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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220207BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20220207BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20220207BHJP
   H02H 7/122 20060101ALI20220207BHJP
   H02H 11/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
H02J7/00 T
H03K17/00 B
H03K17/687 A
H02H7/122
H02H11/00 130
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017206691
(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公開番号】P2019080444
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】本間 久雄
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-093908(JP,A)
【文献】特開2015-061338(JP,A)
【文献】特開2011-111089(JP,A)
【文献】特開2005-318759(JP,A)
【文献】特開平10-217763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270703(US,A1)
【文献】特開2015-171305(JP,A)
【文献】特開2012-065405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H03K 17/00
H03K 17/687
H02H 7/122
H02H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷の間に配置され、前記電源から前記負荷に対して電源電力を供給する電源供給装置において、
複数の半導体スイッチを有し、これら複数の前記半導体スイッチのオン/オフの状態によって前記負荷を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段と前記電源との間に配置され、前記駆動手段への電源電力の供給を断絶するメインスイッチと、
前記駆動手段とグランドとの間に配置されたFETを有し、前記電源の極性が逆になるように接続された場合に電流を遮断して回路を保護する逆接続保護手段と、
前記駆動手段、前記メインスイッチ、および、前記逆接続保護手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記メインスイッチをオフの状態にし、前記駆動手段を構成する複数の前記半導体スイッチを制御することで、前記逆接続保護手段に電流を通じ、前記逆接続保護手段の故障を検出する、
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、複数の前記半導体スイッチとして複数のFETを有し、
前記制御手段は、複数の前記FETのすくなくとも1つに対してドライブ電圧を印加することで、前記逆接続保護手段に電流を通じ、前記逆接続保護手段の故障を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記制御手段がドライブ電圧を印加する前記FETは、ゲート端子とソース端子の間に抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記制御手段がドライブ電圧を印加する前記FETは、ドレイン端子が前記負荷の一方の端子に接続され、ソース端子が前記逆接続保護手段が有する前記FETのソース端子に接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、コンデンサを有し、
前記制御手段は、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電した後に、前記逆接続保護手段の故障を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリが電子回路に対して逆接続された場合に、電子回路を逆電圧から保護するための逆接続保護素子としてのMOS-FETを有する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-111089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、逆接続保護素子であるMOS-FETが短絡故障している場合にバッテリを逆接続すると、過大な電流が流れ、電子回路が故障することがあるという問題点がある。
【0005】
また、通電経路にノイズ吸収用のコンデンサが使用されている場合、逆接続保護素子を故障診断しようとしても、コンデンサに蓄積された電荷によって、電位が安定せず、誤検出が生じるという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、逆接続保護素子の故障を確実に検出することが可能な電源供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、電源と負荷の間に配置され、前記電源から前記負荷に対して電源電力を供給する電源供給装置において、複数の半導体スイッチを有し、これら複数の前記半導体スイッチのオン/オフの状態によって前記負荷を駆動する駆動手段と、前記駆動手段と前記電源との間に配置され、前記駆動手段への電源電力の供給を断絶するメインスイッチと、前記駆動手段とグランドとの間に配置されたFETを有し、前記電源の極性が逆になるように接続された場合に電流を遮断して回路を保護する逆接続保護手段と、前記駆動手段、前記メインスイッチ、および、前記逆接続保護手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記メインスイッチをオフの状態にし、前記駆動手段を構成する複数の前記半導体スイッチを制御することで、前記逆接続保護手段に電流を通じ、前記逆接続保護手段の故障を検出する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、逆接続保護素子の故障を確実に検出することが可能となる。
【0008】
また、本発明は、前記駆動手段は、複数の前記半導体スイッチとして複数のFETを有し、前記制御手段は、複数の前記FETのすくなくとも1つに対してドライブ電圧を印加することで、前記逆接続保護手段に電流を通じ、前記逆接続保護手段の故障を検出する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、電源からの電力を供給せずに、ドライブ電圧を用いて故障を検出することで、誤検出を減らすことができる。
【0009】
また、本発明は、前記制御手段がドライブ電圧を印加する前記FETは、ゲート端子とソース端子の間に抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電源供給装置。
このような構成によれば、抵抗素子を介して逆接続保護手段が有するFETに対して電流を確実に供給することができる。
【0010】
また、本発明は、前記制御手段がドライブ電圧を印加する前記FETは、ドレイン端子が前記負荷の一方の端子に接続され、ソース端子が前記逆接続保護手段が有する前記FETのソース端子に接続されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ドライブ電圧を逆接続保護手段が有するFETに対して確実に印加することができる。
【0011】
また、本発明は、前記駆動手段は、コンデンサを有し、前記制御手段は、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電した後に、前記逆接続保護手段の故障を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、コンデンサを放電することで、コンデンサの電荷による誤検出を確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、逆接続保護素子の故障を確実に検出することが可能な電源供給装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る電源供給装置の構成例を示す図である。
図2図1に示す一部の回路の詳細な構成例を示す図である。
図3図1に示す実施形態の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図4図1に示す実施形態において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る電源供給装置の構成例を示す図である。この図において、電源供給装置1は、制御部10、抵抗素子11~18、FET19~24、ダイオード25、および、コンデンサ26有し、その外部には、モータ30およびバッテリ40が接続されている。
【0016】
ここで、制御部10は、例えば、ECU(Electric Control Unit)等によって構成され、電源監視入力端子、+AD端子、-AD端子等から各部の電圧を入力して検出するとともに、FET19~24のオン/オフの状態を制御する。
【0017】
抵抗素子11は、一端が制御部10の-AD端子に接続され、他端が接地されている。抵抗素子12は、一端が制御部10の-AD端子に接続され、他端が抵抗素子16の一端に接続されている。抵抗素子13は、一端が制御部10の+AD端子に接続され、他端が接地されている。抵抗素子14は、一端が制御部10の+AD端子に接続され、他端がモータ30の一方の端子に接続されている。
【0018】
抵抗素子15は、一端が制御部10の電源監視入力端子に接続され、他端が抵抗素子16の一端に接続されている。抵抗素子16は、一端が抵抗素子12の他端およびモータ30の他方の端子に接続され、他端が接地されている。抵抗素子17は、一端がコンデンサ26のプラス端子に接続され、他端がモータ30の一端に接続されている。抵抗素子18は、一端がモータ30の一端に接続され、他端が接地されている。
【0019】
FET19~24は、例えば、NチャネルMOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)等によって構成される。
【0020】
ここで、FET19は、ドレイン端子(図中符号「D」を付した端子)が制御部10の電源監視入力端子に接続され、ソース端子(図中符号「S」を付した端子)がモータ30の他方の端子に接続されている。FET20は、ドレイン端子がモータ30の一方の端子に接続され、ソース端子がFET21のソース端子に接続されている。FET21は、ソース端子がFET20のソース端子に接続され、ドレイン端子が接地されている。
【0021】
FET22は、ドレイン端子がバッテリ40のプラス端子に接続され、ソース端子がFET19,23のドレイン端子に接続されている。FET23は、ドレイン端子がFET22のソース端子に接続され、ソース端子がモータ30の一端に接続されている。FET24は、ドレイン端子がモータ30の他端に接続され、ソース端子がFET21のソース端子に接続されている。
【0022】
ダイオード25は、FET21の寄生ダイオードであり、アノード端子がFET21のソース端子に接続され、カソード端子がFET21のドレイン端子に接続される。
【0023】
コンデンサ26は、PWM(Pulse Width Modulation)制御の際の平滑用コンデンサであり、大きな容量(例えば、数千~数万μF)を有し、電解コンデンサまたはスーパキャパシタ等によって構成され、プラス端子がFET23のドレイン端子に接続され、マイナス端子がFET24のソース端子に接続される。
【0024】
モータ30は、例えば、DCブラシモータ等によって構成され、図1に示す実施形態では、例えば、船舶の船外機を上げ下げするための駆動用のモータである。モータ30は、一端がFET23のソース端子に接続され、他端がFET24のドレイン端子に接続される。
【0025】
バッテリ40は、例えば、鉛蓄電池等の二次電池によって構成され、プラス端子がFET22のドレイン端子に接続され、マイナス端子が接地されている。
【0026】
図2は、図1に示すFET20,21,24に関連する回路の詳細を示す図である。図2に示すように、FET20,24は、ゲートドライバ50によって制御される。また、FET21は、ゲートドライバ60によって制御される。
【0027】
ここで、ゲートドライバ50は、出力バッファ51,52を有し、制御部10から出力される駆動信号の電力を出力バッファ51,52によってそれぞれ増幅し、FET20,24のゲートを駆動することでオン/オフの状態を制御する。また、ゲートドライバ60は、出力バッファ61を有し、制御部10から出力される駆動信号の電力を出力バッファ61によって増幅し、FET21のゲートを駆動することでオン/オフの状態を制御する。
【0028】
FET20は、ゲート端子とソース端子の間に静電破壊防止用のダイオード201と、抵抗素子202を有する。同様に、FET24は、ゲート端子とソース端子の間に静電破壊防止用のダイオード241と、抵抗素子242を有する。また、FET21は、ゲート端子とソース端子の間に静電破壊防止用のダイオード211と、抵抗素子212を有する。なお、ゲートドライバ60とFET21は、逆接保護回路を構成する。図2では、FET20,21,24の詳細を示したが、FET19,22,23についても、図2と同様の構成とされているが、これらはハイサイドのFETであるので、バッファの駆動電圧が異なっている。
【0029】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の動作について説明する。図3は、図1および図2に示す実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下では、図3を参照して、図1および図2に示す実施形態の動作について説明する。
【0030】
例えば、図1および図2に示す電源供給装置1を備える船舶にユーザが乗船し、図示しないイグニッションスイッチを操作すると、図3に示す時刻T1において、制御部10にバッテリ40から電源電圧(12V)が供給される(図3(A))。
【0031】
制御部10に電源電圧が供給され、所定の時間が経過すると、イニシャル処理が実行され(図3(J))、制御部10が動作可能の状態となる。イニシャル処理が完了すると、時刻T2において、電源監視入力端子、+AD入力端子、および、-AD入力端子が「無効」から「有効」となり、これらの端子から入力される電圧の監視が開始される(図3(G)~(I))。
【0032】
時刻T5では、FET19,21の駆動電圧(ゲート電圧)がHiの状態とされる(図3(C),(E))。これにより、FET19,21がオンの状態となる。つぎに、時刻T6では、FET24の駆動電圧がHiの状態とされる(図3(F))。これにより、FET24がオンの状態となる。
【0033】
FET19,21,24がオンの状態になると、コンデンサ26に蓄積されている電荷が、FET19,24,21を介してグランドに対して放電される。なお、時刻T5~T6の間隔は、例えば、数mSであり、FET19,21がFET24よりも先行してオンの状態にされる。これは、FET19がFET24に比較してドライブ電圧が高電圧であり、ゲート容量を充電するのに要する時間が長いことから、FET19を先行してオンにすることで、FET19,24を略同時にオンの状態できるからである。また、FET21については、先行してオンにすることで、コンデンサ26を早期にグランドに接地することで、回路を安定化させるためである。
【0034】
なお、このとき、制御部10は、+AD端子および-AD端子の電位差を検出することで、コンデンサ26の電圧を検出し、コンデンサ26の放電が完了したか否かを検出する。
【0035】
制御部10は、一定の時間が経過した場合には、コンデンサ26の放電処理を終了する。図3では、時刻T7において、放電処理を完了する。
【0036】
つぎに、制御部10は、ダイオード25が正常であるか否かを判定する処理を実行する。より詳細には、図3の時刻T7において、制御部10は、FET19,21をオフの状態に制御し、FET24にオンの状態を維持させる(図3(C),(E),(F))。FET24がオンの状態である場合、ゲートドライバ50の出力バッファ52の出力がHiの状態であるので、出力バッファ52から出力される電圧は、抵抗素子242を介し、ダイオード25に印加される。ダイオード25は、ゲートドライバ50によって印加される電圧によって順方向バイアスが印加された状態となるので、ダイオード25が正常である場合(オン故障またはオフ故障していない場合)にはオンの状態になる。ダイオード25だけでなく、FET21も正常である場合(オフの状態となっている場合)には、制御部10の-AD端子には、ダイオード25の順方向電圧(約0.1~1.6V)が抵抗素子11,12で分圧された電圧が印加される。制御部10は、-AD端子に入力される電圧が所定の範囲である場合には、正常と判定する。また、正常でない場合(オン故障では略0V、オフ故障では略6Vが出力されている場合)には、ダイオード25が故障している可能性があるとして、例えば、警告を発する。
【0037】
時刻T8では、制御部10は、FET21をオンの状態にする。より詳細には、制御部10は、ゲートドライバ60を制御し、出力バッファ61の出力をHiの状態にすることで、FET21をオンの状態にする。このとき、ゲートドライバ50の出力バッファ52の出力もHiの状態であり、出力バッファ52の出力電圧は、抵抗素子242を介してFET21にも印加される。FET21が正常である場合には、FET21のソース端子とドレイン端子の間の電圧である0Vが抵抗素子11,12に印加される。このため、制御部10は、+AD端子に入力される電圧が略0Vである場合にはFET21が正常であると判定し、所定の閾値以上の電圧が入力されている場合には故障していると判定する。
【0038】
時刻T9において制御部10がFET21,24をオフの状態にした後(図3(E),(F))、時刻T10では、制御部10はFET21,22をオンの状態に制御する(図3(B),(E))。FET21,22がオンの状態になると、バッテリ40から各部に電圧が供給される。制御部10は、+AD端子および-AD端子に印加される電位差を検出することで、モータ30に印加される電圧を検出する。抵抗素子15~18およびモータ30はホイートストンブリッジを構成する。モータ30が正常である場合には、+AD端子および-AD端子間の電位差が所定の電圧になるように設定されているので、+AD端子および-AD端子間の電位差が所定の電圧である場合には正常と判断し、それ以外の場合には異常と判断することができる。
【0039】
また、時刻T10において、FET21,22がオンの状態になると、バッテリ40からコンデンサ26に電荷が充電されるとともに、FET19,20,23,24のオン/オフにより、モータ30が動作可能な状態(通常状態(図3(J)))になる。
【0040】
例えば、制御部10によってFET19,20がオンの状態にされると、バッテリ40からFET22、FET19、モータ30、FET20、および、FET21を介して電流が通じ、モータ30が船外機を下げる方向に回転する。また、制御部10によってFET23,24がオンの状態にされると、バッテリ40からFET22、FET23、モータ30、FET24、および、FET21を介して電流が通じ、モータ30が船外機を上げる方向に回転する。
【0041】
そして、船舶の操舵を停止し、船舶を停止させる場合には、ユーザがイグニッションスイッチをオフの状態に操作する。この結果、時刻T12において、制御部10にバッテリ40から電源電圧の供給が停止される。これにより、全てのFET19~24がオフの状態になる。
【0042】
つぎに、図4を参照して、以上の処理を実現するためのフローチャートについて説明する。図4に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0043】
ステップS10では、制御部10は、電源が投入されたか否かを判定し、電源が投入されたと判定した場合(ステップS10:Y)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10:N)には処理を終了する。図3の例では、時刻T1において電源が投入されるので、その場合には、Yと判定してステップS11に進む。
【0044】
ステップS11では、制御部10は、電圧検出処理を実行する。より詳細には、制御部10は、電源監視入力端子、+AD端子、および、-AD端子の入力電圧を検出する処理を実行する。図3の例では、時刻T2において、電圧検出処理が開始される(図3(G)~(I))。
【0045】
ステップS12では、制御部10は、FET22のオン故障検出処理を実行する。より詳細には、FET22がオフの状態である場合に、制御部10は、電源監視入力端子に印加される電圧を検出し、電圧が出力されていない場合にはFET22が正常であると判定し、電圧が出力されている場合にはFET22が異常である(オン故障している)と判定する。図3の例では、時刻T3~T4の間にて、FET22のオン故障が検出される(図3(G))。
【0046】
ステップS13では、制御部10は、FET19,21をオンの状態に設定する。図3の例では、時刻T5において、FET19,21の駆動電圧がHiの状態にされ、FET19,21がオンの状態にされる(図3(C),(E))。
【0047】
ステップS14では、制御部10は、所定時間待機する。図3の例では、時刻T5~T6の時間待機する。
【0048】
ステップS15では、制御部10は、FET24をオンの状態にする。図3の例では、時刻T6において、FET24の駆動電圧がHiの状態にされ、FET24がオンの状態になる(図3(F))。このとき、コンデンサ26に蓄積されている電荷は、FET19,24,21を介してグランドに対して放電される。
【0049】
ステップS16では、制御部10は、コンデンサ26の放電電圧を確認する処理を実行する。より詳細には、制御部10は、+AD端子および-AD端子の電位差を参照し、コンデンサ26の放電電圧を確認する。
【0050】
ステップS17では、制御部10は、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS17:Y)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS17:N)にはステップS16に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS18では、制御部10は、FET19,21をオフの状態にする。図3の例では、時刻T7においてFET19,21の駆動電圧がLoの状態にされ、FET19,21がオフの状態になる(図3(C),(E))。
【0052】
ステップS19では、制御部10は、ダイオード25の故障を検出する。より詳細には、FET24には出力バッファ52から駆動電圧が印加されている。この駆動電圧は、抵抗素子242を介してダイオード25にも印加される。この結果、ダイオード25は順方向バイアスとなるので、FET21がオン故障(常にオンの状態となる故障)していない場合には、ダイオード25の順方向電圧(約0.1~1.6V)が抵抗素子11,12に印加され、オン故障している場合には抵抗素子11,12に印加される電圧が略0Vとなる。抵抗素子11,12は、順方向電圧を分圧して出力する。このため、制御部10は、-AD端子に入力される電圧が略0Vである場合にはダイオード25がオン故障していると判定し、所定の範囲の電圧(約0.1~1.6Vが分圧された電圧)が入力される場合には正常と判定し、それ以上の電圧(例えば、略6Vが分圧された電圧)が入力される場合にはオフ故障していると判定する。図3の例では、時刻T7~T8においてダイオード25の故障が検出される。なお、故障が検出された場合には、警告を発することでユーザに注意を喚起することができる。
【0053】
ステップS20では、制御部10は、FET21をオンの状態にする。より詳細には、制御部10は、ゲートドライバ60の出力バッファ61の出力をHiの状態にすることで、FET21をオンの状態にする。図3の例では、時刻T8においてFET21の駆動電圧がHiの状態にされている(図3(E))。
【0054】
ステップS21では、制御部10は、FET21のオン電圧を確認する処理を実行する。より詳細には、FET24には出力バッファ52から駆動電圧が印加されている。この駆動電圧は、抵抗素子242を介してFET21にも印加される。FET21はステップS20においてオンの状態にされているので、FET21が正常である場合には、FET21のソース端子とドレイン端子の間の電圧である0Vが抵抗素子11,12に印加される。抵抗素子11,12は、印加された電圧を分圧して出力する。このため、制御部10は、-AD端子に入力される電圧が略0Vである場合にはFET21が正常であると判定し、所定の閾値以上の電圧が入力されている場合には故障(オフ故障)していると判定する。図3の例では、時刻T8~T9においてFET21のオン電圧が検出される。なお、オン電圧が正常でない場合には、警告を発することでユーザに注意を喚起することができる。
【0055】
ステップS22では、制御部10は、FET21,24をオフの状態にする。より詳細には、制御部10は、FET21,24の駆動電圧をLoの状態にすることで、FET21,24をオフの状態にする。図3の例では、時刻T9においてFET21,24の駆動電圧がLoの状態にされている(図3(E),(F))。
【0056】
ステップS23では、制御部10は、FET21,22をオンの状態にする。より詳細には、制御部10は、FET21,22の駆動電圧をHiの状態にすることで、FET21,22をオンの状態にする。図3の例では、時刻T10においてFET21,22の駆動電圧がHiの状態にされている(図3(B),(E))。
【0057】
ステップS24では、制御部10は、モータ30の端子電圧を確認する処理を実行する。より詳細には、ステップS23においてFET22,21がオンの状態にされるので、バッテリ40から各部に電圧が供給される。そこで、制御部10は、+AD端子および-AD端子に印加される電圧を検出することで、モータ30に印加される電圧を検出することができる。すなわち、抵抗素子15~18およびモータ30はホイートストンブリッジを構成し、モータ30が正常である場合には、モータ30に印加される電圧は所定の電圧になるように設定されているので、モータ30に印加される電圧が所定の電圧であるか否かで、異常の有無を検出できる。図3の例では、時刻T10以降においてモータ30に印加される電圧が確認される。
【0058】
ステップS25では、制御部10は、通常動作を実行する。より詳細には、ユーザが図示しない操作部を操作し、船外機を下ろす操作をした場合には、FET19,20をオンの状態にし、FET23,24をオフの状態にすることで、モータ30を所定の方向に回転させる。また、ユーザが図示しない操作部を操作し、船外機を上げる操作をした場合には、FET23,24をオンの状態にし、FET19,20をオフの状態にすることで、モータ30を前述した所定の方向とは逆の方向に回転させる。なお、モータ30の回転を開始する際には、FET19,20,23,24をPWM制御し、モータ30への突入電流を抑制するように制御する(パルス幅が徐々に広くなるように制御する)ことで、モータ30およびFETにかかる負荷を軽減できる。図3の例では、時刻T11~T12において通常動作が実行される。
【0059】
ステップS26では、制御部10は、図示しないイグニッションキーをユーザが操作することで電源を遮断する操作が実行された場合(ステップS26:Y)には処理を終了し、それ以外の場合(ステップS26:N)にはステップS25に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返す。
【0060】
以上に説明したように、図4に示す処理によれば、前述した動作を実現することができる。
【0061】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、電源供給装置1は、船舶に搭載される場合を例に挙げて説明したが、これ以外の乗り物等に適用するようにしてもよい。
【0062】
また、FET19~21,23,24は、モータ30を正転または逆転できる構成としたが、FETの個数を減らして正転のみ可能な構成としてもよい。
【0063】
また、図2に示す回路では、FET20,21が抵抗素子202,212をそれぞれ有するようにしたが、これらは除外するようにしてもよい。また、FET24が抵抗素子242を有しない場合には、抵抗素子242を付加するようにしてもよい。
【0064】
また、以上の実施形態では、ダイオード25およびFET21が正常か否かを検査する際には、FET24を駆動するようにしたが、FET20を駆動するようにしてもよい。
【0065】
また、図3および図4に示す処理の順序は一例であって、これ以外の順序で各部の正常/異常を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 電源供給装置
10 制御部(制御手段)
11~18 抵抗素子
19,20,23,24 FET(半導体スイッチ、駆動手段)
21 FET(逆接続保護手段)
22 FET(メインスイッチ)
25 ダイオード(逆接続保護手段)
26 コンデンサ
30 モータ(負荷)
40 バッテリ(電源)
50 ゲートドライバ
51,52 出力バッファ
60 ゲートドライバ
61 出力バッファ
201,211,241 ダイオード
202,212,242 抵抗素子
図1
図2
図3
図4