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特許7020852携帯端末、位置確認装置、位置確認システム、位置特定プログラム、位置確認プログラム、位置特定方法および位置確認方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】携帯端末、位置確認装置、位置確認システム、位置特定プログラム、位置確認プログラム、位置特定方法および位置確認方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72457 20210101AFI20220208BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20220208BHJP
   G01S 19/48 20100101ALI20220208BHJP
   H04M 1/73 20060101ALI20220208BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220208BHJP
   G01S 5/10 20060101ALN20220208BHJP
【FI】
H04M1/72457
G01S5/02 A
G01S19/48
H04M1/73
H04M11/00 301
G01S5/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017199145
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2019075647
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】野田 光彦
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-134760(JP,A)
【文献】特開2012-221267(JP,A)
【文献】特開2005-284546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 11/00
H04M 1/73
G01S 5/02
G01S 19/48
G01S 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録部と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定部と、
前記第1の方式、または、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が前記設定部により設定した前記安全範囲内の場合、引き続き前記第1の方式により位置を特定し、特定した位置が前記安全範囲から逸脱した場合、前記第2の方式により位置を特定する特定部と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録部と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定部と、
ユーザが携帯する携帯端末が前記第1の方式により特定した前記携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報が示す位置が前記設定部により設定した安全範囲から逸脱した場合、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、前記携帯端末に送信する送信部と、
を備える位置確認装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記安全範囲にユーザの高低位置を含めた位置を設定し、
前記取得部は、前記第1の方式により特定した前記携帯端末の高低位置を含めた位置に関する位置情報を取得する
請求項2に記載の位置確認装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記場所の情報、および、位置を特定するための複数の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる複数の安全範囲であって、前記第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる第1の安全範囲と、前記第1の安全範囲よりも段階的に狭くなる少なくとも一つの安全範囲とを含む前記複数の安全範囲を設定する設定部と、
前記位置情報が示す位置が前記複数の安全範囲内において狭い安全範囲から広い安全範囲に逸脱した場合、より大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための方式への切り換えを指示する切換指示を、前記携帯端末に送信し、前記位置情報が示す位置が前記第1の安全範囲外に逸脱した場合、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、前記携帯端末に送信する請求項2または請求項3に記載の位置確認装置。
【請求項5】
前記登録部は、通知用の連絡先に関する情報をさらに登録し、
前記送信部は、前記位置情報が示す位置が前記設定部により設定した安全範囲から逸脱した場合、前記ユーザが安全範囲から逸脱した旨を前記連絡先に送信する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の位置確認装置。
【請求項6】
請求項1に記載の携帯端末と、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の位置確認装置と、を備える位置確認システム。
【請求項7】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定工程と、
前記第1の方式、または、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が前記設定工程により設定した前記安全範囲内の場合、引き続き前記第1の方式により位置を特定し、特定した位置が前記安全範囲から逸脱した場合、前記第2の方式により位置を特定する特定工程と、
をコンピュータに実行させる位置確認プログラム。
【請求項8】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定工程と、
前記ユーザが携帯する携帯端末が前記第1の方式により特定した前記携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得工程と、
前記位置情報が示す位置が前記設定工程により設定した安全範囲から逸脱した場合、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、前記携帯端末に送信する送信工程と、
をコンピュータに実行させる位置確認プログラム。
【請求項9】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定工程と、
前記第1の方式、または、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が前記設定工程により設定した前記安全範囲内の場合、引き続き前記第1の方式により位置を特定し、特定した位置が前記安全範囲から逸脱した場合、前記第2の方式により位置を特定する特定工程と、
を含む位置確認方法。
【請求項10】
イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、
前記場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定し、ユーザの移動手段が徒歩の場合に前記安全範囲を広げる設定工程と、
前記ユーザが携帯する携帯端末が前記第1の方式により特定した前記携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得工程と、
前記位置情報が示す位置が前記設定工程により設定した安全範囲から逸脱した場合、前記第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、前記携帯端末に送信する送信工程と、
を含む位置確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、位置確認装置、位置確認システム、位置特定プログラム、位置確認プログラム、位置特定方法および位置確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)と無線技術を用いて、人の位置を特定する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の技術を用いれば、徘徊する人の位置を特定でき、保護者に位置を通知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-357268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、人が携帯する携帯端末にGPS受信機を備えておき、常に位置を検出するので、携帯端末の消費電力が大きい。これでは、肝心な時に携帯端末の電池切れとなり、人の位置が特定できない場合がある。特に、近年では、スマートフォンのように、通話機能だけでなく様々な機能を有する携帯端末が一般的であり、そのような携帯端末に上記の位置特定機能が組み込まれることが考えられる。この種の携帯端末においては、GPS受信機以外にも電力が消費されるため、位置特定機能のための電力消費が低減されることが望まれる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、消費電力が比較的大きな位置特定方式のみにより位置を特定する場合に比べて、消費電力を低減しつつ位置も特定できる携帯端末、位置確認装置、位置確認システム、位置特定プログラム、位置確認プログラム、位置特定方法および位置確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る携帯端末は、位置を特定するための第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式の切換を指示する切換指示を受信する受信部と、受信部により受信した切換指示に従って、第1の方式または第2の方式により、自身の位置を特定する特定部と、備える。
【0008】
(2)本発明に係る位置確認装置は、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録部と、場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定部と、ユーザが携帯する携帯端末が第1の方式により特定した携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得部と、位置情報が示す位置が設定部により設定した安全範囲から逸脱した場合、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、携帯端末に送信する送信部と、を備える。
【0009】
(3)位置確認装置において、登録部は、通知用の連絡先に関する情報をさらに登録し、送信部は、位置情報が示す位置が設定部により設定した安全範囲から逸脱した場合、ユーザが安全範囲から逸脱した旨を連絡先に送信する。
【0010】
(4)本発明に係る位置確認システムは、上記(1)の携帯端末と、上記(2)または(3)の位置確認装置と、を備える。
【0011】
(5)本発明に係る携帯端末は、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録部と、
【0012】
場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定部と、第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が設定部により設定した安全範囲内の場合、引き続き第1の方式により位置を特定し、特定した位置が安全範囲から逸脱した場合、第2の方式により位置を特定する特定部と、を備える。
【0013】
(6)本発明に係る位置特定プログラムは、位置を特定するための第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式の切換を指示する切換指示を受信する受信工程と、受信工程において受信した切換指示に従って、第1の方式または第2の方式により、自身の位置を特定する特定工程と、をコンピュータに実行させる。
【0014】
(7)本発明に係る位置確認プログラムは、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定工程と、ユーザが携帯する携帯端末が第1の方式により特定した携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得工程と、位置情報が示す位置が設定工程により設定した安全範囲から逸脱した場合、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、携帯端末に送信する送信工程と、をコンピュータに実行させる。
【0015】
(8)本発明に係る位置確認プログラムは、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定工程と、第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が設定工程により設定した安全範囲内の場合、引き続き第1の方式により位置を特定し、特定した位置が安全範囲から逸脱した場合、第2の方式により位置を特定する特定工程と、をコンピュータに実行させる。
【0016】
(9)本発明に係る位置特定方法は、位置を特定するための第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式の切換を指示する切換指示を受信する受信工程と、受信工程において受信した切換指示に従って、第1の方式または第2の方式により、自身の位置を特定する特定工程と、を含む。
【0017】
(10)本発明に係る位置確認方法は、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定工程と、ユーザが携帯する携帯端末が第1の方式により特定した携帯端末の位置に関する位置情報を取得する取得工程と、位置情報が示す位置が設定工程により設定した安全範囲から逸脱した場合、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式への切り換えを指示する切換指示を、携帯端末に送信する送信工程と、を含む。
【0018】
(11)本発明に係る位置確認方法は、イベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する登録工程と、場所の情報、および、位置を特定するための第1の方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザの位置として特定されうる安全範囲を設定する設定工程と、第1の方式、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するための第2の方式により、自身の位置を特定する特定部であって、第1の方式により特定した位置が設定工程により設定した安全範囲内の場合、引き続き第1の方式により位置を特定し、特定した位置が安全範囲から逸脱した場合、第2の方式により位置を特定する特定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1の方式と、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定する第2の方式とを、切り換えて使用するので、第2の方式のみにより位置を特定する場合に比べて、消費電力を低減し、位置を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る位置確認システムの概略構成を示す図である。
図2】携帯端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】位置確認装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】携帯端末の機能構成の例を示すブロック図である。
図5】位置確認装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図6】位置確認システムにおける位置確認の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7】基本情報の入力画面の一例を示す図である。
図8】イベントの入力画面の一例を示す図である。
図9】イベント中の安全範囲を示す画面の一例を示す図である。
図10】携帯端末の位置特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】位置確認装置の位置確認処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】ユーザが安全範囲を逸脱した様子を示す画面の一例を示す図である。
図13】第2実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図14】段階的な安全範囲が設定される様子の一例を示す図である。
図15】第3実施形態に係る携帯端末の機能構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
(第1実施形態)
【0023】
図1は、本実施形態に係る位置確認システムの概略構成を示す図である。
【0024】
位置確認システム1は、携帯端末10と、位置確認装置20とを有する。
【0025】
携帯端末10は、少なくとも二つの方式に基づく信号を切換可能に受信し、受信した信号により位置を特定できる。本実施形態では、携帯端末10は、第1の方式としてLPWA(Low Power Wide Area)技術を用いる方式、および第2の方式としてGPS技術を用いる方式により、自身の位置を特定できる。携帯端末10は、LPWA技術を用いる場合は、三つの基地局90から信号を受信し、信号の受信時間の時間差から、位置を特定する。携帯端末10は、GPS技術を用いる場合、三つ以上の衛星95からの信号を受信し、各衛星95からの距離により位置を特定する。本実施形態では、携帯端末10は、ユーザAに携帯されているものとする。
【0026】
位置確認装置20は、携帯端末10が特定した位置を、携帯端末10から受信し、ユーザAの位置を確認する。位置確認装置20は、ユーザAの位置が安全範囲30内かどうか確認し、必要に応じて、ユーザAの保護者や連絡先に指定されている相手であるユーザBに連絡する。本実施形態では、ユーザBはユーザ端末40を有しており、位置確認装置20は、必要に応じて、ユーザ端末40と通信を行う。安全範囲30の設定など、位置確認装置20の具体的な動作については後述する。また、位置確認装置20は、上記の二つの方式のいずれの方式に基づいて携帯端末10が信号を受信するかの切換を制御する。当該切換の動作の詳細についても、後述する。
【0027】
次に、携帯端末10および位置確認装置20のハードウェア構成について説明する。
【0028】
図2は携帯端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、携帯端末10は、コンピュータとしての機能を有し、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、表示部15、通信インタフェース(I/F:Interface)16、LPWAモジュール17およびGPS受信機18を有する。各構成は、バスを通じて互いに通信可能に接続されている。
【0030】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御や各種の演算処理を行う。ROM12またはストレージ14には、携帯端末10の位置を特定する位置特定プログラムが格納されている。
【0031】
ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。
【0032】
RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0033】
ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。
【0034】
表示部15は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部15は、タッチパネル方式を採用して、各種の入力を受け付ける。表示部15とは別に、各種の入力のためのポインタデバイスおよびキーボードなどの入力装置が接続されてもよい。
【0035】
通信インタフェース16は、位置確認装置20等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0036】
LPWAモジュール17は、LPWA方式に基づく信号を少なくとも三つの基地局90から受信し、信号の到着時間差から、携帯端末10の位置を特定する。LPWAモジュール17は、いかなる規格のLPWA方式を採用してもよい。LPWAモジュール17により位置を特定する場合、基地局90からの信号を反射したり遮ったりする障害物が比較的少ない郊外では、位置の特定精度は、たとえば、30m~50mである。障害物が多い都市部では、位置の特定精度は、たとえば、150m~200mである。
【0037】
GPS受信機18は、GPS方式に基づく信号を少なくとも三つの衛星95から受信し、信号の到着時間差から、携帯端末10の位置を特定する。GPS受信機18により位置を特定する場合、位置の特定精度は、たとえば、3~10mである。このように、GPS方式を利用するGPS受信機18の方が、LPWA方式を利用するLPWAモジュール17よりも、高精度に携帯端末10の位置を特定できる。その反面、GPS方式を利用するGPS受信機18の方が、LPWA方式を利用するLPWAモジュール17よりも、消費電力が大きい。
【0038】
図3は位置確認装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように、位置確認装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、ストレージ24、操作部25、表示部26および通信インタフェース27を有する。各構成は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0040】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御や各種の演算処理を行う。ROM22またはストレージ24には、携帯端末10の位置を確認する位置確認プログラムが格納されている。
【0041】
ROM22は、各種プログラムや各種データを格納する。
【0042】
RAM23は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0043】
ストレージ24は、HDDやSSDにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。
【0044】
操作部25は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0045】
表示部26は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、操作部25として機能しても良い。
【0046】
通信インタフェース27は、携帯端末10およびユーザ端末40等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0047】
次に、携帯端末10および位置確認装置20の機能構成について説明する。
【0048】
図4は、携帯端末の機能構成の例を示すブロック図である。
【0049】
図4に示すように、携帯端末10は、機能構成として、受信部101および特定部102を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された位置特定プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0050】
受信部101は、位置を特定するためのLPWA方式(第1の方式)またはGPS方式(第2の方式)の切換を指示する切換指示を受信する。CPU11は、通信インタフェース16を介して切換指示を受信することにより、受信部101としての機能を実現する。切換指示は、後述するように、位置確認装置20から送信される。
【0051】
特定部102は、受信部101により受信した切換指示に従って、LPWA方式(第1の方式)またはGPS方式(第2の方式)により、携帯端末10の位置を特定する。特定部102は、デフォルトとして、LPWA方式により携帯端末10の位置を特定する。そして、受信部101が切換指示を受信した場合は、特定部102は、GPS方式により位置を特定する。
【0052】
図5は、位置確認装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0053】
図5に示すように、位置確認装置20は、機能構成として、登録部201、設定部202、取得部203および送信部204を有する。各機能構成は、CPU21がROM22またはストレージ24に記憶された位置確認プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0054】
登録部201は、ユーザAがイベントが実行される場所の情報を含むイベント情報を登録する。イベントとは、たとえば、ユーザAが老人の場合、通院すること、またはデイケアに行くこと等である。あるいは、ユーザAが子供の場合、イベントとは、登校すること、または習い事に行くこと等である。通院や登校など、ある場所から別の場所に行く移動を含むイベントの場合、イベント情報には、ユーザAがイベントを実行する場所の情報として、移動経路を示す情報が含まれる。
【0055】
設定部202は、イベントが実行される場所の情報、および、LPWA方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザAの位置として特定されうる安全範囲30を設定する。すなわち、設定部202は、図1に示すように、イベントが実行される場所Pから、LPWA方式による位置の特定精度(たとえば、郊外であれば50m)の大きさだけ拡大した範囲を、安全範囲30として設定する。したがって、イベント中は、LPWA方式により特定される携帯端末10の位置が、イベントの実行場所からズレていても安全範囲30内であれば、精度による誤差範囲と確認可能となる。イベント情報に移動経路が含まれる場合は、移動経路を特定精度の大きさだけ拡大した範囲が、安全範囲30として設定される。詳細については、後述する。
【0056】
取得部203は、ユーザAが携帯する携帯端末10が特定した携帯端末10の位置に関する位置情報を取得する。
【0057】
送信部204は、携帯端末10から取得した位置情報が示す位置が設定部202により設定した安全範囲30外に出た場合、LPWA方式からGPS方式への切り換えを指示する切換指示を、携帯端末10に送信する。また、送信部204は、携帯端末10から取得した位置情報が示す位置が設定部202により設定した安全範囲30外に出た場合、ユーザAが安全範囲30から逸脱した旨をユーザBの事前登録されている連絡先に送信する。
【0058】
次に、位置確認システム1の携帯端末10および位置確認装置20間のデータ等の送受信について説明する。
【0059】
図6は、位置確認システムにおける位置確認の流れの一例を示すシーケンス図である。図7は、基本情報の入力画面の一例を示す図である。図8は、イベントの入力画面の一例を示す図である。図9は、イベント中の安全範囲を示す画面の一例を示す図である。
【0060】
携帯端末10は、ユーザAによる基本情報の入力を受け付ける(ステップS101)。基本情報の受け付けは、たとえば、図7に示すような画面において行われる。図7に示すように、位置の確認の対象となるユーザAの情報が本人情報として入力される。入力情報としては、ユーザAの氏名、年齢、住所、電話番号がある。さらに、ユーザAの位置を確認するユーザBの情報が保護者情報として入力される。入力情報としては、ユーザBの氏名、年齢、住所、電話番号および電子メールアドレスがある。電子メールアドレスは、ユーザAが安全範囲30から逸脱した場合に、その旨を送信する連絡先となる。さらに、ユーザAの基本的な行動場所となる各施設の住所も登録可能である。図7に示す例では、自宅に加えて、病院とデイケアセンターの住所も登録されている。各施設は、住所に基づいて、「市街地」か「郊外」かの属性が付与される。属性の付与は、手動で入力されてもよいし、住所に基づいて自動で付与されてもよい。
【0061】
図6に戻って、位置確認装置20は、ステップS101において受け付けられた基本情報を登録する(ステップS102)。ここまでは、事前の準備であり、以下が、位置確認方法の具体的な流れとなる。
【0062】
携帯端末10は、スケジュールを受け付ける(ステップS103)。スケジュールの受け付けは、たとえば、図8に示すような画面において行なわれる。図8に示すように、スケジュールは、たとえば、日毎に入力され、一または複数のイベントを含む。例示の一つ目のイベントは、通院であり、9時から11時に、自宅からA病院の間で行なわれる。通院の際の移動手段は徒歩として設定されている。また、二つ目のイベントは、デイケアであり、12時から18時に、自宅とBセンターの間で行なわれる。デイケアの際の移動手段は車として設定されている。
【0063】
図6に戻って、位置確認装置20は、ステップS103において受け付けられたスケジュールを登録する(ステップS104)。
【0064】
位置確認装置20は、登録したスケジュールに基づいて、各イベントの安全範囲を設定し、ストレージ24に記憶する(ステップS105)。具体的には、位置確認装置20は、イベントを実行するためにユーザAが存在しうる場所を特定する。たとえば、図7に示す通院イベントの場合、ユーザAが存在しうる場所は、自宅と、自宅からA病院までの経路と、A病院とである。したがって、位置確認装置20は、自宅と、自宅からA病院までの経路と、A病院とについて、それぞれ、LPWA方式の位置の特定精度に基づく安全範囲を設定する。概念的には、図9に示すように、自宅MからA病院Hまでの経路を囲む安全範囲30が設定される。これにより、LPWA方式の位置の特定精度(たとえば50m)により、実際のユーザAの位置と携帯端末10によりLPWA方式で特定した位置とに50mの誤差があっても、ユーザAが自宅MからA病院Hまでの経路上にいれば、ユーザAの位置が安全範囲30から逸脱することはない。なお、図9に示す例では、自宅MおよびA病院Hはいずれも、「郊外」に位置し、途中の経路も「郊外」のため、半径50mの安全範囲が設定されている。しかし、イベントの実行場所または経路に市街地が含まれる場合、市街地に該当する場所は、LPWA方式による位置の特定精度が低くなるため、安全範囲がより大きく設定される。たとえば、市街地に該当する場合については、半径150m~200mの安全範囲が設定される。
【0065】
図6に戻って、携帯端末10は、LPWA方式またはGPS方式により携帯端末10の位置を特定して、位置確認装置20に送信する(ステップS106)。上述のように、携帯端末10は、デフォルトではLPWA方式により位置を特定する。携帯端末10は、位置確認装置20から切換指示を受信した場合には、GPS方式に切り換える。携帯端末10の位置特定処理の詳細な流れについては、図10を参照しつつ、後述する。
【0066】
位置確認装置20は、携帯端末10から位置情報を受信し、スケジュールのイベント毎に設定した安全範囲30に基づいて、ユーザAがイベントにおける安全範囲から逸脱しないか監視する(ステップS107)。位置確認装置20の位置確認処理の詳細な流れについては、図11を参照しつつ、後述する。
【0067】
図10は、携帯端末の位置特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。位置特定処理は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された位置特定プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0068】
CPU11は、LPWA方式に基づく信号を基地局90から受信し、携帯端末10の位置を特定する(ステップS201)。そして、CPU11は、特定した位置を示す位置情報を位置確認装置20に送信する(ステップS202)。
【0069】
CPU11は、GPS方式に基づく信号を受信することを指示する切換指示を位置確認装置20から受信したかどうか判断する(ステップS203)。切換指示を受信しない場合(ステップS203:NO)、CPU11は、引き続きLPWA方式により位置を特定するため、ステップS201の処理に戻る。
【0070】
切換指示を受信した場合(ステップS203:YES)、CPU11は、LPWA方式に基づく信号の受信を止め、GPS方式に基づく信号を衛星95から受信し、携帯端末10の位置を特定する(ステップS204)。そして、CPU11は、特定した位置を示す位置情報を位置確認装置20に送信する(ステップS205)。
【0071】
CPU11は、LPWA方式に基づく信号を受信することを指示する切換指示を位置確認装置20から受信したかどうか判断する(ステップS206)。切換指示を受信しない場合(ステップS206:NO)、CPU11は、引き続きGPS方式により位置を特定するため、ステップS204の処理に戻る。
【0072】
切換指示を受信した場合(ステップS206:YES)、CPU11は、GPS方式に基づく信号の受信を止め、ステップS201に戻り、LPWA方式に基づく信号を基地局90から受信する。
【0073】
以上のように、携帯端末10は、GPS方式に基づく信号を受信することを指示する切換指示を受信するまでは、LPWA方式により自身の位置を特定し、以降は、切換指示を受信する度に、GPS方式またはLPWA方式を切り換えて、信号を受信する。LPWA方式を採用する間は、GPS方式よりは位置の特定精度が低いものの、小さい消費電力により位置を特定できる。逆に、GPS方式を採用する間は、LPWA方式よりは消費電力が大きいものの、高い位置の特定精度により位置を特定できる。
【0074】
図11は、位置確認装置の位置確認処理の流れの一例を示すフローチャートである。位置確認処理は、CPU21がROM22またはストレージ24に記憶された位置確認プログラムを読み出し、実行することにより実現される。図12は、ユーザが安全範囲を逸脱した様子を示す画面の一例を示す図である。
【0075】
CPU21は、上述したステップS104において登録したスケジュールを確認し、その中のいずれかのイベントの開始時間になったかを確認する(ステップS301)。イベントの開始時間ではない場合(ステップS301:NO)、CPU21は、イベントの開始時間になるまで待機する。
【0076】
イベントの開始時間になった場合(ステップS301:YES)、CPU21は、開始されるイベントに対して上述したステップS105において設定した安全範囲を、ストレージ24等から読み出す(ステップS302)。
【0077】
CPU21は、携帯端末10から位置情報を受信し(ステップS303)、位置情報に基づく位置が安全範囲内かどうか判断する(ステップS304)。安全範囲内の場合(ステップS304:YES)、CPU21は、イベントの終了時間になったかを確認する(ステップS305)。イベントの終了時間になっていない場合(ステップS305:NO)、CPU21は、ステップS304の処理に戻る。イベントの終了時間になった場合(ステップS305:YES)、CPU21は、位置確認処理を終了する。
【0078】
一方、位置情報に基づく位置が安全範囲内ではない場合(ステップS304:NO)、CPU21は、ユーザAが安全範囲から逸脱したことをユーザBに通知する(ステップS306)。ユーザBへの通知は、図7に示す基本情報として予め入力されている宛て先に対して行なう。たとえば、ユーザBのメールアドレスに対して、安全範囲から逸脱したことを示すメッセージが送信される。ユーザBは、ユーザ端末40において、位置確認装置20からのメッセージを確認できる。メッセージには、位置確認装置20のストレージ24にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)が付加され、ユーザBがURLにアクセスすることによって、一例として、図12に示す画面を、ユーザ端末40に表示してもよい。これにより、ユーザAの現在位置を地図上で確認でき、また安全範囲からどの程度逸脱しているのかも確認できる。画面には、ユーザAの位置をアイコンにより示し、さらに「安全範囲から逸脱中」などの警告メッセージ300も表示できる。
【0079】
CPU21は、さらに、GPS方式に基づく信号を受信することを指示する切換指示を、携帯端末10に送信する(ステップS307)。CPU21は、携帯端末10から位置情報を受信する(ステップS308)。
【0080】
CPU21は、受信した位置情報が示す位置が、安全範囲内に戻ったかどうか判断する(ステップS309)。安全範囲内に戻った場合(ステップS309:YES)、CPU21は、LPWA方式に基づく信号を受信することを指示する切換指示を、携帯端末10に送信する(ステップS310)。そして、CPU21は、ステップS305の処理に進む。
【0081】
一方、ユーザAの位置が安全範囲内に戻っていない場合(ステップS309:NO)、CPU21は、イベントの終了時間になったかを確認する(ステップS311)。イベントの終了時間になっていない場合(ステップS311:NO)、CPU21は、ステップS308の処理に戻る。イベントの終了時間になった場合(ステップS311:YES)、CPU21は、位置確認処理を終了する。
【0082】
以上のような第1実施形態の位置確認システム1によれば、GPS受信機18のみにより位置を特定する場合に比べて、LPWAモジュール17とGPS受信機18を切り換えて使用する分、消費電力を低減しつつ、位置も特定できる。
【0083】
特に、第1実施形態の位置確認システム1によれば、イベント毎に安全範囲を設定する。安全範囲は、LPWA方式の位置の特定精度に基づいて、位置の特定に間違いがあっても特定精度内であれば、ユーザAがイベントが実行される場所にいることを確認できる。したがって、むやみに高精度で消費電力が大きいGPS方式に切り換えられることがない。一方、LPWA方式の位置の特定精度を考慮したとしても、異常なユーザAの位置が特定された場合には、GPS方式に切り換えるため、より正確にユーザAの位置を確認でき、その後の対応が容易となる。
【0084】
加えて、安全範囲からユーザAが逸脱した場合、その旨をユーザBに通知できるので、保護者であるユーザBがすぐにユーザAの異変を察知できる。
【0085】
なお、上記実施形態においては、ステップS101の基本情報の受け付けおよびステップS103のスケジュールの受け付けは、携帯端末10において行なわれる場合について説明した。スケジュールは、ユーザAが自分自身で登録してもよいし、保護者等のユーザBが登録するようにしてもよい。あるいは、予めキーワード等を携帯端末10に登録しておくことにより、キーワードに関連するイベントがスケジュールとして登録されてもよい。たとえば、ユーザAが「ゴッホ」に興味がある場合、「ゴッホ」というキーワードを登録しておけば、近郊で開催される印象派の絵画展のスケジュールが自動的に登録されてもよい。
【0086】
また、ステップS101の基本情報の受け付けおよびステップS103のスケジュールの受け付けは、携帯端末10ではなく、位置確認装置20において直接受け付けられてもよい。たとえば、ユーザAまたはユーザBが位置確認装置20にアクセスして、基本情報およびスケジュールを直接入力してもよい。あるいは、基本情報の受け付けおよびスケジュールの受け付けは、ユーザBのユーザ端末40において行なわれてもよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、安全範囲は、イベントごとの移動手段(たとえば、徒歩あるいは車など)とは特に関連付けられていなかった。しかし、移動手段を考慮して、安全範囲を設定してもよい。たとえば、移動手段が徒歩の場合、ユーザAが考え事等をしていて、うっかり予定の経路を通り過ぎることも考えられる。それでも、ユーザAは、普段から良く行く場所であれば、すぐに気づき予定の経路に戻る。このような状況を想定して、移動手段が徒歩の場合、安全範囲をLPWA方式による位置の特定精度に基づく範囲からさらに広くしてもよい。また、移動手段が車または電車の場合、ユーザAがバスまたは電車などの交通機関を使用することが考えられる。この場合、ユーザAが予定の経路から外れることはないので、安全範囲はLPWA方式による位置の特定精度に基づく範囲から変更しない。なお、移動手段については、図8に示すように、スケジュールの入力の際に入力しなくても、たとえば、特開2014-66638号公報の技術を用いて、加速度センサや地磁気センサにより自動的に特定することもできる。この場合、携帯端末10において加速度センサや地磁気センサによりユーザAの移動手段を特定し、移動手段を示す情報を位置確認装置20に送信する。位置確認装置20は、受信した移動手段を示す情報に基づいて、安全範囲を補正できる。
【0088】
また、上記実施形態においては、平面的な位置のみを考慮している。しかし、たとえば、携帯端末10に気圧センサを設け、気圧センサに基づいてユーザAの高低位置を検出し、位置確認装置20に送信してもよい。マンション等の高い建物では、平面的には安全範囲内に見えても、実際は安全範囲から逸脱している場合がある。このような場合でも、気圧センサにより高低位置を検出すれば、高低位置に対する安全範囲からの逸脱を確認し、ユーザBに報告できる。
【0089】
また、上記実施形態では、第2の方式として、GPS方式を用いる場合について説明しているが、これに限定されない。GPS方式は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例であり、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、準天頂衛星(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)等のいかなる衛星測位システムを用いてもよい。
【0090】
(第2実施形態)
【0091】
上記の第1実施形態においては、LPWA方式およびGPS方式の二つの方式による位置の特定を利用する例について説明した。第2実施形態では、三つ以上の方式による位置の特定を利用する例について説明する。第2実施形態では、LPWA方式およびGPS方式に、携帯端末10が有する加速度センサを用いる方式を加えて、三つの位置特定方式により位置を特定する。そして、段階的に、精度の低い位置特定方式から精度の高い位置特定方式を用いる。より詳細に説明する。
【0092】
図13は、第2実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図14は、段階的な安全範囲が設定される様子の一例を示す図である。
【0093】
図13に示すように、第2実施形態の携帯端末10は、図2に示す構成に加えて、加速度センサ19を有する。加速度センサ19以外の構成については、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0094】
加速度センサ19は、携帯端末10の移動を検出する。CPU11は、LPWAモジュール17またはGPS受信機18により特定された位置を起点として、加速度センサ19により検出された位置を累積していくことにより、携帯端末10の位置を特定できる。加速度センサ19を用いる方式を、以下では、単に加速度センサ方式という。加速度センサ方式では、加速度センサ19の検出結果を累積していくため誤差が大きくなる。したがって、加速度センサ方式は、LPWA方式およびGPS方式よりも、位置の特定精度が低い。その一方で、加速度センサ方式であれば、基地局90または衛星95から信号を受信する必要がないため、LPWA方式よりも消費電力が小さい。
【0095】
第2実施形態では、上記の三つの位置特定方式を用い、位置の特定精度が低いものから高いものの順に、すなわち、消費電力が小さいものから大きなものの順に、位置を特定する方式を切り換えることができる。位置の特定精度が低いものから高いものの順として、加速度センサ方式、LPWA方式、GPS方式の順に、位置を特定する方式を切り換えられる。
【0096】
この場合、たとえば、図14に示すように、第1の安全範囲32および第2の安全範囲34の二重の安全範囲を設定できる。第1の安全範囲32は、加速度センサ方式による位置の特定精度に基づいて設定される。第2の安全範囲34は、LPWA方式による位置の特定精度に基づいて設定される。加速度センサ方式による位置の特定精度の方が低いため、第1の安全範囲32の方が、第2の安全範囲34よりも大きく設定されている。
【0097】
位置確認装置20は、デフォルトとして、携帯端末10から、加速度センサ方式により特定された位置を示す位置情報を受信する。位置情報に示される位置が、第1の安全範囲32から逸脱した場合、位置確認装置20は、携帯端末10に、LPWA方式による位置の特定に切り換えるように切換指示を送信する。これに伴い、携帯端末10は、LPWA方式により位置を特定して、位置情報を位置確認装置20に送信する。加速度センサ方式からLPWA方式に切り換えを指示することによって、位置確認装置20は、より確かな携帯端末10の位置(ユーザAの位置)を確認でき、より確かにユーザAが、イベントの実行場所にいるかどうか判断できる。位置情報に示される位置が、さらに第2の安全範囲34から逸脱した場合、位置確認装置20は、携帯端末10に、GPS方式による位置の特定に切り換えるように切換指示を送信する。
【0098】
このように段階的にユーザAのより確かな位置を確認することによって、極力低消費電力で、ユーザAがイベントの実行場所から離れたかどうかを確認しつつ、いざ離れたことが分かると、正確にユーザAの位置を確認できる。
【0099】
なお、上記形態では、三つの位置特定方式を用いる例について説明したが、これに限定されず、四つ以上の位置特定方式を用いてもよい。
【0100】
また、上記形態では、第1の安全範囲32では加速度センサ方式により位置を特定し、第2の安全範囲34ではLPWA方式により位置を特定することにより、段階的に、消費電力を高くしつつ、精度を高めている。しかし、位置特定方式を異ならせなくても、消費電力および精度を段階的に高めうる。たとえば、同じLPWA方式を用いて、第1の安全範囲32では、第2の安全範囲34よりも、位置特定間隔を長く、すなわちLPWAモジュール17が基地局90と通信を行なう単位時間当たりの回数を少なくする。このようにすれば、ユーザAが第1の安全範囲32にいる間は、LPWAモジュール17が基地局90と通信する回数が比較的少ないため、消費電力が少なく、位置特定の精度は低い。ユーザAが安全範囲32から逸脱すると、LPWAモジュール17が基地局90と通信する回数を高め、より高精度でかつ、消費電力を多くできる。GPS方式または加速度センサ方式においても、位置特定間隔を変えることにより、段階的な消費電力による位置の特定を、段階的な安全範囲に適用できる。
【0101】
(第3実施形態)
【0102】
第1実施形態および第2実施形態では、携帯端末10および位置確認装置20をそれぞれ別々に設けている。第3実施形態では、携帯端末10および位置確認装置20の機能を一つの携帯端末50に統合する。統合した場合であっても、ハードウェア構成は、図2に示す携帯端末10と同様となる。しかし、機能構成は、異なる。
【0103】
図15は、第3実施形態に係る携帯端末の機能構成の例を示す図である。
【0104】
図15に示すように、第3実施形態に係る携帯端末50は、機能構成として、登録部501、設定部502および特定部503を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された位置確認プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0105】
登録部501は、ユーザがイベントを実行する場所の情報を含むイベント情報を登録する。登録部501は、第1実施形態の位置確認装置20の登録部201と同様の機能を達成する。
【0106】
設定部502は、イベントが実行される場所の情報、および、LPWA方式による位置の特定精度から、イベント中にユーザAの位置として特定されうる安全範囲30を設定する。設定部502は、第1実施形態の位置確認装置20の設定部202と同様の機能を達成する。
【0107】
特定部503は、LPWA方式(第1の方式)、または、第1の方式よりも大きい消費電力かつ高い精度により位置を特定するためのGPS方式(第2の方式)により、自身の位置を特定する。特定部503は、LPWA方式により特定した位置が設定部502により設定した安全範囲30内の場合、引き続きLPWA方式により位置を特定し、特定した位置が安全範囲30外に出た場合、GPS方式により位置を特定する。
【0108】
以上の機能構成を、図4に示す携帯端末10の機能構成および図5に示す位置確認装置20の機能構成と比較すると、受信部101、取得部203、送信部204が不要となるのが分かる。第3実施形態の携帯端末50によれば、指示の送受信と、位置情報の取得とが不要だからである。
【0109】
このように、第3実施形態によれば、携帯端末50の機能は、第1実施形態の携帯端末10よりも多様になってしまう。しかし、位置確認システム1全体の機能で比べると、受信部101、取得部203、送信部204を省略でき、機能を単純化できる。したがって、たとえば、システム全体の消費電力を低減化でき、また、システム全体として安価にできる。
【0110】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した位置特定処理および位置確認処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、位置特定処理および位置確認処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0111】
また、上記各実施形態では、位置特定処理および位置確認処理のプログラムがストレージ14およびストレージ24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 位置確認システム
10、50 携帯端末
11、21 CPU
12、22 ROM
13、23 RAM
14、24 ストレージ
15、26 表示部
16、27 通信インタフェース
17 LPWAモジュール
18 GPS受信機
19 加速度センサ
20 位置確認装置
25 操作部
30、32、34 安全範囲
40 ユーザ端末
90 基地局
95 衛星
101 受信部
102、503 特定部
201、501 登録部
202、502 設定部
203 取得部
204 送信部
A、B ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15