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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20220207BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20220207BHJP
   H03F 3/189 20060101ALI20220207BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20220207BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
H01P5/08 A
H01R4/64 A
H03F3/189
H03F1/26
H05K7/00 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018059084
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019176206
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健輔
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 禎央
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-214864(JP,A)
【文献】特開2003-298271(JP,A)
【文献】特開2016-173974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
H01P 1/00-11/00
H01R 4/58- 4/72
H03F 1/00-3/45
H03F 3/50-3/52
H03F 3/62-3/64
H03F 3/68-3/72
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の筐体内に回路基板が収容された高周波モジュールにおいて、
前記回路基板に形成され、所定の周波数の電気信号を伝送する信号回路と、
前記所定の周波数の電気信号が入力および出力される入力コネクタおよび出力コネクタと、
前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方は、前記回路基板の法線方向から接続ケーブルのコネクタが着脱される構成を有し、
前記接続ケーブルのグランドと、前記筐体とを接続する接続部を有し、
前記接続部は、前記筐体とは別部材として構成され、前記接続ケーブルのグランドと、前記筐体とを電気的に接続する
ことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記接続ケーブルは、前記接続ケーブルを構成する同軸ケーブルの前記グランドと同電位の本体部を有し、
前記接続部は、前記本体部と前記筐体とを電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記同軸ケーブルと、前記コネクタとは、前記本体部に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記接続部は、前記本体部を、前記入力コネクタまたは前記出力コネクタの方向に付勢することを特徴とする請求項に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記回路基板は、前記法線方向から見て略四角形状を有し、
前記筐体は、前記法線方向から見て前記略四角形状の少なくとも1つの頂点を切り欠くように構成され、
前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、前記頂点付近に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記筐体は、前記法線方向から見て前記略四角形状の互いに対角に位置する少なくとも2つの頂点を切り欠くように構成され、
前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、互いに対角に位置する前記2つの頂点付近にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記筐体は、
前記信号回路の少なくとも一部を前記法線方向から覆設する覆設部と、
前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方を前記法線方向に露出する露出部と、を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記接続部は、前記覆設部から前記露出部に延伸するとともに、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方の前記法線方向上に配されることを特徴とする請求項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記接続部は、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方を覆設するように配されることを特徴とする請求項に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体に収納された基板とコネクタとで構成されたマイクロ波信号の伝送路におけるグランドの不連続を信号に影響を与えない状態に抑え、所望のレベルのマイクロ波信号を外部へ出力することを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-185254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、コネクタを筐体の側面に設けている。このため、例えば、複数の筐体をさらに大きな筐体に収容し、これらの筐体同士を、コネクタを介して接続ケーブルで相互に接続する場合、接続ケーブルの接続作業が困難となるという問題点がある。
【0005】
本発明は、接続ケーブルの接続作業を簡易化することが可能な高周波モジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、導電性の筐体内に回路基板が収容された高周波モジュールにおいて、前記回路基板に形成され、所定の周波数の電気信号を伝送する信号回路と、前記所定の周波数の電気信号が入力および出力される入力コネクタおよび出力コネクタと、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方は、前記回路基板の法線方向から接続ケーブルのコネクタが着脱される構成を有し、前記接続ケーブルのグランドと、前記筐体とを接続する接続部を有する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、接続ケーブルの接続作業を簡易化することが可能となる。
【0007】
また、本発明は、前記接続部は、前記筐体とは別部材として構成され、前記接続ケーブルのグランドと、前記筐体とを電気的に接続することを特徴とする。
このような構成によれば、接続部を後から取り付けることができるので、作業性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明は、前記接続部は、前記筐体の一部として構成され、前記接続ケーブルのグランドと、前記筐体とを電気的に接続することを特徴とする。
このような構成によれば、部品点数を減らすことで、製造コストを低減することができる。
【0009】
また、本発明は、前記接続ケーブルは、前記接続ケーブルを構成する同軸ケーブルの前記グランドと同電位の本体部を有し、前記接続部は、前記本体部と前記筐体とを電気的に接続する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、接続ケーブルのグランドと筐体とを確実に接続することで、回路を安定化させるとともにノイズを低減することができる。
【0010】
また、本発明は、前記同軸ケーブルと、前記コネクタとは、前記本体部に対して略直交するように配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、同軸ケーブルの引き回し作業を容易化するとともに、接続部の構成を簡易化することができる。
【0011】
また、本発明は、前記接続部は、前記本体部を、前記入力コネクタまたは前記出力コネクタの方向に付勢することを特徴とする。
このような構成によれば、接地をより確実にするとともに、接続ケーブルが脱落することを防止できる。
【0012】
また、本発明は、前記回路基板は、前記法線方向から見て略四角形状を有し、前記筐体は、前記法線方向から見て前記略四角形状の少なくとも1つの頂点を切り欠くように構成され、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、前記頂点付近に配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、頂点付近の切り欠きにコネクタを配置することで、作業性を高めることができる。
【0013】
また、本発明は、前記筐体は、前記法線方向から見て前記略四角形状の互いに対角に位置する少なくとも2つの頂点を切り欠くように構成され、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタは、互いに対角に位置する前記2つの頂点付近にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、接続ケーブル同士の干渉を低減することができる。
【0014】
また、本発明は、前記筐体は、前記信号回路の少なくとも一部を前記法線方向から覆設する覆設部と、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方を前記法線方向に露出する露出部と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、信号回路を覆うとともに、コネクタを露出することで作業性を高めることができる。
【0015】
また、本発明は、前記接続部は、前記覆設部から前記露出部に延伸するとともに、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方の前記法線方向上に配されることを特徴とする。
このような構成によれば、接続部とコネクタとの接続をより確実にすることができる。
【0016】
また、本発明は、前記接続部は、前記入力コネクタおよび前記出力コネクタの少なくとも一方を覆設するように配されることを特徴とする。
このような構成によれば、入力コネクタと接続コネクタとの干渉を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接続ケーブルの接続作業を簡易化することが可能な高周波モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る高周波モジュールの構成例を示す図である。
図2図1に示す実施形態の上面図である。
図3図1に示す回路基板上に配置される回路の構成例を示す図である。
図4】接続ケーブルの構成例を示す図である。
図5図4に示す接続ケーブルが接続された状態を示す図である。
図6】接地部材の構成例を示す図である。
図7図6に示す接地部材が接続された状態を示す図である。
図8図6に示す接地部材を用いない場合の通過特性を示す図である。
図9図6に示す接地部材を用いる場合の通過特性を示す図である。
図10】接地部材の他の構成例を示す図である。
図11図10に示す接地部材が接続された状態を示す図である。
図12】接地部材の他の構成例を示す図である。
図13図12に示す接地部材が接続された状態を示す図である。
図14】入力コネクタ配置部の他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る高周波モジュールの構成例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す斜視図の上面図である。これらの図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係る高周波モジュール10は、筐体11、取り付け部12、電源コネクタ13、入力コネクタ配置部14、出力コネクタ配置部15、フィードバックコネクタ配置部16を有し、筐体11内に回路基板20を収容している。
【0021】
ここで、高周波モジュール10は、例えば、周波数が1GHz以上であるマイクロ波帯域の信号(以下、単に「マイクロ波信号」と称する)を入力し、例えば、所定のゲイン(例えば、40dB~60dB)で増幅して出力する。なお、高周波モジュール10は、図示しない他の高周波モジュールとともに、収容ボックス内に取り付けられ、他の高周波モジュールと、後述する接続ケーブルによって接続される。
【0022】
筐体11は、底部筐体111、枠体112、および、蓋部113を有し、これらは、例えば、金属、導電性樹脂等によって構成され、回路基板20を収容している。底部筐体111は、例えば、上部が開口した箱形形状の導電性部材によって構成され、内部には回路基板20が配置される。枠体112は、左下隅、右下隅、右上隅に、入力コネクタ配置部14、出力コネクタ配置部15、および、フィードバックコネクタ配置部16に対応する切り欠き部が形成され、所定の肉厚の導電性部材によって構成される。蓋部113は、枠体112の上部に配置される導電性の板状部材によって、回路基板20をZ軸方向から覆設する覆設部を構成する。底部筐体111、枠体112、および、蓋部113は、例えば、ネジ等によって相互に固定され、筐体11を形成する。
【0023】
取り付け部12は、底部筐体111から突起するように形成され、取り付け部12に形成された穴にネジを挿通して図示しない収容ボックスに固定される。
【0024】
電源コネクタ13は、他のモジュール(電源モジュール)から供給される電源電力が供給される端子である。
【0025】
入力コネクタ配置部14は、長方形の角を切り欠く様に形成された枠体112の切り欠き部によって構成される。回路基板20の入力コネクタ141が配置された部分が露出される部分である。このようにして、当該切り欠き部は露出部を構成している。
【0026】
出力コネクタ配置部15は、長方形の角を切り欠く様に形成された枠体112の切り欠き部によって構成され、回路基板20の出力コネクタ151が配置された部分が露出される部分である。このようにして、当該切り欠き部は露出部を構成している。
【0027】
フィードバックコネクタ配置部16は、長方形の角を切り欠く様に形成された枠体112の切り欠き部によって構成され、回路基板20のフィードバックコネクタ161が配置された部分が露出される部分である。
【0028】
図3は、筐体11内に収容される回路基板20に形成されている回路の一例を示す図である。図3の例では、回路基板20には、入力回路21、電源回路22、増幅回路23、出力回路24、および、フィードバック回路25が設けられており、Z軸方向からみて略四角形状となるように構成されている。
【0029】
ここで、入力回路21は、入力コネクタ141からマイクロ波信号を入力し、増幅回路23に供給する回路である。
【0030】
電源回路22は、電源コネクタ13を介して他のモジュール(電源モジュール)から供給される電源電力を所定の電圧に変換するとともに、電圧が一定になるように制御する回路である。
【0031】
増幅回路23は、入力回路21から供給されるマイクロ波信号を所定のゲイン(例えば、40dB~60dB)で増幅し、出力回路24とフィードバック回路25に供給する高周波増幅回路である。
【0032】
出力回路24は、増幅回路23によって増幅されたマイクロ波信号を、出力コネクタ151を介して他の高周波モジュールに供給するとともに、他の高周波モジュールからの反射信号を減衰するアイソレータ等を有する回路である。
【0033】
フィードバック回路25は、例えば、増幅回路23から出力されるマイクロ波信号を分配し、フィードバックコネクタ161を介して他の高周波モジュールに供給する回路である。
【0034】
図4は、図1に示す入力コネクタ配置部14を拡大して示す図である。図4に示すように、入力コネクタ配置部14には、回路基板20の入力コネクタ141が配置されている部分が露出されている。入力コネクタ141は、雄型コネクタが回路基板20の実装面に垂直な方向を向くように配置されている。入力コネクタ141は、円筒形を有する導電性の部材の中心部に導電性を有する線材(センタコンタクト)が配置されて構成される。円筒形の導電性の部材と、中心部の導電性の線材とは絶縁されている。円筒形の導電性の部材は、グランド端子とされ、回路基板20のグランドと接続されている。中心部の導電性の線材には、マイクロ波信号が供給され、入力回路22を介して増幅回路23に供給される。
【0035】
図4の上側に示すように、入力コネクタ141には、接続ケーブル30によって、他の高周波モジュール(不図示)が接続される。図4に示すように、接続ケーブル30は、本体部31、コネクタ部32、同軸ケーブル挿通部33、凹部34、および、同軸ケーブル35を有している。接続ケーブル30は、回路基板20の法線方向(図4のZ軸方向)から入力コネクタ141に対して着脱可能に構成されている。
【0036】
ここで、本体部31は、例えば、金属等の導電性部材によって構成され、1つの面にはコネクタ部32が形成され、コネクタ部32と対向する面には凹部34が形成され、コネクタ部32が形成された面と略直交する面には同軸ケーブル挿通部33が形成されている。
【0037】
コネクタ部32は、メス型コネクタであり、入力コネクタ141の円筒形の導電性部材よりも径が大きい円筒形の導電性部材を有する。また円筒形部材の中心には、入力コネクタ141の線材が挿入される筒状部材が配置されている。コネクタ部32が入力コネクタ141と接続されると、入力コネクタ141の中心の線材と、コネクタ部32の中心の円筒形部材とが電気的に接続されるとともに、入力コネクタ141の円筒形部材と、コネクタ部32の外側の円筒形部材とが電気的に接続される。
【0038】
同軸ケーブル挿通部33には同軸ケーブル35が挿通される。凹部34は、本体部31の上部に形成され、後述する接地部材40の凸部45が当接される。同軸ケーブル35は、外側導体と中心導体とを有し、外側導体がグランドとされ、中心導体にマイクロ波信号が伝送される。なお、同軸ケーブル35の外側導体は、本体部31に電気的に接続され、中心導体はコネクタ部32の中心の円筒形部材と電気的に接続される。
【0039】
図5は、接続ケーブル30のコネクタ部32が入力コネクタ141に接合された状態を示す図である。図5に示すように、コネクタ部32が入力コネクタ141の円筒形部材を覆うように接合される。これにより、同軸ケーブル35の外側導体と、入力コネクタ141の円筒形部材とが電気的に接続され、同軸ケーブル35の中心導体と、入力コネクタ141の線材(センタコンタクト)とが電気的に接続される。
【0040】
図6は、接続ケーブル30の本体部31と筐体11とを接続する接地部材40の構成例を示す図である。図6に示すように、接地部材40は、ネジが挿通される穴42,43が形成されたL字部材41と、L字部材41の折れ曲がった部分に形成された舌状部44とを有する。舌状部44の下側面には、凸部45が形成されている。なお、接地部材40は、例えば、金属等の導電性部材によって構成される。
【0041】
図7は、接地部材40が筐体11に取り付けられた状態を示す図である。図7に示すように、接地部材40は、穴42,43にそれぞれネジが挿通され、筐体11に固定される。また、舌状部44の下面に形成された凸部45は、本体部31の凹部34に当接されるので、舌状部44と本体部31が電気的に接続された状態となる。ここで、接地部材40は筐体11に接続されているので、筐体11と同軸ケーブル35の外側導体とが同電位となる。このように、同軸ケーブル35の外側導体と、筐体11とを、接地部材40によって電気的に接続し、これらを同電位とすることで、ノイズ等の外乱の影響を低減することができる。また、接地部材40は、バネ力によって、本体部31を回路基板20の方向に付勢するので、接続ケーブル30が入力コネクタ141から脱落することを防止できる。
【0042】
図8は、図6および図7に示す接地部材40を使用しない場合における高周波モジュール10の通過特性を、恒温槽を用いて実測した結果示す図である。なお、図8において、横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は通過特性(dB)を示す。また、実線は理想特性を示し、間隔が短い破線は恒温槽の扉を開いた場合の特性を示し、間隔が長い破線は恒温槽の扉を閉じた場合の特性を示している。
【0043】
図9は、図6および図7に示す接地部材40を使用した場合における高周波モジュール10の通過特性を示す図である。図8および図9の比較から、接地部材40を使用する場合では、特性の暴れが抑制され、理想特性に近い特性となっている。
【0044】
すなわち、恒温槽の扉を開閉することで、例えば、静電容量等が変化し、高周波モジュールの通過特性が変化する。これはすなわち、収容ボックス内に配置された場合に、他の高周波モジュールとの位置関係や、配線の引き回しによって、通過特性が変化することを示す。しかしながら、接地部材40を使用することで、このような影響を低減し、理想特性に近い特性を得ることができる。
【0045】
なお、図8および図9では、通過特性を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る高周波モジュール10では、他の高周波モジュールや電源回路等からのノイズが回り込みを抑制することができることから、S/N比を改善することができる。また、同軸ケーブル35および本体部31を接地部材40によって筐体11に接続することで、回路のフィードバックが不安定になることを防止できる。
【0046】
特に、高周波を高いゲイン(例えば、40dB以上)で増幅する増幅回路23の場合には、S/N比が劣化したり、フィードバックが不安定になったり、通過特性が暴れたり、他の高周波モジュールからの影響を受けたりすることが多いが、本実施形態に示すような接地部材40を使用することで、これらの発生を抑制することができる。
【0047】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、接続ケーブル30を回路基板20の法線方向から着脱可能となるように入力コネクタ141を配置したので、接続ケーブル30による接続作業を簡易化することができる。また、入力コネクタ141を筐体11の側面に配置した場合には、接続する際の作業空間が必要になることから、高周波モジュール10と他の高周波モジュールとの間隔を開けて配置する必要が生じるが、本実施形態の場合にはそのような作業空間は不要であることから、収容ボックスのサイズを小型化することができる。
【0048】
また、本発明の実施形態では、接地部材40を用いるようにしたので、S/N比が劣化したり、フィードバックが不安定になったり、通過特性が暴れたり、他の高周波モジュールからの影響を受けたりすることを抑制できる。
【0049】
また、本発明の実施形態では、接地部材40によって接続ケーブル30を入力コネクタ141の方向に付勢するようにしたので、接続ケーブル30が入力コネクタ141から脱落することを防止できる。
【0050】
また、本発明の実施形態では、入力コネクタ141、出力コネクタ151、および、フィードバックコネクタ161を筐体11の頂点近傍に設けるようにしたので、これらに接続される接続ケーブル同士を離間することで、これらが干渉することを防止できる。
【0051】
(B)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、入力コネクタ141を例に挙げて説明したが、出力コネクタ151およびフィードバックコネクタ161に対しても、図6および図7に示す接地部材40によって、同軸ケーブルおよび本体部と筐体11とを電気的に接続するようにしてもよい。このような構成によれば、前述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、以上の実施形態では、図6および図7に示す形状を有する接地部材40を用いるようにしたが、これ以外の形状の接地部材を用いるようにしてもよい。例えば、一例として、図10および図11に示すような、舌状形状を有する接地部材50を用いるようにしてもよい。すなわち、図10および図11に示す実施形態では、舌状形状を有し、一端に穴52を有し、他端の下面に突起部53を有する接地部材50を用いるようにしてもよい。
【0053】
また、以上の実施形態では、図6および図7に示す形状を有する接地部材40を用いるようにしたが、これ以外の形状の接地部材を用いるようにしてもよい。例えば、一例として、図12および図13に示すような、六角形状を有し、入力コネクタ141を覆設する接地部材60を用いるようにしてもよい。すなわち、図12および図13に示す実施形態では、六角形状を有し、穴61,62を有し、他端の下面に突起部63を有する接地部材60を用いるようにしてもよい。なお、当該接地部材60は、入力コネクタ141、出力コネクタ151、および、フィードバックコネクタ161のいずれか1つに対して設けるようにしてもよい。
【0054】
また、前述した実施形態では、接地部材40,50,60は、本体部31だけを覆う構造としたが、電磁的な遮蔽をより確実にするために、入力コネクタ配置部14の全体を覆う構成としてもよい。
【0055】
また、以上の実施形態では、接地部材40,50,60を別部材として構成するようにしたが、例えば、筐体11を構成する蓋部113と一体的な構成とするようにしてもよい。そのような構成によれば、部品点数を減らすことができる。
【0056】
また、以上の実施形態では、入力コネクタ配置部14は、筐体11の頂点に配置するようにしたが、頂点以外の場所に配置するようにしてもよい。例えば、図14に示すように、筐体11の中央部に配置するようにしてもよい。なお、出力コネクタ配置部15およびフィードバックコネクタ配置部16についても同様である。
【符号の説明】
【0057】
10 高周波モジュール
11 筐体
12 取り付け部
13 電源コネクタ
14 入力コネクタ配置部
15 出力コネクタ配置部
16 フィードバックコネクタ配置部
20 回路基板
21 入力回路
22 電源回路
23 増幅回路
24 出力回路
25 フィードバック回路
30 接続ケーブル
31 本体部
32 コネクタ部
33 同軸ケーブル挿通部
34 凹部
35 同軸ケーブル
40 接地部材
41 L字部材
42,43 穴
44 舌状部
45 凸部
50 接地部材
52 穴
53 突起部
60 接地部材
61,62 穴
63 凸部
111 底部筐体
112 枠体
113 蓋部
141 入力コネクタ
151 出力コネクタ
161 フィードバックコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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図12
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