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特許7022147(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー、それらの調製法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー、それらの調製法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/00 20060101AFI20220209BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20220209BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20220209BHJP
   C08F 290/04 20060101ALI20220209BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20220209BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220209BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C08F8/00
C08G73/10
C08F293/00
C08F290/04
C09J179/08
C09J133/00
C09J4/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019556828
(86)(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2017081432
(87)【国際公開番号】W WO2018191954
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2020-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】シー・ジューミン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンボ・オウヤン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-167226(JP,A)
【文献】特開2002-341535(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056595(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00
C08G 73/10
C08F 290/00
C09J 179/08
C09J 133/00
C09J 4/02
C08F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式(I)中、m及びnは、各々、独立して、2~50の整数を表す;
及びR14は互いに同一又は異なり、独立して、水素又はメチルである;
はC-C12アルキル基から選択される;
は-CH(CH)-又は-C(CH-である;
はC-C12アルキレン基から選択される;
はC-C30脂環式基及びC-C30アリーレン基から選択される2価の連結単位を表す;及び
Aは、C-C14脂肪族基、C-C30脂環式基、C-C30 アレーンテトライル基、及び前記基と、エーテル基、スルホン基、スルフィド基、アミド基、エステル基、-C(O)-、-SO-、C -C 20 アルキレン基、ハロゲン化C -C 20 アルキレン基(C -C 20 ペルフルオロアルキレン基を含む)又は、Zが次の基:
【化2】
から選択される2価の連結基である、-O-Z-O-により表される基(式中、R はエーテル基、スルフィド基、-C(O)-、スルホン基、-SO-、C -C 20 アルキレン基及びハロゲン化C -C 20 アルキレン基(C -C 20 ペルフルオロアルキレン基を含む)から選択される)との組み合わせから選択される、4価の連結単位を表す。]
で表される、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー。
【請求項2】
が、C-Cアルキル基から選択される、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
が、C-Cアルキレン基から選択される、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
Aが、次の基:
【化3】
[式中、Rは2価の連結単位である。]
から選択される、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項5】
はベンゼン環の3,3’-、3,4’-、4,3’-又は4,4’-位にある、請求項4に記載のコポリマー。
【請求項6】
はエーテル基、スルフィド基、-C(O)-、スルホン基、-SO-、C-C20アルキレン基、ハロゲン化C-C20アルキレン基(C-C20ペルフルオロアルキレン基を含む)及び、Zが次の基:
【化4】
から選択される2価の連結基である、-O-Z-O-により表される基、から選択され、
はエーテル基、スルフィド基、-C(O)-、スルホン基、-SO-、C-C20アルキレン基及びハロゲン化C-C20アルキレン基(C-C20ペルフルオロアルキレン基を含む)から選択される、請求項4に記載のコポリマー。
【請求項7】
が、次の基:
【化5】
[式中、R~R13は、各々、独立して、C-C20アルキレン基及びC-C20ペルフルオロアルキレン基を含む、それらのハロゲン化誘導体から選択される。]
から選択される、請求項1~6のうちのいずか一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
前記コポリマーが、式II~式IV:
【化6】
[式中、R~R、R、R10、R11、R14、m及びnは、各々、請求項1~5のうちのいずれか一項に定義されているものである。]
のうちのいずれか1つにより表される、請求項1~7のうちのいずか一項に記載のコポリマー。
【請求項9】
GPCにより測定される、2,000~1,000,000ドルトンの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1~8のうちのいずか一項に記載のコポリマー。
【請求項10】
10,000~500,000ドルトンの数平均分子量(Mn)を有する、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
15,000~300,000ドルトンの数平均分子量(Mn)を有する、請求項9又は10に記載のコポリマー。
【請求項12】
ポリ(メタ)アクリラートブロックに対するポリイミドブロックの数の比、すなわち、m:2n、が、1:2~1:50である、請求項1~11のうちのいずか一項に記載のコポリマー。
【請求項13】
--ジアミン、酸二無水物及びモノアミンを反応させて、スキーム1に記載のポリアミド酸を形成する工程;
【化7】
--該ポリアミド酸を脱水してポリイミドを形成する工程;
--該ポリイミド及び(メタ)アクリラートを反応させて、式V:
【化8】
により表される、臭素末端ポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを形成する工程;
及び
--該臭素末端ポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを(メタ)アクリル酸と反応させて、式I、
[式中、R~R、R14、A、m及びnは、各々、請求項1~6のうちのいずれか一項に定義されている。]
で表される、前記(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを形成する工程;
を含む、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載の(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを調製するための方法。
【請求項14】
請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のコポリマーを含む、光硬化性接着剤組成物。
【請求項15】
前記光硬化性接着剤組成物が液体の光学的に透明な接着剤である、請求項14に記載の光硬化性接着剤組成物。
【請求項16】
(メタ)アクリラートモノマー及び/又は光開始剤をさらに含む、請求項14又は15に記載の光硬化性接着剤組成物
【請求項17】
前記(メタ)アクリラートモノマーが、一官能性又は二官能性である、請求項16に記載の光硬化性接着剤組成物
【請求項18】
前記光開始剤が、ベンゾインエーテル光開始剤、ベンジルケタール光開始剤、アセトフェノン光開始剤、アントラキノン光開始剤、チオキサントン光開始剤、ベンゾフェノン光開始剤、アシルホスフィンオキシド光開始剤、及びベンゾアート光開始剤及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項16又は17に記載の光硬化性接着剤組成物
【請求項19】
基材を接着する際の請求項14~18のうちのいずれか一項に記載の光硬化性接着剤組成物の使用。
【請求項20】
前記基材がガラス又は透明なプラスチックである、請求項19に記載の光硬化性接着剤組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー、それらの調製法及び使用に関する。本発明による(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーは、際立った熱的安定性及び優れた光学特性を示す。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、その良好な熱的安定性、薬品耐性及び機械的特性、などで知られている。しかしながら、接着剤におけるポリイミドのアプリケーションは、それらの低溶解性、接着剤の一般的な成分との乏しい適合性、高融点及び加工が非常に困難であるために限られている。
【0003】
多くの研究が、ポリイミドの熱的及び機械的特性を改善するために行われてきた。例えば、Fu-MingWang、などは、ポリ(アクリラート-co-イミド)系ゲルポリマー電解質を合成した。『The network gel polymer electrolyte based on poly(acrylate-co-imide) and its transport properties in lithium ion batteries』、 J Solid State Electrochem (2009) 13:1425-1431を参照されたい。それらのポリ(アクリラート-co-イミド)系ゲルポリマーは、グラフトポリマーである。これらのグラフトポリマーはたいていの有機溶媒に不溶である。さらに、イミド部位とアクリラート部位との結合が弱く、グラフトポリマーの熱的安定性が損なわれ得る。
【0004】
技術水準にもかかわらず、良好な熱的安定性及び良好な光学特性いずれも示す、接着剤のための新規材料開発への要求は現在も継続している。
【発明の概要】
【0005】
鋭意検討の後、本願発明者は式I:
【化1】
[式(I)中、m及びnは、各々、独立して、1~およそ50の整数を表す、ただしm及びnはいずれも同時に1ではない;
及びR14は互いに同一又は異なり、独立して、水素又はメチルである;
はC-C12アルキル基から選択される;
は-CH(CH)-又は-C(CH-である;
はC-C12アルキレン基から選択される;
はC-C30脂環式基及びC-C30アリーレン基から選択される2価の連結単位を表す;及び
Aは、C-C14脂肪族基、C-C30脂環式基、C-C30アリール基、エーテル基、スルホン基、スルフィド基、アミド基及びエステル基から選択される、4価の連結単位を表す。]
で表される、新規な(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを開発した。
【0006】
本発明は、また本発明によるコポリマーを調製するための方法に関する。
【0007】
本発明は、また本発明によるコポリマーを含む光硬化性接着剤組成物に関する。
【0008】
本発明は、また接着した基材中における、本発明による接着剤組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のさらなる特徴及び利点は、実施例を経由して、本技術の特徴を同時に示す、添付の図と併せて、以降の詳細な説明より明らかとなる;及び、図において:
図1図1は、本発明の実施例及び比較例により調製したコポリマーのUV-VIS透過波長プロットを比較するものである。
図2図2は、本発明の実施例及び比較例により調製したコポリマーの熱重量分析(TGA)曲線を比較するものである。
図3図3~5は、各々、本発明の実施例により調製したコポリマーの熱重量分析(TGA)曲線を示すものである。
図4図3~5は、各々、本発明の実施例により調製したコポリマーの熱重量分析(TGA)曲線を示すものである。
図5図3~5は、各々、本発明の実施例により調製したコポリマーの熱重量分析(TGA)曲線を示すものである。
図6図6は、比較例により調製したコポリマーの熱重量分析(TGA)曲線を示すものである。
【0010】
いくつかの例示的な実施例への参照がなされ、同一のものを記載するために、特有の文言が本明細書中で使用されることとなる。それにかかわらず、本開示の範囲の限定は、それにより意図されないことは理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降の文章において、本開示がより詳細に記載されている。かかるように記載されている態様は、それと反対の趣旨で明確に示されていない限り、任意の他の態様又は態様(複数)と組み合わせてよい。特に、好ましい又は有利であると示されている任意の特徴は、好ましい又は有利であると示されている任意の他の特徴又は特徴(複数)と組み合わせてよい。
【0012】
本開示の文脈において、使用されている用語は、文脈中に別段記載されていない限りは、以降の定義に従って解すべきである。
【0013】
本明細書で使用される限り、単数形『a』、『an』及び『the』は、文脈に明確に記載されていない限り、単数及び複数の指示対象のいずれも含む。
【0014】
用語『含む(comprising)』、『含む(comprises)』及び『からなる(comprised of)』は、本明細書で使用される限り、『含む(including)』、『含む(includes)』、『含む(containing)』又は『含む(contains)』と同義であり、包括的であり又は列挙した要素以外を含んでもよく、さらなる列挙されていない部材、要素又は方法段階を排除するものではない。
【0015】
本明細書中、用語『(メタ)アクリラート』はアクリラート及びメタクリラートのいずれも又はいずれか一方を指し、用語『(メタ)アクリル酸』はアクリル酸及びメタクリル酸のいずれも又はいずれか一方を表し、及び用語『ポリ(メタ)アクリラート』はポリアクリラート及びポリメタクリラートのいずれも又はいずれか一方を表す。
【0016】
数字の終点の記載は、各範囲に含まれるすべての数及び分数、並びに記載された終点を含む。
【0017】
本明細書に引用にされているすべての参照は、参照により本明細書にそのまま組み入れられる。
【0018】
別段定義されていない限り、技術用語及び科学用語を含む、本開示に使用されているすべての用語は、本開示が属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般的に理解されている意味を有する。さらなる案内により、用語の定義が、本開示の教示をより十分に理解するために含まれる。
【0019】
具体的に示されていない限り、本開示に使用されている材料及び薬剤は、すべて市販品である。
【0020】
(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー
【0021】
1つの態様において、本発明は、式I:
【化2】
[式(I)中、m及びnは、各々、独立して、およそ1~およそ50の整数を表す、ただしm及びnはいずれも同時に1ではない;
及びR14は互いに同一又は異なり、独立して、水素又はメチルである;
はC-C12アルキル基から選択され、好ましくは、RはC-Cアルキル基から選択される;
は-CH(CH)-又は-C(CH-である;
はC-C12アルキレン基から選択される、好ましくは、RはC-Cアルキレン基から選択される;
はC-C30脂環式基及びC-C30アリーレン基から選択される、2価の連結単位を表す;及び
Aは、C-C14脂肪族基、C-C30脂環式基、C-C30アリール基、エーテル基、スルホン基、スルフィド基、アミド基及びエステル基から選択される、4価の連結単位を表す。]
で表される、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを提供する。
【0022】
驚くべきことに、本発明による(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーは、際立った熱的安定性及び優れた光学特性を示すことが見つかった。さらに、該ブロックコポリマーは、種々の溶媒及びモノマーに溶解し、加工が容易であり、接着剤の一般的な成分、例えば、(メタ)アクリル樹脂、と適合する。
【0023】
何らかの理論に束縛されることなく、本発明による前記ブロックコポリマーのポリイミドブロックが、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーに優れた熱的安定性を与えるとされる。ポリイミドブロック及び(メタ)アクリラートを有する末端基を修飾することにより、前記(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーは、さらに優れた光学特性を示す。(メタ)アクリラートブロックは、またコポリマーに良好な可撓性を与え、次にコポリマーの溶解性、適合性及び加工性を著しく向上させる。
【0024】
用語『脂肪族基』は、本明細書で使用される限り、完全に飽和であるか又は1つ以上の不飽和の単位を含むが芳香族でない、鎖状又は分岐鎖状の、置換又は無置換の炭化水素鎖を意味する。好適な脂肪族基は、鎖状又は分岐鎖状の、置換又は無置換のアルキル、アルケニル及びアルキニル基を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、脂肪族基は1~20の炭素原子を含む。該脂肪族基は、要すれば、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ニトロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ又はアシルにより置換されてよい。
【0025】
用語『アルキル』は、飽和の、鎖状又は分岐鎖状の、置換又は無置換の1価の炭化水素残基を指し、アルキル基は、要すれば、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ニトロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ又はアシルにより置換されてよい。ある実施形態において、アルキル基は、1~20の炭素原子、好ましくは1~12の炭素原子、より好ましくは1~6の炭素原子を有する。アルキル基のうちのいくつかの限定されない例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを含む。
【0026】
用語『アルキレン』は、2つの水素原子が除かれた鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素由来の飽和の2価の炭化水素基を指し、アルキレン基は、要すれば、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ニトロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ又はアシルにより置換されてよい。ある実施形態において、アルキレン基は、1~20の炭素原子、好ましくは1~12の炭素原子、より好ましくは1~6の炭素原子を有する。アルキレン基のうちのいくつかの限定されない例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレンなどを含む。
【0027】
用語『アルケニル』は、少なくとも1つの炭素-炭素不飽和二重結合部分を有する鎖状又は分岐鎖状の1価の炭化水素残基を指し、アルケニル基は要すれば置換されてもよい。ある実施形態において、アルケニル基は、2~20の炭素原子、好ましくは2~12の炭素原子、より好ましくは2~6の炭素原子を有する。好適なアルケニル基の限定されない例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニルなどを含む。
【0028】
用語『アルキニル』は、少なくとも1つの炭素-炭素不飽和三重結合部分を有する鎖状又は分岐鎖状の1価の炭化水素残基を指し、アルキニル基は要すれば置換されてもよい。ある実施形態において、アルキニル基は、2~20の炭素原子、好ましくは2~12の炭素原子、より好ましくは2~6の炭素原子を有する。好適なアルキニル基の限定されない例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニルなどを含む。
【0029】
用語『脂環式』は、単環式又は多環式(例えば、二、及び三環)環系の形態の1価の又は多価の非芳香族、飽和又は部分的に不飽和の環を指す。好適な脂環式基は、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルを含むが、これらに限定されない。脂環式基は、要すれば、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ニトロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ又はアシルにより置換されてよい。
【0030】
用語『シクロアルキル』は、要すれば置換された、3~30の環炭素原子の、より好ましくは4~30の環炭素原子の飽和の環系を指す。例示的な単環式シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。
【0031】
本明細書で使用される限り、用語『シクロアルケニル』は、1つ以上の炭素-炭素不飽和二重結合を有する脂環式炭化水素基を指す。1つの実施形態において、シクロアルケニル基は環系に3~30の炭素原子、より好ましくは4~30の環炭素原子を有する。
【0032】
本明細書で使用される限り、用語『シクロアルキニル』は、1つ以上の炭素-炭素不飽和三重結合を有する脂環式炭化水素基を指す。1つの実施形態において、シクロアルキニル基は環系に3~30の炭素原子、より好ましくは4~30の環炭素原子を有する。
【0033】
用語『アリール』は、1~3の芳香環を含む、要すれば置換された、C-C30の芳香族炭化水素部位を指す。かかる基の具体的な例は、フェニル、トリル、キシリル及びナフチル、特にフェニル又はナフチルを含むが、これらに限定されない。アリール基は、要すれば、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ニトロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ又はアシルにより置換されてよい。
【0034】
用語『アリーレン』は、本明細書で使用される限り、本明細書に記載されているアリール系を表すが、残りの分子に2つの接続点を有する。
【0035】
ある実施形態において、Aは次の基:
【化3】
[式中、Rは2価の連結単位であり、好ましくは、Rはベンゼン環の3,3’-、3,4’-、4,3’-又は4,4’-位であり、
より好ましくは、Rは-O-、-S-、-C(O)-、-SO-、-SO-、C-C20アルキレン基、ハロゲン化C-C20アルキレン基(C-C20ペルフルオロアルキレン基を含む)及び-O-Z-O-で表される基(Zは次の基:
【化4】
から選択される2価の連結基である)から選択され、
は-O-、-S-、-C(O)-、-SO-、-SO-、C-C20アルキレン基及びハロゲン化C-C20アルキレン基(C-C20ペルフルオロアルキレン基を含む)から選択され;
さらにより好ましくは、RはC-C12アルキレン基及びハロゲン化C-C12アルキレン基、例えば、C-C12ペルフルオロアルキレン基から選択される。]
から選択される。
【0036】
本明細書で使用される限り、用語『ハロゲン化』とは、フッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化又はそれらの任意の組み合わせを指す。
【0037】
ある実施形態において、Rは次の基:
【化5】
[式中、R~R13は、各々、独立して、C-C20アルキレン基及びC-C20ペルフルオロアルキレン基を含む、それらのハロゲン化誘導体;好ましくはC-C12アルキレン基及びそれらのハロゲン化誘導体、例えば、C-C12ペルフルオロアルキレン基、から選択される。]
から選択される。
【0038】
いくつかの例において、本発明による前記ブロックコポリマーは、式II~式IV:
【化6】
[式中、R~R、R、R10、R11、R14、m及びnは、各々、式Iについて前記定義したものである。]
のうちのいずれか1つで表される。
【0039】
ある実施形態において、RはC-C12、好ましくはC-Cアルキレン基、より好ましくはn-へキシレン基(-(CH-)である。ある実施形態において、R及びR11は、各々、独立して、C-C20、好ましくはC-C12ペルフルオロアルキレン基、より好ましくはヘキサフルオロイソプロピレン基(-C(CF-)である。ある実施形態において、R10はC-C12、好ましくはC-Cアルキレン基、より好ましくはメチレン基(-CH-)である。
【0040】
ある実施形態において、本発明によるブロックコポリマーは、GPCで測定される、およそ2,000~およそ1,000,000ドルトン、好ましくはおよそ10,000~およそ500,000ドルトン、より好ましくはおよそ15,000~およそ300,000ドルトンの数平均分子量(Mn)を有する。
【0041】
ある実施形態において、本発明によるブロックコポリマーは、およそ1.1~およそ2.0、好ましくはおよそ1.2~およそ1.6の多分散指数(PDI)を有する。
【0042】
ある実施形態において、本発明によるブロックコポリマーは、固体粉末又はバルク固体の形状である。ある実施形態において、コポリマーは白色である。
【0043】
ある実施形態において、ブロックコポリマーの官能性は、およそ1.0~およそ2.0である。コポリマーの官能性とは、ブロックコポリマーの骨格中の不飽和二重結合の数を意味する。
【0044】
(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーの調製法
【0045】
別の態様において、本発明は、本発明による(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを調製するための方法を提供し、該方法は次の工程を含む:
--ジアミン、酸二無水物及びモノアミンを反応させて、スキーム1のポリアミド酸を形成する工程;
【化7】
--該ポリアミド酸を脱水してポリイミドを形成する工程;
--該ポリイミド及び(メタ)アクリラートを反応させて、式Vで表される臭素末端ポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを形成する工程;
【化8】
及び
--該臭素末端ポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを(メタ)アクリル酸と反応させて、式I(式中、R~R、R14、A、m及びnは、各々、式Iについて記載されているものと同一定義及び好ましい範囲を有する。)で表される(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーを形成する工程。
【0046】
ある実施形態において、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーは、1電子移動-リビングラジカル重合(SET-LRP反応)により合成される。(メタ)アクリラートモノマーへの酸二無水物モノマーの供給比率を調節することにより、ポリ(メタ)アクリラートブロックに対するポリイミドブロックの数の比及びコポリマー全体の鎖長を制御することが可能である。さらに、SET-LRP反応により、(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマー中のポリ(メタ)アクリラート部位のPDIがおよそ1.01~およそ1.2、好ましくはおよそ1.05~およそ1.1に正確に制御され得る。
【0047】
光硬化性接着剤組成物
【0048】
別の態様において、本発明は、本発明による前記コポリマーを含む光硬化性接着剤組成物を提供し、該接着剤組成物は、好ましくは液体の光学的に透明な接着剤組成物である。
【0049】
(メタ)アクリラート官能基を有するポリ(メタ)アクリラート-block-ポリイミド-block-ポリ(メタ)アクリラートコポリマーに加え、前記接着剤組成物は、(メタ)アクリラートモノマー及び/又は光開始剤をさらに含む。
【0050】
ある実施形態において、前記(メタ)アクリラートモノマーは、一官能性又は二官能性である。
【0051】
ある実施形態において、前記(メタ)アクリラートモノマーは、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t-ブチル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラート、ステアリル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、2-メトキシエチル(メタ)アクリラート、メヌ(menu)ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリラート、2-エトキシエチル(メタ)アクリラート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、エチルカルビトール(メタ)アクリラート、フェノキシエチル(メタ)アクリラート、カルボキシメチルジエチレングリコール(メタ)アクリラート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、2,2,2,-トリフルオロエチル(メタ)アクリラート、2,2,3,3,-テトラフルオ(メタ)アクリラート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリラート、イミド(メタ)アクリラート、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、n-ブチル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリラート、n-オクチル(メタ)アクリラート、イソノニル(メタ)アクリラート、イソミリスチル(メタ)アクリラート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリラート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリラート、ビシクロペンチル(メタ)アクリラート、イソデシル(メタ)アクリラート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタラート、グリシジル(メタ)アクリラート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリラート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリラート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリラート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、ポリプロピレングリシジル(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、プロピレンオキシド添加ビスフェノールAジメタ)アクリラート、エチレンオキシド添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、エチレンオキシド添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリラート、シクロペンタジエンジステアリン酸(メタ)アクリラート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、エチレンオキシド修飾イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリラート、炭酸ジオールジ(メタ)アクリラート、などを含むが、これらに限定されない。市販の(メタ)アクリラートモノマーの例は、例えば、EB230、EB264、EB265、EB284、EB280、EB1290、EB270、EB4833、EB8210、EB8402、EB8808(脂肪族ウレタンアクリラート)、EB220、EB4827、EB4849(芳香族ウレタンアクリラート)、EB657、EB885、EB600、EB3200、EB3700、EB3702、EB3703、EB3720(DaicelCytecCo.,Ltd.);CN8000NS、CN8001NS、CN8003、CN9001NS、CN9002、CN9014NS、CN991NS(ウレタンアクリラート)、CN146、CN2203NS、CN2254NS、CN2261、CN2302、CN293、CN3108、CN704、CN8200(ポリエステルアクリラート)、CN104NS、CN120NS、CN131NS、CN2003NS、CN159(エポキシアクリラート、Sartomeから購入可能)などを含む。
【0052】
ある実施形態において、前記光開始剤は、ベンゾインエーテル光開始剤、ベンジルケタール光開始剤、アセトフェノン光開始剤、アントラキノン光開始剤、チオキサントン光開始剤、ベンゾフェノン光開始剤、アシルホスフィンオキシド光開始剤、ベンゾアート光開始剤及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0053】
ある実施形態において、前記接着剤組成物は任意選択的添加物をさらに含む。該組成物に含まれ得る他の任意選択的添加物への特定の制限はなく、接着剤に一般的に使用されるものが使用され得る。ある実施形態において、他の任意選択的添加物は、熱可塑性ポリマー、有機又は無機充填剤、チキソトロピック剤、シランカップリング剤、希釈剤、改変剤、着色剤、例えば、顔料及び染料、界面活性剤、防腐剤、安定剤、可塑剤、潤滑剤、消泡剤、レベリング剤などを含み得るが、これらに限定されない。特に、接着剤組成物は、好ましくは有機又は無機充填剤及び/又はチキソトロピック剤を含む。
【0054】
充填剤は、無機充填剤、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ジプサム、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラスビード、絹雲母活性化白色土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素など;及び有機充填剤、例えば、ポリメチルメタクリラート、ポリエチルメタクリラート、ポリプロピルメタクリラート、ポリブチルメタクリラート、ブチルアクリラート-メタクリル酸-メチルメタクリラートコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリイソプレン、ポリイソプロピレンなどを含むが、これらに限定にされない。これらは単独で又はそれらの組み合わせで使用され得る。
【0055】
チキソトロピック剤は、タルク、フュームシリカ、超微細表面処理炭酸カルシウム、アルミナ微細粒子、プレート様アルミナ;層状化合物、例えば、モントモリロナイト、針状化合物、例えば、アルムミウムボラートウィスカなどを含むが、これらに限定されない。それらのうち、タルク、フュームシリカ及びアルミナ微細粒子が好ましい。
【0056】
別の態様において、本発明は、基材を接着する際の本発明による接着剤組成物の使用を提供し、該基材は、好ましくはガラス又は透明なプラスチックである。
【0057】
ある実施形態において、前記基材を接着する方法は、次の工程を含む:
--本発明の接着剤組成物を1つの基材の表面に適用する工程;
--その上に該接着剤組成物が適用された基材を別の基材に接触させる工程、及び
--接着した基材を化学線に曝露する工程。
【0058】
前記接着剤組成物は、化学線、例えば、紫外、可視光又は黒色光放射に曝露して硬化され得る。1つの好ましい実施形態において、およそ200~およそ450nm、好ましくはおよそ300~およそ450nmの波長を有する紫外放射線が、組成物を硬化するのに使用される。別の好ましい実施形態において、組成物に適用される紫外放射線は、およそ100mJ/cm~およそ10,000mJ/cm、好ましくはおよそ500mJ/cm~およそ5,000mJ/cmの放射線エネルギーを有する。放射線源は硬化の間、該基材に対して実質的に垂直であることが好ましい。
【実施例
【0059】
以降の実施例は、当業者が本開示をより十分に理解して実施するのを助けることを目的としている。本開示の範囲は、実施例により限定されるものではないが、添付の請求項に規定される。
【0060】
実施例1(Ex.1)
【0061】
2-ブロモ-2-メチル-プロピオン酸6-アミノ-ヘキシルエステルの塩酸塩の合成
【化9】
【0062】
6-ヒドロキシヘキサン-1-アンモニウムクロリド(1.4g、13.7mmol)を100mL3口丸底フラスコ中で室温で10mL無水アセトンに溶解させ、2-ブロモイソブチリルブロミド(1.7mL、13.7mmol)の10mLアセトン溶液を滴下して加えた。混合物を5時間撹拌した後、溶媒を混合物からロータリーエバポレータにより除いた。得られた生成物を冷却したジエチルエーテル中に沈殿させ、ろ過した。それから、真空中、室温で乾燥させた(2.07g、50%収率)。
【0063】
HNMR(CDCl,300MHz):7.99[s,3H,NH],4.178(t,2H,CHO),3.08(m,2H,CHN),1.79[s,6H,(CH],1.74(m,2H,CH),1.74(quintet,2H,CH),1.68[m,4H,(CH
【0064】
ポリアミド酸1の合成
【化10】
【0065】
2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6.68g,20mmol)、2-ブロモ-2-メチル-プロピオン酸6-アミノ-ヘキシルエステルの塩酸塩(0.60g,2mmol)を500mL3口丸底フラスコ中で室温で150mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解させた。次に、4,4’(ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸二無水物(9.05g,2.04mmol)の100mLNMP溶液を丸底フラスコに対して、およそ0.5時間にわたり滴下して加えた。該無水物を完全に加えた後、温度を80℃まで上昇させた。それからポリアミド酸1を含む混合物が得られた。
【0066】
ポリアミド1の合成
【化11】
【0067】
無水酢酸(AcO,7.55mL,80mmol)及びトリエチルアミン(TEA,11mL,80mmol)をポリアミド酸1を含む500mL3口丸底フラスコに、およそ1時間にわたり滴下して加えた。それから反応を6時間続け、その間、温度は室温まで下がった。溶液を1Lの氷水に注ぐと白色固体が沈殿した。それから該白色固体をEtOH/HO(1:3,体積比)で3度洗浄し、真空オーブン(LS-VO50,Labserv)中で乾燥させた。14.03gのポリイミド1が得られた。ポリイミド1のGPCで測定した数平均分子量(Mn)は5,400Daであり、GPC(Waters,1515)で測定した多分散指数(Pdi)は1.2であった。
【0068】
IR(cm-1):2957(w),2928(w),1788(w),1722(vs),1608(w),1508(m),1373(vs),1254(s)1208(s),1175(vs).
【0069】
臭素末端ブロックコポリマー1の合成
【化12】
【0070】
室温で、得られたポリイミド1(2.0g)を250mL3口丸底フラスコ中で20mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。Cuメッシュ(0.2g)、40mLメチルメタクリラート(MMA)、20mLテトラヒドロフラン(THF)を3口丸底フラスコに加えた。それから窒素パージを3口丸底フラスコに導入して中の酸素を置換した。2,2’-ジピリジル(0.1g,Aldrich)を3口丸底フラスコに加え、反応を60℃で5時間行った。フラスコ中の溶液の粘度は非常に増加した。反応が完結した後、溶液をメタノール中で沈殿させると臭素末端ブロックコポリマー1(Mn=250,000Da,PDI=1.3,GPC,Waters,1515)である白色固体粉末状の生成物が得られた。
【0071】
H-NMR(CDCl):8.07(1H),8.00(1H),7.89(1H),7.58(2H),7.53(2H),3.60(33H),2.06-1.81(20H),1.59(4H),1.43(2H),1.01(11H),0.84(21H).
【0072】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1の合成
【化13】
【0073】
臭素末端ブロックコポリマー1(2.0g)、KCO(0.5g,3.6mmol)、アクリル酸(0.25g,3.4mmol)及びTBAB(0.1g,0.3mmol)を250mL3口丸底フラスコ中で100mLのアセトニトリルに溶解させた。反応はNの保護の下、70℃で8時間で起こった。反応が完結した後,溶液を室温で100mLHO中に沈殿させると白色粉末の形状の生成物が得られた。イオンクロマトグラフィー試験(Varian710-OES)では、生成物中の官能性(二重結合)は1.6であることが示された。GPC(Waters,1515)で測定された多分散指数(PDI)は1.3であり、Mnは250,000Daであった。
【0074】
実施例2
【0075】
ポリイミド2の合成
【0076】
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)(4.76g,20mmol)、2-ブロモ-2-メチル-プロピオン酸6-アミノ-ヘキシルエステルの塩酸塩(0.60g,2mmol)を500mL丸底フラスコ中で150mLのNMPに溶解させた。4,4’(ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸二無水物(9.05g,20mmol)、トリエチルアミン(0.1mL)の100mLNMP溶液を反応系におよそ0.5時間にわたり加えた。反応は室温で行った。無水物を完全に加えた後、温度を80℃に上昇させ、反応をさらに3時間続けた。それからAcO(7.55mL,80mmol)及びTEA(11mL,80mmol)を系におよそ1時間滴下して加えた。反応を6時間続け、温度は室温まで下がった。溶液を1Lの氷水に注いだ。得られた白色固体を沈殿させた。それから白色固体をEtOH/HO(1:3)で3度洗浄し、最終生成物(ポリイミド2)を真空オーブン中で乾燥させた後に得た。GPCで測定された分子量(Mn)は5,800Daであり、PDIは1.26であった。
【0077】
臭素末端ブロックコポリマー2の合成
【0078】
ポリイミド2(2.0g)を250mLボトル中で20mLのDMSOに溶解させた。Cuメッシュ(0.2g)、10mLのMMA、20mLのTHFを系に加えた。それからNをOの阻害を避けるために系にパージした。それから2,2’-ジピリジル(0.1g)を溶液に加え、反応を60℃で5時間行った。反応が完結した後、溶液をメタノール中で沈殿させると臭素末端ブロックコポリマー2として樹脂が得られた。GPCでは、分子量(Mn)はおよそ138,000Daであると示された。
【0079】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー2の合成
【化14】
【0080】
ブロックコポリマー2を臭素末端ブロックコポリマー1の代わりに臭素末端ブロックコポリマー2を使用した以外は、実施例1についてのものと前記と同様にして調製した。
【0081】
前記ポリマーは分子量138,000ドルトンを示し、PDIは1.6(Waters,1515)であった。そして官能性はおよそ1.6であった。
【0082】
実施例3
【0083】
ポリイミド3の合成
【0084】
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)(9.52g,40mmol)、2-ブロモ-2-メチル-プロピオン酸6-アミノ-ヘキシルエステルの塩酸塩(1.20g,4mmol)を500mL丸底フラスコ中で150mLのNMPに溶解させた1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二酸無水物(9.13g,40mmol)、TEA(0.1mL)の100mLNMP溶液を反応系におよそ0.5時間にわたり加えた。反応を80℃で行った。無水物を完全に加えた後、反応をさらに3時間続けた。それからAcO(15.1mL,160mmol)及びTEA(22mL,160mmol)をおよそ1時間、系に滴下して加えた。反応をさらに6時間行った。それから溶液を2Lの氷水に注いだ。白色固体が沈殿した。白色固体をそれからEtOH/HO(1:3)で3度洗浄し、真空オーブン中で乾燥させた後、生成物(ポリイミド3)を得た。
【0085】
臭素末端ブロックコポリマー3の合成
【0086】
ポリイミド3(2.0g)を250mLボトル中で20mLのDMSOに溶解させた。Cuメッシュ(0.2g)、20mLのMMA、20mLのTHFを系に加えた。それからNをOの阻害を避けるために系にパージした。2,2’-ジピリジル(0.1g)を溶液に加え、反応を60℃で5時間行った。反応が完結した後、溶液をジクロロメタン(200mL)で希釈した。それから100mLの水を加え、有機層を濃縮すると臭素末端ブロックコポリマー3(Mn=16,500Da,PDI=1.5)として樹脂が得られた。
【0087】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー3の合成
【化15】
【0088】
ブロックコポリマー3を、臭素末端ブロックコポリマー1の代わりに臭素末端ブロックコポリマー3を使用した以外は、実施例1についてのものと前記と同様にして調製した。
【0089】
官能性はおよそ1.6、Mn=16,500Da、PDI=1.5であった。
【0090】
特性測定
【0091】
実施例4-13
【0092】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1の溶解性試験
【0093】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマ1(単位:mg)を下記一覧で示したアクリラートモノマー及び/又はオリゴマ(単位:mg)と混合した。それから該混合物をスピードミキサー(Flacktek,DAC150,2500rpm)で3分間撹拌した。得られた混合物を裸眼で透明な溶液が形成されているか、望ましくない分離した層又は分散体が形成されているかどうかを確認した。
【表1】
【0094】
上表より、アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1は、種々の(メタ)アクリラートモノマー及びそれらの混合物に溶解し得ることがわかる。
【0095】
実施例14
【0096】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3及び参照サンプルの光透過性試験
【0097】
室温で、2-ブロモ-2-メチル-プロピオン酸6-アミノ-ヘキシルエステルの塩酸塩(0.2g)を250mL3口丸底フラスコ中で20mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。Cuメッシュ(0.2g)、40mLのメチルメタクリラート(MMA)及び20mLのテトラヒドロフラン(THF)を3口丸底フラスコに加えた。それから窒素パージを3口丸底フラスコに導入して、中の酸素を置換した。2,2’-ジピリジル(0.1,Aldrich)を3口丸底フラスコに加え、反応を60℃で5時間行った。フラスコ中の溶液の粘度は非常に増加した。反応が完結した後、溶液をメタノール中で沈殿させるとポリメチルメタクリラートPMMA(Mn=150,000Da,PDI=1.1,GPC,Waters,1515)である白色固体の生成物が得られた。H-NMR(CDCl):3.60(s,3H),2.06-1.81(m,2H),1.01(s,1H),0.84(s,2H).
【0098】
前記アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3及び前記PMMAを、各々、THF(10mg/mL)に溶解させた。図1は、L-650(PerkinElmerから購入可能)で集めたUV-Vis透過波長プロットを示す。
【0099】
近紫外領域において、本発明によるメタクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3は、高い光透過性を示し、ポリメチルメタクリラートの光透過性とほぼ同一であったことが図1からわかる。
【0100】
実施例15
【0101】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3及び参照サンプルの熱的安定性試験
【0102】
アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3(10g)及び前記PMMA(10g)の熱的安定性をQ500(TAより購入可能)において試験した。窒素ガスをQ500中に導入した。Q500の温度を10℃/分の速度で上昇させた。
【0103】
図2は、アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3及び前記PMMAの熱重量分析(TGA)曲線を組み合わたものである。図3-6は、各々、アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1、2、3及びポリメチルメタクリラートの熱重量分析(TGA)曲線を示す。
【0104】
前記アクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3は、ポリメチルメタクリラートよりも良好な熱的安定性を示したことが図2-6からわかる。コポリマー1及びコポリマー3のTd5温度(5wt%分解の温度)は、PMMAのTd5温度よりも高いものであった。第1段階において、PMMAは劇的に分解し、329.81℃では21.93wt%の分解に達した。対照的に、本発明によるアクリラート官能基を有するブロックコポリマー1-3は、第1段階において、はるかにより安定であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6