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  • 特許-接着剤シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】接着剤シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20220208BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20220208BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20220208BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220208BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20220208BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220208BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J7/20
C09J9/02
C09J201/00
H05K3/32 B
H05K1/14 J
H01R11/01 501Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018109507
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019210416
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】立澤 貴
(72)【発明者】
【氏名】前原 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】島村 充芳
(72)【発明者】
【氏名】白川 哲之
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 弘行
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-006313(JP,U)
【文献】国際公開第2018/066411(WO,A1)
【文献】特開2008-124029(JP,A)
【文献】特開平01-195607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基材と、
前記基材上に、前記基材の長手方向に沿って配列された複数の接着剤フィルム片と、
前記接着剤フィルム片のそれぞれを覆う複数のカバーフィルム片と、を備え、
前記接着剤フィルム片のそれぞれは、平面視において、前記基材の短手方向に沿って、第1の等方導電性接着剤からなる第1の導電性領域と、非導電性接着剤からなる非導電性領域と、第2の等方導電性接着剤からなる第2の導電性領域と、をこの順で有する、接着剤シート。
【請求項2】
前記第1の導電性領域と前記非導電性領域とが互いに離間しており、前記非導電性領域と前記第2の導電性領域とが互いに離間している、請求項1に記載の接着剤シート。
【請求項3】
前記非導電性領域の厚さが、前記第1の導電性領域の厚さ及び前記第2の導電性領域の厚さより大きい、請求項1又は2に記載の接着剤シート。
【請求項4】
前記第1の導電性領域の厚さ及び前記第2の導電性領域の厚さが、それぞれ3~50μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【請求項5】
前記非導電性領域の厚さが3~50μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体、液晶ディスプレイ等の分野において、電子部品の固定、回路の接続等のために各種接着剤が使用されている。このような接着剤の用途の一例として、接着剤中に導電粒子を分散させて導電性を付与した接着剤フィルムを用いて、電子部品同士を電気的に接続する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-207115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品同士の電気的な接続においては、電子部品の接着面の一部分だけで導電性を確保すればよい場合がある。従来は、このような場合であっても、導電粒子を分散させた接着剤フィルムが電子部品の接着面全体にわたって用いられているが、導電性の確保が不要な部分にも導電粒子が配置されることになり、余分な材料コストが生じる。
【0005】
また、接着剤フィルムは、一般的に、長尺の基材上の全面に接着剤が形成された形態(接着剤シート)で供されるが、電子部品の接着面の形状は多様化しているため、このような形態では、基材上に形成された接着剤の一部しか利用できない場合がある。この場合、残りの接着剤が無駄になり、この点でも余分な材料コストが生じる。
【0006】
そこで、本発明の一側面は、導電粒子の使用量を必要最小限に抑え、接着面に対して有効に利用できる接着剤シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、長尺の基材と、基材上に、基材の長手方向に沿って配列された複数の接着剤フィルム片と、接着剤フィルム片のそれぞれを覆う複数のカバーフィルム片と、を備え、接着剤フィルム片のそれぞれは、平面視において、基材の短手方向に沿って、第1の等方導電性接着剤からなる第1の導電性領域と、非導電性接着剤からなる非導電性領域と、第2の等方導電性接着剤からなる第2の導電性領域と、をこの順で有する、接着剤シートである。
【0008】
この接着剤シートでは、基材上に複数の接着剤フィルム片が設けられているため、電子部品の接着面の形状に応じて接着剤フィルム片の形状を任意に設定できる。したがって、電子部品の多様な接着面に対して接着剤フィルム片を有効に利用できる。また、接着剤フィルム片の一部が非導電性領域で構成されているため、導電粒子の使用量を必要最小限に抑えることが可能となる。この接着剤フィルム片は、導電性を確保すべき領域と、導電性の確保が不要な領域と、導電性を確保すべき領域とをこの順で有するような接着面に対して特に好適に用いられる。加えて、接着剤フィルム片はカバーフィルム片で覆われているので、接着剤フィルム片が使用前に意図せず接着することを抑制できる。
【0009】
第1の導電性領域と非導電性領域とは互いに離間しており、非導電性領域と第2の導電性領域とは互いに離間していてよい。非導電性領域の厚さは、第1の導電性領域の厚さ及び第2の導電性領域の厚さより大きくてよい。第1の導電性領域の厚さ及び第2の導電性領域の厚さは、それぞれ3~50μmであってよい。非導電性領域の厚さは、3~50μmであってよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電粒子の使用量を必要最小限に抑え、接着面に対して有効に利用できる接着剤シートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る接着剤シートを示す上面図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る接着剤シートを示す上面図である。図2は、図1のII-II線における断面図である。図1に示すように、一実施形態に係る接着剤シート1は、長尺の基材2と、基材2上に設けられた複数の接着剤フィルム片3と、接着剤フィルム片3のそれぞれを覆うように設けられた複数のカバーフィルム片4と、を備えている。
【0014】
基材2は、図1のX方向に延びる長尺のフィルム(キャリアフィルムとも呼ばれる)である。基材2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等で形成された樹脂フィルムであってよい。基材2の接着剤フィルム片3が設けられている面には、離型処理、プラズマ処理等が施されていてもよい。基材2の長手方向(図1のX方向)の長さは、例えば1~400mであってよい。基材2の短手方向(図1のY方向)の長さは、例えば10~100mmであってよい。基材2の厚さは、例えば5~200μmであってよい。
【0015】
複数の接着剤フィルム片3は、基材2の長手方向に沿って配列されている。隣り合う接着剤フィルム片3,3同士の間隔(X方向の最短距離)は、例えば3~8mmであってよい。すべての接着剤フィルム片3が一定の間隔で配列されていてもよく、接着剤フィルム片3ごとに異なる間隔で配列されていてもよい。
【0016】
接着剤フィルム片3のそれぞれは、平面視(図1に示す上面図)において、基材2の短手方向に沿って、第1の等方導電性接着剤からなる第1の導電性領域5と、非導電性接着剤からなる非導電性領域6と、第2の等方導電性接着剤からなる第2の導電性領域7と、をこの順で有している。
【0017】
接着剤フィルム片3の外形(平面形状)は、例えば矩形状になっている。接着剤フィルム片3の基材2の長手方向(X方向)における長さは、例えば0.1~20mmであってよい。接着剤フィルム片3の基材2の短手方向(Y方向)における長さは、例えば、基材2の短手方向の長さより小さくなっており、例えば20~80mmであってよい。
【0018】
第1の導電性領域5と非導電性領域6とは、互いに離間している。非導電性領域6と第2の導電性領域7とは、互いに離間している。第1の導電性領域5と非導電性領域6との間隔(Y方向の最短距離)、及び、非導電性領域6と第2の導電性領域7との間隔(Y方向の最短距離)は、それぞれ例えば0.05~0.5mmであってよい。これらの間隔は、互いに同一であっても異なっていてもよい。他の一実施形態では、第1の導電性領域5と非導電性領域6とは互いに接していてよく(離間していなくてよく)、非導電性領域6と第2の導電性領域7とは互いに接していてよい(離間していなくてよい)。
【0019】
第1の導電性領域5及び第2の導電性領域7(以下、これらをまとめて「導電性領域5,7」ともいう)は、例えば矩形の平面形状を有している。導電性領域5,7の基材2の長手方向(X方向)における長さは、例えば0.1~20mmであってよい。導電性領域5,7の基材2の短手方向(Y方向)における長さは、例えば0.1~5mmであってよい。導電性領域5,7の厚さは、例えば3~50μmであってよい。第1の導電性領域5及び第2の導電性領域7は、互いに同一の形状、長さ及び厚さを有していてよく、互いに異なる形状、長さ又は大きさを有していてもよい。
【0020】
非導電性領域6は、例えば矩形の平面形状を有している。非導電性領域6の基材2の長手方向(X方向)における長さは、例えば、導電性領域5,7の基材2の長手方向における長さと略同一になっており、0.1~20mmであってよい。非導電性領域6の基材2の短手方向(Y方向)における長さは、例えば、導電性領域5,7の基材2の短手方向における長さより大きくなっており、25~70mmであってよい。非導電性領域6の厚さは、例えば、図2に示すように、導電性領域5,7の厚さより大きくなっており、3~50μmであってよい。他の一実施形態では、非導電性領域6の厚さは、導電性領域5,7の厚さと同じ又はそれより小さくてもよい。
【0021】
第1の導電性領域5を構成する第1の等方導電性接着剤、及び第2の導電性領域7を構成する第2の等方導電性接着剤(以下、これらをまとめて単に「等方導電性接着剤」ともいう)は、それぞれ、例えば接着剤成分と導電粒子とを含有する。非導電性領域6を構成する非導電性接着剤は、例えば接着剤成分からなっている。これらの各接着剤に含まれる接着剤成分は、互いに同一であっても異なっていてもよく、以下で説明する接着剤成分であってよい。
【0022】
接着剤成分は、例えば熱硬化性の接着剤成分であってよい。熱硬化性の接着剤成分は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有し、必要に応じて、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填剤等を更に含有していてよい。
【0023】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、アクリロイル基又はメタクリロイル基が側鎖に付加された構造を有していてもよい。
【0024】
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであれば特に制限はなく、例えば、アニオン重合性の触媒型硬化剤、カチオン重合性の触媒型硬化剤、重付加型の硬化剤等が挙げられる。硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂と必要により配合される熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して、0.05~20質量部であってよい。
【0025】
アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤は、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、オニウム塩(芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、脂肪族スルホニウム塩等)、アミンイミド、ジアミノマレオニトリル、メラミン及びその誘導体、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等であってよく、これらの変性物であってもよい。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物等が挙げられる。
【0026】
接着剤成分は、例えば光硬化性の接着剤成分であってもよい。光硬化性の接着剤成分は、例えばラジカル硬化型の接着剤成分であってよく、ラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤を含有し、必要に応じて、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填剤等を更に含有していてよい。
【0027】
ラジカル重合性化合物は、例えば、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物であってよい。ラジカル重合性化合物は、例えば、アクリレート(対応するメタクリレートも含む。以下同じ。)化合物、アクリロキシ(対応するメタアクリロキシも含む。以下同じ。)化合物、マレイミド化合物、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂等であってよい。
【0028】
アクリレート化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、リン酸エステルジアクリレート等が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合開始剤は、例えば、加熱又は光の照射により分解して遊離ラジカルを発生する化合物であってよい。ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化化合物、アゾ系化合物等であってよい。ラジカル重合開始剤は、好ましくは、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等である。ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物と必要により配合される熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して、0.1~10質量部であってよい。
【0030】
熱硬化性又は光硬化性の接着剤成分に必要により配合される熱可塑性樹脂は、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂等であってよい。
【0031】
熱可塑性樹脂の含有量は、熱硬化性の接着剤成分に配合される場合、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対し、5~80質量部であってよい。熱可塑性樹脂の含有量は、光硬化性(ラジカル硬化型)の接着剤成分に配合される場合、ラジカル重合性化合物及び熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対し、5~80質量部であってよい。
【0032】
等方導電性接着剤における接着剤成分の含有量は、等方導電性接着剤の全体積基準で75~98体積%であってよい。当該含有量は、第1の等方導電性接着剤と第2の等方導電性接着剤とで互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
等方導電性接着剤に含まれる導電粒子は、第1の等方導電性接着剤と第2の等方導電性接着剤とで互いに同一であっても異なっていてもよく、例えば、非導電性の核体と、該核体上に設けられた導電層とを有している。導電粒子の平均粒径は、例えば1~30μmであってよい。平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置(マイクロトラック(製品名、日機装株式会社))により測定される。
【0034】
核体は、ガラス、セラミック、樹脂等の非導電性材料で形成されており、好ましくは樹脂で形成されている。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂又はこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体が挙げられる。核体の平均粒径は、例えば1~30μmであってよい。
【0035】
導電層は、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム又はこれらの合金で形成されている。導電層は、例えば核体に上記の金属をめっきすることにより形成される。導電層の厚さは、例えば10~400nmであってよい。
【0036】
等方導電性接着剤における導電粒子の含有量は、等方導電性接着剤の全体積基準で2~20体積%であってよい。当該含有量は、第1の等方導電性接着剤と第2の等方導電性接着剤とで互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
カバーフィルム片4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等で形成された樹脂フィルムであってよい。カバーフィルム片4は、例えば接着剤フィルム片3より大面積の矩形の平面形状を有しており、接着剤フィルム片3全体を覆うように配置されている。カバーフィルム片4の基材2の長手方向(X方向)における長さは、例えば、接着剤フィルム片3の基材2の長手方向における長さより大きくなっており、例えば5~25mmであってよい。カバーフィルム片4の基材2の短手方向(Y方向)における長さは、例えば、接着剤フィルム片3の基材2の短手方向における長さより大きくなっており、例えば30~80mmであってよい。カバーフィルム片4の厚さは、例えば5~75μmであってよい。
【0038】
以上説明した接着剤シート1では、基材2上に複数の接着剤フィルム片3が設けられているため、電子部品の接着面の形状に応じて接着剤フィルム片3の形状を任意に設定できる。したがって、電子部品の多様な接着面に対して接着剤フィルム片3を有効に利用できる。また、接着剤フィルム片3の一部が非導電性領域6で構成されているため、導電粒子の使用量を必要最小限に抑えることが可能となる。加えて、接着剤フィルム片3はカバーフィルム片4で覆われているので、接着剤フィルム片3が使用前に意図せず接着することを抑制できる。
【0039】
この接着剤フィルム片3(接着剤シート1)は、接着面の少なくとも一部において導電性を確保すべき電子部品同士の接着に好適に用いられる。接着剤フィルム片3は、第1の導電性領域5と、非導電性領域6と、第2の導電性領域7とをこの順で有しているため、平面視において、導電性を確保すべき領域(例えば電極が形成された領域)と、導電性の確保が不要な領域(例えば電極が形成されていない領域)と、導電性を確保すべき領域(例えば電極が形成された領域)とをこの順で有するような接着面に対して特に好適に用いられる。
【0040】
上記実施形態では、接着剤フィルム片3は、第1の導電性領域5と、非導電性領域6と、第2の導電性領域7とを有しているが、他の実施形態では、接着剤フィルム片は、これらの各領域に加えて、導電性領域及び非導電性領域の一方又は両方を更に有していてもよい。
【0041】
上記実施形態では、導電性領域5,7及び非導電性領域6の平面形状はいずれも矩形であるが、他の実施形態では、導電性領域及び非導電性領域の平面形状は、電子部品の接着面に応じて適宜設定され、例えば、矩形以外の多角形、円形、楕円形等の定形であってよく、不定形であってもよい。導電性領域及び非導電性領域の平面形状は、互いに異なっていてもよい。
【0042】
上記実施形態では、導電性領域5,7及び非導電性領域6の基材2の長手方向(X方向)における長さは互いに略同一になっているが、導電性領域及び非導電性領域の基材2の長手方向における長さは互いに異なっていてもよい。上記実施形態では、非導電性領域6の基材2の短手方向(Y方向)における長さは、導電性領域5,7の基材2の短手方向における長さより大きくなっているが、非導電性領域の基材2の短手方向における長さは、導電性領域の基材2の短手方向における長さと略同じ又はそれより小さくてもよい。
【0043】
続いて、上述した接着剤シート1の製造方法について説明する。この製造方法では、まず、一対の等方導電性接着剤、非導電性接着剤及びカバーフィルムをそれぞれ用意する。
【0044】
等方導電性接着剤及び非導電性接着剤は、それぞれ長尺のフィルム状に形成された接着剤フィルムとして用意される。等方導電性接着剤及び非導電性接着剤のフィルムの短手方向の長さは、上述した導電性領域5,7の基材2の短手方向(Y方向)における長さ、及び、上述した非導電性領域6の基材2の短手方向(Y方向)における長さとそれぞれ略同じである。カバーフィルムも長尺のフィルムとして用意され、カバーフィルムの短手方向の長さは、上述したカバーフィルム片4の基材2の短手方向(Y方向)における長さと略同じである。
【0045】
続いて、等方導電性接着剤フィルム、非導電性接着剤フィルム及びカバーフィルムの長手方向が互いに略一致するように、カバーフィルムの一方面上に、等方導電性接着剤フィルム及び非導電性接着剤フィルムを積層して積層体を得る。このとき、等方導電性接着剤フィルム、非導電性接着剤フィルム及びカバーフィルムの位置関係が図1に示す位置関係になるように、カバーフィルムの短手方向に沿って、等方導電性接着剤フィルム、非導電性接着剤フィルム及び等方導電性接着剤フィルムをこの順に配置する。各フィルムの積層は、例えば熱ロールラミネートにより行われる。
【0046】
続いて、得られた積層体の等方導電性接着剤フィルム及び非導電性接着剤フィルムを例えばパンチングにより個片化し、長尺のカバーフィルム上に形成された複数の接着剤フィルム片3を得る。
【0047】
続いて、カバーフィルム及び複数の接着剤フィルム片3からなる積層体を基材2に例えば熱ロールラミネートにより積層した後、カバーフィルムを例えばパンチングにより個片化し、接着剤フィルム片3を覆う複数のカバーフィルム片4を得る。これによって、接着剤シート1が得られる。
【符号の説明】
【0048】
1…接着剤シート、2…基材、3…接着剤フィルム片、4…カバーフィルム片、5…第1の導電性領域、6…非導電性領域、7…第2の導電性領域。
図1
図2