(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】エッジ均一性制御のための調整可能な延長電極
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20220209BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H01L21/302 101G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017220797
(22)【出願日】2017-11-16
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ リュエール
(72)【発明者】
【氏名】レオニド ドーフ
(72)【発明者】
【氏名】ラジンダー ディンドサ
(72)【発明者】
【氏名】スニル スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】デニス エム コーサウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ロジャース
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-188103(JP,A)
【文献】特表2005-539397(JP,A)
【文献】特表2010-532101(JP,A)
【文献】特開2012-064671(JP,A)
【文献】特開2012-138497(JP,A)
【文献】特開2015-050156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0053428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0223810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0061351(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0235063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ用のプロセスキットであって、プロセスキットは、
上面及び底面を有する第1リングであって、底面は基板支持部材によって支持され、底面は基板支持部材によって支持される基板の下に少なくとも部分的に延在する第1リングと、
第1リングの下に配置された調整可能な調整リングであって、調整可能な調整リングは上面及び底面を有し、調整可能な調整リングの上面及び第1リングは調整可能なギャップを画定
し、
環状体と、
環状体内に形成され、環状体の底面に形成された空洞と、
環状体内に形成され、調整可能な調整リングの上面から空洞内へと延在するアクセスオリフィスとを含む調整可能な調整リングと、
調整可能な調整リングの底面とインターフェース接続された作動機構であって、第1リングの底面と調整可能な調整リングの上面との間に画定された調整可能なギャップを変化させるように構成された作動機構とを含むプロセスキット。
【請求項2】
作動機構は、プラズマとエッジリングとの間に形成されるプラズマシースの厚さを制御するように構成される、請求項1記載のプロセスキット。
【請求項3】
処理チャンバであって、
基板を支持するように構成された基板支持部材と、
冷却プレートと、
基板支持部材によって支持されたプロセスキットとを含み、プロセスキットは、
上面及び底面を有する第1リングであって、底面は基板支持部材によって支持され、底面は基板支持部材によって支持される基板の下に少なくとも部分的に延在する第1リングと、
第1リングの下に配置された調整可能な調整リングであって、調整可能な調整リングは上面及び底面を有し、調整可能な調整リングの上面及び第1リングは調整可能なギャップを画定
し、横方向に0インチより大きく0.03インチより小さい横方向のギャップを形成しながら冷却プレートを囲む調整可能な調整リングと、
調整可能な調整リングの底面とインターフェース接続された作動機構であって、第1リングの底面と調整可能な調整リングの上面との間に画定された調整可能なギャップを変化させるように構成された作動機構とを含む処理チャンバ。
【請求項4】
調整可能な調整リングは、導電性材料から形成される、請求項1記載のプロセスキット又は請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項5】
調整可能なギャップは、0~4mmの間で調整可能である、請求項1記載のプロセスキット又は請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項6】
作動機構は、
第1端部及び第2端部を有するリフトピンであって、リフトピンの第1端部は調整可能な調整リングの底面に接触し、リフトピンの第2端部はリフト機構と連通しているリフトピンを含む、請求項1記載のプロセスキット又は請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項7】
調整可能な調整リングは、
環状体と、
環状体内に形成され、環状体の底面に形成された空洞と、
環状体内に形成され、調整可能な調整リングの上面から空洞内へと延在するアクセスオリフィスとを含む、請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項8】
作動機構は、空洞内に少なくとも部分的に配置されたネジであり、ネジは、アクセスオリフィスを通して回転され、調整可能な調整リングを作動させるように構成される、
請求項1記載のプロセスキット又は請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項9】
空洞は第1直径を有し、アクセスオリフィスは第2直径を有し、第1直径は第2直径よりも大きい、
請求項1記載のプロセスキット又は請求項7記載の処理チャンバ。
【請求項10】
作動機構は、プラズマとエッジリングとの間に形成されたプラズマシースの厚さを制御するように構成される、請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項11】
基板支持部材は、
ベースと、
ベースによって支持された冷却プレートと、
冷却プレートの上面に配置された静電チャックとを含む、請求項3記載の処理チャンバ。
【請求項12】
調節可能な調整リングは、約0~2mmの間で冷却プレートから離間している、請求項11記載の処理チャンバ。
【請求項13】
基板を処理する方法であって、
基板処理チャンバ内に配置された基板支持部材上に基板を配置するステップと、
基板の上方にプラズマを形成するステップと、
調整可能な調整リングを作動させることによって調整可能な調整リングとエッジリングとの間の間隔を調整して基板のエッジでイオンの方向を変えるステップとを含み
、調整可能な調整リングを作動させることは、調整可能な調整リング内の空洞内に少なくとも部分的に配置されたネジを回転させることを含む方法。
【請求項14】
調整可能な調整リングを作動させるステップは、
プラズマとエッジリングとの間に形成されたプラズマシースの厚さを変化させるステップを含む、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書に記載の実施形態は、概して、基板処理装置に関し、より詳細には、基板処理装置用の改良されたプロセスキットに関する。
【0002】
(関連技術の説明)
半導体技術ノードが縮小されたサイズのデバイスジオメトリと共に進歩するにつれて、基板エッジのクリティカルディメンジョンの均一性の要件がより厳しくなり、ダイの歩留まりに影響を与えている。商業的なプラズマリアクタは、基板全域にわたるプロセス均一性(例えば、温度、ガス流、RF電力など)を制御するための複数の調整可能なノブを含む。典型的には、エッチングプロセスにおいて、シリコン基板は、静電チャックに静電的にクランプされながらエッチングされる。
【0003】
処理中、基板支持体上に載置された基板は、基板上に材料を堆積させ、基板から材料の一部を除去又はエッチングするプロセスを、しばしば連続又は交互のプロセスで受ける可能性がある。典型的には、基板の表面全域にわたって均一な堆積速度及びエッチング速度を有することが有益である。しかしながら、プロセスの不均一性がしばしば基板の表面全域にわたって存在し、基板の周縁部又はエッジで顕著である可能性がある。周縁部におけるこれらの不均一性は、電場の終端の影響に起因する可能性があり、時にはエッジ効果と呼ばれる。堆積又はエッチングの間に、少なくとも1つの堆積リングを含むプロセスキットが時には提供され、基板の周縁部又はエッジにおける均一性に好影響を与える。
【0004】
したがって、基板処理装置のための改良されたプロセスキットが絶えず必要とされている。
【概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、概して、基板処理装置に関する。一実施形態では、基板処理チャンバ用のプロセスキットが本明細書に開示される。プロセスキットは、第1リング、調整可能(アジャスタブル)な調整(チューニング)リング、及び作動機構を含む。第1リングは、上面及び底面を有する。底面は、基板支持部材によって支持される。底面は、基板支持部材によって支持される基板の下に少なくとも部分的に延在する。調整可能な調整リングは、第1リングの下に配置される。調整可能な調整リングは、上面及び底面を有する。調整可能な調整リングの上面及び第1リングは、調整可能なギャップを画定する。作動機構は、調整可能な調整リングの底面とインターフェース接続される。作動機構は、第1リングの底面と調整可能な調整リングの上面との間に画定された調整可能なギャップを変化させるように構成される。
【0006】
別の一実施形態では、処理チャンバが本明細書に開示される。処理チャンバは、基板支持部材及びプロセスキットを含む。基板支持部材は、基板を支持するように構成される。プロセスキットは、基板支持部材によって支持される。プロセスキットは、第1リング、調整可能な調整リング、及び作動機構を含む。第1リングは、上面及び底面を有する。底面は、基板支持部材によって支持される。底面は、基板支持部材によって支持される基板の下に少なくとも部分的に延在する。調整可能な調整リングは、第1リングの下に配置される。調整可能な調整リングは、上面及び底面を有する。調整可能な調整リングの上面及び第1リングは、調整可能なギャップを画定する。作動機構は、調整可能な調整リングの底面とインターフェース接続される。作動機構は、第1リングの底面と調整可能な調整リングの上面との間に画定された調整可能なギャップを変化させるように構成される。
【0007】
別の一実施形態では、基板を処理する方法が本明細書に開示される。基板は、基板処理チャンバ内に配置された基板支持部材上に配置される。プラズマは基板の上方に生成される。調整可能な調整リングとエッジリングとの間の間隔は、調整可能な調整リングを作動させることによって調整され、基板のエッジでプラズマイオンの方向を変える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】一実施形態に係る、処理チャンバの断面図である。
【
図2A】一実施形態に係る、
図1の処理チャンバの拡大部分断面図である。
【
図2B】一実施形態に係る、
図1の処理チャンバの拡大部分断面図である。
【
図3】一実施形態に係る、2つの静電容量経路を示す、
図1の処理チャンバの一部の簡略断面図である。
【
図4】本開示の別の利点を示す、一実施形態に係る、
図1の処理チャンバの一部の簡略断面図である。
【0009】
明確にするために、図面に共通する同一の要素を示す際には適用可能な限り同一の参照番号を使用している。また、一実施形態の要素は、本明細書に記載される他の実施形態での利用に対して有利に適合させることができる。
【詳細な説明】
【0010】
図1は、一実施形態に係る、調整可能な調整リング150を有する処理チャンバ100の断面図である。図示されるように、処理チャンバ100は、基板(例えば、基板101)をエッチングするのに適したエッチングチャンバである。本開示から恩恵を受けるように適合され得る処理チャンバの例は、カリフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズ社(Applied Materials、Inc.)から市販されている、Sym3(商標名)処理チャンバ、C3(商標名)処理チャンバ、及びMesa(商標名)処理チャンバである。堆積チャンバ及び他の製造業者からのものを含む他の処理チャンバは、本開示から恩恵を受けるように適合され得ることが考えられる。
【0011】
処理チャンバ100は、様々なプラズマ処理のために使用することができる。一実施形態では、処理チャンバ100を使用して、1以上のエッチング剤によりドライエッチングを行うことができる。例えば、処理チャンバは、前駆体CxFy(ただし、xとyは異なる許容される組み合わせとすることができる)、O2、NF3、又はそれらの組み合わせからのプラズマの点火のために使用することができる。
【0012】
処理チャンバ100は、チャンバ本体102、蓋アセンブリ104、及び支持アセンブリ106を含む。蓋アセンブリ104は、チャンバ本体102の上端部に配置される。支持アセンブリ106は、チャンバ本体102によって画定される内部容積108内にさらされる。チャンバ本体102は、その側壁に形成されたスリットバルブ開口部110を含む。スリットバルブ開口部110は選択的に開閉され、基板ハンドリングロボット(図示せず)によって内部容積108へのアクセスを可能にする。
【0013】
チャンバ本体102は、支持アセンブリ106を取り囲むライナ112を更に含むことができる。ライナ112は、修理及び洗浄のために取り外し可能である。ライナ112は、金属(例えば、アルミニウム)、セラミックス材料、又は他のプロセス適合性材料で作製することができる。1以上の実施形態では、ライナ112は、1以上の開口部114と、真空ポート118と流体連通する内部に形成されたポンピングチャネル116とを含む。開口部114は、ガスのポンピングチャネル116内への流路を提供する。ポンピングチャネル116は、真空ポート118へのチャンバ100内のガスの排出を提供する。
【0014】
真空システム120は、真空ポート118に結合される。真空システム120は、真空ポンプ122及びスロットルバルブ124を含むことができる。スロットルバルブ124は、チャンバ100を通るガスの流れを調節する。真空ポンプ122は、内部容積108内に配置された真空ポート118に結合される。
【0015】
蓋アセンブリ104は、その間にプラズマ容積又は空洞を形成するように構成された少なくとも2つの積み重ねられたコンポーネントを含む。1以上の実施形態では、蓋アセンブリ104は、第2電極128(「下部電極」)の鉛直方向上方に配置された第1電極126(「上部電極」)を含む。上部電極126及び下部電極128は、その間にプラズマ空洞130を閉じ込める。第1電極126は、電源132(例えば、RF電源)に結合される。第2電極128は、グランドに接続され、2つの電極126、128の間に静電容量(キャパシタンス)を形成する。上部電極126は、ガス入口134と流体連通している。1以上のガス入口134の第1端部は、プラズマ空洞130内に開放している。
【0016】
蓋アセンブリ104はまた、第1電極126を第2電極128から電気的に絶縁するアイソレータリング136を含むことができる。アイソレータリング136は、酸化アルミニウム又は任意の他の絶縁性の加工適合性材料から作製することができる。
【0017】
蓋アセンブリはまた、ガス分配プレート138及びブロッカプレート140を含むことができる。第2電極128、ガス分配プレート138、及びブロッカプレート140は、チャンバ本体102に結合された蓋リム142上に積み重ねられ配置することができる。
【0018】
1以上の実施形態では、第2電極128は、プラズマ空洞130の下に形成された複数のガス通路144を含むことができ、プラズマ空洞130からのガスがそこを通って流れることを可能にする。ガス分配プレート138は、そこを通ってガス流を分配するように構成された複数の開口部146を含む。ブロッカプレート140は、第2電極128とガス分配プレート138との間にオプションとして配置されてもよい。ブロッカプレート140は、複数の開口部148を含み、第2電極128からガス分配プレート138まで複数のガス通路を提供する。
【0019】
支持アセンブリ106は、支持部材180を含むことができる。支持部材180は、処理のために基板101を支持するように構成される。支持部材180は、チャンバ本体102の底面を貫通して延びるシャフト184を介してリフト機構182に結合することができる。リフト機構182は、シャフト184の周囲からの真空漏れを防止するベローズ186によってチャンバ本体102にフレキシブルにシールされてもよい。リフト機構182は、支持部材180が下部の搬送部分と多数の上部の処理位置との間でチャンバ本体102内を鉛直方向に移動することを可能にする。更に、1以上のリフトピン188が、支持部材180を貫通して配置することができる。1以上のリフトピン188は、支持部材180を貫通して延在するように構成され、これによって基板101は支持部材180の表面から持ち上げることができる。1以上のリフトピン188は、リフトリング190によってアクティブにすることができる。
【0020】
図2Aは、一実施形態に係る、支持部材180に接して内部に配置されたプロセスキット200を示す処理チャンバ100の一部の部分断面図である。支持部材180は、静電チャック202、冷却プレート(又はカソード)204、及びベース206を含む。冷却プレート204は、ベース206の上に配置される。冷却プレート204は、それを通して冷却液を循環させるための複数の冷却チャネル(図示せず)を含むことができる。冷却プレート204は、接着剤又は任意の適切な機構によって静電チャック202と係合することができる。1以上の電源208を冷却プレート204に結合することができる。静電チャック202は、1以上のヒータ(図示せず)を含むことができる。1以上のヒータは、独立して制御可能であってもよい。1以上のヒータにより、静電チャック202は、基板101の底面から基板101を所望の温度に加熱することができる。
【0021】
プロセスキット200は、支持部材180上に支持することができる。プロセスキット200は、環状体230を有するエッジリング210を含む。本体(環状体)230は、上面209、底面211、及び内側エッジ232及び外側エッジ234を含む。上面209は、底面211と実質的に平行である。内側エッジ232は、外側エッジ234と実質的に平行であり、底面211に対して実質的に垂直である。本体230は、内部に画定された段差面236を更に含む。段差面236は、内側エッジ232に形成され、これによって段差面236は、底面211と実質的に平行となる。段差面236は、基板(例えば、基板101)を受けるための凹部を画定する。エッジリング210は、支持部材180の外周部を覆い、支持部材180を堆積から保護するように適合されている。
【0022】
プロセスキット200は、カバーリング212及び石英リング214を更に含むことができる。カバーリング212は、上面240、底面242、内側エッジ244、及び外側エッジ246を有する環状体238を含む。上面240は、底面242に実質的に平行である。内側エッジ244は、外側エッジ246に実質的に平行であり、底面242に対して実質的に垂直である。
図2Aに示される実施形態では、ノッチ248が、本体238の底面242に形成される。石英リング214は、支持部材180に隣接して配置される。石英リング214は、上面252、底面254、内側エッジ256、及び外側エッジ258を有する環状体251を含む。石英リング214は、処理チャンバ100内でカバーリング212を支持するように構成される。例えば、図示の実施形態では、石英リング214は、カバーリング212の底面242からカバーリング212を支持する。いくつかの実施形態では、石英リング214は、突出部材263を含むことができる。突出部材263は、石英リングの上面252から突出している。突出部材263は、カバーリング212の底面242に形成されたノッチ248と嵌合するように構成される。カバーリング212は、エッジリング210の外周部216に沿って配置される。エッジリング210は、粒子がエッジリング210の下に滑ることを防止するように構成される。
【0023】
プロセスキット200は、上面215及び底面217を有する調整可能な調整リング150を更に含む。調整可能な調整リング150は、導電性材料(例えば、アルミニウム)から形成することができる。調整可能な調整リング150は、石英リング214と支持部材180との間でエッジリング210の下に配置され、ギャップ250を形成する。例えば、一実施形態では、調整可能な調整リング150は、冷却プレート204に沿って静電チャック202を過ぎて下方に延びる。一実施形態では、調整可能な調整リング150は、冷却プレート204の底部まで延在する高さを有する。このように、調整可能な調整リング150は、冷却プレート204からの電力をエッジリング210に結合することができる。調整可能な調整リング150は、冷却プレート204に外接することができ、したがって、横方向に離間したギャップ255を形成する。一例では、横方向に離間したギャップは、0インチより大きく0.03インチ以下である。調整可能な調整リング150は、リフトピン218とインターフェース接続する。なお、「インターフェース接続」なる用語は、本明細書内で幅広く使用され、直接協働して共に作用することを意味し、直接的/間接的機械的結合、及び/又は有線/無線伝達を介することができる。例えば、リフトピン218は、調整可能な調整リング150と動作可能に結合させることができる。リフトピン218は、リフト機構183によって駆動される。いくつかの実施形態では、リフトピン218は、リフト機構183から独立したリフト機構(図示せず)によって駆動することができる。リフト機構183は、調整可能な調整リング150をチャンバ100内で鉛直方向に移動させることができる。一実施形態では、調整可能な調整リングは、0mmより大きく4mm以下(例えば、2~4mm)鉛直方向に移動させることができる。調整リング150を鉛直方向に移動させることにより、エッジリングと結合するRF電力が変化する。一実施形態では、調整可能な調整リング150は、調整可能な調整リング150の上面215に形成されたコーティング281を含むことができる。例えば、コーティング281は、酸化イットリウムコーティング又はゲル様コーティングであってもよい。コーティング281を使用して、プラズマと調整可能な調整リング150との間の化学反応を制限し、こうして、粒子の生成及びリングの損傷を制限する。別の一実施形態では、1以上の誘電体パッド(例えば、テフロン(登録商標)パッド)289が、調整可能な調整リング150と冷却プレート204との間の内部に配置され、その上にエッジリング210が着座する。1以上の誘電体パッド289は、静電容量302を減少させるためにエッジリング210と静電チャックとの間にギャップを作り、これによってカソードからリング210に結合される電力が最小になる。
【0024】
別の一実施形態(例えば、
図2Bに示されるもの)では、調整可能な調整リング150は手動で動かすことができ、これによってリフトピン218の必要性を排除する。調整リング150は、空洞260及びその中に形成されたアクセスオリフィスを含むことができる。アクセスオリフィス262は、調整可能な調整リング150の上部から形成され、空洞260内へと下方に延びる。アクセスオリフィス262は、空洞260の第2直径265より小さい第1直径264を有する。空洞260は、アクセスオリフィス262の下に形成されている。空洞260は、調整リング150の底部まで形成されている。空洞260は、ネジ266を収容するように構成されている。ネジ266は、例えば、アクセスオリフィス262を介して空洞260内に延在する六角キー(図示せず)を介して回転させることができ、これによってネジ266は調整リング150を上昇/下降させることができる。
【0025】
図3は、一実施形態に係る、2つの静電容量を示す、
図1の処理チャンバの一部の簡略断面図である。電力は、2つの静電容量302、304を通る2つの経路に沿って、カソード204からエッジリングに結合させることができる。結合される電力の量は、これらの2つの経路に沿った静電容量に依存する。静電容量302は固定されている。静電容量304は変化させることができる。例えば、静電容量304は、調整可能な調整リング150をエッジリング210の下で鉛直方向に移動させることによって調整することができ、したがって、その間に形成されるギャップ250を変化させる。調整可能な調整リング150とエッジリング210との間のギャップ250を制御することにより、それらの間の静電容量が制御される。数学的には、静電容量は下記の数1で表すことができ、ただし、εは2つの電極間の材料の誘電率(ギャップ250が空気の場合1)を表し、ε
0は自由空間の誘電率を表し、面積は調整可能な調整リング150の面積を表し、ギャップはギャップ250を表す。
【数1】
示されるように、ギャップが減少するにつれて、面積/ギャップの値が増加し、全体的な静電容量Cの増加につながる。ギャップが増加するにつれて(すなわち、調整可能な調整スリーブがエッジリング210から遠ざかるにつれて)、面積/ギャップの値は減少し、全体の静電容量Cを減少させる。このように、ギャップ値を制御することによって、エッジリング210とカソード204との間の静電容量が変化する。静電容量の変化は、エッジリング210とカソード204との間に結合される電力(したがって、エッジリング210に印加される電圧)を変化させる。例えば、ギャップ250の減少から静電容量が増加するにつれて、エッジリング210に印加される電圧が増加する。エッジリング210に印加される電圧を制御することにより、基板101及びエッジリング210の周りのプラズマシースの制御が可能になる。その効果については、
図4に関連して以下でより詳細に説明する。
【0026】
図4は、本開示の別の利点を示す、一実施形態に係る、処理チャンバ100の一部を示す。調整可能な調整リング150とエッジリング210との間の鉛直ギャップ402を調整することにより、エッジリング210に印加される電圧が増加/減少する。この電圧を使用して、基板101のエッジ406でプラズマシース404のプロファイルを制御して、基板エッジ406でのクリティカルディメンジョンの均一性を補償することができる。プラズマシース404は、プラズマの本体をその材料境界に結合する空間電荷によって形成される強い電場の薄い領域である。数学的には、シースの厚さdは、下記数2のチャイルド・ラングミュア方程式で表される。
【数2】
【0027】
ただし、iはイオン電流密度、εは真空の誘電率、eは素電荷、Vpはプラズマ電位、VDCは直流電圧である。
【0028】
エッチングリアクタの場合、プラズマと、エッチングされる基板101、チャンバ本体102、及びプラズマと接触する処理チャンバ100のあらゆる他の部分との間に、プラズマシース404が形成される。プラズマ中で生成されたイオンは、プラズマシース内で加速され、プラズマシースに対して垂直に移動する。VDCを制御すること(すなわち、エッジリング210に印加される電圧を制御すること)は、シース404の厚さdに影響を及ぼす。例えば、静電容量が減少するので電圧が増加すると、Vp-VDCの値が減少するのでシース404の厚さは減少する。したがって、調整可能な調整リング150の移動は、シース404の形状に影響を及ぼし、これは次に、プラズマイオンの方向を制御する。
【0029】
図1に戻って参照すると、調節可能な調整リングの制御は、コントローラ191によって制御することができる。コントローラ191は、処理システムの様々なコンポーネントに結合され、基板処理の制御を促進する、メモリ194及び大容量記憶装置、入力制御ユニット、及びディスプレイユニット(図示せず)(例えば、電源、クロック、キャッシュ、入出力(I/O)回路、及びライナ)と共に動作可能なプログラミング可能な中央処理装置(CPU)192を含む。
【0030】
上述したチャンバ100の制御を促進するために、CPU192は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために工業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つ(例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC))とすることができる。メモリ194はCPU192に結合され、メモリ194は非一時的であり、容易に利用可能なメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピー(商標名)ディスクドライブ、ハードディスク、又はローカル又はリモートの他の形態のデジタル記憶装置)のうちの1以上とすることができる。サポート回路196は、CPU192に結合され、従来の方法でプロセッサをサポートする。荷電種の生成、加熱、及び他のプロセスは、一般的に、(通常はソフトウェアルーチンとして)メモリ194に記憶される。ソフトウェアルーチンはまた、CPU192によって制御される処理チャンバ100から遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶及び/又は実行されてもよい。
【0031】
メモリ194は、CPU192によって実行されると、チャンバ100の動作を促進する命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態である。メモリ194内の命令は、プログラム製品の形態(例えば、本開示の方法を実装するプログラム)である。プログラムコードは、多数の異なるプログラミング言語のうちのいずれか1つに準拠することができる。一例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装することができる。プログラム製品のプログラムは、(本明細書に記載の方法を含む)実施形態の機能を定義する。例示的なコンピュータ可読記憶媒体には、(i)情報が永久に格納される書き込み不可能な記憶媒体(例えば、コンピュータ内のリードオンリーメモリ装置(例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク)、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意のタイプの固体(ソリッドステート)不揮発性半導体メモリ)と、(ii)変更可能な情報が格納される書込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピー(商標名)ディスク又はハードディスクドライブ又は任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれるが、これらに限定されない。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を持っている場合、本開示の実施形態となる。
【0032】
上記は特定の実施形態を対象としているが、他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。