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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】燃料電池スタックの性能評価装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20160101AFI20220208BHJP
   H01M 8/247 20160101ALI20220208BHJP
【FI】
H01M8/24
H01M8/247
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020535631
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2019003438
(87)【国際公開番号】W WO2019203466
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0044319
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、クァンウク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヨンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】パク、クァンギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、デファン
(72)【発明者】
【氏名】シン、チョルジュ
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-189025(JP,A)
【文献】特開2003-234119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0092977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体、
燃料電池スタックの側に位置し、一つ以上の側面にガイド部が提供されるアノードエンドプレート(Anode End Plate)、
前記燃料電池スタックの他側に位置し、一つ以上の側面にアーム(Arm)が提供されるカソードエンドプレート(Cathode End Plate)、および
前記カソードエンドプレートに面圧を加える面圧モジュール
を含み、
前記アームは、
前記ガイド部と対応するように構成され、前記面圧モジュールから加えられる圧力により前記カソードエンドプレートを上下移動させる、
燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項2】
前記ガイド部およびアームは、
セラミック素材からなる、請求項1記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項3】
前記アノードエンドプレートには、
4つの側面に各々前記ガイド部が位置する、請求項1又はに記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項4】
前記カソードエンドプレートには、
4つの側面に各々前記アームが位置する、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、
前記燃料電池スタックの水平を合わせるための位置決定部が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項6】
前記アームは、
前記ガイド部に沿って移動するホイール、および
前記ホイールと前記カソードエンドプレートとを連結する支持部を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、
前記アームの上下移動をガイドするレールを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の燃料電池スタックの性能評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は2018年4月17日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0044319号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、燃料電池スタックの性能評価装置に関し、より詳しくは、アノードおよびカソードエンドプレートに各々ガイド部およびアーム(Arm)が提供されて、シーリング材の収縮により燃料電池スタックの傾きを最小化させる燃料電池スタックの性能評価装置に関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池(Fuel Cell)は、酸化によって生じる化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換させる電池であり、水素、酸素のように、地球上に豊かに存在する物質から電気エネルギーを発生させるための、環境にやさしい新たな未来型エネルギー技術である。
【0004】
燃料電池は、空気極(Cathode)に酸素が供給され、燃料極(Anode)に水素が供給されて、水の電気分解とは逆の反応形態で電気化学反応が進行して電気、熱、および水が発生し、公害を誘発することなく高効率で電気エネルギーを生産する。
【0005】
この時、前記燃料電池は、単一セルから生産される電圧は制限的であるため、セパレータとセルが複数回積層され、両側に前記セパレータおよび燃料電池スタックが積層された構成を支持するためのエンドプレートが備えられてスタック型として用いられる。
【0006】
このような燃料電池の性能を評価するためには、燃料電池の駆動に大きい影響を及ぼす外部の要素が均一に維持されなければならず、その要素としては、面圧、作動温度、供給ガスの流量および加湿程度が挙げられる。
【0007】
ところで、燃料電池の性能評価時、一つの要素でも誤差が発生する場合には、評価された燃料電池の性能自体の信頼度が低下するという問題がある。
【0008】
図1は、従来の燃料電池の特性評価装置を示す図である。燃料電池スタックの性能評価のために高温の環境を提供し、セル、集電体、連結材(interconnect)などのような燃料電池スタックの各構成間の優れた連結を通じた燃料電池スタックの性能確保のために垂直方向に面圧を印加する。
【0009】
燃料電池スタックの各構成を接着するシーリング材は高温で流動性を有することにより、面圧が加えられる場合に燃料電池スタックの高さが減少し、この時、内部温度の分布勾配によりシーリング材の収縮が均一に起こらず燃料電池スタックが傾くという問題が発生した。
【0010】
さらに、燃料電池スタックに印加される荷重が均一に伝達されないため、セルの破損または部分接触不良による燃料電池の性能損失の問題が発生した。
【0011】
これと関連し、性能の評価時において、高温でシーリング材の収縮を同一にして燃料電池スタックが傾くのを防止できる燃料電池スタックの性能評価装置が必要であるという実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した問題を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、アノードおよびカソードエンドプレートの一面に着脱結合されて上下移動が可能なガイド部およびアームを提供して燃料電池スタックが傾くのを防止する燃料電池スタックの性能評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による燃料電池スタックの性能評価装置は、本体、燃料電池スタックの上側に位置し、一つ以上の側面にガイド部が提供されるアノードエンドプレート(Anode End Plate)、前記燃料電池スタックの他側に位置し、一つ以上の側面にアーム(Arm)が提供されるカソードエンドプレート(Cathode End Plate)、および前記カソードエンドプレートに面圧を加える面圧モジュールを含むことを特徴とする、
【0014】
一つの実施形態において、前記アームは、前記ガイド部と対応するように構成され、前記面圧モジュールから加えられる圧力により前記カソードエンドプレートを上下移動させることを特徴とする。
【0015】
一つの実施形態において、前記ガイド部およびアームは、セラミック素材からなることを特徴とする。
【0016】
一つの実施形態において、前記アノードエンドプレートには、4つの側面に各々前記ガイド部が提供されることを特徴とする。
【0017】
一つの実施形態において、前記カソードエンドプレートには、4つの側面に各々前記アームが提供されることを特徴とする。
【0018】
一つの実施形態において、前記ガイド部は、前記燃料電池スタックの水平を合わせるための位置決定部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
一つの実施形態において、前記アームは、前記ガイド部に沿って移動するホイール、および前記ホイールと前記カソードエンドプレートとを連結する支持部を含むことを特徴とする。
【0020】
一つの実施形態において、前記ガイド部は、前記アームの上下移動をガイドするレールを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アノードおよびカソードエンドプレートに提供されるガイド部およびアームを介して燃料電池スタックのシーリング材の収縮を同一にして燃料電池スタックの傾きを最小化することによって、燃料電池スタックに印加される荷重を均一にしてセルの破損あるいは接触不良を防止するという効果が発生する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の燃料電池の特性評価装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による燃料電池スタックの性能評価装置の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による面圧印加装置の断面図である。
図4】本発明の一実施形態によるアノードおよびカソードエンドプレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を添付図面を参照して詳細に説明すれば以下のとおりである。ここで、繰り返される説明、本発明の要旨を不要に濁す恐れのある公知の機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面での要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0024】
明細書の全体にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0025】
以下では本発明の理解を助けるために好ましい実施形態を提示する。但し、下記の実施形態は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本実施形態によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0026】
<燃料電池スタックの性能評価装置>
図2は、本発明の一実施形態による燃料電池スタックの性能評価装置の斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態による面圧印加装置20の断面図であり、図4は、本発明の一実施形態によるアノードおよびカソードエンドプレート21、22の平面図である。
【0027】
本発明に係る燃料電池スタックの性能評価装置は、本体10および面圧印加装置20を含むことができる。面圧印加装置20は、本体10の内部に位置するものであり、アノードエンドプレート(Anode End Plate)21、カソードエンドプレート(Cathode End Plate)22および面圧モジュール23を含むことができる。
【0028】
本体10は、内部に面圧印加装置20を含むことができ、上部には後述する面圧モジュール23を駆動させるための油圧シリンダーが位置する。油圧シリンダーは、外部から圧縮空気の供給を受け、連結した面圧伝達棒(図示せず)を往復移動させることができる。したがって、油圧シリンダーによる圧力が面圧伝達棒を経て面圧モジュール23に伝達されて燃料電池スタックを垂直方向に圧縮することができる。
【0029】
アノードおよびカソードエンドプレート21、22は、燃料電池スタックの一側および他側に位置し、燃料電池スタックに均一な面圧が維持されるように燃料電池スタックの各構成を支持する役割をする。この時、燃料電池スタックは、アノード(Anode)、カソード(Cathode)、電解質およびシーリング材を含み、シーリング材は高温で流動性を有する性質の材料からなる。
【0030】
アノードエンドプレート21は一面にガイド部21aが位置し、カソードエンドプレート22は一面にアーム(Arm)22aが位置する。ガイド部21aとアーム22aとは結合されることができ、アーム22aは燃料電池スタック内のシーリング材の収縮によりガイド部21aの長さ方向に沿って上下運動が可能である。
【0031】
一つの実施形態において、ガイド部21aはアノードエンドプレート21の4つの側面に各々提供され、また、アーム22aはカソードエンドプレート22の4つの側面に各々提供されることができる。
【0032】
他の実施形態において、ガイド部21aとアーム22aは、アノードおよびカソードエンドプレート21、22の複数のエッジに各々提供されることができる。
【0033】
すなわち、ガイド部21aとアーム22aは、各々、燃料電池スタックに結合されるアノードおよびカソードエンドプレート21、22の同一な位置に提供されることができる。同一な位置に提供されるガイド部21aおよびアーム22aは着脱可能に結合することができる。
【0034】
そして、ガイド部21aにはガイドレール(図示せず)が形成されることができ、アーム22aはガイドレールに沿って移動可能なホイール(Wheel)および前記ホイールとカソードエンドプレート22とを連結する支持棒を含むことができる。したがって、カソードエンドプレート22が燃料電池スタックと組み立てられる時、ホイールはガイドレールと結合されて外部圧力によりガイドレールに沿って移動することができる。
【0035】
または、アーム22aは、ガイド部21aと結合されるリング、およびリングとカソードエンドプレート22とを連結する支持棒を含むことができる。
【0036】
この時、ガイド部21aまたはガイドレールには、位置決定部(図示せず)が形成されることができる。位置決定部はカソードエンドプレート22に提供される複数のアームの位置を決定する構成であり、位置決定部はカソードエンドプレート22の4つの側面に各々位置したアームを同じ位置に位置させてカソードエンドプレート22の水平を合わせることができる。
【0037】
一つの実施形態において、カソードエンドプレート22の右側面、左側面および上側面に位置したアーム22aが同じ高さに形成された位置決定部に位置し、カソードエンドプレート22の下側面に位置したアーム22aは異なる高さに位置する場合、下側面に位置したアームが同じ高さの位置決定部に達する前まで、位置決定部は右側面、左側面および上側面に位置したアーム22aの位置を固定することができる。
【0038】
本発明に係るガイド部21aおよびアーム22aは、セラミック素材からなることができる。したがって、燃料電池スタック、アノードおよびカソードエンドプレート21、22の積層体を高温で前処理する場合、ガイド部21aおよびアーム22aは収縮あるいは変形しないという効果が発生する。
【0039】
面圧モジュール23は、カソードエンドプレート22に面圧を加える構成であり、カソードエンドプレート22と面圧伝達棒との間に位置し、面圧伝達棒の往復移動によって燃料電池スタックに圧力を印加することができる。
【0040】
<燃料電池スタックの面圧印加方法>
本発明に係る燃料電池スタックの面圧印加方法は、アノード(Anode)、電解質およびカソード(Cathode)を順に積層して燃料電池スタックを製造した後、本体内部に位置したカソードエンドプレートに据え置くステップ、燃料電池スタックのカソードの一側にカソードエンドプレートを積層するステップ、本体の温度を昇温させるステップ、および面圧モジュールを用いてカソードエンドプレートに面圧を加えるステップを含む。
【0041】
カソードエンドプレートを据え置くステップは、カソードエンドプレートの一面に提供されたアームとアノードエンドプレートの一面に提供されたガイド部とを結合するステップを含むことができる。
【0042】
本体の温度を昇温させるステップおよび面圧を加えるステップは、複数のアームが同じ位置に位置するまで位置決定部に固定されることができる。より詳しくは、本体の温度を昇温させるステップおよび面圧を加えるステップは、燃料電池スタックの駆動のために本体の内部温度を昇温させ、温度が増加するにつれて燃料電池スタックに含まれたシーリング材が収縮するようになるステップである。
【0043】
この時、収縮したシーリング材によって燃料電池スタックの高さが減少し、本体の内部温度の分布勾配によりシーリング材の収縮が均一に起こらず、燃料電池スタックの高さが均一に減少しない。したがって、複数のアームは、同じ高さの位置決定部に固定されるまで上下移動をしない。
【0044】
さらに、アームが異なる高さの位置決定部に位置する場合、面圧モジュールは、カソードエンドプレートに加えられる面圧に勾配をおいて、複数のアームが同じ高さの位置決定部に位置するようにすることができる。
【0045】
そして、ガイド部およびアームがセラミック素材からなることによって、燃料電池スタックの作動のために本体が高温(860℃以下)に昇温しても収縮のような変形が生じないという効果が発生する。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができるであろう。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】