(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】グランドバー付はんだ及び同軸ケーブルアレイ製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 35/14 20060101AFI20220209BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20220209BHJP
B23K 3/06 20060101ALI20220209BHJP
H01R 4/64 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
B23K35/14 G
B23K1/00 330Z
B23K3/06 K
H01R4/64 Z
(21)【出願番号】P 2019024398
(22)【出願日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】白川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】揚石 芳丈
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-093138(JP,A)
【文献】特開昭59-202161(JP,A)
【文献】特開昭57-100887(JP,A)
【文献】特開2017-183098(JP,A)
【文献】米国特許第06095400(US,A)
【文献】米国特許第06890191(US,B1)
【文献】中国実用新案第200984680(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/14
B23K 35/40
B23K 1/00
B23K 3/06
H01R 4/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1グランドバー、及び前記第1グランドバーの片面に取り付けられた第1はんだ層を含む第1ユニットと、
第2グランドバー、及び前記第2グランドバーの片面に取り付けられた第2はんだ層を含む第2ユニットと、
を備え、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とが対向するように配置され、
前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とは、部分的に接合しているグランドバー付はんだ。
【請求項2】
請求項1に記載のグランドバー付はんだであって、
前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とは、1箇所、又は、前記グランドバー付はんだの長手方向に沿って配列した複数個所で接合しているグランドバー付はんだ。
【請求項3】
グランドバー付はんだを用いて同軸ケーブルにグランドバーを取り付け、同軸ケーブルアレイを製造する同軸ケーブルアレイ製造方法であって、
前記グランドバー付はんだは、
第1グランドバー、及び前記第1グランドバーの片面に取り付けられた第1はんだ層を含む第1ユニットと、
第2グランドバー、及び前記第2グランドバーの片面に取り付けられた第2はんだ層を含む第2ユニットと、
を備え、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とが対向するように配置され、
前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とは、部分的に接合しており、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に、前記同軸ケーブルのうち外部導体が露出した部分を挿入し、
前記第1はんだ層及び前記第2はんだ層を加熱溶融して前記外部導体と前記グランドバーとを接合する同軸ケーブルアレイ製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の同軸ケーブルアレイ製造方法であって、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に前記同軸ケーブルを挿入する前に、
前記グランドバー付はんだに対し、前記グランドバー付はんだの長手方向において圧縮する方向の力を加えることで、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間隔を拡大する同軸ケーブルアレイ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はグランドバー付はんだ及び同軸ケーブルアレイ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、以下の技術が開示されている。複数の同軸ケーブルを並べて配置する。それぞれの同軸ケーブルは、部分的に外部導体を露出している。複数の同軸ケーブルのうち、外部導体が露出している部分を、2つのグランドバーで挟む。それぞれのグランドバーには、板状はんだが取り付けられている。板状はんだを加熱溶融することで、2つのグランドバーを複数の同軸ケーブルに取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術では、2つのグランドバーの相対的な位置がずれることがある。本開示の1つの局面は、2つのグランドバーの相対的な位置がずれ難いグランドバー付はんだ及び同軸ケーブルアレイ製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、第1グランドバー、及び前記第1グランドバーの片面に取り付けられた第1はんだ層を含む第1ユニットと、第2グランドバー、及び前記第2グランドバーの片面に取り付けられた第2はんだ層を含む第2ユニットと、を備え、前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とが対向するように配置され、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とは、部分的に接合しているグランドバー付はんだである。
【0006】
本開示の1つの局面であるグランドバー付はんだにおいて、第1はんだ層と第2はんだ層とは、部分的に接合している。そのため、グランドバー付はんだを使用するとき、第1ユニットと第2ユニットとの相対的な位置がずれ難い。また、グランドバー付はんだを使用するとき、第1ユニットと第2ユニットとの相対的な位置を調整する作業が不要となる。
【0007】
本開示の別の局面は、グランドバー付はんだを用いて同軸ケーブルにグランドバーを取り付け、同軸ケーブルアレイを製造する同軸ケーブルアレイ製造方法である。使用する前記グランドバー付はんだは、第1グランドバー、及び前記第1グランドバーの片面に取り付けられた第1はんだ層を含む第1ユニットと、第2グランドバー、及び前記第2グランドバーの片面に取り付けられた第2はんだ層を含む第2ユニットと、を備え、前記第1ユニット及び前記第2ユニットは、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とが対向するように配置され、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とは、部分的に接合している。
【0008】
本開示の別の局面である同軸ケーブルアレイ製造方法では、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に、前記同軸ケーブルのうち外部導体が露出した部分を挿入し、前記第1はんだ層及び前記第2はんだ層を加熱溶融して前記外部導体と前記グランドバーとを接合する。
【0009】
本開示の別の局面である同軸ケーブルアレイ製造方法では、本開示の1つの局面であるグランドバー付はんだを使用する。そのため、第1ユニットと第2ユニットとの相対的な位置がずれ難い。また、第1ユニットと第2ユニットとの相対的な位置を調整する作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】グランドバー付はんだ1の構成を表す平面図である。
【
図2】
図1におけるII-II断面での断面図である。
【
図3】製造装置19の構成と、グランドバー付はんだ1の製造方法とを表す説明図である。
【
図4】同軸ケーブルアレイ製造方法を表す説明図である。
【
図5】同軸ケーブル95の構成を表す断面図である。
【
図6】同軸ケーブルアレイ117の構成を表す斜視図である。
【
図7】第2実施形態におけるグランドバー付はんだ1の構成を表す断面図である。
【
図8】第2実施形態における同軸ケーブルアレイ製造方法を表す説明図である。
【
図9】第3実施形態におけるグランドバー付はんだ1の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.グランドバー付はんだ1の構成
グランドバー付はんだ1の構成を
図1及び
図2に基づき説明する。グランドバー付はんだ1の基本的な形態は、例えば、平面視において矩形の板状部材である。
図2に示すように、グランドバー付はんだ1は、第1ユニット3と、第2ユニット5と、を備える。
【0012】
第1ユニット3は、第1グランドバー7と、第1はんだ層9と、を備える。第1グランドバー7は、金属から成る矩形の板状部材である。金属として、例えば、銅等が挙げられる。第1はんだ層9は、はんだから成る層である。第1はんだ層9は、平面視において第1グランドバー7と同じ形状を有する。第1はんだ層9は、第1グランドバー7の片面に対向している。
【0013】
第1グランドバー7と第1はんだ層9とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合している。第1接合位置15及び第2接合位置17は、平面視における位置である。第1接合位置15と第2接合位置17との間に、平面視におけるグランドバー付はんだ1の中心がある。
【0014】
第1接合位置15と第2接合位置17とは、グランドバー付はんだ1の長手方向Lに沿って並んでいる。第1接合位置15と第2接合位置17とは離れている。第1グランドバー7と第1はんだ層9とは、第1接合位置15及び第2接合位置17以外の位置では接合していない。第1はんだ層9は、第1接合位置15及び第2接合位置17で第1グランドバー7に接合することにより、第1グランドバー7に取り付けられている。
【0015】
第2ユニット5は、第2グランドバー11と、第2はんだ層13と、を備える。第2グランドバー11は、第1グランドバー7と同様の部材である。第2はんだ層13は、第1はんだ層9と同様の部材である。第2はんだ層13は、第2グランドバー11の片面に対向している。
【0016】
第2グランドバー11と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合している。第2グランドバー11と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17以外の位置では接合していない。第2はんだ層13は、第1接合位置15及び第2接合位置17で第2グランドバー11に接合することにより、第2グランドバー11に取り付けられている。
【0017】
第1ユニット3及び第2ユニット5は、第1はんだ層9と第2はんだ層13とが対向するように配置されている。第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合している。第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17以外の位置では接合していない。すなわち、第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、部分的に接合している。
【0018】
2.グランドバー付はんだ1の製造方法
グランドバー付はんだ1の製造方法を、
図3に基づき説明する。グランドバー付はんだ1は、
図3に示す製造装置19を用いて製造することができる。製造装置19の構成を説明する。製造装置19は、第1供給ロール21、第2供給ロール23、第3供給ロール25、及び第4供給ロール27を備える。
【0019】
第1供給ロール21には、長尺の帯状の第1グランドバー7が巻き回されている。第2供給ロール23には、長尺の帯状の第2グランドバー11が巻き回されている。第3供給ロール25には、糸はんだ29が巻き回されている。第4供給ロール27には、糸はんだ31が巻き回されている。
【0020】
製造装置19は、ローラ33、35、37を備える。ローラ33、35、37は、第1供給ロール21から引き出された第1グランドバー7を、後述するローラ65、67に案内する。製造装置19は、ローラ39、41、43を備える。ローラ39、41、43は、第2供給ロール23から引き出された第2グランドバー11を、ローラ65、67に案内する。
【0021】
製造装置19は、ローラ45、47、49を備える。ローラ45、47、49は、第3供給ロール25から引き出された糸はんだ29を、ローラ65、67に案内する。製造装置19は、ローラ51、53、55を備える。ローラ51、53、55は、第4供給ロール27から引き出された糸はんだ31を、ローラ65、67に案内する。
【0022】
製造装置19は、圧延ローラ57、59を備える。圧延ローラ57、59は、糸はんだ29を圧延して第1はんだ層9とする。製造装置19は、圧延ローラ61、63を備える。圧延ローラ61、63は、糸はんだ31を圧延して第2はんだ層13とする。
【0023】
製造装置19は、ローラ65、67を備える。ローラ65、67は、第1グランドバー7、第1はんだ層9、第2はんだ層13、及び第2グランドバー11を、この順番で重ね合わせ、積層体75を形成する。製造装置19は、ローラ69、71、及び把持部73を備える。ローラ69、71は、積層体75を把持部73に案内する。把持部73は、積層体75の端部を把持する。
【0024】
製造装置19は、加熱装置77、79を備える。加熱装置77、79は、ローラ65、67と、ローラ69、71との間のうち、ローラ65、67の側の位置に配置されている。加熱装置77、79は、積層体75の長手方向に沿って、間隔をおいて配置されている。加熱装置77、79は、積層体75の厚み方向における両側から積層体75を加熱する。加熱装置77、79が加熱する範囲は、積層体75の幅に比べて小さい範囲である。
【0025】
製造装置19は回収箱81を備える。回収箱81は、積層体75の下方であって、加熱装置79とローラ69、71との間に配置されている。回収箱81は、上方が開放された箱である。
製造装置19を用いたグランドバー付はんだ1の製造方法を説明する。第1供給ロール21から第1グランドバー7を引き出す。第2供給ロール23から第2グランドバー11を引き出す。第3供給ロール25から糸はんだ29を引き出し、圧延ローラ57、59で圧延して第1はんだ層9とする。第4供給ロール27から糸はんだ31を引き出し、圧延ローラ61、63で圧延して第2はんだ層13とする。
【0026】
ローラ65、67により、第1グランドバー7、第1はんだ層9、第2はんだ層13、及び第2グランドバー11をこの順番で重ね合わせて積層体75を形成する。積層体75を、加熱装置77、79の中を通し、把持部73まで送り出す。積層体75の端部を把持部73で把持する。
【0027】
次に、加熱装置77、79により、積層体75の2箇所を所定時間加熱し、その後放冷する。加熱された2箇所は、第1接合位置15及び第2接合位置17となる。第1接合位置15及び第2接合位置17では、それぞれ、第1はんだ層9及び第2はんだ層13が溶融し、その後固化する。
【0028】
次に、把持部73を
図3における右側に移動させることで、積層体75のうち、第1接合位置15及び第2接合位置17が形成された部分を、回収箱81の上に移動させる。次に、切断位置83、85で積層体75を切断する。切断された積層体75は、グランドバー付はんだ1である。グランドバー付はんだ1は回収箱81の中に落下する。
【0029】
次に、把持部73により、切断位置83において、積層体75の端部を把持する。さらに、把持部73の位置を、
図3に示す位置に戻す。その結果、新たな積層体75が、加熱装置77、79に対応する位置に移動する。
なお、上記の記載では、積層体75のうち、第1接合位置15及び第2接合位置17を有する部分を切り出すことで、グランドバー付はんだ1を個々に製造したが、積層体75を切断することなく、長尺のグランドバー付はんだを製造してもよい。長尺のグランドバー付はんだは、
図1に示す形態のグランドバー付はんだ1が複数連結された形態を有する。長尺のグランドバー付はんだを用いて、後述する各実施形態の同軸ケーブルアレイ製造方法と同様の方法により、同軸ケーブルアレイ117を製造してもよい。
【0030】
3.同軸ケーブルアレイ製造方法
同軸ケーブルアレイ製造方法を、
図4~
図6に基づき説明する。
図4のS1に示すように、グランドバー付はんだ1に対し、固定部材87、89を取り付ける。固定部材87を取り付ける位置は、グランドバー付はんだ1の端部91付近である。端部91は、長手方向Lにおける一方の端部である。固定部材87は、板厚方向における両側からグランドバー付はんだ1を挟む。グランドバー付はんだ1に対する固定部材87の相対的な位置は一定である。
【0031】
固定部材89を取り付ける位置は、グランドバー付はんだ1の端部93付近である。端部93は、端部91とは反対側の端部である。固定部材89は、板厚方向における両側からグランドバー付はんだ1を挟む。グランドバー付はんだ1に対する固定部材89の相対的な位置は一定である。
【0032】
固定部材87の位置は一定のままで、固定部材89を、A方向に移動させる。このとき、グランドバー付はんだ1に対し、長手方向Lにおいて圧縮する方向の力が加わる。その結果、
図4のS2に示すように、第1接合位置15と第2接合位置17との間において、第1ユニット3と第2ユニット5との間隔94が拡大する。
【0033】
次に、
図4のS3に示すように、間隔94に、複数の同軸ケーブル95を挿入する。複数の同軸ケーブル95は、多芯ケーブルに含まれるものである。長手方向Lにおける複数の同軸ケーブル95の位置は、第1接合位置15と第2接合位置17との間である。複数の同軸ケーブル95は、長手方向Lに沿って一列に並んでいる。複数の同軸ケーブル95の軸方向は、長手方向Lに直交し、且つ、グランドバー付はんだ1の板厚方向に直交する方向である。
【0034】
図5に示すように、複数の同軸ケーブル95は、それぞれ、内部導体101、絶縁層103、第1ジャケット105、外部導体107、及び第2ジャケット109を備える。同軸ケーブル95の直径は、例えば、0.1mm~1mmである。複数の同軸ケーブル95のうち、第1ユニット3と第2ユニット5との間に挿入される部分では、第2ジャケット109が除去され、外部導体107が露出している。
【0035】
さらに、ヒータ97、99を用いて、グランドバー付はんだ1を加熱し、その後放冷する。ヒータ97、99は、板厚方向における両側からグランドバー付はんだ1を挟むように配置される。ヒータ97、99は、グランドバー付はんだ1を加熱しながら、第1ユニット3及び第2ユニット5を同軸ケーブル95に向けて加圧する。ヒータ97、99がグランドバー付はんだ1を加熱したとき、
図4のS4に示すように、第1はんだ層9及び第2はんだ層13が溶融し、はんだ111となる。溶融したはんだ111は、ヒータ97、99によって加圧されて第1グランドバー7と第2グランドバー11との間に広がる。溶融したはんだ111は、複数の同軸ケーブル95の外部導体107の外周面に接する。グランドバー付はんだ1を放冷したとき、はんだ111は固化する。はんだ111は、第1グランドバー7、第2グランドバー11、及び外部導体107を相互に接合する。第1グランドバー7、第2グランドバー11、及び外部導体107は電気的に接続する。なお、ヒータ97、99によってグランドバー付はんだ1を加熱する前に、固定部材87、89によるグランドバー付はんだ1の固定を解除してもよい。また、ヒータ97、99によってグランドバー付はんだ1を加熱する前に、長手方向Lにおいて圧縮する方向の力の付加を解除してもよい。
【0036】
さらに、
図4のS4に示すように、切断位置113、115で、第1グランドバー7、第2グランドバー11、及びはんだ111を切断する。以上の工程により、同軸ケーブルアレイ117が得られる。なお、配線スペースに余裕がある等の場合には、切断位置113、115で切断する工程を省略してもよい。
【0037】
図4のS4、及び
図6に示すように、同軸ケーブルアレイ117は、複数の同軸ケーブル95と、第1グランドバー7と、第2グランドバー11とを備える。第1グランドバー7及び第2グランドバー11は、はんだ111により、複数の同軸ケーブル95に接合されている。
【0038】
複数の同軸ケーブル95のうち、第1グランドバー7と第2グランドバー11との間に位置する部分では、外部導体107が露出している。外部導体107は、はんだ111を介して、第1グランドバー7及び第2グランドバー11と電気的に導通している。
【0039】
図6に示すように、複数の同軸ケーブル95の先端側には、第1ジャケット105が露出している部分と、内部導体101が露出している部分とが存在する。同軸ケーブル95におけるその他の部分では、第2ジャケット109が同軸ケーブル95の外周面を構成する。
【0040】
4.グランドバー付はんだ1及び同軸ケーブルアレイ製造方法が奏する効果
(1A)グランドバー付はんだ1において、第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、部分的に接合している。そのため、同軸ケーブルアレイ製造方法を実施するとき、第1ユニット3と第2ユニット5との相対的な位置がずれ難い。また、同軸ケーブルアレイ製造方法を実施するとき、第1ユニット3と第2ユニット5との相対的な位置を調整する作業が不要となる。その結果、同軸ケーブルアレイ117を短時間で容易に製造することができる。
【0041】
(1B)第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、長手方向Lに沿って配列した第1接合位置15及び第2接合位置17で接合している。そのため、第1ユニット3と第2ユニット5との相対的な位置が一層ずれ難い。
【0042】
(1C)同軸ケーブルアレイ製造方法では、間隔94に複数の同軸ケーブル95を挿入する前に、グランドバー付はんだ1に対し、長手方向Lにおいて圧縮する方向の力を加えることで、間隔94を拡大する。そのため、間隔94に複数の同軸ケーブル95を挿入する作業が一層容易である。
<第2実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0043】
前述した第1実施形態では、第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合していた。また、第1グランドバー7と第1はんだ層9とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合していた。また、第2グランドバー11と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合していた。
【0044】
これに対し、第2実施形態では、
図7に示すように、第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、第1接合位置15のみで接合している点で、第1実施形態と相違する。また、第1グランドバー7と第1はんだ層9とは、第1接合位置15のみで接合している点で、第1実施形態と相違する。また、第2グランドバー11と第2はんだ層13とは、第1接合位置15のみで接合している点で、第1実施形態と相違する。第1接合位置15は、長手方向Lにおいて、中央よりも端部91の側にある。
【0045】
第2実施形態では、第1実施形態と基本的には同様の方法で、グランドバー付はんだ1を製造することができる。ただし、グランドバー付はんだ1を製造するとき、製造装置19が備える加熱装置79は使用せず、加熱装置77のみを使用する。加熱装置77が加熱した位置は、第1接合位置15となる。
【0046】
第2実施形態では、
図8に示すように、第1実施形態と同様の方法で、同軸ケーブルアレイ117を製造することができる。
図8のS12、S13に示すように、第2接合位置17が存在しなくても、グランドバー付はんだ1に対し、長手方向Lにおいて圧縮する方向の力を加えると、間隔94が拡大する。
【0047】
2.グランドバー付はんだ1及び同軸ケーブルアレイ製造方法が奏する効果
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)、(1C)を奏する。
<第3実施形態>
1.第1実施形態との相違点
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0048】
前述した第1実施形態では、第1グランドバー7と第1はんだ層9とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合していた。また、第2グランドバー11と第2はんだ層13とは、第1接合位置15及び第2接合位置17で接合していた。
【0049】
これに対し、第3実施形態では、
図9に示すように、第1はんだ層9は、その全面にわたって第1グランドバー7と接合している。また、第2はんだ層13は、その全面にわたって第2グランドバー11と接合している。
【0050】
前述した第1実施形態では、第1はんだ層9及び第2はんだ層13は、糸はんだを圧延して形成されたものであった。これに対し、第3実施形態では、第1はんだ層9及び第2はんだ層13は、はんだめっきの方法で形成されたものである。
【0051】
第3実施形態では、以下の方法でグランドバー付はんだ1を製造することができる。第1グランドバー7の片面に、はんだめっきの方法で第1はんだ層9を形成し、第1ユニット3を製造する。また、第2グランドバー11の片面に、はんだめっきの方法で第2はんだ層13を形成し、第2ユニット5を製造する。なお、大面積の板材にはんだめっきの方法ではんだ層を形成することではんだ層付き板材を製造し、次に、はんだ層付き板材から、第1ユニット3及び第2ユニット5を切り出してもよい。
【0052】
次に、第1はんだ層9と第2はんだ層13とが対向するように、第1ユニット3及び第2ユニット5を積層する。次に、第1接合位置15及び第2接合位置17を加熱し、その後放冷する。このとき、第1接合位置15及び第2接合位置17において、第1はんだ層9と第2はんだ層13とが接合し、グランドバー付はんだ1が完成する。なお、第1はんだ層9と第2はんだ層13とは、第1接合位置15のみで接合してもよい。
【0053】
2.グランドバー付はんだ1及び同軸ケーブルアレイ製造方法が奏する効果
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果を奏し、さらに以下の効果を奏する。
(3A)第3実施形態では、第1はんだ層9は、その全面にわたって第1グランドバー7に接続している。そのため、第1はんだ層9が、第1グランドバー7から離れて、第2はんだ層13の方向に移動することを抑制できる。また、第3実施形態では、第2はんだ層13は、その全面にわたって第2グランドバー11に接続している。そのため、第2はんだ層13が、第2グランドバー11から離れて、第1はんだ層9の方向に移動することを抑制できる。そのことにより、間隔94が狭くなってしまうことを抑制できる。その結果、間隔94に複数の同軸ケーブル95を挿入する作業が一層容易である。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0054】
(1)グランドバー付はんだ1において第1はんだ層9と第2はんだ層13とが接合している箇所の数は、3以上であってもよい。
(2)グランドバー付はんだ1において第1はんだ層9と第2はんだ層13とが接合している箇所の一部又は全部は、長手方向Lに対し交差する方向に沿って配列していてもよい。
(3)間隔94を拡大する方法は、以下の方法であってもよい。まず、間隔94に、間隔拡大ユニットを挿入する。間隔拡大ユニットは、分離可能な2つの部材から成る。間隔拡大ユニットは、例えば、重ねられた2枚の板状部材である。また、間隔拡大ユニットは、例えば、片面に1以上の凸部を有する部材と、片面に1以上の凹部を有する部材とから構成される。間隔94に挿入されるときは、一方の部材の凸部と、他方の部材の凹部とがかみ合っている。一方の部材の凸部と、他方の部材の凹部とがかみ合っているとき、間隔拡大ユニットの形状は、例えば、1つの板形状である。
次に、間隔拡大ユニットを構成する2つの部材を分離させる。2つの部材のうち一方により、第1はんだ層9を、第2はんだ層13から遠ざかる方向に押す。また、2つの部材のうち他方により、第2はんだ層13を、第1はんだ層9から遠ざかる方向に押す。その結果、間隔94が拡大する。
【0055】
(4)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0056】
(5)上述したグランドバー付はんだの他、当該グランドバー付はんだを構成要素とするシステム、グランドバー付はんだの製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1…グランドバー付はんだ、3…第1ユニット、5…第2ユニット、7…第1グランドバー、9…第1はんだ層、11…第2グランドバー、13…第2はんだ層、19…製造装置、73…把持部、75…積層体、77、79…加熱装置、81…回収箱、87、89…固定部材、91、93…端部、94…間隔、95…同軸ケーブル、97、99…ヒータ、101…内部導体、103…絶縁層、105…第1ジャケット、107…外部導体、109…第2ジャケット、111…はんだ、117…同軸ケーブルアレイ