(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】改善された安定性及び改善された研磨特性を有する、選択的窒化物スラリー
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20220208BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20220208BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220208BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220208BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
(21)【出願番号】P 2018511641
(86)(22)【出願日】2016-08-29
(86)【国際出願番号】 US2016049299
(87)【国際公開番号】W WO2017044340
(87)【国際公開日】2017-03-16
【審査請求日】2019-08-05
(32)【優先日】2015-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】プラティバ パンディー
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョヨン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ライス
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/014751(WO,A1)
【文献】特開2008-277723(JP,A)
【文献】特開2008-004621(JP,A)
【文献】特開2006-060205(JP,A)
【文献】特表2010-541203(JP,A)
【文献】特表2009-525615(JP,A)
【文献】特開2009-206456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C09G 1/02
H01L 21/304
H01L 21/463
B24B 3/00 - 3/60
B24B 21/00 - 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械的研磨組成物であって、
(a
)0.01重量%か
ら1重量%の湿式プロセスセリアと、
(b
)10ppmか
ら200ppmの四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーと、
(c
)10ppmか
ら2000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤と、
(d)アミノ酸と、
(e)水と
を含み
、3か
ら8のpHを有する研磨組成物。
【請求項2】
前記湿式プロセスセリアは
、10nmか
ら60nmの平均粒子サイズを有する第1のセリア、及
び60nmか
ら150nmの平均粒子サイズを有する第2のセリアの混合物を含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムモノマー単位を含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマーは、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムモノマー単位、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムモノマー単位、(3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド)単位、四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]単位、四級化無水グルコース単位、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記非フッ素化非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、またはポリエチレングリコールアルキルエーテルである、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記非フッ素化非イオン性界面活性剤は
、500ダルトンか
ら2000ダルトンの平均分子量を有する、請求項5に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、もしくはバリン、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項8】
フッ素化非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
1ppmか
ら500ppmのポリビニルアルコールをさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項10】
4か
ら7のpHを有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項11】
基板を化学機械的に研磨する方法であって、
(i)基板を、研磨パッド、及び化学機械的研磨組成物であって、
(a
)0.01重量%か
ら1重量%の湿式プロセスセリアと、
(b
)10ppmか
ら200ppmの四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーと、
(c
)10ppmか
ら2000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤と、
(d)アミノ酸と、
(e)水と
を含み
、3か
ら8のpHを有する研磨組成物と接触させることと、
(ii)前記研磨パッド及び前記化学機械的研磨組成物を、前記基板と相対的に動かすことと、
(iii)前記基板の少なくとも一部を研削し、前記基板を研磨することと
を含む方法。
【請求項12】
前記湿式プロセスセリアは
、10nmか
ら60nmの平均粒子サイズを有する第1のセリア、及
び60nmか
ら150nmの平均粒子サイズを有する第2のセリアの混合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カチオン性ポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウムモノマー単位を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カチオン性ポリマーは、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムモノマー単位、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムモノマー単位、(3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド)単位、四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]単位、四級化無水グルコース単位、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記非フッ素化非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、またはポリエチレングリコールアルキルエーテルである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記非フッ素化非イオン性界面活性剤は
、500ダルトンか
ら2000ダルトンの平均分子量を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、もしくはバリン、またはそれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記研磨組成物は、フッ素化非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
1ppmか
ら500ppmのポリビニルアルコールをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記研磨組成物は
、4か
ら7のpHを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記基板は、窒化ケイ素を含み、前記基板を研磨するために、前記窒化ケイ素の少なくとも一部が研削される、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記基板は、酸化ケイ素をさらに含み、前記基板を研磨するために、前記酸化ケイ素の少なくとも一部が研削される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記基板は、ポリシリコンをさらに含み、前記基板を研磨するために、前記ポリシリコンの少なくとも一部が研削される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
基板の表面を平坦化または研磨するための組成物及び方法は、当技術分野において周知である。研磨組成物(研磨スラリーとしても知られる)は、典型的には、液体担体中に研削材料を含有し、研磨組成物で飽和した研磨パッドに表面を接触させることによって表面に塗布される。典型的な研削材料は、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化スズを含む。研磨組成物は、典型的には、研磨パッド(例えば研磨クロスまたはディスク)と併せて使用される。研磨組成物中に懸濁される代わりに、またはそれに加えて、研削材料は、研磨パッド内に組み込まれてもよい。
【0002】
半導体デバイスの素子を隔離するための方法として、窒化ケイ素層がシリコン基板上に形成され、エッチングまたはフォトリソグラフィーにより浅溝が形成され、誘電層(例えば酸化物)がトレンチを充填するように堆積される、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスに対してかなりの関心が向けられている。このようにして形成される溝またはラインの深さの変動により、典型的には、全ての溝の完全な充填を確実にするために、基板の上に過剰の誘電材料を堆積することが必要となる。次いで、過剰の誘電材料は、典型的には化学機械的平坦化プロセスにより除去され、窒化ケイ素層が露出される。窒化ケイ素層が露出される場合、化学機械的研磨組成物に曝露される基板の最大領域は窒化ケイ素を含み、これは次いで極めて平坦及び均一な表面を達成するために研磨されなければならない。
【0003】
一般に、過去の実践は、窒化ケイ素研磨より優先的な酸化物研磨に対する選択性を重視することであった。したがって、全体的な研磨速度は窒化ケイ素層の曝露後に減少するため、窒化ケイ素層は化学機械的平坦化プロセスの間停止層として機能するものであった。窒化ケイ素の除去には、酸化物研磨より優先的な窒化ケイ素研磨に対する選択性が必要である。
【0004】
STI基板は、典型的には、従来の研磨媒体及び研削材含有研磨組成物を使用して研磨される。しかしながら、従来の研磨媒体及び研削材含有研磨組成物によるSTI基板の研磨は、基板表面の過剰研磨またはSTIフィーチャにおける陥凹部の形成、及び他のトポロジー的欠陥、例えば基板表面上の微小引っかき傷をもたらすことが観察されている。この過剰研磨及びSTIフィーチャにおける陥凹部形成の現象は、ディッシングと呼ばれる。基板フィーチャのディッシングは、トランジスタ及びトランジスタ部品同士の隔離の失敗を引き起こし、それにより短絡をもたらすことによりデバイス製造に悪影響を及ぼし得るため、ディッシングは望ましくない。さらに、基板の過剰研磨はまた、酸化物の損失、及び研磨または化学的活性による損傷に対する下の酸化物の曝露をもたらす可能性があり、これはデバイスの品質及び性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
さらに、特にセリア研削材を含有するいくつかの既存の研磨組成物は、ある特定の濃度を超える研磨組成物の不安定性に起因する制限された濃縮能力を示し、研削材成分の沈降をもたらす。したがって、濃縮研磨組成物の不安定性は、より希釈された研磨組成物の生成を必要とし、これは、輸送及び貯蔵されなければならない材料の体積を増大させる。
【0006】
したがって、当技術分野において、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及びポリシリコンの所望の選択性を提供し得る、ならびに好適な除去速度、低い欠陥、及び好適なディッシング性能を有しながら、向上した分散安定性をさらに示す、研磨組成物及び方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、化学機械的研磨組成物であって、(a)約0.01重量%から約1重量%の湿式プロセスセリアと、(b)約10ppmから約200ppmの四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーと、(c)約10ppmから約2000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤と、(d)アミノ酸と、(e)水とを含み、約3から約8のpHを有する研磨組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)基板を、研磨パッド、及び化学機械的研磨組成物であって、(a)約0.01重量%から約1重量%の湿式プロセスセリアと、(b)約10ppmから約200ppmの四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーと、(c)約10ppmから約2000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤と、(d)アミノ酸と、(e)水とを含み、約3から約8のpHを有する研磨組成物と接触させることと、(ii)研磨パッド及び化学機械的研磨組成物を、基板と相対的に動かすことと、(iii)基板の少なくとも一部を研削し、基板を研磨することとを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、化学機械的研磨組成物であって、(a)約0.01重量%から約1重量%の湿式プロセスセリアと、(b)約10ppmから約200ppmの四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーと、(c)約10ppmから約2000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤と、(d)アミノ酸と、(e)水とを含み、または本質的にそれらからなり、またはそれらからなり、約3から約8のpHを有する研磨組成物を提供する。
【0010】
化学機械的研磨組成物は、セリア研削材を含む。周知であるように、セリアは、希土類金属セリウムの酸化物であり、酸化第二セリウム、酸化セリウム(例えば酸化セリウム(IV))、または二酸化セリウムとしても知られる。酸化セリウム(IV)(CeO2)は、シュウ酸セリウムまたは水酸化セリウムを焼成することにより形成され得る。セリウムはまた、酸化セリウム(III)、例えばCe2O3等を形成する。セリア研削材は、セリアのこれらの、または他の酸化物の任意の1種以上であってもよい。
【0011】
セリア研削材は、任意の好適な種類であってもよい。本明細書において使用される場合、「湿式プロセス」セリアは、(例えばフュームドまたは焼成セリアとは対照的に)沈殿、縮重合、または同様のプロセスにより調製されるセリアを指す。湿式プロセスセリア研削材を含む本発明の研磨組成物は、典型的には、本発明の方法に従って基板を研磨するために使用された場合、より低い欠陥を示すことが判明している。特定の理論に束縛されることを望まないが、湿式プロセスセリアは、球状セリア粒子及び/またはより小さい凝集セリア粒子を含み、それによって、本発明の方法において使用された場合により低い基板欠陥をもたらすと考えられる。例示的な湿式プロセスセリアは、Rhodiaから市販されているHC-60(商標)セリアである。
【0012】
セリア粒子は、任意の好適な平均サイズ(すなわち平均粒径)を有し得る。平均セリア粒子サイズが小さすぎる場合、研磨組成物は、十分な除去速度を示さない可能性がある。一方、平均セリア粒子サイズが大きすぎる場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能、例えば低い基板欠陥を示し得る。したがって、セリア粒子は、約10nm以上、例えば約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約35nm以上、約40nm以上、約45nm以上、または約50nm以上の平均粒子サイズを有し得る。代替として、または追加的に、セリアは、約1,000nm以下、例えば約750nm以下、約500nm以下、約250nm以下、約150nm以下、約100nm以下、約75nm以下、または約50nm以下の平均粒子サイズを有し得る。したがって、セリアは、上述の端点のいずれか2つにより画定される平均粒子サイズを有し得る。例えば、セリアは、約10nmから約1,000nm、約10nmから約750nm、約15nmから約500nm、約20nmから約250nm、約20nmから約150nm、約25nmから約150nm、約25nmから約100nm、または約50nmから約150nm、または約50nmから約100nmの平均粒子サイズを有し得る。球状セリア粒子の場合、粒子のサイズは、粒子の直径である。非球状セリア粒子の場合、粒子のサイズは、粒子を包含する最小球の直径である。セリアの粒子サイズは、任意の好適な技術を使用して、例えばレーザ回折技術を使用して測定され得る。好適な粒子サイズ測定機器は、例えば、Malvern Instruments(Malvern、UK)から入手可能である。
【0013】
いくつかの実施形態において、研磨組成物のセリア研削材は、多峰性粒子サイズ分布を示す。本明細書において使用される場合、「多峰性」という用語は、セリア研削材が、少なくとも2つの極大値(例えば2つ以上の極大値、3つ以上の極大値、4つ以上の極大値、または5つ以上の極大値)を有する平均粒子サイズ分布を示すことを意味する。好ましくは、これらの実施形態において、セリア研削材は、二峰性粒子サイズ分布を示し、すなわち、セリア研削材は、2つの平均粒子サイズ極大値を有する粒子サイズ分布を示す。「極大値」(複数を含む)という用語は、粒子サイズ分布におけるピーク(複数を含む)を意味する。ピーク(複数を含む)は、セリア研削材粒子に関して本明細書において説明された平均粒子サイズに対応する。したがって、例えば、粒子サイズに対する粒子数のプロットは、二峰性粒子サイズ分布を反映し、約75nmから約150nm、例えば約80nmから約140nm、約85nmから約130nm、または約90nmから約120nmの粒子サイズ範囲内に第1のピークを、また約25nmから約70nm、例えば約30nmから約65nm、約35nmから約65nm、または約40nmから約60nmの粒子サイズ範囲内に第2のピークを有する。多峰性粒子サイズ分布を有するセリア研削材は、それぞれ多峰性粒子サイズ分布を有する2つの異なるセリア研削材を組み合わせることにより得られてもよい。
【0014】
セリア粒子は、好ましくは、本発明の研磨組成物中でコロイド的に安定である。コロイドという用語は、液体担体(例えば水)中のセリア粒子の懸濁液を指す。コロイド安定性は、その懸濁の経時的な維持を指す。本発明に関連して、研削材は、研削材が100mLの目盛付きシリンダ内に入れられ、撹拌せずに2時間の期間放置された際に、目盛付きシリンダの下部50mL中の粒子の濃度(g/mL単位の[B])と、目盛付きシリンダの上部50mL中の粒子の濃度(g/mL単位の[T])との間の差を、研削材組成物中の粒子の初期濃度(g/mL単位の[C])で除した値が、0.5以下である(すなわち{[B]-[T]}/[C]≦0.5である)場合、コロイド的に安定とみなされる。より好ましくは、[B]-[T]/[C]の値は、0.3以下であり、最も好ましくは、0.1以下である。
【0015】
研磨組成物は、任意の好適な量のセリア研削材を含み得る。本発明の研磨組成物が過度に少ないセリア研削材を含む場合、組成物は、十分な除去速度を示さない可能性がある。一方、研磨組成物が過度に多いセリア研削材を含む場合、研磨組成物は、望ましくない研磨性能を示す可能性があり、及び/またはコスト効果が低い可能性があり、及び/または安定性を欠く可能性がある。研磨組成物は、約10重量%以下のセリア、例えば約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下のセリア、または約0.5重量%以下のセリアを含み得る。代替として、または追加的に、研磨組成物は、約0.05重量%以上のセリア、例えば約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、または約1重量%以上を含み得る。したがって、研磨組成物は、上述の端点のいずれか2つにより画定される量のセリアを含み得る。例えば、研磨組成物は、約0.05重量%から約10重量%のセリア、例えば0.1重量%から約10重量%、約0.1重量%から約9重量%、約0.1重量%から約8重量%、約0.1重量%から約7重量%、約0.1重量%から約6重量%、約0.1重量%から約5重量%のセリア、約0.1重量%から約4重量%、約0.1重量%から約3重量%のセリア、約0.1重量%から約2重量%のセリア、約0.1重量%から約1重量%のセリア、約0.2重量%から約2重量%のセリア、約0.2重量%から約1重量%のセリア、約0.2重量%から約0.6重量%のセリア、または約0.3重量%から約0.5重量%のセリアを含み得る。一実施形態において、研磨組成物は、使用場所において、約0.2重量%から約0.6重量%のセリア(例えば約0.4重量%のセリア)を含む。別の実施形態において、研磨組成物は、濃縮物として、約1~2重量%(例えば約1.2重量%または約1.6重量%)のセリアを含む。
【0016】
研磨組成物は、四級アンモニウム基を含む1種以上のカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、任意の好適なカチオン性ポリマーまたはコポリマーであってもよい。好適なカチオン性ポリマーまたはコポリマーの限定されない例は、ジアリルジメチルアンモニウムモノマー単位、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムモノマー単位、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムモノマー単位、(3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド)単位、四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]単位、四級化無水グルコース単位、またはそれらの組み合わせを含むカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。カチオン性ポリマーまたはコポリマーが四級化無水グルコース単位を含む場合、カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、四級化セルロースとして知られる材料となり得る。カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、四級アンモニウム基を有する2つ以上のモノマー単位を含むため、カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、典型的には2つ以上の四級アンモニウム基を含有することが理解される。
【0017】
一実施形態において、研磨組成物は、ジアリルジメチルアンモニウムモノマー単位を含むカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。他の実施形態において、研磨組成物は、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムモノマー単位、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムモノマー単位、(3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド)単位、四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]単位、四級化無水グルコース単位を含むカチオン性ポリマーまたはコポリマーと組み合わせて、ジアリルジメチルアンモニウムモノマー単位を含むカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。別の実施形態において、研磨組成物は、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムモノマー単位、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルアンモニウムモノマー単位、(3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロリド)単位、四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]単位、四級化無水グルコース単位を含むカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。
【0018】
カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、任意の好適な分子量を有し得る。カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、約250g/モル以上、例えば約300g/モル以上、約400g/モル以上、約500g/モル以上、約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約1,500g/モル以上、約2,000g/モル以上、約2,500g/モル以上、約3,000g/モル以上、約3,500g/モル以上、約4,000g/モル以上、約4,500g/モル以上、約5,000g/モル以上、約5,500g/モル以上、約6,000g/モル以上、約6,500g/モル以上、約7,000g/モル以上、または約7,500g/モル以上の平均分子量を有し得る。代替として、または追加的に、カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、約50,000g/モル以下、例えば約45,000g/モル以下、約40,000g/モル以下、約35,000g/モル以下、約30,000g/モル以下、約25,000g/モル以下、約20,000g/モル以下、約15,000g/モル以下、または約10,000g/モル以下の平均分子量を有し得る。したがって、カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、上述の端点のいずれか2つにより画定される平均分子量を有し得る。例えば、カチオン性ポリマーまたはコポリマーは、約250g/モルから約50,000g/モル、約250g/モルから約45,000g/モル、約250g/モルから約40,000g/モル、約250g/モルから約35,000g/モル、約1,000g/モルから約30,000g/モル、約1,000g/モルから約25,000g/モル、約1,000g/モルから約20,000g/モル、約2,000g/モルから約15,000g/モル、約3,000g/モルから約10,000g/モル、約7,500g/モルから約50,000g/モル、約7,500g/モルから約40,000g/モル、約7,500g/モルから約35,000g/モルの平均分子量を有し得る。
【0019】
研磨組成物は、使用場所において任意の好適な量のカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む。カチオン性ポリマーまたはコポリマーの量は、研磨組成物中に存在するカチオン性ポリマーまたはコポリマーの総量を指す。研磨組成物は、約1ppm以上のカチオン性ポリマーまたはコポリマー、例えば約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、または約50ppm以上を含み得る。代替として、または追加的に、研磨組成物は、約1000ppm以下のカチオン性ポリマーまたはコポリマー、例えば約900ppm以下、約800ppm以下、約700ppm以下、約600ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、または約200ppm以下を含み得る。したがって、研磨組成物は、上述の端点のいずれか2つにより画定される量のカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含み得る。例えば、研磨組成物は、約1ppmから約1000ppmのカチオン性ポリマーまたはコポリマー、約10ppmから約900ppm、約10ppmから約800ppm、約10ppmから約700ppm、約10ppmから約600ppm、約10ppmから約500ppm、約10ppmから約400ppm、約20ppmから約300ppm、約30ppmから約200ppm、約30ppmから約150ppm、約30ppmから約100ppm、または約30ppmから約750ppmを含み得る。
【0020】
研磨組成物は、非フッ素化非イオン性界面活性剤を含む。非フッ素化非イオン性界面活性剤は、任意の好適な非フッ素化非イオン性界面活性剤であってもよい。本発明の一実施形態によれば、研磨組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水性改質ポリアクリレートコポリマー、親水性非イオン性ポリマー、ポリサッカリド、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の非フッ素化非イオン性界面活性剤を含む。非フッ素化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、水溶性であり、研磨組成物の他の成分に適合する。
【0021】
非フッ素化非イオン性界面活性剤は、任意の好適な分子量を有し得る。非フッ素化非イオン性界面活性剤は、約500g/モル以上、例えば約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約1,500g/モル以上、または約2,000g/モル以上の平均分子量を有し得る。代替として、または追加的に、非フッ素化非イオン性界面活性剤は、約10,000g/モル以下、例えば約9,000g/モル以下、約8,000g/モル以下、約7,500g/モル以下、約7,000g/モル以下、約6,500g/モル以下、約6,000g/モル以下、約5,500g/モル以下、または約5,000g/モル以下の平均分子量を有し得る。したがって、非フッ素化非イオン性界面活性剤は、上述の端点のいずれか2つにより画定される平均分子量を有し得る。例えば、非フッ素化非イオン性界面活性剤は、約500g/モルから約10,000g/モル、約500g/モルから約9,000g/モル、約500g/モルから約8,000g/モル、約500g/モルから約7,000g/モル、約500g/モルから約6,000g/モル、約500g/モルから約5,000g/モル、約1,000g/モルから約10,000g/モル、約1,000g/モルから約9,000g/モル、約1,000g/モルから約8,000g/モル、約1,000g/モルから約7,000g/モル、約1,000g/モルから約6,000g/モル、または約1,000g/モルから約5,000g/モルの平均分子量を有し得る。
【0022】
研磨組成物は、任意選択で、フッ素化非イオン性界面活性剤をさらに含む。フッ素化非イオン性界面活性剤は、任意の好適なフッ素化非イオン性界面活性剤であってもよい。実施形態において、フッ素化非イオン性界面活性剤は、式I:
【化1】
(式中、X
1及びX
2は、O、C、及びSから独立して選択され、Y
1及びY
2は、OH、C
1~C
10アルキル、及び式C
xH
yF
zの基から独立して選択され、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、水素、F、C
1~C
10アルキル、C
6~C
10アリール、及びヘテロ芳香族から独立して選択され、xは、1から約20の整数であり、zは、1から約41の整数であり、mは、約3から約500の整数であり、Y
1またはY
2の少なくとも1つは、C
xH
yF
zであり、または、R
1~R
4の少なくとも1つは、Fである)のポリマーを含み得る。
【0023】
ある特定の実施形態において、フッ素化非イオン性界面活性剤は、Y1またはY2の少なくとも1つがCxHyFzである式Iのポリマーである。ある特定の実施形態において、ポリマーは、Y1及びY2の両方がCxHyFzである式Iのポリマーである。ある特定の実施形態において、xは、1から9の整数である。ある特定の実施形態において、xは、1から8の整数であり、yは、1から40の整数である。当業者に理解されるように、式CxHyFzの基において、x、y、及びzのいずれか2つの指定によって第3の変数の計算が可能となるように、y+z=2x+1である。ある特定の好ましい実施形態において、ポリマーは、X1及びX2のそれぞれがOである式Iのポリマーである。ある特定の実施形態において、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、独立して、水素またはFである。これらの実施形態のいくつかにおいて、R1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つはFであり、Y1及びY2は、本明細書においてY1及びY2に関して説明された基のいずれであってもよい。式Iの好適なポリマーの限定されない例は、DuPontにより供給されているCAPSTONE(商標)シリーズのポリマー、例えばCAPSTONE(商標)FS-30、CAPSTONE(商標)FS-31、CAPSTONE(商標)FS-34、CAPSTONE(商標)FS-35、CAPSTONE(商標)FS-65、CAPSTONE(商標)FS-81、CAPSTONE(商標)FS-3100、及びCAPSTONE(商標)ST-100HSのメンバーを含む。
【0024】
フッ素化非イオン性界面活性剤は、任意の好適な分子量を有し得る。フッ素化非イオン性界面活性剤は、約500g/モル以上、例えば約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約1,500g/モル以上、約2,000g/モル以上、約2,500g/モル以上、約3,000g/モル以上、約3,500g/モル以上、約4,000g/モル以上、約4,500g/モル以上、約5,000g/モル以上、約5,500g/モル以上、約6,000g/モル以上、約6,500g/モル以上、約7,000g/モル以上、または約7,500g/モル以上の平均分子量を有し得る。代替として、または追加的に、フッ素化非イオン性界面活性剤は、約10,000g/モル以下、例えば約9,000g/モル以下、約8,000g/モル以下、約7,500g/モル以下、約7,000g/モル以下、約6,500g/モル以下、約6,000g/モル以下、約5,500g/モル以下、約5,000g/モル以下、約4,500g/モル以下、約4,000g/モル以下、約3,500g/モル以下、約3,000g/モル以下、約2,500g/モル以下、または約2,000g/モル以下の平均分子量を有し得る。したがって、フッ素化非イオン性界面活性剤は、上述の端点のいずれか2つにより画定される平均分子量を有し得る。例えば、フッ素化非イオン性界面活性剤は、約500g/モルから約10,000g/モル、約500g/モルから約9,000g/モル、約500g/モルから約8,000g/モル、約500g/モルから約7,000g/モル、約500g/モルから約6,000g/モル、約500g/モルから約5,000g/モル、約1,000g/モルから約10,000g/モル、約1,000g/モルから約9,000g/モル、約1,000g/モルから約8,000g/モル、約1,000g/モルから約7,000g/モル、約1,000g/モルから約6,000g/モル、または約1,000g/モルから約5,000g/モルの平均分子量を有し得る。
【0025】
研磨組成物は、使用場所において、任意の好適な量の非フッ素化非イオン性界面活性剤及び任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤を含む。研磨組成物は、約10ppm以上の非フッ素化非イオン性界面活性剤及び任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、例えば約15ppm以上、約20ppm以上、約25ppm以上、約30ppm以上、約35ppm以上、または約40ppm以上を含み得る。代替として、または追加的に、研磨組成物は、約1000ppm以下の非フッ素化非イオン性界面活性剤及び任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、例えば約800ppm以下、600ppm以下、約400ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約80ppm以下、約60ppm以下、または約40ppm以下を含み得る。したがって、研磨組成物は、上述の端点のいずれか2つにより画定される量の非フッ素化非イオン性界面活性剤及び任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤を含み得る。例えば、研磨剤は、約10ppmから約1000ppmの非フッ素化非イオン性界面活性剤及び任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、約15ppmから約800ppm、約15ppmから約600ppm、約15ppmから約400ppm、約15ppmから約200ppm、約15ppmから約100ppm、約15ppmから約80ppm、約15ppmから約60ppm、または約15ppmから約40ppmを含み得る。
【0026】
研磨組成物は、1種以上のアミノ酸を含む。アミノ酸は、任意の好適なアミノ酸であってもよい。好適なアミノ酸の限定されない例は、グリシン、バリン(例えばL-バリン)、及びアラニン(例えば、L-アラニン)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
研磨組成物は、任意の好適な量のアミノ酸を含み得る。研磨組成物は、約10ppm以上のアミノ酸、例えば約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、または約50ppm以上を含み得る。代替として、または追加的に、研磨組成物は、約1000ppm以下のアミノ酸、例えば約800ppm以下、約600ppm以下、約400ppm以下、約200ppm以下を含み得る。したがって、研磨組成物は、上述の端点のいずれか2つにより画定される量のアミノ酸を含み得る。例えば、研磨組成物は、約10ppmから約1000ppmのアミノ酸、約10ppmから約800ppm、約10ppmから約600ppm、約10ppmから約400ppm、約10ppmから約200ppmを含み得る。
【0028】
化学機械的研磨組成物は、任意選択で、1種以上のポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、任意の好適なポリビニルアルコールであってもよく、直鎖または分岐状ポリビニルアルコールであってもよい。好適な分岐状ポリビニルアルコールの限定されない例は、日本合成化学(日本)から入手可能であるニチゴーG-ポリマー、例えばOKS-1009及びOKS-1083製品である。
【0029】
ポリビニルアルコールは、任意の好適な加水分解度を有し得る。加水分解度は、ポリビニルアルコール上に存在する遊離ヒドロキシル基の、遊離ヒドロキシル基及びアセチル化ヒドロキシル基の合計と比較した量を指す。好ましくは、ポリビニルアルコールは、約90%以上、例えば約92%以上、約94%以上、約96%以上、約98%以上、または約99%以上の加水分解度を有する。
【0030】
ポリビニルアルコールは、任意の好適な分子量を有し得る。ポリビニルアルコールは、約250g/モル以上、例えば約300g/モル以上、約400g/モル以上、約500g/モル以上、約600g/モル以上、約750g/モル以上、約1,000g/モル以上、約2,000g/モル以上、約3,000g/モル以上、約4,000g/モル以上、約5,000g/モル以上、約7,500g/モル以上、約10,000g/モル以上、約15,000g/モル以上、約20,000g/モル以上、約25,000g/モル以上、約30,000g/モル以上、約50,000g/モル以上、または約75,000g/モル以上の平均分子量を有し得る。代替として、または追加的に、ポリビニルアルコールは、約250,000g/モル以下、例えば約200,000g/モル以下、約180,000g/モル以下、約150,000g/モル以下、約100,000g/モル以下、約90,000g/モル以下、約80,000g/モル以下、約70,000g/モル以下、約60,000g/モル以下、約50,000g/モル以下、約45,000g/モル以下、約40,000g/モル以下、約35,000g/モル以下、約30,000g/モル以下、約25,000g/モル以下、約20,000g/モル以下、約15,000g/モル以下、約12,500g/モル、または約10,000g/モル以下の平均分子量を有し得る。したがって、ポリビニルアルコールは、上述の端点のいずれか2つにより画定される平均分子量を有し得る。例えば、ポリビニルアルコールは、約250g/モルから約250,000g/モル、250g/モルから約200,000g/モル、250g/モルから約180,000g/モル、250g/モルから約150,000g/モル、250g/モルから約100,000g/モル、約250g/モルから約70,000g/モル、約250g/モルから約50,000g/モル、約250g/モルから約25,000g/モル、約250g/モルから約10,000g/モル、約10,000g/モルから約100,000g/モル、約10,000g/モルから約75,000g/モル、約10,000g/モルから約50,000g/モル、約10,000g/モルから約40,000g/モル、約50,000g/モルから約100,000g/モル、約75,000g/モルから約100,000g/モル、約25,000g/モルから約200,000g/モル、または約50,000g/モルから約180,000g/モルの平均分子量を有し得る。
【0031】
研磨組成物は、使用場所において任意の好適な量のポリビニルアルコールを含む。研磨組成物は、約1ppm以上のポリビニルアルコール、例えば約5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、または約50ppm以上を含み得る。代替として、または追加的に、研磨組成物は、約1000ppm以下のポリビニルアルコール、例えば約800ppm以下、約600ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、約200ppm以下、または約100ppm以下を含み得る。したがって、研磨組成物は、上述の端点のいずれか2つにより画定される量のイオン性ポリマーを含み得る。例えば、研磨組成物は、約1ppmから約1000ppmのポリビニルアルコール、約10ppmから約800ppm、約10ppmから約600ppm、約20ppmから約400ppm、約20ppmから約200ppm、または約20ppmから約100ppmを含み得る。
【0032】
化学機械的研磨組成物は、研磨組成物のpHを調節することができる(すなわち調節する)1種以上の化合物(すなわちpH調節化合物)を含んでもよい。研磨組成物のpHは、研磨組成物のpHを調節することができる任意の好適な化合物を使用して調節され得る。pH調節化合物は、望ましくは、水溶性であり、研磨組成物の他の成分と適合する。典型的には、化学機械的研磨組成物は、使用場所において約4から約7のpHを有する。
【0033】
アミノ酸は、緩衝剤として作用すると考えられる。いくつかの実施形態において、研磨組成物は、pHを調節することができ、また別個に研磨組成物の酸性pHを緩衝することができる別の化合物を含むことが望ましい。したがって、これらの実施形態において、研磨組成物のpHは、7.0未満(例えば6.5+/-0.5、6.0+/-0.5、5.5+/-0.5、5.0+/-0.5、4.5+/-0.5、または4.0+/-0.5)であることが望ましい。研磨組成物のpHを調節することができる化合物は、典型的には、25℃で測定された場合約3から約7のpKaを有する少なくとも1つのイオン化可能な基を有する。
【0034】
pHを調節及び緩衝することができる化合物は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ホウ酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0035】
化学機械的研磨組成物は、任意選択で、1種以上の添加剤をさらに含む。例示的な添加剤は、調整剤、酸(例えばスルホン酸)、錯化剤(例えばアニオン性ポリマー錯化剤)、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、分散剤等を含む。
【0036】
殺生物剤は、存在する場合、任意の好適な殺生物剤であってもよく、任意の好適な量で研磨組成物中に存在し得る。好適な殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤である。研磨組成物中の殺生物剤の量は、典型的には、約1から約50ppm、好ましくは約10から約20ppmである。
【0037】
研磨組成物は、任意の好適な技術により生成することができ、その多くは当業者に知られている。研磨組成物は、バッチまたは連続プロセスで調製され得る。一般に、研磨組成物は、研磨組成物の成分を組み合わせることにより調製される。「成分」という用語は、本明細書において使用される場合、個々の構成成分(例えば、セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤)、ならびに構成成分(例えば、セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤等)の任意の組み合わせを含む。
【0038】
例えば、研磨組成物は、(i)液体担体の全てまたは一部を提供すること、(ii)セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤を、分散等の任意の好適な調製手段を使用して分散させること、(iii)適宜分散液のpHを調節すること、ならびに(iv)好適な量のあらゆる他の任意選択の成分及び/または添加剤を任意選択で添加することにより調製され得る。
【0039】
代替として、研磨組成物は、(i)酸化セリウムスラリー中の1つ以上の成分(例えば、液体担体、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/または任意選択の添加剤)を提供すること、(ii)添加剤溶液中の1つ以上の成分(例えば、液体担体、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤)を提供すること、(iii)酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液を組み合わせて混合物を形成すること、(iv)好適な量のあらゆる他の任意選択の添加剤を混合物に任意選択で添加すること、ならびに(v)適宜混合物のpHを調節することにより調製され得る。
【0040】
研磨組成物は、セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤、ならびに水を含む、単一パッケージ系として供給されてもよい。代替として、本発明の研磨組成物は、第1のパッケージ内に酸化セリウムスラリーを備え、第2のパッケージ内に添加剤溶液を備える2パッケージ系として供給されてもよく、セリア酸化物スラリーは、セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤、ならびに水から本質的になり、またはそれらからなり、添加剤溶液は、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、及び/または任意選択の添加剤から本質的になる、またはそれらからなる。2パッケージ系は、2つのパッケージ、すなわち酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液のブレンド比を変更することにより、基板の全体的扁平化特性及び研磨速度の調節を可能にする。
【0041】
そのような2パッケージ研磨系を利用するために、様々な方法が使用され得る。例えば、酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液は、供給配管の出口で接合及び接続された異なる管により、研磨用テーブルに送達され得る。酸化セリウムスラリー及び添加剤溶液は、研磨の少し前もしくは直前に混合されてもよく、または、同時に研磨用テーブル上に供給されてもよい。さらに、2つのパッケージを混合する際、研磨組成物及び得られる基板研磨特性を調節するために、所望により脱イオン水が添加されてもよい。
【0042】
同様に、本発明に関連して、3、4、またはそれ以上のパッケージ系が利用されてもよく、複数の容器のそれぞれは、本発明の化学機械的研磨組成物の異なる成分、1つ以上の任意選択の成分、及び/または1つ以上の異なる濃度の同じ成分を含有する。
【0043】
2つ以上の貯蔵デバイス内に含まれている成分を混合して、使用場所で、またはその近くで研磨組成物を生成するためには、典型的には、各貯蔵デバイスから研磨組成物の使用場所(例えば、圧盤、研磨パッド、または基板表面)につながる1つ以上の流動ラインが、貯蔵デバイスに備えられる。本明細書において利用される場合、「使用場所」という用語は、研磨組成物が基板表面に塗布される場所(例えば、研磨パッドまたは基板表面自体)を指す。「流動ライン」という用語は、個々の貯蔵容器から、それに貯蔵された成分の使用場所への流路を意味する。流動ラインは、それぞれが直接使用場所につながってもよく、または、流動ラインの2つ以上が任意の場所で組み合わされて単一の流動ラインとなり、それが使用場所につながってもよい。さらに、流動ライン(例えば個々の流動ラインまたは組み合わされた流動ライン)はいずれも、まず1つ以上の他のデバイス(例えばポンプデバイス、測定デバイス、混合デバイス等)につながってから、成分(複数を含む)の使用場所に到達してもよい。
【0044】
研磨組成物の成分は、独立して使用場所に送達されてもよく(例えば、成分は、基板表面に送達され、その上で研磨プロセスの間成分が混合される)、または、成分の1つ以上が使用場所に送達される前、例えば使用場所への送達の少し前もしくは直前に組み合わされてもよい。成分は、成分が圧盤上に混合形態で添加される前の約5分以内、例えば、圧盤上に混合形態で添加される前の約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内、約45秒以内、約30秒以内、約10秒以内、または使用場所での成分の送達と同時に組み合わされる(例えば、成分が分配器で組み合わされる)場合、「使用場所への送達直前に」組み合わされる。成分はまた、成分が使用場所の5m以内、例えば使用場所の1m以内、またはさらに使用場所の10cm以内(例えば使用場所の1cm以内)で組み合わされる場合、「使用場所への送達直前に」組み合わされる。
【0045】
研磨組成物の成分の2つ以上が使用場所に到達する前に組み合わされる場合、成分は、混合デバイスを使用することなく、流動ライン内で組み合わされ、使用場所に送達され得る。代替として、成分の2つ以上の組み合わせを促進するために、流動ラインの1つ以上が混合デバイス内につながってもよい。任意の好適な混合デバイスが使用され得る。例えば、混合デバイスは、成分の2つ以上が流動するノズルまたはジェット(例えば高圧ノズルまたはジェット)であってもよい。代替として、混合デバイスは、研磨スラリーの2つ以上の成分が混合機に導入される1つ以上の入口と、混合された成分が混合機から出て、直接、または装置の他の要素を介して(例えば1つ以上の流動ラインを介して)使用場所に送達される少なくとも1つの出口とを備える、容器型混合デバイスであってもよい。さらに、混合デバイスは、2つ以上のチャンバを備えてもよく、各チャンバは、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを有し、2つ以上の成分が各チャンバ内で組み合われる。容器型混合デバイスが使用される場合、混合デバイスは、好ましくは、成分の組み合わせをさらに促進するための混合機構を備える。混合機構は、一般に当技術分野において知られており、スターラー、ブレンダー、撹拌器、撹拌バッフル、ガススパージャーシステム、振動器等を含む。
【0046】
研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈されることを意図する濃縮物として提供されてもよい。そのような実施形態において、研磨組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈した後に、研磨組成物の各成分が、各成分に対して上で列挙された適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、研磨組成物の成分を含む。例えば、セリア研削材、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/または任意選択の添加剤は、濃縮物が等量の水(例えば、それぞれ2等量の水、3等量の水、または4等量の水)で希釈された場合に、各成分が、各成分に対して上に記載された範囲内の量で研磨組成物中に存在するように、それぞれ、各成分に対して上で列挙された濃度より約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)多い量で濃縮物中に存在してもよい。さらに、当業者に理解されるように、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー、非フッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のフッ素化非イオン性界面活性剤、任意選択のポリビニルアルコール、アミノ酸、任意選択のpH調節剤、及び/またはあらゆる任意選択の添加剤が、少なくとも部分的または完全に濃縮物中に溶解することを確実するために、濃縮物は、最終的な研磨組成物中に存在する適切な割合の水を含有してもよい。望ましくは、本発明の研磨組成物は、使用場所における研磨組成物より4倍濃縮された濃縮物の形態にある場合、コロイド的に安定である。
【0047】
本発明はまた、基板を化学機械的に研磨する方法であって、(i)基板を、研磨パッド、及び本明細書に記載のような化学機械的研磨組成物と接触させることと、(ii)その間に化学機械的研磨組成物を塗布して研磨パッドを基板と相対的に動かすことと、(iii)基板の少なくとも一部を研削し、基板を研磨することとを含む方法を提供する。
【0048】
化学機械的研磨組成物は、任意の好適な基板を研磨するために使用され得、低誘電材料を含む少なくとも1つの層(典型的には表面層)を備える基板の研磨に特に有用である。好適な基板は、半導体産業において使用されるウエハを含む。ウエハは、典型的には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合体、金属合金、低誘電材料、またはそれらの組み合わせを含む、またはそれらからなる。本発明の方法は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び/またはポリシリコン、例えば、前述の材料の任意の1つ、2つ、または特に3つ全てを含む基板の研磨に特に有用である。
【0049】
ある特定の実施形態において、基板は、酸化ケイ素及び/または窒化ケイ素と組み合わせてポリシリコンを含む。ポリシリコンは、任意の好適なポリシリコンであってもよく、その多くは当技術分野において知られている。ポリシリコンは、任意の好適な相を有してもよく、非晶質、結晶性、またはそれらの組み合わせであってもよい。酸化ケイ素は、任意の好適な酸化ケイ素であってもよく、その多くは当技術分野において知られている。好適な種類の酸化ケイ素は、これらに限定されないが、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、PETEOS、熱酸化物、非ドープケイ酸塩ガラス、及びHDP酸化物を含む。
【0050】
本発明の化学機械的研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って窒化ケイ素を含む基板を研磨した場合、高い除去速度を示す。例えば、本発明の一実施形態に従って窒化ケイ素を含むシリコンウエハを研磨した場合、研磨組成物は、望ましくは、約500Å/分以上、700Å/分以上、約1,000Å/分以上、約1,250Å/分以上、約1,500Å/分以上、約1,750Å/分以上、または約2,000Å/分以上の窒化ケイ素除去速度を示す。
【0051】
本発明の化学機械的研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って酸化ケイ素を含む基板を研磨した場合、低い除去速度を示す。例えば、本発明の一実施形態に従って、酸化ケイ素、例えば高密度プラズマ(HDP)酸化物ならびに/またはプラズマ成膜オルトケイ酸テトラエチル(PETEOS)及び/もしくはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含むシリコンウエハを研磨した場合、研磨組成物は、望ましくは、約500Å/分以下、例えば約400Å/分以下、約200Å/分以下、約100Å/分以下、約75Å/分以下、約50Å/分以下、またはさらには約25Å/分以下の酸化ケイ素の除去速度を示す。
【0052】
本発明の化学機械的研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法に従ってポリシリコンを含む基板を研磨した場合、低い除去速度を示す。例えば、本発明の一実施形態に従ってポリシリコンを含むシリコンウエハを研磨した場合、研磨組成物は、望ましくは、約1,000Å/分以下、約750Å/分以下、約500Å/分以下、約250Å/分以下、約100Å/以下、約50Å/分以下、約25Å/分以下、約10Å/以下、またはさらには約5Å/分以下のポリシリコンの除去速度を示す。
【0053】
本発明の化学機械的研磨組成物は、特定の薄層材料に選択可能な所望の研磨範囲での効果的研磨を提供すると同時に、表面の不完全性、欠陥、腐食、浸食、及び停止層の除去を最小限化するように設計され得る。選択性は、研磨組成物の成分の相対濃度を変更することによりある程度制御され得る。望ましい場合は、本発明の化学機械的研磨組成物は、約5:1以上(例えば約10:1以上、約15:1以上、約25:1以上、約50:1以上、約100:1以上、または約150:1以上)の窒化ケイ素対ポリシリコン研磨選択性で基板を研磨するように使用され得る。また、本発明の化学機械的研磨組成物は、約2:1以上(例えば約4:1以上、または約6:1以上)の窒化ケイ素対酸化ケイ素研磨選択性で基板を研磨するように使用され得る。ある特定の配合物は、さらにより高い、例えば約20:1以上、またはさらには約30:1以上の窒化ケイ素対酸化ケイ素選択性を示し得る。
【0054】
本発明の化学機械的研磨組成物及び方法は、化学機械的研磨装置と併せた使用に特に好適である。典型的には、装置は、使用時に動き、軌道、直線または円形運動から生じる速度を有する圧盤と、圧盤と接触し、動く際に圧盤と共に動く研磨パッドと、基板を研磨パッドの表面に接触させ、それと相対的に動かすことにより研磨される基板を保持するキャリアとを備える。基板の研磨は、基板が本発明の研磨パッド及び研磨組成物と接触させられ、次いで、基板の少なくとも一部を研削して基板を研磨するために、研磨パッドが基板と相対的に動くことにより行われる。
【0055】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば研磨表面)を使用して、化学機械的研磨組成物で研磨され得る。好適な研磨パッドは、例えば、織及びお不織研磨パッドを含む。さらに、好適な研磨パッドは、様々な密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮後に回復する能力、及び圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含んでもよい。好適なポリマーは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形成生成物、及びそれらの混合物を含む。軟式ポリウレタン研磨パッドが、本発明の研磨方法と併せて特に有用である。典型的なパッドは、これらに限定されないが、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100(例えばEminess Technologiesから市販されている)、POLITEX(商標)、及びFujibo POLYPAS(商標)27を含む。特に好ましい研磨パッドは、Cabot Microelectronicsから市販されているEPIC(商標)D100パッドである。
【0056】
望ましくは、化学機械的研磨装置は、in situ研磨エンドポイント検出システムをさらに備え、その多くは当技術分野において知られている。研磨されている基板の表面から反射した光または他の放射線を分析することにより研磨プロセスを検査及び監視するための技術は、当技術分野において知られている。そのような方法は、例えば、米国特許第5,196,353号、米国特許第5,433,651号、米国特許第5,609,511号、米国特許第5,643,046号、米国特許第5,658,183号、米国特許第5,730,642号、米国特許第5,838,447号、米国特許第5,872,633号、米国特許第5,893,796号、米国特許第5,949,927号、及び米国特許第5,964,643号に記載されている。望ましくは、研磨されている基板に対する研磨プロセスの進行の検査または監視によって、研磨エンドポイントの決定、すなわち、特定の基板に対していつ研磨プロセスを停止すべきかの決定を行うことができる。
【0057】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0058】
実施例全体にわたり、以下の略語が使用される:除去速度(RR);オルトケイ酸テトラエチル(TEOS);窒化ケイ素(SiN);ポリシリコン(polySi);分子量(MW);及びポリエチレングリコール(PEG)。
【0059】
以下の実施例において、基板、シリコン上にコーティングされたTEOS酸化ケイ素(テトラエトキシシランから調製される)、シリコン上にコーティングされたHDP(高密度プラズマ)酸化ケイ素、シリコン上にコーティングされたポリシリコン、シリコン上にコーティングされた窒化ケイ素、及びSilyb Inc.から入手したパターン化されたウエハを、MIRRA(商標)(Applied Materials,Inc.)またはAP-300(商標)ツール(CTS Co.,Ltd.)を使用して研磨した。パターン化されたウエハは、酸化ケイ素コーティング基板上に100μmの窒化ケイ素フィーチャを備えていた。IC1010(商標)研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials)を、全ての成分に対して同一の研磨パラメータで使用した。標準Mirra研磨パラメータは、以下の通りである:IC1010(商標)パッド、下向き力=20.7kPa(3psi)または13.8kPa(2psi)、ヘッド速度=85rpm、圧盤速度=100rpm、全流速=150mL/分。除去速度は、分光偏光解析法を用いてフィルム厚を測定し、初期厚さから最終厚さを差し引くことにより計算した。
【0060】
実施例1
この実施例は、酸化ケイ素除去速度対窒化ケイ素及びポリシリコン除去速度に対する、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーの効果を実証する。
【0061】
TEOSコーティングシリコン、窒化ケイ素コーティングシリコン、及びポリシリコンコーティングシリコンを含む別個の基板を、研磨組成物1A~1Gの7つの異なる研磨組成物で研磨した。基板は、300mm圧盤を有するCTS研磨ツールにおいて、20.7kPaの下向き力でIC1010(商標)パッドを使用して研磨した。研磨組成物はそれぞれ、0.4重量%の湿式プロセスセリア及び320ppmの硝酸アンモニウムを4.3のpHで含有していた。研磨組成物はそれぞれ、表1に示される量のpolyMADQUAT(ポリ(メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム)クロリド)、PolyQuat-2(四級化[ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素])、及びpolyDADMAC(ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド)の1つ以上をさらに含んでいた。
【0062】
研磨後、TEOS、窒化ケイ素、及びポリシリコンの除去速度を決定した。結果を表1に記載する。
【表1】
【0063】
表1に記載の結果から明らかなように、50ppmのpolyMADQUATを含有する研磨組成物1Aは、最大の窒化ケイ素除去速度、及び約0.31:1の窒化ケイ素対TEOSの選択性を示した。polyMADQUAT及びPolyQuat-2の組み合わせ(研磨組成物1B及び1D)、polyMADQUAT及びpolyDADMACの組み合わせ(研磨組成物1E及び1G)、PolyQuat-2のみ(研磨組成物1C)、ならびにpolyDADMACのみ(研磨組成物1F)を含有する研磨組成物1B~1Gは、約4.2:1から7.2:1の範囲の窒化ケイ素対TEOSの選択性を示した。研磨組成物1A~1Gは全て、約0.23:1(研磨組成物1G)から0.73:1(研磨組成物1A)の範囲の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物1Aに対して観察された高いTEOS除去速度は特異であり、300mm CTS研磨ツールの端部近くの高い直線研磨表面速度に起因すると考えられる。
【0064】
実施例2
この実施例は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、及びポリシリコン除去速度に対する、四級アミノ基を含むカチオン性ポリマー及び非フッ素化非イオン性界面活性剤の効果を実証する。
【0065】
TEOSコーティングシリコン、窒化ケイ素コーティングシリコン、及びポリシリコンコーティングシリコンを含む別個の基板を、研磨組成物2A~2Gの7つの異なる研磨組成物で研磨した。基板は、200mm圧盤を有するMirraツールにおいて、13.8kPaの下向き力でIC1010(商標)パッドを使用して研磨した。研磨組成物2A(比較)は、0.4重量%の湿式プロセスセリア及び50ppmのpolyMADQUATを含有していた。研磨組成物2B(比較)は、0.4重量%の湿式プロセスセリア、25ppmのpolyMADQUAT、及び25ppmのPolyQuat-2を含有していた。研磨組成物2A及び2Bのどちらも、非フッ素化非イオン性界面活性剤を含有していなかった。研磨組成物2C~2Gはそれぞれ、110nmの平均粒子サイズを有する0.2重量%の湿式プロセスセリア、及び50nmの平均粒子サイズを有する0.2重量%の湿式プロセスセリア、25ppmのpolyMADQUAT、25ppmのPolyQuat-2、ならびに60ppmの酢酸を含有していた。研磨組成物2C及び2E~2Gは、400ppmの硝酸カリウムをさらに含有していた。研磨組成物は全て、硝酸または水酸化アンモニウムでpH5.3に調節した。研磨組成物2B及び2D(本発明)は、Pluronic(商標)L31をさらに含有していた。研磨組成物2E(本発明)は、Pluronic(商標)L31及びポリビニルアルコールをさらに含有していた。研磨組成物2F(本発明)は、Pluronic(商標)L31及びPluronic(商標)P123をさらに含有していた。研磨組成物2G(本発明)は、Pluronic(商標)P123及びBrij58をさらに含有していた。
【0066】
研磨後、TEOS、窒化ケイ素、及びポリシリコンの除去速度を決定し、SiN/TEOS及びSiN/polySi選択性を計算した。結果を表2に記載する。
【表2-1】
【表2-2】
【0067】
表2に記載の結果から明らかなように、非フッ素化非イオン性界面活性剤をさらに含有する研磨組成物2C~2Gは、約19.1から約84.5の範囲の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。非フッ素化非イオン性界面活性剤を含有しない研磨組成物2A及び2Bは、約3.7及び1.7の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。Pluronic(商標)L31及びPluronic(商標)P123の組み合わせをさらに含有する研磨組成物2Fは、実質的にゼロのTEOSの除去速度を示した。
【0068】
実施例3
この実施例は、本発明の一実施形態による研磨組成物のコロイド安定性を実証する。
【0069】
研磨組成物3A~3Fの6つの研磨組成物を調製した。研磨組成物3A、3B、及び3D~3Fは、使用場所で意図されるセリアの量の3倍濃度を示す1.2重量%の湿式プロセスセリアを含有していた。研磨組成物3Cは、使用場所で意図されるセリアの量の4倍濃度を示す1.6重量%の湿式プロセスセリアを含有していた。研磨組成物3A(比較)は、156ppmのポリビニルイミダゾール(PVI)及び緩衝剤としてのトリエタノールアミン(TEA)をさらに含有していた。研磨組成物3B~3Fは、polyDADMAC及び緩衝剤としてのグリシンまたはバリンをさらに含有していた。研磨組成物の組成及びそのpH値を、表3に記載する。調製後、研磨組成物を放置し、次いで沈降の証拠を観察した。
【表3】
【0070】
表3に記載の結果から明らかなように、四級アミノ基を含まないカチオン性ポリマーを含有し、アミノ酸を含有しない研磨組成物3Aは、使用場所でその3倍濃度で不安定であった。四級アミノ基を含むカチオン性ポリマーを含有し、アミノ酸を含有する研磨組成物3B~3Fは、4.3から7の範囲のpH値において、使用場所でその3倍及び4倍の濃度で安定性を示した。
【0071】
実施例4
この実施例は、窒化ケイ素、酸化ケイ素及びポリシリコン除去速度に対する、フッ素化非イオン性界面活性剤及び非フッ素化非イオン性界面活性剤の組み合わせの効果を実証する。
【0072】
TEOSコーティングシリコン、窒化ケイ素コーティングシリコン、及びポリシリコンコーティングシリコンを含む別個の基板を、研磨組成物4A~4Dの4つの異なる研磨組成物で研磨した。基板は、200mm圧盤を有するMirraツールにおいて、20.7kPaの下向き力でIC1010(商標)パッドを使用して研磨した。研磨組成物はそれぞれ、水中0.4重量%の湿式プロセスセリアを含有していた。研磨組成物4A(比較)は、50ppmのpolyMADQUAT及び硝酸アンモニウムを4.3のpHでさらに含有していた。研磨組成物4B(本発明)は、15ppmのpolyDADMAC、グリシン、Pluronic L13(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)、及びCapstone FS3100(すなわちフッ素化非イオン性界面活性剤)を5.3のpHでさらに含有していた。研磨組成物4C(本発明)は、25ppmのpolyDADMAC、グリシン、Pluronic L13(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)、及びCapstone FS3100(すなわちフッ素化非イオン性界面活性剤)を3.3のpHでさらに含有していた。研磨組成物4D(本発明)は、25ppmのpolyDADMAC、グリシン、Pluronic L13(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)、Capstone FS3100(すなわちフッ素化非イオン性界面活性剤)、及びOKS1009(すなわちポリビニルアルコール)を4.3のpHでさらに含有していた。
【0073】
研磨後、TEOS、窒化ケイ素、及びポリシリコンの除去速度を決定した。結果を表4に記載する。
【表4-1】
【表4-2】
【0074】
表4に記載の結果から明らかなように、研磨組成物4Aは、約3.0:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約3.7:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物4Bは、約4.2:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約34:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物4Cは、約2.3:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約26:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物4Dは、約8.9:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約181:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。
【0075】
実施例5
この実施例は、窒化ケイ素、酸化ケイ素及びポリシリコン除去速度に対する、フッ素化非イオン性界面活性剤及び非フッ素化非イオン性界面活性剤の組み合わせの効果を実証する。
【0076】
TEOSコーティングシリコン、窒化ケイ素コーティングシリコン、及びポリシリコンコーティングシリコンを含む別個の基板を、研磨組成物5A~5Dの4つの異なる研磨組成物で研磨した。基板は、200mm圧盤を有するMirraツールにおいて、20.7kPaの下向き力でIC1010(商標)パッドを使用して研磨した。研磨組成物はそれぞれ、水中0.4重量%の湿式プロセスセリア、polyDADMAC、及びバリンを7のpHで含有していた。研磨組成物5A~5Cは、40ppmのpolyDADMACを含有し、研磨組成物5Dは、48ppmのpolyDADMACを含有していた。研磨組成物5A(比較)は、非イオン性界面活性剤をさらに含有していなかった。研磨組成物5B(本発明)は、Pluronic P123(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)をさらに含有していた。研磨組成物5C(本発明)は、Pluronic P123(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)及びBrij58(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)をさらに含有していた。研磨組成物5D(本発明)は、Brij58(すなわち非フッ素化非イオン性界面活性剤)及びCapstone FS3100(すなわちフッ素化非イオン性界面活性剤)をさらに含有していた。
【0077】
研磨後、TEOS、窒化ケイ素、及びポリシリコンの除去速度を決定した。結果を表5に記載する。
【表5】
【0078】
表5に記載の結果から明らかなように、研磨組成物5Aは、約2.4:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約1.1:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物5Bは、約7.2:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約59:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物5Cは、約6.4:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約52:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。研磨組成物5Dは、約4.6:1の窒化ケイ素対酸化ケイ素の選択性、及び約23:1の窒化ケイ素対ポリシリコンの選択性を示した。
【0079】
本明細書において引用される、出版物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照することにより組み込まれることが個々に、及び具体的に示され、本明細書にその全体が記載されたのと同等に、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0080】
「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」という用語、ならびに同様の指示対象の使用は、本発明の説明に関連して(特に以下の特許請求の範囲に関連して)、本明細書において別段に指定されない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含するように解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙を伴う「少なくとも1つ」という用語の使用(例えば、A及びBの少なくとも1つ)は、本明細書において別段に指定されない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AもしくはB)、または列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味するように解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、別段に指定されない限り、非制限的な用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むがそれに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段に指定されない限り、その範囲内に含まれるそれぞれの別個の値を個々に示す簡便な方法として機能することのみを意図し、それぞれの別個の値は、本明細書において個々に列挙されたものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において別段に指定されない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順番で行うことができる。本明細書において示されるありとあらゆる例、または例示的言語(例えば「等」)の使用は、本発明をより良好に明確化することのみを意図し、別段に請求されない限り、本発明の範囲に対する限定を提示するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、請求されていない任意の要素が本発明の実践に必須であるものとして示すように解釈されるべきではない。
【0081】
本発明者らにより知られている本発明を実行するための最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書において説明されている。それらの好ましい実施形態の変形例は、上記説明を読めば当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、熟練者がそのような変形例を適宜使用することを予期しており、本発明者らは、本発明が本明細書において具体的に説明されたものとは別様に実践されることを意図する。したがって、本発明は、適用法により許容されるように、本明細書に付属する特許請求の範囲において列挙される主題の全ての修正及び均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段に指定されない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。