(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】共有端末、設定情報同期方法、プログラム、設定情報同期システム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20220208BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H04L67/00
H04N1/00 H
(21)【出願番号】P 2018121220
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】剣持 栄治
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068684(JP,A)
【文献】特開2017-038356(JP,A)
【文献】特開2012-256278(JP,A)
【文献】特開2012-123573(JP,A)
【文献】特開2011-081575(JP,A)
【文献】特開2007-172558(JP,A)
【文献】特開2007-158760(JP,A)
【文献】特開2007-122736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期元から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末であって、
前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新する設定情報同期手段と、
前記設定情報同期手段が更新した前記設定情報の変更を受け付ける操作受付手段と、
前記同期元から送信された前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可する設定制御手段と、
を有することを特徴とする共有端末。
【請求項2】
前記設定制御手段は、前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されており、かつ、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることが制限される旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限することを特徴とする請求項1に記載の共有端末。
【請求項3】
前記設定制御手段は、前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されており、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可することを特徴とする請求項2に記載の共有端末。
【請求項4】
前記同期先の前記共有端末が保持する前記設定情報に、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることが制限される旨が設定されている場合、
前記設定情報同期手段が更新した前記設定情報の変更を前記操作受付手段が受け付ける画面において、前記設定情報の変更が制限されている旨を表示装置に表示する設定変更制限表示手段を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の共有端末。
【請求項5】
前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けるソフトキーを表示する表示制御手段を有し、
前記同期先の前記共有端末が保持する前記設定情報に、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることが制限される旨が設定されている場合、
前記表示制御手段は、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることが制限される旨が設定されていない場合に表示される前記ソフトキーの少なくとも一部を、ユーザが押下できない態様で表示することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共有端末。
【請求項6】
ユーザが押下できない態様で表示された前記ソフトキーに対する押下が試みられたことを検知する設定変更検知手段と、
ユーザが押下できない態様で表示された前記ソフトキーに対する押下が試みられたことを前記設定変更検知手段が検知した旨を同期元の共有端末に送信する設定変更送信手段と、を有し、
前記同期元の共有端末は、ユーザが押下できない態様で表示された前記ソフトキーに対する押下が試みられた旨を表示することを特徴とする請求項5に記載の共有端末。
【請求項7】
前記設定変更検知手段は、ユーザが押下を試みた前記ソフトキーの名称を前記表示制御手段から取得し、
前記設定変更送信手段は、前記ソフトキーの名称を同期元の共有端末に送信し、
前記同期元の共有端末は、前記ソフトキーに対する押下が試みられた旨と共に前記ソフトキーの名称を表示することを特徴とする請求項6に記載の共有端末。
【請求項8】
前記設定変更検知手段は、ユーザが押下できない態様で表示された前記ソフトキーの押下を試みた日時を検出し、
前記設定変更送信手段は、前記ソフトキーの名称を前記同期元の共有端末に送信し、
前記同期元の共有端末は、前記ソフトキーに対する押下が試みられた旨と共に前記日時を表示することを特徴とする請求項6又は7に記載の共有端末。
【請求項9】
同期元から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末が行う設定情報同期方法であって、
設定情報同期手段が、前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新するステップと、
操作受付手段が、前記設定情報同期手段が更新した前記設定情報の変更を受け付けるステップと、
設定制御手段が、前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可するステップと、
を有することを特徴とする設定情報同期方法。
【請求項10】
同期元から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末を、
前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新する設定情報同期手段と、
前記設定情報同期手段が管理する前記設定情報の変更を受け付ける操作受付手段と、
前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可する設定制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
同期元の共有端末と、前記同期元の共有端末から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末とを有する設定情報同期システムであって、
同期元の共有端末は、
前記設定情報の設定を受け付ける第1の操作受付手段と、
前記第1の操作受付手段が受け付けた前記設定情報を同期先の電子黒板に送信する送信手段と、を有し、
前記同期先の共有端末は、
前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新する設定情報同期手段と、
前記設定情報同期手段が管理する前記設定情報の変更を受け付ける操作受付手段と、
前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可する設定制御手段と、
を有することを特徴とする設定情報同期システム。
【請求項12】
同期元の共有端末と、前記同期元の共有端末から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末とを有する設定情報同期システムが行う設定情報同期方法であって、
同期元の共有端末は、
第1の操作受付手段が前記設定情報の設定を受け付けるステップと、
送信手段が、前記第1の操作受付手段が受け付けた前記設定情報を同期先の電子黒板に送信するステップと、を有し、
同期先の共有端末は、設定情報同期手段が、前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新するステップと、
操作受付手段が、前記設定情報同期手段が管理する前記設定情報の変更を受け付けるステップと、
設定制御手段が、前記同期元から送信される前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可するステップと、
を有することを特徴とする設定情報同期方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共有端末、設定情報同期方法、プログラム、及び、設定情報同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業の会議室や教育機関の教室等の部屋に、複数のユーザが共有することができる共有端末として電子黒板が設置される場合がある。この電子黒板は、大型のタッチパネル式のディスプレイを有しており、各ユーザが専用の電子ペンや指などで描画した描画像を表示する。従来のホワイトボードと異なり描画像を電子データで保存したり、PC(Personal Computer)の映像を表示したりすることができる。各ユーザは、電子黒板の同じ画面を見ながら会議や授業等を進めることができるようになった。
【0003】
電子黒板に対し管理者はセキュリティや動作に関する種々の設定をカスタマイズすることができる。多数の電子黒板を導入した企業などの場合、管理者は各電子黒板の設定を個別にカスタマイズする必要があり負担が大きいという課題がある。そこで、複数の電子黒板の設定を一括して同期させる技術が知られている。
【0004】
一方、管理者が機能を確認したり調整したりするために使用する電子黒板などでは、設定を同期させたくない場合が生じうるため、一部の電子黒板の設定を同期させない技術も考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、管理者が同期先の電子黒板を指定して同期元の電子黒板と設定を同期させるか否かを設定することができる電子黒板が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電子黒板では、設定情報の同期中の電子黒板に対するローカルな設定変更が許可されているため、設定同期中の電子黒板に他の電子黒板と異なる設定が行われる可能性があるという問題がある。ローカルな設定変更が許可されている場合、ユーザは、電子黒板を直接操作して(ローカルな設定変更をして)、例えば、アプリ起動時の手書きの色や線幅、起動時の認証の有無、又は、メール送信者のアドレス帳等の設定を他の電子黒板と異ならせることができる。
【0006】
このようなローカルな設定変更をユーザが元の設定に戻さなかった場合、設定が同期されており同じ使い方で使用できるはずの電子黒板を他のユーザが同じ使い方で使用できなくなる。ユーザとしては同じ使い方を期待しているので、ユーザビリティが低下する等の不都合をもたらす。
【0007】
一方、同期中の電子黒板に対するローカルな設定変更を常に禁止してしまうと、例えば、一時的に設定を変更して異なるユーザビリティを体験したいといった要望に対応できないという別の不都合を発生させる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、同期先の共有端末における設定変更の可否を制御できる同期元の共有端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、同期元から送信される設定情報に同期する同期先の共有端末であって、前記同期元から送信された前記設定情報で前記同期先の共有端末が保持する前記設定情報を更新する設定情報同期手段と、前記設定情報同期手段が更新した前記設定情報の変更を受け付ける操作受付手段と、前記同期元から送信された前記設定情報に、前記設定情報を同期する旨が設定されている場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを制限し、前記設定情報を同期する旨が設定されていない場合、前記操作受付手段が前記設定情報の変更を受け付けることを許可する設定制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
同期先の共有端末における設定変更の可否を制御できる同期元の共有端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】同期中の電子黒板がローカルな設定変更を受け付けるか否かを同期元が制御する手順の概略を示すシーケンス図である。
【
図2】設定を同期する複数の電子黒板がネットワークを介して接続された設定情報同期システムの構成図の一例である。
【
図3】電子黒板のハードウェア構成図の一例である。
【
図4】設定同期開始時の手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図5】設定同期を解除する手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図6】再度、同期が開始される手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図7】電子黒板の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図9】同期元の電子黒板の設定を管理者等がカスタマイズする際の同期設定画面の一例を示す図である。
【
図10】同期先の電子黒板が設定情報に基づいて同期制御を行う手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図11】ローカルな設定変更が許可されている場合の設定情報の変更画面の一例を示す図である。
【
図12】ローカルな設定変更が禁止されている場合の設定情報の変更画面の一例を示す図である。
【
図13】設定情報を同期する処理について補足するフローチャート図の一例である。
【
図14】電子黒板の機能ブロック図の一例である(実施例2)。
【
図15】設定変更が禁止されている旨を同期先の電子黒板が表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図16】ローカルな設定変更が制限されている旨を表示する変更禁止通知画面の一例を示す図である。
【
図17】電子黒板の機能ブロック図の一例である(実施例3)。
【
図18】同期先の電子黒板が設定の変更を検知する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図20】設定情報が変更されたことを同期元の電子黒板が表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図21】不正変更情報表示画面の一例を示す図である。
【
図22】設定情報同期システムを説明する図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、設定情報同期システムと設定情報同期システムが行う設定情報同期方法について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0013】
<設定情報同期システムの概略>
まず、
図1を用いて本実施形態の設定情報同期システムの動作の概略を説明する。
図1は、同期中の電子黒板がローカルな設定変更を受け付けるか否かを同期元が制御する手順の概略を示すシーケンス図である。以下では、同期元の電子黒板2を電子黒板2Pと表し、同期先の電子黒板2を電子黒板2C-i(iは1以上の整数)で表し、任意の同期先の電子黒板2を電子黒板2Cで表す。また、同期元の電子黒板2Pを単に「同期元」といい、同期先の電子黒板2Cを単に「同期先」という場合がある。同期元を親機、同期先を子機と称する場合がある。
【0014】
なお、同期先が同時に同期元になってもよい。つまり、同期先が同期元として別の同期先に設定情報を送信することもできる。
【0015】
同期元と同期先にはハードウェア及びソフトウェアの違いはなく、管理者が同期元であると設定した電子黒板2が同期元となる。それ以外は同期先として動作する。つまり、出荷時の設定は同期先であり、同期元として設定された電子黒板2だけが同期元として動作する。同期元の機能には少なくとも同期元に設定された設定情報を同期先と同期させる機能がある。
【0016】
以下、設定情報同期システム100の動作の手順を説明する。
【0017】
S1、S2:同期元の電子黒板2Pが同期先の電子黒板2Cに設定同期を指示する。同期先の電子黒板2Cは設定同期を受諾する。設定同期とは、電子黒板2Pと電子黒板2Cの設定を同期させることをいう。
【0018】
S3:同期先の電子黒板2Cは設定同期を有効にする。つまり、同期先の電子黒板2Cは同期元の電子黒板2Pと設定を同期させる。
【0019】
S4:同期先の電子黒板2Cは、設定同期を有効にしたことでローカルな設定変更を禁止する。
【0020】
S5:同期元の電子黒板2Pは同期先の電子黒板2Cに設定情報を送信する。設定同期が有効であるため、同期先の電子黒板2Cは受信した設定情報で自機の設定情報を更新する。
【0021】
S6、S7:同期元の電子黒板2Pが同期先の電子黒板2Cの設定同期を解除する。同期先の電子黒板2Cは設定同期の解除を受諾する。設定同期の解除とは、電子黒板2Pと電子黒板2Cの設定を同期させなくなることをいう。
【0022】
S8:同期先の電子黒板2Cは設定同期の解除の受諾により設定同期を解除する。つまり、同期先の電子黒板2Cはその設定を同期元の電子黒板2Pと同期させなくなる。
【0023】
S9:同期先の電子黒板2Cは、設定同期を解除したことでローカルな設定変更を許可する。
【0024】
したがって、ステップS4~S8までのように、設定同期中の場合はローカルな設定変更が禁止されるため、同期中の電子黒板の設定が他の電子黒板と異なることがなく、ユーザビリティが低下することを抑制できる。また、ステップS9以降のように、設定同期が解除されるとローカルな設定変更が許可されるので、一時的に設定を変更して異なるユーザビリティを体験したいといった要望に柔軟に対応できる。
【0025】
<用語について>
ローカルな設定変更とは、同期による設定ではなく、ユーザが電子黒板を直接、操作して設定を変更することをいう。
【0026】
「設定情報を同期する旨が設定されている」とは、設定情報の同期を開始すること、又は、設定同期を有効にすることをいう。本実施形態では一例として、設定元から送信される設定情報のenabledタグがtrueであることとして説明される。同期先の電子黒板2Cはenabledタグがtrueの設定情報を受信すると設定同期中となる。
【0027】
「設定情報を同期する旨が設定されていない」とは、設定情報の同期を解除すること、又は、設定同期を無効にすることをいう。本実施形態では一例として、設定元から送信される設定情報のenabledタグがfalseであることとして説明される。同期先の電子黒板2Cはenabledタグがfalseの設定情報を受信すると設定情報の同期を行わない状態となる。
【0028】
電子黒板2とは、表示している画面に対する文字、図、画像、手書き画像、スタンプ等の情報の追加をユーザから受付可能な機能を持つものである。電子黒板2は電子情報ボード、電子ホワイトボード、コピーボード又は電子ボード等と呼ばれる場合がある。なお、ホワイトボードはタッチパネルにより手書きされたストロークを取り込むタイプの他、プロジェクタとホワイトボード(ディスプレイを有さない通常の黒板タイプ)により実現してもよい。複数のユーザに共有されるという意味で電子黒板を共有端末という場合がある。
【0029】
共有端末の一例として本実施形態では電子黒板2を例にするが、MFP(Multi-Function Peripherals)、プロジェクタ、テレビ会議端末などにも適用できる。これらもネットワークを介して通信し、設定情報を同期させることができる。
【0030】
同期元とは設定情報を送信する電子黒板2であり、同期先とは設定情報を受信して自機の設定情報を受信した設定情報で更新する電子黒板2である。
【0031】
設定情報の同期とは、許容できる時間的なずれの範囲内で複数の装置の情報を一致させることをいう。本実施形態では、管理者が同期元に設定した設定情報が、管理者が同期先に設定しなくても所定時間内に同期先に反映されるという形態が挙げられる。
【0032】
設定情報とは、電子黒板2の動作に関する設定をいう。例えば、電子黒板2が適切に動作するための設定、ネットワークを介してインターネットや他の機器と通信するための設定、ユーザの嗜好に応じた設定、電子黒板2の動作を許可又は制限するための設定、各機能のオン/オフの設定などを含む。
【0033】
設定情報の変更を受け付けることを制限することには、変更の禁止、一部の変更の禁止、設定値の制限等が含まれる。本実施形態では説明を簡単にするため設定情報の全体の変更を禁止する例を説明するが、設定情報の一部のみの変更が禁止される場合がある。
【0034】
<システム構成例>
図2は、設定を同期する複数の電子黒板がネットワークNを介して接続された設定情報同期システム100の構成図の一例である。設定情報同期システム100では1台の同期元の電子黒板2Pと1台以上の複数の同期先の電子黒板2Cとがネットワークを介して接続されている。
【0035】
ネットワークNは、インターネット、移動体通信網、及び、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。ネットワークNには、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。
【0036】
また、電子黒板2とは、ユーザが電子ペンや指先で画面をなぞるように動かして入力された画面における電子ペンや指先の座標(位置)をタッチパネルで取得し、この座標を連結したストロークをタッチパネルと一体のディスプレイに表示するいわゆる電子機器である。タッチパネルの方式はどのようなものでもよい。電子黒板2は、電子ホワイトボード、電子情報ボード、など商品によって呼称が異なっていてよい。また、電子黒板2はコンピュータの機能を有するため、情報処理装置とよばれてもよい。タッチパネルを備えたタブレット端末も電子黒板2として使用される場合がある。
【0037】
また、電子黒板2はテレビ会議を開催するための機能(カメラ、マイク、スピーカ、通信機能等)を有している。遠隔地にある電子黒板2が画像と音声を相互に伝送して、画像を表示装置に表示し音声をスピーカから出力することで、遠隔地の参加者が会議などの遠隔コミュニケーションを可能とする。
【0038】
電子黒板2は他の電子黒板2とテレビ会議(遠隔コミュニケーション)を開催して、それぞれユーザによって描画された内容である描画像のデータ(以下、「描画像データ」という)を送受信することができる。そのため、一方の電子黒板2で描画された内容は他方の電子黒板2でも表示され、逆に、他方の電子黒板2で描画された内容は一方の電子黒板2でも表示される。なお、テレビ会議を行う電子黒板2が設定同期を行う関係にあるとは限らない。
【0039】
<ハードウェア構成例>
続いて、
図3を用いて、電子黒板2のハードウェア構成を説明する。
【0040】
<<電子黒板のハードウェア構成>>
図3は、電子黒板2のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、電子黒板2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークI/F205、及び、外部機器接続I/F(Interface)206を備えている。
【0041】
これらのうち、CPU201は、電子黒板2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。SSD204は、電子黒板2用のプログラム等の各種データを記憶する。ネットワークI/F205は、ネットワークNとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、USB(Universal Serial Bus)メモリ2600、外付け機器(カメラ2900、スピーカ2800、マイク2700)との通信を制御する。
【0042】
また、電子黒板2は、キャプチャデバイス211、GPU212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信部219、及び近距離通信部219のアンテナ219aを備えている。
【0043】
これらのうち、キャプチャデバイス211は、PC10が後述するディスプレイに表示する映像情報を静止画又は動画として取得する。GPU(Graphics Processing Unit)212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ220等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。接触センサ214は、ディスプレイ220上に電子ペン2500やユーザの手H等が接触したことを検知する。センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ220の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ220に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ220の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。接触センサ214は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のIDをセンサコントローラ215に出力し、センサコントローラ215が、物体の接触位置である座標位置を特定する。電子ペンコントローラ216は、電子ペン2500と通信することで、ディスプレイ220へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信部219は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の無線の通信回路である。
【0044】
更に、電子黒板2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、
図3に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0045】
なお、接触センサ214は、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。また、電子ペンコントローラ216が、電子ペン2500のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン2500のユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0046】
<設定同期の手順>
図4~
図6を用いて設定同期の開始、終了、再開の手順を説明する。
図4は、設定同期開始時の手順を示すシーケンス図の一例である。
【0047】
S11、S12:同期元の電子黒板2Pが同期先の電子黒板2Cに設定同期を指示する。同期先の電子黒板2Cは設定同期を受諾する。これにより、同期先の電子黒板2Cは設定同期中となる。
【0048】
S13:同期先の電子黒板2Cは、設定同期の指示によりローカルな設定変更を禁止する。
【0049】
S14:同期元の電子黒板2Pは同期先の電子黒板2Cに設定情報を送信する。
【0050】
S15:同期先の電子黒板2Cは設定情報を受信して、自機の設定情報を受信した設定情報で更新する。
【0051】
このように、同期中の電子黒板をユーザが直接操作して設定情報を変更すること(ローカルな設定変更)を禁止できる。
【0052】
図5は、設定同期を解除する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0053】
S11、S12:同期元の電子黒板2Pが同期先の電子黒板2Cに設定同期の解除を指示する。同期先の電子黒板2Cは設定同期の解除を受諾する。これにより、同期先の電子黒板2Cは設定同期が解除され同期中でなくなる。
【0054】
S13:同期元の電子黒板2Pは設定情報の同期を終了する。実際には設定情報を送信しなくなるのではなく、設定情報の送信が継続され、同期するかどうかは同期先が判断する。ただし、同期元が同期先に設定情報を送信するかどうかを制御してもよい。
【0055】
S14:同期先の電子黒板2Cは、同期設定の解除の指示によりローカルな設定変更を許可する。
【0056】
S15:同期先の電子黒板2Cはローカルな設定変更を受け付ける。
【0057】
このように、同期解除の指示を受け付けることで同期を解除し、ローカルな設定変更を受け付けることができる。
【0058】
図6は、再度、同期が開始される手順を示すシーケンス図の一例である。
図6では設定同期が解除されているものとする。
【0059】
S11、S12:同期元の電子黒板2Pが同期先の電子黒板2Cに設定同期を指示する。同期先の電子黒板2Cは同期開始を受諾する。これにより、同期先の電子黒板2Cは設定同期中となる。
【0060】
S13:同期先の電子黒板2Cは、同期開始の指示によりローカルな設定変更を禁止する。
【0061】
S14:同期元の電子黒板2Pは同期先の電子黒板2Cへの設定情報の送信を再開する。上記のように、実際には同期元は設定情報の送信を継続している。
【0062】
このように、設定同期が解除された状態から設定同期が再開された場合でも、ユーザが同期先の電子黒板2Cを直接操作して設定情報を変更すること(ローカルな設定変更)を禁止できる。
【0063】
<機能について>
続いて、
図7を用いて、本実施形態の電子黒板2の機能構成について説明する。
図7は、電子黒板2の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、
図7では、同期元の電子黒板2Pと同期先の電子黒板2Cの機能が示されている。いずれにおいても設定情報の同期に関する機能が主に図示されており、電子黒板又はテレビ会議端末としての機能は省略されている。
図7の機能構成は、一時的にローカルの設定変更を可能にするための機能である。
【0064】
<電子黒板の機能構成>
<<同期元の電子黒板>>
同期元の電子黒板2Pは、操作受付部11、表示制御部12、同期設定取得部13、設定同期部14、及び、同期設定情報送信部15を有する。これら各部は、
図3に示されている各構成要素のいずれかが、SSD204からRAM203上に展開された電子黒板2用プログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。
【0065】
表示制御部12は、ディスプレイ220に各種の画面を表示する。各種の画面には、ホワイトボードの機能として描画像がディスプレイ220に表示される画面の他、予め決まったテキストデータ、図形及び画像(アイコン)等を組み合わせて表示されるアラート画面が含まれる。
【0066】
操作受付部11は、電子黒板に対する各種の操作を受け付ける。電源ボタンのようなハードキーの押下だけでなく、タッチパネルに対する描画や表示されたタッチパネルに表示されたソフトキーの押下を受け付ける。
【0067】
同期設定取得部13は、表示制御部12が表示する画面に対し入力された設定同期に関する設定を受け付け、それを設定情報として設定同期部14に記憶させる。
【0068】
設定同期部14は、設定情報を管理している。設定同期部14は、操作受付部11が受け付けた設定情報で自機の設定情報を更新する。これにより、同期先の電子黒板2Cでは同期元と設定情報を同期させることができる。
【0069】
同期設定情報送信部15は、設定同期のため、設定同期部14が管理する設定情報を決まったタイミング(管理者による設定後、起動時、決まった時刻など)で同期先の電子黒板2Cに送信する。同期先の電子黒板2Cのリストは管理者により設定されている。
【0070】
<<同期先の電子黒板の機能>>
同期先の電子黒板2Cは、操作受付部11、表示制御部12、設定制御部16、及び、同期設定情報受信部17を有する。したがって、同期設定情報受信部17と設定制御部16を有する点で同期元と異なっている。
【0071】
同期設定情報受信部17は、設定情報を同期元の電子黒板2Pから受信する。受信することまでは設定同期中か否かに関係なく行われる。設定情報は、設定制御部16を経て設定同期部14に送出される。
【0072】
設定制御部16は、受信した設定情報を解析し、設定同期の指示及び設定同期の解除の指示に応じて、設定情報の同期を開始又は終了する。設定同期の指示により設定同期中となり、設定同期の解除の指示により設定同期中でなくなる。また、設定制御部16は、設定同期の指示によりローカルな設定変更を禁止し、設定同期の解除の指示によりローカルな設定変更を許可する。なお、設定同期中でも、ローカルな設定変更を許可される場合がある。
【0073】
同期先の電子黒板2Cの設定同期部14は、設定制御部16が設定同期中と判断した場合は、同期設定情報受信部17が受信した設定情報で自機の設定情報を更新し、設定制御部が設定同期中でない判断した場合は、同期設定情報受信部17が受信した設定情報を破棄する。あるいは破棄しなくてもよいが、少なくとも自機の設定情報を更新しない。なお、設定制御部16は同期元の電子黒板2Pから送信された設定情報のタイムスタンプ(更新日時)を、管理している設定情報のタイムスタンプと比較して、同期元の電子黒板2Pから送信された設定情報の方が新しい場合にだけ、管理している設定情報を同期元の電子黒板2Pから送信された設定情報で更新する。
【0074】
図7では説明を簡略化するため同期元と同期先の機能を分けて説明しているが、同期元は同期先の機能を有し、同期先は同期元の機能を有していてよい。
【0075】
<設定情報の一例>
図8,
図9を用いて本実施形態の設定情報について説明する。
図8は設定情報の一例を示す。
図8ではXML形式で設定情報を示すがJSON形式、CSV形式、又は、その他の形式でもよい。
a.enabledタグは同期元となるか否かを示す。trueは同期元になることを、falseは同期元にならないことを意味する。同期先の電子黒板2Cから見ると、enabledタグは設定同期の指示(true)、解除(false)に対応する。したがって、trueを含む設定情報が送信されると「設定同期の指示」に相当し、falseを含む設定情報が送信されると「設定同期の解除」に相当する。
b.root_addressタグは同期元のIPアドレスである。同期先の電子黒板2Cが設定情報を同期に用いてよいかどうかを判断するために使用される。
c.addressタグは同期先の電子黒板2CのIPアドレスである。つまり、設定情報は各電子黒板2Cに共通である。
d.temporal_decontrolはローカルな設定変更が許可されているか否かを示す。trueは許可されていることを、falseは許可されていないことをそれぞれ意味する。
【0076】
図9は、同期元の電子黒板2Pの設定を管理者等がカスタマイズする際の同期設定画面601の一例を示す図である。
【0077】
同期設定画面601は「この機体の設定を他の機体に同期する」というメッセージと共に表示されるチェックボックス602、同期先リスト欄603、同期先IPアドレス入力欄604、追加ボタン605、及び、閉じるボタン606を有する。
【0078】
「この機体の設定を他の機体に同期する」というメッセージのチェックボックス602は、設定情報の同期元になる電子黒板2Pに対しオンに設定される。したがって、同期元の電子黒板2Pの指定に使用される。なお、チェックボックス602の設定はenabledタグに相当する。
【0079】
同期先リスト欄603には、同期解除用チェックボックス603a、アドレス603b、削除ボタン603cが同期先ごとに表示される。同期解除用チェックボックス603aがオンに設定された同期先は同期が解除される。アドレス603bは同期先の電子黒板2CのIPアドレスである。削除ボタン603cは、同期先リスト欄603から同期先の電子黒板2Cを削除するためのボタンである。アドレス603bの設定はaddressタグに相当し、削除ボタン603cがオンの場合、propertyタグが生成されない(設定情報は送信されない)。同期解除用チェックボックス603aがオンの場合、temporal_decontorlがtrueになる。つまり、設定情報が送信され同期先の電子黒板2Cは同期するが、ローカルな設定が可能になる。
【0080】
同期先IPアドレス入力欄604には追加したい同期先のIPアドレスが入力される。追加ボタン605は、同期先IPアドレス入力欄604に入力されたIPアドレスを同期先リスト欄603に表示するためのボタンである。閉じるボタン606は同期設定画面601を閉じるためのボタンである。
【0081】
<同期制御処理>
図8のような設定情報に基づいて同期先の電子黒板2Cが同期制御を行う手順を説明する。
図10は、同期先の電子黒板2Cが設定情報に基づいて同期制御を行う手順を示すフローチャート図の一例である。
図10の処理は例えば設定情報を受信したタイミングでスタートする。
【0082】
同期先の電子黒板2Cの設定制御部16は、受信した設定情報をパースする(S10)。パースとはXMLのような構造化テキストデータの構造を解析してテキストとテキスト間のつながりを抽出することをいう。設定情報がXML形式の場合、例えばマイクロソフト社が提供する.Netフレームワーク(登録商標)のXMLDocumentを使用することでXMLデータをパースすることができる。
【0083】
次に、設定制御部16は、自機のIPアドレスと設定情報に含まれるaddressタグのIPアドレスが一致するpropertyタグがあるか否かを判断する(S20)。つまり自機宛の設定情報があるか否かを判断する。
【0084】
ステップS20の判断がNoの場合、自機の設定情報を更新すべきでないので
図10の処理は終了する。
【0085】
ステップS20の判断がYesの場合、設定制御部16は、同期先が保持する同期元のIPアドレスとroot_addressタグの値が一致するか否かを判断する(S30)。設定情報を送信した電子黒板2が予め設定された同期元かどうかを判断するためである。
【0086】
ステップS30の判断がNoの場合、自機の設定情報の設定同期が無効か(解除されているか)どうか判断する(S60)。すなわちenabledタグがfalseかどうかを判断する。
【0087】
設定同期が有効の場合(S60のNo)、設定されていない同期元と同期すべきでないので
図10の処理は終了する。
【0088】
設定同期が無効の場合(S60のYes)、自機の設定情報の設定同期が有効であることを活かすため、root_addressタグで指定される同期元と同期させる(S70)。すなわち、同期先が保持する同期元のIPアドレスにroot_addressタグで指定されるIPアドレスを設定する。
【0089】
ステップS30の判断がYesの場合、又は、ステップS70に続いて、設定制御部16はenabledタグがtrueか否かを判断する(S40)。
【0090】
enabledタグがtrueでない場合(S40のNo)、設定同期の解除の指示なので、ステップS80が実行される。したがって、enabledタグがfalseとは設定同期を解除する旨が設定されていることを示し、設定情報を同期する旨が設定されていないことを意味する。
【0091】
設定制御部16は、設定同期部14に対し設定同期を解除させ、ローカルな設定変更を許可させる(S80)。設定同期部14は、管理している設定情報のenabledタグを「false」に設定する。これにより、設定同期が解除される。つまり、以降は設定情報が送信されても自機の設定情報を更新しない。また、管理している設定情報のtemporal_decontrolタグを「true」に設定する。これにより、ローカルな設定変更が許可される。
【0092】
このように、設定同期が解除されると、ローカルな設定変更が許可されるので、設定同期を解除することでローカルな設定変更を許可できる。
【0093】
enabledタグがtrueの場合(S40のYes)、設定同期の開始の指示なので、設定制御部16は自機のIPアドレスとaddressタグのIPアドレスが一致するpropertyタグの、temporal_decontrolタグの値がfalseか否かを判断する(S50)。したがって、enabledタグがtrueとは、設定情報を同期する旨が設定されていることを意味する。
【0094】
temporal_decontrolタグがtrueである場合(S50のNo)、ローカルな設定変更が許可されているのでステップS80が実行される。したがって、同期元から送信された設定情報のtemporal_decontrolタグがtrueであることは、設定情報の変更を受け付けることを許可する旨が設定されていることに相当する。
【0095】
このようにステップS50でNoと判断されるとステップS80が実行されるので、設定同期中でも一時的にローカルな設定変更を許可できる(設定情報の変更を受け付けることを許可する)。「一時的に」とは、設定同期中であるため次回の設定情報の送信(同期)でローカルな設定変更を禁止できることを想定している。例えば、実験的にローカルな設定変更をユーザが行いたい場合に、管理者が設定同期中であるがローカルな設定変更を許可する設定情報を同期先の電子黒板2Cに送信するような使い方が可能である。
【0096】
なお、管理者が元に戻す(設定同期中でありローカルな設定変更が禁止された状態)ための設定情報を同期先の電子黒板2Cに送信しなくても(例えば失念しても)よいように、設定同期中でありローカルな設定変更が許可された状態が継続する時間を、タイマーで制限してもよい。この場合、設定制御部16は、設定同期部14が管理する設定情報のenabled タグとtemporal_decontrolタグの値を設定同期部14から定期的に取得し、一定時間を超えてenabledタグの値がtrue、temporal_decontrolタグの値がfalseを継続した場合、temporal_decontrolタグの値をtrueに変更させる。こうすることで、管理者が設定情報を元に戻さなくても、自動的に元に戻すことができる。
【0097】
temporal_decontrolタグがfalseである場合(S50のYes)、ローカルな設定変更が禁止されているので、設定制御部16は、設定同期部14に対し設定同期を有効(設定同期中)にさせ、ローカルな設定変更を禁止させる(S90)。すなわち、設定情報の変更を受け付けることを制限する。したがって、同期元から送信された設定情報のtemporal_decontrolタグがfalseであることは、設定情報の変更を受け付けることが制限される旨が設定されていることに相当する。
【0098】
設定同期部14は、管理している設定情報のenabledタグを「true」に設定する。これにより、設定同期が有効になる。また、管理している設定情報のtemporal_decontrolタグを「false」に設定する。これにより、設定同期中のローカルな設定変更を禁止できる。
【0099】
<設定情報の変更画面>
図11,
図12を用いて、ローカルな設定変更が許可されている場合と禁止されている場合の設定情報の変更画面610を説明する。
図11はローカルな設定変更が許可されている場合の設定情報の変更画面610の一例であり、
図12はローカルな設定変更が禁止されている場合の設定情報の変更画面610の一例である。
【0100】
図11に示すように、ローカルな設定変更が許可されている場合、システム設定ボタン611、セキュリティ設定ボタン612、印刷設定ボタン613、同期設定ボタン614、動作ログの取得ボタン615、及び、不正設定変更の表示ボタン616(以下、これらのうち任意を単に「ソフトキー」という)が表示される。これにより、ソフトキーに対応する設定情報の変更が可能である。したがって、システム設定ボタン611、セキュリティ設定ボタン612、印刷設定ボタン613、同期設定ボタン614、動作ログの取得ボタン615、及び、不正設定変更の表示ボタン616は設定情報の変更を受け付けるソフトキーの一例である。
【0101】
・システム設定ボタン611は、電子黒板2のホワイトボードの機能における全体的な動作に関する設定を行うためのソフトキーである。例えば、自機のIPアドレスの設定、ポート番号の設定、アプリ起動時の手書きの色や線幅、及び、メールアドレスのアドレス帳等、の設定を受け付ける。
【0102】
・セキュリティ設定ボタン612は、起動時の認証の有無、認証する場合のパスワードの設定、及び、自機と通信可能な他の電子黒板2に関する設定等を受け付ける。
【0103】
・印刷設定ボタン613は、電子黒板2が表示する描画像データ等を印刷するプリンタに関する設定(プリンタのIPアドレス等)である。
【0104】
・同期設定ボタン614は、同期元又は同期先のどちらであるかの設定、同期先である場合は同期元の電子黒板2PのIPアドレスの設定、設定同期するか否かの設定、及び、ローカルな設定変更を許可するか否かの設定等である。
【0105】
・動作ログの取得ボタン615はログを記録するか否か、記録する場合のログの保存先等を受け付ける。
【0106】
・不正設定変更の表示ボタン616は、ローカルな設定変更が禁止されているがローカルな設定変更が試みられた場合に、その旨を表示するか否か等に関する設定を受け付ける。
【0107】
図12に示すように、ローカルな設定変更が禁止されている場合、動作ログの取得ボタン615、及び、不正設定変更の表示ボタン616だけが押下可能な態様で表示されている。
図12では、システム設定ボタン611、セキュリティ設定ボタン612、印刷設定ボタン613、及び、同期設定ボタン614はユーザが押下できない態様で表示されている。例えば、輝度が低下された状態、低コントラスト、又は、グレーなどの目立たない色で表示されている。これにより、ユーザはローカルな設定変更が禁止されている状態で選択できないソフトキーを把握できる。また、実際にシステム設定ボタン611、セキュリティ設定ボタン612、印刷設定ボタン613、及び、同期設定ボタン614が押下されても、操作受付部11は押下を受け付けない。
【0108】
このように、ローカルな設定変更が禁止されている場合は、設定を変更するユーザインタフェースでソフトキーの押下が困難になることで、ユーザが直接、電子黒板の設定を変更することを制限できる。なお、システム設定ボタン611、セキュリティ設定ボタン612、印刷設定ボタン613、及び、同期設定ボタン614は一切、表示されなくてもよい。
【0109】
図12で、動作ログの取得ボタン615の押下が可能なのは、ユーザビリティに影響がなく、ローカルな設定変更が禁止されていても設定変更が可能でよいためである。また、不正設定変更の表示ボタン616の押下が可能なのは、ローカルな設定変更が禁止されている状態で押下されるソフトキーだからである。詳細は実施例3で説明される。
【0110】
<設定情報の同期>
図13を用いて、設定情報を同期する処理について補足する。
図10では設定情報を受信した同期先の電子黒板2Cが設定同期を有効(ローカルな設定変更を禁止)、及び、同期先の電子黒板2Cが設定同期を解除する(ローカルな設定変更を許可する)処理を説明した。
図10の処理も設定情報の更新に関する処理であるが、主に、設定同期の指示と解除に限って説明されている。
図13では、その他の設定情報を同期先の電子黒板2Cが更新する手順を説明する。なお、
図13の説明では、
図10との相違を説明する。
【0111】
ステップS10~S40の処理は
図10と同様になる。ステップS402で設定制御部16は、設定同期部14が管理する設定情報のenabledタグがtrueか否かを判断する(S402)。
【0112】
管理しているenabledタグがtrueである場合(S402のYes)、設定同期中なので、設定制御部16は設定同期部14に対し管理している設定情報を受信した設定情報で更新させる(S403)。設定同期部14は管理している設定情報を受信した設定情報で更新する。
【0113】
管理しているenabledタグがfalseである場合(S402のNo)、設定同期が解除されているので、処理はステップS80に進み、設定同期が解除されローカルな設定変更が許可されたままとなる(S80)。したがって、管理しているenabledタグがfalseの場合(設定同期が無効の場合)、設定同期部14は管理している設定情報を受信した設定情報で更新しない。
【0114】
このように、設定同期部14が管理するenabledタグがtrueである場合には設定情報を同期することができ、enabledタグがfalseである場合には設定情報を同期しないように制御できる。
【0115】
<まとめ>
以上説明したように、本実施例の設定情報同期システム100は、設定同期中の場合はローカルな設定変更が禁止されているため、同期中の電子黒板の設定が他の電子黒板と異なることがなく、ユーザビリティが低下することを抑制できる。また、設定同期が解除されている場合は、ローカルな設定変更が許可されるので、一時的に設定を変更して異なるユーザビリティを体験したいといった要望に柔軟に対応できる。
【実施例2】
【0116】
本実施例では、設定同期中の同期先はローカルな設定変更が制限される旨を表示する電子黒板について説明する。
【0117】
図14は、本実施例の電子黒板2の機能ブロック図の一例である。
図14の説明では主に
図7との相違を説明する。なお、
図3のハードウェア構成を本実施例に援用する。
【0118】
本実施例では同期先の電子黒板2Cが設定変更禁止表示部18を有している。設定変更禁止表示部18は、ローカルな設定変更が禁止されている場合、設定情報の変更が制限されている旨をディスプレイ220に表示する。
【0119】
<設定変更が禁止されている旨の表示>
図15は、設定変更が禁止されている旨を同期先の電子黒板2Cが表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
図15の手順は例えば、
図11又は
図12の機器設定の変更画面610が表示される際に実行される。
【0120】
まず、ユーザが同期先の電子黒板2Cを操作して
図11又は
図12の機器設定の変更画面610を表示させる操作を行う。操作受付部11はこの操作を受け付ける(S101)。
【0121】
次に、同期先の電子黒板2Cはローカルな設定変更が禁止されているか否かを判断する(S102)。すなわち、設定同期部14が管理する設定情報に含まれるローカルな設定変更が禁止されているか否かの設定(temporal_decontrol)を設定情報から読み出す。
【0122】
禁止されていない場合(S102のNo)、表示制御部12は
図11のような機器設定の変更画面610をディスプレイ220に表示する(S103)。
【0123】
禁止されている場合(S102のYes)、設定変更禁止表示部18は、ローカルな設定変更が禁止されている旨(設定情報の変更が制限されている旨に相当)の変更禁止通知画面をディスプレイ220に表示する(S104)。変更禁止通知画面の一例を
図16に示す。
【0124】
ローカルな設定変更が禁止されている旨を表示して、機器設定の変更画面610を表示させる操作を行った画面に戻ってもよいし、表示制御部12が
図12のような機器設定の変更画面610を表示してもよい。
図12の機器設定の変更画面610さえ表示されない場合は一切の設定変更を禁止できる。
【0125】
図16は、ローカルな設定変更が制限されている旨を表示する変更禁止通知画面620の一例を示す。変更禁止通知画面620は、「現在設定同期中のため、ローカルでの設定変更はできません。」というメッセージ621、及び、続けるボタン622を有している。ユーザはメッセージ621によりローカルな設定変更ができないことを把握できる。このメッセージ621がローカルな設定変更が制限されている旨(設定情報の変更が制限されている旨)に相当する。
【0126】
続けるボタン622は変更禁止通知画面620を閉じて画面遷移を継続するためのソフトキーである。上記のように、続けるボタン622の押下により
図12の機器設定の変更画面610が表示されてもよい。
【0127】
このように、ローカルな設定変更が禁止されている場合、その旨が起動時等に表示されるので、ユーザは電子黒板2の設定を変更できないことを把握できる。
【実施例3】
【0128】
ローカルな設定変更が禁止されている場合、
図12の機器設定の変更画面610に示したように、ユーザは設定情報を変更することができない。しかし、ユーザが設定変更できない設定情報の変更を試みたことを管理者などが把握できることが好ましい。押下できない態様で表示されてりいるソフトキー、換言すると、設定変更できない設定情報に対応するソフトキーに対しユーザが押下を試みたことを以下、「不正設定変更」という。管理者は、不正設定変更を検知して、ソフトキーを非表示にしたり、逆に、ローカルな設定変更が禁止された状態でも不正設定変更されたソフトキーの押下を許可したりする設計変更が可能となる。
【0129】
本実施例では、不正設定変更が行われたことを検知して、同期元がその旨を表示する設定情報同期システム100について説明する。
【0130】
図17は、本実施例の電子黒板の機能ブロック図の一例である。
図17の説明では主に
図7との相違を説明する。なお、
図3のハードウェア構成を本実施例に援用する。
【0131】
本実施例の同期元の電子黒板2Pは、新たに不正設定変更表示部22と設定変更情報受信部21を有している。設定変更情報受信部21は、同期先から送信される設定変更情報を受信する。設定変更情報は、不正設定変更が検知された旨の情報である。詳細は
図19にて説明される。
【0132】
不正設定変更表示部22は、表示制御部12に対し、設定変更情報を受信した旨、すなわち不正設定変更が検知された旨を表示させる。
【0133】
同期先の電子黒板2Cは新たな設定変更検知部19と設定変更情報送信部20を有している。設定変更検知部19は、操作受付部11が受け付けたディスプレイ220におけるタッチ位置(座標)に基づいて同期先の電子黒板2Cで不正設定変更が行われたことを検知する。設定変更情報送信部20は不正設定変更が検知された旨を示す設定変更情報を同期元の電子黒板2Pに送信する。
【0134】
<設定変更の検知>
図18を用いて、同期先の電子黒板2Cが設定の変更を検知する手順を説明する。
図18は、同期先の電子黒板2Cが設定の変更を検知する手順を示すフローチャート図の一例である。
図18の処理は、例えば
図11又は
図12の設定情報の変更画面610が表示されるとスタートする。
【0135】
まず、設定変更検知部19はローカルな設定変更が禁止されているか否かを判断する(S301)。すなわち、設定同期部14からtemporal_decontrolタグの値を取得する。
【0136】
ローカルな設定変更が禁止されていない場合(S301のNo)、設定情報の変更は任意に可能なので
図18の処理は終了する。
【0137】
ローカルな設定変更が禁止されている場合(S301のYes)、設定変更検知部19は操作受付部11から設定情報の変更画面610でマウスクリックされた際の座標位置を取得する(S302)。タップの場合はタップ座標を取得する。
【0138】
次に、設定変更検知部19は、未検査のソフトキーがあるか否かを判断する(S303)。このソフトキーとは
図11では表示され
図12では表示されない設定情報の変更画面610の各ソフトキーである。表示制御部12からすべてのソフトキーのリストを取得し、検査処理を行なったソフトキーをリストから除外することで判断できる。このリストには各ソフトキーの位置情報(例えば、左上頂点と各ソフトキーの高さと幅)が含まれている。
【0139】
未検査のソフトキーがない場合(S303のNo)、
図18の処理は終了する。未検査のソフトキーがある場合(S303のYes)、設定変更検知部19は未検査のソフトキーの座標情報を取得する(S304)。リストから例えば、ソフトキーの左上の座標と高さと幅を表示制御部12から取得する。
【0140】
次に、マウスのクリック座標がソフトキー内であるか否かを判断する(S305)。例えば、マウスクリック座標を(x1,y1)とし、ソフトキーの左上の座標を(x2,y2)、幅と高さをw2,h2とすると、下記条件式でマウスクリック座標がソフトキー内にあるかを判断できる。マウスのクリックと称しているが、タッチパネルへのタッチが含まれる。
【0141】
(x1 >= x2 && x1 <= (x2 + w2)) && (y1 >= y2 && y1 <= (y2 + h2))
ステップS305の条件が満たされない場合、処理はステップS303に戻り、全てのソフトキーが検査される。
【0142】
ステップS305の条件が満たされた場合、設定変更検知部19は検査中のソフトキーの設定名及びマウスクリックされた日時情報を設定変更情報として記憶する(S306)。したがって、設定変更検知部19は設定変更できない設定情報に対応するソフトキーに対しユーザが押下を試みたソフトキーの設定名と日時情報を取得できる。これにより、設定変更情報送信部20は、同期元に設定変更情報を送信する。設定名は、
図11のソフトキーの名称に相当し、表示制御部12から取得することができるので、上記のリストに含まれていてよい。日時情報はOS(Operating System)から取得できる。
【0143】
<設定変更情報の一例>
図19は、設定変更情報の一例を示す。設定情報と同様にXML形式で記述されている。
a.node_addressタグは設定変更情報を送信した同期先の電子黒板2CのIPアドレスである。
b.nameタグは不正設定変更が検知されたソフトキーの設定名を示す。設定名は、人間が意味を読み取れるものでもよいし、例えば重複しない番号、記号、又はアルファベットなど(いわゆる識別情報としてのID)でもよい。
c.date_timeタグは不正設定変更が検知された日時を示す。
【0144】
したがって、同期元の電子黒板2Pは、設定変更情報に含まれるnode_addressタグにより設定情報が変更された同期先の電子黒板2Cを特定でき、nameタグにより変更が試みられた設定名を特定でき、date_timeタグにより変更が試みられた日時を特定できる。
【0145】
<動作手順>
図20を用いて、設定情報が変更されたことを同期元の電子黒板2Pが表示する手順を説明する。
図20は、設定情報が変更されたことを同期元の電子黒板2Pが表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
図20の処理は例えば設定情報の変更画面610で不正設定変更の表示ボタン616が押下されるとスタートする。
【0146】
同期元の設定変更情報受信部21は設定変更情報を受信すると保持しておく。不正設定変更の表示ボタン616が押下されると不正設定変更表示部22が設定変更情報をパースする(S201)。
【0147】
次に、不正設定変更表示部22はパースした設定変更情報に基づいて表示する不正変更情報を作成する(S202)。
【0148】
不正設定変更表示部22は、表示制御部12を介して不正変更情報が表示される不正変更情報表示画面をディスプレイ220に表示する(S203)。
図21に、不正変更情報表示画面の一例を示す。このように、
図11又は
図12の設定情報の変更画面610で不正設定変更の表示ボタンを押下されると、不正設定変更表示部22は、不正変更情報表示画面を表示できる。
【0149】
図21は、不正変更情報表示画面630の一例を示す。不正変更情報表示画面630は、
「同期先:10.10.10.3で以下の不正な設定変更が試みられました。」というメッセージ631、「システム設定(2018-02-02 18:30:20) セキュリティ設定(2018-02-02 18:30:30)」という詳細情報632を有している。メッセージ631と詳細情報632が不正変更情報である。メッセージ631は、ユーザが押下できない態様で表示されたソフトキーに対する押下が試みられた旨の一例である。
【0150】
このように、不正な設定変更が行われた同期先と、日時、及び、どのソフトキーが押下されたかを表示することができるので、管理者は不正な設定変更がどのような内容かを把握できる。また、日時から不正な設定変更を行ったユーザを特定しやすくなる。
【実施例4】
【0151】
本実施例では、設定情報同期システム100において、電子黒板の代わりに、画像投影装置を用いた点が、実施例1~3と相違する。よって、本実施例では、実施例1~3との相違点についてのみ説明し、実施例1~3と同様の機能構成を有するものには、実施例1~3の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0152】
図22は、本実施例の設定情報同期システム100を説明する図である。
図22に示す設定情報同期システム100は、画像投影装置(プロジェクタ)700とサーバ装置300とを有する。
【0153】
画像投影装置700は、例えば、画像投影装置700と接続された端末装置から入力された画像データを、スクリーン800に投影する。スクリーン800は、例えば、ホワイトボードや壁面等が代用されても良く、ディスプレイ220に相当するものとなる。
【0154】
また、画像投影装置700は、電子ペンや利用者の手等の動作を検出することで、スクリーン800に対する手書き入力を検出し、スクリーン800にストローク画像を投影させる。
【0155】
また、画像投影装置700は、例えば、スクリーン800に表示された保存ボタン285が操作されると、スクリーン800に投影されている画像の画像データを、重畳画像データとして取得し、サーバ装置300へ送信する。画像投影装置700からサーバ装置300へ送信される画像データには、手書き入力されたストローク画像も含まれる。
【0156】
また、本実施形態の画像投影装置700は、電子黒板2と同様に、取得した重畳画像データから重要事項情報の抽出を行う。
【0157】
なお、画像投影装置700は、例えば、保存ボタン285が操作された場合に、サーバ装置300にページデータを送信する以外に、例えば、USBメモリ等の可搬型の記録媒体にページデータを出力し、保存させても良い。
【0158】
以上のように、本実施例では、画像投影装置700とサーバ装置300のシステムにおいても、設定情報を同期できる。
【0159】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0160】
また、
図7などの構成例は、電子黒板2による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。電子黒板2の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0161】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0162】
なお、設定同期部14は設定情報同期手段の一例であって、操作受付部11は操作受付手段の一例であって、設定制御部16は設定制御手段の一例であって、設定変更検知部19は設定変更検知手段の一例であり、設定変更情報送信部20は設定変更送信手段の一例であり、同期元の電子黒板2Pの操作受付部11は第1の操作受付手段の一例であり、設定変更禁止表示部18は設定変更制限表示手段の一例であり、表示制御部12は表示制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0163】
2 電子黒板
11 操作受付部
12 表示制御部
13 同期設定取得部
14 設定同期部
15 同期設定情報送信部
16 設定制御部
17 同期設定情報受信部
18 設定変更禁止表示部
19 設定変更検知部
20 設定変更情報送信部
21 設定変更情報受信部
22 不正設定変更表示部
100 設定情報同期システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0164】