された、2016年3月25日出願の米国特許出願第15/081,296号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は半導体処理の分野に関し、詳細には、半導体ウエハであって、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハを、ダイシングする方法に関する。
【0003】
関連技術の記載
半導体ウエハ処理においては、シリコン又はその他の半導体材料で構成されたウエハ(基板とも称される)上に、集積回路が形成される。通常、集積回路を形成するために、半導電性、導電性、又は絶縁性のいずれかである様々な材料の層が利用される。これらの材料は、様々な周知のプロセスを使用してドープされ、堆積され、エッチングされて、集積回路を形成する。各ウエハは処理されて、ダイとして知られる、集積回路を包含する多数の個別領域を形成する。
【0004】
集積回路形成プロセスに続いて、ウエハは、パッケージ化されるため、又は、より大型の回路内でパッケージ化されていない形態で使用されるために、「ダイシングされ(diced)」て、互いとは別個のダイに分離される。ウエハをダイシングするために使用される2つの主な技法は、スクライビングとソーイングである。スクライビングでは、先端がダイヤモンドのスクライバが、予め形成されたスクライブラインに沿って、ウエハ表面の端から端まで移動する。このようなスクライブラインは、ダイ間のスペースに沿って延在する。これらのスペースは、一般的に「ストリート(street)」と称される。ダイヤモンドのスクライバは、ストリートに沿って、ウエハ表面に浅いキズ(scratch)を形成する。ローラなどで圧力が印加されると、ウエハはスクライブラインに沿って分離する。このウエハの割れは、ウエハ基板の結晶格子構造に沿ったものになる。スクライビングは、厚さが約10ミル(千分の1インチ)以下のウエハに使用されうる。もっと厚いウエハをダイシングするには、現時点では、ソーイングが好ましい方法である。
【0005】
ソーイングでは、高い毎分回転数で回転する、先端がダイヤモンドの切断ソーが、ウエハ表面に接触し、ストリートに沿ってウエハを切断する。ウエハはフィルムフレームに張り渡された接着フィルムなどの支持部材に装着され、切断ソーが、垂直ストリートと水平ストリートの両方に繰り返し当たる。スクライビングとソーイングのいずれにおいても問題となるのは、ダイの切断エッジに沿って、チップ及び溝が形成されうることである。加えて、亀裂が形成され、ダイのエッジから基板内まで伝播して、集積回路が動作不能になる可能性もある。結晶構造の<110>方向においては、正方形又は長方形のダイの片側しかスクライブできないので、スクライビングに関してはチップ形成と亀裂形成が特に問題となる。結果として、ダイの別の側の割れ(cleaving)により、ぎざぎざの分離線が生じる。チップ及び亀裂の形成により、集積回路への損傷を防止するためには、ウエハ上でダイ間が更に離間する(例えば、チップ及び亀裂が実際の集積回路から一定の距離を保つ)ことが必要になる。この離間要件の結果として、標準サイズのウエハにあまり多くのダイを形成することができなくなり、回路のために使用できるはずであったウエハの面積が無駄になる。切断ソーを使用することで、半導体ウエハの面積の無駄は悪化する。切断ソーの刃の厚さは、およそ15ミクロンである。そのため、切断ソーによって生じた切断部の周囲の亀裂及びその他の損傷が、集積回路に悪影響を与えないことを確実にするためには、ダイの各々の回路を分離するのに、多くの場合、300~500ミクロンが必要である。更に切断後、ソーイングプロセスで生じた粒子及びその他の汚染物質を除去するために、各ダイをしっかりと洗浄することが必要になる。
【0006】
プラズマダイシングも使用されてきたが、これにも制約がありうる。例えば、プラズマダイシングの実装を阻む制約の1つはコストでありうる。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程により、実装費用は大変高額になりうる。プラズマダイシングの実装を妨げる可能性がある別の制約は、ストリートに沿ったダイシングにおける、よくある金属(銅など)のプラズマ処理が、製造上の問題又はスループット限界を引き起こしうることである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、半導体ウエハをダイシングする方法、及びダイシングするための装置を含む。
【0008】
一実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法は、集積回路を覆いかつ保護する層で構成されるマスクを、半導体ウエハ上に形成することを包含する。間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、マスクは次いで、回転ビームのレーザスクライビングプロセスを用いてパターニングされ、半導体ウエハの集積回路間の領域が露出される。半導体ウエハは次いで、集積回路を個片化するために、パターニングされたマスクの間隙を通じてプラズマエッチングされる。
【0009】
別の実施形態では、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法は、集積回路を個片化するために、回転ビームのレーザスクライビングスプロセスを用いて半導体ウエハをレーザスクライブすることを包含する。
【0010】
別の実施形態では、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングするためのシステムは、ファクトリインターフェースを含む。システムは、ファクトリインターフェースに連結されており、かつ、回転レーザビームを提供するよう構成されたレーザアセンブリを有する、レーザスクライビング装置も含む。システムは、ファクトリインターフェースに連結されたプラズマエッチングチャンバも含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の工程を表しているフロー図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による、
図1のフロー図の工程102に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2B】本発明の一実施形態による、
図1のフロー図の工程104に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2C】本発明の一実施形態による、
図1のフロー図の工程108に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、回転ビームを用いるレーザスクライビングプロセスの工程を表わすフロー図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、ガウスビームをガウスビームの軸上で回転させることの効果を示す。
【
図4B】本発明の一実施形態による、平坦頂部を有する線形ビームをこのビームの軸上で回転させることの効果を示す。
【
図4C】本発明の一実施形態による、平坦頂部を有する線形ビームをこのビームの軸外で回転させることの効果を示す。
【
図5A】本発明の一実施形態による、ロータのコア内に収納された管状光パイプから回転レーザビームが出力される、コアを伴うロータを有するモータの概略図を示す。
【
図5B】本発明の一実施形態による、ロータのコア内に収納された円柱状光パイプから回転レーザビームが出力される、コアを伴うロータを有するモータの概略図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、フェムト秒範囲、ピコ秒範囲、及びナノ秒範囲のレーザパルス幅を使用することの影響を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による、半導体ウエハ又は基板のストリート領域に使用されうる材料の積層体の断面図を示す。
【
図8A】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程のうちの1つの断面図を示す。
【
図8B】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程のうちの1つの断面図を示す。
【
図8C】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程のうちの1つの断面図を示す。
【
図8D】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程のうちの1つの断面図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態による、ウエハ又は基板をレーザ及びプラズマでダイシングするためのツールレイアウトのブロック図を示す。
【
図10】本発明の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
半導体ウエハであって、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法について、説明する。以下の説明では、本発明の実施形態の網羅的な理解を提供するために、回転ビームのレーザスクライビングの手法や、プラズマエッチングの条件及び材料レジームといった、多数の具体的な詳細事項が明示される。当業者には、これらの具体的な詳細事項がなくとも本発明の実施形態は実践可能であることが、自明となろう。他の事例としては、本発明の実施形態を不必要に分かりにくくしないために、集積回路製造などの周知の態様については詳細に説明しない。更に、図に示している様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりには描かれていないことを、理解されたい。
【0013】
初期のレーザスクライビングと後続のプラズマエッチングとを包含する、ハイブリッドなウエハ又は基板のダイシングプロセスが、ダイを個片化するために実装されうる。レーザスクライビングプロセスは、マスク層、有機及び無機の誘電体層、並びにデバイス層をクリーンに除去するために使用されうる。ウエハ又は基板が露出すると、又はそれらが部分的にエッチングされると、次いでレーザエッチングプロセスは終了しうる。次いで、ウエハ又は基板のバルク(バルク単結晶シリコンなど)を貫通エッチングして、ダイ又はチップの個片化又はダイシングを引き起こすために、ダイシングプロセスのプラズマエッチング部分が用いられうる。より具体的には、一又は複数の実施形態は、例えばダイシング応用のための、回転ビームのレーザスクライビングプロセスを実装することを対象とする。
【0014】
ハイブリッドなレーザダイシングにおけるレーザスクライビングを改善するための、レーザビームの回転によって空間的に均一になるレーザパルスについて、説明する。実施形態は、ソースから提供されるビームを回転させること、又は、既に成形されたレーザビームを回転させることを含む。第1の実施形態における回転ビームスクライビングの利点は、改善された、クリーンな平坦頂部ビームプロファイルを提供することによって、劣悪なビームプロファイルに基づくプロセスを改善して、ウエハ上にスクライブされたクリーンなトレンチを実現することを包含しうる。別の実施形態では、劣悪な入力ガウスレーザビームプロファイルに基づくダイシングプロセスが、有利には、同心回転を使用してこのビームをクリーンなガウスビームプロファイルに変換することによって、改善される。
【0015】
背景状況を知らしめるに、コーティングされたウエハの初期のレーザスクライビングと後続のプラズマエッチングとを包含する、ハイブリッドなウエハ又は基板のダイシングプロセスにおいて、シリコン基板が露出するまでダイシングストリート上のマスク層及びデバイス層を除去するために、フェムト秒レーザが当てられうる。ダイ個片化を実現するためにダイが分割された後に、プラズマエッチングが行われる。典型的には、スクライビングプロセスには非回転ビームが使用される。しかし、非回転ビームは、(1)典型的な狭カーフ幅に、円滑な側壁が必要とされる場合、又は(2)幅広カーフが求められる場合という、2つの異なる状況では、その限界を示すことがある。
【0016】
本発明の一又は複数の実施形態により、ハイブリッドなレーザダイシングにおけるレーザスクライビングプロセスを改善するために、スクライビングレーザビームを回転させる。追加の実施形態では、ハイブリッドなレーザダイシングの処理方式におけるレーザスクライビングプロセスを改善するために、空間的に成形されたビームの回転が実装される。一実施形態では、ビームの回転は、毎分回転数がおおよそ120~1200RPMの範囲内の回転速度で実施される。かかる一実施形態では、望ましい効果(例えば、ビームによる円滑化)を実現するために、下限がおよそ120RPMに設定される。一実施形態では、上限は、回転光学素子の(例えば振動に関する)信頼性に基づいて設定される。
【0017】
そのため、本発明の一態様では、回転ビームのレーザスクライビングプロセスとプラズマエッチングプロセスとの組み合わせが、半導体ウエハを個片化された集積回路にダイシングするために使用されうる。
図1は、本発明の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の工程を表しているフロー
図100である。
図2Aから
図2Cは、本発明の一実施形態による、フロー
図100の工程に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実施中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示している。
【0018】
フロー
図100の工程102及び対応する
図2Aを参照するに、半導体ウエハ又は基板204上にマスク202が形成される。マスク202は、半導体ウエハ204の表面上に形成された集積回路206を覆いかつ保護する層で、構成される。マスク202は、集積回路206の各々の間に形成された、介在ストリート207も覆う。
【0019】
本発明の一実施形態により、マスク202を形成することは、フォトレジスト層やIラインパターニング層などであるがそれらに限定されるわけではない、層を形成することを含む。例えば、フォトレジスト層などのポリマー層は、リソグラフィプロセスで使用される場合にも適した材料で構成されうる。一実施形態では、フォトレジスト層は、248ナノメートル(nm)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト、極紫外光(EUV)レジスト、又はジアゾナフトキノン感作物質を有するフェノール樹脂マトリクスなどであるがそれらに限定されるわけではない、ポジ型フォトレジスト材料で構成される。別の実施形態では、フォトレジスト層は、ポリシスイソプレンやポリビニルシンナメートなどであるがそれらに限定されるわけではない、ネガ型フォトレジスト材料で構成される。
【0020】
別の実施形態では、マスク202を形成することは、プラズマ堆積プロセスにおいて堆積される層を形成することを包含する。例えば、かかる一実施形態では、マスク202は、プラズマ堆積されたテフロン層又はテフロン様(高分子CF2)層で構成される。ある具体的な実施形態では、高分子CF2層は、ガスC4F8を伴うプラズマ堆積プロセスにおいて堆積される。
【0021】
別の実施形態では、マスク202を形成することは、水溶性マスク層を形成することを包含する。一実施形態では、水溶性マスク層は水性媒体に容易に溶解可能である。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層は、アルカリ性溶液、酸性溶液、又は脱イオン水のうちの一又は複数において可溶性の材料で構成される。一実施形態では、水溶性マスク層は、加熱プロセス(例えば、おおよそ摂氏50~160度の範囲内での加熱)に暴露されても、その水溶性を維持する。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層は、レーザ及びプラズマによるエッチング個片化プロセスで使用されるチャンバ条件に暴露された後も、水溶液中で可溶性である。一実施形態では、水溶性マスク層は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、デキストラン、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキシドなどであるがそれらに限定されるわけではない材料で、構成される。ある具体的な実施形態では、水溶性マスク層は、毎分おおよそ1~15ミクロンの範囲内の、より詳細には、毎分おおよそ約1.3ミクロンの、水溶液中でのエッチング速度を有する。
【0022】
別の実施形態では、マスク202を形成することは、UV硬化性マスク層を形成することを包含する。一実施形態では、マスク層は、UV硬化層の接着性を少なくともおよそ80%低減させる、UV光に対する感光性を有する。かかる一実施形態では、UV層は、ポリ塩化ビニル又はアクリル系材料で構成される。一実施形態では、UV硬化層は、UV光に曝露されると接着特性が弱まる材料、又はかかる材料の積層体で構成される。一実施形態では、UV硬化性接着フィルムは、およそ365nmのUV光に感応する。かかる一実施形態では、この感応性が、硬化を実施するためのLED光の使用を可能にする。
【0023】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204は、製造プロセスに耐えることに適した材料で構成されており、製造プロセスの半導体処理の際に、層が好適に堆積されうる。例えば、一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204は、結晶シリコン、ゲルマニウム、又はシリコン/ゲルマニウムなどであるがそれらに限定されるわけではない、IV族系材料で構成される。ある具体的な実施形態では、半導体ウエハ204を提供することは、単結晶シリコン基板を提供することを含む。ある特定の実施形態では、単結晶シリコン基板は、不純物原子でドープされる。別の実施形態では、半導体ウエハ又は基板204は、III-V材料、(例えば、発光ダイオード(LED)の製造に使用されるIII-V材料基板など)で構成される。
【0024】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204は、その表面上又は内部に集積回路206の一部として配置された、半導体デバイスのアレイを有する。かかる半導体デバイスの例は、シリコン基板内に製造され、かつ、誘電体層内に封入される、メモリデバイスや相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含むが、それらに限定されるわけではない。複数の金属相互接続部が、デバイス又はトランジスタの上に、及び誘電体層の周囲に形成されてよく、デバイス又はトランジスタを電気的に連結して集積回路206を形成するために使用されうる。ストリート207を作製する材料は、集積回路206を形成するために使用される材料と類似しているか、又は同じものでありうる。例えば、ストリート207は誘電体材料、半導体材料、及びメタライゼーションの層で構成されうる。一実施形態では、ストリート207のうちの一又は複数は、集積回路206の実際のデバイスに類似した試験デバイスを含む。
【0025】
フロー
図100の工程104、及びそれに対応する
図2Bを参照するに、間隙210を有するパターニングされたマスク208を提供するために、マスク202が、回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いてパターニングされ、半導体ウエハ又は基板204の集積回路206間の領域を露出させる。かかる一実施形態では、間隙210を有するパターニングされたマスク208を提供するために、マスク202は、回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いてパターニングされる。そのため、レーザスクライビングプロセスは、集積回路206間に元々形成されていたストリート207の材料を除去するために、使用される。本発明の一実施形態により、
図2Bに示しているように、回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いてマスク202をパターニングすることは、半導体ウエハ204の集積回路206間の領域に部分的に入り込むように、トレンチ212を形成することを含む。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態による、回転ビームを用いるレーザスクライビングプロセスの工程を表わすフロー
図300である。
図3を参照するに、工程302において、レーザビームがフェムト秒(Fs)レーザ発振器に入力されるか、又は、かかる発振器から生成される。オプションの実施形態では、工程304において、ビームは次いで、ビーム成形光学素子を通過する。工程306において、工程302から直接取得されたビーム、又は、工程304から取得されたビームを回転させる。工程308において、工程306による出力回転ビームが、ウエハスクライビングプロセスで使用される。ゆえに、レーザビームの回転を伴うレーザスクライビングプロセスが実装されうる。一実施形態では、スクライビングトレンチのサイズ制御のために、ビーム成形工程304が、回転ビームプロセス方式で実装される。
【0027】
ビーム回転の第1の例として、
図4Aは、本発明の一実施形態による、ガウスビームをガウスビームの軸上で回転させることの効果を示している。
図4Aを参照するに、中心軸402を有する入力ガウスビーム400は、相対的に粗いプロファイルを有する。相対的により円滑なガウス出力ビーム406を提供するために、入力ガウスビーム400は、軸402の周囲で方向404に回転させられる。ゆえに、一実施形態では、劣悪な入力ガウスレーザビームプロファイルが、同心回転によって、クリーンなガウスビームプロファイルに変換される。
【0028】
ビーム回転の第2の例として、
図4Bは、本発明の一実施形態による、平坦頂部を有する線形ビームをビームの軸上で回転させることの効果を示している。
図4Bを参照するに、平坦頂部及び中心軸412を有する線形入力ビーム410は、相対的に粗いプロファイルを有する。平坦頂部を有する相対的により円滑な線形入力ビーム416を提供するために、平坦頂部を有する線形入力ビーム410は、軸412の周囲で方向414に回転させられる。ゆえに、一実施形態では、成形後に提供される劣悪なビームプロファイルは、その後、クリーンな平坦頂部ビームプロファイルに改善され、レーザスクライビングプロセスで使用されて、ウエハ上にスクライブされたクリーンなトレンチを提供する。一実施形態では、ビーム成形光学素子から線形平坦頂部プロファイルの出力を得るために、ガウスビームプロファイルをこれらの成形光学素子に入力することによって、平坦頂部を有する線形入力ビーム410がまず取得される。ある具体的実施形態では、ビーム成形光学素子は、回折光学素子、一又は複数のスリット開孔、アキシコンなどを含む。
【0029】
ビーム回転の第3の例として、
図4Cは、本発明の一実施形態による、平坦頂部を有する線形ビームをビームの軸外で回転させることの効果を示している。
図4Cを参照するに、平坦頂部及びオフセット軸422を有する線形入力ビーム420は、相対的に粗いプロファイルを有する。平坦頂部を有する相対的により円滑な線形入力ビーム426を提供するために、平坦頂部を有する線形入力ビーム420は、オフセット軸422の周囲で方向424に回転させられる。しかし、一実施形態では、回転が中心から外れて実施されることから、結果として得られるプロファイルは、
図4Bのビーム416よりも大きな寸法を有することになる。一実施形態では、中心から外れるようにシフトされた回転を使用することで、スクライブされるトレンチのサイズが制御され、かつ、同一のウエハに対して様々なスクライビング方式から選択を行うためのプロセス多様性がもたらされる。
【0030】
ゆえに、
図4Cを再度参照するに、一実施形態では、成形後に提供される劣悪なビームプロファイルは、その後、クリーンな平坦頂部ビームプロファイルに改善され、レーザスクライビングプロセスで使用されて、ウエハ上にスクライブされたクリーンなトレンチを提供する。一実施形態では、ビーム成形光学素子から線形平坦頂部プロファイルの出力を得るために、ガウスビームプロファイルをこれらの成形光学素子に入力することによって、平坦頂部を有する線形入力ビーム420がまず取得される。ある具体的実施形態では、ビーム成形光学素子は、回折光学素子、一又は複数のスリット開孔、アキシコンなどを含む。
【0031】
一態様では、レーザ応用の良好なスループットを実現するために、高レーザパルス繰り返しプロセスが求められうる。このプロセス要件を満たすために、ひいては、回転パルスレーザビームのハイスピード制御が必要になりうる。一実施形態では、静電/動電モータを使用すると、ビーム回転に影響を与えるためにモータのコア内に光パイプが挿入される。このような例について、
図5A及び
図5Bに関連して後述する。
【0032】
第1の例として、
図5Aは、本発明の一実施形態による、ロータのコア内に収納された管状光パイプから回転レーザビームが出力される、コアを伴うロータを有するモータの概略図を示している。レーザアセンブリは、コア506を伴うロータ504を有する、モータ502を含む。回転レーザビームは、ロータ504のコア506内に収納された管状光パイプ508から出力される。一実施形態では、管状光パイプ508は、
図5Aに図示しているように、中空の環形状を有する光パイプである。
【0033】
第2の例として、
図5Bは、本発明の一実施形態による、ロータのコア内に収納された円柱状光パイプから回転レーザビームが出力される、コアを伴うロータを有するモータの概略図を示している。レーザアセンブリは、コア516を伴うロータ514を有する、モータ512を含む。回転レーザビームは、ロータ514のコア516内に収納された円柱状光パイプ518から出力される。一実施形態では、円柱状光パイプ518は、
図5Bに図示しているように、中実の光パイプである。
【0034】
一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザが、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームのスクライビングプロセスのためのソースとして使用される。例えば、一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザパルスを提供するために、可視スペクトルに紫外線(UV)範囲及び赤外(IR)範囲を加えた(三つ合わせて広帯域光学スペクトル)波長を有するレーザが使用され、フェムト秒ベースのレーザパルスは、フェムト秒(10-15秒)単位のパルス幅を有する。一実施形態では、アブレーションは、波長に依存するものではないか又は実質的に依存するものではなく、ゆえに、マスク202のフィルム、ストリート207のフィルム、及び(場合によっては)半導体ウエハ又は基板204の一部分のフィルムなどの、複合フィルムに適している。
【0035】
図6は、本発明の一実施形態による、フェムト秒範囲、ピコ秒範囲、及びナノ秒範囲のレーザパルス幅を使用することの影響を示している。
図6を参照するに、フェムト秒範囲のレーザビームを使用することにより、熱損傷の問題が、より長いパルス幅の場合(例えば、ビア600Aのナノ秒処理での著しい損傷602A)と比べて、軽減されるか又は解消される(例えば、ビア600Cのフェムト秒処理での最小限の損傷~損傷なし602C)。ビア600Cの形成時における損傷の解消又は軽減は、
図6に示しているように、(600B/602Bのピコ秒ベースのレーザアブレーションに関して見られるような)エネルギーの低再結合も、(ナノ秒ベースのレーザアブレーションに関して見られるような)熱平衡も、ないためでありうる。
【0036】
クリーンなレーザスクライビング切断を実現するために、チップ形成、微小亀裂、及び層間剥離を最小化する、良好なレーザスクライビング及びダイシングのプロセスを発現させるには、ビームプロファイルなどのレーザパラメータの選択が重要になりうる。レーザスクライビング切断がクリーンになるほど、最終的なダイ個片化のために実施されうるエッチングプロセスがより円滑になる。半導体デバイスウエハでは、典型的には、種々の材料タイプ(導体、絶縁体、半導体など)及び厚さの多くの機能層が、ウエハ上に配置される。かかる材料は、ポリマーなどの有機材料、金属、又は、二酸化ケイ素や窒化ケイ素などの無機誘電体を含みうるが、それらに限定されるわけではない。
【0037】
ウエハ又は基板に配置された個々の集積回路の間のストリートは、集積回路自体と類似した又は同じ層を含みうる。例えば、
図7は、本発明の一実施形態による、半導体ウエハ又は基板のストリート領域に使用されうる、材料の積層体の断面図を示している。
【0038】
図7を参照するに、ストリート領域700は、シリコン基板の最上部702、第1二酸化ケイ素層704、第1エッチング停止層706、(例えば、二酸化ケイ素の誘電率4.0よりも低い誘電率を有する)第1低誘電率誘電体層708、第2エッチング停止層710、第2低誘電率誘電体層712、第3エッチング停止層714、非ドープシリカガラス(USG)層716、第2二酸化ケイ素層718、及びフォトレジスト720の層を含み、これらの相対的な厚さが図示されている。銅メタライゼーション722が、第1エッチング停止層706と第3エッチング停止714の間に、第2エッチング停止層710を通って配置されている。ある具体的な実施形態では、第1エッチング停止層706、第2エッチング停止層710、及び第3のエッチング停止層714は窒化ケイ素で構成される一方、低誘電率誘電体層708及び712は、炭素がドープされた酸化ケイ素材料で構成される。
【0039】
従来型のレーザ照射(例えばナノ秒ベースの照射)のもとでは、ストリート700の各材料は、光吸収及びアブレーションの機序という点で、かなり異なる挙動を示す。例えば、二酸化ケイ素などの誘電体層は、通常条件下では、商業的に利用可能な全てのレーザ波長に対して実質的に透過性である。対照的に、金属、有機物(例えば低誘電率材料)、及びシリコンは、特にナノ秒ベースの照射に応答して、きわめて容易に光子を結合させうる。一実施形態では、低誘電率材料の層及び銅の層のアブレーションに先立って二酸化ケイ素の層をアブレーションすることによって、二酸化ケイ素の層、低誘電率材料の層、及び銅の層をパターニングするために、線形プロファイルレーザビームのレーザスクライビングプロセスが使用される。
【0040】
回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームがフェムト秒ベースのレーザビームである場合、一実施形態では、好適なフェムト秒ベースのレーザプロセスは、通常様々な材料における非線形相互作用をもたらす、高いピーク強度(放射照度)を特徴とする。かかる一実施形態では、フェムト秒レーザソースは、おおよそ10フェムト秒~500フェムト秒の範囲内、ただし好ましくは100フェムト秒~400フェムト秒の範囲内のパルス幅を有する。一実施形態では、フェムト秒レーザソースは、おおよそ1570ナノメートル~200ナノメートルの範囲内、ただし好ましくは540ナノメートル~250ナノメートルの範囲内の波長を有する。一実施形態では、レーザ及びそれに対応する光学システムは、加工面に、おおよそ3ミクロン~15ミクロンの範囲内、ただし好ましくはおおよそ5ミクロン~10ミクロンの範囲内、又は10~15ミクロンの焦点(focal spot)を提供する。
【0041】
一実施形態では、レーザソースは、おおよそ200kHzから10MHzの範囲内の、ただし好ましくはおおよそ500kHzから5MHzの範囲内の、パルス繰り返し率を有する。一実施形態では、レーザソースは、加工面におおよそ0.5uJ~100uJの範囲内、ただし好ましくはおおよそ1uJ~5uJの範囲内のパルスエネルギーを供給する。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、被加工物の表面に沿って、おおよそ500mm/秒~5m/秒の範囲内、ただし好ましくはおおよそ600mm/秒~2m/秒の範囲内のスピードで実行される。
【0042】
スクライビングプロセスは、単一パスのみで又は複数パスで(ただし、一実施形態では、好ましくは1~2パスで)実行されうる。一実施形態では、被加工物におけるスクライビング深さは、おおよそ5ミクロン~50ミクロンの範囲内、好ましくはおおよそ10ミクロン~20ミクロンの範囲内の深さである。一実施形態では、生成されたレーザビームのカーフ幅はおおよそ2ミクロン~15ミクロンの範囲内であるが、シリコンウエハのスクライビング/ダイシングにおいては、(デバイス/シリコンのインターフェースで測定されると)好ましくはおおよそ6ミクロン~10ミクロンの範囲内である。
【0043】
レーザパラメータは、無機誘電体(例えば二酸化ケイ素)のイオン化を実現し、かつ、無機誘電体の直接アブレーションの前の下層の損傷によって引き起こされる層間剥離及びチップ形成を最小限に抑えるのに十分なほど、高いレーザ強度を提供することなどの、メリット及び利点によって選択されうる。また、パラメータは、産業上の応用に有意義なプロセススループットを、正確に制御されたアブレーションの幅(カーフ幅など)及び深さと共に提供するよう、選択されうる。一実施形態では、かかる利点を提供するには、線形プロファイルレーザビームのレーザスクライビングプロセスが適している。
【0044】
レーザスクライビングが、マスクをパターニングすることだけでなく、ダイを個片化するためにウエハ又は基板を貫通するようにスクラビングを行うことのために使用される場合、ダイシング又は個片化のプロセスは、上述のレーザスクライビングの後に停止される可能性があることを、認識されたい。したがって、かかる場合には、更なる個片化処理が必要なくなる。しかし、個片化全体としてレーザスクライビングだけが実装されるわけではない場合には、以下の実施形態が検討されうる。
【0045】
ここでフロー
図100のオプション工程106を参照するに、中間的な、マスク開口後の洗浄工程が実施される。一実施形態では、マスク開口後の洗浄工程は、プラズマベースの洗浄プロセスである。第1の例では、後述するように、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の間隙210によって露出された領域と反応する。反応性プラズマベースの洗浄プロセスの場合、洗浄プロセス自体が、基板204にトレンチ212を形成しうるか又は延伸させうる。反応性プラズマベースの洗浄工程が、少なくとも幾分、基板204をエッチングするものであるからである。別の第2の例では、同じく後述するように、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の間隙210によって露出された領域と反応しない。
【0046】
第1の実施形態により、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の露出された領域と反応し、露出した領域は、洗浄プロセスにおいて部分的にエッチングされる。かかる一実施形態では、Ar又は別の非反応性ガス(又はその混合物)は、スクライブされた開口部を洗浄するための高バイアスプラズマ処理のために、SF6と結合する。マスクに露出された領域をボンバードして、マスクに露出された領域の洗浄を実現するために、高バイアス電力のもとで混合ガス(Ar+SF6)を使用するプラズマ処理が実施される。反応性貫通(breakthrough)プロセスにおいては、Ar及びSF6による物理ボンバードと、SF6及びFイオンによる化学エッチングの両方が、マスクに露出された領域の洗浄に寄与する。この手法は、貫通処理により、かなり均一なマスク厚の減少、及び穏やかなSiエッチングがもたらされる、フォトレジスト又はプラズマ堆積されたテフロンマスク202に適していることがある。しかし、かかる貫通エッチングプロセスは、水溶性マスク材料には、最も適しているわけではないことがある。
【0047】
第2の実施形態により、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の露出した領域と反応せず、露出した領域は、洗浄プロセスにおいてエッチングされないか、又は、無視できる程度にしかエッチングされない。かかる一実施形態では、非反応性ガスのプラズマ洗浄のみが使用される。例えば、Ar又は別の非反応性ガス(又はその混合物)が、マスクの凝集(condensation)とスクライブされた開口部の洗浄の両方のための、高バイアスプラズマ処理を実施するために使用される。この手法は、水溶性マスク又は薄型のプラズマ堆積されたテフロン202に適していることがある。別のかかる実施形態では、別個の、マスクの凝集工程とスクライブされたトレンチの洗浄工程が使用される。例えば、マスク凝集のための、Ar又は非反応性ガス(又はその混合物)による高バイアスプラズマ処理が最初に実施され、次いで、Ar+SF6による、レーザスクライブされたトレンチのプラズマ洗浄が実施される。この実施形態は、マスク材料が厚すぎるために、Ar洗浄がトレンチ洗浄には不十分である場合に、適していることがある。薄型のマスクでは、洗浄効率は向上するが、マスクエッチング速度は大幅に低下し、後続のディープシリコンエッチングプロセスにおける消費量がほとんどなくなる。更に別のかかる実施形態では、(a)マスク凝集のための、Ar又は非反応性ガス(又はその混合物)による高バイアスプラズマ処理(b)Ar+SF6による、レーザスクライブされたトレンチの高バイアスプラズマ洗浄、及び、(c)マスク凝集のための、Ar又は非反応性ガス(又はその混合物)による高バイアスプラズマ処理、という三工程洗浄が実施される。本発明の別の実施形態により、プラズマ洗浄工程は、工程106の第1態様で上述したような、反応性プラズマ洗浄処理の先行使用を包含する。次いで、反応性プラズマ洗浄処理に続いて、工程106の第2態様により説明したような、非反応性プラズマ洗浄処理が行われる。
【0048】
フロー
図100の工程108、及びそれに対応する
図2Cを参照するに、半導体ウエハ204は、集積回路206を個片化するために、パターニングされたマスク208の間隙210を通じてエッチングされる。本発明の一実施形態により、半導体ウエハ204をエッチングすることは、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いて初期に形成されたトレンチ212をエッチングすることよって、最終的に、
図2Cに示しているように、半導体ウエハ204を貫通するようにエッチングを行うことを含む。
【0049】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスを用いてマスクをパターニングすることは、半導体ウエハの集積回路間の領域内にトレンチを形成することを包含し、半導体ウエハをプラズマエッチングすることは、トレンチを延伸させて、対応するトレンチ延伸部を形成することを包含する。かかる一実施形態では、トレンチの各々は一定の幅を有し、対応するトレンチ延伸部の各々もその幅を有する。
【0050】
本発明の一実施形態により、レーザスクライビングにより生じるマスク開口部の粗さは、後続のプラズマエッチングされたトレンチの形成によってもたらされるダイ側壁の品質に影響を与えうる。リソグラフィにより開口されたマスクは、円滑なプロファイルを有することが多く、それに対応する、プラズマエッチングされたトレンチの円滑な側壁につながる。対照的に、従来型のレーザで開口されたマスクは、不適切なレーザプロセスパラメータが選択された場合、スクライビング方向に沿って、非常に粗いプロファイルを有しうる(例えば、プラズマエッチングされたトレンチの側壁の水平方向の粗さにつながるスポット重複)。追加のプラズマプロセスによって表面粗さは円滑化されうるが、かかる問題を解決することと、コスト及びスループットとの相克が生じる。したがって、本書に記載の実施形態は、個片化プロセスのレーザスクライビング部分による、より円滑なスクライビングプロセスを提供する上で、有利でありうる。
【0051】
一実施形態では、半導体ウエハ204をエッチングすることは、プラズマエッチングプロセスを使用することを含む。一実施形態では、シリコン貫通ビア式のエッチングプロセスが使用される。例えば、ある具体的な実施形態では、半導体ウエハ204の材料のエッチング速度は、毎分25ミクロンを上回る。超高密度プラズマソースが、ダイ個片化プロセスのプラズマエッチング部分に使用されうる。かかるプラズマエッチングプロセスを実施するのに好適な処理チャンバの一例は、米国カリフォルニア州SunnyvaleのApplied Materials社から販売されているApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)エッチングシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)エッチングシステムは、容量性と誘導性のRF結合を組み合わせるものであり、これにより、イオン密度とイオンエネルギーとの(たとえ磁気強化によって改善されても容量性結合のみで可能であった、以前の独立制御よりも)ずっと良好な独立制御が得られる。この組み合わせにより、たとえ非常な低圧においても、損傷を与える可能性がある高いDCバイアスレベルを伴わずに、相対的に高密度のプラズマを実現するように、イオン密度をイオンエネルギーから有効に切り離すことが、可能になる。これにより、極めて広いプロセスウィンドウがもたらされる。しかし、シリコンをエッチングすることが可能な任意のプラズマエッチングチャンバが使用されうる。例示的な一実施形態では、実質的に正確なプロファイル制御と、事実上スカロップ(scallop)を有しない側壁とを維持しつつ、単結晶シリコンの基板又はウエハ204を、従来的なシリコンエッチング速度のおよそ40%を上回るエッチング速度でエッチングするために、ディープシリコンエッチングが使用される。ある具体的な実施形態では、シリコン貫通ビア式のエッチングプロセスが使用される。このエッチングプロセスは、通常、SF
6、C
4F
8、CHF
3、XeF
2などのフッ素系ガスか、又は、その他の、相対的に速いエッチング速度でシリコンをエッチングすることが可能な任意の反応ガスである、反応性ガスから生成される、プラズマに基づくものである。一実施形態では、マスク層208は、
図2Cに示しているように、個片化プロセスの後に除去される。別の実施形態では、
図2Cに関連して説明しているプラズマエッチング工程は、基板204を貫通エッチングするために、従来型のボッシュ式堆積/エッチング/堆積プロセスを用いる。通常、ボッシュ式プロセスは、堆積、方向性ボンバードエッチング、及び等方性化学エッチングという3つのサブ工程で構成され、等方性化学エッチングは、シリコンが貫通エッチングされるまで、多数回の繰り返し(サイクル)で実行される。
【0052】
したがって、フロー
図100及び2Aから2Cを再度参照するに、マスク層を貫通し、ウエハのストリート(メタライゼーションを含む)を貫通し、かつシリコン基板に部分的に入り込むように、アブレーションを行うために、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセスを使用する初期アブレーションによって、ウエハダイシングが実施されうる。次いで、後続のシリコン貫通ディーププラズマエッチングによって、ダイ個片化が完遂されうる。ダイシングされる材料積層体のある具体的な実施形態について、本発明の一実施形態により、
図8Aから
図8Dに関連して後述する。
【0053】
図8Aを参照するに、ハイブリッドな、レーザアブレーション及びプラズマエッチングによるダイシング向けの材料積層体は、マスク層802と、デバイス層804と、基板806とを含む。マスク層、デバイス層、及び基板は、支持テープ810に付着しているダイ付着フィルム808の上に配置される。一実施形態では、マスク層802は、水溶性の層(マスク202に関連して上述した水溶性の層など)である。デバイス層804は、一又は複数の金属層(銅層など)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素など)、及び、一又は複数の低誘電率誘電体層(炭素がドープされた酸化物層など)を含む。デバイス層804は、集積回路間に配置されたストリートも含み、ストリートは、集積回路と同じか又はそれに類似した層を含む。基板806はバルク単結晶シリコン基板である。
【0054】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板806は、ダイ付着フィルム808に固定される前に、裏側から薄化(thinning)される。薄化は、裏側研削プロセスによって実施されうる。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板806は、おおよそ50~100ミクロンの範囲内の厚さまで薄化される。一実施形態では、レーザアブレーション及びプラズマエッチングによるダイシングプロセスの前に薄化が実施されることに、留意することが重要である。一実施形態では、フォトレジスト層802はおよそ5ミクロンの厚さを有し、デバイス層804は、おおよそ2~3ミクロンの範囲内の厚さを有する。一実施形態では、ダイ付着フィルム808(又は、薄化された若しくは薄型のウエハ若しくは基板を支持テープ810に接合可能な、任意の好適な代替物)は、およそ20ミクロンの厚さを有する。
【0055】
図8Bを参照するに、基板806にトレンチ814を形成するために、マスク802、デバイス層804、及び基板806の一部分が、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセス812を用いてパターニングされる。
図8Cを参照するに、トレンチ814をダイ付着フィルム808に至るまで延伸させ、ダイ付着フィルム808の上部を露出させ、かつ、シリコン基板806を個片化するために、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス816が使用される。シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス816において、デバイス層804はマスク層802によって保護される。
【0056】
図8Dを参照するに、個片化プロセスは、ダイ付着フィルム808をパターニングすることと、支持テープ810の上部を露出させることと、ダイ付着フィルム808を個片化することとを、更に含みうる。一実施形態では、ダイ付着フィルムは、レーザプロセス又はエッチングプロセスによって個片化される。更なる実施形態は、その後に、支持テープ810から、基板806の個片化された部分を(例えば個々の集積回路として)取り外すことを含みうる。一実施形態では、個片化されたダイ付着フィルムは、基板806の個片化された部分の裏側に保持される。他の実施形態は、マスク層802をデバイス層804から除去することを含みうる。代替的な実施形態では、基板806がおよそ50ミクロンよりも薄い場合、追加のプラズマプロセスを使用せずに基板806を完全に個片化するために、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビームのレーザスクライビングプロセス812が使用される。
【0057】
単一のプロセスツールが、ハイブリッドな、線形プロファイルのレーザビームアブレーション及びプラズマエッチングによる個片化のプロセスにおける、多数の又は全ての工程を実施するよう、構成されうる。例えば、
図9は、本発明の実施形態による、ウエハ又は基板をレーザ及びプラズマでダイシングするための、ツールレイアウトのブロック図を示している。
【0058】
図9を参照するに、プロセスツール900は、複数のロードロック904が連結されているファクトリインターフェース902(FI)を含む。クラスタツール906が、ファクトリインターフェース902に連結される。クラスタツール906は、一又は複数のプラズマエッチングチャンバ(プラズマエッチングチャンバ908など)を含む。レーザスクライビング装置910も、ファクトリインターフェース902に連結される。プロセスツール900の全設置面積は、一実施形態では、
図9に示しているように、およそ3500ミリメートル(3.5メートル)×およそ3800ミリメートル(3.8メートル)でありうる。
【0059】
一実施形態では、レーザスクライビング装置910は、回転レーザビームを提供するよう構成されたレーザアセンブリを収納する。かかる一実施形態では、レーザアセンブリは、回転成形されたレーザビームを提供するよう構成される。かかる実施形態の一具体例では、レーザアセンブリは、回転レーザビームを回転成形されたレーザビームとして提供するよう構成され、レーザアセンブリは、回折光学素子、一又は複数のスリット開孔、及びアキシコンからなる群から選択される、ビーム成形光学素子を含む。
【0060】
一実施形態では、レーザアセンブリは、入力レーザビームの軸上でレーザビームを回転させるよう構成される。別の実施形態では、レーザアセンブリは、入力レーザビームの軸外でレーザビームを回転させるよう構成される。いずれの場合でも、ある特定の実施形態において、レーザビームはフェムト秒ベースのレーザビームである。
【0061】
一実施形態では、レーザアセンブリは、コアを伴うロータを有するモータを備える。回転レーザビームは、ロータのコア内に収納された管状光パイプから出力され、かかる例については、
図5Aに関連して上述している。別の実施形態では、レーザアセンブリは、コアを伴うロータを有するモータを備える。回転レーザビームは、ロータのコア内に収納された円柱状光パイプから出力され、かかる例については、
図5Bに関連して上述している。
【0062】
一実施形態では、レーザは、ハイブリッドなレーザ及びエッチングによる個片化プロセスのうちのレーザアブレーション部分(例えば、上述のレーザアブレーションプロセス)を実施するのに適している。一実施形態では、移動可能な載台であって、レーザに対してウエハ又は基板(又はそのキャリア)を動かすよう構成された、移動可能な載台も、レーザスクライビング装置910に含まれる。ある具体的な実施形態では、レーザも移動可能である。レーザスクライビング装置910の全設置面積は、一実施形態では、
図9に示しているように、およそ2240ミリメートル×およそ1270ミリメートルでありうる。
【0063】
一実施形態では、一又は複数のプラズマエッチングチャンバ908は、複数の集積回路を個片化するために、パターニングされたマスクのギャップを通じてウエハ又は基板をエッチングするよう、構成される。かかる一実施形態では、一又は複数のプラズマエッチングチャンバ908は、ディープシリコンエッチングプロセスを実施するよう構成される。ある具体的な実施形態では、一又は複数のプラズマエッチングチャンバ808は、米国カリフォルニア州SunnyvaleのApplied Materials社から販売されているApplied Centura(登録商標) Silvia(商標)エッチングシステムである。このエッチングチャンバは、単結晶シリコンの基板又はウエハの上又は内部に収納された個片化された集積回路を作り出すために使用されるディープシリコンエッチング向けに、特に設計されうる。一実施形態では、シリコンエッチング速度を速めるために、プラズマエッチングチャンバ908には、高密度プラズマソースが含まれる。一実施形態では、個片化又はダイシングのプロセスの製造スループットを高めることを可能にするために、プロセスツール900のクラスタツール906の部分に、2つ以上のエッチングチャンバが含まれる。
【0064】
ファクトリインターフェース902は、レーザスクライビング装置910を伴う外部の製造設備とクラスタツール906との間の界面となるのに適した、大気ポートでありうる。ファクトリインターフェース902は、ウエハ(又はそのキャリア)を保管ユニット(前面開口型統一ポッドなど)から、クラスタツール906とレーザスクライビング装置910のいずれか、又はその両方に移送するための、アーム又はブレードを有するロボットを含みうる。
【0065】
クラスタツール906は、その他の、個片化方法における機能を実施するのに適したチャンバを含みうる。例えば、一実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに堆積チャンバ912が含まれる。堆積チャンバ912は、ウエハ又は基板のレーザスクライビングに先立って、ウエハ又は基板のデバイス層の上又は上方にマスクを堆積させるよう、構成されうる。かかる一実施形態では、堆積チャンバ912は、フォトレジスト層の堆積に適している。別の実施形態では、追加のエッチングチャンバの代わりに湿式/乾式ステーション914が含まれる。湿式/乾式ステーションは、基板又はウエハのレーザスクライビング及びプラズマエッチングによる個片化プロセスの後に、残留物及び断片を洗浄すること、又は、マスクを除去することに、適していることがある。更に別の実施形態では、追加のディープシリコンエッチングチャンバの代わりに、プラズマエッチングチャンバが含まれ、このプラズマエッチングチャンバは、プラズマベースの洗浄プロセスを実施するよう構成される。一実施形態では、プロセスツール900の構成要素として、計測ステーションも含まれる。
【0066】
本発明の実施形態は、指令が記憶されているマシン可読媒体を含みうるコンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供されてよく、これらの指令は、本発明の実施形態によるプロセスを実施するよう、コンピュータシステム(又はその他の電子デバイス)をプログラムするために使用されうる。一実施形態では、コンピュータシステムは、
図9に関連して説明しているプロセスツール900に連結される。マシン可読媒体は、マシン(例えばコンピュータ)によって可読な形態で情報を記憶又は送信するための、任意の機構を含む。例えば、マシン可読(例えばコンピュータ可読)媒体は、マシン(例えばコンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)や、マシン(例えばコンピュータ)可読伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の形態の、例えば赤外信号やデジタル信号といった伝播信号)等を、含む。
【0067】
図10は、コンピュータシステム1000の例示的な形態におけるマシンの概略図を示しており、コンピュータシステム1000において、本書に記載の方法のうちの一又は複数の任意のものをマシンに実施させるための、指令のセットが実行されうる。代替的な実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットで、他のマシンに接続され(例えば、他のマシンとネットワーク化され)うる。 マシンは、クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバ若しくはクライアントマシンの役割で、又は、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして、動作しうる。 マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、このマシンによって行われる動作を特定する(連続した若しくは連続していない)指令のセットを実行可能な任意のマシンでありうる。 更に、単一のマシンのみを図示しているが、「マシン(machine)」という語は、本書に記載の方法のうちの一又は複数の任意のものを実施するために、指令のセット(又は複数のセット)を個別に又は連携的に実行する、マシン(コンピュータなど)の任意の集合体を含むとも、解釈すべきである。
【0068】
例示的なコンピュータシステム1000は、バス1030を介して互いに通信する、プロセッサ1002、メインメモリ1004(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ1006(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び、二次記憶装置1018(データ記憶デバイスなど)を、含む。
【0069】
プロセッサ1002は、マイクロプロセッサや中央処理装置などといった、一又は複数の汎用処理デバイスを表わしている。 より詳細には、プロセッサ1002は、複雑指令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小指令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長指令語(VLIW)マイクロプロセッサ、その他の指令セットを実装するプロセッサ、又は、指令セットの組み合わせを実装するプロセッサでありうる。 プロセッサ1002は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどといった、一又は複数の特殊用途処理デバイスであることもある。 プロセッサ1002は、本書に記載の工程を実施するための処理論理1026を実行するよう、設定される。
【0070】
コンピュータシステム1000は、ネットワークインターフェースデバイス1008を更に含みうる。 コンピュータシステム1000は、ビデオディスプレイユニット1010(液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT)など)、英数字入力デバイス1012(例えばキーボード)、カーソル制御デバイス1014(例えばマウス)、及び、信号生成デバイス1016(例えばスピーカー)も含みうる。
【0071】
二次メモリ1018は、本書に記載の方法又は機能のうちの一又は複数の任意ものを具現化する、一又は複数の指令セット(例えば、ソフトウェア1022)が記憶されている、マシンアクセス可能記憶媒体(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)1032を含みうる。ソフトウェア1022は、それがコンピュータシステム1000によって実行されている間、メインメモリ1004及び/又はプロセッサ1002の中に、完全に又は少なくとも部分的に常駐してもよく、メインメモリ1004及びプロセッサ1002も、マシン可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア1022は更に、ネットワークインターフェースデバイス1008を介して、ネットワーク1020上で送受信されうる。
【0072】
例示的な一実施形態では、マシンアクセス可能記憶媒体1032を単一の媒体として示しているが、「マシン可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という語は、一又は複数の指令セットを記憶している単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は、関連キャッシュ及びサーバ)を含むと、解釈すべきである。「マシン可読記憶媒体」という語は、マシンによって実行される指令のセットを記憶又は符号化することが可能であり、かつ、マシンに、本発明の方法のうちの一又は複数の任意のものを実施させる、任意の媒体を含むとも、解釈すべきである。したがって、「マシン可読記憶媒体」という語は、固体メモリと、光媒体及び磁気媒体とを含むがそれらに限定されるわけではないと、解釈すべきである。
【0073】
本発明の一実施形態により、マシンアクセス可能記憶媒体には、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法をデータ処理システムに実施させる指令が、記憶されている。方法は、集積回路を覆いかつ保護する層で構成されたマスクを、半導体ウエハ上に形成することを含む。間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、マスクは次いで、回転レーザビームのレーザスクライビングプロセスを用いてパターニングされ、半導体ウエハの集積回路間の領域が露出される。半導体ウエハは次いで、集積回路を個片化するために、パターニングされたマスクの間隙を通じてプラズマエッチングされる。
【0074】
ゆえに、回転レーザビーム又は回転成形されたレーザビーム、及びプラズマエッチングプロセスを使用する、ハイブリッドなウエハダイシングの手法が開示されている。